JPH0965999A - 浴槽用把手の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック製の浴槽の周壁の内壁部表面側
に、前記周壁に挿通させるボルトによって取付けられる
浴槽用把手の取付けに際して、浴槽の損傷を回避可能な
浴槽用把手の取付構造を提供する。 【解決手段】 浴槽の周壁２にボルト挿通孔２ａを形成
し、このボルト挿通孔２ａに挿通したボルト３によって
把手１を取付けるに、前記周壁２と前記把手１との間に
第１パッキン５を介在させるとともに、前記周壁２を挟
んで前記把手１とは反対側に前記ボルト３に金属板４を
係止させて、前記金属板４と前記周壁２との間に第２パ
ッキン６を介在し、前記第２パッキン６を前記第１パッ
キン５よりも軟質材から構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、浴槽の周壁に取付
けられ、身体の支持に供される浴槽用把手の取付構造に
関し、詳しくは、プラスチック製の浴槽の周壁の内壁部
表面側に、前記周壁に挿通させるボルトによって取付け
られる浴槽用把手の取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、浴槽用把手１は図５に示すように
浴槽Ｔの両側の周壁２に取付けられるが、前記浴槽Ｔに
前記把手１を取付けるに、図６（イ）に示すように、プ
ラスチック製の浴槽の周壁２にボルト挿通孔２ａを形成
し、このボルト挿通孔２ａに挿通したボルト３によって
金属製の浴槽用把手１を取付ける際に、前記把手１と前
記周壁２との間にのみゴム等からなるシート状のパッキ
ンＰを介在させる浴槽用把手の取付構造が採用されてい
た。尚、前記把手１の前記周壁２の内壁部表面側に接当
する取付面１ｂは設計上前記周壁２の内壁部表面の把手
取付面２ｂと同一曲率半径の曲面に形成されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の浴槽用把手
の取付構造においては、図６（イ）に示すように、前記
浴槽及び把手１の製作誤差から、実際には、前記把手１
の取付面１ｂの曲率半径が前記周壁２の把手取付面２ｂ
の曲率半径よりも小さくなり、前記把手１の取付面１ｂ
に螺設された螺子孔１ａの部位に於いて前記両取付面１
ｂ，２ｂの間に間隙が生ずることが多かった。その結
果、図６（ロ）に示すように、ボルト３を締め付けた際
に、前記ボルト３の頭部が金属板４を変形させつつ、前
記周壁２の、これに貫通されたボルト挿通孔２ａの部位
を前記把手１に引き付けるようになり、パッキンＰの変
形も加わり、さらに大きく変形するので、前記周壁２の
変形が浴槽材料の許容変形量を超えることが多く、この
ため、前記周壁２の前記ボルト挿通孔２ａの部位に亀裂
Ｃが発生し、浴槽の損傷を招くという問題があった。そ
こで、本発明の目的は、上記の問題点を解決し、浴槽の
損傷を回避可能な浴槽用把手の取付構造を提供するとこ
ろにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的のための本発
明の特徴構成は、浴槽の周壁にボルト挿通孔を形成し、
このボルト挿通孔に挿通したボルトによって把手を取付
けるに、前記周壁と前記把手との間に第１パッキンを介
在させるとともに、前記周壁を挟んで前記把手とは反対
側に前記ボルトに金属板を係止させ、前記金属板と前記
周壁との間に第２パッキンを介在させてある点にある。
従って、上記特徴構成によれば、前記把手とは反対側の
前記周壁の面にも前記ボルトに係止する金属板と、その
金属板と前記周壁との間に第２パッキンを介在せしめる
ので、前記ボルトの締め付けにより前記金属板が変形し
ても、前記第２パッキンがこの変形を吸収し、前記周壁
の変形を抑制できるようになる。さらに、前記把手と前
記周壁との間に介在せしめた第１パッキンも変形可能で
はあるが、前記ボルトの締め付けに伴う前記金属板に及
ぼされる締め付け力は前記金属板の変形により先ず吸収
され、次いで、その変形は、主として前記金属板４に接
している前記第２パッキンにより吸収されることにな
る。その結果、前記ボルトの締め付けに伴う締め付け力
は、前記把手を前記周壁の内周部に押し付け、この間に
介在する第１パッキンを圧縮し、前記把手と前記周壁と
の間の水封を確実にする上に、その余の締め付け力は前
記金属板の変形と前記第２パッキンの変形に吸収され、
前記周壁の外周部の水封に寄与することになる。

【０００５】

【発明の実施の形態】上記本発明の実施の形態につい
て、以下に、図面を参照しながら説明する。浴槽用把手
１は図５に示すように浴槽Ｔの両側の周壁２に取付けら
れる。図１は、前記浴槽の周壁２に前記把手１を取付け
た、ボルト３を締め付ける前の状態の一例を示す図であ
る。前記把手１は鋳鉄製で、前記浴槽の周壁２を貫通す
るボルト挿通孔２ａに挿通されたボルト３により前記浴
槽の周壁２の内壁部表面側に取り付けられており、前記
把手１と前記周壁２との間に第１パッキン５（ゴム製、
厚さ０．５〜５ｍｍ）を介在させてある。さらに、前記
把手１に対して前記周壁２の反対側の前記ボルト３の頭
部にはステンレス鋼（ＳＵＳ３０４、厚さ０．５〜１０
ｍｍ）からなる金属板４が係止されており、前記金属板
４と前記周壁２との間には第２パッキン６（ゴム製、厚
さ０．５〜５ｍｍ）を介在させてある。尚、前記第２パ
ッキン６は、前記第１パッキン５に比して軟質のゴムを
使用してある。前記把手１の取付面１ｂは、前記浴槽の
周壁２の把手取付面２ｂの設計曲率半径よりも大きな曲
率半径の曲面に形成してあり、前記浴槽の周壁２の製作
誤差により、前記周壁２の把手取付面２ｂが設計曲率半
径よりも大きな曲率半径の曲面に形成されることを許容
するようにしてある。これは、前記浴槽の周壁２の製作
誤差は、前記把手取付面２ｂの曲率半径が前記設計曲率
半径より大きくなる傾向を有しているからであり、この
ような誤差の生じた場合、前記把手１を前記周壁２に取
りつける際に、前記周壁２の把手取付面２ｂが前記把手
１の取付面１ｂに沿うまでに前記ボルト３を締め付ける
と、前記周壁２のボルト挿通孔２ａの部位が、前記把手
１に引き付けられて過大な変形を来し、前記部位に亀裂
を発生するような不具合を予防するための対策である。
このようにすることによって、前記取付面１ｂの両端の
部位に設けられた螺子孔１ａの部位においては、前記取
付面１ｂと前記把手取付面２ｂとの間に生ずる隙間は、
前記取付面１ｂの端部との間に差はなくなり、前記周壁
２の過大な変形を回避できるのである。前記把手１を前
記浴槽に取付けるには、図２に示すように、浴槽の前記
周壁２の内壁部表面側に、前記第１パッキン５、前記把
手１を順に配置し、前記周壁２を挟んで、前記第２パッ
キン６、前記金属板４を順に配置し、前記金属板４の外
側から前記金属板４のボルト挿通孔４ａ、前記第２パッ
キン６のボルト挿通孔、前記周壁部２のボルト挿通孔２
ａ、前記第１パッキン５のボルト挿通孔の順に前記ボル
ト３を挿通し、前記把手１の螺子孔１ａに前記ボルト３
を螺合し、締め付ける。この締め付け力は、強くても良
く、１〜２０Ｎ・ｍ程度で締め付けられる。この際、上
述のように、前記ボルト３の締め付けに伴って、図３に
示すように、前記締め付けに伴う締め付け力によって、
前記把手１の取付面１ｂと、前記浴槽の周壁２の把手取
付面２ｂとの間で、この間に介在させた第１パッキン５
が圧縮されて前記両取付面１ｂ，２ｂと前記第１パッキ
ン５の両側表面が密着する程度に変形し、前記周壁２の
内壁部側を完全に水封し、前記周壁２の外側では、前記
金属板４に接している前記第２パッキン６は、前記締め
付けに伴うその余の締め付け力を吸収して圧縮変形し、
これに伴い、前記金属板４が前記ボルト挿通孔４ａの周
囲で局所的に変形するが、大きな締め付け力に対して
も、その変形を弾性的に吸収して、前記周壁部２のボル
ト挿通孔２ａの部位における局部変形と、これに伴う局
部応力の発生を抑制し、前記ボルト挿通孔２ａの部位に
おける亀裂の発生を防止している。尚、前述のとおり、
前記把手１の取付面１ｂの曲率半径を、前記浴槽の周壁
２の把手取付面２ｂの設計曲率半径よりも大きくしてあ
るために、前記周壁２に貫通したボルト挿通孔２ａの中
間の部位の内壁面と前記把手１の取付面１ｂとの間に隙
間を生ずるような、実際の両曲率半径間の誤差が生じて
いても、この隙間は前記第１パッキン５により確実に水
封され、且つ、その変形により、前記周壁２の過度の変
形を防止できる。

【０００６】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。 〈１〉図１〜３には、把手１に対して、浴槽の反対側か
らボルトをねじ込んで、前記把手１を前記浴槽に取付け
る例を示したが、本発明の取付構造は、他の取付方法も
包含するもので、例えば図４に示すように、周壁２の内
表面側に第１パッキン５、その取付面１ｂに螺設した螺
子孔１ａに予め植え込みボルト３をねじ込んで固定した
把手１を順に配置し、前記周壁を挟んで、第２パッキン
６、金属板４を順に配置し、前記把手１に植え込んだボ
ルト３を、前記第１パッキン５のボルト挿通孔、前記周
壁２のボルト挿通孔２ａ、前記第２パッキン６のボルト
挿通孔、前記金属板４のボルト挿通孔４ａに順に挿通
し、そのボルト３の先端からナット７を螺合させて、こ
のナット７の締め付けによって、ボルトの締め付けを行
うものであってもよい。 〈２〉前記ボルト３は、植え込みボルト以外のボルトで
あってもよく、ボルトを予め把手に鋳ぐるんだものであ
ってもよく、さらに、ボルトに代えて、ロックピンを用
いたピン固定をするものであってもよい。このピン固定
の場合には、テーパーピンを用いて締め付けてもよく、
他の異なる締め付け方法も適宜使用可能である。 〈３〉パッキンの材料は、ゴム弾性を有し、１００℃程
度の耐熱性を有する材料からなるものであれば適宜選択
可能である。その形状も、把手の形状に応じたものであ
ればよい。第１パッキンにおいては、把手の取付面の周
縁部に比して、ボルト挿通孔の部分を厚肉に形成したも
のであってもよく、ボルトによる締め付けにより前記周
縁部が前記両取付面に密着するものであればなおよい。
第２パッキンにおいても、金属板の周縁部に比してボル
ト挿通孔の部分を厚肉に形成したものであってもよく、
ボルトによる締め付けにより前記金属板の周縁部の面及
び浴槽の周壁に密着するものであればなおよい。要する
に、第１パッキンが把手と浴槽の周壁との間を水封し、
第２パッキンが金属板と浴槽の周壁との間を水封し、且
つ、ボルト締め付け力のうち前記第１パッキンによる水
封に必要な力を超える締め付け力を吸収して、浴槽の周
壁の過度の変形を防止できる構成であればよい。尚、両
パッキン共に、中実体である必要はなく、内部に空間又
は空隙を有するものであってもよい。 〈４〉前記第２パッキンを、前記第１パッキンに比して
軟質の材料から構成すれば、前記ボルトの締め付けに伴
う締め付け力は、主として前記金属板の変形と、これに
伴う前記第２パッキンの圧縮変形により吸収されるの
で、前記周壁に大きな変形力が作用するのを防止でき、
前記周壁のボルト挿通孔の部位における亀裂の発生を一
層確実に防止できるようになる。 〈５〉前述の実施の形態においては、前記把手の取付面
の曲率半径を、前記浴槽の周壁の把手取付面の設計曲率
半径よりも大きくしてあるが、把手の取付面の曲率半径
は、前記把手取付面の曲率半径の設計値に等しくしてあ
ってもよく、この場合に、製作誤差に起因して、前記把
手の取付面の曲率半径が前記把手取付面の実際の曲率半
径よりも小さくなったとしても、前記周壁の破損を招く
ほど前記周壁を前記把手の側に引き付けなくても、前記
把手と前記周壁の間の水封が充分にでき、且つ、前記把
手を前記浴槽に確実に取付けることが出来る。 〈６〉把手は、中実体であってもよく、また、中空体で
あってもよく、その上面で構成する支持面の強度が維持
できる程度の厚さで形成し、下方を欠く形状のものであ
ってもよい。 〈７〉把手の材料は、他のものでもよく、鋳鋼、ブロン
ズ、真鍮等の金属材料のものの他、プラスチック等適宜
選択可能である。 〈８〉把手を取付けるボルトの本数は、２本に限らず、
把手の形状、ボルトの寸法等に応じて、３本、４本等適
合する本数を使用可能である。

【０００７】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の把手の浴槽への取付構造の一例の要部
を示す一部切欠き平面図

【図２】図１の取付構造を説明する要部の分解平断面図

【図３】図１の取付構造により把手を浴槽に取付けた状
態を示す一部切欠き要部平面図

【図４】本発明の他の実施の形態を説明する要部の分解
平断面図

【図５】浴槽用把手の浴槽への取付状態を示す斜視図

【図６】従来の把手の浴槽への取付構造の要部を示す一
部切欠き平面図

【符号の説明】

１ 把手 ２ 浴槽の周壁 ２ａ ボルト挿通孔 ３ ボルト ４ 金属板 ５ 第１パッキン ６ 第２パッキン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック製の浴槽の周壁（２）の内
   壁部表面側に、前記周壁（２）に挿通させるボルト
   （３）によって取付けられる浴槽用把手の取付構造であ
   って、 前記周壁（２）にボルト挿通孔（２ａ）を形成し、この
   ボルト挿通孔（２ａ）に挿通したボルト（３）によって
   把手（１）を取付けるに、前記周壁（２）と前記把手
   （１）との間に第１パッキン（５）を介在させるととも
   に、前記周壁（２）を挟んで前記把手（１）とは反対側
   に前記ボルト（３）に金属板（４）を係止させ、前記金
   属板（４）と前記周壁（２）との間に第２パッキン
   （６）を介在させてある浴槽用把手の取付構造。