JPH0688292A - アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法 - Google Patents
アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法Info
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- JPH0688292A JPH0688292A JP13885792A JP13885792A JPH0688292A JP H0688292 A JPH0688292 A JP H0688292A JP 13885792 A JP13885792 A JP 13885792A JP 13885792 A JP13885792 A JP 13885792A JP H0688292 A JPH0688292 A JP H0688292A
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Abstract
熱性に優れ平滑な無電解めっき皮膜を形成するに好適な
表面処理法を提供する。 【構成】 アルミニウム又はその合金にポアを有する陽
極酸化皮膜を形成し、その陽極酸化皮膜をニッケル、
鉄、銅又はコバルトの金属塩に亜鉛の金属塩を添加した
浴に浸漬して電解し、ポア内にニッケル、鉄、銅又はコ
バルトと亜鉛との合金を析出させ、さらに前記合金がポ
ア内に析出された酸化皮膜上にニッケル−燐、銅、又は
コバルト−燐のいずれかの無電解めっきを施す。 【効果】 アルミニウム又はその合金の板材ばかりでな
くダイキャストにも良好な無電解めっきを行うことがで
きる。
Description
合金に無電解めっき、電気めっきあるいは塗装により皮
膜を形成する表面処理法に関し、特に各めっきにおいて
は無電解めっき皮膜が迅速確実に形成しかつ密着性及び
耐熱性に優れた皮膜を形成し、また塗装においては密着
性に優れた塗膜を形成するアルミニウム及びアルミニウ
ム合金の表面処理法に関するものである。
して、またその他、自動車部品、ハードデスク用サブス
トレート、厨房品、電気部品、光学部品、機械部品など
に用いられ、その用途は拡大を続けており、それに伴な
う表面処理、特にめっき、塗装を施す必要性が増大して
いる。
で密着力がありかつ耐熱性の大なるめっき皮膜を形成す
ることは困難とされ、特に膨大な数量を占めるダイキャ
ストについては殆んど不可能視されていた。
合金に直接にめっきする場合は、図4に示すように、ア
ルミニウムと亜鉛を置換処理するいわゆるジンケート処
理を行なった後に、無電解めっきまたは電気めっきする
方法が一般的であった。それらの方法によれば、めっき
膜は密着力と耐熱性が不十分である許りでなく、アルミ
ニウム又はその合金の組成内容によってめっきの条件を
常に修正する必要があり、まためっき浴中に亜鉛が過大
に溶出して浴の劣化を早めるという問題があった。
平2−45704号公報に記載されているように、陽極
酸化皮膜のポア底部にニッケル又は他の単体金属を析出
させてから無電解めっきする方法(従来法 Iという)が
提案されたが、めっき金属の還元析出反応の開始に時間
がかかり、時に酸化皮膜表面をめっき浴が浸すなどでめ
っき膜にムラを生じ、面粗さがジンケート処理法よりか
なり大となる欠点があった。
公平2−50988号公報に記載されているように、陽
極酸化皮膜の厚さを必要な程度に止め、次にポア内の金
属析出を充分に行なう電解法を用いてポアを充填し、そ
れから無電解めっきする処理法(従来法IIという)が提
案された。この場合、面粗さはジンケート処理法と同等
になり耐熱性は大巾に向上したが、還元析出開始の時間
に数分を要した。
報に記載されているように、アルミニウム又はその合金
にポアを有する陽極酸化皮膜を形成し、次に金属塩に浸
漬して金属でポアを充填し、続いてその金属で酸化皮膜
全体を蔽うことによって、その表面は電気めっきと同様
の現象を呈するが、めっき膜としては粗さが極めて大で
あること、また処理時間が過大であることなどで実用化
は全く困難視されていた。
る場合、従来は化成処理法で薄い燐酸塩をアルミ表面に
形成させ、その上に塗装することが殆んどであるが、最
近、陽極酸化法でポアを有する酸化膜を形成させて密着
性の良い塗装を施すことも行なわれている。
があるため密着力が向上するが、ポアの封孔を行え得な
いため、腐食性の水溶液が膜を浸透した場合、特にポア
部分に欠陥性ピンホール部分がある時は、腐食し易い塗
膜となっている。このためカラーサッシなどの製作にお
いては、ピンホールなどの発生し難いJIS6063S
材などの高品質アルミニウム合金を用いて陽極酸化し、
ポア内にニッケルまたは錫をムラなく電解析出させてか
らクリヤー塗装を行なっている。
代表されるような機械強度の大なる合金素材(板、ダイ
キャスト)が求められており、6063材や純アルミニ
ウムのみなどを対象とし得なくなった。密着力、耐食性
を生命とする塗膜を形成させるには下地膜の性質が重要
となってくる。特にアルミニウム及びその合金のダイキ
ャストに耐食性に優れた塗装を行うことができず、ダイ
キャストに適した下地処理方法が待たれていた。
ート処理後に生成するめっき皮膜は密着力と耐熱性が未
だ不十分であり、また前記従来法 I、IIのように陽極酸
化及び二次電解の下地処理後に生成しためっき皮膜は面
が粗く、還元析出開始までの反応時間が長い等の問題が
あった。またアルミニウム及びその合金のダイキャスト
の塗装に適した下地処理方法がないという問題があっ
た。
たものであって、本発明の第1の目的は、密着性及び耐
熱性に優れ、極めて平滑な無電解めっき皮膜を形成で
き、その膜上に従来方式によって各種金属の電気めっき
皮膜を容易に形成させることができるアルミニウム及び
アルミニウム合金の表面処理法を提供することにある。
へ及びその合金、特にダイキャストの塗装に適したアル
ミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法を提供する
ことにある。
るために、本発明の第1のアルミニウム及びアルミニウ
ム合金の表面処理法は、アルミニウム又はアルミニウム
合金にポアを有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程
と、その陽極酸化皮膜をニッケル、鉄、銅又はコバルト
いずれかの金属塩に亜鉛の金属塩を添加した浴に浸漬し
て電解し、ポア内にニッケル、鉄、銅又はコバルトのい
ずれかと亜鉛との合金を析出させる第2工程と、さらに
その合金をポア内に析出された陽極酸化皮膜上にニッケ
ル−燐、銅、又はコバルト−燐のいずれかの無電解めっ
きを施す第3工程とから構成されている。
ルミニウム合金の表面処理法は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金にポアを有する陽極酸化皮膜を形成する第
1工程と、その陽極酸化皮膜をニッケル、鉄及びコバル
トそれぞれの金属塩のうちの2種類を含みかつ亜鉛の金
属塩を添加した浴に浸漬して電解し、ポア内にニッケ
ル、鉄及びコバルトのうちの2種類の元素と亜鉛との合
金を析出させる第2工程と、さらにその合金をポア内に
析出された陽極酸化皮膜上にニッケル−燐、銅、又はコ
バルト−燐のいずれかの無電解めっきを施す第3工程と
から構成されている。
ム及びアルミニウム合金の表面処理法は、上記第1、第
2のアルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法に
加えて、第3工程で無電解めっきにより生成された膜上
に電気めっきを施す第4工程を設けたことを特徴として
いる。
本発明の第5のアルミニウム及びアルミニウム合金の表
面処理法は、アルミニウム又はアルミニウム合金にポア
を有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程と、その陽極
酸化皮膜をニッケル、鉄、銅又はコバルトいずれかの金
属塩に亜鉛の金属塩を添加した浴に浸漬して電解し、ポ
ア内にニッケル、鉄、銅又はコバルトいずれかと亜鉛と
の合金を析出させる第2工程と、その合金をポア内に析
出された陽極酸化皮膜上に塗装膜を形成する第3工程と
から構成されている。
ミニウム合金の表面処理法は、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金にポアを有する陽極酸化皮膜を形成する第1
工程と、その陽極酸化皮膜をニッケル、鉄及びコバルト
それぞれの金属塩のうちの2種類を含みかつ亜鉛の金属
塩を添加した浴に浸漬して電解し、ポア内にニッケル、
鉄及びコバルトのうちの2種類の元素と亜鉛との合金を
析出させる第2工程と、その合金をポア内に析出された
陽極酸化皮膜上に塗装膜を形成する第3工程とから構成
されている。
合金の表面処理法にかかる工程及び各工程での基本的作
用を図1を参照しながら説明する。
の前処理が大切であることは一般に知られている通りで
ある。本発明においては、先ず通常の方法によって充分
脱脂し、さらにアルミニウム(又はその合金)表面に存
在する自然酸化層、機械加工により生じるビリビー層、
あるいは鋳造時に生じるチル層などを除去するために、
カセイソーダなどで表面を溶解し、その後水洗により中
和して、清浄なアルミニウム面とする。
あるいは塗装時においてめっき膜あるいは塗膜と陽極酸
化皮膜のポアとの間にアンカー効果を生ぜしめるため
に、およびポア内への金属析出の諸条件を満たすために
重要である。
適正なものとして0.2〜10μm程度形成される。陽
極酸化皮膜2中に生成されるポア3径は陽極酸化浴と電
解条件によって決められ、その径は約100〜400Å
程度である。浴としては硫酸、燐酸スルファミン酸、シ
ュウ酸、あるいはそれらの混酸、時にはカセイソーダが
適当な濃度と浴温に保持されて用いられる。また電解条
件としては直流、交流あるいはPR波などを用いて1d
m2当り0.1〜数Aの範囲で適宜選定された電流密度に
よって電解される。膜厚はクーロン量(+側)によって
かなり正確に制御し得る。
らに酸化皮膜の電気抵抗値を決定する。この電気抵抗値
は皮膜底部のバリヤー層(素材表面とポアの底面との間
の層)の厚さに左右されるが、特に電解電圧(および電
流値)を下げるとバリヤー層の厚さが小となり、例えば
電気めっきを行なう場合に障害とならないようになる。
ポア径の選定は、無電解めっきを行なう場合は大きくな
るよう燐酸およびその混酸などが用いられ、一方塗装を
行なう場合はやや小となるよう硫酸およびその混酸など
が用いられる。
成によって電流密度を選定する必要がある。例えばダイ
キャスト部品などのシリコン(Si)などを多量に含む
材料には、比較的大きな電流密度によって素早く酸化皮
膜を形成する必要がある。さらにこれら皮膜を折り曲げ
に対して強くするには、PR波または交流によって電解
する。
出(図1に示す第2工程) 前記陽極酸化工程によって形成された皮膜のポア内に、
金属塩を含む電解浴中で直流、交流またはPR波などで
電解してニッケル、錫などの金属を析出させる方法は、
一般に二次電解着色法と呼ばれ、カラーサッシなどの製
造に広く用いられている。
はコバルトなどの金属塩に少量の亜鉛の塩を添加するこ
とにより、鉄、ニッケル、銅あるいはコバルトなどの金
属と亜鉛との共析合金4をポア内に共析させるか、ある
いは鉄、ニッケル、コバルトそれぞれの金属塩のうちの
2種類に亜鉛の塩を添加した浴を用いて亜鉛を含む三元
合金を析出させる。一般に亜鉛単体浴では亜鉛は殆んど
析出しないが、鉄、ニッケル、銅あるいはコバルトなど
の金属とは浴のpH4〜6程度の範囲でよく共析する。
この若干の亜鉛は、後で無電解めっきを行なう時にめっ
き金属の還元析出を均一かつ瞬時に行なわせる効果があ
り、また亜鉛を含む共析合金であるため耐食性に優れ、
後で塗装を行なう時に密着がよく、塗膜を透過する塩水
分などに対しても陽極酸化皮膜のみの場合より大きい耐
食力を示すなど多くの効果を示す重要な要素となるもの
である。
ルミニウムの純度の低い場合に大である。陽極酸化工程
において、これらの素材には均一な陽極酸化皮膜は形成
されず、図2に示すように、共晶シリコン1sを中に含
む多数のピンホールを内蔵する欠陥酸化皮膜となるが、
亜鉛を含む共析合金4は、このピンホールを蔽い、その
ためアルミ素材の組成の如何かかわらず表面は酸化膜
(Al2O3)と亜鉛合金例えば鉄−亜鉛(Fe−Zn)
との複合面となり、電気化学的にはほぼ同一組成の表面
特性を示すようになる。
3工程、第3´工程) この複合面に対して、市販の無電解めっき浴などをその
まま、時に若干pHを調整して用い、ニッケル−燐、銅
あるいはコバルト−燐などの無電解めっきを施すことが
できる。この時、亜鉛はめっき金属の還元析出に効果的
な作用を示すため、例えば前述の従来法 Iにおける形で
陽極酸化皮膜2のポア3底部に金属が電解析出している
場合でも、亜鉛が共存して合金4となる時には、第3工
程で示すように、無電解めっき金属5は先ずポア3内に
還元析出し、充填し終ると、均一にかつ数秒内にその皮
膜表面にも還元析出してめっきが開始される。このため
無電解めっき膜5は平滑となり共析合金4とめっき膜5
が連続するため、表面部とポア間にアンカーが生成され
て密着力が大となり、かつ加熱された場合でも酸化膜2
(Al2O3)と共析合金4(例えばFe−Zn)との複
合膜であるため、亜鉛の溶解などもなくポア3も熱緩衝
に役立ち、極めて耐熱性の大なるめっき膜5となる。
種の無電解めっき、例えば金めっきを施すことは当然容
易に可能である。もしめっき膜が形成されない程度にポ
ア内に充分析出した時点で終了させて、これを磁気膜や
偏光膜に利用することも充分可能である。
板あるいはダイキャストへ塗装する場合、密着性、耐食
性に優れた塗膜を形成させるには下地膜の性質が重要と
なってくる。本発明においては、防錆効果の大きい亜鉛
を(単体では析出しないが)合金の形では良く析出する
特性を利用して、析出金属4を例えば鉄−亜鉛、ニッケ
ル−亜鉛などの合金として、陽極酸化皮膜2のポア2中
に析出させておくので、塗膜を浸透する腐食性水溶液な
どに極めて高い防錆力を示すようになる。
めっき、クロムめっき又ははんだめっきなどの各種の電
気めっきを施すことが可能である。この場合、陽極酸化
(図1に示す第1工程)において処理終了直前に電解電
圧を下げて数中秒ないし数分間保持すると、酸化皮膜の
電気抵抗値を 小さくすることができ、電気めっきがさ
らに容易となる。
A1080P(99.8%アルミニウム)と、アルミニ
ウム純度の低いJISADC−12(ダイキャスト、シ
リコン12%〜、他銅、鉄など数%含む)を代表的な対
象素材とし、これに本発明による方法で、ニッケル−
燐、銅あるいはコバルト−燐の無電解めっきと、さらに
その上に電気めっきを行なった具体例を挙げる。またJ
ISA5052P材に陽極酸化、電解析出、塗装を行っ
た例を挙げる。
を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっきを実
施した例(対象A1080)。
鉛合金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)無電解めっき
を実施した他の例(対象A1080)。
鉛合金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっ
きを実施した他の例(対象A1080)。
鉛合金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっ
きを実施した他の例(対象A1080)。
鉛合金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっ
きを実施した例(対象A1080)。
を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっきを実
施した例(対象ADC−12)。
を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっきを実
施した例(対象ADC12)。
鉛合金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっ
きを実施した他の例(対象ADC12)。
亜鉛合金(三元合金)を析出させ、ニッケル(Ni)−燐
(P)の無電解めっきを実施した例(対象A1080)。
ル・亜鉛合金(三元合金)を析出させ、ニッケル(Ni)−
燐(P)の無電解めっきを実施した例(対象A108
0)。
ト・亜鉛合金(三元合金)を析出させ、コバルト(Co)の
無電解めっきを実施した例(対象A1080P)。
亜鉛合金を析出させ、銅(Cu)の無電解めっきを実施した
例(対象A1080P)。
金を析出させ、ニッケル(Ni)−燐(P)の無電解めっき
と、さらにクロム(Cr)の電気めっきを実施した例(対象
A1080P)。
金を析出させ、さらに塗装を施した例(対象A505
2)。
て、その面粗さを触針式(東京精度製サーフコム10
0)で測定した。その結果、表15に示すように、ニッ
ケル−燐、コバルト−燐又は銅の無電解めっきを施され
た各試片の面粗さは、0.1μm以下であり極めて平滑
であった。ところで比較のために、ジンケート法、その
改良型である前述の従来法I及び従来法IIによって処理
した後にニッケル−燐の無電解めっきを施したそれぞれ
の比較試片の面粗さを測定したところ、従来法Iによる
ものは0.4〜1.1μmと粗く、一方、ジンケート方
及び従来法IIによるものは0.1μm以下と滑らかであ
った。
いて、めっき膜の密着力に関する二つの試験を行った。
一つの試験では、各試片のめっき膜にハンダ付けを行
い、めっき膜の変形を観察した。他の試験では各試片及
び比較試片を−40℃と+150℃の各温度に1時間づ
つ保持することを1サイクルとして、1000サイクル
の熱衝撃を与えた後、引張り、打抜き、スクラッチ試験
を行なって、めっき膜の剥離の有無を調べた。なお比較
のために、ジンケート法及び従来法IIによる処理後にそ
れぞれニッケル−燐の無電解ニッケルめっきを施した比
較試片についても同じように二つの試験を行った。
けの試験においては、各実施例で得た試片ではめっき膜
にはまったく異常がなかった。また従来法IIにより処理
された比較試片ではめっき膜にはまったく異常がなかっ
たが、ジンケート法により処理した比較試片ではめっき
膜が溶縮するものが見られた。
試片ではめっき膜の剥離がまったくなかった。また従来
法IIにより処理されたものもめっき膜の剥離がまったく
なかったが、ジンケート法により処理されたものは、僅
か100サイクルの熱衝撃後の引張り、スクラッチ、打
ち抜きでめっき膜が剥離するものが見られた。
て、A1080材上に4mm角で膜厚6〜7μmのテスト
用無電解めっき膜を形成し、また実施例6〜8によりA
DC12材上に2.25mm角で膜厚6〜7μmのテスト
用無電解めっき膜を形成し、それぞれの膜上に引っ張り
テスト用線を半田付けして引張り試験片を作って、これ
ら試験片を垂直に引っ張り、その剥離に至るプル強度
(kg/mm2)を調べた。そして比較のために、ジンケー
ト法により処理した比較試片についても同様にプル強度
を調べた。引張り試験片は、各実施例あたり、一枚の素
材板に無電解めっきした後にフォトリソグラフィにより
約20個の四角の膜を作成し、引張り試験に供した。
よるA1080材上の4mm角めっき膜では平均7.2kg
/mm2のプル強度が得られ、ADC12材上に2.25m
m角めっき膜では平均7.6kg/mm2のプル強度が得られ
た。また本発明によるめっき膜では剥離せず、テスト用
線が切断して終るものが多かった。これに対して、ジン
ケートホウ法による比較試片では、A1080材上の4
mm角めっき膜では平均4.9kg/mm2のプル強度を、A
DC12材上に2.25mm角めっき膜では平均3.4kg
/mm2のプル強度を示すに過ぎなかった。
が抜群であることは、無電解めっき皮膜が予めポア内に
電析していた金属と連続してアンカーを有することとな
るため、およびポアに熱による衝撃に対し緩衝効果を示
すためであり、これは電子顕微鏡写真によって確認し
た。
無電解めっき金属の還元析出反応が浴への浸漬と殆んど
同時に開始するすることから、本発明は従来法I、IIで
の問題、即ち無電解めっき金属の還元析出反応開始まで
数分の時間を要する点を解決したものといえる。また従
来より実施されていたジンケート法に比較すると、上述
のごとく無電解めっき膜の密着性、耐熱衝撃性等の性能
が大巾に向上したのみでなく、処理浴の劣化が極めて少
なくなったことは浴への溶出亜鉛が微量であり、その蓄
積が無視される程度であると考えられる。
析出後に塗装した塗膜の耐食性について説明する。腐食
試験片として、塗装して用いるJISA5052Pを取
上げ、70×150(mm)角の板面に下地処理として実
施例14によって、0.8μmの陽極酸化皮膜を形成
し、それから鉄(Fe)−亜鉛(Zn)の電解析出による下地処
理した。下地処理された各試験片にメラミンアルキッド
樹脂塗料を用いて塗膜を形成した。塗膜の耐食試験とし
ては、試験片を48hrのCASSテストした後、レイ
ティングNO法により塗膜の耐食性を判定した。なお、
比較のために、下地処理として従来から用いられている
(a)燐酸塩による化成処理したもの、(b)陽極酸化皮膜の
みを形成したもの、(c)陽極酸化皮膜を形成しかつその
皮膜のポア内にニッケルを析出したものにそれぞれ塗膜
を形成した各試験片を耐食試験に供した。
験片の耐食性が最も悪く、(b)、(c)の順に良好とな
り、さらに実施例14によって鉄と亜鉛との合金を析出
させたものが最良の耐食性を示した。また下地処理とし
て実施例1〜12を用いたものについても、実施例14
によるものと同様の耐食性を示すことを確認した。塗料
は上記の他に、アクリル塗料、エポキシ塗料、ウレタン
塗料等を用いることもできる。
陽極酸化膜のポア中にCu−Znを電解析出させ、ニッ
ケル−燐を無電解めっきした後に、電解によってクロム
めっきを施した結果、良好なクロムめっき膜が得られ
た。
によれば、亜鉛と、鉄、ニッケル、銅又はコバルトの金
属とを合金の形でアルミニウム酸化皮膜内のポア内に予
め電解析出させておくことにより、あるいは亜鉛と、
鉄、ニッケル及びコバルトのうちの2種類の金属との合
金の形でアルミニウム酸化皮膜内のポア内に予め電解析
出させておくことにより、その後の無電解めっきを迅速
確実に実施でき、その無電解めっき皮膜の平滑度、密着
性、耐熱性も極めて優れたものとなり、必要に応じてさ
らに無電解めっき皮膜上に電気めっきも重ねて行なうこ
とができる。
と密着力、耐食性の良い塗膜が得られる。
法では困難であった例えばダイキャストの如き低純度ア
ルミニウム材に対して容易にめっきが行なうことがで
き、従ってアルミニウム又はその合金よりなる内外装用
建築材、自動車部品、電気部品、機械部品、光学部品家
庭用品、車輌船舶用材、文房具その他の多くの用途に適
用することができる。またカラーサッシの製作に際し、
電析用金属として鉄−亜鉛を用いる時は錫、ニッケルな
どの稀少金属を大巾に節約することもできその効果は極
めて大である。
表面処理法の工程を示す図である。
亜鉛合金を電解析出する工程を説明する図である。
程を示す図である。
無電解めっき膜を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金にポ
アを有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程と、該陽極
酸化皮膜をニッケル、鉄、銅又はコバルトいずれかの金
属塩に亜鉛の金属塩を添加した浴に浸漬して電解し、前
記ポア内にニッケル、鉄、銅又はコバルトのいずれかと
亜鉛との合金を析出させる第2工程と、さらに前記合金
をポア内に析出された陽極酸化皮膜上にニッケル−燐、
銅、又はコバルト−燐のいずれかの無電解めっきを施す
第3工程とからなるアルミニウム及びアルミニウム合金
の表面処理法。 - 【請求項2】 アルミニウム又はアルミニウム合金にポ
アを有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程と、該陽極
酸化皮膜をニッケル、鉄及びコバルトそれぞれの金属塩
のうちの2種類を含みかつ亜鉛の金属塩を添加した浴に
浸漬して電解し、前記ポア内にニッケル、鉄及びコバル
トのうちの2種類の元素と亜鉛との合金を析出させる第
2工程と、さらに前記合金をポア内に析出された陽極酸
化皮膜上にニッケル−燐、銅、又はコバルト−燐のいず
れかの無電解めっきを施す第3工程とからなるアルミニ
ウム及びアルミニウム合金の表面処理法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のアルミニウム及
びアルミニウム合金の表面処理法に加えて、前記第3工
程で無電解めっきにより生成された膜上に電気めっきを
施す第4工程を設けたことを特徴とするアルミニウム及
びアルミニウム合金の表面処理法。 - 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金にポ
アを有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程と、該陽極
酸化皮膜をニッケル、鉄、銅又はコバルトいずれかの金
属塩に亜鉛の金属塩を添加した浴に浸漬して電解し、前
記ポア内にニッケル、鉄、銅又はコバルトいずれかと亜
鉛との合金を析出させる第2工程と、前記合金をポア内
に析出された陽極酸化皮膜上に塗装膜を形成する第3工
程とからなるアルミニウム及びアルミニウム合金の表面
処理法。 - 【請求項5】 アルミニウム又はアルミニウム合金にポ
アを有する陽極酸化皮膜を形成する第1工程と、該陽極
酸化皮膜をニッケル、鉄及びコバルトそれぞれの金属塩
のうちの2種類を含みかつ亜鉛の金属塩を添加した浴に
浸漬して電解し、前記ポア内にニッケル、鉄及びコバル
トのうちの2種類の元素と亜鉛との合金を析出させる第
2工程と、前記合金をポア内に析出された陽極酸化皮膜
上に塗装膜を形成する第3工程とからなるアルミニウム
及びアルミニウム合金の表面処理法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13885792A JP3180197B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13885792A JP3180197B2 (ja) | 1992-05-29 | 1992-05-29 | アルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理法 |
Publications (2)
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