JP2587721B2 - 亜鉛系メッキアルミニウム板の製造方法 - Google Patents

亜鉛系メッキアルミニウム板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は自動車のボデー等に使用される表面処理ア
ルミニウム板の製造方法に関し、特に鋼板とともにリン
酸亜鉛処理を施して使用される用途の亜鉛系メッキアル
ミニウム板の製造方法に関するものである。
従来の技術 従来、自動車のボデーには鋼板が使用されるのが通常
であった。この種の自動車ボデー用鋼板としては、普通
鋼板、高張力鋼板のほか、亜鉛メッキ鋼板や合金化亜鉛
メッキ鋼板などの表面処理鋼板が使用されている。これ
らのうち、亜鉛メッキ鋼板や合金化亜鉛メッキ鋼板など
の表面処理鋼板は、耐食性が優れていることから、特に
耐食性が要求される部位あるいは車種などに推奨され
る。
ところでこのような鋼板を用いた自動車のボデーの組
立て製造ラインにおいては、ボデー用鋼板をプレス加工
等により所定の形状に成形して各ボデーパーツとした
後、各ボデーパーツを組立てるとともにスポット溶接
し、その後、組立てられたボデーに対して脱脂処理を施
してから、鋼板と塗膜との密着性向上および耐食性向上
を目的として、一種の化成処理であるリン酸亜鉛処理を
施し、その後電着塗装および通常のスプレー塗装を行な
うのが一般的である。
一方、最近では自動車の燃費向上のための車体軽量化
を主目的として、アルミニウム板を自動車のボデーに使
用することが多くなっている。この場合、自動車のボデ
ー全体をアルミニウム化することが未だ稀であり、一般
には鋼板とアルミニウム板とを併用するのが通常であ
る。このような鋼板とアルミニウム板とを併用して自動
車ボデーの組立て製造を行なうためには、前述の鋼板の
みの場合と同じラインを用いることが要望されている。
すなわち、成形した鋼板からなるボデーパーツと成形し
たアルミニウム板からなるボデーパーツを組立てて溶接
し、ボデーを作成した後、そのボデー全体に対して脱脂
処理を施してからリン酸亜鉛処理を施し、その後電着塗
装やスプレー塗装を行なうことが望まれる。このように
すれば、鋼板とアルミニウム板とを併用する場合でも新
たに別の組立て製造ラインを新設しなくても済み、しか
も工程の連続性も保たれるから、製造コスト面で有利と
なる。しかしながらこの場合はアルミニウム板に対して
も鋼板と同時にリン酸亜鉛処理が施されることになるた
め、次のような問題が生じる。
すなわち、アルミニウム板にリン亜鉛処理を施した場
合、アルミニウム板表面にリン酸亜鉛皮膜が充分に生成
されないばかりでなく、Al板表面が溶解して、リン酸亜
鉛処理浴中にAlイオンが溶出してしまう。そのため、前
述のように自動車用ボデーとして一体化した鋼板とアル
ミニウム板に同時にリン酸塩処理する際には、アルミニ
ウム板から溶出したAlイオンによって鋼板表面へのリン
酸亜鉛皮膜の生成も阻害されてしまい、その結果充分な
耐食性および塗膜の充分な密着性が得られなくなってし
まう問題が生じる。
このような問題を解決する方法としては、既に特開昭
61−157693号において、リン酸塩処理性に優れたアルミ
ニウム板を製造する方法が提案されている。この提案の
方法は、予めアルミニウムの表面にZnメッキ層、Zn合金
メッキ層もしくはFe合金メッキ層のいずれかを1g/m2
上の付着量で形成しておくものであり、このようにZnメ
ッキ層等を形成しておくことによって、後のリン酸亜鉛
処理時にアルミニウム板からAlイオンが浴中へ溶出せ
ず、そのためアルミニウム板と鋼板とを併用したボデー
に対してリン酸亜鉛処理を施す場合でも鋼板に充分にリ
ン酸亜鉛皮膜を生成することができ、しかもアルミニウ
ム板自体の表面にもリン酸亜鉛皮膜を生成することがで
きるとされている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら前述のような特開昭61−157693号の提案
の方法を実際に適用しようとする場合、次のような問題
がある。すなわち、アルミニウムやアルミニウム合金の
表面に電気メッキを施すことは、他の金属に電気メッキ
を施す場合と比較して格段に困難であり、前記提案の公
報中に示されているような通常の硫酸亜鉛浴中でアルミ
ニウム板に電気メッキを施しただけの場合は、密着性の
極めて劣るメッキ皮膜しか生成されない。その密着性の
程度の低さは、セロテープでも簡単に皮膜が剥離してし
まうほどである。そのため特に成形前にメッキを施して
おくプレコート板の場合には、成形加工時等においてメ
ッキ皮膜が破れ、そのため前述のような自動車ボデーの
組立て製造ラインでは、リン酸亜鉛処理時にそのメッキ
皮膜が破れた部分からAlイオンが溶出してしまう。すな
わち、折角リン酸亜鉛処理性向上のためにZnメッキ層等
のメッキ層を形成しておいても、実際にはメッキ層の密
着性の低さのためにリン酸亜鉛処理性を改善することは
困難であった。
ところで一般にアルミニウムに対する電気メッキにお
いて、メッキ層の密着性を増す方法としては、前処理と
して中間層を形成しておくことが行なわれている。例え
ば亜鉛メッキ層を形成する場合の中間層生成前処理とし
ては、ジンケート処理が代表的である。しかしながらこ
のようなジンケート処理等によって中間層を生成させた
後に改めて電気亜鉛メッキを施すことは、生産性を著し
く低くする問題がある。特にプレコート板として、コイ
ル状のアルミニウム板を処理する場合に適用することが
工業的に不適当である。したがってジンケート処理など
によって中間層を形成してから電気亜鉛メッキを施す方
法は、自動車のボデー用アルミニウム板の如く大量処理
する場合に適用することは困難であった。
一方、アルミニウム板に密着性が良好な亜鉛メッキ層
を形成する方法として、電気メッキによらずに、メッキ
浴に浸漬するだけの方法もあり、その一例として特開平
1−252785号公報記載の方法が挙げられる。この方法
は、アルミニウム材を亜鉛イオンとフッ素イオンからな
るpH2.5〜5.3の酸性亜鉛系水溶液で処理することによっ
て、アルミニウム材の表層を溶解するとともに亜鉛析出
層(亜鉛メッキ層)を形成するものであり、この方法で
はアルミニウム材の表層が溶解されて活性化した表面に
亜鉛が析出するため、比較的密着性の良好な亜鉛メッキ
層が得られるものと考えられる。
しかしながら上述のようにメッキ浴に浸漬するだけの
方法では、所要の膜厚となるまで亜鉛を析出させるため
には著しい長時間を要するから、処理能率が著しく低
く、特にコイル状態のアルミニウム板を連続的に処理す
ることは工業的に適用困難であった。またメッキ皮膜性
能についても、従来のジンケート処理を施してから電気
亜鉛メッキを施した場合と比較すれば、メッキ浴に対す
る浸漬のみの場合は密着性が劣り、また皮膜均一性の点
でも劣る。したがって電気亜鉛メッキによらずに、浸漬
のみによって亜鉛メッキ層を形成する方法も、自動車ボ
デー用のアルミニウム板に適用することは不適当とされ
ている。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、
自動車ボデーなどの製造工程中において鋼板とともにリ
ン酸亜鉛処理が施される用途のアルミニウム板につき、
リン酸亜鉛処理性を向上させるべくアルミニウム板に亜
鉛系メッキ層を形成するにあたって、ジンケート処理な
どによる中間層の生成を要することなく、密着性や皮膜
均一性が良好な亜鉛系メッキ層を、高能率、低コストで
生成させ得る方法を提供することを目的とするものであ
る。
なおこの明細書において、「亜鉛系メッキ」とは、純
亜鉛メッキのみならず、亜鉛合金メッキ(例えば亜鉛−
ニッケル合金メッキ、亜鉛−鉄合金メッキ)をも含む意
味で用いている。
課題を解決するための手段 本発明者等は鋭意実験・検討を重ねた結果、フッ化物
と亜鉛の塩とを、F-イオンおよびZn2+イオンが所定の範
囲内の濃度となるように含有する浴中でアルミニウム板
に対して電気亜鉛系メッキを施すことによって前述の目
的を達成し得ることを見出し、この発明をなすに至っ
た。
具体的には、この発明は鋼板とともに表面にリン酸亜
鉛処理を施して使用される用途の亜鉛系メッキアルミニ
ウム板を製造する方法において、アルミニウム板表面に
脱脂処理を施した後、フッ化物と亜鉛の塩とを、浴中の
F-イオン濃度が0.4〜80g/、Zn2+イオン濃度が0.1〜75
g/の範囲内となるように含有するメッキ浴で電気亜鉛
系メッキを施すことを特徴とするものである。
なおこの発明で亜鉛系メッキとは、前述のように純亜
鉛メッキのほか、亜鉛−ニッケル合金メッキや亜鉛−鉄
合金ニッケルメッキで代表される亜鉛合金メッキを含む
から、前記メッキ浴は、前述のフッ化物と亜鉛の塩のほ
か、ニッケルの塩または鉄の塩を含んでも良いこととす
る。この場合メッキ浴としては、前記同様にF-イオン濃
度が0.4〜80g/、Zn2+イオン濃度が0.1〜75g/のほ
か、Ni2+イオン濃度またはFe2+イオン濃度が0.1〜70g/
となるように調整することが適当である。
作用 この発明の方法では、アルミニウム板に脱脂処理を施
した後、フッ化物と亜鉛の塩とを含有するメッキ浴、あ
るいはフッ化物と亜鉛の塩のほか、ニッケルの塩または
鉄の塩を含有するメッキ浴で電気メッキを行なう。この
とき、メッキ浴は、F-イオン濃度が0.4〜80g/、Zn2+
イオン濃度が0.1〜75g/となるように調整する。なお
ニッケルの塩を含有する場合はNi2+イオン濃度は0.1〜7
0g/となるように、また鉄の塩を含有する場合Fe2+
オン濃度は0.1〜70g/となるように調整することが適
当である。
このようなメッキ浴中にアルミニウム板を浸漬し、そ
のアルミニウム板を陰極として通電すれば、メッキ浴中
のF-イオンによりアルミニウム板の表層が溶解されつ
つ、Zn2+イオン、またはZn2+イオンとNi2+イオンもしく
はFe2+イオンが金属として陰極であるアルミニウム板表
面に電解析出し、亜鉛メッキ皮膜もしくは亜鉛合金メッ
キ皮膜(これら亜鉛系メッキ皮膜と総称する)が生成さ
れる。このとき、前述のようにF-イオンによりアルミニ
ウム板の表層が溶解されて活性な面が露呈されるから、
亜鉛または亜鉛とニッケルもしくは鉄の電解析出は活性
な面になされ、そのため亜鉛系メッキ皮膜はアルミニウ
ム板に対して高い密着性をもって生成される。すなわ
ち、特にジンケート処理等によって予め中間層を生成し
ておかなくても、電気メッキのみによって密着性の良好
な亜鉛系メッキ皮膜が形成される。また電気メッキによ
らずに、F-イオンを含有するメッキ浴に浸漬のみを行な
って亜鉛メッキ層を形成する特開平1−252785号の方法
と比較しても、通電による電解析出作用を利用している
ため、密着性が優れかつ皮膜均一性に優れた亜鉛系メッ
キ皮膜を形成することができ、しかも処理時間は著しく
短縮される。
このようにして亜鉛系メッキ層が形成されたアルミニ
ウム板は、その後に塗装前処理としてリン酸亜鉛処理を
施すにあたっても、表面に亜鉛層もしくは亜鉛合金層を
有するためアルミニウムがリン酸亜鉛処理浴中に溶解す
ることがなく、そのため例えば鋼板を併用して組立てた
自動車ボデーに対してリン酸亜鉛処理を施す際でもAlイ
オンにより鋼板表面のリン酸亜鉛処理皮膜の生成が阻害
されることがなく、しかもアルミニウム板(亜鉛系メッ
キ層表面)に対してリン酸亜鉛処理皮膜が十分に生成さ
れる。
ここで、この発明の方法におけるメッキ浴中のF-イオ
ン濃度が0.4g/未満では、F-イオンによるアルミニウ
ム板表面の溶解作用が小さいため、密着性の高い亜系鉛
メッキ層が生成されず、一方F-イオン濃度が80g/を越
えれば、使用後のメッキ液の排液処理に問題が生じるお
それがある。またメッキ浴中のZn2+イオン濃度が0.1g/
未満では亜鉛の電解析出速度が遅くなって処理に長時
間を要するようになり、一方Zn2+イオン濃度が75g/を
越えれば、飽和溶解度以上となって塩が溶解せずに底に
たまるようになり、かえって悪影響を及ぼす。したがっ
てメッキ浴のF-イオン濃度は0.4〜80g/、Zn2+イオン
濃度は0.1〜75g/の範囲内とした。
なお、溶接性等の向上のために必要に応じて前述の如
くニッケルの塩または鉄の塩をメッキ浴に添加して、前
述のF-イオン、Zn2+イオンのほか、Ni2+イオンまたはFe
2+イオンを含有するメッキ浴としても良いが、この場合
のNi2+イオン濃度またはFe2+イオン濃度が0.1g/未満
ではNiもしくはFeの電解析出速度が遅くなってNiもしく
はFeが充分に析出されず、ニッケルの塩またはFeの塩を
添加した効果が得られない。一方Ni2+イオン濃度もしく
はFe2+イオン濃度が70g/を越えれば塩が溶解せずに底
にたまるようになり、かえって悪影響を及ぼすおそれが
ある。したがってニッケルの塩もしくは鉄の塩を添加し
た場合のNi2+イオン濃度もしくはFe2+イオン濃度は、い
ずれも0.1〜70g/の範囲内とすることが適当である。
但しこの場合、Zn2+イオンとNi2+イオンもしくはFe2+
オンの濃度の和が飽和溶解度以上になれば前述の悪影響
が生じることがあるから、これらのイオン濃度の和を10
0g/以下とすることが望ましい。
発明の実施のための具体的な説明 この発明で対象となるアルミニウム板の成分組成は、
鋼板とともにリン酸亜鉛処理を施される用途であれば特
に限定されず、純アルミニウム板のほか各種のアルミニ
ウム合金板が対象となる。特にこの発明では自動車ボデ
ー用に使用されるAl−Mg系合金(JIS 5000番系合金)、
Al−Mg−Si系合金(JIS 6000番系合金)に好適に適用す
ることができる。
この発明の方法による電気亜鉛系メッキをアルミニウ
ム板に施す段階は、プレス加工等により所要の形状に成
形した後でも良いが、プレコート板として成形前の段
階、特にコイル状の段階で適用する場合に大きな効果が
得られる。すなわち、この発明の方法によれば密着性の
著しく優れた亜鉛系メッキ層が得られるから、メッキ後
に成形加工を施しても亜鉛系メッキ層が剥離したりする
ことがなく、そのためその後のリン酸亜鉛処理でもAlイ
オンがリン酸亜鉛処理浴中に溶出することが確実に防止
され、しかも高能率で処理できるためコイル状のアルミ
ニウム板に対して連続処理することが可能となるからで
ある。
アルミニウム板に対して最初に施す脱脂処理には、ア
ルミニウム板表面の油脂分を除去するのみならず、表面
をエッチングして酸化物を除去するような脱脂処理剤を
用いることが望ましく、例えばリン酸ソーダ系脱脂剤あ
るいは苛性ソーダ等を用いることができる。
脱脂後は一旦水洗を行なってから表面のスマットを除
去するためのデスマット処理を行ない、その後再び水洗
してから電気亜鉛系メッキを行なうことが望ましい。
電気亜鉛系メッキにおけるメッキ浴に使用される亜鉛
の塩としては、硫酸亜鉛が好適であるが、このほか硝酸
亜鉛、ホウ酸亜鉛等も使用することができる。もちろん
2種以上の亜鉛の塩を混合しても良い。また亜鉛−ニッ
ケル合金メッキの場合に用いるニッケルの塩としては硫
酸ニッケルが好適であり、このほか硝酸ニッケルも使用
することができ、もちろん2種以上の塩を混合して用い
ても良い。さらに亜鉛−鉄合金メッキの場合に用いる鉄
の塩としては硫酸鉄等を使用することができ、もちろん
2種以上の塩を混合して用いても良い。一方メッキ浴に
使用されるフッ化物としては、フッ化水素(HF)、フッ
化水素アンモニウム(NH4H・HF)が好適であるが、これ
に限られるものではない。さらにメッキ浴には、通常の
電気亜鉛系メッキ浴に添加される添加剤、例えばホウ
酸、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化亜鉛、硫
酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、塩化アンモニウ
ム、酢酸ナトリウム、グルコース、その他各種光沢剤が
含有されていても良い。
電気メッキの際の電流密度は、一般的な電気亜鉛メッ
キの場合と同程度であれば良く、特に限定されないが、
通常は5〜30A/dm2程度とすれば良い。また生成させる
亜鉛系メッキ皮膜の厚みは任意であるが、通常は0.1〜1
0μm程度とすれば良い。
このようにして電気メッキを施した後には、常法にし
たがって水洗および乾燥を行ない、亜鉛系メッキアルミ
ニウム板製品とし、その後に鋼板とともにリン酸亜鉛処
理を施す用途に用いる。
実 施 例 成分組成がMg0.85wt%、Si0.98wt%、Cu0.27wt%、Mn
0.38wt%、残部が実質的にAlよりなるアルミニウム合金
(AA6010合金相当)の板に対して、リン酸ソーダ系脱脂
剤を用いて脱脂処理を行なった後水洗し、さらにデスマ
ット処理を行なった後再び水洗した。次いで、電気亜鉛
メッキの場合は、硫酸亜鉛とフッ化水素もしくはフッ化
水素アンモニウムの混合水溶液、もしくはさらにそれに
添加剤としてNa2SO4およびH3BO3を添加した水溶液をメ
ッキ浴として用い、また電気亜鉛−ニッケル合金メッキ
の場合は、硫酸亜鉛と硫酸ニッケルとフッ化水素もしく
はフッ化水素アンモニウムとの混合水溶液をメッキ浴と
して用いて、電気亜鉛メッキもしくは電気亜鉛−ニッケ
ル合金メッキを行なった。ここで、各メッキ浴の成分組
成を、Zn2+イオン濃度、Ni2+イオン濃度、F-イオン濃度
で第1表の本発明例1〜8に示す。なお本発明例1,5,6,
8ではF-イオン源としてフッ化水素を、本発明例2,3,4,7
ではF-イオン源としてフッ化水素アンモニウムを用い
た。また電気メッキにおける電流密度、時間、およびメ
ッキ皮膜生成厚みを第1表中に併せて示す。なお電気メ
ッキ後は水洗および乾燥を行なった。
一方、比較例として次の比較例1〜4に示す方法で、
前記同様な成分組成のアルミニウム板に対する処理を行
なった。
比較例1: アルミニウム板に対して前記同様に脱脂処理を行なっ
た後、水洗し、第1表中に示すようにF-イオンを含有し
ないメッキ浴、すなわちフッ化物を添加せずに硫酸亜鉛
の水溶液にNa2SO4およびH3BO3を添加した通常の電気亜
鉛メッキ浴を用いて電気亜鉛メッキを行ない、その後水
洗および乾燥を行なった。
比較例2: アルミニウム板に対して前記同様に脱脂処理を施した
後、水洗し、さらにデスマット処理を施した後、水洗し
てジンケート処理を行なった。このジンケート処理とし
ては、Zn置換処理後、硝酸による酸洗を施し、さらにZn
置換を行なうダブルジンケート処理法を適用した。その
後、水洗してから、比較例1の場合と同様にF-イオンを
含有しない通常の亜鉛メッキ浴を用いて電気亜鉛メッキ
を施し、さらに水洗して乾燥させた。
比較例3: アルミニウム板に対して前記同様に脱脂処理を施した
後、水洗し、既に述べた特開平1−252785号の方法にし
たがって通電なしの浸漬のみによる亜鉛メッキを行なっ
た。メッキ浴としては硫酸亜鉛とフッ化水素の混合水溶
液であってかつF-イオン濃度、Zn2+イオン濃度が第1表
中に示す値のものを用いた。その後、水洗および乾燥を
行なった。
比較例4: アルミニウム板に対して前記同様に脱脂処理を行なっ
た後、水洗し、第1表中に示すようにF-イオンを含有し
ないメッキ浴、すなわちフッ化物を添加せずに硫酸亜鉛
および硫酸ニッケルの水溶液にNa2SO4およびH3BO3を添
加した通常の電気亜鉛−ニッケル合金メッキ浴を用いて
電気亜鉛−ニッケル合金メッキを行ない、その後水洗お
よび乾燥を行なった。
比較例5: この比較例4は、アルミニウム板に対して全くメッキ
等の表面処理を行なわなかったものである。
以上の本発明例1〜8および比較例1〜5による板に
ついて、各種の皮膜性能(但し比較例5については、ア
ルミニウム板の表面性能)を調べたので、その結果を第
2表に示す。
なお第2表中に示される各皮膜性能のうち、「密着
性」は、皮膜に碁盤目状の切り込みを入れてセロテープ
で剥離させる試験を行ない、剥離が生じなかった割合で
評価した。また「成形後の密着性」は、プレス加工を施
した後の状態で外観を観察し、皮膜の剥離が全く生じな
かった場合に○印を、若干の剥離が生じた場合に△印
を、顕著に剥離が生じた場合に×印を付した。さらに
「化成処理性」は、鋼板とともにリン酸亜鉛処理を施し
て、鋼板表面へのリン酸亜鉛処理皮膜の生成状態とリン
酸亜鉛処理浴の劣化状態を評価した。「耐糸錆性」はAS
TM D2083の方法に準拠して、糸錆長さで評価した。また
「能率性」は処理に要する時間で評価した。さらに「皮
膜均一性」は、外観観察により皮膜厚みの均一性を評価
した。
第2表から明らかなように、本発明例1〜8の場合
は、皮膜の密着性が優れており、そのため化成処理性
(リン酸亜鉛処理性)も優れており、またその他の皮膜
性能も良好であって、しかも処理能率も優れている。一
方、F-イオンを含有しない通常の電気亜鉛メッキ浴もし
くは電気亜鉛−ニッケル合金メッキ浴を用いて電気亜鉛
メッキもしくは電気亜鉛−ニッケルメッキを施した比較
例1、比較例4の場合は、皮膜の密着性が劣り、そのた
めリン酸亜鉛処理性も劣っていいる。またダブルジンケ
ート処理を施して中間層を生成させてから通常の電気亜
鉛メッキを行なった比較例2の場合、皮膜の密着性は良
好であったが、処理能率の点で問題がある。さらに、通
常を行なわずに浸漬のみでメッキを行なった比較例3の
場合は、皮膜の密着性、均一性の点で若干劣り、かつ処
理能率に問題がある。
発明の効果 以上の実施例からも明らかなように、この発明の方法
によれば、ジンケート処理などによる中間層の形成を要
することなく、電気メッキのみにてアルミニウム板の表
面に密着性、皮膜均一性の優れた亜鉛系メッキ皮膜を形
成することができる。したがってこの発明の方法により
亜鉛系メッキ皮膜が形成されたアルミニウム板は、その
後に成形加工等を施してもメッキ皮膜に剥離したり破れ
たりすることがなく、そのため後のリン酸亜鉛処理時に
おいてアルミニウム板のAlが溶解してAlイオンが処理浴
中に溶出することが確実に防止されるため、リン酸亜鉛
処理性も優れ、特にアルミニウム板と鋼板とを同時にリ
ン酸亜鉛処理する場合でも鋼板表面に確実にリン酸亜鉛
処理皮膜を形成することができる。またこの発明の方法
では、前述のようにジンケート処理などによる中間層の
形成を要しないため、生産性が高いとともに設備コスト
も低く、また電気メッキによらずに浸漬のみによる亜鉛
メッキの場合と比較すれば、格段に短時間で処理可能で
あって処理能率が高く、したがって量産規模で連続処理
するに適しており、特にコイル状のアルミニウム板を連
続処理するに好適である。さらにこの発明の方法では、
前述のように浸漬のみによる亜鉛メッキの場合と比較し
て、密着性や均一性がより一層優れた亜鉛系メッキ皮膜
を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 美智男 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (72)発明者 広前 義孝 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−252785(JP,A) 特開 昭57−200550(JP,A) 特開 昭60−141889(JP,A) 特公 昭58−41346(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板とともに表面にリン酸亜鉛処理を施し
    て使用される用途の亜鉛系メッキアルミニウム板を製造
    する方法において、 アルミニウム板表面に脱脂処理を施した後、フッ化物と
    亜鉛の塩とを、浴中のF-イオン濃度が0.4〜80g/、Zn
    2+イオン濃度が0.1〜75g/の範囲内となるように含有
    するメッキ浴で電気亜鉛系メッキを施すことを特徴とす
    る亜鉛系メッキアルミニウム板の製造方法。
JP2291444A 1989-10-30 1990-10-29 亜鉛系メッキアルミニウム板の製造方法 Expired - Fee Related JP2587721B2 (ja)

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