JP2000081214A - オ―ブンレンジおよびその汚れ防止方法 - Google Patents

オ―ブンレンジおよびその汚れ防止方法

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JP2000081214A
JP2000081214A JP11011785A JP1178599A JP2000081214A JP 2000081214 A JP2000081214 A JP 2000081214A JP 11011785 A JP11011785 A JP 11011785A JP 1178599 A JP1178599 A JP 1178599A JP 2000081214 A JP2000081214 A JP 2000081214A
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film
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oven
oxide film
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JP11011785A
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English (en)
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Mamoru Isotani
守 磯谷
Yasunori Kaneko
康典 金子
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はオーブンレンジ等の加熱調理器およ
びその汚れ防止方法に関するものであり、意匠性と熱効
率向上と防汚性を併せ持つ加熱調理器を提供することで
ある。 【解決手段】 金属板10に酸化膜からなる層11を設
けた、あるいは、金属板10の酸化膜からなる層11の
上にさらにシリカコート22を設けた、その上にフルオ
ロアルキル基とシロキサン結合を有する非粘着膜12を
設けることにより、オーブン庫内やボデーやドアの表面
が汚れが着きにくく、かつ、熱反射性能の高く調理効率
の良い、かつ、意匠性に優れた加熱調理器とすることが
できるという効果を持つものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジやオー
ブンレンジなどの加熱調理器に関し、特にそれに用いる
金属イタの汚れ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子レンジやオーブンレンジは、
マイクロ波もしくはヒータを用いた加熱調理器であり、
調理物等を加熱するという機能を有する。また、オーブ
ン庫内の壁面材料はステンレス鋼板あるいは表面に非粘
着性の塗装をしたステンレス鋼板やめっき鋼板等の金属
板が用いられていた。前記非粘着性の塗装により汚れを
着き難く、あるいは汚れが着いても拭き取り易くしてい
た。また、ステンレス鋼板等の金属板をドアの外壁面部
分やボデーに用いる加熱調理器もあった。
【0003】従来のオーブンレンジは、図7および図8
に示すように、オーブン1の庫内に調理物等を収容し、
加熱手段2により主に電熱加熱する、また加熱手段2と
ボデー3の間には断熱層4が設けられることが多い。下
部の加熱手段2の下側には、底板5が設けられ、オーブ
ン1の後面には裏板6を設ける場合が多い。オーブン1
の開口部には、ドア7が設けられている。また、調理物
等を置くためにターンテーブル8や皿受け台9が用いら
れることが多い。
【0004】オーブン庫内の塗装処理に熱反射性を付与
するという技術は、特開平10−208862号公報に
示すように、塗膜中にアルミニウム等の熱反射性材料を
混合し、熱反射率を向上させるという発明が考えられ
た。前記公開公報によると、耐熱塗膜の中にアルミニウ
ム粉末を混合した、あるいは、熱反射率で20%〜50
%の被膜を得るというものであった。プライマー塗装膜
にはアルミニウム粉末を混合せずトップ塗装膜にアルミ
ニウム粉末を混合し、反射性能を持たせるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような電子レンジやオーブンレンジ等の加熱調理器で
は、調理中に飛散した油分や煮こぼした食品等で、オー
ブン1の庫内壁面が汚れて加熱等により汚れがこびり着
くことがあった。また、ドア7の表面やボデー3の表面
にも台所等での油等の汚染物が付着し汚れることがあっ
た。このようにステンレス鋼板等の金属板10では調理
物等の汚れは取り難いものであった。
【0006】そこで、従来は、汚れを取り易くするため
に、オーブン1の庫内壁面の金属板10の表面に非粘着
性の塗装を施すことがあったが、ステンレス鋼板等の金
属板10の表面に非粘着性の塗装を施すと汚れは取り易
くなるが、ステンレス鋼板等の金属板10の表面の熱反
射率に比べて塗膜表面の熱反射率は低く、オーブン調理
やトースト等の調理時間が長くなるという問題があっ
た。また、ステンレス鋼板等の金属板10をオーブン1
の庫内壁面に用いると塗装による着色は可能であった
が、金属そのものの色および研磨処理による鏡面や艶消
し等の色調以外は困難であり、自由な意匠が制限される
という問題があった。
【0007】特開平10−208862号公報に示すよ
うに、塗膜中にアルミニウム等の熱反射性材料を混合
し、熱反射率を向上させるという発明が考えられたが、
塗膜中に、熱反射性の材料を混合しても、熱反射性能は
55(%)程度が限界であった。
【0008】本発明は、前記課題を解決するもので、金
属表面の熱反射性能を生かし、かつ、非粘着性を付与し
て汚れ難くし、かつ、金属板10の表面にすくなくとも
酸化膜からなる層を設け着色することにより意匠性に優
れたオーブンレンジおよびその汚れ防止方法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のオーブンレンジおよびその汚れ防止方法
は、すくなくとも酸化膜により着色した金属板の表面に
フルオロアルキル基とシロキサン結合を有する膜を設け
た構成とした。また、前記金属板をステンレス鋼板を用
いた構成とした。また、金属板に水酸基を持つ被膜を形
成し、前記水酸基を持つ被膜にフルオロアルキル基とシ
ロキサン結合を有する膜を設けた構成とした。
【0010】本発明は上記した構成によって、オーブン
レンジのボデーもしくはオーブン庫内壁面の金属板に着
色した上に非粘着性の膜を形成する事ができ、付着した
汚れをより簡単に落とすことができる。また、非粘着性
の膜の厚みが薄いため、金属光沢および金属表面の熱反
射性能を損なうことなく、非粘着性が付与できる。ま
た、金属板に水酸基を持つ被膜を形成した場合、前記水
酸基を持つ被膜を薄膜にするほど、金属の熱反射性能を
損なうことなく、非粘着性を付与することができる。ま
た、従来は金属板に塗装する塗膜に着色顔料を入れて着
色するもしくは金属光沢あるいは金属の表面をヘヤーラ
イン等の研磨処理することなどによる意匠に意匠の範囲
は制限されていたが、金属の熱反射性能を損なうことな
く、非粘着性を付与することができ、かつ、意匠の範囲
を広げることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のオーブンレンジおよびそ
の汚れ防止方法は、加熱もしくは化学処理により着色し
たステンレス鋼板等の金属板の表面にフルオロアルキル
基とシロキサン結合を有する膜を設けた構成とした。ま
た、金属板に水酸基を持つ被膜を形成し、前記水酸基を
持つ被膜にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有す
る膜を設けた構成とした。また、金属板で壁面を構成し
たオーブンと加熱手段とドアを有し、前記オーブンの庫
内壁面の金属板に水酸基を持つ被膜を形成し、前記水酸
基を持つ被膜にフルオロアルキル基とシロキサン結合を
有する膜を設けた構成とした。また、金属板で壁面を構
成したオーブンと加熱手段とドアと金属板を用いたボデ
ーを有し、前記ボデーもしくは前記オーブンの庫内壁面
の金属板に水酸基を持つ被膜を形成し、前記水酸基を持
つ被膜の上にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有
する膜を設けた構成とした。
【0012】本発明は上記した構成によって、オーブン
レンジのボデーの金属板もしくはオーブンの庫内壁面の
金属板に着色した上に非粘着性の膜を形成する事がで
き、付着した汚れをより簡単に落とすことができる。ま
た、非粘着性の膜の厚みが薄いため、金属光沢および金
属の熱反射性能を損なうことなく、非粘着性が付与でき
る。また、金属板に水酸基を持つ被膜を形成した場合、
前記水酸基を持つ被膜を薄膜にするほど、金属の熱反射
性能を損なうことなく、非粘着性能を付与することがで
きる。また、従来は金属板に塗装する塗膜に着色顔料を
入れて着色するもしくは金属光沢あるいは金属の表面を
ヘヤーライン等の研磨処理することなどによる意匠に意
匠の範囲は制限されていたが、金属の熱反射性能を損な
うことなく、非粘着性を付与することができ、かつ、意
匠の範囲を広げることができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。なお、加熱手段としての加熱装置として電熱装置
を用いた場合につき説明する。
【0014】(実施例1)図1に示すように、金属板1
0の表面に酸処理により酸化膜からなる層11を形成
し、その上に非粘着膜12を設けた。酸化膜からなる層
11を形成するための酸処理としてクロム酸や硫酸を用
いることができる。金属板10は、ステンレス鋼板のS
US304(BA仕上げ)を用いた。酸化膜からなる層
11の色は、赤色系、青色系、緑色系、黄色系あるいは
金色、茶色系、黒色系の色が可能である。なお、酸化膜
の厚みを薄くすれば、白色系あるいは金属光沢面も可能
である。なお、加熱処理によっても、黄色系あるいは金
色、赤系、青色系の色等が可能である。
【0015】非粘着膜12は、フルオロアルキル基とシ
ロキサン結合を有する構成であり、パーフルオロオクチ
ルエチルシラン基{C8F17C2H4Si−}の珪素{Si}
に酸素{O}の結合したシロキサン結合{−Si−O−}
を有している。本実施例では、パーフルオロオクチルエ
チルトリクロロシラン{C8F17C2H4SiCl3}をオク
タメチルシクロテトラシロキサン{[(CH3)2SiO]4}
溶媒に1重量%溶かした溶液(以下、薬液という)を用
いている。
【0016】着色した金属板10の表面層である酸化膜
からなる層11の表面に、前記薬液を露点ー10℃の乾
燥雰囲気下で塗布し、金属板11の表面の酸化膜からな
る層11の表面に存在する水酸基{−OH}とクロロシラ
ン基{−SiCl3}を反応させて、金属板10の表面にパ
ーフルオロオクチルエチルシラン基{C8F17C2H4Si
−}の珪素{Si}と金属板10上の酸素{O}との結合
したシロキサン結合{−Si−Oー}を生成させる。その
後余分な処理液をエアブローで吹き飛ばし表面を乾燥さ
せた。反応が進む過程で、隣り合うパーフルオロオクチ
ルエチルシラン基{C8F17C2H 4Si−}の珪素{S
i}と珪素{Si}とが空気中の水分{H2O}を取り込み
{−Si−O−Si−}の構造を取ると考えられる。
【0017】金属板10の表面層である酸化膜からなる
層11の表面における非粘着膜12の構造模式図を図2
に示す。酸化膜からなる層11は酸化被膜であり、表面
部分に水酸基{−OH}を有するので、パーフルオロオク
チルエチルトリクロロシラン{C8F17C2H4SiCl3}
と反応する。しかしながら、酸化被膜の表面層の水酸基
の数はソーダガラスやガラス質の釉薬等に比べて少ない
ので、隣り合うパーフルオロオクチルエチルシラン基
{C8F17C2H4Si−}の珪素{Si}と珪素{Si}とが
結合する時に、酸化膜からなる層11の表面と結合せず
に隣り合う3つの珪素{Si}と結合し、酸化膜からなる
層5とは直接結合しないパーフルオロオクチルエチルシ
ラン基{C8F17C2H4Si−}も存在すると考えられ
る。図2には、酸化膜からなる層11と結合していない
珪素{Si}は、酸化膜からなる層11との間に{Si−O
−Si}の結合を示していないが、この珪素{Si}の結合
が2価であるのではなく、紙面に向かって表あるいは裏
の方向に他の酸素{O}との結合があることを示してい
るのであり、この珪素{Si}の結合は他の珪素{Si}と
同様に3価である。このような酸化膜からなる層11と
結合の少ないと考えられる非粘着膜12であっても、表
面の撥水性を水との接触角で測定すると、100゜以上
あり、水をよく弾いている。また、調味料等の汚染物が
付着しても簡単に拭き取ることができる。
【0018】この非粘着膜12の厚みは約1.5〜2n
mという非常に薄い膜であり、表面部分はフッ素樹脂P
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)と同様な構造を
持つため同様な性質を持ち、実際のステンレス鋼板等の
金属板の表面の微細な凹凸にも入り込んでその表面部分
に膜を形成することができる。従って、従来は凹凸部分
に入り込んだ汚れはこびり着いて取りにくかったが本実
施例では簡単に拭き取ることができるようになった。
【0019】また、本実施例の酸化膜からなる層11お
よび非粘着膜12を施したオーブン壁面を持つオーブン
レンジを図5および図6に示した。オーブン14の側面
および後面に酸化膜からなる層11および非粘着膜12
を設けて有る。
【0020】13はオーブンレンジのオーブンであり、
庫内に食品入れて加熱するためのものである。14はオ
ーブンレンジのドアであり、庫内の熱を遮蔽する機能と
電波漏洩を抑える機能を持つ。オーブン13の開口部に
ドア14を設け、オーブン13の庫内の天井面の上およ
び庫内の底面の下には加熱装置15を設けている。加熱
装置15としては、管状ヒータや面状ヒータ、シーズヒ
ータ等がある。本実施例ではマイカに電熱線を巻いた面
状ヒータを用いた。加熱装置15とボデー16の間およ
び加熱装置15と底板17の間には、断熱部材18を設
け、加熱装置15の熱がオーブン庫内に効率的に伝わる
ようにしている。断熱部材18としては、金属製の断熱
板およびセラミックウールやガラスウールあるいは発泡
ウレタン等を用いることができる。本実施例ではセラミ
ックウールと金属製の断熱板を用いた。また、オーブン
13の側壁の外側にも同様な断熱部材18を設けてい
る。また、裏板19とボデー16および底板17とはビ
ス等で結合している。調理物等は、ターンテーブル20
の上の皿受け台21の上に載せて加熱する。
【0021】なお、断熱部材18、ターンテーブル20
および皿受け台21は、必要に応じて設けるものであ
り、必ず必要であると限定するものではない。
【0022】本発明のオーブンレンジでトーストを焼い
た場合の焼き上げ時間は約4分00秒であった。一方、
従来の非粘着性のフッ素膜を形成したオーブン壁面を持
つ同様の構成のオーブンレンジでトーストを焼いた場合
約5分20秒であり、約1分20秒の調理時間の短縮が
図れた。
【0023】従って、着色により意匠性に優れ、熱効率
を向上し、かつ、側壁面の撥水性、非粘着性も持つオー
ブンレンジとすることができた。
【0024】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
を図面に基づいて説明する。なお、加熱手段としての加
熱装置として電熱装置を用いた場合につき説明する。
【0025】図3に示すように、金属板10の表面に熱
処理により酸化膜からなる層11を形成し、その酸化膜
からなる層11の上に水酸基を持つ被膜としてシリカコ
ート22を設けた。そしてそのシリカコート22の上に
非粘着膜12を設けた。金属板10および酸化膜からな
る層11については、前記実施例と同様に作成した。
【0026】水酸基を持つ被膜としてシリカコート22
を設けるために、ゾルゲル法によるコーティングを施し
た。コーティング溶液は、金属アルコキシドにアルコー
ル、水および酸を添加して作成した。本実施例では、
[Si(0C2H5)4]25gに、[C2H5OH]
20g、[H2O]23.5g、[HCl]0.3g、
[C4H9OH]50gを添加した溶液を作成し、金属
板10の酸化膜からなる層11の上にスプレーにより塗
布した後、100℃で10分乾燥し、300℃で15分
加熱焼成した。その上に非粘着膜12を設けた。
【0027】非粘着膜12は、前記薬液を用いた。
【0028】シリカコート22の表面に、前記薬液を露
点0℃の乾燥雰囲気下で塗布し、金属板10の表面の酸
化膜からなる層11の表面にある水酸基{−OH}とクロ
ロシラン基{−SiCl3}を反応させて、金属板10の表
面にパーフルオロオクチルエチルシラン基{C8F17C
2H4Si−}の珪素{Si}と金属板4上の酸素{O}と
の結合したシロキサン結合{−Si−O−}を生成させ
る。その後余分な処理液をエアブローで吹き飛ばし表面
を乾燥させた。反応が進む過程で、隣り合うパーフルオ
ロオクチルエチルシラン基{C8F17C2H4Si−}の珪
素{Si}と珪素{Si}とが空気中の水分{H2O}を取り
込み{−Si−O−Si−}の構造を取ると考えられる。
【0029】金属板10の表面層である酸化膜からなる
層11およびシリカコート22の表面における非粘着膜
12の構造模式図を図4に示す。シリカコート22の表
面部分には水酸基{−OH}を有するので、パーフルオロ
オクチルエチルトリクロロシラン{C8F17C2H4SiCl
3}と反応する。シリカコートの表面には酸化被膜であ
る表面層5よりも多くの水酸基を有するので、シリカコ
ート22の表面と結合しないものが少ないと考えられ
る。従って、シリカコート7の表面と結合した上に、隣
り合うパーフルオロオクチルエチルシラン基{C8F17
C2H4Si−}の珪素{Si}と珪素{Si}とが、酸素を介
して結合し{−Si−O−Si−}結合を形成すると考え
る。
【0030】従って、図4に示すように、酸化膜からな
る層11に非粘着膜12を設けた場合より、シリカコー
ト22に非粘着膜12を設けた方が数多くの結合を持つ
と考えられる。
【0031】図2および図4は、代表的な構造を示した
ものであり、この構造だけに限定するものではない。実
際は、2次元的な広がりおよび、3次元的な結合もあり
うるものである。
【0032】上記シリカコート22に非粘着膜12を設
けたものの表面の撥水性を水との接触角で測定すると、
100゜以上あり、水をよく弾いている。また、調味料
等の汚染物が付着しても簡単に拭き取ることができる。
【0033】この非粘着膜12の厚みは約1.5〜2n
mという非常に薄い膜であり、表面部分はフッ素樹脂P
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)と同様な構造を
持つため同様な性質を持ち、調味料等の汚れも簡単に拭
き取ることができるようになった。
【0034】また、上記酸化膜からなる層11の上のシ
リカコート22の上に設けた非粘着膜12の非粘着性能
を試験した。砂糖醤油(砂糖と醤油を1対1で混合した
液)を前記非粘着膜12の上に10μl滴下し250℃
で30分焼き付けた後、塗れ布巾で拭き取るという試験
を行ったところ、炭化した汚れは濡れ布巾で拭き取れた
のに対して、非粘着膜12の無い金属板10のみの場合
および金属板10に酸化膜からなる層11を設け非粘着
膜12の無い場合および金属板10に酸化膜からなる層
11を設けた上にシリカコート22を設け非粘着膜12
の無い場合には炭化した汚れが焼き付いて拭き取れなか
った。
【0035】また、酸化膜からなる層11に直接非粘着
膜12を設けた場合、同様の砂糖醤油での焼き付け試験
を行うと、酸化膜からなる層11の上のシリカコート2
2の上に非粘着膜12を設けた場合に比べて、炭化した
汚れが部分的に残った。
【0036】また、上記酸化膜からなる層11の上のシ
リカコート22の上に設けた非粘着膜12と前記酸化膜
からなる層11に直接非粘着膜12を設けた場合、各々
を260℃の雰囲気に100時間放置した後に、上記の
砂糖醤油での焼き付け試験を行うと、シリカコート22
を設けた場合の方が炭化した汚れが拭き取れたのに対し
て、前記酸化膜からなる層11に直接非粘着膜12を設
けた場合は、炭化した汚れが焼き付いた。
【0037】この差は、非粘着膜12と酸化膜からなる
層11およびシリカコート22との結合の強度の違いが
原因であると考えられる。図2と図4に示し、上記に説
明したように、結合の密度および結合強度の差が、耐熱
性および非粘着性の差になったと考えられる。
【0038】また、シリカコート22の膜厚は、1μm
程度以下、特に0.1〜0.5μm程度が実用的であ
る。この程度の膜厚のコーティングを行うと、金属板1
0の表面層の微細な凹凸を被覆し、表面の微細な凹凸に
物理的に付着していた汚れを防止することができる。但
し、前述したようにシリカコート22のみでは、化学的
な結合による汚れの付着は防止できない。このようにシ
リカコート22により金属板10の酸化膜からなる層1
1表面がより平滑になり、より汚れが付きにくいという
効果も得られる。砂糖醤油の焼き付け試験を繰り返し、
炭化した汚れがこびり着くようになった後でも、シリカ
コート22を設けて表面をより平滑にしたものの方が、
こびり着きを擦り落とし易かった。
【0039】前記した図5および図6に示すような構造
のオーブンレンジのオーブン13の側壁面の処理を、上
記したシリカコート22の上に非粘着膜12を設けた構
成にすると、非粘着膜12の耐熱性がより向上する。
【0040】また、本発明のオーブンレンジでトースト
を焼いた場合の焼き上げ時間は約4分10秒であった。
一方、従来の非粘着性のフッ素膜を形成したオーブン壁
面を持つ同様の構成のオーブンレンジでトーストを焼い
た場合約5分20秒であり、約1分10秒の調理時間の
短縮が図れた。シリカコート7を設けた場合でも調理時
間の短縮が図れた。
【0041】なお、酸化膜からなる層11を設けた金属
板10にシリカコート22を設けた場合、シリカコート
22の厚さによっては元の酸化膜からなる層11の色を
変化させることができる。青色系や緑色系等を薄くした
り、表面の光沢を抑えることもできる。シリカコート2
2を厚くするほど色の変化は大きくできる。また、厚さ
によっては、干渉色を出すことも可能であり、表面に微
妙な凹凸により虹色に変化する表面とすることも可能で
ある。また、シリカコート22の膜厚を薄くするほど、
熱の反射率は高くなる傾向にあり、厚くするほど熱の反
射率が低くなる傾向にあるので、色調の調整をする場合
は熱反射効率のバランスをとることも必要となることが
ある。
【0042】赤外線等の熱線を透過しない物質の熱反射
率は、熱吸収率との間に、[熱反射率]=1ー[熱吸収
率]の関係があること、また、物質の熱の放射率は物質
の熱の吸収率に等しいことから、物質の熱放射率を測定
することによって求められる。
【0043】熱放射率の測定は、簡易熱放射率計{DEVI
CE & SERVICE Co.製、MODEL.AE}を用い、室温25〜2
7℃、湿度45〜65%風速0.1m/s以下の実験室
内で行い、この時の交流電圧は100±2Vであった。
【0044】ステンレス鋼板、304(BA仕上げ)の
無着色品の放射率は、0.14〜0.16であり、着色
品(赤色系、青色系、緑色系、黄色系もしくは金色)の
放射率は、0.14〜0.16であったのに対して、シ
リカコートを0.3μm設けた着色品は、0.24〜
0.26であった。また、シリカコートを0.1μm設
けた場合は、0.16〜0.18であった。シリカコー
トの厚みは0.1μmより薄くする方が熱反射を阻害し
ないので望ましい。また、熱反射性材料等を混合してい
ない通常のフッ素樹脂系塗料で作成した塗膜の放射率
は、0.84〜0.86程度であった。また、本発明に
先立って、熱反射性材料を混合した塗膜が考えられた
が、このような塗膜で得られた放射率は0.45程度が
限界であった。このことから分かるように、塗装による
熱の反射性の向上には限界があり、本発明のような高い
熱反射性能と非粘着性能を併せ持たせることは困難であ
った。
【0045】また、本発明のオーブンレンジで鶏の照り
焼きを250℃30分行ったところ、オーブンの側壁面
に飛び散った油等の調理物の汚れは、調理終了後、冷却
した後濡れ布巾で簡単に拭き取れた。
【0046】従って、着色により意匠性に優れ、かつ、
熱効率が向上し、かつ、側壁面の撥水性、非粘着性を併
せ持つオーブンレンジとすることができた。
【0047】なお、塗装による着色膜を金属板の上に設
けた場合、熱反射性能を阻害しない薄い膜で着色すれば
酸化膜からなる層11を用いる必要はない。例えば、粒
径数nmのコロイダルシリカや酸化チタン等を混合する
ことにより黄色みを帯びたシリカコートも可能である。
【0048】なお、水酸基を持つ被膜としてシリカコー
トを用いたが、表面に水酸基を持つ酸化物被膜であれば
良く、シリカジルコニア、シリカアルミナ、酸化チタ
ン、酸化スズ、ITO膜など、あるいはその複層被膜や
複合被膜も用いることができる。なお、水酸基以外に薬
液のクロルシラン基と反応し結合を形成するためには、
ハイドロサルファイド基{−SH}が含まれていても良
い。この場合は、硫黄{S}と珪素{Si}の結合{S
−Si}が形成される。
【0049】なお、加熱手段として電熱装置以外にも、
燃焼による加熱方式やマグネトロンによる電波加熱とい
う方法もある。
【0050】なお、本実施例では、オーブンレンジの場
合を述べたが、電子レンジのオーブン庫内壁面を、金属
板10の上に酸化膜からなる層11を設けその上に非粘
着膜12を設けた構成、あるいは、金属板10の上に酸
化膜からなる層11を設けその上にシリカコート22を
設けた上に非粘着膜12を設けた構成とすることによ
り、同様に汚れが拭き取り易くなる。
【0051】なお、金属板10の上に酸化膜からなる層
11を設けその上に非粘着膜12を設けた構成、あるい
は、金属板10の上に酸化膜からなる層11を設けその
上にシリカコート22を設けた上に非粘着膜12を設け
た構成の金属板10をオーブンレンジや電子レンジのボ
デーやドアの前面部分や操作部の前面部分に用いると汚
れを着きにくくすることができ、金属板10としての外
観を保持したままで付着した汚れが拭き取り易くなっ
た。
【0052】上記実施例では、金属板10としてのステ
ンレス鋼板はSUS304を用いたが、他のオーステナ
イト系あるいはフェライト系あるいはマルテンサイト系
を用いても同様の効果が得られる。また、表面仕上げを
BA仕上げとしたのは、金属光沢に意匠性の重きをおい
た場合であるが、その他の表面仕上げである2B仕上げ
やNo.4仕上げ、D仕上げ等で光沢を変化させるとい
う意匠も可能である。表面仕上げを変えることによる熱
の反射率は通常の塗膜の有無による差ほどの影響はな
い。
【0053】なお、金属板を用いているが、板状に限定
するものではなく、ダイキャストや鋳造品等の金属に対
しても、上記非粘着性能を付与することができる。ま
た、ステンレス鋼板以外にも、鋼板、メッキ鋼板やアル
ミニウム、銅、チタン、マグネシウム、ニッケル、亜
鉛、鉄、珪素、あるいは他の遷移金属等にも用いること
ができる。
【0054】また、本発明の非粘着膜12を持つ金属板
10を用いると、従来のフッ素膜に対して厚みが非常に
薄いので、電子レンジやオーブンレンジなどの加熱調理
器の製品廃棄時に、金属板10を再利用するためにシュ
レッダーにかけて破砕する際にシュレッダーダストの量
を少なくすることができるため、廃棄物の量を減らすこ
とができる。また、低温で焼き付けるシリカコートを用
いることあるいは酸化膜からなる層に非粘着膜を直接設
けることにより、従来の非粘着性フッ素塗料等でのよう
な高温での乾燥や焼き付けを必要としないので製造時の
乾燥炉や焼成炉のエネルギーを節約することができる。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明のオーブンレンジお
よびその汚れ防止方法によれば、オーブンレンジのボデ
ーもしくはオーブン庫内壁面の金属板に着色した上に非
粘着性の膜を形成する事ができ、付着した汚れをより簡
単に落とすことができる。また、非粘着性の膜の厚みが
薄いため、金属光沢および金属表面の熱反射性能を損な
うことなく、非粘着性が付与できる。また、金属板に水
酸基を持つ被膜を形成した場合、前記水酸基を持つ被膜
を薄膜にするほど、金属の熱反射性能を損なうことな
く、非粘着性を付与することができる。また、非粘着性
をもった熱反射性の高いオーブン壁面とすることにより
トースト等の調理時間を短縮することができる。また、
従来は金属板に塗装する塗膜に着色顔料を入れて着色す
るもしくは金属光沢あるいは金属の表面をヘヤーライン
等の研磨処理することなどによる意匠に意匠の範囲は制
限されていたが、金属の熱反射性能を損なうことなく、
非粘着性を付与することができ、かつ、意匠の範囲を広
げることができる。また、シュレッダーダストの量を少
なくすることができるため、廃棄物の量を減らすことが
できる。また、低温で焼き付けるシリカコートを用いる
ことあるいは酸化膜からなる層に非粘着膜を直接設ける
ことにより、従来の非粘着性フッ素塗料等でのような高
温での乾燥や焼き付けを必要としないので製造時の乾燥
炉や焼成炉のエネルギーを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のオーブンレンジのオーブン
壁面の概略断面図
【図2】同オーブンレンジのオーブン壁面の非粘着膜の
構造模式図
【図3】本発明の実施例2のオーブンレンジのオーブン
壁面の概略断面図
【図4】同オーブンレンジのオーブン壁面の非粘着膜の
構造模式図
【図5】本発明の実施例1のオーブンレンジの概略構成
横断面図
【図6】同オーブンレンジの概略構成前断面図
【図7】従来の加熱調理器の概略構成横断面図
【図8】同加熱調理器の概略構成前断面図
【符号の説明】
1 オーブン 2 ドア 3 ボデー 4 金属板 5 酸化膜からなる層 6 非粘着膜 8 加熱装置 22 シリカコート

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも酸化膜からなる層を持つ金属板
    の表面にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する
    膜を設けたオーブンレンジの汚れ防止方法。
  2. 【請求項2】少なくとも酸化膜からなる層を持ち、前記
    酸化膜からなる層を加熱もしくは酸処理により設け発色
    させた金属板の表面にフルオロアルキル基とシロキサン
    結合を有する膜を設けたオーブンレンジの汚れ防止方
    法。
  3. 【請求項3】金属板としてステンレス鋼板を用いた請求
    項1または2記載のオーブンレンジの汚れ防止方法。
  4. 【請求項4】金属板に水酸基を持つ被膜を形成し、前記
    水酸基を持つ被膜にフルオロアルキル基とシロキサン結
    合を有する膜を設けた請求項1または2記載のオーブン
    レンジの汚れ防止方法。
  5. 【請求項5】金属板で壁面を構成したオーブンと加熱手
    段とドアを有し、前記金属板の表面にすくなくとも酸化
    膜からなる層を設け、前記層を持つ金属板のオーブン庫
    内壁面側にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有す
    る膜を設けたオーブンレンジ。
  6. 【請求項6】金属板で壁面を構成したオーブンと加熱手
    段とドアを有し、前記金属板の表面にすくなくとも酸化
    膜からなる層を設け、前記層を持つ金属板のオーブン庫
    内壁面側に水酸基を持つ被膜を形成し、前記水酸基を持
    つ被膜にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する
    膜を設けたオーブンレンジ。
  7. 【請求項7】金属板で壁面を構成したオーブンと加熱手
    段とドアと金属板を用いたボデーを有し、前記金属板の
    表面にすくなくとも酸化膜からなる層を設け、前記層を
    設けた金属板のオーブン庫内壁面側もしくはボデーの外
    側面にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する膜
    を設けた請求項5記載のオーブンレンジ。
  8. 【請求項8】金属板で壁面を構成したオーブンと加熱手
    段とドアと金属板を用いたボデーを有し、前記金属板の
    表面にすくなくとも酸化膜からなる層を設け、前記層を
    設けた金属板のオーブン庫内壁面側もしくはボデーの外
    側面に水酸基を持つ被膜を形成し、前記水酸基を持つ被
    膜の上にフルオロアルキル基とシロキサン結合を有する
    膜を設けた請求項6記載のオーブンレンジ。
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