JP2007092377A - コンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、および同メッシュ状物を用いたコンクリート構造物の補修または補強工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 幅方向に重ね合わせて使用する際において、取扱い性、施工性に優れるコンクリート補強・補修用メッシュ状物およびそれを用いたコンクリート構造物の補修または補強工法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布によるメッシュ状物であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物とし、この識別用着色糸を基準として、順次重ね合わせて覆工するコンクリート構造物の補修または補強工法とした。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布によるメッシュ状物であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物とし、この識別用着色糸を基準として、順次重ね合わせて覆工するコンクリート構造物の補修または補強工法とした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、コンクリート製のトンネル、高架車道、橋梁、建築物などの構造物からのコンクリート片剥落の防止、剥落部の補修に好適なメッシュ状物、およびそれを用いたコンクリート構造物の補修または補強工法に関するものである。
近年、海岸又はその付近にある鉄筋コンクリート構造物が海塩粒子によって塩害を受けたり、海水と接触する鉄筋コンクリート構造物に塩分が侵入したりすることによる鉄筋の腐食、膨張によりそれらの構造物が劣化することや、酸性雨や工場の薬品等コンクリートに有害な物質により表層が脆弱化することなどによるコンクリートの劣化、あるいは、車両通行量の増大、積載量の増大、高速化等による構造物への過負荷などから、コンクリート構造物の表面部分が剥落したり、コンクリート構造物自体が劣化してきていることが大きな問題となっている。
その劣化したコンクリートの剥落を防止する工法や、剥落した部分を補修する各種工法やその材料等が種々検討されている。その中で、予め表面層となる保護層とコンクリート構造物への貼着層とを有する積層体とし、これらの層間に繊維基材からなる補強層を介在させた補修または補強用シートにおいて、繊維基材として、有機繊維や無機繊維等を不織布、織布加工したシート状物を用いたものが、施工の容易化、品質の安定化を図られるとして提案されている。(特許文献1参照)
また、従来において、補修または補強用の種々の繊維基材が提案されているが、その材質としてはコンクリートとの密着性などの観点から、現在はビニロン繊維製のシート状物が主に用いられている。
ビニロン繊維の剥落防止用繊維シートとしては、ビニロン繊維の強度、伸度、ヤング率、繊維シートの強度等を所定の範囲とすることが提案されている。(特許文献2参照)
その劣化したコンクリートの剥落を防止する工法や、剥落した部分を補修する各種工法やその材料等が種々検討されている。その中で、予め表面層となる保護層とコンクリート構造物への貼着層とを有する積層体とし、これらの層間に繊維基材からなる補強層を介在させた補修または補強用シートにおいて、繊維基材として、有機繊維や無機繊維等を不織布、織布加工したシート状物を用いたものが、施工の容易化、品質の安定化を図られるとして提案されている。(特許文献1参照)
また、従来において、補修または補強用の種々の繊維基材が提案されているが、その材質としてはコンクリートとの密着性などの観点から、現在はビニロン繊維製のシート状物が主に用いられている。
ビニロン繊維の剥落防止用繊維シートとしては、ビニロン繊維の強度、伸度、ヤング率、繊維シートの強度等を所定の範囲とすることが提案されている。(特許文献2参照)
一方、これらの補強用シート状物、とりわけ、3軸積層布などのメッシュ状物を用いて幅方向に重ね合わせて補強工事を行う場合は、幅方向端部からの目合の数を一定にするか、メッシュ状物に目印の標線を筆記具で引くなどして前準備をしたものを用いる必要があった。
また、ビニロン製のメッシュ状物は積層後に接着剤加工等により各層の糸の交点は接合されているが、その接合強度はさほど高くなく、目合が変形する場合もあって、必ずしも、一定幅のメッシュ状物と認識できない場合もある。このような場合、重ね合せがきちんとできず、工事の仕上がり上問題となったり、施工能率が上がらない等の問題があった。
また、ビニロン製のメッシュ状物は積層後に接着剤加工等により各層の糸の交点は接合されているが、その接合強度はさほど高くなく、目合が変形する場合もあって、必ずしも、一定幅のメッシュ状物と認識できない場合もある。このような場合、重ね合せがきちんとできず、工事の仕上がり上問題となったり、施工能率が上がらない等の問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、幅方向に重ね合わせて使用する際において、取扱い性、施工性に優れるコンクリート補強・補修用メッシュ状物およびそれを用いたコンクリート構造物の補修または補強工法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向に構成する糸((以下、「構成糸」と称することがある。)が積層され、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸とすることで、施工性が格段に向上することを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)コンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物であって、該メッシュ状物は少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(2)前記メッシュ状物が、経一層または経二層の3軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(3)前記メッシュ状物が経二層緯一層の2軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(4)前記経方向、斜方向、逆斜方向に加えて緯方向にも糸を積層した4軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(5)前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸とは独立した着色糸又は着色細幅テープである(1)〜(4)のいずれか1記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(6)前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸を兼ねる着色糸である(1)〜(4)のいずれか1に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(7)重ね合せ部の全幅に前記識別用着色糸を配してなる(6)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(8)前記積層布は、ビニロン繊維より構成されてなる(1)〜(7)のいずれか1に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(9)(1)〜(8)のいずれか1に記載のメッシュ状物を使用し、該メッシュ状物の重ね合わせ部の識別用着色糸を基準として該メッシュ状物を幅方向に順次重ね合わせて覆工することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強工法
を提供するものである。
(1)コンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物であって、該メッシュ状物は少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(2)前記メッシュ状物が、経一層または経二層の3軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(3)前記メッシュ状物が経二層緯一層の2軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(4)前記経方向、斜方向、逆斜方向に加えて緯方向にも糸を積層した4軸積層布である(1)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(5)前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸とは独立した着色糸又は着色細幅テープである(1)〜(4)のいずれか1記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(6)前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸を兼ねる着色糸である(1)〜(4)のいずれか1に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(7)重ね合せ部の全幅に前記識別用着色糸を配してなる(6)記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(8)前記積層布は、ビニロン繊維より構成されてなる(1)〜(7)のいずれか1に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物、
(9)(1)〜(8)のいずれか1に記載のメッシュ状物を使用し、該メッシュ状物の重ね合わせ部の識別用着色糸を基準として該メッシュ状物を幅方向に順次重ね合わせて覆工することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強工法
を提供するものである。
本発明のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物は、幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有しているので、重ね合わせ作業が目視により簡単に行うことができ、かつ重ね合わせ寸法が一定となって、補強強度の確保、美麗な仕上がり、メッシュ材費の一定化を図ることができ、コストの低減と施工の簡略化、能率化、標準化、補強または補修強度の一定化等を図ることができる。
本発明のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物は、少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有している。
識別用着色糸は、メッシュ状物の少なくとも片面に施されていることを要する。一般的にこの種の補強用メッシュ状物の幅は、施工時の取扱い性等の観点から、1000mm〜2000mm程度であり、幅方向に重ね合わせて施工する場合は、メッシュ状物の幅の5〜15%程度が重ね代とされる。従って、例えば、1000mm幅のメッシュ状物では、端部から100mmの位置に識別用着色糸を付着させればよい。
メッシュ状物としては、経一層または経二層の3軸積層布を好適に用いることができる。
また、経方向、斜方向、逆斜方向に加えて緯方向にも構成糸を積層した4軸積層布も本発明のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物として使用することができる。
さらに、メッシュ状物としては、経二層緯一層の2軸積層布、すなわち(下)経糸層に緯糸層、(上)経糸層を積層した不織布を用いれば、織布と比較して生産性が高いので、メッシュ状物のコストダウンを図ることができる。
また、本発明において、メッシュ状物としては、開口率が30%以上の繊維あるいは複合糸による積層布で、補強効果のあるものを使用できる。
開口率が30%未満では、接着剤や、上塗り樹脂、下塗り樹脂等がメッシュ状物に侵入しにくく補強効果が期待できない。積層布は、組布とも呼ばれるもので、3軸積層布の製造は、例えば特開平11−20059号公報に記載の方法により製造できる。また、2軸積層布の製造は、例えば特公昭53−38783号公報に記載の方法により製造できる。
識別用着色糸は、メッシュ状物の少なくとも片面に施されていることを要する。一般的にこの種の補強用メッシュ状物の幅は、施工時の取扱い性等の観点から、1000mm〜2000mm程度であり、幅方向に重ね合わせて施工する場合は、メッシュ状物の幅の5〜15%程度が重ね代とされる。従って、例えば、1000mm幅のメッシュ状物では、端部から100mmの位置に識別用着色糸を付着させればよい。
メッシュ状物としては、経一層または経二層の3軸積層布を好適に用いることができる。
また、経方向、斜方向、逆斜方向に加えて緯方向にも構成糸を積層した4軸積層布も本発明のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物として使用することができる。
さらに、メッシュ状物としては、経二層緯一層の2軸積層布、すなわち(下)経糸層に緯糸層、(上)経糸層を積層した不織布を用いれば、織布と比較して生産性が高いので、メッシュ状物のコストダウンを図ることができる。
また、本発明において、メッシュ状物としては、開口率が30%以上の繊維あるいは複合糸による積層布で、補強効果のあるものを使用できる。
開口率が30%未満では、接着剤や、上塗り樹脂、下塗り樹脂等がメッシュ状物に侵入しにくく補強効果が期待できない。積層布は、組布とも呼ばれるもので、3軸積層布の製造は、例えば特開平11−20059号公報に記載の方法により製造できる。また、2軸積層布の製造は、例えば特公昭53−38783号公報に記載の方法により製造できる。
3軸、4軸または2軸積層布、の場合、それらに用いられる積層布の構成糸は、ビニロン繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などの高強度、低伸度繊維で耐アルカリ性繊維の中からから選択される。
また、これらの繊維を、熱接着性の繊維またはモノフィラメントと混繊したものを用いてもよい。
識別用着色糸は、積層布等のメッシュ状物の構成糸とは独立した着色糸又は着色細幅テープであってもよく、この場合は、補強用メッシュ状物と一体的に樹脂塗膜に接合されるので、樹脂塗膜との接着性の良い材質の着色糸または着色細幅テープから選択すればよい。
識別用着色糸は、メッシュ状物を構成する糸を着色して、構成糸と識別用着色糸とを兼ねるものとすることが、前述の樹脂塗膜との接着性や、メッシュ状物への付着等の配慮を要しないなどの点で好適である。
構成糸による識別用着色糸は、構成糸の紡糸時に原液着色するか、後染めによるか、いずれであってもよい。
また、識別用着色糸は、重ね合せ部の境界部に少なくとも1本配置するか、重ね合せ部の全幅に識別用着色糸を配してもよい。
また、これらの繊維を、熱接着性の繊維またはモノフィラメントと混繊したものを用いてもよい。
識別用着色糸は、積層布等のメッシュ状物の構成糸とは独立した着色糸又は着色細幅テープであってもよく、この場合は、補強用メッシュ状物と一体的に樹脂塗膜に接合されるので、樹脂塗膜との接着性の良い材質の着色糸または着色細幅テープから選択すればよい。
識別用着色糸は、メッシュ状物を構成する糸を着色して、構成糸と識別用着色糸とを兼ねるものとすることが、前述の樹脂塗膜との接着性や、メッシュ状物への付着等の配慮を要しないなどの点で好適である。
構成糸による識別用着色糸は、構成糸の紡糸時に原液着色するか、後染めによるか、いずれであってもよい。
また、識別用着色糸は、重ね合せ部の境界部に少なくとも1本配置するか、重ね合せ部の全幅に識別用着色糸を配してもよい。
3軸、4軸または2軸積層布のメッシュ状物においては、識別用着色糸は、経糸に着色したものが、識別性、経済性、メッシュ状物の強度保持性、意匠性等の観点で望ましい。
経一層の3軸積層布または経一層緯一層の2軸積層布の場合は、当該一層の経糸の幅方向左右両端部から所定位置および/または中央部等に着色された経糸を配置すれば、この経糸上に斜方向糸、逆斜方向糸を積層されるので、経糸は、斜交糸、逆斜交糸あるいは緯糸と交互に上下することなく直線状を呈している。従って、識別用着色糸としての着色された経糸は直線状として識別されるので、重ね部分を明確に識別でき、施工能率の向上を図ることができる。
経二層の3軸積層布または2軸積層布の場合も、前記同様に、上下いずれかの経糸層または双方の経糸層の所定位置の経糸に識別用着色糸を配置すればよい。
経一層の3軸積層布または経一層緯一層の2軸積層布の場合は、当該一層の経糸の幅方向左右両端部から所定位置および/または中央部等に着色された経糸を配置すれば、この経糸上に斜方向糸、逆斜方向糸を積層されるので、経糸は、斜交糸、逆斜交糸あるいは緯糸と交互に上下することなく直線状を呈している。従って、識別用着色糸としての着色された経糸は直線状として識別されるので、重ね部分を明確に識別でき、施工能率の向上を図ることができる。
経二層の3軸積層布または2軸積層布の場合も、前記同様に、上下いずれかの経糸層または双方の経糸層の所定位置の経糸に識別用着色糸を配置すればよい。
本発明のメッシュ状物としての積層布は、ビニロン繊維により構成することができる。ビニロン繊維は、コンクリート構造物の補強または補修用補強材として実績があるので、好適に用いられる。
本発明のコンクリート構造物の補修または補強工法は、前記のいずれかのメッシュ状物を使用し、該メッシュ状物の重ね合わせ部の識別用着色糸を基準として該メッシュ状物を幅方向に順次重ね合わせて覆工する方法である。
本発明のコンクリート構造物の補修または補強工法は、前記のいずれかのメッシュ状物を使用し、該メッシュ状物の重ね合わせ部の識別用着色糸を基準として該メッシュ状物を幅方向に順次重ね合わせて覆工する方法である。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<識別用着色糸入り3軸積層布>
図1にその要部を示すように、コンクリート補強用の幅1000mm、10mm目合いの経二層3軸積層布であるビニロン製メッシュ状物(構成繊維2000dTex)の(下)経糸2左右端部から100mmの重ね合せ位置の(下)経糸を染色された緑色のビニロン繊維(2000dTex)による識別用着色糸3とした、メッシュ状物1を準備した。なお、このビニロン製3軸積層布は、エマルジョン接着剤が含浸され、各層の交点は接着されているものである。
本実施例のビニロン製3軸メッシュ状物1において、識別用着色糸3は、(下)経糸層と同様に連続した直線状に表れており、識別が極めて容易な状態であった。
この(下)経糸層に緑色の識別着色糸を有するビニロン繊維製3軸積層布であって、目付け、84g/m2、幅1000mm(有効幅)メッシュ状物を用い、以下の施工性テストを行った。
<識別用着色糸入り3軸積層布>
図1にその要部を示すように、コンクリート補強用の幅1000mm、10mm目合いの経二層3軸積層布であるビニロン製メッシュ状物(構成繊維2000dTex)の(下)経糸2左右端部から100mmの重ね合せ位置の(下)経糸を染色された緑色のビニロン繊維(2000dTex)による識別用着色糸3とした、メッシュ状物1を準備した。なお、このビニロン製3軸積層布は、エマルジョン接着剤が含浸され、各層の交点は接着されているものである。
本実施例のビニロン製3軸メッシュ状物1において、識別用着色糸3は、(下)経糸層と同様に連続した直線状に表れており、識別が極めて容易な状態であった。
この(下)経糸層に緑色の識別着色糸を有するビニロン繊維製3軸積層布であって、目付け、84g/m2、幅1000mm(有効幅)メッシュ状物を用い、以下の施工性テストを行った。
<識別用着色糸入り2軸積層布>
幅1000mmの2軸積層布によるメッシュ状物を製造するため、図2に構成の要部を示すように、2000dTexのビニロン繊維を第1の経糸11として配置するに際して、左右端部から100mmの位置の経糸各1本を緑色の識別着色糸12としてして、経糸層をエンドレスコンベヤーベルト(経糸供給ベルト)で連続的に供給する一方、2000dTexのビニロン繊維を緯糸13として配列し、長さ1030mmに切断した面状の緯糸層を、上記ベルトの下方に位置し、かつ上記ベルトと直交する方向のコンベアーベルト(緯糸供給ベルト)に載置して待機させ、前記経糸層と前記緯糸層が連続して積層されるよう間歇的に積層操作をし、しかる後、別途供給される2000dTexのビニロン繊維を第2の経糸14として第1経糸と同一ピッチで緯糸層の下側になるように供給し、緯糸層が上下の経糸層で挟持された状態で、エマルジョン系接着剤を付着・絞液後乾燥して、経緯各層の交点を接着させて経糸層と緯糸層が直交した経二層緯一層の2軸積層布によるビニロン製2軸メッシュ状物を得た。
幅1000mmの2軸積層布によるメッシュ状物を製造するため、図2に構成の要部を示すように、2000dTexのビニロン繊維を第1の経糸11として配置するに際して、左右端部から100mmの位置の経糸各1本を緑色の識別着色糸12としてして、経糸層をエンドレスコンベヤーベルト(経糸供給ベルト)で連続的に供給する一方、2000dTexのビニロン繊維を緯糸13として配列し、長さ1030mmに切断した面状の緯糸層を、上記ベルトの下方に位置し、かつ上記ベルトと直交する方向のコンベアーベルト(緯糸供給ベルト)に載置して待機させ、前記経糸層と前記緯糸層が連続して積層されるよう間歇的に積層操作をし、しかる後、別途供給される2000dTexのビニロン繊維を第2の経糸14として第1経糸と同一ピッチで緯糸層の下側になるように供給し、緯糸層が上下の経糸層で挟持された状態で、エマルジョン系接着剤を付着・絞液後乾燥して、経緯各層の交点を接着させて経糸層と緯糸層が直交した経二層緯一層の2軸積層布によるビニロン製2軸メッシュ状物を得た。
<各メッシュ状物の施工性の評価>
識別着色糸を有する3軸および2軸のビニロン製積層布によるメッシュ状物を、高さ3m、長さ6mのテスト用コンクリート垂直壁面に高さ2m、幅約4m貼着するメッシュ状物の貼付補強施工テストを行い、施工性を評価した。
先ず、右側より左へ順次移行することとし、3軸メッシュ状物を幅4枚単位で貼付する、幅3.4mを1ブロックとして施工することとした。
この第1のブロックにコンクリート壁面にエポキシ系プライマー(アイカ工業社製:商品名:クリートコートEXプライマー)を0.3kg/m2の使用量で塗布した後、エポキシ系下塗り含浸樹脂(アイカ工業社製:商品名:ジョリシール−119)を0.5kg/m2の割合で塗布し、3軸メッシュ状物の長手方向を上下、緑色識別用着色糸面を手前として貼付け、次いで、この第1のメッシュ状物の左側重ね合わせ部緑色識別用着色糸に第2のメッシュ状物の右側端部を重ね貼付し、以下順次、第3、第4のメッシュ状物を貼付した。この貼付施工性テストにおいて、下塗り含浸樹脂塗布後の4枚のメッシュ状物の貼付所要時間が、識別用着色糸を有しないメッシュ状物の場合より、約30%短縮され、施工性が向上した。
また、識別用着色糸を有しないメッシュ状物では、定尺に切断した後、表面処理面にマジックインク等で目印を付し、重ねあわせ部にも線引きするなどの準備を要したが、これらの作業も要せず、準備工数も削減できた。
次いで、2軸メッシュ状物についても、前記同様に施工性を評価したところ、3軸メッシュ状物同様の効果が得られた。
識別着色糸を有する3軸および2軸のビニロン製積層布によるメッシュ状物を、高さ3m、長さ6mのテスト用コンクリート垂直壁面に高さ2m、幅約4m貼着するメッシュ状物の貼付補強施工テストを行い、施工性を評価した。
先ず、右側より左へ順次移行することとし、3軸メッシュ状物を幅4枚単位で貼付する、幅3.4mを1ブロックとして施工することとした。
この第1のブロックにコンクリート壁面にエポキシ系プライマー(アイカ工業社製:商品名:クリートコートEXプライマー)を0.3kg/m2の使用量で塗布した後、エポキシ系下塗り含浸樹脂(アイカ工業社製:商品名:ジョリシール−119)を0.5kg/m2の割合で塗布し、3軸メッシュ状物の長手方向を上下、緑色識別用着色糸面を手前として貼付け、次いで、この第1のメッシュ状物の左側重ね合わせ部緑色識別用着色糸に第2のメッシュ状物の右側端部を重ね貼付し、以下順次、第3、第4のメッシュ状物を貼付した。この貼付施工性テストにおいて、下塗り含浸樹脂塗布後の4枚のメッシュ状物の貼付所要時間が、識別用着色糸を有しないメッシュ状物の場合より、約30%短縮され、施工性が向上した。
また、識別用着色糸を有しないメッシュ状物では、定尺に切断した後、表面処理面にマジックインク等で目印を付し、重ねあわせ部にも線引きするなどの準備を要したが、これらの作業も要せず、準備工数も削減できた。
次いで、2軸メッシュ状物についても、前記同様に施工性を評価したところ、3軸メッシュ状物同様の効果が得られた。
本発明のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物は、幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有しているので、重ね合わせ作業を目視により簡単に行うことができ、かつ重ね合わせ寸法が一定となって、補強強度の確保、美麗な仕上がり、メッシュ材費の一定化を図ることができ、コストの低減と施工の簡略化、能率化、標準化、補強または補修強度の一定化等を図ることができ、コンクリート構造物の補修または補強工事に有効に利用できる。
1 3軸メッシュ状物(積層布)
2 (下)経糸
3 識別用着色糸
4 斜交糸
5 逆斜交糸
6 (上)経糸
10 2軸メッシュ状物(積層布)
11 第1経糸
12 識別用着色糸
13 緯糸
14 第2経糸
2 (下)経糸
3 識別用着色糸
4 斜交糸
5 逆斜交糸
6 (上)経糸
10 2軸メッシュ状物(積層布)
11 第1経糸
12 識別用着色糸
13 緯糸
14 第2経糸
Claims (9)
- コンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物であって、該メッシュ状物は少なくとも経方向、斜方向、逆斜方向の3軸方向、または経方向および緯方向の2軸方向の糸で構成される積層布であり、メッシュ状物の幅方向端部から所定の間隔で幅方向に重ねて貼付するための識別用着色糸を有することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記メッシュ状物が、経一層または経二層の3軸積層布である請求項1記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記メッシュ状物が経二層緯一層の2軸積層布である請求項1記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記経方向、斜方向、逆斜方向に加えて緯方向にも糸を積層した4軸積層布である請求1記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸とは独立した着色糸又は着色細幅テープである請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記識別用着色糸が、メッシュ状物を構成する糸を兼ねる着色糸である請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 重ね合せ部の全幅に前記識別用着色糸を配してなる請求項6記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 前記積層布は、ビニロン繊維より構成されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の補修または補強用メッシュ状物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のメッシュ状物を使用し、該メッシュ状物の重ね合わせ部の識別用着色糸を基準として該メッシュ状物を幅方向に順次重ね合わせて覆工することを特徴とするコンクリート構造物の補修または補強工法。
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