JPH1183027A - 加熱調理器用皮膜の構造およびこの皮膜構造を有するオーブンレンジ - Google Patents

加熱調理器用皮膜の構造およびこの皮膜構造を有するオーブンレンジ

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JPH1183027A
JPH1183027A JP23554597A JP23554597A JPH1183027A JP H1183027 A JPH1183027 A JP H1183027A JP 23554597 A JP23554597 A JP 23554597A JP 23554597 A JP23554597 A JP 23554597A JP H1183027 A JPH1183027 A JP H1183027A
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film
coating
heating cooker
reflection
selective absorption
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JP23554597A
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English (en)
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Nobushige Arai
暢茂 洗
Yuji Ando
有司 安藤
Kozo Morita
弘三 森田
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Okitsumo Inc
Sharp Corp
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Okitsumo Inc
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーブン庫内のヒータから発せられる赤外線
を効率よく反射して、熱効率を高め、加熱の立ち上がり
を速くする。 【解決手段】 表面を鏡面仕上げして金属光沢面を有す
るステンレス板からなる基材10上に、銅、鉄、マンガ
ンの金属−遷移金属からなる複合金属酸化物の微粒子顔
料が数%配合され、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリ
チタノカルボシランやポリボロシロキサン等のポリシロ
キサン系樹脂をバインダーとした赤外線透過性のよい耐
熱性の透明樹脂溶液からなるワニス中に上記顔料、分散
剤、レベリング剤が混合されて、黒色系塗料を塗布し、
焼き付けて、厚さ10μm以下の選択吸収膜15を形成
する。選択吸収膜15上に、赤外線透過性のシリコーン
樹脂をコーティングして透明膜11を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温調理を行う加
熱調理器の加熱室壁面に形成される皮膜の構造に関する
ものであり、特に電子オーブンレンジのオーブン庫内壁
の耐熱性、非粘着性の皮膜構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の高温調理用電子オーブンレンジの
オーブン庫では、基材にステンレス板、アルミニウム
板、アルミニウムメッキ鋼板やアルミニウム−亜鉛合金
メッキ鋼板等の耐熱性金属の表面処理板を用いている。
そして、調理時におけるオーブン庫壁面への調理物飛散
によるこびりつき汚染の防止と清掃性を向上させる目的
で、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、各種ポリシロキサン
系耐熱性樹脂、PES樹脂等の耐熱性および非粘着性を
有する樹脂バインダーを1種乃至2種以上用いて、黒色
系の耐熱性金属酸化物などの無機顔料、増粘剤、レベリ
ング剤、シリコーンオイル、液体塗料化溶剤を加えて塗
料にして、吹き付け塗装またはロールコーティングによ
り基材上に皮膜が形成されている。このプレコート鋼板
等の基材をプレス成型して、内壁に耐熱性、非粘着性を
有する皮膜が形成されたオーブン庫が組み立てられる。
【0003】これに関しては数多くの公知例があり、例
えば特許第2525283号公報、特公平3−3710
1号公報、特公平7−96933号公報、特公平7−1
22501号公報、特公平7−71号公報がある。これ
らはいずれも、清掃性、非粘着性、耐熱性、黒色系の汚
れ対応色調を目的とした電子オーブンレンジ等の加熱調
理器の皮膜構造であり、皮膜は膜厚15μm以上の平均
30〜55μmとされ、実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電子オーブ
ンレンジでは、オーブン庫に500〜800℃に発熱す
る赤熱電気ヒータが内装され、近赤外線〜遠赤外線の波
長の電磁波を放射してトースト等の食品に焦げ目を付け
る加熱調理が行われる。この場合、ヒータの効率向上に
対して上記のオーブン庫内壁の皮膜構造では、ヒータか
ら放射される赤外線が有効に利用されておらず、その対
応が全くされていない。すなわち、上記の皮膜構造で
は、赤外線反射効果は望めない。
【0005】そこで、赤外線反射効果を得るため、無塗
装のステンレス、アルミニウムアルマイト仕上げ等の金
属素地のみからなるオーブン庫にすると、金属光沢面に
よる反射は得られるが、調理をするとすぐに黒褐色に汚
れて、反射効果が得られなくなる。また、オーブン庫の
外壁から熱が外部に放散されて、熱効率が悪くなるの
で、オーブン庫の外面にはガラスウールやセラミックウ
ールの断熱シートが設置され、オーブン庫の断熱を図る
必要がある。さらに、オーブン庫内の熱がオーブン庫の
ドアガラスから赤外線として透過して逃げるのを少なく
するために、酸化インジュウムや酸化スズ等の赤外線反
射薄膜をドアガラスに形成する場合もある。
【0006】このように、ヒータを内蔵した電子オーブ
ンレンジによるトーストや焦げ目付け食品の加熱調理に
おいて、従来の皮膜の構造では、焼き上がりが遅くなっ
て、加熱に時間がかかりすぎ、おいしさに欠ける仕上が
りとなる。したがって、ユーザーにとっては、熱効率の
低下に起因する加熱調理の立ち上がり性能や仕上がり速
度、省エネルギーの点で不満足の状態にある。
【0007】本発明は、上記に鑑み、耐熱性、非粘着性
を有するとともに、さらに赤外線を反射する特性を付加
して、熱効率の向上を図れる加熱調理器用皮膜の提供を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の電子オ
ーブンレンジ等におけるトーストパンの焼き上がり速度
が遅く、おいしさに欠ける仕上がりを解決し、おいしさ
の確保と早く焼き上げることができるオーブン庫内壁の
皮膜構造にするために鑑みてなされたものであり、皮膜
自身からあるいは皮膜の下の基材である金属素地面から
赤外線を反射させるような反射膜とすることにより、赤
外線反射効果が得られ、従来の黒色系フッ素樹脂、シリ
コーン樹脂等の耐熱性、非粘着性、清掃性を有する皮膜
ではなし得ないものである。
【0009】その課題解決手段は、オーブン庫等の加熱
室壁面の基材上に、可視光線を吸収するとともに赤外線
を反射する耐熱性反射膜が形成されたものである。そし
て、反射膜は、金属酸化物の微粒子を配合した選択吸収
膜塗料が基材上に塗布されて成る選択吸収膜であった
り、あるいは黒色の金属酸化物が基材上にメッキされて
成るものである。
【0010】特に、選択吸収膜では、選択吸収膜塗料の
バインダーにポリチタノカルボシランを用い、基材は、
赤外線反射効率のよい金属素地からなり、選択吸収膜が
10μm以下の厚みで形成される。
【0011】さらに、反射膜上に、赤外線を透過し非粘
着性を有する耐熱性透明膜が形成される。この透明膜
は、10μm以下の厚みとされ、シリコーン樹脂を含む
塗料が塗布されて成るものである。
【0012】また、基材は、赤外線反射効率のよいメッ
キ面や金属素地からなり、鏡面仕上げされて金属光沢面
を有するものとし、赤外線を反射させるための耐熱性反
射膜は、赤外線を透過し非粘着性を有する透明膜とする
ものである。
【0013】このような皮膜構造にすることによって、
赤外線を有効に反射することができ、熱効率を高めるこ
とができる。したがって、ほぼ密閉されたオーブン庫内
雰囲気において、庫内壁面の赤外線反射によって加熱の
立ち上げを速めることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る皮膜構造の実
施形態を説明する。図1に本発明の皮膜が形成される電
子オーブンレンジのオーブン庫の断面図を示す。1はオ
ーブン庫、2は近赤外線反射ガラスを備えたドア、3は
オーブン庫内壁、4は反射板付き昇降ヒータ、5はター
ンテーブル皿、6は調理物、7はターンテーブルであ
る。そして、ヒータ4に通電することにより、ヒータ4
から可視光から近赤外線、遠赤外線の波長の電磁波が放
射され、オーブン庫1内の温度を250〜300℃まで
高めて、トースト等の食品に焦げ目を付ける加熱調理が
行われる。このとき、オーブン庫内壁3の温度も250
〜300℃まで達する。
【0015】オーブン庫内壁3の基材として、ヒータ4
の高温に耐え得るようにステンレス板やAl50−Zn
50組成のガルバリウムメッキ鋼板、アルミニウムメッ
キ,ニッケルメッキ,クロームメッキ,コバルトメッキ
等の各種金属メッキ鋼板、陽極酸化等の処理鋼板、アル
ミニウム板が用いられる。これらの金属素地面は、一般
的に赤外線反射効率がよい。特に、平滑に鏡面仕上げし
て金属光沢面にすると、反射効果がより顕著となる。
【0016】しかし、このままの金属素地であると汚れ
て熱効率が悪くなるので、赤外線を反射する耐熱性の皮
膜を形成する必要がある。そこで、物理的な方法で赤外
線を反射させるための耐熱性反射膜を形成する。なお、
この反射膜は、オーブン庫内壁3の清掃性、焦げ付き防
止、清潔で汚れが目立たない意匠性を重要視する場合は
黒色系の皮膜とされる。
【0017】すなわち、反射膜として、オーブン庫1の
基材10がステンレス板やアルミニウムメッキ鋼板等の
素地表面を鏡面仕上げして金属光沢面にされている場
合、図2に示すように、この基材10上に耐熱性、非粘
着性、赤外線透過性を有するシリコーン樹脂、フッ素樹
脂等の塗料を用いて透明膜(クリアコート)11を形成
する。透明膜11は約5μmの厚さにコーティング仕上
げされる。なお、基材10の赤外線反射効果を維持する
ためには、透明膜11は厚さ10μm以下とされ、耐摩
耗性、実使用における耐久性を考慮して3〜5μmが適
している。
【0018】基材10の素地表面が鏡面仕上げされてい
ない場合、図3に示すように、基材10上にアルミニウ
ム粉A配合のシリコーン樹脂塗料をコーティングした反
射塗膜12を形成する。そして、この反射塗膜12の上
に、さらにシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の塗料を用い
て透明膜11を形成してもよく、あるいは黒色のカーボ
ンブラック顔料を微量配合したシリコーン樹脂、フッ素
樹脂等の透明塗料により透明膜11を形成してもよい。
なお、カーボンブラック顔料を配合した透明膜11は、
厚さが3〜7μmとされる。
【0019】また、従来のシリコーン樹脂、フッ素樹脂
等に黒色系の耐熱性金属酸化物などの無機顔料が混合さ
れた耐熱性、非粘着性を有する下塗膜(黒色コート)1
3が形成された基材10の場合は、図4に示すように、
この基材10上にアルミニウム粉A配合のシリコーン樹
脂塗料をコーティングした反射塗膜12を形成する。そ
して、この反射塗膜12の上に、さらにシリコーン樹
脂、フッ素樹脂等の透明膜11を形成してもよい。
【0020】ここで、透明膜11としては、シリコーン
樹脂の透明塗料が適している。シリコーン樹脂の透明膜
11は、赤外線の透過率が大きく、耐熱性、撥水・非粘
着性に優れている。しかも、フッ素樹脂に比べて300
℃を越えても分解せず、高温での安定性がある。
【0021】また、他の方法として、金属光沢面を有す
る基材10あるいは下塗膜13が形成された基材10上
に、酸化チタン、窒化チタン、炭化チタン等の金属酸化
物、金属炭化物、金属窒化物を1種または2種以上配合
したシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の塗料を用いて反射
塗膜を形成する。この反射塗膜は約10〜50μmにコ
ーティング仕上げされる。そして、この反射塗膜の上
に、さらにシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の塗料を用い
て約5μmの透明膜11を形成してもよい。
【0022】上記の反射膜は、いずれも基材10の素地
あるいはアルミニウム、チタンといった金属の物理的な
反射特性を利用して、赤外線を反射させている。特に、
透明樹脂にこれらの金属を配合した塗料を用いることに
より、反射膜だけでなく、基材10の素地面での反射も
利用でき、より一層赤外線反射効果を高めることができ
る。そして、最上層に透明膜11を形成することによっ
て、下層の表面を保護するとともに赤外線反射効果を維
持することができ、耐熱性、非粘着性、硬質性を有し、
清掃性に優れた皮膜が得られる。
【0023】このような金属の物理的な反射とは異なる
反射膜として、図5に示すように、半導体特性を有する
金属酸化物である酸化インジュウム、酸化スズ、アンチ
モン−酸化スズ等の微粒子Bをシリコーン樹脂、フッ素
樹脂等の溶液に混合、配合した塗料を基材10上に塗布
して約10〜50μmに仕上げられた反射塗膜14があ
る。この反射膜は、金属酸化物の半導体特性により近赤
外線〜遠赤外線である約1〜5μmの波長の電磁波を反
射する。
【0024】また、他の反射膜として、太陽光線の可視
光線である波長0.3〜1.2μmの電磁波を効率よく
吸収した後、発生する約100℃以上の熱である波長約
5μm以上の遠赤外線を反射するが熱を放射しないとい
う特性を有する選択吸収膜を利用する。これによって、
短波長の電磁波を吸収して熱変換されて反射膜から放熱
することができ、長波長の電磁波を反射することと相俟
って熱効率を最大限高めることができる。
【0025】選択吸収膜材料としては、銅、鉄、マンガ
ンの金属−遷移金属からなる複合金属酸化物の微粒子顔
料が数%配合され、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリ
チタノカルボシランやポリボロシロキサン等のポリシロ
キサン系樹脂をバインダーとした赤外線透過性のよい耐
熱性の透明樹脂溶液からなるワニス中に上記顔料、分散
剤、レベリング剤が混合されて、黒色系塗料液にする。
具体的な選択吸収膜形成用塗料の組成を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】なお、金属酸化物としては、上記以外にク
ロム,コバルト,ニッケル,スズ,インジュウム等の半
導体特性を有する酸化物があり、これらの単一酸化物の
1種または2種以上の混合物、あるいは各遷移金属元素
からなる複数の複合酸化物の1種または2種以上の混合
物、あるいは半導体特性の金属酸化物と遷移金属の酸化
物の混合または複合酸化物から選択した酸化物を用い
る。
【0028】また、塗料のバインダーにポリチタノカル
ボシラン(宇部興産株式会社製の商品名:チラノコー
ト)を用いると、セラミック化してシリコーン樹脂やフ
ッ素樹脂のような粘着性をもった柔らかさがなく、硬く
耐摩耗性を有する耐熱、非粘着性の皮膜が得られ、耐久
性に優れ、長寿命を確保できる。
【0029】そして、図6に示すように、表面を鏡面仕
上げしたステンレス板からなる基材10上にこの塗料を
塗布し、焼き付けて、厚さ10μm以下の選択吸収膜1
5を形成する。なお、選択吸収膜15は厚さが約1〜5
μmと薄いほど赤外線反射効果が高い。さらに、この選
択吸収膜15上に、赤外線透過性のシリコーン樹脂を約
5μm前後にコーティングして透明膜11を形成しても
よい。この透明膜11を形成すると、選択吸収膜15を
保護でき、長期間にわたって当初の赤外線反射効果を維
持でき、さらに耐久性、耐熱性、清掃性、非粘着性、耐
汚染性といった特性が具備される。なお、シリコーン樹
脂以外のフッ素樹脂でも同じ効果を得られる。
【0030】選択吸収膜15を形成するために塗料以外
の方法として、上記の半導体特性を有する金属酸化物を
用いて、メッキ加工処理により選択吸収膜15を形成し
てもよい。例えば、基材10としてステンレス板の金属
光沢面、メッキ鋼板の金属光沢面、アルミニウムの金属
光沢面、鉄素地面等に公知処方によるブラッククローム
のメッキ、あるいはブラックニッケルのメッキを施し
て、厚さ数μmの選択吸収膜15を形成する。
【0031】この金属メッキによる選択吸収膜15は1
μm前後の薄膜なので、すぐに表面傷が付いて使用する
に値しない状態になるので、これを防止する目的で選択
吸収膜15上にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の透明膜
11を10μm以下、できれば耐摩耗性、耐久性を考慮
して3〜5μmの厚さで形成して多層膜にすればよく、
商品価値が高められる。
【0032】次に、上記の方法により形成された各種の
反射膜の赤外線反射効果を確かめた。測定方法は、50
mm角、板厚0.7mmのステンレス板のテストピース
に反射膜を形成した試料を電子オーブンレンジのオーブ
ン庫内の測定テーブル部に置き、この試料の上方に約3
0cmの間隔を置いてシーズヒータを配置させ、電源を
オンしてシーズヒータの表面温度を720℃にして、オ
ーブン庫内の雰囲気温度が室温20℃から使用時最高温
度の250℃に達するときのテストピースの温度を計測
した。さらに、反射膜を形成したオーブン庫内壁を使用
して、電源をオンしてから250℃に到達するまでの時
間、およびオーブントースター機能を使って、実際にト
ーストパンに焦げ目が付く時間を測定し、従来品の黒色
コートと比較した。
【0033】表2に各実施例における250℃に達した
ときのテストピースの壁面温度の測定結果を示す。ここ
で、実施例1は従来の下塗膜を厚さ20〜30μmに1
コートした黒色コート、実施例2は従来の下塗膜上にア
ルミニウム粉配合のシリコーン樹脂の反射塗膜を形成
し、その上にシリコーン樹脂の透明膜(クリアコート)
を形成した反射膜、実施例3は従来の下塗膜上に半導体
特性を有する金属酸化物微粒子配合のシリコーン樹脂の
反射塗膜を厚さ20〜30μmに形成した反射膜、実施
例4は金属光沢面の基材上にシリコーン樹脂の透明膜あ
るいはフッ素樹脂の透明膜(約10μm以下)を形成し
た反射膜、実施例5は金属光沢面の基材上にアルミニウ
ム粉配合のシリコーン樹脂の反射塗膜を形成し、その上
にシリコーン樹脂の透明膜(約5μm)を形成した反射
膜、実施例6は金属光沢面の基材上にアルミニウム粉配
合のシリコーン樹脂の反射塗膜を形成し、その上に極微
量のカーボンブラック配合のフッ素樹脂の透明膜(3〜
7μm)を形成した反射膜、実施例7は金属光沢面の基
材上に極微量のカーボンブラック配合のフッ素樹脂の透
明膜(約10〜20μm)を形成した反射膜、実施例8
は金属光沢面の基材上にアルミニウム粉配合のシリコー
ン樹脂の反射塗膜を形成し、その上にカーボンブラック
を微量配合したシリコーン樹脂の透明膜(5〜10μ
m)を形成した反射膜、実施例9は従来の下塗膜上に窒
化チタン、炭化チタン配合のシリコーン樹脂の反射塗膜
を形成し、その上にシリコーン樹脂の透明膜を形成した
反射膜、実施例10は金属光沢面の基材上に極微量のカ
ーボンブラック配合のシリコーン樹脂の透明膜(5〜7
μm)を形成した反射膜、実施例11は金属光沢面の基
材上に選択吸収膜(1〜2μm)を形成し、その上にシ
リコーン樹脂の透明膜(5μm)を形成した反射膜、実
施例12は金属光沢面の基材上に選択吸収膜(5μmあ
るいは10μm)を形成し、その上にシリコーン樹脂の
透明膜(5μm)を形成した反射膜、実施例13はNi
メッキ鋼板の金属光沢面の基材上に選択吸収膜(3μ
m)を形成した反射膜、実施例14は金属光沢面の基材
上にシリコーン樹脂の選択吸収膜(5〜7μm)を形成
した反射膜、実施例15は金属光沢面の基材上にポリチ
タノカルボシラン樹脂の選択吸収膜(5〜7μm)を形
成した反射膜、実施例16はステンレス板あるいは鉄板
の金属光沢面の基材上にブラッククロムメッキの選択吸
収膜を形成した反射膜、およびアルミニウム板の金属光
沢面の基材上にブラックニッケルメッキの選択吸収膜を
形成した反射膜、実施例17はAl−Zn合金メッキ鋼
板(ガルバリウム鋼板)の基材上にシリコーン樹脂の選
択吸収膜(3〜5μm)を形成した反射膜、実施例18
はAl−Zn合金メッキ鋼板(ガルバリウム鋼板)の基
材上にポリチタノカルボシラン樹脂の選択吸収膜(3〜
5μm)を形成した反射膜、とされる。なお、実施例1
3、16〜18を除く実施例の基材はステンレス板であ
る。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示した結果に基づいて、従来品の黒
色コートと本発明の反射膜を比較して、電子オーブンレ
ンジの運転開始による加熱立ち上がり時における赤外線
反射状態を反射膜の壁面温度から考察した。これらの結
果から、反射膜が金属や金属酸化物の単なる物理的な反
射を利用した場合(実施例4〜8,10)は、従来品で
は約110℃に対し、この反射膜では100℃以下の8
5〜96℃となり、良好な反射効果が得られた。次に、
半導体特性を有する金属酸化物配合の反射膜(実施例
3)では、従来品よりも若干の効果が認められるものの
大幅に100℃を切ることができなかった。また、従来
の黒色コート上に反射膜を形成した場合(実施例2,
9)は、従来品よりも反射膜の効果は認められる。しか
し、基材の金属光沢面による反射効果が黒色コートに阻
害されるため、他の実施例のものよりも劣る結果となっ
た。これに対して選択吸収膜を利用した反射膜(実施例
11〜18)は、塗膜、メッキ膜いずれも80℃を切る
ことができ、最高71℃を得た。
【0036】さらに、250℃までの到達時間の測定で
は、従来品に比べ約10%速く立ち上がった。また、ト
ーストパン1枚の焦げ目付けでは、ドアガラスの赤外線
反射膜処理と併用するとオーブン庫内の6面から赤外線
が反射される相乗効果が出て、20〜25%の時間短縮
ができた。
【0037】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多く
の修正および変更を加え得ることは勿論である。例え
ば、加熱調理器として、オーブン形トースタあるいは電
気オーブンに上記の皮膜構造を適用してもよい。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明に
よると、オーブン庫等の金属製基材上に、可視光線を吸
収するとともに赤外線を反射する特性を有する耐熱性反
射膜を塗布して形成したり、メッキして形成することに
より、ヒータ等からの赤外線を効率よく反射することが
でき、熱効率がよくなる。その結果、トーストや焦げ目
付け食品調理で加熱の立ち上げが速まり、仕上がりもよ
くなり、さらに加熱時間も短縮されて省エネルギーを図
ることができる。
【0039】ここで、反射膜として用いる選択吸収膜塗
料は、バインダーにポリチタノカルボシランを用いる
と、硬く耐摩耗性に優れた長寿命の耐熱性の皮膜を形成
することができる。また、基材が赤外線反射効率のよい
金属素地からなり、しかも金属光沢面を有していれば、
基材表面からも赤外線が反射されるので、さらに大きな
赤外線反射効果が得られる。
【0040】そして、反射膜上に、赤外線を透過し非粘
着性を有する耐熱性透明膜が形成されていると、外傷に
対して反射膜を保護することができ、当初の赤外線反射
効果を長期間にわたって維持できる。
【0041】また、基材が、赤外線反射効率のよい金属
素地からなり、鏡面仕上げされて金属光沢面を有する
と、赤外線を透過し非粘着性を有する耐熱性の透明膜を
反射膜として形成すれば、基材からの赤外線反射効果が
得られる。また、反射膜に、黒色顔料を微量配合するこ
とによって、汚れが目立たなく、清掃性がよく、焦げ付
きにくい、黒色系の皮膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射膜が形成される電子オーブンレン
ジのオーブン庫の断面図
【図2】透明膜からなる反射膜の断面図
【図3】アルミニウム粉を含む反射塗膜からなる反射膜
の断面図
【図4】下塗膜およびアルミニウム粉を含む反射塗膜か
らなる反射膜の断面図
【図5】金属酸化物微粒子の反射塗膜からなる反射膜の
断面図
【図6】選択吸収膜からなる反射膜の断面図
【符号の説明】
1 オーブン庫 2 ドア 3 オーブン庫内壁 4 ヒータ 10 基材 11 透明膜 12 アルミニウム粉を含む反射塗膜 13 下塗膜 14 半導体特性を有する金属酸化物微粒子を含む反
射塗膜 15 選択吸収膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 弘三 三重県名張市蔵持町芝出1109番地の7 オ キツモ株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱室壁面の基材上に、可視光線を吸収
    するとともに赤外線を反射する耐熱性反射膜が形成され
    たことを特徴とする加熱調理器用皮膜の構造。
  2. 【請求項2】 反射膜は、金属酸化物の微粒子を配合し
    た選択吸収膜塗料が基材上に塗布されて成る選択吸収膜
    であることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器用皮
    膜の構造。
  3. 【請求項3】 選択吸収膜塗料のバインダーにポリチタ
    ノカルボシランを用いたことを特徴とする請求項2記載
    の加熱調理器用皮膜の構造。
  4. 【請求項4】 基材は、赤外線反射効率のよい金属素地
    からなり、選択吸収膜が10μm以下の厚みで形成され
    たことを特徴とする請求項2または3記載の加熱調理器
    用皮膜の構造。
  5. 【請求項5】 反射膜は、黒色の金属酸化物が基材上に
    メッキされて成ることを特徴とする請求項1記載の加熱
    調理器用皮膜の構造。
  6. 【請求項6】 反射膜上に、赤外線を透過し非粘着性を
    有する耐熱性透明膜が形成されたことを特徴とする請求
    項2または5記載の加熱調理器用皮膜の構造。
  7. 【請求項7】 透明膜は10μm以下の厚みとされたこ
    とを特徴とする請求項6記載の加熱調理器用皮膜の構
    造。
  8. 【請求項8】 透明膜は、シリコーン樹脂を含む塗料が
    塗布されて成ることを特徴とする請求項6または7記載
    の加熱調理器用皮膜の構造。
  9. 【請求項9】 加熱室壁面の基材上に、赤外線を反射さ
    せるための耐熱性反射膜が形成され、該反射膜は、赤外
    線を透過し非粘着性を有する透明膜とされ、前記基材
    は、赤外線反射効率のよい金属素地からなり、鏡面仕上
    げされて金属光沢面を有することを特徴とする加熱調理
    器用皮膜の構造。
  10. 【請求項10】 反射膜に、黒色顔料が微量配合された
    ことを特徴とする請求項9記載の加熱調理器用皮膜の構
    造。
  11. 【請求項11】 ヒータが内装されたオーブン庫の内壁
    に、可視光線を吸収するとともに赤外線を反射する黒色
    の耐熱性反射膜が形成されたことを特徴とするオーブン
    レンジ。
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