JPH0967529A - 熱吸収皮膜およびこれを利用した炊飯器 - Google Patents

熱吸収皮膜およびこれを利用した炊飯器

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JPH0967529A
JPH0967529A JP22484495A JP22484495A JPH0967529A JP H0967529 A JPH0967529 A JP H0967529A JP 22484495 A JP22484495 A JP 22484495A JP 22484495 A JP22484495 A JP 22484495A JP H0967529 A JPH0967529 A JP H0967529A
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absorbing film
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暢茂 洗
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炊飯器の内釜の外表面に形成された熱吸収皮
膜が摩耗し易く、傷付き易い。 【解決手段】 内釜14の外表面の熱吸収皮膜22を、
フッ素樹脂配合の耐熱樹脂塗料30の溶液中に金属酸化
物31の微粒子および強化材32を配合してなる下塗膜
層33と、フッ素樹脂塗料34の溶液中に金属酸化物3
1の微粒子を配合してなる上塗膜層35とからなる2層
コート仕上げとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波を選択的に
吸収する熱吸収皮膜およびこの熱吸収皮膜を内釜に利用
した炊飯器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気炊飯器に使用される内釜に
は、実開昭55−107817号公報および特開昭61
−234819号公報に開示されているように、その外
表面に黒色塗料を塗装したり、二次電解黒色アルマイト
等の熱吸収皮膜処理を施すことにより、炊飯ヒータから
の電磁波(遠赤外線)を効率良く吸収するものがある。
【0003】また、IH式炊飯器に使用されるアルミニ
ウム板とステンレス鋼板とからなるクラッド鋼板を用い
て形成された内釜の外表面に、ポリエーテルサルホン樹
脂やシリコーン樹脂等の耐熱樹脂塗料にカーボン等の黒
色耐熱顔料、金属酸化物の微粒子、樹脂バインダー、添
加剤等を配合した灰色ないし黒色の塗料を塗装したもの
がある。
【0004】しかしながら、前者の内釜においては、炊
飯ヒータとして表面温度が400〜600℃になるシー
ズヒータ等を使用し、このヒータからの遠赤外線を吸収
するのを目的としているが、吸収した熱を放射すなわち
熱線である波長5.6〜25μmの遠赤外線を全て放射
するので、吸収率は良いと言えるがその反面、放射損失
が大きく、熱効率の点からは十分に満足できるものでは
なかった。
【0005】後者の内釜においては、外表面に色を付け
るといったデザイン面と粗面である外表面を平滑にする
のが目的で、活発に電磁波を吸収するものではない。こ
のように、いずれも熱効率の点から考えて不満足なもの
であり、高火力を達成させるためにも不適合な構造であ
る。
【0006】そこで、本出願人は、特願平5−3161
47号において、内釜の外表面に、波長0.3〜5.6
μmまでの可視光線から遠赤外線の電磁波を吸収すると
ともに波長5.6〜25μmまでの遠赤外線を反射する
特性を備えた吸収率が90%以上、放射率が20%以下
の選択吸収膜を形成して、熱効率を高めることについて
提案した。この選択吸収膜は、耐熱性金属酸化物または
複数の耐熱性金属酸化物の化合物からなる黒色系選択吸
収膜、あるいは黒色系選択吸収膜材料を使用した選択吸
収塗料のいずれかを内釜の外表面に皮膜形成したもので
ある。
【0007】ここで、選択吸収塗料は、耐熱樹脂溶液で
あるメチルフェニルシリコーン樹脂溶液中に金属酸化物
である半導体黒色微粒子を適当な比率で配合し、これら
を均一撹拌してなるものであり、この塗料を内釜の素地
である鏡面光沢仕上げを施したアルミニウムの表面に塗
装している。なお、図6は、内釜の断面構造を示してお
り、1は内釜、2は選択吸収膜である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内釜の
選択吸収膜として上記塗料を使用した場合には、その皮
膜強度から鑑みて炊飯器の耐用年数である5〜7年が経
過するまでその機能を維持することができない。その理
由は、放射率を20%以下にするために膜厚が1μm前
後となるように薄膜に仕上げていることから、摩耗や傷
付きにより剥がれて内釜の素地がすぐに露出してしまう
からである。
【0009】そこで、膜厚を厚くすると、厚くなった分
だけ摩耗や傷付きにより内釜の素地が露出するまでの期
間は長くなるが、硬質鋭利なものが皮膜に当たると厚み
方向に深い傷が入り、内釜の素地が露出するとともに見
栄えも悪くなる。これは、塗料中に金属酸化物が微粒子
として配合されており、しかも金属酸化物は銅、コバル
ト、ニッケル、クローム、鉄等の酸化物であるため、さ
ほど硬くないからである。
【0010】本発明は、上記に鑑み、熱吸収に優れた耐
久性のある熱吸収皮膜およびこれを利用した長期間加熱
性能を維持して安心して使用できる炊飯器の提供を目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、フッ素樹脂配合の耐熱樹脂塗料中に電磁波選択吸
収用の金属酸化物および皮膜強度を高めるための強化材
を配合してなる下塗膜層と、フッ素樹脂塗料中に電磁波
選択吸収用の金属酸化物を配合してなる上塗膜層とから
なる熱吸収皮膜にしたことである。
【0012】そして、下塗膜層における耐熱樹脂塗料
は、メチルフェニルシリコーン樹脂にフッ素樹脂を添加
してなり、耐熱樹脂塗料に配合される強化材は、短繊維
および無機材料の微細な球状粒からなるものであり、こ
の強化材およびフッ素樹脂によって硬度および耐摩耗潤
滑特性を向上し、従来の塗料膜に比べて熱吸収効率を下
げずに摩耗や傷付きに対する耐久性を向上する。
【0013】また、上記熱吸収皮膜を炊飯器の内釜の外
表面に形成し、これにより長期間加熱性能を維持して安
心して使用できる炊飯器を提供する。しかも、熱吸収皮
膜が長期使用によって万一摩耗したり剥がれたりしたと
きに、露出した鏡面光沢を有する素地によって電磁波が
反射され、熱吸収効率が低下するのを防止するために、
内釜の素地として加熱によって黒色に酸化する材料を使
用するかあるいは素地の外表面が黒色処理されている。
【0014】さらに、内釜と炊飯ヒータとの間に、内釜
の外表面に接触し炊飯ヒータからの電磁波を熱に変換し
て内釜に伝導するための熱伝導板が配された炊飯器の場
合、熱伝導板の表面に、黒色アルマイト処理または黒色
塗料による塗装を施して、内釜の外表面の熱吸収皮膜と
相性をよくして摩耗や傷付きを抑える。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態における炊飯
器は、図2に示すように、有底短円筒状の炊飯器本体1
0と、その上面開口を覆う開閉自在な上蓋11とを備
え、炊飯器本体10内には、内鍋12とこの内鍋12を
覆うように空隙をあけて外鍋13とが設けられている。
内鍋12には、挿脱自在に内釜14が収納され、内釜1
4の下方に光輝炊飯ヒータ15が配設されている。そし
て、内釜14と炊飯ヒータ15との間には、炊飯ヒータ
15から放射される可視光線から遠赤外線領域の波長の
電磁波を透過する保護板16が配されている。また、炊
飯ヒータ15から放射される電磁波を内釜14の方向に
反射させる反射板17が炊飯ヒータ15の下方を囲むよ
うに配され、この反射板17を囲むように空隙をあけて
断熱板18が配されている。断熱板18は、外鍋13内
に空隙をあけて配されている。
【0016】前記上蓋11は、その下面に内釜14の上
面開口を開閉自在に覆う内蓋19が取り付けられて中空
状に形成されており、中空内部には保温ヒータが装着さ
れて保温機能を果している。
【0017】前記内鍋12は、短円筒状で、少なくとも
内面が反射効率のよい光輝平滑表面仕上げを施した鏡面
光沢を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金、あ
るいは光輝アルミニウムメッキ鋼板等からなる反射面と
され、さらに反射面に耐熱性および耐食性を有するアル
マイト皮膜が施されている。この内鍋12は、上端が保
持具10aを介して炊飯器本体10に保持されており、
内部に収納された内釜14の側面を覆うように空隙をあ
けて配されている。
【0018】前記外鍋13は、内鍋12や断熱板18か
らの外方向へ放射した電磁波や高温空気を阻止する仕切
り板の役割をしており、素材としては、熱反射効率のよ
い耐熱性の鏡面光沢のあるSUS430等のステンレス
鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウムが適して
いる。そして、内鍋12および断熱板18と外鍋13と
の空隙が断熱層となって、炊飯器本体10の外表面の高
温化を防止している。なお、外鍋13には、温度検知器
20が装着され、この温度検知器20は、内鍋12を貫
通して内釜14の外表面下部に当接されている。
【0019】前記内釜14は、底面がやや窪んだ曲面状
に形成された有底短円筒状で、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金等の高熱伝導性、耐熱性および耐衝撃性を
有する金属を母材とするものである。そして、図3に示
すように、内釜14の内面には、清掃性の向上を図るた
めに非粘着性と耐熱性に優れたフッ素樹脂コーティング
皮膜21が形成されている。これによって、内釜14に
付着した炊飯米も容易に洗い落とすことができる。な
お、フッ素樹脂コーティング皮膜21の代わりにPES
(ポリエーテルサルフォン)、PPS(ポリフェニレン
サルファイド)樹脂等の皮膜を施してもよい。
【0020】また、内釜14の外表面には、波長0.3
〜5.6μmまでの可視光線から遠赤外線領域の波長の
電磁波を吸収するとともに波長5.6〜25μmの遠赤
外線を反射する選択吸収特性を備えた黒色の電磁波吸収
皮膜(熱吸収皮膜)22が形成されている。なお、熱吸
収皮膜22の詳細については後述する。
【0021】前記炊飯ヒータ15は、可視光線から遠赤
外線領域の波長を含む電磁波、具体的には0.3〜5.
6μmまでの電磁波を発生する発熱体からなるもので、
ハロゲンヒータ、石英ガラス管ヒータ、カンタルスーパ
ー(カンタル株式会社製の電気抵抗発熱体の商品名、二
珪素化モリブデンMoSi2とガラス相を主とするセラ
ミック成分で構成された緻密なサーメット材)、光輝シ
ーズヒータ等の瞬間発熱または比較的早い発熱ができる
ものが適している。なお、ハロゲンヒータを使用した場
合、炊飯容量が1lのときはAC100Vで800W〜
1000W定格のものを用いるのが一般的である。この
炊飯ヒータ15は、環状に曲成されて、反射板17およ
び断熱板18に支持部材を介して支持されている。
【0022】前記保護板16は、高耐熱衝撃性を有する
結晶化ガラスからなる無着色透明ガラス板または着色透
明ガラス板で、その周縁部が反射板17の周縁部に載置
されて内鍋12の下面開口部を塞ぐように配置されてい
る。このように、保護板16が内釜14と炊飯ヒータ1
5との間に位置することにより、異物落下による炊飯ヒ
ータ15の破損を防止するとともに、水滴や煮汁等が炊
飯ヒータ15に付着するのを防いでいる。
【0023】前記反射板17は、有底の椀状で、内鍋1
2と同様に少なくとも内面が反射効率のよい光輝平滑表
面仕上げを施した鏡面光沢を有するアルミニウムまたは
アルミニウム合金、あるいは光輝アルミニウムメッキ鋼
板等からなる反射面とされ、さらに反射面に耐熱性およ
び耐食性を有するアルマイト皮膜が施されている。これ
により、炊飯ヒータ15からの電磁波を内釜14の方向
に効率良く反射して熱効率を向上するとともに、反射板
17の周辺部分の断熱効果を高めている。
【0024】前記断熱板18は、有底短円筒状で、アル
ミニウムまたはアルミニウムのほぼ同量比合金によりメ
ッキされた鉄板、もしくはステンレス鋼等からなり、断
熱板18と反射板17との間の空隙が断熱層となって、
この断熱層と相まって断熱効果および熱効率の向上を図
り、安全性を高めている。この断熱板18は、その周縁
部によって保護板16および反射板17の周縁部を挟持
し、内鍋12の下部フランジに装着されている。
【0025】上記構成において、内釜14に洗米した米
と水を投入した上で炊飯操作ボタンを押すと炊飯が開始
され、炊飯ヒータ15から波長0.3〜5.6μmの電
磁波が照射され、この電磁波が直接または反射板17に
よって反射されて保護板16を透過し、内釜14に照射
する。このとき、内釜14の外表面の熱吸収皮膜22は
波長0.3〜5.6μmまでの可視光線から遠赤外線を
吸収するとともに波長5.6〜25μmの遠赤外線を反
射するので、炊飯ヒータ15からの電磁波は熱吸収皮膜
22とよく波長適合してほとんど吸収されるとともに、
昇温した内釜14における放射損失は小さくなり、熱効
率を高めて内釜14内の炊飯米を効率良く炊き上げるこ
とができる。
【0026】炊飯米が炊き上がると、内釜14の温度が
温度検知器20の動作点に達し、炊飯終了後は全てのヒ
ータが一旦断電される。そして、炊飯時に高温となった
内釜14の外表面や内鍋12の内面が冷却され、温度検
知器20の感知温度が所定の保温温度まで低下すると、
炊飯ヒータ15が内釜14を加熱するとともに、保温ヒ
ータが上蓋11を加熱して炊き上げられた炊飯米を一定
の保温温度に保持する。これらの炊飯時および保温時に
は、図示しない制御部において温度検知器20から得ら
れる温度データに基づき、炊飯ヒータ15および保温ヒ
ータの入力を制御している。
【0027】このような構成の炊飯器において、内釜1
4を長期にわたって使用していると、例えば硬質鋭利な
台所部品が当たったり、流し台等での米研ぎ等によって
内釜14の外表面の熱吸収皮膜22が剥げてくる恐れが
ある。熱吸収皮膜22が剥げると、内釜14の素地が露
出して剥き出し状態となり、内釜14における熱効率が
低下したり見栄えが悪いといった不具合を生じる。
【0028】そこで、熱吸収皮膜22の耐久性を向上す
るために、熱吸収皮膜22を以下のように構成してい
る。すなわち、熱吸収皮膜22は、図1,4に示すよう
に、フッ素樹脂配合の耐熱樹脂塗料30の溶液中に電磁
波選択吸収用の金属酸化物31の微粒子および皮膜強度
を高めるための強化(硬化)材32を配合してなる下塗
り塗料を内釜14の外表面に塗装した下塗膜層33と、
フッ素樹脂塗料34の溶液中に電磁波選択吸収用の金属
酸化物31の微粒子を配合してなる上塗り塗料を下塗膜
層33に塗装した上塗膜層35とから2層コート仕上げ
とされている。
【0029】前記下塗り塗料においては、耐熱樹脂塗料
30として耐熱樹脂であるメチルフェニルシリコーン樹
脂にフッ素樹脂が配合されたものが使用され、これらの
配合比(重量比率)はメチルフェニルシリコーン樹脂が
100に対してフッ素樹脂が30以下とされ、特に10
0:15が望ましい。
【0030】また、耐熱樹脂塗料30の溶液中に配合さ
れる電磁波を選択吸収するための金属酸化物31の微粒
子としては、可視光線から遠赤外線領域の波長の電磁波
を選択吸収するために半導体特性を有する酸化銅、酸化
マンガン、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クローム等が使
用される。さらに、強化材32としては、チタン酸カリ
ウムまたはチタン酸ナトリウム等の短繊維である繊維状
フィラー36と、耐久性を格段に向上させるために5〜
60μmの範囲にある真球状シリカビーズ粒子であるガ
ラスビーズ37とが配合されたものが使用される。これ
らの配合比は、固形分含有量が40〜60%の耐熱樹脂
塗料30の溶液中に、金属酸化物31、繊維状フィラー
36、ガラスビーズ37の配合量がそれぞれ(40〜6
0):(20〜30):(20〜30)とされ、特に4
0:20:20が望ましい。
【0031】前記上塗り塗料においては、フッ素樹脂塗
料34としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
すなわち四フッ化エチレン樹脂が使用され、このフッ素
樹脂塗料34に下塗り塗料と同様の金属酸化物31の微
粒子が10%以下の重量比率で配合されている。
【0032】なお、実際に量産塗装作業をするときに
は、塗料の性状として、粘度、レベリング性、チキソト
ロピー特性、ハジキ特性、色別れ性、乾燥速度、微粒霧
化特性、顔料沈降特性、隠蔽性等の塗料特性が重要であ
り、下塗り塗料および上塗り塗料にはこれらの特性をよ
くする沈降防止剤、分散剤等の添加剤が配合されている
が、一般市販されて容易に入手できるものであり、ここ
では組成例を特に記載しない。
【0033】次に、下塗り塗料および上塗り塗料を用い
て、内釜14の外表面に熱吸収皮膜22を皮膜形成する
方法について説明をする。まず、内釜14の素材として
板厚1〜3mmで円形の規定寸法に切り出したアルミニ
ウム板を用い、このアルミニウム板に前処理としてサン
ドブラスト処理あるいはアルマイトやベーマイト、クロ
メート等の化成処理を行い、前処理が施されたアルミニ
ウム板における内釜14の内面に相当する面に予めフッ
素樹脂コーティング皮膜21あるいはPES、PPS樹
脂等の皮膜を形成しておく。そして、このプレコーティ
ングアルミニウム板をプレス加工で成形して内釜14の
形にする。
【0034】次に、内釜14の外表面を布ふき取りで粒
子状に付着した汚れを除去した後、アルカリ洗浄剤等に
よる脱脂洗浄でプレス油等の油分を除去し、乾燥後、サ
ンドブラスト処理をして外表面を荒らすか、サンドブラ
スト処理の代わりにベーマイトやクロメート等の化成処
理を行って、塗装の前処理を行う。
【0035】この前処理が施された内釜14の外表面に
下塗り塗料を塗装する。この場合、下塗り塗料をトルエ
ン、ブチルセロソルブ、ブタノールほか、エーテル、ケ
トン類等の混合有機溶剤を用いて吹き付けに適した粘度
に調整し、焼き付け乾燥後の皮膜の厚みが15〜45μ
m、特に15〜20μmなるようにスプレーガンを使用
して内釜14の外表面に吹き付ける。そして、約380
〜400℃で15〜20分のセッティング乾燥によって
下塗り塗料の溶剤が飛んで、内釜14の外表面に、セラ
ミック質とシロキサン系の半セラミック質とフッ素樹脂
とが混合されたマトリックス層および繊維状フィラー3
6とガラスビーズ37が均一分散した下塗膜層33が形
成される。なお、セッティング乾燥以外に、約100〜
160℃で10〜15分の強制乾燥によって焼き付け乾
燥を行ってもよい。
【0036】次に、下塗膜層33が乾燥した塗り肌にな
ったころを見計らって、下塗り塗料の吹き付けと同じ要
領で、上塗り塗料を吹き付けに適した粘度に調整し、焼
き付け乾燥後の塗料膜の厚みが5〜15μm、特に約1
0μmになるようにスプレーガンを使用して下塗膜層3
3の上から吹き付けて、上述と同様の焼き付け乾燥を行
う。これによって、下塗膜層33の上に、フッ素樹脂塗
料34に金属酸化物31の微粒子が均一分散した上塗膜
層35が形成される。なお、下塗膜層33と上塗膜層3
5の層厚合計が20〜30μmとなるように仕上げるの
が最適である。
【0037】このように、下塗膜層33において耐熱樹
脂塗料30に繊維状フィラー36およびガラスビーズ3
7からなる強化材32を配合することによって、摩擦抵
抗を低下させるとともに硬度を向上させ、しかも耐熱樹
脂塗料30中のフッ素樹脂によって耐摩耗潤滑特性を向
上させており、さらに上塗膜層35においてフッ素樹脂
塗料34を金属酸化物31のバインダーとして用いてい
るため、耐摩耗潤滑特性をより発揮させることができ、
下塗膜層33と上塗膜層35との相乗効果で従来の塗料
膜に比べて熱吸収効率を下げずに摩耗や傷付きに対する
耐久性を向上することができる。例えば、300〜40
0℃の高温で5000時間以上使用しても、高温および
摩耗や傷付きに耐え、調理炊飯性能に異常をきたすこと
なくその機能を維持することができた。
【0038】また、本実施の形態においては、内釜14
の外表面の熱吸収皮膜22が長期使用によって万一摩耗
したり剥がれたりしたときの対策として、内釜14の素
地として加熱によって黒色に酸化する材料を使用するか
あるいは素地の外表面が黒色処理されている。これは、
もし熱吸収皮膜22が摩耗したり剥がれたりして内釜1
4のアルミニウムの素地が露出した場合、この露出した
鏡面光沢を有する素地によって電磁波が反射され、熱吸
収効率が低下して内釜14の熱効率が悪くなるのを防止
するためである。
【0039】具体的には、内釜14の素地としての加熱
によって黒色に酸化する材料には、銅や鉄、あるいは
銅、ニッケル、コバルト等のメッキを施したアルミニウ
ムや鉄、あるいはこれらの金属のクラッド材を用い、こ
の素地の外表面に熱吸収皮膜22を形成すればよい。こ
れにより、もし熱吸収皮膜22が摩耗したり剥がれたり
して素地が露出しても、素地が熱吸収効率のよい黒色を
有しているため、熱効率を維持することができる。
【0040】一方、素地の外表面を黒色処理する場合に
は、例えばアルミニウムの素地の外表面に対して硬質、
耐熱性の二次電解黒色アルマイト等の熱吸収皮膜処理を
下地処理として行い、この上から熱吸収皮膜22を形成
すればよい。さらに、硬質、耐熱性を有する黒色のチタ
ニアの溶射加工皮膜、あるいは硬質、耐熱性を有するメ
ッキ加工処理であるブラッククローム、ブラックニッケ
ル、ブラック酸化コバルト等の選択吸収薄膜を被覆した
下地処理も大変有効である。
【0041】次に、別の実施の形態における炊飯器を図
5に示す。この炊飯器は、保護板の代わりに内釜14の
外表面に面接触された熱吸収、熱放射に優れた特性を有
する熱伝導板40が配されたタイプのものである。
【0042】この熱伝導板40は、炊飯ヒータ15から
の電磁波を吸収して熱に交換し、この熱を内釜14に伝
導するアルミニウムの素地からなるもので、その外周部
は内釜14の底面肩部が密着して嵌まり込むように内釜
14の底面肩部と同じ曲率を有するように成形されてい
る。そして、熱伝導板40の表面には、内釜14の外表
面の熱吸収皮膜22と相性をよくして、接触による互い
の摩耗や傷付きを極力抑えた耐久性のある組み合わせに
するために、二次電解黒色ニッケルアルマイト処理やポ
リチタノカルボシランに耐熱性を有する黒色の金属酸化
物顔料を配合した黒色塗料による塗装を施している。こ
れにより、熱伝導板40においては、炊飯ヒータ15か
らの電磁波を高効率で吸収し、吸収した熱を熱伝導で内
釜14に伝えて、一部は遠赤外線を内釜14の外表面に
放射して内釜14に吸収させることができ、しかも熱伝
導板40に対して内釜14を繰り返し着脱しても、内釜
14の外表面の熱吸収皮膜22における摩耗や傷付きを
極力抑え、耐久性を向上することができる。
【0043】なお、図中、41は炊飯器本体、42は上
蓋、43は内鍋、44は外鍋、45は温度検出器であ
り、前述した実施の形態における炊飯器と同様の機能を
有する部材については同符号を付してある。
【0044】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることは勿論である。例え
ば、熱吸収皮膜の用途としては、炊飯器の内釜だけに限
らず、電磁波を発生する熱源を有する例えば電子レンジ
やホットプレート等の加熱調理器の各部材に適用しても
よい。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、耐熱樹脂塗料中に強化材を配合することによっ
て、摩擦抵抗を低下させるとともに硬度を向上させ、し
かも耐熱樹脂塗料中のフッ素樹脂によって耐摩耗潤滑特
性を向上させた下塗膜層と、フッ素樹脂塗料を金属酸化
物のバインダーとして用いることで耐摩耗潤滑特性をよ
り発揮させた上塗膜層とからなる2層コート仕上げによ
り、下塗膜層と上塗膜層との相乗効果で熱吸収効率を下
げずに摩耗や傷付きに対する耐久性を向上した熱吸収皮
膜を提供することができる。
【0046】また、内釜の外表面に上記特性を有する熱
吸収皮膜を形成することにより、硬質鋭利な台所部品が
当たって熱吸収皮膜に深い傷が入ったり、米研ぎ等によ
って熱吸収皮膜が摩耗して剥げてくるといった不具合を
なくし、炊飯器の耐用年数である5〜7年が経過するま
で摩耗や傷付きをなくして、長期間加熱性能を維持して
安心して使用できる炊飯器を提供することができる。
【0047】さらに、内釜の素地として加熱によって黒
色に酸化する材料を使用するかあるいは素地の外表面に
黒色処理を施すと、もし熱吸収皮膜が摩耗したり剥がれ
たりして素地が露出しても、素地が熱吸収効率のよい黒
色を有しているため、加熱性能を維持することができ
る。
【0048】また、炊飯ヒータからの電磁波を熱に変換
して内釜に伝導する熱伝導板を備えた炊飯器において、
熱伝導板の表面に黒色アルマイト処理または黒色塗料に
よる塗装を施すことによって、内釜の外表面の熱吸収皮
膜との相性をよくし、熱伝導板に対して内釜を繰り返し
着脱しても、熱吸収皮膜の摩耗や傷付きを極力抑えるこ
とができ、耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における炊飯器の内釜の拡
大断面図
【図2】炊飯器の断面図
【図3】内釜の構造を模式的に示す断面図
【図4】下塗膜層および上塗膜層の拡大断面図
【図5】別の実施の形態における炊飯器の断面図
【図6】従来の内釜の拡大断面図
【符号の説明】
11 炊飯器本体 14 内釜 15 炊飯ヒータ 22 熱吸収皮膜 30 耐熱樹脂塗料 31 金属酸化物 32 強化材 33 下塗膜層 34 フッ素樹脂塗料 35 上塗膜層 36 繊維状フィラー 37 ガラスビーズ 40 熱伝導板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂配合の耐熱樹脂塗料中に電磁
    波選択吸収用の金属酸化物および皮膜強度を高めるため
    の強化材を配合してなる下塗膜層と、フッ素樹脂塗料中
    に電磁波選択吸収用の金属酸化物を配合してなる上塗膜
    層とからなることを特徴とする熱吸収皮膜。
  2. 【請求項2】 下塗膜層における耐熱樹脂塗料は、メチ
    ルフェニルシリコーン樹脂にフッ素樹脂を添加してな
    り、前記耐熱樹脂塗料に配合される強化材は、短繊維お
    よび無機材料の微細な球状粒からなることを特徴とする
    請求項1記載の熱吸収皮膜。
  3. 【請求項3】 炊飯器本体に、内釜と、該内釜を加熱す
    る炊飯ヒータとが内装された炊飯器において、前記内釜
    の外表面に請求項1記載の熱吸収皮膜が形成されたこと
    を特徴とする炊飯器。
  4. 【請求項4】 内釜は、素地として加熱によって黒色に
    酸化する材料を使用するかあるいは素地の外表面が黒色
    処理されたことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
  5. 【請求項5】 内釜と炊飯ヒータとの間に、前記内釜の
    外表面に接触し前記炊飯ヒータからの電磁波を熱に変換
    して前記内釜に伝導するための熱伝導板が配され、該熱
    伝導板の表面には、内釜の外表面の熱吸収皮膜と相性を
    よくして摩耗や傷付きを抑えるために、黒色アルマイト
    処理または黒色塗料による塗装が施されたことを特徴と
    する請求項3または4記載の炊飯器。
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