JP2726844B2 - 加熱機器 - Google Patents

加熱機器

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JP2726844B2
JP2726844B2 JP63087494A JP8749488A JP2726844B2 JP 2726844 B2 JP2726844 B2 JP 2726844B2 JP 63087494 A JP63087494 A JP 63087494A JP 8749488 A JP8749488 A JP 8749488A JP 2726844 B2 JP2726844 B2 JP 2726844B2
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cooking
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英賢 川西
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、遠赤外線ヒータを利用したオーブントース
ターおよびオーブン等の調理器、暖房器、および魚焼器
や焼肉器などの焼物器など加熱機器に関するものであ
る。
従来の技術 従来より、前述した調理器、暖房器および焼物器にお
いては、電気を利用するものが、ガスを利用するものに
対して安全性に優れているため、幅広く使用されてい
る。
ところで、これらの機器の発熱体としては、大きく分
けて次に示すような2つのタイプが主に用いられてい
る。
(1) 金属パイプの中央部に電熱線を位置させ、かつ
金属パイプと電熱線の間にマグネシアからなる電気絶縁
粉末を充填したシーズヒータ。
(2) 石英管もしくは結晶化ガラス管(商品名ミラク
ロン)などのヒータ用保護基材の中央部にコイル状の電
熱線を位置させた石英管ヒータもしくはミラクロンヒー
タ。
しかしながら、シーズヒータは、ヒータの立ち上がり
スピードが遅く、かつ金属パイプを使用しているため、
あまり高温にすることができず、したがって、現在で
は、結晶化ガラス管や石英管を使用したミラクロンヒー
タまたは石英管ヒータが主に用いられている。
一方、最近では、これらのミラクロンヒータや石英管
ヒータの結晶化ガラス管や石英管などのヒータ用保護基
材の表面に遠赤外線放射層を形成した遠赤外線ヒータ
を、調理性能および暖房性能の向上や省エネルギーの面
から前述した機器に応用しようとする傾向があり、いろ
いろと提案され、一部は応用されている。
ところで、現在、提案されている遠赤外線放射層の形
成方法としては、次の2つがある。
(1) 溶射法 (2) 無機塩コーティング法 しかしながら、この2つの方法において、溶射法は、
ヒータ用保護基材の表面をブラスト処理した後、遠赤外
線放射物質(たとえば、ムライト,ジルコニアなど)を
プラズマ溶射により被覆処理すればよく、したがって操
作そのものは簡便であるが、溶射装置等のランニグコス
トが高く、非常に高価なものとなる。
さらに、この溶射法で得られる遠赤外線ヒータには、
次に示すようないろいろな課題がある。
(1) ヒータ用保護基材と、遠赤外線放射層(前記溶
射法により得られる溶射層を示す)とは物理的に結合し
ているだけであり、さらに両者の熱膨張差が大きい。
このため、高温時や、熱衝撃を受けた場合、遠赤外線
放射層の剥離が生じやすい。
(2) 遠赤外線放射層が多孔質であるため、ヒータ用
保護基材として、食塩などに対する防食性の弱い石英ガ
ラスなどを用いることができない。
(3) 遠赤外線放射層を形成する遠赤外線放射物質の
選択に限度があるため、被加熱物の遠赤外線吸収特性に
それぞれ合った遠赤外線放射層にすることが難しい。
(4) 遠赤外線放射物質としての色はほぼ限定されて
おり、遠赤外線放射層を自由に着色することができな
い。
このように、溶射法では、高価であるとともに、遠赤
外線放射層の塗膜性能,防色性,遠赤外線放射特性,着
色化などに課題がある。
このため、最近では、溶射法よりも無機塩コーティン
グ法が注目されてきている。
この無機塩コーティング法は、主に水ガラスなどのア
ルカリケイ酸塩やリン酸アルミニウムなどの無機塩を結
合材とし、これに遠赤外線放射顔料を添加した遠赤外線
塗料組成物をヒータ用保護基材の表面に塗布し、熱処理
することにより、遠赤外線放射層を形成するもので、比
較的安価な方法である。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、前述した無機塩コーティング法は、溶
射法と比較した場合、比較的安価であるため、魅力ある
方法ではあるが、次に示すように、この方法においても
種々の課題がある。
(1) 高温時において、結合材として、使用したアル
カリケイ酸塩やリン酸アルミニウムなどの無機塩の分解
が生じ、ヒータ用保護基材との密着性が低下する。
(2) 高温で、かつ食塩や水蒸気が作用する環境下に
おいて、結合材として用いた無機塩の反応や溶解が生
じ、遠赤外線放射層の崩壊が生じる。
(3) 遠赤外線放射特性を高めるために、遠赤外線放
射顔料を多量に添加すると、密着性が著しく低下する。
このように、無機塩コーティング法は、溶射法に比較
して、遠赤外線放射顔料をある程度任意に選択すること
ができるなどのメリットがあるものの、この方法で得ら
れる遠赤外線ヒータとしては、高温時における遠赤外線
放射層の塗膜性能、食塩などに対する防色性、遠赤外線
放射特性などに課題があった。
このように、従来から提案されている方法で形成され
た遠赤外線放射層としては、不充分であり、未だ、石英
管または結晶化ガラス管をヒータ用保護基材として優れ
た遠赤外線ヒータがないのが現実であり、このため、遠
赤外線ヒータを使用した実際の使用に充分耐える調理
器,暖房器および焼物器がないのが実情である。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、優れた
塗膜性能,防食性および遠赤外線放射特性を有する調理
器,暖房器および焼物器を提供することを目的とするも
のである。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明は、金属アルコキシ
ドまたはその部分縮合物のうち少なくとも一つと、コロ
イド状物質とを含むベヒクル中に、少なくとも遠赤外線
放射顔料を含ませてなる遠赤外線塗料組成物を、結晶化
ガラス、石英ガラスまたは硅酸塩ガラスなどのヒータ用
保護基材の表面に塗布し、重合させることにより形成し
たセラミックスからなる遠赤外線放射層を有する遠赤外
線ヒータを、外筐体内に設けられた庫内に配設した加熱
機器とする。
作用 本発明で用いる遠赤外線塗料組成物は、硅素アルコキ
シドまたは金属アルコキシドおよびこれらの混合物、さ
らにこれらのそれぞれの部分縮合物を結合材として用
い、これら物質からなるベヒクル中に遠赤外線放射顔料
を含有させたものであり、すでに述べた無機塩を結合材
とする無機塩コーティング法において使用する塗料組成
物とは、基本的に異なるものである。このため、後述す
るメカニズムにより、優れた特性を有する遠赤外線放射
層を形成することができる。
また、遠赤外線塗料組成物に着色顔料を含有させるこ
とにより、遠赤外線放射層を望みの色に着色し、商品性
を一層高めることができる。
さらに、遠赤外線放射層をより強固に、また緻密なも
のにするために、被覆層補強剤やコロイド状物質を含有
させることができる。
このような遠赤外線塗料組成物を、結晶化ガラスまた
は石英ガラスなどのヒータ用保護基材の表面に塗布し、
重合させると、ヒータ用保護基材の表面に、化学的に強
固に結合した緻密な遠赤外線放射層が得られる。
さらに、集合後、熱が加わると、この遠赤外線放射層
は、徐々にセラミックスへと変化し、より安定したもの
になる。
この結果、高温時や熱衝撃を受けた時においても、遠
赤外線放射層の剥離は生じず優れた塗膜性能を示す。
なお、この塗膜性能は、ヒータ用保護基材の表面をブ
ラスト処理などの下地処理を施すことにより、一層高め
ることができる。
また、前述したように遠赤外線放射層は、非常に緻密
な塗膜であり、食塩や水蒸気に対して強く、優れた防品
性を示す。このため、食塩等に弱い石英管を用いても、
実際の使用に耐える防食性を付与できる。
一方、この遠赤外線塗料組成物では、遠赤外線放射顔
料の自由な組み合わせによる配合が可能であり、また従
来の無機塩コーティング法では不可能であった多量の遠
赤外線放射顔料を混合することができる。
このため、被加熱物の遠赤外線吸収特性にあったもの
にすることができ、さらに、遠赤外線放射率そのものを
高めることができるなど、遠赤外線放射特性に優れたも
のとなる。
以上の理由により、優れた塗膜性能、防食性および遠
赤外線放射特性を有する遠赤外線ヒータを得ることが可
能となる。
一方、前述した遠赤外線塗料組成物を用い、結晶化ガ
ラスまたは石英ガラスなどのヒータ用保護基材の表面
に、セラミックスからなる遠赤外線放射層を形成する方
法は、スプレー法,刷毛塗り法,浸漬法,ローラー塗り
法,流しかけ塗り法または転写法など、いずれの方法に
おいても可能であり、これらの方法により塗布した後、
150℃〜200℃と、比較的低温領域で加熱処理するだけで
よく、非常に低コストで製造することができる。
このようにして得られる遠遠外線ヒータを、調理器、
暖房器および焼物器の発熱体として用いることにより、
調理器や焼物器においては、調理のスピード化、また味
などの調理性能の向上は言うに及ばず、食塩などを多量
に含むタレが滴下しても防食性に優れたものにすること
ができ、また暖房器においては、暖房効率が優れたもの
にすることができる。
なお、本発明において、遠赤外線塗料組成物として使
用する硅素アルコキシドまたは金属アルコキシドは、一
般式R1M(OR2で示されるものである。
R1は炭素原子が0〜3個のアルキル基,ビニル基,3,
3,3トリフルオロプロピル基,γ−グリシドキシプロピ
ル基、γ−メタクリロキシプロピル基であり、R2は水酸
基またはメトキシ,エトキシ,イソプロポキシ,t−ブト
キシ置換基である。また、Mは硅素または金属である。
この代表例としては、Si(OH)4,Si(OCH34,Ti(OC
H34,Al(OCH33,Zr(OCH34,Y(OCH33,La(OC
H33,Ca(OCH32,Mn(OCH34,Sn(OCH34,Sr(OC
H34,Ba(OCH32,CH3Si(OCH33,SiOZr(OC2H56,S
iOTi(OC2H5などがある。
一方、コロイド状物質とは、10〜10,000Åの大きさの
粒子相が他相に分散している系をいい、分散相と呼ばれ
る一方の物質が細かく分離した状態で、分散媒とよばれ
る第二物質に均一に分散している混合物であり、分散媒
および分散相は、液体または固体のいずれでもよい。
この代表例としては、コロイド状シリカ,コロイド状
アルミナ、コロイド状酸化チタン,コロイド状酸化ジル
コン,コロイド状ケイ酸ジルコン,コロイド状水酸化ア
ルミニウム,コロイド状水酸化ジルコンなどがある。
また、遠赤外線放射顔料は、黒鉛,酸化物,ほう化
物,炭化物,窒化物,フッ化物,硅素化合物,リン化合
物,イオウ化合物または塩化物のそれぞれ単独または混
合物か、あるいは複合化合物をいう。
この代表例としては、Al2O3,Cr2O3,CoO,Co3O4,NiO,Fe
2O3,C,SiO2,TiO2,Y2O5,ZnO,MnO2,ZrO2,ZrSiO4,CaCO3,Al
B12,B4C,SiC,WC,TiN,TiC,MoS2,WS2,CuO,Ou2O,BN,Al6Si2
O3,Fe2MnO5,CaSiO3,CaZrO3,BaTiO3などがある。
さらに着色顔料は、有機系および無機系のすべての着
色物質を意味し、顔料用充填剤および増容剤をも包含す
る。
この代表例としては、炭酸マグネシウム,ドロマイ
ト,タルク,二酸化チタン,酸化鉄(赤,黒),マンガ
ン(黒),炭素,バリウムイエロー,ストロンチウムク
ロメート,亜鉛グリーン,炭酸バリウム,チョーク,沈
殿炭酸カルシウム,アルミナハイドレート,酸化亜鉛,
酸化マグネシウム,ホタル石,塩基性炭酸鉛,カルシウ
ムクロメート,亜鉛イエロー,カドニウムイエロー,カ
ドニウムレッド,カドニウムバーミリオン,カドモボ
ン,朱,ウルトラマリーン,鉛クロメート,クロムイエ
ロー,モリブデン赤,モリブデンオレンジ,クロムオキ
サイドグリーン,クロムオキサイドハイドレートグリー
ン,マンガンバイオレット,マンガンブルー,コバルト
ブルー,コバルトグリーン,コバルトバイオレット,ダ
ンチモンイエロー,アゾ系の有機顔料などがある。
一方、被覆層補強剤は、無機質で繊維状のものをい
う。
この代表例としては、チタン酸カリウム,炭化硅素,
窒化硅素,酸化アルミニウム,ベリリア,炭化ホウ素,
グラファイト,硅酸塩ガラス,石英などがある。
実 施 例 以下、本発明の具体的な実施例について添付図面に基
づいて説明する。
(実施例1) 結晶化ガラス管(商品名ミラクロン管)からなるヒー
タ用保護基材1aの表面に、サンドブラストにより下地処
理を施した。一方、メチルトリメトキシシラン溶液とコ
ロイド状アルミナの混合溶液に、遠赤外線放射顔料とし
て、ジルコン(ZrO2・SiO2)およびアルミナを、着色顔
料としてチタンイエローを、また被覆層補強剤として、
チタン酸カリウム繊維をそれぞれ添加混合し、遠赤外線
塗料組成物を準備した。
このようにして準備した遠赤外線塗料組成物を、前記
サンドブラストにて下地処理を施したヒータ用保護基材
1aの表面に、スプレー法により塗布し、150℃で、加温
し重縮合反応を完結させ、第1表に示す組成物を有し、
かつ黄色を呈するセラミックスからなる遠赤外線放射層
1bを形成した。
一方、鉄−クロム−アルミニウム線からなる電熱線1c
をコイル状に巻き、両端に、電気取り出し部1dを設け、
これを、前記遠赤外線放射層1bを形成したヒータ用保護
基材1aの中央部に挿入し、第1図に示す遠赤外線ヒータ
1を準備した。
このようにして準備した遠赤外線ヒータ1を用いて、
第2図および第3図に示す本発明のオーブントースター
を完成した。
図において、11は外筐体、12は内筐体であり、調理室
13を形成している。14は前記調理室13の前面を覆う扉、
15は前記調理室13内に設けた調理物載置用の網であり、
アーム16を介して扉14と連結している。17は調理室13の
底板で、開閉自在に構成されている。
次に上記構成を有する本発明のオーブントースターの
評価を行なった。
なお、参考のために、次に示すヒータをそれぞれ用い
たオーブントースターについても準備し、それを評価し
た。
(1) 結晶化ガラス管の表面に、ジルコンをプラズマ
溶射することにより遠赤外線放射層を形成したもの(比
較例1)。
(2) アルカリケイ酸塩を結合材とし、ジルコンを混
合した遠赤外線塗料組成物を結晶化ガラス管の表面に塗
布し、焼きつけることにより遠赤外線放射層を形成した
もの(比較例2)。
(3) 結晶化ガラス管をそのまま使用したもの(従来
例……通称ミラクロンヒータと呼ばれるもの)。その評
価は、(1)耐熱性,(2)耐熱衝撃性,(3)防食
性,(4)耐久性,(5)調理性能および(6)遠赤外
線放射率について、それぞれ行なった。
またこれらの評価方法については、下記にそれぞれ示
した。
(1) 耐熱性……遠赤外線ヒータの表面温度が1000℃
になるように電圧調整し、一定時間保持した後、遠赤外
線放射層2の剥離,変色等の有無について調べる。
(2) 耐熱衝撃性……遠赤外線ヒータの表面温度が80
0℃になるように電圧調整し、遠赤外線ヒータの温度が
飽和した後、所定量の常温水を滴下し、遠赤外線放射層
2の剥離の有無について調べる。
(3) 防食性……遠赤外線ヒータの表面温度が750℃
になるように電圧調整し、飽和食塩水を1回に2c.c.滴
下し、これを10回行なった後、遠赤外線放射層2の剥離
および変色の有無について調べる。
(4) 耐久性……遠赤外線ヒータの表面温度が800℃
になるように電圧調整し、3分通電−1分休止を1サイ
クルとする断続通電試験を15,000サイクル行なった後、
遠赤外線放射層2の剥離の有無について調べる。
(5) 調理性能……6枚切りの食パンを1枚焼きで調
理し、所定の焼き色にするのに必要な調理時間を調べ
る。これを、各3回行ない、その平均調理時間を求め
る。
(6) 遠赤外線放射率……結晶化ガラス管と同材質の
基板に、前述したそれぞれの方法により、遠赤外線放射
層を形成する。これを用いて、黒体に対する遠赤外線領
域での各波長における放射率を測定する。この測定装置
は、分光計,黒体炉および試料炉とを一体化した遠赤外
線放射率測定装置を用いる。
以上の評価方法に基づき、それぞれのオーブントース
ターについて評価し、その結果を第2表および第4図に
示した。
第2表において、○印は遠赤外線放射層2の剥離また
は変色等の異常がないことを示し、また×印はこれらに
おいて何らかの異常が見られることを示す。
第4図において、Aは従来例を、Bは比較例1を、C
は比較例2を、またDは本発明の遠赤外線ヒータのそれ
ぞれの遠赤外線放射率を示す。
第2表から明らかなように、通称ミラクロンヒータを
用いた従来例のオーブントースターでは、耐熱性、耐熱
衝撃性、防食性および耐久性の各特性において、問題は
見られない。
しかし、第4図のAに示すように、結晶化ガラス管自
体の遠赤外線放射率が低いため、調理性能は悪い。
また、従来のプラズマ溶射により準備された遠赤外線
ヒータを用いた比較例1のオーブントースターでは、用
いた遠赤外線ヒータの遠赤外線放射層が多孔質であり、
かつ食塩に強いジルコンにより形成されているため、耐
熱衝撃性および防食性にしては、比較的良好な結果を示
すものの、結晶化ガラス管と比較的な結合を有していな
いため、耐熱性や耐久性において、剥離が生じた。
また、第4図のBに示すように、長波長領域での遠赤
外線放射率がやや劣るため、調理性能は、従来例と比較
すれば、やや早くなるが、後述する本発明のオーブント
ースターよりは劣る。
このように、比較例1のオーブントースターでは、耐
熱性および耐久性における塗膜性能において問題があっ
た。
さらに、アルカリケイ酸塩を結合材とした遠赤外線塗
料組成物を用いることにより準備された遠赤外線ヒータ
を用いた比較例2のオーブントースターでは、用いた遠
赤外線ヒータの遠赤外線放射層にアルカリ成分を有する
ため、防食性に対して極めて弱い。
また、高温領域では、アルカリ成分と他の成分とのガ
ラス化現象を生じ、結晶化ガラス管との反応や、熱膨張
差が生じるため、耐熱性や耐久性においても問題があっ
た。
このように、比較例2のオーブントースターでは、耐
熱性および耐久性における塗膜性能、さらには防食性に
おいて問題があった。
これに対し、本発明のオーブントースターでは、使用
する遠赤外線ヒータが、重合する際、結晶化ガラス管と
化学的な反応を起こし、結晶化ガラス管と強固に密着し
た遠赤外線放射層を形成するため、耐熱性,耐熱衝撃性
および耐久性の塗膜性能、さらに防食性において優れた
特性を示した。
一方、第4図のDに示すように、遠赤外線放射率は長
波長領域においても、高い値を示し、第5図に示す食パ
ンの主成分である澱粉の遠赤外線吸収特性ともよくマッ
チングし、優れた調理性能を示した。
以上の説明から明らかなように、本発明のオーブント
ースターでは、従来のミラクロンヒータを用いたオーブ
ントースターに比較して、優れた遠赤外線放射特性を示
した。
また、従来の溶射法や無機塩コーティング法により得
られる遠赤外線ヒータを用いたオーブントースターと比
較しても、これらの方法では得ることができない塗膜性
能、防食性および遠赤外線放射特性を示した。
(実施例2) 石英管からなるヒータ用保護基材1aの表面にサンドブ
ラストにより下地処理を施した。
一方、メチルトリメトキシシラン溶液に、遠赤外線放
射顔料として、酸化鉄および酸化マンガンの複合化合物
を、被覆層補強剤としてチタン酸カリウム繊維をそれぞ
れ添加混合し、遠赤外線塗料組成物を準備した。
このようにして準備した遠赤外線塗料組成物を、前記
サンドブラストにより下地処理を施したヒータ用保護基
材1aの表面にスプレー法により塗布し、150℃で加温
し、重縮合反応を完結させ、かつ第3表に示す組成物を
有し、黒色を呈するセラミックスからなる遠赤外線放射
層1bを形成した。
以下、実施例1と同様にして、第1図に示す遠赤外線
ヒータ1を完成した。
このようにして準備した遠赤外線ヒータ1を、第6図
に示すように設置し、本発明の暖房器を完成した。
第6図において、21は外筐体で、この外筐体21の内側
に反射板22を設けるとともに、この反射板22の前方に位
置して前述した遠赤外線ヒータ1が設置されている。さ
らに、遠赤外線ヒータ1は、保護ガード23により保護さ
れ、外筐体21の下部より電源コード24が出ている。
上記構成を有する本発明の暖房器の評価を行なったと
ころ、従来の赤外管ヒータを用いた暖房器に対して、同
一消費電力で比較した時、大変暖かく感じられ、優れた
遠赤外線放射特性が得られた。
また、この暖房器を、通常使用温度領域よりも、さら
に高い温度領域において、30分通電−15分休止の断続通
電試験を行なっても遠赤外線ヒータに以上は見られず、
優れた塗膜性能を示した。
(実施例3) 石英管からなるヒータ用保護基材1aの表面に、サンド
ブラストにより下地処理を施した。
一方、硅酸ジルコニウムアルコキシドの部分縮合物
(SiOZr(OC2H5)に、コロイド状アルミナを混合し
た溶液に、遠赤外線放射顔料として、ジルコンおよびア
ルミナを、着色顔料としてチタンイエローを、被覆層補
強剤としてチタン酸カリウム繊維をそれぞれ添加混合
し、遠赤外線塗料組成物を準備した。
このようにして準備した遠赤外線塗料組成物を用い、
実施例1で示したものと同じ方法で処理し、第1図に示
す遠赤外線ヒータ1を完成した。
この遠赤外線ヒータ1を用い、第7図に示す本発明の
焼物器を完成した。
第7図において、31はステンレスよりなる外筐体で、
この外筐体31の下部には、受け皿を設置することができ
る。そしてこの外筐体31は調理室32を形成し、この調理
室32に遠赤外線ヒータ1が設置されている。また、外筐
体31の側面より、電源コード33が出ている。なお、本発
明の焼物器において、実際に調理する時は、焼き網(図
示せず)を、外筐体31の上部に設置する。
上記構成を有する本発明の焼物器を評価するため、外
筐体31の上部に焼き網を設置し、アジを焼いた。
一方、比較のために、従来の石英管ヒータを使用用し
た焼物器も同様に準備し、同様に評価した。
その評価は、具体的には、ほぼ同じ大きさのアジを1
回につき、2匹ずつ、10回焼き、1回毎の調理時間を比
較した。
また、10回焼き終わった後の遠赤外線ヒータおよび石
英管ヒータの外観を調べた。
これらの結果について次に示す。
まず、調理時間については、従来の石英管ヒータを使
用した焼物器では、2匹焼くのに平均して約20分近く必
要であったが、遠赤外線ヒータを使用した本発明の焼物
器では、平均して、約15分で済み、調理時間を短かくす
ることができた。
また、焼き上がった後、味について比較したが、本発
明の焼物器で焼いた方が全体的に美味しかった。
一方、このようにして、10回調理を行なった後、それ
ぞれのヒータについて外観を調べたところ、従来の石英
管ヒータでは、全体的に失透し、一部割れの入っている
ところが見られた。
しかしながら、遠赤外線ヒータでは、若干変色は見ら
れたものの、その他は、まったく変化は見られなかっ
た。
このように、本発明の焼物器では、魚などを焼いても
調理中に発生する食塩に対して、優れた防食性を示す遠
赤外線ヒータを使用しているため、実際の使用上、特に
問題はなく、大変早く、また美味しく調理することでき
るものである。
上記実施例1,2および3においては、本発明の調理器
としてのオーブントースター,暖房器および焼物器につ
いて具体例を示したが、これらはほんの一例にすぎず、
そして遠赤外線塗料組成物として使用したアルコキシ
ド、これらの混合物、部分縮合物、コロイド状物質、遠
赤外線放射顔料,着色顔料および被覆層補強剤は、実施
例に示したものに限定されるものではなく、すでに“作
用”の項で述べた他の各種物質を使用してもよい。
また、ヒータ用保護基材としては、結晶化ガラス管、
および石英管について述べたが、これについてもこれら
に限定されるものではなく、他の一般的なムライト管等
のセラミッックス管でもよい。さらに、管状といった形
状に限定されるものではなく、他の形状でもよい。
また、各種機器についても、実施例に示したものに限
定されるものではない。
発明の効果 上記実施例の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、金属アルコキシドまたはその部分縮合物のうち少な
くとも一つと、コロイド状物質とを含むベヒクル中に、
少なくとも遠赤外線放射顔料を含ませてなる遠赤外線塗
料組成物を、結晶化ガラス、石英ガラスまたは硅酸塩ガ
ラスなどのヒータ用保護基材の表面に塗布し、重合させ
ることにより形成したセラミックスからなる遠赤外線放
射層を有する遠赤外線ヒータを、外筐体内に設けられた
庫内に配設した加熱機器としているため、優れた塗膜性
能、防食性および遠赤外線放射特性を示すとともに、自
由に着色することができる遠赤外線ヒータを有する加熱
機器とすることができ、使用用途に合わせた色合いに調
整することができる。
さらに、本発明に用いる遠赤外線塗料組成物は、金属
アルコキシドまたはその部分縮合物のうち少なくとも一
つと、コロイド状物質とを含んでいるので、粘性が高
く、スプレー法により本発明の遠赤外線ヒータを製造す
る際に塗装が容易で、塗料の厚膜化もできるので、遠赤
外線効果の大きい加熱機器を提供することができる。
また、高温における塗料とヒータ用保護基材との密着
性が高く、剥離しないものであり、特に石英管の場合
は、塗装することにより石英管自体の特に食塩に対する
耐食性が高い。さらに、大変低い焼成温度で硬い塗膜を
形成させることができるため、石英ガラスや結晶化ガラ
ス等の基材の硬さ、機械的強度を維持することができ、
ヒータとして機械的強度に優れるとともに、ヒータ表面
の耐摩耗性に優れ、ヒータ表面に傷がつきにくい。従っ
て、耐久性の良い遠赤外線効果を有する加熱機器を提供
することができる。
また、遠赤外線ヒータを反射板の前方に配設したそれ
ぞれの構成とすることにより調理器、焼物器及び暖房器
等の加熱機器の塗膜性能、防食性及び遠赤外線放射特性
を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すオーブントースター,
暖房器および焼物器において使用する遠赤外線ヒータの
破断正面図、第2図は本発明の実施例1におけるオーブ
ントースターの外観斜視図、第3図は同オーブントース
ターの断面図、第4図は本発明の実施例1における従来
例、比較例1および2、さらに本発明品のオーブントー
スターにおいてそれぞれ用いるミラクロンヒータおよび
遠赤外線ヒータの遠赤外線放射率を示す特性図、第5図
は澱粉の遠赤外線吸収特性を示す特性図、第6図は本発
明の実施例2における暖房器の外観斜視図、第7図は本
発明の実施例3における焼物器の外観斜視図である。 1……遠赤外線ヒータ、1a……ヒータ用保護基材、1b…
…遠赤外線放射層、11……外筐体、13……調理室、21…
…外筐体、22……反射板、31……外筐体、32……調理
室。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属アルコキシドまたはその部分縮合物の
    うち少なくとも一つと、コロイド状物質とを含むベヒク
    ル中に、少なくとも遠赤外線放射顔料を含ませてなる遠
    赤外線塗料組成物を、結晶化ガラス、石英ガラスまたは
    硅酸塩ガラスなどのヒータ用保護基材の表面に塗布し、
    重合させることにより形成したセラミックスからなる遠
    赤外線放射層を有する遠赤外線ヒータを、外筐体内に設
    けられた庫内に配設した加熱機器。
  2. 【請求項2】遠赤外線ヒータは外筐体の内側に設けられ
    た反射板の前方に設けられた反射板の前方に配置させた
    請求項1記載の加熱機器。
  3. 【請求項3】遠赤外線ヒータを外筐体に設けられた調理
    室内に配設した請求項1記載の加熱機器。
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