JPH0984591A - カロテノイド硫酸エステルおよびその製造方法 - Google Patents

カロテノイド硫酸エステルおよびその製造方法

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JPH0984591A
JPH0984591A JP27202695A JP27202695A JPH0984591A JP H0984591 A JPH0984591 A JP H0984591A JP 27202695 A JP27202695 A JP 27202695A JP 27202695 A JP27202695 A JP 27202695A JP H0984591 A JPH0984591 A JP H0984591A
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sulfate
carotenoid
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flavobacterium
nostoxanthin
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Akihiro Yokoyama
昭裕 横山
Yoshiichi Shizuri
芳一 志津里
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KAIYO BIO TECH LAB
KAIYO BIO TECHNOL KENKYUSHO KK
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KAIYO BIO TECH LAB
KAIYO BIO TECHNOL KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性溶媒への溶解が可能な新規高極性
カロテノイド硫酸エステルおよびその製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 新規高極性カロテノイドとして下記の式
(I): 【化5】 または、下記の式(II): 【化6】 (上記の式(I)および式(II)において、M1 およ
びM2 は水素または一価金属を示す。)で表されるカロ
テノイド硫酸エステルを提供し、これらのカロテノイド
硫酸エステルの創製手段として、新規に見出したフラボ
バクテリウム属に属する微生物を培養し、その培養物か
ら前記カロテノイド硫酸エステルを採取する製造方法を
提供する。上記の式(I)および式(II)で表される
カロテノイド硫酸エステルは、具体的にはノストキサン
チン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチン
3’−サルフェイトである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な高極性カロ
テノイド硫酸エステルおよびその製造方法に関するもの
であり、さらに詳しくは、ノストキサンチン3−サルフ
ェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’−サルフェ
イトならびにその製造方法に関するものである。ノスト
キサンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキサ
ンチン3’−サルフェイトは、養殖魚介類の色調改善
剤、色揚げ剤および食品添加物等として有用である。
【0002】
【従来の技術】ベータカロテン( β-carotene)、ガンマ
カロテン( γ-carotene)等のカロテノイド炭化水素およ
びカロテノイドエポキシドをはじめとするカロテノイド
は、微生物、植物のほか各種動物に至るまで生物界に広
く分布している。従来このようなカロテノイドは養殖魚
介類の色調改善剤、色揚げ剤として知られ、かつ利用さ
れている。また、近年、カロテノイド類が抗酸化剤等の
作用を有することも報告され(清水延寿、幹渉、海洋生
物のカロテノイド、幹渉編、恒星社厚生閣、平成5
年)、食品添加物等への応用も期待されている。
【0003】しかしながら、従来、公知のほとんどのカ
ロテノイドは、脂溶性物質であることから水溶性溶媒へ
の溶解性が低く、水溶性化合物に添加する必要のある場
合においては溶解性の面で難点を包蔵するものであっ
た。従って、カロテノイドの各方面での有用性をさらに
高めるには新規な高極性カロテノイドの開発が強く切望
されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、上
記の如きカロテノイドの開発事情に鑑み、水溶性媒体に
対する溶解性が改善された新規な高極性カロテノイドお
よびその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題について鋭意検討し、高極性カロテノイドを天然界か
ら検索した結果、上記の式(I)および式(II)で表
される新規カロテノイド硫酸エステル、すなわち、ノス
トキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキ
サンチン3’−サルフェイトにより上記課題を解決でき
ることを見出し、さらに、当該カロテノイド硫酸エステ
ルがフラボバクテリウム属に属する微生物を利用して創
製されることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】かくして、本発明によれば、下記の式
(I):
【0007】
【化3】 (上記の式(I)において、M1 は水素または一価金属
を示す。)で表されるカロテノイド硫酸エステル、およ
び、下記の式(II):
【0008】
【化4】 (上記の式(II)において、M2 は水素または一価金
属を示す。)で表されるカロテノイド硫酸エステルが提
供される。
【0009】本発明において、上記の式(I)のカロテ
ノイド硫酸エステルは、ノストキサンチン3−サルフェ
イトと、式(II)のカロテノイド硫酸エステルは4−
ケトキサンチン3’−サルフェイトと命名される。
【0010】また、本発明によれば、フラボバクテリウ
ム属に属し、請求項1記載のカロテノイド硫酸エステル
を生産する能力を有する微生物を培養し、その培養物か
ら請求項1記載のカロテノイド硫酸エステルを採取する
ことを特徴とするカロテノイド硫酸エステルの製造方
法、および、フラボバクテリウム属に属し、請求項2記
載のカロテノイド硫酸エステルを生産する能力を有する
微生物を培養し、その培養物から請求項2記載のカロテ
ノイド硫酸エステルを採取することを特徴とするカロテ
ノイド硫酸エステルの製造方法が提供される。
【0011】さらに、本発明によれば、有用なフラボバ
クテリウム属微生物であり、ノストキサンチン3−サル
フェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’−サルフ
ェイトを生産する能力を有するフラボバクテリウム属細
菌、フラボバクテリウムPC−6株が提供される。
【0012】本発明の特異性は、魚介類の色調改善剤等
として有用性の高い高極性カロテノイド化合物に着目
し、天然界から検索したところ、新規化合物として高極
性カロテノイド硫酸エステルであるノストキサンチン3
−サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’−
サルフェイトを見出したこと、およびこれらの新規な化
合物を生産するフラボバクテリウム属細菌を見出したこ
と、ならびに該フラボバクテリウム属細菌を用いること
によりこれらの化合物の製造が効率よく達成できるとい
う知見を得たことに基くものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0014】先ず、本発明の新規な高極性カロテノイド
硫酸エステルであるノストキサンチン3−サルフェイト
および4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイトに
ついて説明する。
【0015】ノストキサンチン3−サルフェイトを表す
上記の式(I)のM1 および4−ケトノストキサンチン
3’−サルフェイトを表す式(II)のM2 は、水素ま
たは一価金属であることが好ましい。一価金属としては
本発明によるカロテノイド硫酸エステルとしての機能を
達成できるものであれば、いずれも制限されるものでは
ないが、特に、アルカリ金属、すなわち、元素周期律表
第1A族に属する金属が好ましく、ナトリウム、カリウ
ムおよびリチウム等があげられる。本発明の特徴とする
微生物を用いる製造工程の関係からは特にナトリウムが
好ましい。
【0016】上記の式(I)で表されるノストキサンチ
ン3−サルフェイトの代表例としてナトリウム塩の理化
学的性質を示すと次の通りである。 1.物質の色:黄色粉末 2.分子量:702 3.分子式:C40557 SNa 4.質量分析:高分解FABMS 理論値:703.3645(M+H)+ 実測値:703.3621 5.可視部吸収スペクトル(クロロホルム:メタノール
(2:1)中で測定):λmax 458nm、487
nm 6.1H−NMR(重クロロホルム:重メタノール(2:
1)中で測定、400MHz) δppm(水素数、多重度、結合定数 (HZ)):0.94(3H,s),
0.99(3H,s), 1.06(3H,s), 1.10(3H,s), 1.66(3Hx2,s),
1.92-1.93(3Hx4,s), 2.07(1H,dd,10,17), 2.28(1H,dd,1
0,18), 2.39(1H,dd,6,17), 2.68(1H,dd,7,18), 3.21(1
H,d,10), 3.42(1H,d,10), 3.73(1H,dt,6,10), 4.50(1H,
dt,7,10), 6.2-6.7(14H,m) 7.溶解性:蒸留水、含水メタノール、メタノール、ク
ロロホルム−メタノール混合液に易溶。ヘキサン、クロ
ロホルム、アセトン、酢酸エチルに難溶。
【0017】以下に上記の式(II)で表される4−ケ
トノストキサンチン3’−サルフェイトの代表例として
ナトリウム塩の理化学的性質を示す。 1.物質の色:橙色粉末 2.分子量:716 3.分子式:C40538 SNa 4.質量分析:高分解FABMS 理論値:717.3437(M+H)+ 実測値:717.3433 5.可視部吸収スペクトル(クロロホルム:メタノール
(2:1)中で測定):λmax 478nm 6.1H−NMR(重クロロホルム:重メタノール(2:
1)中で測定、400MHz) δppm(水素数、多重度、結合定数 (Hz)):0.98(3H,s),
1.09(3H,s), 1.19(3H,s), 1.22(3H,s), 1.65(3H,s), 1.
87(3H,s), 1.93-1.97(3Hx4,s), 2.28(1H,dd,7,18), 2.6
8(1H,dd,10,18), 3.42(1H,d,10), 3.45(1H,d,11.5), 4.
11(1H,d,11.5),4.50(1H,dt,7,10), 6.0-6.7(14H,m) 7.溶解性:蒸留水、含水メタノール、メタノール、ク
ロロホルム−メタノール混合液に易溶。ヘキサン、クロ
ロホルム、アセトン、酢酸エチルに難溶。
【0018】次に、ノストキサンチン3−サルフェイト
および4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイトを
生産するフラボバクテリウム属微生物およびこれを用い
るこれら化合物の製造方法について説明する。
【0019】ノストキサンチン3−サルフェイトおよび
4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイトは、フラ
ボバクテリウム属に属する微生物を利用して製造され
る。特に、生産菌株としてはフラボバクテリウム属細菌
が用いられる。またフラボバクテリウム属細菌の人工的
変異方法、例えば紫外線照射、X線照射、変異誘起剤処
理等により得られる変異株あるいは自然発生による変異
株も用いることができ、また遺伝子操作、細胞融合によ
る変異株でも、ノストキサンチン3−サルフェイトまた
は4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイトを生産
するものであればいずれも本発明に用いることができ
る。代表的な生産菌株としては、パラオ海域の海水より
分離したPC−6株があげられる。
【0020】PC−6株の菌学的性質について以下述べ
るが、該性質の決定は清水の方法(門田元、多賀信夫
編:海洋微生物研究法、 学会出版センター、pp229、1985)
に従った。
【0021】(1)形態 菌の形・大きさ:桿状、0.6μm×1.5μm 運動性:なし 鞭毛:なし 細胞の多形成:なし 胞子の形成:なし グラム染色:陰性
【0022】(2)各培地における生育状況 肉汁寒天平板培養:非拡散性で光沢を有する、橙色の円
形コロニーを形成する。 肉汁寒天斜面培養:非拡散性で光沢を有する、橙色の円
形コロニーを形成する。 肉汁液体培養:培地全体に均一に生育し、橙色を示す。 肉汁ゼラチン穿刺培養:ほとんど生育しない。
【0023】(3)生理学的性質 色素の生成:脂溶性の黄橙色色素 オキシダーゼ活性:陽性 カタラーゼ活性:陽性 生育の範囲:pH5〜9、温度10℃〜40℃ 酸素に対する態度:好気性 海水耐性:陽性 O−Fテスト:酸化も発酵もしない
【0024】以上の菌学的性質の知見からPC−6株を
フラボバクテリウム属に属する微生物と同定した。本属
における種の同定には、バージーズ・マニュアル・オブ
・システマティック・バクテリオロジー(Bergey's Manu
al of Systematic Bacteriology(N.R.Krieg,J.G.Holt
編、Williams & Wilkins、1984))をもとに検索を行なっ
たが、PC−6株の性質と一致する種を特定することは
困難であり、PC−6株をフラボバクテリウムPC−6
株とした。なお、 フラボバクテリウムPC−6株は、Fl
avobacterium sp. PC−6として工業技術院生命工学
工業技術研究所にFERM P−15183として寄託
した(原寄託日:平成7年9月13日)。
【0025】本発明の製造方法においては、上記微生物
を一般に微生物の培養に用いられる培地で培養し、生産
されるノストキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケ
トノストキサンチン3’−サルフェイトを常法により採
取する。
【0026】先ず、培養法について述べる。
【0027】フラボバクテリウム属細菌の培養には通常
の培養方法を用いることができる。培地としては資化可
能な炭素源、窒素源、無機物および必要な生育、生産促
進物質を程よく含有する培地であれば合成培地、天然培
地いずれでも使用可能である。炭素源としてはグルコー
ス、澱粉、デキストリン、マンノース、フラクトース、
シュクロース、ラクトース、キシロース、アラビノー
ス、マンニトール、糖蜜等を単独または組み合わせて用
いられる。さらに、菌の資化能によっては炭化水素、ア
ルコール類、有機酸類等も用いられる。窒素源としては
塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ム、尿素、ぺプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵
母、コーン・スチーブ・リカー、大豆粉、カザミノ酸等
が単独または組み合わせて用いられる。そのほか、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウ
ム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸
亜鉛、硫酸銅等の無機塩類や海水または天然海水中に存
在する無機塩類を必要に応じて加える。また、β−カロ
テン生合成上の前駆体と考えられる代謝マップ(日本生
化学会編、東京化学同人発行、1980年)123〜125
ページ記載の前駆体等のノストキサンチン3−サルフェ
イトおよび4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイ
トの生産を促進する微量成分を適当に添加することがで
きる。
【0028】培養法としては、液体培養法、とくに深部
攪拌培養法がもっとも適している。培養温度は16℃〜
40℃、特に20℃〜30℃が適当であり、培養中の培
地のpHは、アンモニア水や炭酸アンモニウム溶液等を
添加して、4〜10、特に6〜8に維持することが望ま
しい。液体培養で通常1日〜7日間培養を行なうと、ノ
ストキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノスト
キサンチン3’−サルフェイトが菌体中に生成蓄積され
る。培養物中のこれら化合物の生成量が最大に達したと
きに培養を停止する。
【0029】培養物からのノストキサンチン3−サルフ
ェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’−サルフェ
イトの単離精製は、微生物代謝生産物をその培養物から
単離精製するために常用される方法に従って行なわれ
る。例えば、培養物をろ過や遠心分離により培養ろ液と
菌体に分け、菌体を有機溶剤(例えば、ヘキサン、ベン
ゼン、クロロホルム、アセトン、エーテル、酢酸エチ
ル、エタノール、メタノールおよびこれらの含水物等)
で抽出する。また、培養ろ液中にノストキサンチン3−
サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’−サ
ルフェイトが存在する場合には、酢酸エチルやジエチル
エーテル等の有機溶剤による抽出や、吸着型樹脂(Ambe
rlite XAD−2(登録商標)等)に吸着後、適当な有
機溶剤、例えば、メタノール等を用いて抽出物を得るこ
とが可能である。ついで抽出液を濃縮後、シリカゲル、
化学結合型シリカゲルまたはゲルろ過剤等を用いた液体
クロマトグラフィーにより、単離精製する。ノストキサ
ンチン3−サルフェイトと4−ケトノストキサンチン
3’−サルフェイトとの分離は、液体クロマトグラフィ
ーにおける溶出時間および色相の相違を利用し、各画分
を分取することにより行なうことができる。ノストキサ
ンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチ
ン3’−サルフェイトの動向は薄層クロマトグラフィー
によるノストキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケ
トノストキサンチン3’−サルフェイトに特徴的な黄橙
色を目安として追跡することができる。
【0030】上記の培養において菌体中に生成蓄積され
るノストキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノ
ストキサンチン3’−サルフェイトはナトリウム塩とし
て得られるため、該化合物を培養物から単離した後、ナ
トリウム成分を水素または他の金属成分と置換すること
により、式(I)および式(II)のM1およびM2が水
素または他の金属である化合物を得ることができる。置
換方法としては、例えば、通常採用されるイオン交換法
が用いられる。具体的には、カリウム塩について例示す
ると次のようにして調製することができる。すなわち、
水酸化カリウム水溶液を用いてカリウム型にした陽イオ
ン交換樹脂(例えば Dowex 50Wx8(ダウケミカル社
製))をカラムに充填し、含水アルコール(例えば50
%含水メタノール)にて平衡化する。ノストキサンチン
3−サルフェイト(ナトリウム塩)または4−ケトノス
トキサンチン3’−サルフェイト(ナトリウム塩)の含
水アルコール溶液をカラムに供し、黄橙色画分を分取す
ることにより各化合物のカリウム塩を得ることができ
る。尚、培養により直接カリウム塩その他の金属塩の化
合物が得られる場合は、上記のイオン交換の如き置換が
必要でないことはいうまでもない。
【0031】このようにして得られたノストキサンチン
3−サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチン3’
−サルフェイトの新規カロテノイド硫酸エステルは、高
極性カロテノイドであり、水溶性媒体への溶解性能が付
与されたものであって、養殖魚介類の色調改善剤、色揚
げ剤および食品への添加物等として効果的に利用するこ
とができる。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明を説明するが、本発
明はこれに限定されるものでないことは言うまでもな
い。
【0033】実施例1 種菌としてフラボバクテリウムPC−6株 Flavobacter
ium sp. PC−6 FERM P−15183)を用い
た。前培養および本培養には、DIFCO社製「マリン
ブロス(MARINE BROTH)」の説明書記載の
方法により調製した培地を適宜培養槽に分注し殺菌後用
いた。培地組成を表1に示す。
【0034】
【表1】 前培養として、500ml容量三角フラスコ中の250
mlの培地、計9Lに、該菌株を一白金耳づつ植菌し、
25℃で96時間振とう(100rpm)培養した。
【0035】培養液を遠心分離(10,000rpm)
して菌体分画を得、これにアセトン2000mlを添加
し攪拌した後、沈殿物をろ別し、抽出液を200mlに
濃縮した。得られた濃縮液にヘキサンおよび80%メタ
ノールを各1000ml添加し、分液ロートにて80%
メタノール画分を得、100mlに濃縮した。濃縮液を
ODSカラム(富士シリアル化学株式会社製、DM20
35M)に流した後、ついで、30%含水メタノール、
50%含水メタノール、95%含水メタノールを順次流
した。95%含水メタノール溶出画分をTSK gel ODS-80
Ts(7.8x300mm、東ソー株式会社製)および2
0mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)とメタノ
ールとの1:9混合液を用いた高圧液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)に供し、ノストキサンチン3−サルフ
ェイトと4−ケトノストキサンチン3’−サルフェイト
を分離した。最終的にクロロホルムとメタノールとの
7:3混合液を用いたケイ酸カラム(silica gel 60,メ
ルク社製、1×20cm)に別々に供してノストキサンチン
3−サルフェイト2.4mgおよび4−ケトノストキサ
ンチン3’−サルフェイト1.2mgを得た。
【0036】次に、次のようにしてカリウム塩の化合物
を調製した。1規定水酸化カリウム水溶液(1N KOH)を
用いてカリウム型にした陽イオン交換樹脂 Dowex 50Wx8
(ダウケミカル社製)をカラムに充填し、50%含水メ
タノールにて平衝化した。少量の50%含水メタノール
に溶解したノストキサンチン3−サルフェイト(ナトリ
ウム塩)または4−ケトノストキサンチン3’−サルフ
ェイト(ナトリウム塩)を上記の陽イオン交換樹脂充填
カラムに供し、黄橙色画分を分取することにより該化合
物のカリウム塩を得た。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により新規
な高極性カロテノイド硫酸エステルであるノストキサン
チン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキサンチン
3’−サルフェイトならびにその製造方法を提供するこ
とができる。これにより、従来の課題であった水溶性溶
媒および水溶性化合物への添加等における溶解性の問題
が解決され、魚介類の色調改善剤、色揚げ剤、食品添加
物等としての有用性も倍加する。また、本発明は、ノス
トキサンチン3−サルフェイトおよび4−ケトノストキ
サンチン3’−サルフェイトを生産する新規なフラボバ
クテリウム属微生物を提供するものであり、本発明に係
る高極性カロテノイド硫酸エステルの製造方法は、該フ
ラボバクテリウム属に属する微生物を用いることによ
り、新規高極性カロテノイド硫酸エステルの創製を達成
し得たものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の式(I): 【化1】 (上記の式(I)において、M1 は水素または一価金属
    を示す。)で表されるカロテノイド硫酸エステル。
  2. 【請求項2】下記の式(II): 【化2】 (上記の式(II)において、M2 は水素または一価金
    属を示す。)で表されるカロテノイド硫酸エステル。
  3. 【請求項3】 前記式(I)において、M1 がアルカリ
    金属である請求項1記載のカロテノイド硫酸エステル。
  4. 【請求項4】 前記式(II)において、M2 がアルカ
    リ金属である請求項2記載のカロテノイド硫酸エステ
    ル。
  5. 【請求項5】 フラボバクテリウム属に属し、請求項
    1記載のカロテノイド硫酸エステルを生産する能力を有
    する微生物を培養し、その培養物から請求項1記載のカ
    ロテノイド硫酸エステルを採取することを特徴とするカ
    ロテノイド硫酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 フラボバクテリウム属に属し、請求項
    2記載のカロテノイド硫酸エステルを生産する能力を有
    する微生物を培養し、その培養物から請求項2記載のカ
    ロテノイド硫酸エステルを採取することを特徴とするカ
    ロテノイド硫酸エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記フラボバクテリウム属に属する微
    生物がフラボバクテリウム属細菌、 フラボバクテリウ
    ムPC−6株である請求項5または請求項6記載のカロ
    テノイド硫酸エステルの製造方法。
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