JP2779984B2 - 塗装後の耐食性に優れたリン酸塩処理アルミニウム板 - Google Patents

塗装後の耐食性に優れたリン酸塩処理アルミニウム板

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JP2779984B2 JP3216378A JP21637891A JP2779984B2 JP 2779984 B2 JP2779984 B2 JP 2779984B2 JP 3216378 A JP3216378 A JP 3216378A JP 21637891 A JP21637891 A JP 21637891A JP 2779984 B2 JP2779984 B2 JP 2779984B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車のボデー等と
して塗装が施されて使用される用途のリン酸塩処理アル
ミニウム板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のボデーには鋼板が使用さ
れるのが通常であった。この種の自動車ボデー用鋼板と
しては、普通鋼板、高張力鋼板のほか、亜鉛メッキ鋼板
や合金化亜鉛メッキ鋼板などの表面処理鋼板が使用され
ている。これらのうち、亜鉛メッキ鋼板や合金化亜鉛メ
ッキ鋼板などの表面処理鋼板は、耐食性が優れているこ
とから、特に耐食性が要求される部位あるいは車種など
に推奨される。
【0003】ところでこのような鋼板を用いた自動車の
ボデーの組立て製造ラインにおいては、ボデー用鋼板を
プレス加工等により所定の形状に成形して各ボデーパー
ツとした後、各ボデーパーツを組立てるとともにスポッ
ト溶接し、その後、組立てられたボデーに対して脱脂処
理を施してから、鋼板と塗膜との密着性向上および耐食
性向上を目的として、一種の化成処理であるリン酸塩処
理を施し、その後電着塗装および通常のスプレー塗装を
行なうのが一般的である。
【0004】一方、最近では自動車の燃費向上のための
車体軽量化を主目的として、アルミニウム板を自動車の
ボデーに使用することが多くなっている。この場合、自
動車のボデー全体をアルミニウム化することは未だ稀で
あり、一般には鋼板とアルミニウム板とを併用するのが
通常である。このような鋼板とアルミニウム板とを併用
して自動車ボデーの組立て製造を行なうためには、前述
の鋼板のみの場合と同じラインを用いることが要望され
ている。すなわち、成形した鋼板からなるボデーパーツ
と成形したアルミニウム板からなるボデーパーツを組立
てて、ボデーを作成した後、そのボデー全体に対して脱
脂処理を施してからリン酸塩処理を施し、その後電着塗
装やスプレー塗装が行なわれる。このようにすれば、鋼
板とアルミニウム板とを併用する場合でも新たに別の組
立て製造ラインを新設しなくて済み、しかも工程の連続
性も保たれるから、製造コスト面で有利となる。しかし
ながらこの場合はアルミニウム板に対しても鋼板と同時
にリン酸塩処理が施されることになるため、次のような
問題が生じる。
【0005】すなわち、アルミニウム板にリン酸塩処理
を施した場合、アルミニウム板表面に存在する酸化膜が
不働態膜として作用するため、アルミニウム板上に均一
かつ緻密にリン酸塩処理皮膜が生成されず、その結果塗
装後の耐食性に劣る問題がある。さらに、リン酸塩処理
中にアルミニウム板表面が溶解して、処理浴中にAlイ
オンが溶出してしまい、そのため、前述のように自動車
用ボデーとして一体化した鋼板とアルミニウム板に同時
にリン酸塩処理する際には、アルミニウム板から溶出し
たAlイオンによって鋼板表面にアルミの不働態膜が形
成され、鋼板表面へのリン酸塩処理皮膜の生成も阻害さ
れてしまい、その結果鋼板の部分についても充分な耐食
性および塗膜の充分な密着性が得られなくなってしまう
問題がある。
【0006】このような問題に対する一つの対策として
は、リン酸塩処理浴中にフッ素化合物を添加して、アル
ミニウム板表面の酸化膜を除去し、リン酸塩処理皮膜を
均一に形成する方法が、米国特許第3,619,300
号において提案されている。この方法では、処理浴中に
溶解したAlイオンをエルパソライト(K2 NaAlF
6 )として沈澱除去できるため、前述のような問題を解
決することができる。しかしながらこの提案の方法の場
合、リン酸塩処理浴の濃度管理や環境の点で問題があ
る。
【0007】また別の対策としては、既に特開昭61−
157693号において、リン酸塩処理前に予め亜鉛系
のメッキを施しておく方法が提案されている。この提案
の方法は、予めアルミニウムの表面にZnメッキ層やZ
n合金メッキ層を1g/m2 以上の付着量で形成してお
くものであり、このように亜鉛系のメッキ皮膜を予め形
成しておくことによって、後のリン酸塩処理時にアルミ
ニウム板からAlイオンが浴中へ溶出せず、そのためア
ルミニウム板と鋼板とを併用したボデーに対してリン酸
塩処理を施す場合でも鋼板に充分にリン酸塩処理皮膜を
生成することができ、しかもアルミニウム板自体の表面
にもリン酸塩処理皮膜を生成することができるとされて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般に塗装アルミニウ
ム板は、塗膜に傷やピンホールなどの欠陥が存在しなけ
れば耐食性は著しく優れているが、自動車の走行中に飛
石などで塗膜に傷が生じれば、その傷部分から素地のア
ルミニウムの腐食が進行して塗膜がふくれ、外観不良と
なる。この塗膜ふくれによる外観不良は、素地のアルミ
ニウム材料自体の耐食性のみならず、塗装下地のリン酸
塩処理皮膜の均一性、緻密性によって影響を受ける。特
に前述の特開昭61−157693号の提案のように亜
鉛系メッキ層を媒介としてリン酸塩皮膜を形成させる場
合には、ピンホールのない均一かつ緻密な亜鉛系メッキ
層を形成する必要があるが、前記提案の場合には、アル
ミニウム素地に対する亜鉛系メッキ層の密着性が低く、
ピンホールのない均一かつ緻密な亜鉛系メッキ層を確実
に形成することは困難であった。
【0009】 一方本発明者等は既に特願平2−191
444号(特開平3−207885号;特許第2,58
7,721号)において、アルミニウム素地に対する亜
鉛系メッキ皮膜の密着性が高く、ピンホールのない均一
かつ緻密な亜鉛系メッキ皮膜を形成し得る方法として、
亜鉛系メッキ処理時においてフッ化物を添加したメッキ
浴を用いる方法を提案している。具体的には、アルミニ
ウム板表面に脱脂処理を施した後、フッ化物と亜鉛の塩
とを、浴中のFイオン濃度が0.4〜80g/l、Z
2+イオンが0.1〜75g/lの範囲内となるよう
に含有するメッキ浴で電気亜鉛系メッキを施すことを特
徴とするものである。
【0010】 確かに上述のようなフッ化物添加浴を用
いた方法によれば、アルミニウム素地に対する密着性が
良好でピンホールのない均一かつ緻密な亜鉛系メッキ皮
膜を形成することができる。しかしながら本発明者等が
さらに研究を進めたところ、アルミニウム板に亜鉛系メ
ッキ皮膜を形成してからリン酸塩処理を施した場合の塗
装後の耐食性は、亜鉛系メッキ皮膜の均一さ、緻密さば
かりでなく、リン酸塩処理後の残留亜鉛量が大きな影響
を及ぼすことを新規に見出した。すなわち、アルミニウ
ム板表面の亜鉛系メッキ皮膜が均一かつ緻密に形成され
ていても、リン酸塩処理後の残留亜鉛量が適切でなけれ
ば、塗装後の耐食性が良好とはならない場合があること
が判明した。
【0011】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、アルミニウム板表面に亜鉛系メッキ皮膜を介
してリン酸塩処理が施された塗装用アルミニウム板とし
て、塗装後の耐食性が確実かつ安定して優れたアルミニ
ウム板を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等が、亜鉛系メ
ッキ皮膜を介してリン酸塩処理が施されたアルミニウム
板における塗装後の耐食性を向上させるべく、種々実験
・検討を行なった結果、リン酸塩処理後の亜鉛系メッキ
の残留付着量が塗装後の耐食性に大きな影響を与えるこ
と、そしてその残留付着量を0.1〜0.5g/m
範囲内に規制することが塗装後の耐食性を良好とするに
有効であることを見出し、この発明をなすに至った。
【0013】 具体的には、請求項1に記載の発明は、
表面に亜鉛系メッキが施されかつその亜鉛系メッキの上
からリン酸塩処理が施されたアルミニウム板において、
亜鉛系メッキの残留付着量が0.1〜0.5g/m
範囲内であることを特徴とするものである。
【0014】 またここで、亜鉛系メッキにおけるメッ
キ浴としてはフッ化物と亜鉛の塩とを、浴中のFイオ
ン濃度が0.4〜80g/l、Zn2+イオン濃度が
0.1〜75g/lの範囲内となるように含有するフッ
化浴を用いることが望ましい。
【0015】 したがって請求項2の発明は、請求項1
に記載の発明のリン酸塩処理アルミニウム板において、
亜鉛系メッキが、フッ化物と亜鉛の塩とを、浴中のF
イオン濃度が0.4〜80g/l、Zn2+イオン濃度
が0.1〜75g/lの範囲内となるように含有するフ
ッ化浴で行なわれたものであることを特徴とする。
【0016】なおこの明細書において、亜鉛系メッキと
は、純亜鉛メッキのみならず、亜鉛合金メッキ(例えば
亜鉛−ニッケル合金メッキ、亜鉛−鉄合金メッキ)を含
み、さらにこれらの組合せ(複層)の場合をも含む意味
で用いている。
【0017】
【作用】アルミニウム板表面に亜鉛系メッキを施してか
らリン酸塩処理を施す場合、緻密で均一なリン酸塩皮膜
を生成させるためには、その下地の亜鉛系メッキ皮膜に
ピンホールがないことが必要であるが、本発明者等の実
験によれば、リン酸塩処理後に残留している亜鉛系メッ
キの付着残留量が塗装後の耐食性に大きな影響を及ぼす
ことが判明した。すなわち、リン酸塩処理時には下地の
亜鉛系メッキ皮膜がエッチングされるが、ある程度は残
留する。このようなリン酸処理後の亜鉛系メッキの付着
残留量が、例えば塗装後の塗膜のふくれ幅を指標とする
塗装後の耐食性に大きな影響を与えるのであり、その実
験結果を図1に示す。
【0018】 図1の実線は、後に実施例1として改め
て説明するように、亜鉛系メッキとして電気亜鉛メッキ
を施し、かつそのメッキ浴としてフッ化物浴を用いた場
合のリン酸塩処理後の亜鉛メッキの付着残留量と腐食試
験後の塗膜のふくれ幅との関係を示す。また図1の破線
は、後に実施例2として改めて説明するように、亜鉛系
メッキとして、フッ化物を添加しない通常の亜鉛メッキ
浴を用いて電気亜鉛メッキを施した場合のリン酸塩処理
後の亜鉛メッキの付着残留量と腐食試験後の塗膜のふく
れ幅との関係を示す。図1の実線、破線のいずれの場合
も、亜鉛メッキの残留付着量と塗膜ふくれ幅との間には
明確な相関関係があることが明らかであり、特に亜鉛メ
ッキの残留付着量が0.5g/m以上では塗膜ふくれ
幅が大きくなって、塗装後の耐食性が悪化することが判
る。
【0019】このようにリン酸塩処理後の亜鉛系メッキ
の残留付着量が大きくなると塗装後の耐食性が悪化する
理由は、未だ完全には解明されていないが、塗膜の傷部
分で亜鉛系メッキが露出すれば、その露出した亜鉛系メ
ッキの溶解が速いために、その露出部分の近傍の塗膜の
ふくれが促進されるためと考えられる。もちろん亜鉛系
メッキ皮膜の厚みが厚くなれば、そのメッキ皮膜のピン
ホールが少なくなる結果、リン酸塩処理皮膜のピンホー
ルも少なくなるが、残留亜鉛による前述のような腐食促
進作用によって塗装後の耐食性が低下すると推定される
のである。また、亜鉛系メッキとしては、純亜鉛メッキ
のほか、Zn−Fe合金メッキやZn−Ni合金メッキ
などの亜鉛合金メッキも適用可能であるが、このような
亜鉛合金メッキの場合には、前述のような亜鉛の影響の
ほかに、リン酸塩処理後に残留するFeやNiなどが素
地のアルミニウムよりも貴電位となり、傷部のアルミニ
ウム素地の腐食を促進し、穴あきなどの欠陥を招く原因
となるから、これらの亜鉛合金メッキを適用する場合に
もメッキの残留付着量が少ない方が好ましい。なおま
た、上述のような塗装後の耐食性ばかりでなく、溶接性
やプレス成形時のパウダリング発生防止などの観点から
も、亜鉛系メッキの残留付着量は少ないことが好まし
い。
【0020】 ここで、塗装後の耐食性としては、塗膜
ふくれ幅にして0.5mm以下が好ましいとされている
が、図1の実線で示されるように、電気亜鉛メッキ浴に
フッ化物添加浴を用いた場合には、亜鉛メッキの残留付
着量が0.5g/m以下であれば塗膜ふくれ幅を0.
5mm以下に抑制することができる。
【0021】 一方図1から判るように、リン酸塩処理
後の亜鉛系メッキの残留付着量が極端に少なく、特に
0.1g/m未満の場合にも、塗膜ふくれ幅が大きく
なって0.5mmを越えてしまい、塗装後の耐食性が悪
化する。そこでこの発明では、リン酸塩処理後の亜鉛系
メッキの付着残留量の下限を0.1g/mと規定し
た。このように亜鉛系メッキの付着残留量が極端に少な
くなった場合に塗装後の耐食性が悪化する原因は次のよ
うに考えられる。すなわち、亜鉛系メッキの残留付着量
が少なくなれば既に述べたようにメッキ皮膜のピンホー
ルが多くなり、リン酸塩処理皮膜にもピンホールが多く
なるが、そのピンホールの増加による悪影響が、亜鉛系
メッキの残留付着量の減少による腐食抑制効果よりも大
きくあらわれ、塗装後の耐食性が悪くなるものと考えら
れる。
【0022】 以上のように、亜鉛系メッキのリン酸塩
処理後の残留付着量を0.1〜0.5g/mの範囲内
に規制することによって、塗装後の優れた耐食性が得ら
れ、塗膜のふくれの発生などを少なくすることができる
のである。
【0023】なおこの発明のリン酸塩処理アルミニウム
板の素地となるアルミニウム材料の成分組成は、リン酸
塩処理が施されて塗装の用途に使用されるものであれば
特に限定されず、純アルミニウムのほか、各種のアルミ
ニウム合金を用いることができる。特にこの発明で主な
対象としている自動車ボデーの用途の場合、Al−Mg
系合金(JIS 5000番系合金)、Al−Mg−S
i系合金(JIS 6000番系合金)が最適である。
また素地のアルミニウム板自体の製造方法は特に限定さ
れず、鋳造、加熱、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍などの通
常の製造工程を経て1〜2mm程度の板厚とすれば良い。
【0024】上述のような素板のアルミニウム板を用い
てこの発明のリン酸塩処理アルミニウム板を製造する方
法について以下に説明する。
【0025】 通常は先ず常法にしたがってアルミニウ
ム板の表面を清浄化する。具体的には、例えばアルカリ
系脱脂剤で表面油分を除去した後、酸洗によって表面酸
化膜を除去する。その後、電気亜鉛系メッキを表面に施
す。ここで、電気亜鉛系メッキにおいては、本発明者等
が特願平2−291444号(特開平3−207885
号;特許第2,587,721号)において提案してい
るように、メッキ浴としてフッ化物を添加した浴を用い
ることが望ましい。すなわち、図1の実線(フッ化物添
加亜鉛メッキ浴を用いた場合)、破線(フッ化物を添加
しない通常の亜鉛メッキ浴を用いた場合)との比較でも
判るように、フッ化物を添加したメッキ浴を用いた場合
には、添加しない場合よりも塗装後の耐食性が格段に良
好となる。その理由は、フッ化物を添加しないメッキ浴
を用いた場合には、亜鉛系メッキ皮膜自体にピンホール
が多いのに対し、フッ化物を添加したメッキ浴を用いれ
ば、亜鉛系メッキ皮膜自体のピンホールを格段に少なく
することができるからである。
【0026】 上述のようなフッ化物を添加したメッキ
浴を用いる場合の望ましい条件は、特願平2−2914
44号(特開平3−207885号;特許第2,58
7,721号)に開示されている通りであるが、具体的
には次の通りである。すなわち、純亜鉛のメッキを施す
場合は、フッ化物と亜鉛の塩とを含有するメッキ浴を用
い、亜鉛合金メッキを施す場合は、フッ化物と亜鉛の塩
のほか、ニッケルや鉄等の合金元素の塩を含有するメッ
キ浴で電気メッキを行なう。このとき、メッキ浴は、F
イオン濃度が0.4〜80g/l、Zn2+イオン濃
度が0.1〜75g/lとなるように調整することが必
要である。なおニッケルの塩を含有する場合はNi2+
イオン濃度は0.1〜70g/lとなるように、また鉄
の塩を含有する場合Fe2+イオン濃度は0.1〜70
g/lとなるように調整することが適当である。
【0027】このようなメッキ浴中にアルミニウム板を
浸漬し、そのアルミニウム板を陰極として通電すれば、
メッキ浴中のF- イオンによりアルミニウム板の表層が
溶解されつつ、Zn2+イオン、またはZn2+イオンとN
2+イオンもしくはFe2+イオンが金属として陰極であ
るアルミニウム板表面に電解析出し、亜鉛メッキ皮膜も
しくは亜鉛合金メッキ皮膜(これらを亜鉛系メッキ皮膜
と総称している)が生成される。このとき、前述のよう
にF- イオンによりアルミニウム板の表層が溶解されて
活性な面が露呈されるから、亜鉛または亜鉛とニッケル
もしくは鉄の電解析出は活性な面になされ、そのため亜
鉛系メッキ皮膜はアルミニウム板に対して高い密着性を
もって生成される。すなわち、特にジンケート処理等に
よって予め中間層を生成しておかなくても、電気メッキ
のみによって密着性の良好でピンホールの少ない亜鉛系
メッキ皮膜が形成される。
【0028】電気亜鉛系メッキにおけるメッキ浴に使用
される亜鉛の塩としては、硫酸亜鉛が好適であるが、こ
のほか塩化亜鉛、ホウフッ化亜鉛等も使用することがで
きる。もちろん2種以上の亜鉛の塩を混合しても良い。
また亜鉛−ニッケル合金メッキの場合に用いるニッケル
の塩としては硫酸ニッケルが好適であり、このほか塩化
ニッケルも使用することができ、もちろん2種以上の塩
を混合して用いても良い。さらに亜鉛−鉄合金メッキの
場合に用いる鉄の塩としては硫酸鉄等を使用することが
でき、もちろん2種以上の塩を混合して用いても良い。
一方メッキ浴に使用されるフッ化物としては、フッ化水
素(HF)、フッ化水素アンモニウム(NH4 F・H
F)が好適であるが、これに限られるものではない。さ
らにメッキ浴には、通常の電気亜鉛系メッキ浴に添加さ
れる添加剤、例えばホウ酸、硫酸ナトリウム、硫酸アル
ミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、塩化
アンモニウム、酢酸ナトリウム、グルコース、その他各
種光沢剤が含有されていても良い。
【0029】なお上述のようにフッ化物添加メッキ浴を
用いた電気メッキの際の電流密度は、一般的な電気亜鉛
メッキの場合と同程度であれば良く、特に限定されない
が、通常は5〜30A/dm2 程度とすれば良い。
【0030】なお前述のように亜鉛系メッキのメッキ浴
としては、フッ化物を添加した浴を用いることが望まし
いが、場合によってはフッ化物を添加しない通常のメッ
キ浴を用いても良い。但しその場合に、フッ化物を添加
したメッキ浴を用いた場合とほぼ同程度の耐食性を得る
ためには、前処理としてジンケート処理を施しておくこ
とが望ましい。
【0031】 電気亜鉛系メッキにおけるメッキ量は、
その後のリン酸塩処理におけるエッチング量を考慮し
て、リン酸塩処理後の残留付着量が既に述べたように
0.1〜0.5g/mとなるように定めれば良い。通
常のリン酸塩処理におけるエッチング量は0.5g/m
程度であるから、メッキ量は0.6〜1.0g/m
程度とすれば良い。
【0032】以上のように電気亜鉛系メッキを施した後
には、常法にしたがって例えばリン酸亜鉛処理等のリン
酸塩処理を施せば良い。なおリン酸塩皮膜の付着量とし
ては0.5〜7g/m2 が好ましい。
【0033】このようにして、塗装後の耐食性が優れた
この発明のリン酸塩処理アルミニウム板が得られる。
【0034】
【実施例】
実施例1 Mg4.5wt%、Mn0.2wt%、残部実質的にAlよ
りなる板厚1.0mmのアルミニウム板の表面をリン酸ソ
ーダ系溶液で脱脂した後、硫酸溶液で酸洗した。次い
で、フッ化物添加亜鉛メッキ浴として、ZnSO4・7
2 Oを250g/l、HFを10g/l、Na2 SO
4 を500g/l、それぞれ含有する溶液を用いて電気
亜鉛メッキを施した。このとき、メッキ皮膜が種々の厚
みとなるように電流密度とメッキ時間を調整した。その
後、市販のリン酸塩処理液を用いてリン酸塩処理を施し
た。
【0035】得られた各リン酸塩処理アルミニウム板に
25μm厚でカチオン電着塗装を施し、さらに仕上塗装
を施した。その塗装板の塗膜面にL方向、C方向にカッ
ターで切れ目を入れ、ASTM D2083法に準拠し
て塗膜ふくれ幅により塗膜耐食性を評価した。またリン
酸塩処理後の各板について、5%クロム酸溶液によりリ
ン酸塩皮膜を溶解除去し、亜鉛メッキの残留付着量を調
べた。塗膜ふくれ幅と亜鉛メッキの残留付着量との関係
を図1の黒丸印および実線にて示す。
【0036】実施例2 実施例1と同じアルミニウム板について、実施例1と同
様に脱脂、酸洗した。次いでフッ化物を添加しない電気
亜鉛メッキ浴として、ZnSO4 ・7H2 Oを250g
/l、Na2 SO4 を50g/l、それぞれ含有する溶
液を用いて、電気亜鉛メッキを施した。このとき、メッ
キ皮膜が種々の厚みとなるように調整した。得られた各
リン酸塩処理アルミニウム板について、実施例1と同様
に塗装後の塗膜耐食性を評価するとともに、亜鉛メッキ
の残留付着量を調べた。その結果を図1の×印および破
線にて示す。
【0037】比較例 実施例1と同じアルミニウム板を用いて、電気亜鉛メッ
キを施さずに直接リン酸塩処理を施した。リン酸塩処理
後の板について、実施例1と同様に塗装後の塗膜耐食性
を調べた。その結果を図1中の○印で示す。
【0038】 図1から明らかなように、電気亜鉛メッ
キを行なわずにリン酸塩処理を施した比較例の場合と比
べて、電気亜鉛メッキを行なってからリン酸塩処理を施
した実施例1、実施例2の場合はいずれも塗装後の耐食
性が向上しているが、特に亜鉛メッキの残留付着物量が
0.1〜0.5g/mmの場合に優れた塗装後耐食性
を示している。なおフッ化物を添加したメッキ浴を用い
た実施例1の場合には、フッ化物を添加しないメッキ浴
を用いた実施例2の場合と比べて、塗装後耐食性が優れ
ており、したがってリン酸塩処理後の残留付着量の規制
とフッ化物添加浴の使用とを組合せることによって、最
も優れた効果が得られることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】この発明のリン酸塩処理アルミニウム板
においては、リン酸塩処理皮膜の下地として形成されて
いる亜鉛系メッキのリン酸塩処理後の残留付着量を0.
1〜0.5g/mの範囲内に規制することによって、
塗装後の優れた耐食性を確実かつ安定して得ることがで
きる。さらに電気亜鉛系メッキにおけるメッキ浴として
フッ化物の塩を添加した浴を用いると同時に、前述のよ
うに亜鉛系メッキの残留付着量を規制することによっ
て、さらに優れた塗装後耐食性を得ることが可能となっ
た。
【0040】したがってこの発明のリン酸塩処理アルミ
ニウム板は、自動車ボデー等の塗装が施される用途に最
適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施例および比較例における、リン酸塩処理
後の亜鉛メッキ付着残留量と塗装後の塗膜ふくれ幅との
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 正次 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (72)発明者 小林 敏明 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 (72)発明者 野村 広正 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 林 公隆 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 平4−268078(JP,A) 特開 平4−268092(JP,A) 特開 平4−365883(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C25D 3/22,3/56,5/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に亜鉛系メッキが施されかつその亜
    鉛系メッキの上からリン酸塩処理が施されたアルミニウ
    ム板において、亜鉛系メッキの残留付着量が0.1〜
    0.5g/m の範囲内であることを特徴とする、塗装
    後の耐食性に優れたリン酸塩処理アルミニウム板。
  2. 【請求項2】 前記亜鉛系メッキ、フッ化物と亜鉛の
    塩とを、浴中のF イオン濃度が0.4〜80g/l、
    Zn 2+ イオン濃度が0.1〜75g/lの範囲内とな
    るように含有する電気メッキ浴で施されたものである請
    求項1に記載の塗装後の耐食性に優れたリン酸塩処理ア
    ルミニウム板。
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