JPH10101370A - 近赤外線カットフィルタガラスの分光特性調整方法 - Google Patents

近赤外線カットフィルタガラスの分光特性調整方法

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JPH10101370A JP28168396A JP28168396A JPH10101370A JP H10101370 A JPH10101370 A JP H10101370A JP 28168396 A JP28168396 A JP 28168396A JP 28168396 A JP28168396 A JP 28168396A JP H10101370 A JPH10101370 A JP H10101370A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外カットフィルタガラスにおいて、40
0〜450nm付近に生ずる透過率の落込みを解消する
こと。 【解決手段】 Fe,Rh,Sのうち少なくとも1種を
含有する燐酸ガラスまたはフツ燐酸ガラスからなる近赤
外カットフィルタガラスの原料に対し、少量の硝酸化合
物を添加して溶融する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーVTRカメ
ラの色補正フィルタ等に使用され、400〜600nm
の可視域を効率よく透過し、700nm付近におけるシ
ャープカット特性に優れた近赤外線カットフィルタガラ
スとその分光特性調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーVTRカメラに使用されているC
CDなどの撮像素子は可視域から1100nm付近の近
赤外域にわたる分光感度を有している。したがって、そ
のままでは良好な色再現性を得ることができないので、
赤外域を吸収するフィルタを用いて通常の視感度に補正
することが必要である。
【0003】従来、この種のフィルタには近赤外線を選
択的に吸収するように燐酸系ガラスにCuOを添加した
ガラスが使用されていた。このガラスは多量のP2 5
と必須成分としてCuOを含有しており、酸化性の溶融
雰囲気中で多数の酸素イオンに配位されたCu2+イオン
を形成させることによって青緑色を呈し、近赤外線カッ
ト特性を有するものである。
【0004】また、最近では燐酸系ガラスの耐候性を改
善するために基礎ガラスとして弗燐酸系ガラスを用い、
これにCuOを添加したガラスが使用されるようになっ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、この種のフィ
ルタガラスでは500nm付近に比べて400〜450
nmにおける透過率が低くなる傾向がある。これは、ガ
ラス原料に含まれていたり製造工程から混入したりする
不可避不純物(Fe,Rh,S)による吸収があらわれ
たものと考えられる。従来、このような可視透過率の低
下に対しては、CuOの添加量を低減して可視域での吸
収を弱める方法や、ガラスの溶融温度を下げて透過率を
上げる方法がとられている。
【0006】しかしながら、CuOの添加量を低減する
方法では、可視透過率が改善される反面700nm付近
におけるシャープカット特性が損なわれる欠点があり、
溶融温度を下げる方法では、溶融物中に結晶が析出しや
すくなり、均質なガラスが得られなくなる問題がある。
【0007】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、CuOの添加量や溶融温度を適正に保っ
たままで、400〜450nm付近における透過率が改
善された近赤外線カットフィルタガラスを提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、CuOを含有する、燐酸ガラスまたはフツ
燐酸ガラスを基礎ガラスとし、Fe,Rh,Sのうち少
なくとも1種を含有する近赤外線カットフィルタガラス
に対し、外割で10ppm〜8質量%の硝酸化合物を添
加し、前記Fe,Rh,Sによって400〜450nm
付近に生ずる透過率の落込みを解消することを特徴とす
る近赤外線カットフィルタガラスの分光特性調整方法で
ある。
【0009】より具体的には、Fe,Rh,Sのうち少
なくとも1種を含有する燐酸ガラスまたはフツ燐酸ガラ
スからなる近赤外カットフィルタガラスの原料に対し、
外割で10ppm〜8質量%となるように硝酸化合物を
添加し溶融・成形することを特徴とする近赤外線カット
フィルタガラスの分光特性調整方法である。
【0010】上記Fe,Rh,Sのうち、Fe,Sは4
00nm付近に、Rhは450nm付近の波長に吸収を
もつため、本発明はこれら成分を含むガラスに対して効
果がある。また硝酸化合物の添加量は、10ppm未満
では透過率改善の効果がなく、8質量%を越えるとガラ
スの形成が困難になる。好ましくは200ppm〜3質
量%の範囲である。またガラスを形成する陽イオンをも
った硝酸化合物を用いることで、よりガラスを安定化で
きる。
【0011】また、この方法は、前記Fe,Rh,Sの
含有量が、Fe50〜500ppm,Rh10〜450
ppm,S50〜600ppmの範囲内であるときに上
記波長域での透過率を効果的に向上させることができ
る。Fe,Rh,Sの含有量がそれぞれの下限値未満で
は、400〜450nm付近における透過率低下はほと
んどなく、それぞれの上限値を越えて含有するガラスで
は、400〜450nm付近の透過率が低くなりすぎ
て、本発明の方法を適用しても近赤外線カットフィルタ
ガラスとしての用途に適合しないためである。特に本発
明の効果が顕著に表れるのは、Fe80〜200pp
m,Rh30〜140ppm,S180〜260ppm
のときである。
【0012】また、本発明によって得られる近赤外線カ
ットフィルタガラスは、400〜450nm付近の透過
率が向上した結果、ほぼ可視全域にわたってフラットで
高い透過率が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明を適用しうる近赤外線カットフィル
タガラスとしては、たとえば、質量%でP2 3 50〜
85%,Al2 3 2〜20%,B2 3 0〜10%,
CaO+MgO+BaO+SrO+ZnO 0〜35
%,Na2 O+K2 O+Li2 O 0〜20%の基本組
成を持ち、0.2〜10%程度のCuOを含有する燐酸
ガラスや、同じく質量%でP2 3 0.5〜70%,A
lF3 0.2〜35%,RF2 0〜75%(Rは、B
a,Sr,Ca,Mg,Zn,Pb),R´F0〜70
%(R´はNa,K,Li)の基本組成を持ち(ただし
フッ化物の70%程度までを酸化物に置換可能)、0.
2〜15%程度のCuOを含有するフツ燐酸ガラス等が
あげられる。
【0014】目標とするガラス組成となるように原料を
秤量・調合する。この原料混合物に対し、外割添加で1
0ppm〜8質量%となるように、Al(NO3 3
Ba(NO3 2 ,Ca(NO3 2 ,Mg(NO3
2 ,LiNO3 ,Sr(NO3 2 ,NaNO3 ,KN
3 ,Zn(NO3 2 ,Cu(NO3 2 等の硝酸化
合物を秤量・添加して混合する。この混合物を白金るつ
ぼに収容して800〜1300℃の温度で溶融し、十分
に撹拌・清澄した後、金型内に鋳込み、徐冷後、切断・
研磨して所定の形状・肉厚に整形することによって近赤
外線カットフィルタガラスを得る。
【0015】このようにして得られた近赤外線カットフ
ィルタガラスは、上記割合の硝酸化合物を添加しないも
のに比べて、400〜450nm付近における透過率が
3〜10%向上し、可視域の透過率カーブがよりフラッ
トになり、固体撮像素子の色再現性を良好にする。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
1に本発明の実施例と、各実施例とガラス組成を同じに
して硝酸化合物を添加しなかった比較例とを並べて示
す。なお、表中の組成は質量%で示してある。
【0017】これらのガラスは、上記実施の形態と同様
にしてそれぞれ表中の組成となるよう原料を調合し、比
較例はそのまま、実施例は各表中の硝酸化合物を添加し
てから溶融・成形し、肉厚1.6mmの平板状に研磨し
たサンプルを作成した。
【0018】得られたサンプルそれぞれについて分光透
過率を測定した。波長400nm,450nm,500
nmにおける透過率を表中に示すとともにNo.3の実
施例及び比較例の透過率曲線を図1に示す。
【0019】表1および図1から明らかなように、本発
明の方法により得られた実施例のガラスは、いずれも比
較例のガラスよりも400〜500nm、特に400〜
450nmにおける透過率が向上しており、この付近に
生ずる透過率の落込みが解消されている。
【0020】
【表1】
【表1】
【表1】
【発明の効果】以上のように本発明の方法によれば、近
赤外線カットフィルタガラスにおいて、従来ほとんど避
けられなかったFe,Rh,Sによる400〜450n
m付近の透過率の落込みを解消することができ、可視域
におけるフラットで高い透過率が得られる。
【0021】したがって、本発明の方法によって得られ
る近赤外線カットフィルタガラスは、カラーVTRカメ
ラの色補正フィルタや他の感光素子の視感度補正フィル
タとして、透過光のロスが少なく、良好な色再現性が得
られる極めて好適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1におけるNo.3の実施例及び比較例の透
過率特性を示す曲線図である。
【符号の説明】
A No.3実施例の透過率曲線 B No.3比較例の透過率曲線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuOを含有する、燐酸ガラスまたはフ
    ツ燐酸ガラスを基礎ガラスとし、Fe,Rh,Sのうち
    少なくとも1種を含有する近赤外線カットフィルタガラ
    スに対し、外割で10ppm〜8質量%の硝酸化合物を
    添加し、前記Fe,Rh,Sによる吸収によって400
    〜450nm付近に生ずる透過率の落込みを解消するこ
    とを特徴とする近赤外線カットフィルタガラスの分光特
    性調整方法。
  2. 【請求項2】 前記Fe,Rh,Sの含有量が、Fe5
    0〜500ppm,Rh10〜450ppm,S50〜
    600ppmの範囲内である請求項1記載の近赤外線カ
    ットフィルタガラスの分光特性調整方法。
  3. 【請求項3】 前記近赤外カットフィルタガラスの原料
    に対して硝酸化合物を添加混合し溶融・成形することを
    特徴とする請求項1または2記載の近赤外線カットフィ
    ルタガラスの分光特性調整方法。
  4. 【請求項4】 CuOを含有する、燐酸ガラスまたはフ
    ツ燐酸ガラスを基礎ガラスとし、Fe,Rh,Sのうち
    少なくとも1種を含有する近赤外カットフィルタガラス
    に対し、外割で10ppm〜8質量%の硝酸化合物を添
    加し、前記Fe,Rh,Sによる吸収によって400〜
    450nm付近に生ずる透過率の落込みを解消したこと
    を特徴とする近赤外線カットフィルタガラス。
  5. 【請求項5】 前記Fe,Rh,Sの含有量が、Fe5
    0〜500ppm,Rh10〜450ppm,S50〜
    600ppmの範囲内である請求項4記載の近赤外線カ
    ットフィルタガラス。
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