JPH10119441A - 感熱転写シート - Google Patents

感熱転写シート

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JPH10119441A
JPH10119441A JP8280725A JP28072596A JPH10119441A JP H10119441 A JPH10119441 A JP H10119441A JP 8280725 A JP8280725 A JP 8280725A JP 28072596 A JP28072596 A JP 28072596A JP H10119441 A JPH10119441 A JP H10119441A
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JP
Japan
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group
transfer sheet
material layer
heat
hydrogen atom
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Application number
JP8280725A
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English (en)
Inventor
Takashi Morishima
高志 森嶋
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 熱転写記録方式に用いられる感熱転写シート
において、濃い黒色であるとともに、無彩色に近く耐光
性にも優れた黒の感熱転写シートを得る。 【解決手段】 薄葉状基材に色材層を設けた感熱転写シ
ートを加熱して色材層中の色素を被記録体に転写して記
録を得る感熱転写記録方式に使用される感熱転写シート
において、色材層中に色相の異なる複数のジスアゾ系色
素(特に下記一般式(1)及び下記一般式(2)で表わ
される色素)が含有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる熱転写記
録方式によるカラーハードコピーに使用される感熱転写
シートに関する。特に昇華転写記録方式に使用される感
熱転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ画像等の電気信号によるカ
ラー画像をカラーハードコピーに変換するための技術が
進歩してきており、例えば、電子写真、インクジェッ
ト、感熱転写等の方式が検討されている。これらの中で
も、特に感熱転写方式は装置の保守や操作の容易なこ
と、装置の小型化の可能なこと等の利点がある。感熱転
写方式には、基材上の色材層を加熱によって溶融させ、
それを被記録材に転写する溶融転写方式と、色材層中の
色素のみを被記録材に移行させるいわゆる昇華転写方式
とが知られている。昇華転写方式は、移行する色素の量
を加熱の程度で制御することができることから、濃度階
調性の有る表現が可能であり、フルカラープリントをは
じめ、精細な画像を得ることに適している。
【0003】通常のカラープリントは、イエロー、マゼ
ンタ、シアンの3色を持って表現され、昇華転写方式に
用いられる感熱転写シートもイエロー、マゼンタ、シア
ンの3色の色材層を基材上に面順次に保有するものが多
い。一方で、黒をより良く表現するために、黒色専用の
色材層を加えた4色の色材層を保有する感熱転写シート
や、あるいは、例えばレントゲンの様な、モノクロ画像
を再現し複製するための黒色の色材層のみを有する黒色
専用の感熱転写シートの需要もある。これら黒色用の色
材層中の色素は、通常イエロー、マゼンター、シアンの
各色相の色素が混合されており、例えば、特開昭61−
148096号公報、特開平1−136787、特開平
3−7387号公報を挙げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】良い黒の感熱転写シー
トであるためには、濃い黒が表現できること、無彩色に
近いこと、耐候性が良いこと、保存性が優れていること
等の要求性能があるがその全てを満足することはきわめ
て困難である。濃い黒が表現できるためには、転写濃度
の高い色素の組合せを用いる必要がある。転写感度の低
い組合せでは、もとより高濃度の黒は期待できないが、
配合される色素のいずれかが、転写感度が低く高濃色が
出せない場合も、他の配合色素の色質が強く表れること
になるため無彩色の濃い黒を得る事ができない。
【0005】また黒が表現できるためには、色素の配合
を十分に考慮し、配合された結果の色材層を被転写材に
転写した際の色調が特定の色に偏らない無彩色に近くな
るようにする必要がある。無彩色とされるためには、C
IELAB表色系でa* 値、b* 値を測定したときのa
* =0、b* =0からの△Ec値(a* ×a* +b* ×
* の平方根)が小さいことが必要であり、かなり厳し
い選択組合せが必要であり容易に達成することができな
い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討の結果、薄様状基材に色材層を
設けた感熱転写シートを加熱して色素を被記録体に転写
して記録を得る感熱転写記録方式に使用される感熱転写
シートにおいて、色相の異なる複数のジスアゾ系色素が
含有されている感熱転写シートを用いて記録を行うこと
によって、高い黒濃度で無彩色に近い記録が得られ、か
つ高い耐光性を示す黒色の記録を達成することが出来る
ことを見い出し、本発明に到達した。さらに好ましく
は、色材層中に、少なくとも下記一般式(1)で表され
るジスアゾ系色素と下記一般式(2)で示されるジスア
ゾ系色素とを含有する感熱転写シートを用いることで上
記の課題を達成するものである。
【0007】
【化3】
【0008】(式中、X1 、X2 、X3 及びX4 は各々
独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、
ニトロ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、アル
コキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アルキルで置換されていても良
いスルファモイル基、またはハロゲン原子を表し、
1、Y2 、Y3 、Y4 、Y5 及びY6 は各々独立に水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子また
は水酸基を表わすか、Y1 及びY2 、並びに、Y4 及び
5 が互いに連結して芳香環を形成していてもよい。)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1 、R2 は水素原子、フッ素で
置換されていても良いアルキル基、アルコキシ基、ニト
ロ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキ
シカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アル
キルスルホニル基、アルキルで置換されていても良いス
ルファモイル基、またはハロゲン原子を表し、R3 は水
素原子、アルキル基を表し、R4 はシアノ基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、アルキルで置換されてい
ても良いアミノカルボニル基を表し、R5 、R6 は水素
原子、置換されていても良いアルキル基、置換されてい
ても良いアリール基、置換されていても良いアルケニル
基を表し、R7 は水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル
基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニ
ル基、アルキルで置換されていても良いスルファモイル
基、またはハロゲン原子を表す。)
【0011】尚、一般式(1)で表されるジスアゾ系色
素は橙色系色素であり、一般式(2)で示されるジスア
ゾ系色素は青色系色素であり、色相が異なる。以下発明
を詳細に説明する。本発明の感熱転写シートは、基本的
に薄葉状基材と、その片面に設けられた色材層と、その
反対面に設けられた耐熱層とからなる。ここで用いられ
る薄葉状基材としては、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリアミドフィルム、ポリアラミドフィルム、
ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ
フェニレンサルファイドフィルム、ポリスルホンフィル
ム、セロファン、トリアセテートフィルム、ポリプロピ
レンフィルムなどが挙げられるが、中でもポリエチレン
テレフタレートフィルムは、機械的強度、寸法安定性、
耐熱性、価格などの面から好ましく、特に2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルムが好ましい。これらの
薄葉状基材の厚さは通常1〜30μm、好ましくは2〜
10μmである。
【0012】薄葉状基材は、薄い方が色材層の反対面か
ら熱をかける転写方法を用いる場合に、熱的に効率が良
いが、一方機械強度的に弱くなると生産上の問題を生じ
やすいので、一般的には4〜6μm程度のものが使用さ
れている。薄葉状基材には、色材層や耐熱層との接着性
を向上させるために、ベースフィルムの表面にコロナ処
理を行ったり、あるいはポリエステル系樹脂、セルロー
ス系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などによるアンカーコー
トを設けても良い。
【0013】色材層は、主に色素とバインダー樹脂を含
んでいる。色素とは特定の可視光を吸収する能力を持つ
有機化合物のことであり、その吸収される光のエネルギ
ーに相当するエネルギー準位差を分子内に有しているこ
とが知られている。すなわち、有機分子内には、特定の
エネルギーを有する不連続なエネルギー準位が存在し、
その準位間に相当するエネルギーのみを吸収することが
できる。エネルギーの吸収は、分子内の電子がエネルギ
ーを吸収し、低エネルギーの準位から高エネルギー準位
へ移動することによって達成されると説明されている。
短波長の光の方がエネルギーは大きいから、短波長を吸
収する色素の方が該当するエネルギー準位の差が広く、
長波長の光を吸収する色素の方は準位差が小さいと説明
される。
【0014】本発明の色材層では、ジスアゾ系色素を主
体に用いるが、これは次のような理由による。ジスアゾ
系色素は通常のモノアゾ系色素に較べて、アゾ結合が一
つ多い分だけ分子内の共役系が伸びていて、分子内にあ
るエネルギー順位の組み合わせが多数可能であるため、
モノアゾ系色素に較べ、より多くの波長の光を吸収する
ことができる。そのため、ジスアゾ系の色素はモノアゾ
系の色素に較べ、可視光の吸収波長が幅広であったり、
副吸収と呼ばれる余分な吸収が存在するという特徴が有
る。
【0015】この特徴は、印刷の3原色の様な単色の鮮
明な色を得るためには適していない。なぜなら、できる
だけ吸収波長の狭い方が鮮明な色が得られるからであ
る。一方、3原色用に開発された色素を用いた従来の墨
用の色素の組み合わせは、往々にして、イエロー、マゼ
ンタ、シアンの3原色の色調を有する3種類かそれ以上
の色素の組み合わせが用いられていた。これは従来の熱
転写用の色素の開発が、より鮮明な3原色用の色素の開
発が主体であったためである。そのため、黒を得るため
には、使用する色素の数が多いことによる煩雑性、使用
する色素が鮮明であるが為に、少量の配合量の変動で色
目が変化するといった欠点が有った。
【0016】本発明者らは、より良い黒を得るための色
素の基本的特徴を考える中から、ジスアゾ系色素が、そ
の光吸収がモノアゾ系色素に較べ、基本的に吸収波長が
広く、副吸収が存在しやすいため、かえって黒用の色素
としては、高濃度が期待でき、中庸の黒が得られるなど
優位で有ることに思い至り本発明を完成させるに到っ
た。これに類似した考え方は、特解平5−201147
号公報に開示されており、また、ジスアゾ系色素の使用
も開示されているが、色調の異なる複数のジスアゾ系の
色素の配合については知られていない。
【0017】本発明の色材層には、色調の異なる複数の
ジスアゾ系色素を含有させる。その色調は、一方が橙色
または茶色であり、一方が青色であることが好ましい。
橙色と青色は補色の関係に近く、この両者を混同すると
黒が得られやすいからである。補色の関係にあればいず
れの組み合わせでも良いが、可視吸収体の内の、黄色か
ら赤色部分を吸収する橙色と、赤色から緑色部分を吸収
する青色の組み合わせが最も効率的である。本発明で用
いるジスアゾ系色素は特に制限はないが、好ましくは、
色材層中に、少なくとも一般式(1)で表されるジスア
ゾ系色素と一般式(2)で示されるジスアゾ系色素が含
有するされていることが好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】前記一般式(1)において、X1 、X2
3 及びX4 は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アシルア
ミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニ
ルアミノ基、アルキルスルホニル基、アルキルで置換さ
れていても良いスルファモイル基、またはハロゲン原子
を表し、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 、Y5 及びY6 は水素
原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または
水酸基を表わすか、Y1 及びY2 、並びに、Y4及びに
5 が互いに連結して芳香環を形成していてもよい。
【0021】なかでも、X1 、X2 、X3 及びX4 が、
水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸
基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、低級アシルアミノ
基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシカル
ボニルアミノ基、メチルスルホニル基、エチルスルホニ
ル基、ジメチルスルファモイル基、弗素原子、塩素原子
または臭素原子を表すことが好ましく、Y1 、Y2 、Y
3 、Y4 、Y5 及びY6は水素原子、低級アルキル基、
低級アルコキシ基、弗素原子、塩素原子又は臭素原子ま
たは水酸基を表わすか、Y1 及びY2 、並びに、Y4
びY5 が互いに連結して芳香環を形成していることが好
ましい。
【0022】さらに、X1 、X2 、X3 及びX4 が、水
素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ
基、水酸基、ニトロ基、アセチルアミノ基、メトキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニ
ルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、塩素原子を
表すことが特に好ましく、Y1 、Y2 、Y3 、Y4 、Y
5 及びY6 が、水素原子、メチル基、エチル基、メトキ
シ基、エトキシ基、塩素原子又は水酸基を表すか、Y1
及びY2 、並びに、Y4 及びY5 が互いに連結して芳香
環を形成していることが特に好ましい。
【0023】前記一般式(2)において、R1 、R2
水素原子、フッ素で置換されていても良いアルキル基、
アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、アシル
アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルスルホニル基、アルキルで置換
されていても良いスルファモイル基、またはハロゲン原
子を表し、R3 は水素原子、アルキル基を表し、R4
シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキ
ルで置換されていても良いアミノカルボニル基を表し、
5 、R6 は水素原子、置換されていても良いアルキル
基、置換されていても良いアリル基、または置換されて
いても良いアルケニル基を表し、R7 は水素原子、アル
キル基、アルコキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ア
ルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ
基、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルで置換され
ていても良いスルファモイル基、またはハロゲン原子を
表す。
【0024】好ましくは、R1 、R2 は水素原子、低級
アルキル基、トリフルオロメチル基、低級アルコキシ
基、ニトロ基、シアノ基、低級アシル基、低級アシルア
ミノ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルコキシ
カルボニルアミノ基、低級アルキルスルホニル基、低級
アルキルで置換されていても良いスルファモイル基、ま
たはハロゲン原子を表し、R3 は水素原子、低級アルキ
ル基を表し、R4 はシアノ基、アセチル基、低級アルコ
キシカルボニル基を表し、R5 、R6 は水素原子、低級
アルキル基、低級アルケニル基、アラルキル基、アリー
ル基、ハロゲノ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキ
ル基、シアノ低級アルキル基、テトラヒドロフルフリル
基、低級アルコキシ低級アルキル基、アラルキルオキシ
低級アルキル基、アリールオキシ低級アルキル基、アル
ケニルオキシ低級アルキル基、テトラヒドロフルフリル
オキシ低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル低級
アルキル基、低級アルキルカルボニルオキシ低級アルキ
ル基、アリールカルボニルオキシ低級アルキル基、低級
アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基、低級アル
コキシエトキシ低級アルキル基、または低級アルコキシ
エトキシカルボニル低級アルキル基を表し、R7 は水素
原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、低級アシルア
ミノ基、低級アルコキシカルボニルアミノ基、低級アル
キルスルホニルアミノ基、または塩素原子を表す。
【0025】さらに好ましくは、R1 、R2 は水素原
子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基、シアノ基、また
はフッ素原子、塩素原子、臭素原子を表し、R3 は水素
原子、メチル基を表し、R4 はシアノ基を表し、R5
6 は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、
アラルキル基、アリール基、ハロゲノ低級アルキル基、
ヒドロキシ低級アルキル基、シアノ低級アルキル基、低
級アルコキシ低級アルキル基、アラルキルオキシ低級ア
ルキル基、アリールオキシ低級アルキル基、低級アルケ
ニルオキシ低級アルキル基、テトラヒドロフルフリルオ
キシ低級アルキル基、低級アルキルカルボニルオキシ低
級アルキル基、アリールカルボニルオキシ低級アルキル
基、低級アルコキシカルボニル低級アルキル基、低級ア
ルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基、または低級
アルコキシエトキシ低級アルキル基を表し、R7 は水素
原子、メチル基、メトキシ基、低級アシルアミノ基、低
級アルコキシカルボニルアミノ基、または塩素原子を表
す。なお、一般式(1)及び(2)で示される色素の置
換基における低級とは、炭素数1〜8を意味する。アリ
ール基、アラルキル基としては、炭素数10以下のもの
が用いるのが一般的である。
【0026】本発明の一般式(1)で示されるジスアゾ
系色素は、既に特開昭60−180889号公報によっ
て公知であり、その本文中に昇華速度の揃ったブルー色
色素と配合することによって黒色を得るのに適している
との記述が有る。また、一般式(2)で示されるジスア
ゾ系色素は、既に特開昭62−87393号公報、特開
平3−205188号公報等によって公知であるが、こ
の両者を同時に用いることは知られていない。本発明
は、これらの単独での特性を生かしつつ、配合によって
良好な結果が得られることを見いだしたものであり、色
調の異なるジスアゾ系色素の2種の配合のみでも、良好
な黒が得られることを開示するものである。
【0027】本発明の色材層にはこのほか、必要に応じ
て、ニトロチアゾールアゾ系色素(特開昭62−336
88公報)、インドアニリン系色素(特開昭61−31
292号公報、特開昭61−35994号公報)、ジシ
アノイミダゾールアゾ系色素(特開昭61−22709
1号公報)などを添加することができる。本発明の黒色
の感熱転写シートは、種々の考えられる色素の組合せの
中から選ばれたものであり、前記一般式(1)で表され
るジスアゾ系色素と前記一般式(2)で表されるジスア
ゾ系色素を添加した色材層を薄葉状基体上に設けること
で好適に得ることができる。また、一般式(1)で表さ
れるジスアゾ系色素は2種以上配合して用いてもよく一
般式(2)で表わされるジスアゾ系色素も2種以上配合
して用いてもよい。
【0028】色素の配合には、それぞれの単独での転写
感度を考慮し、さらに得られる黒の記録の色相が安定し
たものになるように配合することが必要である。そのた
め、各色素の配合比率は、一般式(1)で表されるジス
アゾ系色素と一般式(2)で表されるジスアゾ系色素が
重量比で1対0.5〜2の範囲で使用されることが好ま
しく、より好ましくは、1対0.6〜1.4の範囲であ
る。また、色材層中の全色素100重量%中に、一般式
(1)で表されるジスアゾ系色素が25〜65重量%、
一般式(2)で表されるジスアゾ系色素が25〜65重
量%の比率で含有されることが適当である。より好まし
くは、色材層中の全色素100重量%中に、一般式
(1)で表されるジスアゾ系色素が30〜60重量%、
一般式(2)で表されるジスアゾ系色素が30〜60重
量%の比率で含有されることが適当である。さらに好ま
しくは、色材層中の全色素100重量%中に、一般式
(1)で表されるジスアゾ系色素が35〜55重量%、
一般式(2)で表されるジスアゾ系色素が35〜55重
量%の比率で含有されることが望ましい。
【0029】この際、一般式(1)で表されるジスアゾ
系色素と一般式(2)で表されるジスアゾ系色素の合計
が65重量%であることが必要である。好ましくは80
%以上である。この様な配合比率で配合された色素を用
いて作られた感熱転写シートを用いて得られる黒は、特
定の色に偏らない無彩色に近くなり、CIELAB表色
系でa * 値、b* 値を測定したときのa* =0、b*
0からの△Ec値((a* ×a * +b* ×b* )の平方
根)が10以下、好ましくは7以下となる。また、その
耐光性は極めて良好であり、通常の室内では、ほとんど
変色、退色が無く、またキセノンフェドメーターを用い
ての促進試験においても、40時間の試験でその変化し
たCIELAB色差(△E* ab)は、12以下、好まし
くは8以下になる。
【0030】本発明の色材層に含まれるバインダー樹脂
としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアリ
レート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリロニトリルースチレン樹脂およびアセチルセ
ルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどの
ようなセルロース系樹脂が例として挙げられる。感熱転
写シートの保存性を考慮して、ガラス転移点が50℃以
上、できれば60℃以上であることが好ましい。また、
基材上にインクとして塗工することを考慮し、溶剤に対
する溶解度が高い樹脂が好ましい。
【0031】バインダー樹脂中の色素の比率が高い方が
一般に転写感度や最高到達濃度が高く、色素の比率が低
いと感度、到達濃度が低くなる。従って、色素の比率が
高い方が有利である。しかし、色素の比率が極端に高く
なってくると、高温下、高湿度下、時には室温下でも色
素がバインダー中から析出してくることになり、転写画
像に悪影響をもたらす。色素は均一には析出してこない
から、転写画像に転写のむらを生じる。従って、転写シ
ートの転写感度と転写の均一性のかねあいから、バイン
ダーと色素の混合比は、重量比で、1:2〜1:0.5
の範囲が適当であり、より好ましくは、1:1.5〜
1:0.6の範囲であり、さらに好ましくは1:1.3
〜1:0.6の範囲である。
【0032】色素のバインダーからの析出を避けるため
に、最初から色素をバインダーに分散させて色材層を形
成する事が考えられるが、色素の溶解に熱エネルギーが
必要なので、低エネルギーでの転写濃度が低く、その点
で色素が溶解した色材層の方が好ましい。また、前述し
た問題は、バインダーに対する溶解度の低い色素で問題
となりやすいことから、バインダーに対する溶解性の高
い色素を用いることが有利である。バインダーに対する
溶解性は、一般に溶剤に対する溶解性と相関があるの
で、インクに用いる溶剤に対する色素の溶解性が目安と
なる。本発明においては、メチルエチルケトン、トルエ
ン等の溶剤に対し2%以上、好ましくは4%以上の溶解
度を持つことが好ましい。
【0033】薄葉状基材への色材層の形成は通常の方法
でよい。例えば、色素と耐熱性の良好なバインダー樹脂
を、適当な溶媒に溶解あるいは分散させてインキを調製
し、このインキをベースフィルムに塗布し、乾燥すれば
良い。この場合のインクに使用される溶剤としては、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど
のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステ
ル系溶剤;イソプロパノール、ブタノール、メチルセロ
ソルブなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミ
ド、Nーメチルピロリドンなどのアミド系溶剤などを挙
げることができる。
【0034】上記のインキの中には色素、バインダー樹
脂、溶剤の他に、必要に応じて有機または無機の非昇華
性粒子、分散剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、消
泡剤、酸化防止剤、粘度調節剤などの添加剤を添加する
ことが出来る。また、レーザー光を用いる昇華転写方式
に用いるために赤外線吸収剤やカーボンブラックを添加
することもできる。
【0035】これらのインキを塗布して色材層を設ける
方法に特に制限はないが、例えば、グラビアコーター、
リバースロールコーター等を用いることができ、例え
ば、「印刷インキハンドブック」(印刷インキ工業連合
会編集・発行、1978年)に記載の方法を参考にする
ことができる。塗布膜厚は乾燥膜厚で0.1〜5μmが
適当であり、より好ましくは、0.5〜2μmである。
薄すぎると十分な転写濃度を得られないし、厚すぎる
と、熱伝導的に不利になって、感度が低くなる。また、
必要以上に色材層を厚く塗ることはコスト的にも不利で
ある。
【0036】感熱転写シートの色材層とは反対の面に必
要に応じて耐熱層を設けても良い。耐熱層としては特に
制限は無いが、例えば紫外線硬化樹脂等の硬化樹脂を用
いたものやTgの高い熱可塑性樹脂を用いたものが知ら
れている。耐熱層は、サーマルヘッドの熱に対する耐熱
性の他に、サーマルヘッドに対する滑り性が必要とされ
ることから、シリコーンオイルの様な滑剤が添加されて
いることが一般的である。真球状の耐熱性粒子を添加す
ると、サーマルヘッドの対する滑り性確保と、サーマル
ヘッドと耐熱層との融着防止に効果があり、有効であ
る。
【0037】感熱転写記録を行うには、感熱転写シート
の色材層と、基材の片面に受像層を設けた被記録材の受
像面とを向かい合うように重ね合わせ、感熱転写シート
の色材層とは反対側からライン型サーマルヘッド等の熱
源を用いて、画像信号に応じた熱を加え、色材層中の色
素を受像層に移行させるのが一般的である。その際、加
えられる熱量に応じて、移行する色素量が調整できるこ
とから、濃淡の表現が可能であり、精細な画像を得るこ
とが可能である。イエロー、マゼンタ、シアンの三色、
または、黒を加えた4色について同様の操作を繰り返す
ことで、写真調の画像を得ることができる。
【0038】色素を移行させるための熱源としては、ラ
イン型サーマルヘッドが一般的であるが、レーザー光線
を使用することもできる。その際には、レーザー光を熱
に変換するための、光熱変換材を使用する必要があり、
赤外線吸収剤やカーボンブラックを感熱転写シートの色
材層中あるいは、色材層とは反対面に添加させることが
知られている。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本実施例は本発明を何等限定するものではない。
なお、特に明記しない限り、%、部数は重量換算であ
る。 (実施例1) (a)感熱転写シートの作製 下記構造式で表わされる色素1−1 40部、下記構造
式で表わされる色素2−1 40部、フェノキシ樹脂
(商品名PKHJ、ユニオンカーバイド社製)120部
とテトラヒドロフラン400部、トルエン200部を混
合撹拌して得られたインクを6μmのポリエステルフィ
ルムにバーコーターを用いて乾燥膜厚が1μmになるよ
うに塗工乾燥した。
【0040】
【化7】
【0041】その背面にアクリル樹脂(商品名BR−8
0、三菱レイヨン株式会社製)10重量部、アミノ変性
シリコーンオイル(商品名KF393、信越化学株式会
社製)1重量部、トルエン89重量部を混合溶解した液
をバーコーターを用いて乾燥膜厚が1μmになるように
塗工乾燥し、耐熱層を設けた。
【0042】(b)受像体の作製 ポリビニルフェニルアセタール樹脂70部、塩化ビニル
/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂(商品名エ
スレックA、積水化学株式会社製)30部、シリコーン
ワニス(商品名TSR−160、固形分濃度60%、東
芝シリコーン株式会社製)30部、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート系多官能イソシアネート化合物(商品名マ
イテックNY−710A、固形分濃度75%、三菱化成
株式会社製)15部、アミノ変性シリコーンオイル(商
品名KF393、信越化学工業株式会社製)2.5部、
メチルエチルケトン600部、トルエン600部からな
る液を合成紙(商品名ユポFPG150、王子油化合成
紙株式会社製)にワイヤーバーで塗布、乾燥し(乾燥膜
厚約5μm)、さらにオーブン中で80℃で2時間熱処
理することにより受像体を作製した。
【0043】上記ポリビニルフェニルアセタール樹脂は
ポリビニルアルコール(鹸化度99モル%、重合度17
00)をフェニルアセトアルデヒドでアセタール化する
ことにより得たものであり、下記構造式(3)で表わさ
れる。
【0044】
【化8】
【0045】(c)印字記録 上記(a)の様にして作製された感熱転写シートの色材
層面と、上記(b)の様にして作成された受像体の樹脂
塗布面を重ね、5.6ドット/mmの発熱抵抗体密度を
有する部分グレース型ラインサーマルヘッドを使用し
て、送り方向に6ライン(ドット)/mmで、16ms
/ラインの速度で、印可電力0.20W/ドットで印字
を行った。1ライン当たりのヘッドに印可する時間を1
4msにすることで濃色の印字を得た。
【0046】(d)濃度、色度の測定 上記(c)の様にして印字された印字物の濃度を反射濃
度計(商品名マクベスRD−927型、マクベス社製)
で、フィルターをオルソマッチクで測定した。その結
果、濃度1.70を得ることができた。さらにCIEL
AB色度をJIS Z−8722に準拠する光学系を有
する色差計(商品名:分光色差計SZ−Σ80、日本電
色工業株式会社製)を用いて、C光源、視野角2度で測
定した。その結果、a* =4.5、b* =−0.9であ
り、a* =0、b* =0からの色質の差は、4.6であ
り、無彩色に近かった。
【0047】(e)耐光性試験 上記(c)の様にして印字された印字物を、キセノンラ
ンプを用いた耐光性試験機(商品名キセノンフェードメ
ーターFAL−25AX、スガ試験機株式会社製)を用
いて、40時間耐光性試験を行い。試験前の印字物と試
験後のそれとを、(d)で用いたのと同じ色差計で、同
条件で測定した。そのCIELAB色差は、6.0と小
さかった。
【0048】(実施例2〜6)実施例1で使用した色素
の配合の代わりに、下記の表1に示した色素の配合とし
た他は、実施例1と同様に試験を行い、その結果を表3
に示した。いずれも、高濃度で中庸に近い黒が得られ、
かつ耐光性は良好であった。
【0049】
【表1】
【0050】なお、実施例2〜6で用いた色素1−2〜
1−5、及び色素2−2〜2−5は各々下記構造式で表
わされる色素である。
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】(比較例1〜2)実施例1で使用した色素
の配合の代わりに、下記の表2に示した色素の配合とし
た他は、実施例1と同様に試験を行い、その結果を表3
に示した。比較例1及び比較例2ともに中庸の黒は得る
ことは困難であった。比較例1及び2の色素の組み合わ
せについては配合の割合を変えて、なるべく中庸になる
様に検討した結果の代表値であり、これら二者による配
合だけでは中庸の黒を得ることは困難だった。尚、色素
3は黄色系色素であり、色素4は青色色系色素であり、
いずれもモノアゾ系の色素であり、下記構造式で表わさ
れる色素である。
【0054】
【表2】
【0055】
【化11】
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本発明の感熱転写シートを用いれば、濃
い黒が表現でき、その色は無彩色に近く、かつ、耐光性
に優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄葉状基材に色材層を設けた感熱転写シ
    ートを加熱して色材層中の色素を被記録体に転写して記
    録を得る感熱転写記録方式に使用される感熱転写シート
    において、色材層中に色相の異なる複数のジスアゾ系色
    素が含有されていることを特徴とする感熱転写シート。
  2. 【請求項2】 色材層中に、少なくとも下記一般式
    (1)で表されるジスアゾ系色素と、下記一般式(2)
    で表されるジスアゾ系色素とを含有することを特徴とす
    る請求項1に記載の感熱転写シート。 【化1】 (式中、X1 、X2 、X3 及びX4 は各々独立に水素原
    子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、シ
    アノ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボ
    ニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスル
    ホニル基、アルキルで置換されていても良いスルファモ
    イル基、またはハロゲン原子を表し、Y1、Y2
    3 、Y4 、Y5 及びY6 は各々独立に水素原子、アル
    キル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または水酸基を表
    わすか、Y1 及びY2 、並びに、Y4 及びY5 が互いに
    連結して芳香環を形成していてもよい。) 【化2】 (式中、R1 、R2 は水素原子、フッ素で置換されてい
    ても良いアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ
    基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル
    基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニ
    ル基、アルキルで置換されていても良いスルファモイル
    基、またはハロゲン原子を表し、R3 は水素原子、アル
    キル基を表し、R4 はシアノ基、アシル基、アルコキシ
    カルボニル基、アルキルで置換されていても良いアミノ
    カルボニル基を表し、R5 、R6 は水素原子、置換され
    ていても良いアルキル基、置換されていても良いアリー
    ル基、置換されていても良いアルケニル基を表し、R7
    は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ア
    シルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカ
    ルボニルアミノ基、アルキルスルホニル基、アルキルで
    置換されていても良いスルファモイル基、またはハロゲ
    ン原子を表す。)
  3. 【請求項3】 請求項1〜3に記載の感熱転写シートが
    黒色の色材層として用いられることを特徴とする感熱転
    写シート。
  4. 【請求項4】 色材層に、一般式(1)で表されるジス
    アゾ系色素と一般式(2)で表されるジスアゾ系色素
    が、重量比で1対0.5〜2の割合で含有されることを
    特徴とする請求項1〜4に記載の感熱転写シート。
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