JPH10102791A - コンクリート構造物の表面補強工法 - Google Patents

コンクリート構造物の表面補強工法

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JPH10102791A
JPH10102791A JP28025296A JP28025296A JPH10102791A JP H10102791 A JPH10102791 A JP H10102791A JP 28025296 A JP28025296 A JP 28025296A JP 28025296 A JP28025296 A JP 28025296A JP H10102791 A JPH10102791 A JP H10102791A
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芳朗 服部
Masanori Nakano
正憲 中野
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Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd
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Kurashiki Textile Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コンクリート構造物に高度な耐震効果を与え得
る表面補強工法を提供する。 【解決手段】耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
2)の複数本を、平行状態又は交叉状態に複合一体化し
て成るネツト構造体(N)を、カーボン繊維シート又は
アラミド繊維シートがエポキシ系樹脂接着剤を介して、
予じめコンクリート躯体(C)に接着されたベース層
(B)の表面へ、上記接着剤と同一又は別異の接着剤
(13)によって張り付け一体化し、その後上記ネツト
構造体(N)を下地として、その表面へ被覆モルタル層
(M)を一定厚み(t3)だけ塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高架道路や鉄道の橋
脚を初め、建物、煙突、タンクなどの各種コンクリート
構造物に高度な耐震効果を付与するための表面補強工法
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種コンクリート構造物の表面補強工
法としては、RCの厚付け工法や鋼板の捲き立て工法、
カーボン繊維又はアラミド繊維の捲き立て工法などが公
知である。
【0003】そのうち、特にカーボン繊維とアラミド繊
維は耐蝕性や耐火性に優れ、高強度と高弾性を有する素
材であるため、建設機械を使用できない個所を初め、塩
害の著しい地区、水中構造物や地下鉄などの鋼材が腐蝕
しやすい個所に主として多用されており、その施工に当
っては上記素材のシートをエポキシ系樹脂接着剤を介し
て、各種コンクリート構造物に接着一体化した上、その
ベース層の表面に被覆モルタル層を直接塗布しているの
が通例である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記工法で
はベース層の表面が平滑に固化しているため、これに被
覆モルタル層を直接厚付けすることが困難であり、火災
や焚火などからの防護効果に劣る。
【0005】しかも、コンクリート構造物に対する車両
の衝突や地震などにより、外部から強力な振動や衝撃を
受けた場合、その高弾性を有する繊維素材のシートとエ
ポキシ系樹脂接着剤とから成るベース層が容易に破断し
てしまって、もはや耐震効果を発揮できなくなる。
【0006】更に、ベース層のエポキシ系樹脂接着剤と
これに塗布された被覆モルタル層は、太陽熱などの温度
応力による線膨張係数が相違するために、その接着界面
での層間剥離を生じやすく、被覆モルタル層の脱落事故
を招く危険性もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
の改良を企図しており、そのためにコンクリート構造物
の表面補強工法として、耐アルカリ性の短繊維不織布シ
ートに対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸の複
数本を、平行状態又は交叉状態に複合一体化して成るネ
ツト構造体を、カーボン繊維シート又はアラミド繊維シ
ートがエポキシ系樹脂接着剤を介して、予じめコンクリ
ート躯体に接着されたベース層の表面へ、上記接着剤と
同一又は別異の接着剤によって張り付け一体化し、その
後上記ネツト構造体を下地として、その表面へ被覆モル
タル層を一定厚みだけ塗布することを特徴とするもので
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の詳細
を説明すると、先ず図1〜3は本発明の表面補強工法に
用いる特殊なネツト構造体(N)の2種と、その部分的
な拡大断面形状を示しており、これは何れも耐アルカリ
性の短繊維不織布シート(11)に対して、合成樹脂に
より被覆された長繊維糸(12)の複数本を、平行状態
又は交叉状態に複合一体化したものである。
【0009】しかも、そのネツト構造体(N)の全体的
な厚み(T)が約0.5〜5.0mmに寸法化されてい
る。その0.5mm未満では薄きに過ぎて、後述するベ
ース層や被覆モルタル層との接着効果に劣ることとな
り、逆に5.0mmを越えると、そのベース層と被覆モ
ルタル層との連続性を阻害して、界面破壊を生じる原因
になるからである。又、上記ネツト構造体(N)の破裂
強度は約60kgf以上(JIS−L1018−6−1
7−2のB法に準じた方法による測定値)として、大型
コンクリート構造物の表面補強にも充分役立つように設
定されている。
【0010】上記短繊維不織布シート(11)を形作る
短繊維としては、ポリオレフインやビニロン、ポリプロ
ピレン、アクリル、その他の各種耐アルカリ性繊維を広
く採用できるが、その短繊維の繊度を約5de〜150
deとし、これを目付約5g/m2 〜150g/m2
不織布シートに仕上げ使用することが望ましい。
【0011】その繊度が5de未満の場合には、製造上
のコストアツプを招くばかりでなく、施工時に繊維が寝
てしまいやすく、ベース層と被覆モルタル層との所謂カ
スガイとして、その面外方向に沿う接着強度を発揮させ
難いからであり、逆に150deを越えると、短繊維の
剛性が高くなり過ぎて、均一に交絡した不織布シートを
得られず、施工状態でのディファレンシャル・ムーブメ
ントに伴なう剥離応力を効果的に緩和させ難くなるから
である。
【0012】又、上記不織布シート(11)の目付が5
g/m2 未満では、ネツト構造体(N)の面積中に占め
る短繊維の量が過少となり、コンクリート構造物の表面
補強効果が低下する一方、150g/m2 を越えると、
そのベース層に対する被覆モルタル層の浸透を遮断し
て、ベース層と被覆モルタル層との連続性が阻害され、
層間剥離を生じやすくなる。
【0013】更に、上記短繊維不織布シート(11)と
複合される長繊維糸(12)としては、約10g/de
以上の引張強度と約1000de〜3000deの総繊
度を有する耐アルカリ性の高強力ビニロン、パラ型アラ
ミドなどの有機系長繊維糸や、カーボンなどの無機系長
繊維糸を用い、これをアクリル酸エステル樹脂や酢酸ビ
ニール樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、その他
の耐アルカリ性の合成樹脂で被覆して使うことにより、
その繊維の集束部分や交叉部分又は単繊維中における水
分の蓄積を防止するのである。
【0014】しかも、上記長繊維糸(12)の複数本を
図1、2のように、1軸方向に沿う平行状態又は数軸方
向での交叉状態に配列して用いるのである。その隣り合
う配列間隔としては約5〜60mmに寸法化することが
好ましい。その5mm未満では被覆モルタル層の浸透不
良を起すおそれがあり、逆に60mmを越えると、コン
クリート構造物の表面補強効果が不足することになるか
らである。
【0015】又、上記長繊維糸(12)を配列させるに
当っては、これを編織することなく、図3に示唆される
ような数軸方向に重ね合わせた又は貫通させた組布構造
とし、その交叉部分を上記合成樹脂を介して接着一体化
することが、その伸びや垂れなどを少なくできる点で好
適と言える。
【0016】そして、上記シート状態の長繊維糸(1
2)と短繊維不織布シート(11)とを、ウレタン系や
エポキシ系、アクリル系などの反応型合成樹脂接着剤に
よって複合一体化する。その具体的な方法としては、例
えば一方の不織布シート(11)に上記接着剤を吹き付
けた上、裏面に残る一方の不織布シート(11)を配置
させたシート状態の長繊維糸(12)と一体的にプレス
すれば良い。
【0017】図4、5は本発明の適用によるコンクリー
ト構造物の表面施工状態を示しており、(C)はコンク
リート構造物の躯体、(B)はその表面へカーボン繊維
シート又はアラミド繊維シートをエポキシ系樹脂接着剤
により接着一体化して成る一定厚み(t1)のベース層
である。
【0018】本発明では、このような予じめコンクリー
ト躯体(C)に施工されたベース層(B)の表面へ、先
ず上記ネツト構造体(N)をエポキシ系樹脂接着剤やア
クリル樹脂などの一般的なポリマー樹脂接着剤、その他
の適当な接着剤(13)により張り付け一体化する。そ
の接着剤としては、水溶性や溶剤系の区別も問わない。
(t2)はその接着剤(13)の一定厚みを示してお
り、例えば約3mmである。
【0019】その際、ネツト構造体(N)を形作ってい
る短繊維不織布シート(11)の表面が、面外方向へ軽
く毛羽立つように張り付けることが好ましい。このこと
は、上記ネツト構造体(N)が組布構造の長繊維糸(1
2)を有し、伸びや垂れなどを生じない張り状態にある
ため、転圧ローラーなどの自由な転動操作によって、容
易に張り付け作業することができる。
【0020】そして、次に上記ネツト構造体(N)を下
地として、その表面へ約8〜10mmの一定厚み(t
3)だけ被覆モルタル層(M)を塗布するのである。そ
の被覆モルタル層(M)としては、例えばポルトランド
セメントと珪砂などの骨材を主成分とし、これに作業性
改良剤や防水剤、白華防止剤、ダレ止め剤、収縮防止剤
などを添加した粉体を、変形スチレン・ブタジエン系共
重合体から成る混和液で混練した性状のものが良い。
【0021】そうすれば、先のカーボン繊維シート又は
アラミド繊維シートがエポキシ系樹脂接着剤により接着
固化しているベース層(B)の表面と、その後これに塗
布された被覆モルタル層(M)とが、上記ネツト構造体
(N)をカスガイとして高強度に結合一体化されること
となり、コンクリート構造物の表面に優れた耐震効果を
付与することができる。
【0022】つまり、上記のように張り付けられたネツ
ト構造体(N)は、所定の厚み(T)と破裂強度を備え
ており、これを形作る短繊維不織布シート(11)とし
ても、上記した所定の繊度と目付を有するため、その短
繊維に被覆モルタル層(M)が効果的に浸透・含浸され
て、先のベース層(B)と連続一体化することになり、
その結果面外方向に沿う高い接着強度を得られ、上記被
覆モルタル層(M)の剥落するおそれがない。
【0023】しかも、上記短繊維不織布シート(11)
と複合一体化された長繊維糸(12)の複数本は、所定
の引張強度と総繊度を備えたシート状態にあり、その隣
り合う配列間隙にも上記被覆モルタル層(M)が浸透・
含浸されるため、その被覆モルタル層(M)と上記ベー
ス層(B)との連続一体性がますます昂まり、面内方向
に沿う高い破裂強度も確保できることとなる。
【0024】その複数本の長繊維糸(12)から成るシ
ートには張りがあるため、先に施工されているベース層
(B)の表面へのなじみが良く、これに皺寄りなく密着
するため、その張り付け作業と引続く被覆モルタル層
(M)の塗布作業も円滑・軽快に行なうことができ、施
工性にも優れる。
【0025】又、上記ベース層(B)のエポキシ系樹脂
接着剤と、被覆モルタル層(M)とは太陽熱などの温度
応力による線膨張係数が異なると雖も、その相互間には
上記ネツト構造体(N)の張り付けによるネツトバリヤ
ー層が介在される結果、上記接着強度に加えて、デイフ
アレンシヤル・ムーブメントの発生に伴なう剥離応力の
緩和効果も達成できるのである。
【0026】上記ベース層(B)の表面にネツト構造体
(N)を介して、被覆モルタル層(M)を塗り込み一体
化したコンクリート構造物の表面は、外部からの振動や
衝撃を吸収する性能にも優れるため、そのベース層
(B)が高弾性のカーボン繊維シート又はアラミド繊維
シートから成るとしても、その破断するおそれを初め、
被覆モルタル層(M)が硬化時にヒビ割れするおそれ
も、確実に防止することができる。
【0027】更に、上記ベース層(B)の表面が平滑で
あっても、これには被覆モルタル層(M)がネツト構造
体(N)を下地として塗布されるようになっており、そ
のネツト構造体(N)が機械的なアンカー機能を発揮す
るため、被覆モルタル層(M)を1回での塗布作業によ
って、例えば約8〜20mmの一定厚み(t3)に厚付
けすることも可能となり、そのコンクリート構造物の表
面に高い耐火性を与えることができる。
【0028】本発明の具体的な実施例を示すと、次の通
りである。 〈実施例1〉総繊度1000deのビニロン繊維2本、
総繊度1800deのビニロン繊維1本を各々アクリル
樹脂(日本カーバイト社製:ニカゾール FX329)
で含浸・被覆した後、一方を縦、他方を横に配列してネ
ツト状シートを作成した。その縦横交叉角度は約90
度、配列間隔は約10mmである。このネツト状シート
の両面に、太さ65de、長さ89mmのポリプロピレ
ン短繊維から成る目付20g/m2 の不織布シートを、
合成ゴムエマルジヨン(日本合成ゴム社製:JSR06
96)に含浸・乾燥させて、厚さ3mm、総目付140
g/m2 のネツト構造体を得た。
【0029】その得られたネツト構造体を、カーボン繊
維シートがエポキシ樹脂接着剤(東燃社製:東燃レジ
ン、主剤FRE3PW、硬化剤FR−ESPW)により
接着一体化されたベース層の表面へ、やはりエポキシ樹
脂接着剤(アイカ工業社製:ジョリシール JB−22
LW)を300g/m2 使用して張り付けた。
【0030】そして、そのネツト構造体の表面へ更に厚
み8mmの被覆モルタル層(日本スタッコ社製:ライト
仕上材)を塗布することにより、供試体を得た。その供
試体を材令28日後に、建研式引張り接着力試験機を用
いて試験し、その引張り接着強度を求めた結果、平均で
12.2kgf/cm2 の数値が得られた。又、ハンマ
ーで上記被覆モルタル層に打撃を与えた結果、ネツト構
造体の中間層付近までは、その被覆モルタル層が粉砕さ
れてしまったが、未だベース層は確固な状態を維持して
おり、上記打撃力の影響を受けていなかった。
【0031】〈実施例2〉上記実施例1と同じ材料から
成る各繊維の縦横交叉角度が約90度、その配列間隔が
約30mmのネツト状シートを作成した。このネツト状
シートの両面に、太さ65de、長さ89mmのポリプ
ロピレン短繊維から成る目付20g/m2の不織布シー
トを、合成ゴムエマルジヨン(日本合成ゴム社製:JS
R0696)に含浸・乾燥させて、厚さ3mm、総目付
110g/m2 のネツト構造体を得た。
【0032】その得られたネツト構造体を、やはりカー
ボン繊維シートがエポキシ樹脂接着剤(東燃社製:東燃
レジン、主剤FRE3PW、硬化剤FR−ESPW)に
より接着固定されたベース層の表面へ、エポキシ樹脂接
着剤(アイカ工業社製:ジョリシール JB−22L
W)を300g/m2 使用して張り付けた。
【0033】そして、そのネツト構造体の表面へ引続き
厚み8mmの被覆モルタル層(日本スタッコ社製:ライ
ト仕上材)を塗布することにより、供試体を得た。その
供試体について、実施例1と同じく材令28日後に引張
り接着強度の試験を行なった結果、平均で12.6kg
f/cm2 の数値が得られた。又、ハンマーで被覆モル
タル層に打撃を加えた結果、ネツト構造体の中間層まで
は上記被覆モルタル層が粉砕されてしまい剥落したが、
そのベース層は所謂無傷の状態として、依然上記衝撃か
ら保護されていた。
【0034】〈比較例〉カーボン繊維シートがエポキシ
樹脂接着剤(東燃社製:東燃レジン、主剤FRE3P
W、硬化剤FRW)を用いて接着一体化されたベース層
の表面へ、直接に厚み8mmの被覆モルタル層(日本ス
タッコ社製:ライト仕上材)を塗布することにより、供
試体を得た。その供試体について、材令28日後に引張
り接着強度を試験した結果、平均で10.6kgf/c
2 の数値が得られた。そして、上記実施例1と同じく
ハンマーで被覆モルタル層に打撃を与えた結果、その被
覆モルタル層が完全に粉砕され、そのベース層も破断し
てしまい、上記衝撃力に耐えることができなかった。
【0035】上記実施例1、2と比較例の試験結果によ
れば、本発明の採用するネツト構造体(N)がコンクリ
ート構造物の表面補強効果に役立ち、優れた耐震性能を
発揮することが明白である。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明ではコンクリート
構造物の表面補強工法として、耐アルカリ性の短繊維不
織布シート(11)に対して、合成樹脂により被覆され
た長繊維糸(12)の複数本を、平行状態又は交叉状態
に複合一体化して成るネツト構造体(N)を、カーボン
繊維シート又はアラミド繊維シートがエポキシ系樹脂接
着剤を介して、予じめコンクリート躯体(C)に接着さ
れたベース層(B)の表面へ、上記接着剤と同一又は別
異の接着剤(13)によって張り付け一体化し、その後
上記ネツト構造体(N)を下地として、その表面へ被覆
モルタル層(M)を一定厚み(t3)だけ塗布するよう
になっているため、冒頭に述べた従来技術の課題を確実
に改良できる効果がある。
【0037】即ち、本発明の上記工法によれば、先のカ
ーボン繊維シート又はアラミド繊維シートがエポキシ系
樹脂接着剤により接着固化しているベース層(B)の表
面と、その後これに塗布された被覆モルタル層(M)と
が、上記ネツト構造体(N)をカスガイとして高強度に
結合一体化されることとなり、コンクリート構造物の表
面に優れた耐震効果を付与することができる。
【0038】特に、請求項2の構成を採用するならば、
上記のように張り付けられたネツト構造体(N)が、そ
の規定の厚み(T)と破裂強度を備えており、これを形
作る短繊維不織布シート(11)としても、その規定さ
れた繊度と目付を有するため、その短繊維に被覆モルタ
ル層(M)が効果的に浸透・含浸されて、先のベース層
(B)と連続一体化することになり、その結果面外方向
に沿う高い接着強度を得られ、上記被覆モルタル層
(M)の剥落するおそれがないのである。
【0039】しかも、上記短繊維不織布シート(11)
と複合一体化された長繊維糸(12)の複数本は、所定
の引張強度と総繊度を備えたシート状態にあり、その隣
り合う配列間隙にも上記被覆モルタル層(M)が浸透・
含浸されるため、その被覆モルタル層(M)と上記ベー
ス層(B)との連続一体性がますます昂まり、面内方向
に沿う高い破裂強度も確保できることとなる。
【0040】その複数本の長繊維糸(12)から成るネ
ツト状シートには張りがあるため、先に施工されている
ベース層(B)の表面へのなじみが良く、これに皺寄り
なく密着するため、その張り付け作業と引続く被覆モル
タル層(M)の塗布作業も円滑・軽快に行なうことがで
き、施工性にも優れる。そのベース層(B)に対するネ
ツト構造体(N)のなじみや結合強度は、上記接着剤
(13)として同じエポキシ系樹脂を採用することによ
り、ますます昂めることができることになる。
【0041】又、上記ベース層(B)のエポキシ系樹脂
接着剤と、被覆モルタル層(M)とは太陽熱などの温度
応力による線膨張係数が異なると雖も、その相互間には
上記ネツト構造体(N)の張り付けによるネツトバリヤ
ー層が介在される結果、上記接着強度に加えて、デイフ
アレンシヤル・ムーブメントの発生に伴なう剥離応力の
緩和効果も達成できるのである。
【0042】上記ベース層(B)の表面にネツト構造体
(N)を介して、被覆モルタル層(M)を塗り込み一体
化したコンクリート構造物の表面は、外部からの振動や
衝撃を吸収する性能にも優れるため、そのベース層
(B)が高弾性のカーボン繊維シート又はアラミド繊維
シートから成るとしても、その破断するおそれを初め、
被覆モルタル層(M)が硬化時にヒビ割れするおそれ
も、確実に防止することができる。
【0043】更に、上記ベース層(B)の表面が平滑で
あっても、これには被覆モルタル層(M)がネツト構造
体(N)を下地として塗布されるようになっており、そ
のネツト構造体(N)が機械的なアンカー機能を発揮す
るため、請求項3の構成を採用することも可能となり、
被覆モルタル層(M)を1回での塗布作業によって、例
えば約8〜20mmの一定厚み(t3)に厚付けするこ
とができ、その結果施工性をますます改良できるほか、
1回目の塗布により一旦乾燥したモルタルの表面と、2
回目以降に増し塗りしたモルタルの裏面との相互間が、
剥離界面となるおそれを防止できると共に、そのコンク
リート構造物に高い耐火性を与えることも可能である。
【0044】本発明により施工されたコンクリート構造
物は、鋼材のように腐蝕するおそれがないため、建設機
械の使用できない個所や塩害の著しい地域、水中や地下
などの苛酷な環境・条件下において、高い耐久性が要求
される各種コンクリート構造物に適用して、特に実益大
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるネツト構造体の平面図である。
【図2】図1と異なる交叉状態のネツト構造体を示す平
面図である。
【図3】図1の3−3線に沿う拡大断面図である。
【図4】本発明によるコンクリート構造物の表面施工状
態を示す斜面図である。
【図5】図4の断面図である。
【符号の説明】
(11)・短繊維不織布シート (12)・長繊維糸 (13)・接着剤 (B)・ベース層 (C)・コンクリート躯体 (M)・被覆モルタル層 (N)・ネツト構造体 (T)・ネツト構造体の厚み (t1)・ベース層の厚み (t2)・接着剤の厚み (t3)・被覆モルタル層の厚み

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐アルカリ性の短繊維不織布シート(1
    1)に対して、合成樹脂により被覆された長繊維糸(1
    2)の複数本を、平行状態又は交叉状態に複合一体化し
    て成るネツト構造体(N)を、 カーボン繊維シート又はアラミド繊維シートがエポキシ
    系樹脂接着剤を介して、予じめコンクリート躯体(C)
    に接着されたベース層(B)の表面へ、上記接着剤と同
    一又は別異の接着剤(13)によって張り付け一体化
    し、 その後上記ネツト構造体(N)を下地として、その表面
    へ被覆モルタル層(M)を一定厚み(t3)だけ塗布す
    ることを特徴とするコンクリート構造物の表面補強工
    法。
  2. 【請求項2】ネツト構造体(N)の全体的な厚み(T)
    を約0.5〜5.0mmとし、その破裂強度を小さくと
    も約60kgfとして設定すると共に、上記ネツト構造
    体(N)をなす短繊維不織布シート(11)の繊度を約
    5〜150deとし、同じく目付を約5〜150g/m
    2 として設定したことを特徴とする請求項1記載のコン
    クリート構造物の表面補強工法。
  3. 【請求項3】被覆モルタル層(M)の一定厚み(t3)
    を薄くとも約8mmとして、その厚み分をネツト構造体
    (N)の表面へ1回だけ塗布することを特徴とする請求
    項1記載のコンクリート構造物の表面補強工法。
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