JP3202912B2 - 高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法

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JP3202912B2 JP34227695A JP34227695A JP3202912B2 JP 3202912 B2 JP3202912 B2 JP 3202912B2 JP 34227695 A JP34227695 A JP 34227695A JP 34227695 A JP34227695 A JP 34227695A JP 3202912 B2 JP3202912 B2 JP 3202912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量脂肪族ポ
リエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ポリエステルは一般に生分解性が
認められており、単独あるいは種々の添加剤を配合して
繊維、成型品、シートやフィルムに使用することが期待
されている。このようなポリエステルを製造する方法と
しては、ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化
させるか、又はジカルボン酸のアルキルエステルとグリ
コールとをエステル交換させてグリコールエステル及び
/又はその低重合体を得、次いでこれを高真空下で長時
間加熱撹拌して重縮合させる方法が一般に実施されてい
る。たとえば、特開平5−310898号公報には、グ
リコール成分とジカルボン酸成分から触媒の存在下、1
80〜230℃、0.05〜0.1mmHgの条件下で脱グ
リコール反応を行って、高分子量脂肪族ポリエステルを
製造することが提案されている。さらに特開平6−32
2081号公報には、グリコール成分とジカルボン酸成
分から触媒の存在下、240℃、1mmHg以下の条件を含
む反応条件下で、高分子量脂肪族ポリエステルを製造す
ることが提案されている。
【0003】しかしながら、高真空下に長時間重縮合す
るというこれらの方法では、エステル化反応で生成する
水やエステル交換反応で生成するグリコールはもとよ
り、長い時間にわたって高真空に保つため、副生物およ
び解重合による低分子化合物が多量に生成する。これら
揮発分はほとんど利用されることがないため、経済的に
大きな問題であった。さらに、これら揮発分による減圧
度の低下、真空ポンプの性能低下などにより、反応時間
が著しく長くなったり、所定の分子量まで到達しなかっ
たりするなどの問題もあった。
【0004】また、このような高真空を保つためのポン
プは特殊なポンプで高価であるばかりか、高真空を保つ
ための保守・整備にかなりの労力を必要とするので工業
的であるとはとても言えない。
【0005】高分子量脂肪族ポリエステルを工業的に製
造するためには、通常の飽和ポリエステル、いわゆるP
ET等の製造に使われている減圧度が0.5mmHg、望ま
しくは1mmHg程度までの汎用のポンプで製造できる製造
方法の開発が必要不可欠である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者らは高分子
量脂肪族ポリエステルの製造についてかねてより鋭意研
究を行ったところ、従来の方法では長い時間にわたって
高真空に保つため、反応中に生成する揮発分が著しく多
く、このことが反応系内の減圧度の低下、真空ポンプの
性能低下などをひきおこし、反応時間が著しく長くなっ
たり、所定の分子量まで到達しなかったりするなどの問
題があることが判明した。さらに、これら揮発分は利用
されることがないため、経済的に大きな問題であること
もわかった。
【0007】特にエステル交換反応である脱グリコール
化工程、数平均分子量5000以上になってからの反応
条件は、従来、反応系内の減圧度として1.0mmHg以
下、望ましくは0.5mmHg以下の高真空が不可欠の条件
とされてきた(例えば特開平5−310898公報、特
開平6−322081公報)。
【0008】このように減圧度が0.5mmHgよりも高い
高真空を維持するとポリエステルの分解反応に起因する
オリゴマーの生成により揮発分が著しく多くなり、反応
中に反応容器とトラップの間に大量の揮発分が詰まり、
真空ラインの閉塞をおこし、たびたび反応を中断するこ
とになったり、あるいは大量の揮発分が発生するのでト
ラップでは揮発分を取りきれずに、真空ポンプのオイル
へのオリゴマーの混入などを引き起こし、減圧度の低下
をまねき反応時間が著しく長くなる。その結果、熱履歴
が長くなり更にポリエステルの分解反応が起こりオリゴ
マーの生成が増えると言った悪循環を引き起こす。
【0009】また、オリゴマーの生成そのものは、ポリ
エステル収率の著しい低下を意味し、コストアップとな
り工業的な製造方法とは言いがたい。
【0010】更に、このような高真空を保つためのポン
プは特殊なポンプで高価であるばかりか、オリゴマー飛
散による性能低下は著しく、高真空を保つための保守・
整備にかなりの労力を必要とする。場合によっては、製
造中に反応をいったん中断し、ポンプを整備することも
度々であり工業的であるとはとても言えない。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたものであり、したがって本発明の目的
は、汎用のポンプを用いることができ、実用的な減圧度
で副生物および解重合による低分子化合物の発生を低く
抑え、高分子量脂肪族ポリエステルを工業的に効率よ
く、かつ経済的に製造する方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、エステ
ル交換反応を含む工程により、高分子量脂肪族ポリエス
テルを製造する方法について鋭意検討した結果、(1)
前記エステル交換反応は、反応系内からグリコールを除
去することにより高分子量化する反応であるから、高分
子量の脂肪族ポリエステルを得るには、反応系内からで
きるだけ速やかにグリコールを除去することが必要であ
ること、(2)グリコールの除去が効率よく行われなけ
れば、反応時間が長くなり、その結果、熱分解など好ま
しくない副反応が起こりオリゴマーの生成により揮発分
が著しく多くなること、(3)このような理由から従
来、系内からグリコールを除去するため非常に高真空な
反応条件が不可欠とされてきたこと、(4)さらに系内
を高真空にすることにより反応の平衡をオリゴマー生成
の方向にずらすことになり悪循環となること、等の知見
を得た。
【0013】それらの知見から、エステル交換反応を高
真空にすることなくグリコールを系内から効率よく除去
するためには、反応系の内容物の表面積を大きくするこ
とにより、著しくエステル交換反応が促進され、その結
果、これまで全く不可能と考えられていた減圧度で高分
子量の脂肪族ポリエステルを得られることを見いだし、
本発明に至った。
【0014】すなわち、本発明は、数平均分子量100
00〜100000の高分子量脂肪族ポリエステルを、
エステル交換反応を含む工程により製造するに際し、反
応系内の内容物の合計量を反応容器の内容積の70%以
下に保持して前記エステル交換反応を行うことを特徴と
する高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
【0015】本発明における「反応容器の内容積」と
は、製造に使用する反応釜、反応装置の反応に供する原
料や溶媒などの内容物を入れない空の状態での幾何学的
空間容積を示し、一般には、水で満液にしたときの水の
体積を示すことがある。
【0016】 さらに前記エステル交換反応を、反応圧
力0.5〜5.0mmHgの減圧度に保持して行うことは、
汎用のポンプを用いて反応系内からグリコールを効率よ
く除去することができ、副生物および解重合による低分
子化合物の発生を低く抑えられる点で、必要である。
【0017】なお、本願発明における反応圧力の減圧度
とは、反応系内(通常、反応容器内)の圧力の測定値を
言う。
【0018】前記高分子量脂肪族ポリエステルは、例え
ば炭素数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数
が2〜4の脂肪族グリコール成分とから得られるもので
ある。 また前記高分子量脂肪族ポリエステルは、例え
ば無水コハク酸を主成分とする環状酸無水物と、酸化エ
チレンを主成分とする環状エーテルとのを開環共重合を
含む工程により得られるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、数平均分子量1000
0〜100000の高分子量脂肪族ポリエステルを、エ
ステル交換反応を含む工程により製造するに際して用い
られるものである。エステル交換反応を含む工程により
高分子量脂肪族ポリエステルを得る方法としては特に限
定されないが、例えば触媒の存在下で、脱水縮合反応お
よび/またはエステル交換反応により高分子量脂肪族ポ
リエステルを得る方法等が挙げられ、その具体的製造方
法としては、例えば、 (i)多塩基酸(あるいはそのエステル)とグリコール
を重縮合する方法 (ii)環状酸無水物と環状エーテルを開環重合させて
から、さらに重縮合する方法 等が挙げられる。
【0020】したがって本発明で言う高分子量脂肪族ポ
リエステル原料とは、例えば(i)の方法の場合、多塩
基酸(あるいはそのエステル)とグリコールと触媒とを
示し、(ii)の方法の場合、環状酸無水物と環状エー
テルと触媒とを示す。
【0021】(i)の方法で用いられる多塩基酸は、二
官能以上の多価カルボン酸またはその無水物および三官
能以上のオキシカルボン酸から選ばれたものであるが、
酸成分とアルコール成分とが直線状に結合したポリエス
テルを生成するためにはカルボキシル基を1分子中に2
個有するものが好ましい。
【0022】(i)の方法で用いられる多塩基酸として
は、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカ
ンジカルボン酸、ダイマー酸あるいはそれらのエステル
等が挙げられ、酸無水物としては、例えば無水コハク
酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル
酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、無水フタル
酸、無水トリメリット酸、二無水ピロメリット酸、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ブタン−1,
2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、無水マレイン
酸単独重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、
無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイン酸−
イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブチルビ
ニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−アクリロニト
リル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合体など
が挙げられ、三官能以上のオキシカルボン酸としてはリ
ンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0023】(i)の方法で用いられるグリコールとし
ては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコー
ル等が挙げられる。また、グリコール成分の一部として
ポリオキシアルキレングリコールを使用することも可能
であり、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオ
キシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレン
グリコールおよびこれらの共重合体が例示される。ま
た、グリコール成分の一部として三官能以上の多価アル
コールを使用することも可能であり、例えばグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリットなど
が例示される。また、グリコール成分の一部としてジエ
ポキシドを使用することも可能であり、例えば(ポリ)
エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プ
ロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラ
メチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシン
ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリ
シジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジ
ルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ο−フ
タル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエステル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビ
スフェノールSジグリシジルエーテル、グリセロールジ
グリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエー
テル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
ポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジ
ルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレート、グリセロールトリグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テルなどが挙げられる。これらのうちで、得られるポリ
エステルの融点、生分解性、経済性を考慮すると、炭素
数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数が2〜
4の脂肪族グリコール成分との組合せが好ましく、コハ
ク酸とエチレングリコールとの組合せ、及び/またはコ
ハク酸と1,4ーブタンジオールとの組合せがさらに好
ましい。
【0024】高分子量脂肪族ポリエステルの製造に際し
ては、多塩基酸(あるいはそのエステル)成分およびグ
リコール成分の全量を初期混合し反応させてもよく、ま
たは反応の進行にともなって分割して添加してもさしつ
かえない。重縮合反応としては通常のエステル化反応を
おこなってからエステル交換法により重合度を上げる。
この際、エステル化反応とエステル交換反応の区別は必
ずしも明確である必要はない。
【0025】エステル化反応およびエステル交換反応に
は通常、少量の触媒を用いる必要がある。脱水縮合によ
るエステル化法とエステル交換反応を併用する場合は、
無触媒でエステル化をおこなってから触媒を用いたエス
テル交換反応をおこなうこともできる。触媒としては、
通常用いられているものであれば特に制限はないが、T
i、Ge、Zn、Fe、Mn、Co、Zr、Hf、V、
Ir、La、Ce、Li、Ca、Mg、Sn、Ba、N
i等の、有機金属化合物、有機酸塩、金属アルコキシ
ド、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硫
酸塩、硝酸塩、塩化物等が挙げられる。触媒の使用量
は、通常得られる高分子量脂肪族ポリエステル100重
量部に対して、0.001〜5重量部であり、このまし
くは0.01から0.5重量部である。
【0026】(ii)の方法で用いられる環状酸無水物
は、酸無水物基を1分子中に1個有していてもよいし2
個以上有していてもよいが、酸成分とアルコール成分と
が直線状に結合したポリエステルを生成するためには酸
無水物基を1分子中に1個有するものが好ましい。(i
i)の方法で用いられる環状酸無水物としては、例えば
無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水
グルタル酸、無水アジピン酸、無水シトラコン酸、無水
フタル酸、無水トリメリット酸、二無水ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ブタン
−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、無水マ
レイン酸単独重合体、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重
合体、無水マレイン酸−エチレン共重合体、無水マレイ
ン酸−イソブチレン共重合体、無水マレイン酸−イソブ
チルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸−アクリ
ロニトリル共重合体、無水マレイン酸−スチレン共重合
体などが挙げられる。
【0027】(ii)の方法で用いられる環状エーテル
は、エポキシ基を1分子中に1個有していてもよいし2
個以上有していてもよいが、酸成分とアルコール成分と
が直線状に結合した脂肪族ポリエステルを生成するため
にはエポキシ基を1分子中に1個有するものが好まし
い。(ii)の方法で用いられる環状エーテルとして
は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シ
クロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロ
ヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシ
ジルエーテル、テトラヒドロフラン、オキセパン、1,
3−ジオキソラン、(ポリ)エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリ
シジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジ
グリシジルエステル、ο−フタル酸ジグリシジルエステ
ル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノ
ンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジ
ルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、
ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジ
ルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、
グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロール
プロパンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。こ
れらのうちで、得られるポリエステルの融点、生分解
性、経済性を考慮すると無水コハク酸とエチレンオキシ
ドとの組合せが好ましい。開環重合は公知の開環重合触
媒を用い、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行
うことができる。
【0028】このような高分子量脂肪族ポリエステルを
得る方法のなかで比較的短い時間で工業的に効率よく製
造できる方法として(ii)の環状酸無水物と環状エー
テルを開環重合させてから、さらに重縮合する方法が好
ましい。以下、環状酸無水物と環状エーテルの開環重合
についてさらに詳しく説明する。
【0029】本発明で用いられる無水コハク酸等の環状
酸無水物は、これまで単独重合しないことが知られてい
た。このような単独重合しない環状酸無水物に対し、重
合触媒の存在下に環状エーテルを逐次的に添加して重合
させることによって、実質的に酸成分とアルコール成分
が交互共重合したポリエステルが短時間で生成させ得
る。
【0030】重合は溶媒中での重合や塊状重合等の方法
により行うことができる。溶媒中での重合では環状酸無
水物は溶媒に溶解させて用い、塊状重合では環状酸無水
物を溶融させてから本発明に用いる。
【0031】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行うことができ、その際使用される溶媒としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n
−ヘキサン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロロエタ
ンなどの不活性溶媒をあげることができる。
【0032】重合触媒としては、特に限定はなく、通常
ポリエステルを開環重合する際に使用するものを用い
る。例えばテトラメトキシジルコニウム、テトラエトキ
シジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニ
ウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ
−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジ
ルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プ
ロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアル
ミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−i
so−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシ
アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−iso−
プロポキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エ
チルアセトアセテート)、テトラエトキシチタン、テト
ラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキ
シチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−se
c−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、ト
リ−iso−プロポキシガリウム、トリ−iso−プロ
ポキシアンチモン、トリ−iso−ブトキシアンチモ
ン、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−
iso−プロポキシボロン、トリ−n−プロポキシボロ
ン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−n−ブトキ
シボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−t−
ブトキシボロン、トリ−iso−プロポキシガリウム、
テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニ
ウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テト
ラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブ
トキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウ
ム、テトラ−sec−ブトキシゲルマニウム、テトラ−
t−ブトキシゲルマニウムなどの金属アルコキド;五塩
化アンチモン、塩化亜鉛、臭化リチウム、塩化すず(I
V)、塩化カドミウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテ
ルなどのハロゲン化物;トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、トリ−iso−
ブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジメ
チル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛などのア
ルキル亜鉛;トリアリルアミン、トリエチルアミン、ト
リ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミンなど
の三級アミン;リンタングステン酸、リンモリブデン
酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸およびその
アルカリ金属塩;酸塩化ジルコニウム、オクチル酸ジル
コニール、ステアリン酸ジルコニール、硝酸ジルコニー
ルなどのジルコニウム化合物等が挙げられ、中でもオク
チル酸ジルコニール、テトラアルコキシジルコニウム、
トリアルコキシアルミニウム化合物が特に好ましい。重
合触媒の使用量には特に制限はないが、通常環状酸無水
物および環状エーテルの合計量に対して0.001〜1
0重量%である。重合触媒の添加方法は環状酸無水物に
添加しておいてもよく、環状エーテルのように逐次添加
してもよい。
【0033】重合温度は環状酸無水物と環状エーテルが
反応する温度であれば特に制限はないが、10〜250
℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは10
0〜150℃である。反応に際して、反応容器内の圧力
は反応温度および溶媒の有無や溶媒の種類によって異な
るが、環状エーテルの逐次的な添加による圧力の上昇に
伴う未反応環状エーテルの増加は、反応生成物中のポリ
エーテル成分を増やすことになり好ましくない。したが
って、反応容器内の圧力は常圧〜50kgf/cm2が好まし
く、より好ましくは常圧〜15kgf/cm2 となるように環
状エーテルを添加する。
【0034】環状エーテルの逐次添加は、環状酸無水物
100重量部に対し1時間あたり環状エーテルを3〜9
0重量部が好ましく、より好ましくは5〜50重量部の
割合で行なう。
【0035】環状エーテルの添加速度が下限の3重量部
より遅い場合には、反応が長時間となり生産性が低下す
るなど工業的に好ましくない。また、上限の90重量部
より速い場合には、反応生成物中のポリエーテル成分が
増加して融点の低いポリエステルしか得られなくなる。
【0036】なお、環状エーテルの逐次添加とは、環状
エーテルを一括して添加しないことであり、連続的に滴
下する方法や多段階に分割して断続的に添加する方法の
いずれでもよい。好ましくは添加量が経時的に大きく変
動しないように連続的に添加するのがよい。
【0037】本発明における環状酸無水物および環状エ
ーテルの反応比率は、これらのモル比で40/60〜6
0/40の比率となるようにするのが好ましく、残存環
状酸無水物およびポリエステルの末端カルボキシル基が
ポリエステルの物性を低下させることを考慮すると環状
エーテルを過剰に添加するために40/60〜49/5
1の比率となるようにするのがさらに好ましい。このよ
うにすることにより、ポリエステルの末端カルボキシル
基の50%未満がカルボキシル基となり、耐熱性が向上
する。
【0038】この比率の範囲をはずれると、未反応モノ
マーが増大して収率が低下することがある。本発明で前
記モル比を考慮して決定した所定量の環状エーテルを逐
次添加し終わった後、前記反応温度で重合を継続して熟
成するのが好ましい。熟成反応後に重合系から生成した
ポリエステルを分離すればよい。
【0039】反応条件は、例えば(i)の方法によって
重(縮)合物を得る場合、エステル化反応の条件として
は公知の方法で何ら問題はない。例えば反応温度180
〜280℃、常圧〜1mmHgの減圧度で反応させて引き続
きエステル交換反応をおこなう。エステル交換反応の条
件としては、反応温度180〜280℃、好ましくは2
30〜270℃、減圧度0.5〜5.0mmHg、好ましく
は1.0〜3.0mmHgさらに好ましくは1.0〜
2.0mmHgである。反応温度がこの範囲より低い場
合は、反応時間が著しく長くなり、この範囲より高い場
合は、著しく着色したり、揮発分が多くなったりして、
工業的に不利である。減圧度が0.5mmHgを超える場
合、すなわち高真空になると、副生物および解重合によ
る低分子化合物が多量に生成する。これら揮発分発生に
よる減圧度の低下、真空ポンプの性能低下などにより、
反応時間が著しく長くなったり、所定の分子量まで到達
しなかったりする。さらに、揮発分の発生により収率は
著しく低下し、これら揮発分は例え回収されても利用さ
れることがないため、経済的に大きな問題となる。減圧
度が5.0mmHgよりも低い場合は、反応時間が著しく長
くなり、工業的に不利である。
【0040】(ii)の方法の開環重合によって得られ
た重合物をさらに重(縮)合させる場合の反応条件は、
反応温度180〜280℃、好ましくは230〜270
℃、減圧度0.5〜5.0mmHg、好ましくは1.0〜
3.0mmHg、さらに好ましくは1.0〜2.0mmHgであ
る。反応温度がこの範囲より低い場合は、反応時間が著
しく長くなり、この範囲より高い場合は、著しく着色し
たり、揮発分が多くなったりして、工業的に不利であ
る。減圧度は0.5mmHg以下の場合、すなわち高真空に
なると副生物および解重合による低分子化合物が多量に
生成する。これら揮発分発生による減圧度の低下、真空
ポンプの性能低下などにより、反応時間が著しく長くな
ったり、所定の分子量まで到達しなかったりする。さら
に、揮発分の発生により収率は著しく低下し、これら揮
発分は例え回収されても利用されることがないため、経
済的に大きな問題となる。減圧度が5.0mmHgよりも低
い場合は、反応時間が著しく長くなり、工業的に不利で
ある。
【0041】さらに、高分子量脂肪族ポリエステルの製
造の全工程にわたって、生成揮発分をより少量に抑える
には、水などの生成がない開環重合による工程、すなわ
ち(ii)の方法を含むことがより好ましい。
【0042】このようにして得られた高分子量脂肪族ポ
リエステルは、さらに種々の鎖延長剤と反応させて高分
子量化しても良い。
【0043】高分子量脂肪族ポリエステルの分子量は数
平均で10000〜100000であるが、好ましくは
25000〜80000、更に好ましくは40000〜
70000である。脂肪族ポリエステルをフィルム、シ
ート、その他成型物として利用するには数平均分子量が
少なくとも10000以上必要である。これよりも低く
なると脆かったり、延伸できないなど工業的に問題があ
り、鎖延長剤と反応させて高分子量化することも可能で
あるが、工程が多段階になったり、使用した鎖延長剤が
フィルムのフィッシュアイの原因になったりして工業的
に不利である。熱的な劣化や強度などを考慮すると高分
子量脂肪族ポリエステルの数平均分子量は25000以
上が好ましく、40000以上が更に好ましい。また、
数平均分子量を100000以上にするには反応に長時
間要し、工業的に不利である。長時間反応することによ
り生成揮発分が多くなるので、数平均分子量は1000
00以下であり、80000以下が好ましく、7000
0以下が更に好ましい。
【0044】本発明は、前記のエステル交換反応を含む
工程により高分子量脂肪族ポリエステルを製造するに際
し、反応系内の内容物の合計量を反応容器の内容積の7
0%以下、好ましくは60%以下に保持して前記エステ
ル交換反応を行うことを特徴とするものである。反応容
器の内容積が70%よりも大きくなると広い気液接触面
を確保することができなくなって、汎用のポンプで可能
な減圧度(通常、0.5〜5.0mmHgの減圧度)では反
応時間が著しく長くなり、工業的製造方法とは言えなく
なる。また反応時間を短くしようとして高真空(通常、
減圧度0.5未満)にするとオリゴマーの生成が多くな
り好ましくない。
【0045】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルを製
造するに際しては、反応装置は公知のものを用いること
ができる。具体的には、縦型反応装置では、通常の攪拌
装置の付いたフラスコや反応釜を使用する場合は、反応
容器の内容積の70%以下、好ましくは60%以下に保
持して反応を行うことにより、内容物の体積に対する表
面積を大きくなり広い気液接触面を確保することができ
る。また、ヘリカルリボン翼や螺旋状変形バッフルの付
いた反応釜では、より効率的に表面積を大きくすること
ができる。横型反応装置では、変形翼を連ねた攪拌軸を
並べて配置した横型1軸或いは2軸混練装置が、効率的
に表面積を大きくすることができる。
【0046】さらにエステル交換反応を効率よく進める
には反応中に生成するグリコールを揮発し易くするこ
と、すなわち反応系の内容物の自由表面更新性を高め、
広い気液接触面(自由表面積)を確保することが好まし
いため、高粘度用反応装置を使用するが好ましい。
【0047】高粘度用反応装置としてはバッチ式あるい
は連続式でも良く、バッチ式としては例えば、逆円錐リ
ボン翼式リアクタ(三菱重工業(株)製)、ねじり格子
翼式リアクタ((株)日立製作所製)、スーパーブレン
ド(住友重機械工業(株)製)等を挙げることができ、
連続式では例えば日立メガネ翼重合機((株)日立製作
所製)、日立格子翼重合機((株)日立製作所製)、セ
ルフクリーニング式リアクタ(三菱重工業(株)製)、
横型二軸式リアクタ(三菱重工業(株)製)、KRCニ
ーダー((株)栗本鉄工所製)、TEX−K((株)日
本製鋼所製)やプラスチックの押出成形あるいは脱揮等
に広く用いられている一軸又は二軸の押出機等を挙げる
ことができる。
【0048】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルに
は、必要に応じて他の成分、例えば結晶核剤、顔料、染
料、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、
安定剤、充填剤、強化材、難燃剤、可塑剤、他の重合体
等を本発明の効果を損なわない範囲で添加することがで
きる。
【0049】このようにして得られた高分子量脂肪族ポ
リエステルは、押し出し成形、射出成形、中空成形、真
空成形等の通常の成型方法に適用することができ、各種
部品、容器、資材、器具、フィルム、シート、繊維等の
成型品とすることができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。
【0051】実施例で実施した評価方法は以下の通りで
ある。結果をまとめて表1に示した。
【0052】(内容積)セパラブルフラスコに水を投入
して満水になったときの水の重量を内容積とした。
【0053】(分子量)ゲルパーミエーションクロマト
グラフを用いてポリスチレン換算の数平均分子量を測定
した。
【0054】(融点)DSCにて測定した。
【0055】(生分解性試験)130℃、150kg/c
m2、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ200ミクロ
ンのフィルムを作成し、得られたフィルムを土壌を仕込
んだプランター中に埋設して、一日一回散水し23℃、
相対湿度65%の恒温恒湿室中に保存し、100日後の
外観変化を観察した。
【0056】なお、土壌は箕面市小野原および吹田市西
御旅町で採取したもの、腐葉土を3:1:3の割合で混
合したものを使用した。
【0057】結果は下記の通りに記載した。
【0058】(+):外観変化が認められた。
【0059】(−):外観変化が認められなかった。 (実施例1)攪拌機、出口にドライアイス−メタノール
に浸したトラップを備えたウィグリュー分留管、及びガ
ス導入管を付した三つ口フラスコに、無水コハク酸12
0.08gおよびエチレングリコール76.63gを入
れ、オイルバス中に浸した。オイルバスを昇温し、窒素
をゆっくり流し、温度185℃、常圧〜1.0mmHgの減
圧度で52時間要して生成する水と過剰のエチレングリ
コールを留去し、数平均分子量6000のポリエステル
(a)を得た。
【0060】次いで、得られたポリエステル(a)1
0.79gとテトラ−n−ブチルチタネート0.000
4gとを、温度計、攪拌装置および窒素導入管を付した
セパラブルフラスコ(内容積174.3ミリリットル)
に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気流中、ド
ライアイス−メタノールに浸したトラップを備えた真空
ポンプで1.0〜1.1mmHgの減圧下(セパラブルフラ
スコ内)、温度240℃の条件で5.0時間反応させ、
高分子量脂肪族ポリエステル(1)を得た。GPC測定
による数平均分子量は65000、DSC測定による融
点は、104.6℃であった。また、トラップ、三つ口
フラスコの上部に付着した揮発分は仕込んだポリエステ
ルに対して7.2重量%であった。
【0061】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0062】(実施例2)攪拌機、出口にドライアイス
−メタノールに浸したトラップを備えたウィグリュー分
留管、及びガス導入管を付した三つ口フラスコに、無水
コハク酸200.14g、エチレングリコール248.
28g、及びテトラ−n−ブチルチタネート0.36g
を入れ、オイルバス中に浸した。オイルバスを昇温し、
窒素をゆっくり流し、温度200℃、常圧〜10.0mm
Hgの減圧度で17時間要して生成する水と過剰のエチレ
ングリコールを留去し、数平均分子量5500のポリエ
ステル(b)を得た。
【0063】次いで、得られたポリエステル(b)1
0.10gとテトラ−n−ブチルチタネート0.007
9gとを、温度計、攪拌装置および窒素導入管を付した
セパラブルフラスコ(内容積174.3ミリリットル)
に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素気流中、ド
ライアイス−メタノールに浸したトラップを備えた真空
ポンプで1.1〜1.2mmHgの減圧下(セパラブルフラ
スコ内)、温度240℃の条件で3.5時間反応させ、
高分子量脂肪族ポリエステル(2)を得た。GPC測定
による数平均分子量は74000、DSC測定による融
点は、104.1℃であった。また、トラップ、三つ口
フラスコの上部に付着した揮発分は仕込んだポリエステ
ルに対して9.6重量%であった。
【0064】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0065】(実施例3)オートクレーブに、無水コハ
ク酸100.1gおよびオクチル酸ジルコニール2.9
9gを加え、窒素置換を行った。次いで撹拌下にオート
クレーブを徐々に130℃まで昇温して無水コハク酸を
溶融し、同温度でオートクレーブ内の圧力を4.0〜
8.1kgf/cm2 に維持しながら、酸化エチレン231.
26gを1時間あたり42gの添加速度で5.5時間に
わたって連続的に導入した。酸化エチレン導入後130
℃で1.0時間熟成反応を行ってから系を常温にもどす
ことにより、ポリエステル(c)を得た。GPC測定に
よる数平均分子量は11400、DSCによる融点は1
03.1℃であった。
【0066】得られたポリエステル(c)9.67gを
温度計、攪拌装置、窒素導入管を付したセパラブルフラ
スコ(内容積175.7ミリリットル)に加え、窒素置
換を3回おこなった後、窒素気流中、ドライアイス−メ
タノールに浸したトラップを備えた真空ポンプで1.0
〜1.2mmHgの減圧下(セパラブルフラスコ内)、温度
240℃の条件で3.0時間反応させ、高分子量脂肪族
ポリエステル(3)を得た。GPC測定による数平均分
子量は63400、DSC測定による融点は、103.
5℃であった。また、トラップ、三つ口フラスコの上部
に付着した揮発分は仕込んだポリエステルに対して5.
9重量%であった。
【0067】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0068】(実施例4)実施例3で得られたポリエス
テル(c)45.4gを、温度計、攪拌装置および窒素
導入管を付したセパラブルフラスコ(内容積172.3
ミリリットル)に加え、窒素置換を3回おこなった後、
窒素気流中、ドライアイス−メタノールに浸したトラッ
プを備えた真空ポンプで1.1〜1.2mmHgの減圧下
(セパラブルフラスコ内)、温度240℃の条件で3.
2時間反応させ、高分子量脂肪族ポリエステル(4)を
得た。GPC測定による数平均分子量は36000、D
SC測定による融点は、103.0℃であった。また、
トラップ、三つ口フラスコの上部に付着した揮発分は仕
込んだポリエステルに対して7.2重量%であった。
【0069】反応中、真空ラインの詰まり、真空ポンプ
の性能低下は見られなかった。
【0070】(実施例5)100リットルのオートクレ
ーブに、無水コハク酸50.2kgおよびオクチル酸ジ
ルコニール0.296kgを加え、窒素置換を行った。
次いで撹拌下にオートクレーブを徐々に130℃まで昇
温して無水コハク酸を溶融し、同温度でオートクレーブ
内の圧力を3.5〜9.9kgf/cm2 に維持しながら、酸
化エチレン23.2kgを1時間あたり4.64kgの
添加速度で5.0時間にわたって連続的に導入し、前段
反応を行った。酸化エチレン導入後130℃で1.0時
間熟成反応を行ってから系を常温にもどすことにより、
ポリエステル(d)を得た。GPC測定による数平均分
子量は23100、DSCによる融点は103.1℃で
あった。
【0071】得られたポリエステル(d)45.0k
g、酸化防止剤として亜リン酸ジフェニル0.450k
gおよび結晶核剤としてタルク1.80kgを、温度
計、攪拌装置、窒素導入管を付した高粘度用反応装置
(住友重機械工業(株)製「スーパーブレンド」、内容
積100リットル)に加え、窒素置換を3回おこなった
後、窒素気流中、ドライアイス−メタノールに浸したト
ラップを備えた真空ポンプで1.6〜3.1mmHgの減圧
下(前記反応装置内)、温度280℃の条件で2.0時
間、さらに温度240℃の条件で2.0時間反応させ後
段反応を行い、高分子量脂肪族ポリエステル(5)を得
た。GPC測定による数平均分子量は63200、DS
C測定による融点は、100.8℃であった。また、ト
ラップ、および三つ口フラスコの上部に付着した揮発分
は仕込んだポリエステルに対して4.1重量%であっ
た。上記の測定結果および試験結果を表1に示す。
【0072】なお、上記ポリエステル(d)を得る反応
および高分子量脂肪族ポリエステル(5)を得る反応を
通じて、反応中に、真空ラインが閉塞したり、真空ポン
プの性能低下等が引き起こされることはなかった。
【0073】(比較例1)実施例3で得られたポリエス
テル(c)125.0gを温度計、攪拌装置、窒素導入
管を付したセパラブルフラスコ(内容積172.3ミリ
リットル)に加え、窒素置換を3回おこなった後、窒素
気流中、ドライアイス−メタノールに浸したトラップを
備えた真空ポンプで1.0〜1.2mmHgの減圧下(セパ
ラブルフラスコ内)、温度240℃の条件で7.5時間
反応させ、比較ポリエステル(1)を得た。GPC測定
による数平均分子量は20500、DSC測定による融
点は、103.1℃であった。また、トラップ、三つ口
フラスコの上部に付着した揮発分は仕込んだポリエステ
ルに対して10.4重量%であった。上記の測定結果お
よび試験結果を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、生分解性を有する高分
子量脂肪族ポリエステルを、高真空にすることなく、汎
用のポンプを用いることができる実用的な減圧度で、副
生物および解重合による低分子化合物の発生を低く抑
え、高収率かつ工業的に効率よく、かつ経済的に製造す
ることができる。
【0077】本発明で得られる高分子量脂肪族ポリエス
テルは、比較的高分子量で構造中にポリエーテル成分を
ほとんど有しない高融点のものであるため、フィルムや
シート等への成形加工が容易となり、成形品としての耐
久性にもすぐれている。したがって、本発明で得られる
高分子量脂肪族ポリエステルは、使い捨ての包装材料や
日用雑貨品等に有効に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城島 理浩 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平5−310898(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量10000〜100000
    の高分子量脂肪族ポリエステルを、エステル交換反応を
    含む工程により製造するに際し、反応系内の内容物の合
    計量を反応容器の内容積の70%以下に保持するととも
    に、反応圧力を0.5〜5.0mmHgの減圧度に保持し
    前記エステル交換反応を行うことを特徴とする高
    分子量脂肪族ポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子量脂肪族ポリエステルは、炭
    素数が2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素数が2
    〜4の脂肪族グリコール成分とから得られるものであ
    る、請求項1に記載の高分子量脂肪族ポリエステルの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子量脂肪族ポリエステルは、無
    水コハク酸を主成分とする環状酸無水物と、酸化エチレ
    ンを主成分とする環状エーテルとの開環共重合を含む工
    程により得られるものである、請求項1に記載の高分子
    量脂肪族ポリエステルの製造方法。
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