JP3117909B2 - 脂肪族ポリエステルフィルム - Google Patents

脂肪族ポリエステルフィルム

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JP3117909B2
JP3117909B2 JP9272996A JP9272996A JP3117909B2 JP 3117909 B2 JP3117909 B2 JP 3117909B2 JP 9272996 A JP9272996 A JP 9272996A JP 9272996 A JP9272996 A JP 9272996A JP 3117909 B2 JP3117909 B2 JP 3117909B2
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temperature
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polyester resin
acid
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宏 伊藤
宣延 山本
広二 福原
博也 小林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族ポリエステ
ルフィルムに関する。詳しくは、成形性が良好な脂肪族
ポリエステル樹脂からなる機械的特性に優れたフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】脂肪族ポリエステルは一般に生分解性が
認められており、その特徴を生かして繊維、成型品、シ
ートやフィルムに使用することが期待されている。
【0003】しかしながら、本発明者らは、かねてより
脂肪族ポリエステルの成形性について研究を行っていた
ところ、脂肪族ポリエステルは融点と熱分解温度が比較
的接近しており、成形に際しては精密な温度管理が必要
となることがわかった。例えば、ポリヒドロキシ酪酸の
融点177℃に対して、熱分解温度は約200℃、ま
た、ポリ乳酸の融点180℃に対して、熱分解温度は約
200℃であり、成型時の温度管理に多大な労力を必要
とする。
【0004】また脂肪族ポリエステル樹脂の成形に関し
て、脂肪族ポリエステルの融点および熱分解温度の影響
について考察した文献はいままでなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
点を解決し、精密な温度管理をすることなく簡便な脂肪
族ポリエステル樹脂の成形で得られるフィルムでかつ、
機械的特性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂からなるフ
ィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる現
状に鑑み、前記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結
果、空気中における熱重量分析での減量開始温度と示差
走査熱量計測定による融点との差が100℃以上である
数平均分子量が10000〜100000の脂肪族ポリ
エステル樹脂からなるフィルムであって、特定の機械的
強度を有するフィルムを開発することにより上記の目的
を達成した。
【0007】すなわち本発明のフィルムは、(A)数平
均分子量が10000〜100000の、(B)空気中
における熱重量分析での減量開始温度と示差走査熱量計
測定による融点の差が100℃以上である脂肪族ポリエ
ステル樹脂からなるフィルムであって、(C)該フィル
ムの引張破断強度が100kgf/cm2以上で、かつ該フィ
ルムの引張弾性率が10〜30000kgf/cm2であるこ
とを特徴とする。
【0008】本発明の熱重量分析での減量開始温度と
は、一般的な熱分析計、例えば島津製作所製TGA−4
0型のような熱重量測定装置による空気中での測定にお
いて、図1で示されるように10℃/分で昇温した際の
接線A、Bの交点で表される温度である。また、示差走
査熱量計測定による融点とは、一般的な熱分析計例えば
セイコー電子工業社製SSC5200型のような示差走
査熱量計による窒素気流中での測定において、図2で示
されるように、6℃/分で昇温した際の吸熱のピーク値
で表される点である。
【0009】本発明のフィルムは、その厚みについては
特に限定されず、一般的に言われる厚さ0.25mm以下
のフィルムおよび厚さ0.25mm以上のシートを含むも
のである。
【0010】
【発明の実施の形態】
(A)本発明に用いる脂肪族ポリエステル樹脂は、数平
均分子量が10000〜100000であることが必須
の要件であるが、好ましくは25000〜80000、
更に好ましくは40000〜70000である。脂肪族
ポリエステル樹脂をフィルム、シートとして利用するに
は数平均分子量が少なくとも10000以上必要であ
る。これよりも低くなると脆かったり、延伸できないな
ど工業的に問題があり、鎖延長剤と反応させて高分子量
化することも可能であるが、工程が多段階になったり、
使用した鎖延長剤がフィルムのフィッシュアイの原因に
なったりして工業的に不利である。熱的な劣化や強度な
どを考慮すると脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量
は25000以上が好ましく、40000以上が更に好
ましい。また、数平均分子量を100000以上にする
には反応に長時間要し、工業的に不利である。長時間反
応することで分解等により生成する揮発分が多くなるの
で、数平均分子量は100000以下であり、8000
0以下が好ましく、70000以下が更に好ましい。
【0011】(B)本発明に用いる脂肪族ポリエステル
樹脂は、前記減量開始温度と融点の差が100℃以上で
あることが必須の要件であり、好ましくは150℃以上
である。前記温度差が、100℃未満の場合は、成形に
際して精密な温度管理が必要となり、工業的に非常に不
利となる。
【0012】前記脂肪族ポリエステル樹脂の具体的製造
方法は特に限定されないが、通常脂肪族ポリエステル樹
脂を得る方法としては、 (i)多塩基酸(あるいはそのエステル)とグリコール
を重縮合する方法 (ii)ヒドロキシカルボン酸(あるいはそのエステ
ル)を重縮合する方法 (iii)環状酸無水物と環状エーテルを開環重合する
方法 (iv)環状エステルを開環重合する方法 等が挙げられる。
【0013】(i)の方法で用いられる多塩基酸として
は、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカ
ンジカルボン酸、ダイマー酸あるいはそれらのエステル
等が挙げられ、グリコールとしては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4ーブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、デカメチレングリコール等が挙げられる。ま
た、グリコール成分の一部としてポリオキシアルキレン
グリコールを使用することも可能であり、例えばポリオ
キシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコ
ール、ポリオキシテトラメチレングリコールおよびこれ
らの共重合体が例示される。これらのうちで、得られる
ポリエステルの融点、生分解性、経済性を考慮すると、
前記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と炭素数2
〜4の脂肪族グリコール成分との組み合せが好ましく、
コハク酸とエチレングリコール及び/またはコハク酸と
1,4ーブタンジオールの組合せがさらに好ましい。
(i)の方法による脂肪族ポリエステル樹脂の製造に際
しては、多塩基酸(あるいはそのエステル)成分および
グリコール成分の全量を初期混合し反応させてもよく、
または反応の進行にともなって分割して添加してもさし
つかえない。重縮合反応としては通常のエステル交換法
またはエステル化法さらには両方の併用によっても可能
であり、また必要により反応容器内を加圧または減圧に
することにより重合度を上げることができる。エステル
交換反応には通常、少量の触媒を用いる必要がある。触
媒としては、通常用いられているものであれば特に制限
はないが、Ti、Ge、Zn、Fe、Mn、Co、Z
r、Hf、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、Mg、
Sn、Ba、Ni等の有機金属化合物、有機酸塩、金属
アルコキシド、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、リ
ン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物が挙げられる。触媒の
使用量は、通常得られる脂肪族ポリエステル樹脂100
重量部に対して、0.001〜5重量部であり、このま
しくは0.01から0.5重量部である。
【0014】(ii)の方法で用いられるヒドロキシカ
ルボン酸としては、例えばグリコール酸、乳酸、3−ヒ
ドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2、2−ジメ
チルプロピオン酸、3−ヒドロキシ−3−メチル−酪
酸、4−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸、3−
ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキ
シ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、クエン酸、リン
ゴ酸あるいはそれらのエステル等が挙げられる。重縮合
反応としては通常のエステル交換法またはエステル化法
さらには両方の併用によっても何らさしつかえなく、ま
た必要により反応容器内を加圧または減圧にすることに
より重合度を上げることができる。
【0015】(iii)の方法で用いられる環状酸無水
物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水
シトラコン酸、等が挙げられる。環状エーテルとして
は、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シ
クロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロ
ヒドリン、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシ
ジルエーテル、テトラヒドロフラン、オキセパン、1,
3−ジオキソランなどが挙げられる。これらのうちで、
得られるポリエステルの融点、生分解性、経済性を考慮
すると、無水コハク酸を主成分とする環状酸無水物と、
エチレンオキシドを主成分とする環状エーテルとの組み
合せが好ましく、無水コハク酸とエチレンオキシドとの
組合せがさらに好ましい。開環重合は公知の開環重合触
媒を用い、溶媒中での重合や塊状重合等の方法により行
うことができる。
【0016】(iv)の方法で用いられる環状エステル
としては、例えばβ−プロピオラクトン、β−メチル−
β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプ
ロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
開環重合は公知の開環重合触媒を用い、溶媒中での重合
や塊状重合等の方法により行うことができる。
【0017】このような脂肪族ポリエステル樹脂を得る
方法のなかで比較的短い時間で工業的に効率よく製造で
きる方法としては、(iii)の環状酸無水物と環状エ
ーテルを開環重合する方法が好ましい。以下、(ii
i)の環状酸無水物と環状エーテルの開環重合による方
法についてさらに詳しく説明する。
【0018】本発明で用いられる無水コハク酸等の環状
酸無水物は、これまで単独重合しないことが知られてい
た。このような単独重合しない環状酸無水物に対し、重
合触媒の存在下に環状エーテルを逐次的に添加して重合
させることによって、実質的に酸成分とアルコール成分
が交互共重合したポリエステルが短時間で生成させ得
る。
【0019】重合は溶媒中での重合や塊状重合等の方法
により行うことができる。溶媒中での重合では環状酸無
水物は溶媒に溶解させて用い、塊状重合では環状酸無水
物を溶融させてから本発明に用いる。
【0020】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行うことができ、その際使用される溶媒としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n
−ヘキサン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロロエタ
ンなどの不活性溶媒をあげることができる。
【0021】重合触媒としては、特に限定はなく、通常
ポリエステルを開環重合する際に使用するものを用い
る。例えばテトラメトキシジルコニウム、テトラエトキ
シジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニ
ウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ
−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−t−ブトキシジ
ルコニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プ
ロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアル
ミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−i
so−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシ
アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ−ジ−iso−
プロポキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアル
ミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エ
チルアセトアセテート)、テトラエトキシチタン、テト
ラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキ
シチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−se
c−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、ト
リ−iso−プロポキシガリウム、トリ−iso−プロ
ポキシアンチモン、トリ−iso−ブトキシアンチモ
ン、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−
iso−プロポキシボロン、トリ−n−プロポキシボロ
ン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−n−ブトキ
シボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−t−
ブトキシボロン、トリ−iso−プロポキシガリウム、
テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニ
ウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テト
ラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブ
トキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウ
ム、テトラ−sec−ブトキシゲルマニウム、テトラ−
t−ブトキシゲルマニウムなどの金属アルコキド;五塩
化アンチモン、塩化亜鉛、臭化リチウム、塩化すず(I
V)、塩化カドミウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテ
ルなどのハロゲン化物;トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、トリ−iso−
ブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジメ
チル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛などのア
ルキル亜鉛;トリアリルアミン、トリエチルアミン、ト
リ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチルアミンなど
の三級アミン;リンタングステン酸、リンモリブデン
酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸およびその
アルカリ金属塩;酸塩化ジルコニウム、オクチル酸ジル
コニール、ステアリン酸ジルコニール、硝酸ジルコニー
ルなどのジルコニウム化合物等が挙げられ、中でもオク
チル酸ジルコニール、テトラアルコキシジルコニウム、
トリアルコキシアルミニウム化合物が特に好ましい。重
合触媒の使用量には特に制限はないが、通常環状酸無水
物および環状エーテルの合計量に対して0.001〜1
0重量%である。重合触媒の添加方法は環状酸無水物に
添加しておいてもよく、環状エーテルのように逐次添加
してもよい。
【0022】重合温度は環状酸無水物と環状エーテルが
反応する温度であれば特に制限はないが、10〜250
℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは10
0〜150℃である。反応に際して、反応容器内の圧力
は反応温度および溶媒の有無や溶媒の種類によって異な
るが、環状エーテルの逐次的な添加による圧力の上昇に
伴う未反応環状エーテルの増加は、反応生成物中のポリ
エーテル成分を増やすことになり好ましくない。したが
って、反応容器内の圧力は常圧〜50kgf/cm2が好まし
く、より好ましくは常圧〜15kgf/cm2 となるように環
状エーテルを添加する。
【0023】環状エーテルの逐次添加は、環状酸無水物
100重量部に対し1時間あたり環状エーテルを3〜9
0重量部が好ましく、より好ましくは5〜50重量部の
割合で行なう。環状エーテルの添加速度が下限の3重量
部より遅い場合には、反応が長時間となり生産性が低下
するなど工業的に好ましくない。また、上限の90重量
部より速い場合には、反応生成物中のポリエーテル成分
が増加して融点の低いポリエステルしか得られなくな
る。なお、環状エーテルの逐次添加とは、環状エーテル
を一括して添加しないことであり、連続的に滴下する方
法や多段階に分割して断続的に添加する方法のいずれで
もよい。好ましくは添加量が経時的に大きく変動しない
ように連続的に添加するのがよい。
【0024】本発明における環状酸無水物および環状エ
ーテルの反応比率は、これらのモル比で40/60〜6
0/40の比率となるようにするのが好ましく、残存環
状酸無水物およびポリエステルの末端カルボキシル基が
ポリエステルの物性を低下させることを考慮すると環状
エーテルを過剰に添加するために40/60〜49/5
1の比率となるようにするのがさらに好ましい。このよ
うにすることにより、ポリエステルの末端カルボキシル
基の50%未満がカルボキシル基となり、耐熱性が向上
する。この比率の範囲をはずれると、未反応モノマーが
増大して収率が低下することがある。本発明で前記モル
比を考慮して決定した所定量の環状エーテルを逐次添加
し終わった後、前記反応温度で重合を継続して熟成する
のが好ましい。熟成反応後に重合系から生成したポリエ
ステルを分離すればよい。
【0025】(i)、(ii)、(iii)、(iv)
等のいずれの方法によって得られたポリエステルも数平
均分子量が10000よりも低い場合、さらにエステル
交換反応で高分子量化しても良い
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】本発明の脂肪族ポリエステル樹脂には、必
要に応じて他の成分、例えば結晶核剤、顔料、染料、耐
熱剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、安定
剤、充填剤、強化材、難燃剤、可塑剤、他の重合体を本
発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0051】本発明のフィルムは、前記脂肪族ポリエス
テル樹脂からなるフィルムであり、その厚みについては
特に限定されず、一般的に言われる厚さ0.25mm以下
のフィルムおよび厚さ0.25mm以上のシートを含むも
のである。
【0052】本発明のフィルムの製造方法については特
に限定されないが、例えば前記脂肪族ポリエステル樹脂
を通常のインフレーション法、Tダイ法にて溶融混練し
押し出して得ることができる。この際、通常の条件で成
形して何ら問題はないが、インフレーション法の場合、
成形温度としては押し出し機のシリンダーおよびダイス
の温度が105〜270℃、ブロー比0.5〜10とす
ることにより、厚さ0.25mm以下のフィルムを得るこ
とができる。また、Tダイ法の場合、成形温度としては
押し出し機のシリンダーおよびダイスの温度が105〜
270℃とすることにより、厚さ0.25mm以下のフィ
ルムおよび厚さ0.25mm以上のシートを得ることがで
きる。
【0053】(C)また本発明のフィルムは、引張破断
強度が100kgf/cm2以上で、かつ引張弾性率が10〜
30000kgf/cm2、好ましくは1000〜15000k
gf/cm2であることが必須の要件である。引張破断強度が
100kgf/cm2以上であることは一般的なフィルムまた
はシートとして十分に実用に耐えられるものである。一
方、100kgf/cm2未満の場合、重量物の包装などには
使用できないなど、利用価値はかなり低下する。また、
引張弾性率が10kgf/cm2未満の場合、適度な腰がなく
なり取り扱いにくい。引張弾性率が30000kgf/cm2
を超える場合、柔軟性がなくなり包装材料等として用い
られず実用的でない。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらにより限定されるものでは
ない。なお、例中の部は重量部を表わす。実施例で実施
した評価方法は以下の通りである。結果をまとめて表1
に示した。
【0055】(分子量)ゲルパーミエーションクロマト
グラフを用いてポリスチレン換算の数平均分子量を測定
した。
【0056】(減量開始温度)熱重量測定装置(島津製
作所製TGA−40型)を用いた。空気中で脂肪族ポリ
エステル樹脂50mgを10℃/分で昇温した。この時
の接線の交点を求めることにより減量開始温度を測定し
た。
【0057】(融点)DSC(セイコー電子工業社製S
SC5200型)を用いた。窒素雰囲気中で脂肪族ポリ
エステル樹脂20mgを融点以上に加熱して完全に溶融
させてから、−50℃に急冷した後、6℃/分の速度で
昇温した。この時の吸熱ピークを測定することにより融
点を求めた。
【0058】(引張試験)ASTM−D882−90
(A法)に準じて引張破断強度、引張弾性率を測定し
た。
【0059】(生分解性試験)130℃、150kg/c
m2、2分間の条件で圧縮成形機により厚さ200ミクロ
ンのフィルムを作成し、得られたフィルムを土壌を仕込
んだプランター中に埋設して、一日一回散水し23℃、
相対湿度65%の恒温恒湿室中に保存し、100日後の
外観変化を観察した。
【0060】なお、土壌は箕面市小野原および吹田市西
御旅町で採取したもの、腐葉土を3:1:3の割合で混
合したものを使用した。
【0061】結果は下記の通りに記載した。
【0062】(+):外観変化が認められた。
【0063】(−):外観変化が認められなかった。
【0064】(実施例1)オートクレーブに蒸留精製し
た無水コハク酸500.0部およびオクチル酸ジルコニ
ール3.68部を加え、窒素置換を行った。次いで撹拌
下にオートクレーブを徐々に130℃まで昇温して無水
コハク酸を溶融し、同温度でオートクレーブ内の圧力を
4.0〜6.5kgf/cm2 に維持しながら、酸化エチレン
231.1部を1時間あたり58部の添加速度で4.0
時間にわたって連続的に導入した。酸化エチレン導入後
130℃で1.0時間熟成反応を行ってから系を常温に
もどすことにより、重合生成物を得た。GPC測定によ
る数平均分子量は36000、DSCによる融点は10
3.4℃であった。
【0065】得られた重合生成物12.0部を温度計、
攪拌装置、窒素導入管を付した50ミリリットルのセパ
ラブルフラスコに加え、窒素置換を3回おこなった後、
窒素気流中、ドライアイス−メタノールに浸したトラッ
プを備えた真空ポンプで0.9〜1.1mmHgの減圧
下、温度240℃の条件で1.5時間反応させ、脂肪族
ポリエステル樹脂(1)を得た。GPC測定による数平
均分子量は68000、DSC測定による融点は、10
3.1℃、熱重量測定装置による減量開始温度は28
2.8℃であった。
【0066】(実施例2)オクチル酸ジルコニール3.
68部をテトラ−t−ブトキシジルコニウム3.70部
に代えた他は実施例1と同様にして、脂肪族ポリエステ
ル樹脂(2)を得た。GPC測定による数平均分子量は
65000、DSCによる融点は103.5℃、熱重量
測定装置による減量開始温度は279.3℃であった。
【0067】(実施例3)攪拌機、出口にドライアイス
−メタノールに浸したトラップを備えたウィグリュー分
留管及びガス導入管を付した三つ口フラスコに、コハク
酸519.6部、エチレングリコール286.8部およ
びチタンテトライソプロポキシド0.0772部を入
れ、オイルバス中に浸した。オイルバスを昇温し、窒素
をゆっくり流し、温度182〜200℃、常圧〜3.0
mmHgの減圧度で7時間要して生成する水と過剰のエチレ
ングリコールを留去し、数平均分子量9700のポリエ
ステルを得た。引き続き、温度200〜223℃、3.
0mmHgの減圧度で3時間15分要して生成するエチレン
グリコールを留去し、数平均分子量19200のポリエ
ステルを得た。次いで、得られたポリエステル50.7
8部を温度計、攪拌装置、窒素導入管を付した50ミリ
リットルのセパラブルフラスコに加え、窒素置換を3回
おこなった後、窒素気流中、ドライアイス−メタノール
に浸したトラップを備えた真空ポンプで0.9〜1.5
mmHgの減圧下、温度220℃の条件で4.5時間反
応させ、脂肪族ポリエステル樹脂(3)を得た。GPC
測定による数平均分子量は59500、DSC測定によ
る融点は、102.0℃、熱重量測定装置による減量開
始温度は282.5℃であった。
【0068】
【0069】(比較例1)ポリ乳酸(重量平均分子量3
00000)のDSCによる融点は176.3℃、熱重
量測定装置による減量開始温度は200.8℃であっ
た。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明のフィルムは、融点と分解温度が
離れている脂肪族ポリエステル樹脂を使用しているた
め、樹脂のフィルム成形の際に特に精密な温度管理が必
要なく、簡便に得られる。
【0072】また本発明のフィルムは、生分解性の優
れ、かつ機械的特性に優れた実用的なフィルムである。
【0073】したがって本発明のフィルムは、使い捨て
の包装材料や日用雑貨品等に有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における脂肪族ポリエステル樹脂
(1)の熱重量測定チャートである。
【図2】実施例1における脂肪族ポリエステル樹脂
(1)のDSCチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 (72)発明者 小林 博也 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒 機能開発研究所内 (56)参考文献 特開 平6−336519(JP,A) 特開 平6−170941(JP,A) 特開 平7−47598(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B29C 55/02 C08G 63/12 C08L 67/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空気中における熱重量分析での減量開始温
    度と示差走査熱量計測定による融点との差が100℃以
    上である数平均分子量が40000以上100000以
    下の、炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸成分と、炭素
    数2〜4の脂肪族グリコール成分とから鎖延長剤を用い
    ることなく得られた脂肪族ポリエステル樹脂からなる
    インフレーション法またはTダイ法にて成形温度105
    〜270℃の条件で成形されたフィルムであって、該フ
    ィルムの引張破断強度が100kgf/cm2 以上で、かつ該
    フィルムの引張弾性率が1000〜15000 kgf/cm2
    であることを特徴とする脂肪族ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】空気中における熱重量分析での減量開始温
    度と示差走査熱量計測定による融点との差が100℃以
    上である数平均分子量が10000以上100000以
    下の、環状酸無水物と、環状エーテルとを開環共重合し
    て得られた脂肪族ポリエステル樹脂からなる、インフレ
    ーション法またはTダイ法にて成形温度105〜270
    ℃の条件で成形されたフィルムであって、該フィルムの
    引張破断強度が100kgf/cm 2 以上で、かつ該フィルム
    の引張弾性率が1000〜15000kgf/cm 2 であるこ
    とを特徴とする脂肪族ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】前記脂肪族ポリエステル樹脂が、無水コハ
    ク酸と、酸化エチレンとを開環共重合して得られたもの
    であることを特徴とする請求項2記載の脂肪族ポリエス
    テルフィルム。
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