JPH0971641A - 高分子量ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量ポリエステルの製造方法

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JPH0971641A
JPH0971641A JP23047395A JP23047395A JPH0971641A JP H0971641 A JPH0971641 A JP H0971641A JP 23047395 A JP23047395 A JP 23047395A JP 23047395 A JP23047395 A JP 23047395A JP H0971641 A JPH0971641 A JP H0971641A
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Hiroji Fukuhara
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Michihiro Jiyoujima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高融点で、生分解性を有す
る高分子量脂肪族ポリエステルを高真空にすることなく
工業的に効率よく製造する方法を提供することである。 【解決手段】 数平均分子量10000〜100000
の高分子量脂肪族ポリエステルを触媒の存在下、脱水縮
合反応および/またはエステル交換反応で製造するに際
し、高粘度用反応装置を用いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量ポリエス
テルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ポリエステルは一般に生分解性が
認められており、単独あるいは種々の添加剤を配合して
繊維、成型品、シートやフィルムに使用することが期待
されている。このようなポリエステルを製造する方法と
しては、ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化
させるか、又はジカルボン酸のアルキルエステルとグリ
コールとをエステル交換させてグリコールエステル及び
/又はその低重合体を得、次いでこれを高真空下で長時
間加熱撹拌して重縮合させる方法が一般に実施されてい
る。たとえば、特開平5−310898号公報には、グ
リコール成分とジカルボン酸成分から触媒の存在下、1
80〜230℃、0.05〜0.1mmHgの条件下で脱グ
リコール反応を行って、高分子量脂肪族ポリエステルを
製造することが提案されている。さらに特開平6−32
2081号公報には、グリコール成分とジカルボン酸成
分から触媒の存在下、240℃、1mmHg以下の条件を含
む反応条件下で、高分子量脂肪族ポリエステルを製造す
ることが提案されている。
【0003】しかしながら、高真空下に長時間重縮合す
るというこれらの方法では、エステル化反応で生成する
水やエステル交換反応で生成するグリコールはもとよ
り、長い時間にわたって高真空に保つため、副生物およ
び解重合による低分子化合物が多量に生成する。これら
揮発分はほとんど利用されることがないため、経済的に
大きな問題であった。さらに、これら揮発分による減圧
度の低下、真空ポンプの性能低下などにより、反応時間
が著しく長くなったり、所定の分子量まで到達しなかっ
たりするなどの問題もあった。
【0004】また、このような高真空を保つためのポン
プは特殊なポンプで高価であるばかりか、高真空を保つ
ための保守・整備にかなりの労力を必要とするので工業
的であるとはとても言えない。
【0005】高分子量脂肪族ポリエステルを工業的に製
造するためには、通常の飽和ポリエステル、いわゆるP
ET等の製造に使われている減圧度が0.5mmHg、望ま
しくは1mmHg程度までの汎用のポンプで製造できる製造
方法の開発が必要不可欠である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは高分子
量脂肪族ポリエステルの製造についてかねてより鋭意研
究を行ったところ、従来の方法では長い時間にわたって
高真空に保つため、反応中に生成する揮発分が著しく多
く、このことが反応系内の減圧度の低下、真空ポンプの
性能低下などをひきおこし、反応時間が著しく長くなっ
たり、所定の分子量まで到達しなかったりするなどの問
題があることが判明した。さらに、これら揮発分は利用
されることがないため、経済的に大きな問題であること
もわかった。
【0007】特にエステル交換反応である脱グリコール
化工程、数平均分子量5000以上になってからの反応
条件は、従来、反応系内の減圧度として1.0mmHg以
下、望ましくは0.5mmHg以下の高真空が不可欠の条件
とされてきた(例えば特開平5−310898号公報、
特開平6−322081号公報)。
【0008】このように減圧度が0.5mmHgよりも高い
高真空を維持するとポリエステルの分解反応に起因する
オリゴマーの生成により揮発分が著しく多くなり、反応
中に反応容器とトラップの間に大量の揮発分が詰まり、
真空ラインの閉塞をおこし、たびたび反応を中断するこ
とになったり、あるいは大量の揮発分が発生するのでト
ラップでは揮発分を取りきれずに、真空ポンプのオイル
へのオリゴマーの混入などを引き起こし、減圧度の低下
をまねき反応時間が著しく長くなる。その結果、熱履歴
が長くなり更にポリエステルの分解反応が起こりオリゴ
マーの生成が増えると言った悪循環を引き起こす。
【0009】また、オリゴマーの生成そのものは、ポリ
エステル収率の著しい低下を意味し、コストアップとな
り工業的な製造方法とは言いがたい。
【0010】更に、このような高真空を保つためのポン
プは特殊なポンプで高価であるばかりか、オリゴマー飛
散による性能低下は著しく、高真空を保つための保守・
整備にかなりの労力を必要とする。場合によっては、製
造中に反応をいったん中断し、ポンプを整備することも
度々であり工業的であるとはとても言えない。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたものであり、したがって本発明の目的
は、汎用のポンプを用いることができ、実用的な減圧度
で副生物および解重合による低分子化合物の発生を低く
抑え、高分子量脂肪族ポリエステルを工業的に効率よ
く、かつ経済的に製造する方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、数平均
分子量10000〜100000の高分子量脂肪族ポリ
エステルを触媒の存在下で、脱水縮合反応および/また
はエステル交換反応で製造するに際し、高粘度用反応装
置を用いることにより、前記問題点が解消され工業的に
も経済的にも極めて有用な製造方法を完成するに至っ
た。
【0013】すなわち、本発明は、数平均分子量100
00〜100000の高分子量脂肪族ポリエステルを、
触媒の存在下で脱水縮合反応および/またはエステル交
換反応で製造するに際し、高粘度用反応装置を用いるこ
とを特徴とする高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法
に関する。
【0014】前記高分子量脂肪族ポリエステルは、例え
ば炭素数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数
が2〜4の脂肪族グリコール成分とから得られるもので
ある。 また前記高分子量脂肪族ポリエステルは、例え
ば無水コハク酸を主成分とする環状酸無水物と、酸化エ
チレンを主成分とする環状エーテルとの開環共重合を含
む工程により得られるものである。
【0015】前記高粘度用反応装置は、(1)変形翼を
連ねた攪拌軸を並べて配置した横型2軸混練装置、
(2)並べて配置された2本の攪拌軸と、前記各攪拌軸
に位相を変化させて組み込まれた凸レンズ形状のパドル
とを有するセルフクリーニング型の横型2軸混練装置、
(3)格子状の翼を連ねた軸無し構造の攪拌部を並べて
配置した横型2軸混練装置、(4)メガネ状の翼を連ね
た攪拌軸を並べて配置した横型2軸混練装置、(5)内
側に配置された板状攪拌翼と、前記板状攪拌翼の外側に
同芯に配置された変形螺旋状翼とを有する縦型混練装
置、(6)逆円錐リボン翼を有する縦型混練装置、およ
び(7)ねじり格子状の翼を連ねた軸無し構造の攪拌翼
を有する縦型混練装置からなる群より選ばれた何れか1
種の装置が好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、数平均分子量1000
0〜100000の高分子量脂肪族ポリエステルを、触
媒の存在下で脱水縮合反応および/またはエステル交換
反応により製造する際に用いられるものである。触媒の
存在下で脱水縮合反応および/またはエステル交換反応
により高分子量脂肪族ポリエステルを得る方法として
は、特に限定されないが、その具体的製造方法として
は、例えば、 (i)多塩基酸(あるいはそのエステル)とグリコール
とを重縮合する方法 (ii)環状酸無水物と環状エーテルとを開環重合させ
てから、さらに重縮合する方法 等が挙げられる。
【0017】したがって本発明で言う高分子量脂肪族ポ
リエステル原料とは、例えば(i)の方法の場合、多塩
基酸(あるいはそのエステル)とグリコールと触媒とを
示し、(ii)の方法の場合、環状酸無水物と環状エー
テルと触媒とを示す。
【0018】(i)の方法で用いられる多塩基酸は、二
官能以上の多価カルボン酸またはその無水物および三官
能以上のオキシカルボン酸から選ばれたものであるが、
酸成分とアルコール成分とが直線状に結合したポリエス
テルを生成するためにはカルボキシル基を1分子中に2
個有するものが好ましい。
【0019】(i)の方法で用いられる多塩基酸として
は、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカ
ンジカルボン酸、ダイマー酸あるいはそれらのエステル
等が挙げられ、酸無水物としては、例えば無水コハク
酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル
酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、無水フタル
酸、無水トリメリット酸、二無水ピロメリット酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,
2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、無水マレイン
酸単独重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、
無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイン酸−
イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブチルビ
ニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−アクリロニト
リル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合体など
が挙げられ、三官能以上のオキシカルボン酸としてはリ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0020】(i)の方法で用いられるグリコールとし
ては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコー
ル等が挙げられる。また、グリコール成分の一部として
ポリオキシアルキレングリコールを使用することも可能
であり、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレン
グリコールおよびこれらの共重合体が例示される。ま
た、グリコール成分の一部として三官能以上の多価アル
コールを使用することも可能であり、例えばグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリットなど
が例示される。また、グリコール成分の一部としてジエ
ポキシドを使用することも可能であり、例えば(ポリ)
エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラ
メチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシン
ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリ
シジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ο−フ
タル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビ
スフェノールSジグリシジルエーテル、グリセロールジ
グリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエー
テル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
ポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジ
ルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレート、グリセロールトリグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テルなどが挙げられる。これらのうちで、得られるポリ
エステルの融点、生分解性、経済性を考慮すると、炭素
数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数が2〜
4の脂肪族グリコール成分との組合せが好ましく、コハ
ク酸とエチレングリコールとの組合せ、及び/またはコ
ハク酸と1,4ーブタンジオールとの組合せがさらに好
ましい。
【0021】高分子量脂肪族ポリエステルの製造に際し
ては多塩基酸(あるいはそのエステル)成分およびグリ
コール成分の全量を初期混合し反応させてもよく、また
は反応の進行にともなって分割して添加してもさしつか
えない。重縮合反応としては通常のエステル化反応をお
こなってからエステル交換法により重合度を上げる。こ
の際、エステル化反応とエステル交換反応の区別は必ず
しも明確である必要はない。
【0022】エステル化反応およびエステル交換反応に
は通常、少量の触媒を用いる必要がある。脱水縮合によ
るエステル化法とエステル交換反応を併用する場合は、
無触媒でエステル化をおこなってから触媒を用いたエス
テル交換反応をおこなうこともできる。触媒としては、
通常用いられているものであれば特に制限はないが、T
i、Ge、Zn、Fe、Mn、Co、Zr、Hf、V、
Ir、La、Ce、Li、Ca、Mg、Sn、Ba、N
i等の有機金属化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、
金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫酸
塩、硝酸塩、塩化物が挙げられる。触媒の使用量は、通
常得られる高分子量脂肪族ポリエステル100重量部に
対して、0.001〜5重量部であり、このましくは
0.01から0.5重量部である。
【0023】(ii)の方法で用いられる環状酸無水物
は、酸無水物基を1分子中に1個有していてもよいし2
個以上有していてもよいが、酸成分とアルコール成分と
が直線状に結合したポリエステルを生成するためには酸
無水物基を1分子中に1個有するものが好ましい。(i
i)の方法で用いられる環状酸無水物としては、例えば
無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
グルタル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、無水
フタル酸、無水トリメリット酸、二無水ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ブタン
−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、無水マ
レイン酸単独重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重
合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイ
ン酸−イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブ
チルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−アクリ
ロニトリル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合
体などが挙げられる。
【0024】(ii)の方法で用いられる環状エーテル
は、エポキシ基を1分子中に1個有していてもよいし2
個以上有していてもよいが、酸成分とアルコール成分と
が直線状に結合した脂肪族ポリエステルを生成するため
にはエポキシ基を1分子中に1個有するものが好まし
い。(ii)の方法で用いられる環状エーテルとして
は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シ
クロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロ
ヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシ
ジルエーテル、テトラヒドロフラン、オキセパン、1,
3−ジオキソラン、(ポリ)エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリ
シジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジ
グリシジルエステル、ο−フタル酸ジグリシジルエステ
ル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノ
ンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジ
ルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、
ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジ
ルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロール
プロパンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。こ
れらのうちで、得られるポリエステルの融点、生分解
性、経済性を考慮すると無水コハク酸とエチレンオキシ
ドとの組合せが好ましい。開環重合は公知の開環重合触
媒を用い、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行
うことができる。
【0025】このような高分子量脂肪族ポリエステルを
得る方法のなかで比較的短い時間で工業的に効率よく製
造できる方法として、(ii)の環状酸無水物と環状エ
ーテルとを開環重合する工程を含む方法が好ましい。以
下、環状酸無水物と環状エーテルの開環重合についてさ
らに詳しく説明する。
【0026】本発明で用いられる無水コハク酸等の環状
酸無水物は、これまで単独重合しないことが知られてい
た。このような単独重合しない環状酸無水物に対し、重
合触媒の存在下に環状エーテルを逐次的に添加して重合
させることによって、実質的に酸成分とアルコール成分
が交互共重合したポリエステルが短時間で生成させ得
る。
【0027】重合は溶媒中での重合や塊状重合等の方法
により行うことができる。溶媒中での重合では環状酸無
水物は溶媒に溶解させて用い、塊状重合では環状酸無水
物を溶融させてから本発明に用いる。
【0028】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行うことができ、その際使用される溶媒としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n
−ヘキサン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロロエタ
ンなどの不活性溶媒をあげることができる。
【0029】重合触媒としては、特に限定はなく、通常
ポリエステルを開環重合する際に使用するものを用い
る。例えばテトラメトキシジルコニウム、テトラエトキ
シジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニ
ウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ
−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジ
ルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プ
ロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアル
ミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−i
so−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシ
アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−iso−
プロポキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エ
チルアセトアセテート)、テトラエトキシチタン、テト
ラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキ
シチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−se
c−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、ト
リ−iso−プロポキシガリウム、トリ−iso−プロ
ポキシアンチモン、トリ−iso−ブトキシアンチモ
ン、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−
iso−プロポキシボロン、トリ−n−プロポキシボロ
ン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−n−ブトキ
シボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−t−
ブトキシボロン、トリ−iso−プロポキシガリウム、
テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニ
ウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テト
ラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブ
トキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウ
ム、テトラ−sec−ブトキシゲルマニウム、テトラ−
t−ブトキシゲルマニウムなどの金属アルコキド;五塩
化アンチモン、塩化亜鉛、臭化リチウム、塩化すず(I
V)、塩化カドミウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテ
ルなどのハロゲン化物;トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、トリ−iso−
ブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジメ
チル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛などのア
ルキル亜鉛;トリアリルアミン、トリエチルアミン、ト
リ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミンなど
の三級アミン;リンタングステン酸、リンモリブデン
酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸およびその
アルカリ金属塩;酸塩化ジルコニウム、オクチル酸ジル
コニール、ステアリン酸ジルコニール、硝酸ジルコニー
ルなどのジルコニウム化合物等が挙げられ、中でもオク
チル酸ジルコニール、テトラアルコキシジルコニウム、
トリアルコキシアルミニウム化合物が特に好ましい。
【0030】重合触媒の使用量には特に制限はないが、
通常環状酸無水物および環状エーテルの合計量に対して
0.001〜10重量%である。重合触媒の添加方法は
環状酸無水物に添加しておいてもよく、環状エーテルの
ように逐次添加してもよい。
【0031】重合温度は環状酸無水物と環状エーテルが
反応する温度であれば特に制限はないが、10〜250
℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは10
0〜150℃である。反応に際して、反応容器内の圧力
は反応温度および溶媒の有無や溶媒の種類によって異な
るが、環状エーテルの逐次的な添加による圧力の上昇に
伴う未反応環状エーテルの増加は、反応生成物中のポリ
エーテル成分を増やすことになり好ましくない。したが
って、反応容器内の圧力は常圧〜50kgf/cm2が好まし
く、より好ましくは常圧〜15kgf/cm2 となるように環
状エーテルを添加する。
【0032】環状エーテルの逐次添加は、環状酸無水物
100重量部に対し1時間あたり環状エーテルを3〜9
0重量部が好ましく、より好ましくは5〜50重量部の
割合で行なう。環状エーテルの添加速度が下限の3重量
部より遅い場合には、反応が長時間となり生産性が低下
するなど工業的に好ましくない。また、上限の90重量
部より速い場合には、反応生成物中のポリエーテル成分
が増加して融点の低いポリエステルしか得られなくな
る。
【0033】なお、環状エーテルの逐次添加とは、環状
エーテルを一括して添加しないことであり、連続的に滴
下する方法や多段階に分割して断続的に添加する方法の
いずれでもよい。好ましくは添加量が経時的に大きく変
動しないように連続的に添加するのがよい。
【0034】本発明における環状酸無水物および環状エ
ーテルの反応比率は、これらのモル比で40/60〜6
0/40の比率となるようにするのが好ましく、残存環
状酸無水物およびポリエステルの末端カルボキシル基が
ポリエステルの物性を低下させることを考慮すると環状
エーテルを過剰に添加するために40/60〜49/5
1の比率となるようにするのがさらに好ましい。このよ
うにすることにより、ポリエステルの末端カルボキシル
基の50%未満がカルボキシル基となり、耐熱性が向上
する。この比率の範囲をはずれると、未反応モノマーが
増大して収率が低下することがある。本発明で前記モル
比を考慮して決定した所定量の環状エーテルを逐次添加
し終わった後、前記反応温度で重合を継続して熟成する
のが好ましい。熟成反応後に重合系から生成したポリエ
ステルを分離すればよい。
【0035】(ii)の方法によって得られたポリエス
テルの分子量が低い場合、さらにエステル交換反応で高
分子量化することもできる。
【0036】本発明の実施に用いる高粘度用反応装置と
しては、一般的に高粘度の物質を攪拌、混練できるもの
であれば形式は問わない。処理する内容物の粘度が反応
温度において50ポイズ以上、好ましくは100ポイズ
以上の場合でも攪拌可能なもので、バッチ式あるいは連
続式でも良く、縦型あるいは横型でも良い。
【0037】連続式の高粘度用反応装置の一例として、
図1に示す横型2軸混練装置((株)栗本鉄工所製、商
品名「KRCニーダ」)がある。
【0038】この混練装置1は、ニーダ本体2と、ニー
ダ本体2に粉体または粒体を定量供給する固体供給部3
と、ニーダ本体2に液体またはスラリ状液体を定量供給
する液体供給部4と、ニーダ本体2を加熱・冷却するた
めの加熱・冷却装置5とを備えている。
【0039】ニーダ本体2は、モータ及び減速装置から
なる駆動部10と、2つ割りのトラフ11と、トラフ1
1に回転自在に支持され、駆動部10により駆動される
2本の攪拌軸12(図2)とを有している。図2に示す
ように、攪拌軸12には、凸レンズ形状のパドル13を
含む各種パドル及びスクリュー(図示せず)が軸方向に
並べて組み込まれている。各パドル13は、数枚単位で
位相をずらして配置されている。この結果、トラフ11
内に供給された2種の原料が高粘度であっても効率よく
短時間に混練・搬送される。
【0040】この混練装置1では、たとえば環状酸無水
物(A)と環状エーテル(B)とを開環共重合して得ら
れたポリエステルを固体供給部3に収容し、酸化防止剤
を液体供給部4に、または結晶核剤を固体供給部3に収
容する。そして、2種の材料を供給部3,4からトラフ
11内に定量供給し、ポリエステルを加熱溶融させて減
圧下、酸化防止剤または結晶核剤と混練しながらエステ
ル交換反応させる。これにより、高分子量脂肪族ポリエ
ステルが生成される。
【0041】その他、連続式の高粘度用反応装置として
は、2軸横型混練装置で攪拌翼がメガネ翼のもの
((株)日立製作所製、商品名「日立メガネ翼重合
機」)、攪拌翼が格子翼のもの((株)日立製作所製、
商品名「日立格子翼重合機」)、攪拌翼が花びら状のも
の、攪拌翼が偏芯ディスク状のセルフクリーニング型の
もの(三菱重工業(株)製、商品名「SCR」)、攪拌
翼が中空円板翼または三枚羽根翼のもの(三菱重工業
(株)製、商品名「HVR」)等がある。また、(株)
日本製鋼所製、商品名「TEX−K」やプラスチックの
押出成形あるいは脱揮等に広く用いられている一軸又は
二軸の押出機等を用いても良い。
【0042】また、バッチ式の高粘度用反応装置として
は、縦型混練装置で攪拌翼が同芯に配置された2軸に組
み込まれたもの、攪拌翼が逆円錐リボン形状のもの(三
菱重工業(株)製、商品名「VCR」)、攪拌翼がねじ
り格子翼のもの((株)日立製作所製、商品名「日立ね
じり格子翼式リアクタ」)等がある。
【0043】このようにして得られた高分子量脂肪族ポ
リエステルは、押し出し成形、射出成形、中空成形、真
空成形等の通常の成型方法に適用することができ、各種
部品、容器、資材、器具、フィルム、シート、繊維等の
成型品とすることができる。
【0044】前記高粘度用反応装置を用いるときの反応
条件は、例えば(i)の方法でのエステル化反応の条件
としては公知の方法で何ら問題はない。例えば反応温度
180〜280℃、常圧〜1mmHgの減圧度で反応させて
引き続きエステル交換反応をおこなう。ここでの反応温
度、減圧度とは高粘度用反応装置内の値を示し、例えば
図1の場合、トラフ11の内容物の値である。
【0045】エステル交換反応の条件としては、反応温
度180〜280℃、好ましくは230〜270℃、減
圧度0.5mmHg以上、好ましくは1.0mmHg以上、さら
に好ましくは1.0〜3.0mmHgで、かつ反応容器中の
生成物の数平均分子量が5000以上になってから減圧
度を0.5mmHg〜3.0mmHg、好ましくは1.0〜3.
0mmHgである。反応温度がこの範囲より低い場合は、反
応時間が著しく長くなり、この範囲より高い場合は、著
しく着色したり、揮発分が多くなったりして、工業的に
不利である。減圧度は0.5mmHg以下の場合、すなわち
高真空になると副生物および解重合による低分子化合物
が多量に生成する。これら揮発分発生による減圧度の低
下、真空ポンプの性能低下などにより、反応時間が著し
く長くなったり、所定の分子量まで到達しなかったりす
る。さらに、揮発分の発生により収率は著しく低下し、
これら揮発分は例え回収されても利用されることがない
ため、経済的に大きな問題となる。減圧度が3.0mmHg
よりも低い場合は、反応時間が著しく長くなり、工業的
に不利である。
【0046】(ii)の方法によって得られたポリエス
テルをさらにエステル交換反応で高分子量化する場合に
は、反応温度180〜280℃、好ましくは230〜2
70℃、減圧度0.5mmHg以上、好ましくは1.0mmHg
以上、さらに好ましくは1.0〜3.0mmHg、かつ反応
容器中の生成物の数平均分子量が5000以上になって
から減圧度を0.5mmHg〜3.0mmHg、好ましくは1.
0〜3.0mmHgである。反応温度がこの範囲より低い場
合は、反応時間が著しく長くなり、この範囲より高い場
合は、著しく着色したり、揮発分が多くなったりして、
工業的に不利である。減圧度は0.5mmHg以下の場合、
すなわち高真空になると副生物および解重合による低分
子化合物が多量に生成する。これら揮発分発生による減
圧度の低下、真空ポンプの性能低下などにより、反応時
間が著しく長くなったり、所定の分子量まで到達しなか
ったりする。さらに、揮発分の発生により収率は著しく
低下し、これら揮発分は例え回収されても利用されるこ
とがないため、経済的に大きな問題となる。減圧度が
3.0mmHgよりも低い場合は、反応時間が著しく長くな
り、工業的に不利である。
【0047】さらに、高分子量脂肪族ポリエステルの製
造の全工程にわたって、生成揮発分をより少量に抑える
には、水などの生成がない開環重合による工程を含むこ
とがより好ましい。
【0048】本発明により得られた高分子量脂肪族ポリ
エステルの分子量は数平均で10000〜100000
の範囲である。脂肪族ポリエステルをフィルム、シー
ト、その他成型物として利用するには数平均分子量が少
なくとも10000以上必要である。これよりも低くな
ると脆かったり、延伸できないなど工業的に問題があ
り、鎖延長剤と反応させて高分子量化することも可能で
あるが、工程が多段階になったり、使用した鎖延長剤が
フィルムのフィッシュアイの原因になったりして工業的
に不利である。熱的な劣化や強度などを考慮すると高分
子量脂肪族ポリエステルの数平均分子量は25000以
上が好ましく、40000以上が更に好ましい。また、
数平均分子量を100000以上にするには反応に長時
間要し、工業的に不利である。長時間反応することによ
り生成揮発分が多くなるので、数平均分子量は1000
00以下であり、80000以下が好ましく、7000
0以下が更に好ましい。
【0049】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルに
は、必要に応じて他の成分、例えば結晶核剤、顔料、染
料、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、
安定剤、充填剤、強化材、難燃剤、可塑剤、他の重合体
を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができ
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。なお、例中の部は重量部を表わす。
【0051】実施例で実施した評価方法は以下の通りで
ある。結果をまとめて表1に示した。
【0052】(分子量)ゲルパーミエーションクロマト
グラフを用いてポリスチレン換算の数平均分子量を測定
した。
【0053】(融点)DSCにて測定した。
【0054】(生分解性試験)130℃、150kg/c
m2、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ200ミクロ
ンのフィルムを作成し、得られたフィルムを土壌を仕込
んだプランター中に埋設して、一日一回散水し23℃、
相対湿度65%の恒温恒湿室中に保存し、100日後の
外観変化を観察した。
【0055】なお、土壌は箕面市小野原および吹田市西
御旅町で採取したもの、腐葉土を3:1:3の割合で混
合したものを使用した。
【0056】結果は下記の通りに記載した。
【0057】(+):外観変化が認められた。
【0058】(−):外観変化が認められなかった。 (実施例1)攪拌機、出口にドライアイス−メタノール
に浸したトラップを備えたウィグリュー分留管、及びガ
ス導入管を付した三つ口フラスコに、無水コハク酸(和
光純薬社製、純度98.8%)120.08部、エチレ
ングリコール76.63部を入れ、オイルバス中に浸し
た。オイルバスを昇温し、窒素をゆっくり流し、温度1
85℃、常圧〜1.0mmHgの減圧度で52時間要して生
成する水と過剰のエチレングリコールを留去し、数平均
分子量6000のポリエステルを得た。
【0059】次いで、得られたポリエステル70.0部
とテトラ−n−ブチルチタネート0.0026部をセル
フクリーニング型2軸混合機((株)栗本鉄工所製S1
KRCリアクター、内径25mm、L/D=10.2)
に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気流中、ド
ライアイス−メタノールに浸したトラップを備えた真空
ポンプで1.0〜1.2mmHgの減圧下、100rp
m、ジャケット温度240℃の条件で4.5時間反応さ
せ、高分子量脂肪族ポリエステル(1)を得た。GPC
測定による数平均分子量は51000、DSC測定によ
る融点は、104.0であった。また、トラップ、真空
ラインに付着した揮発分は仕込んだポリエステルに対し
て7.0重量%であった。
【0060】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0061】(実施例2)攪拌機、出口にドライアイス
−メタノールに浸したトラップを備えたウィグリュー分
留管、及びガス導入管を付した三つ口フラスコに、無水
コハク酸(和光純薬社製、純度98.8%)200.1
4部、エチレングリコール248.28部、及びテトラ
−n−ブチルチタネート0.36部を入れ、オイルバス
中に浸した。オイルバスを昇温し、窒素をゆっくり流
し、温度200℃、常圧〜10.0mmHgの減圧度で17
時間要して生成する水と過剰のエチレングリコールを留
去し、数平均分子量5500のポリエステルを得た。
【0062】次いで、得られたポリエステル70.0部
とテトラ−n−ブチルチタネート0.055部とを、セ
ルフクリーニング型2軸混合機((株)栗本鉄工所製S
1KRCリアクター、内径25mm、L/D=10.
2)に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気流
中、ドライアイス−メタノールに浸したトラップを備え
た真空ポンプで1.1〜1.3mmHgの減圧下、10
0rpm、ジャケット温度240℃の条件で4.0時間
反応させ、高分子量脂肪族ポリエステル(2)を得た。
GPC測定による数平均分子量は57000、DSC測
定による融点は、103.8であった。また、トラッ
プ、真空ラインに付着した揮発分は仕込んだポリエステ
ルに対して7.5重量%であった。
【0063】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0064】(実施例3)オートクレーブに、無水コハ
ク酸(和光純薬社製、純度98.8%)100.1部お
よびオクチル酸ジルコニール2.99部を加え、窒素置
換を行った。次いで撹拌下にオートクレーブを徐々に1
30℃まで昇温して無水コハク酸を溶融し、同温度でオ
ートクレーブ内の圧力を4.0〜8.1kgf/cm2 に維持
しながら、酸化エチレン(日本触媒社製、純度99.9
%以上)231.26部を1時間あたり42部の添加速
度で5.5時間にわたって連続的に導入した。酸化エチ
レン導入後130℃で1.0時間熟成反応を行ってから
系を常温にもどすことにより、ポリエステルを得た。G
PC測定による数平均分子量は11400、DSCによ
る融点は103.1℃であった。
【0065】次いで、得られたポリエステル70.0部
をセルフクリーニング型2軸混合機((株)栗本鉄工所
製S1KRCリアクター、内径25mm、L/D=1
0.2)に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気
流中、ドライアイス−メタノールに浸したトラップを備
えた真空ポンプで1.1〜1.3mmHgの減圧下、1
00rpm、ジャケット温度240℃の条件で3.0時
間反応させ、高分子量脂肪族ポリエステル(3)を得
た。GPC測定による数平均分子量は55000、DS
C測定による融点は、104.3であった。また、トラ
ップ、真空ラインに付着した揮発分は仕込んだポリエス
テルに対して6.5重量%であった。
【0066】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0067】(実施例4)十分に窒素置換して乾燥した
高粘度用攪拌装置付きの1リットルのオートクレーブ
に、無水コハク酸386.0部(ロンザ社製、純度9
9.8%)と、水素化カルシウムで脱水乾燥後、濾過し
たオクチル酸ジルコニール2.31部(第一稀元素化学
工業社製、酸含有率;無水コハク酸に対して0.008
モル%以下、水含有率;無水コハク酸に対して0.02
モル%以下)とを加え、窒素置換を行った。次いで撹拌
下にオートクレーブを徐々に130℃まで昇温して無水
コハク酸を溶融し、同温度でオートクレーブ内の圧力を
4.2〜7.5kgf/cm2 に維持しながら、酸化エチレン
179.85部(日本触媒社製、純度99.9%以上)
を1時間あたり27.7部の添加速度で6.5時間にわ
たって連続的に導入した。酸化エチレン導入後130℃
で1.0時間熟成反応を行ってから系を常温にもどすこ
とにより、ポリエステルを得た。GPC測定による数平
均分子量は37800、DSCによる融点は101.3
℃であった。
【0068】次いで、得られたポリエステル70.0部
をセルフクリーニング型2軸混合機((株)栗本鉄工所
製S1KRCリアクター、内径25mm、L/D=1
0.2)に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気
流中、ドライアイス−メタノールに浸したトラップを備
えた真空ポンプで1.1〜1.3mmHgの減圧下、1
00rpm、ジャケット温度240℃の条件で1.5時
間反応させ、高分子量脂肪族ポリエステル(4)を得
た。GPC測定による数平均分子量は58000、DS
C測定による融点は、104.1であった。また、トラ
ップ、真空ラインに付着した揮発分は仕込んだポリエス
テルに対して4.5重量%であった。
【0069】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0070】(比較例1)実施例3で得られたポリエス
テル70.0部を、温度計、攪拌装置および窒素導入管
を付した100ミリリットルのセパラブルフラスコに加
え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気流中、ドライ
アイス−メタノールに浸したトラップを備えた真空ポン
プで1.0〜1.2mmHgの減圧下、温度240℃の
条件で4.0時間反応させ、比較ポリエステル(1)を
得た。GPC測定による数平均分子量は23000、D
SC測定による融点は、103.2℃であった。また、
トラップ、三つ口フラスコの上部に付着した揮発分は仕
込んだポリエステルに対して8.3重量%であった。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、高粘度用反応装置を用
いて反応工程を実施するので、高融点で生分解性を有す
る高分子量脂肪族ポリエステルを高真空にすることなく
短い反応時間で工業的に効率よく合成することができ
る。
【0073】本発明で得られる高分子量脂肪族ポリエス
テルは、比較的高分子量で構造中にポリエーテル成分を
ほとんど有しない高融点のものであるため、フィルムや
シート等への成形加工が容易となり、成形品としての耐
久性にもすぐれている。したがって、本発明で得られる
高分子量脂肪族ポリエステルは、使い捨ての包装材料や
日用雑貨品等に有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に用いる高粘度用反応
装置の一例を示す斜視図。
【図2】高粘度用反応装置の断面図。
【符号の説明】
1 混練装置 12 攪拌軸 13 パドル
フロントページの続き (72)発明者 城島 理浩 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量10000〜100000
    の高分子量脂肪族ポリエステルを、触媒の存在下で脱水
    縮合反応および/またはエステル交換反応により製造す
    るに際し、高粘度用反応装置を用いることを特徴とする
    高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子量脂肪族ポリエステルは、炭
    素数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数が2
    〜4の脂肪族グリコール成分とから得られるものであ
    る、請求項1に記載の高分子量脂肪族ポリエステルの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子量脂肪族ポリエステルは、無
    水コハク酸を主成分とする環状酸無水物と、酸化エチレ
    ンを主成分とする環状エーテルとの開環共重合を含む工
    程より得られるものである、請求項1に記載の高分子量
    脂肪族ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高粘度用反応装置は、下記(1)〜
    (7)の装置からなる群より選ばれた何れか1種の装置
    である、請求項1から3のいずれか1項に記載の高分子
    量脂肪族ポリエステルの製造方法。 (1)変形翼を連ねた攪拌軸を並べて配置した横型2軸
    混練装置 (2)並べて配置された2本の攪拌軸と、前記各攪拌軸
    に位相を変化させて組み込まれた凸レンズ形状のパドル
    とを有するセルフクリーニング型の横型2軸混練装置 (3)格子状の翼を連ねた軸無し構造の攪拌部を並べて
    配置した横型2軸混練装置 (4)メガネ状の翼を連ねた攪拌軸を並べて配置した横
    型2軸混練装置 (5)内側に配置された板状攪拌翼と、前記板状攪拌翼
    の外側に同芯に配置された変形螺旋状翼とを有する縦型
    混練装置 (6)逆円錐リボン翼を有する縦型混練装置 (7)ねじり格子状の翼を連ねた軸無し構造の攪拌翼を
    有する縦型混練装置
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