JPH0948902A - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法

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JPH0948902A
JPH0948902A JP7218188A JP21818895A JPH0948902A JP H0948902 A JPH0948902 A JP H0948902A JP 7218188 A JP7218188 A JP 7218188A JP 21818895 A JP21818895 A JP 21818895A JP H0948902 A JPH0948902 A JP H0948902A
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JP
Japan
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group
polyacetal
polymerizable compound
resin composition
thermoplastic resin
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JP7218188A
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English (en)
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Hiroyuki Kanai
裕之 金井
Hajime Serizawa
肇 芹澤
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Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
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Publication date
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Priority to EP95934836A priority patent/EP0771848B1/en
Priority to KR1019960707443A priority patent/KR100358667B1/ko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂をア
ロイ化し、機械的特性などに優れる樹脂組成物を得る。 【解決手段】 樹脂組成物は、互いに非相溶の2種以上
の熱可塑性樹脂(1)と、エポキシ基、カルボキシル
基、酸無水物基などの官能基を有する重合性化合物の残
基が、ポリアセタール成分に対して0.1〜30重量%
導入されている変性ポリアセタール(2)とを含んでい
る。熱可塑性樹脂には、オレフィン系ポリマー、スチレ
ン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタ
ンなどの種々のポリマーが含まれる。複数の熱可塑性樹
脂(1)の合計量と変性ポリアセタール(2)との割合
は、前者/後者=50/50〜99/1(重量比)程度
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマーとの親和
性が改善された変性ポリアセタールを含む熱可塑性樹脂
組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアセタールは、優れた機械的強度、
摺動性、耐熱性、耐薬品性、成形性、電気的特性を有し
ているため、エンジニアリングプラスチックとして広い
分野で利用されている。しかし、ポリアセタールは、耐
酸性、接着性、塗装性、印刷性、染色性、耐候性などの
点で必ずしも満足できるものではない。そのため、ポリ
アセタールと他の熱可塑性樹脂とのアロイ化により、ポ
リアセタールの欠点を補うとともに、アロイ化の相手樹
脂にポリアセタールの優れた特性を付与し、双方の樹脂
の利点を有効に発現する組成物が期待される。しかし、
ポリアセタールは、他の材料との親和性や相溶性が極め
て小さい。そのため、他の熱可塑性樹脂とブレンドして
も、双方の樹脂の特性が有効に発現しないだけでなく、
ウェルド強度およびウェルド伸度が著しく低下する。特
に、著しく低いウェルド強度およびウェルド伸度は、ポ
リアセタールと他の熱可塑性樹脂とのアロイを工業的に
製造する上で大きな障害となる。
【0003】ポリアセタールの親和性を改善するために
は、ポリアセタールに適当な変性基を導入して変性する
ことが有効であり、従来各種の変性基を導入してポリア
セタールを変性する方法が提案されている(例えば、特
公昭43−23467号公報、特公昭47−19425
号公報、特開平3−21618号公報、特開平3−21
619号公報など)。しかし、これらの方法は、いずれ
も、重合過程で、ホルムアルデヒドやトリオキサンと、
置換基として各種の変性基を有するコモノマー(例え
ば、アミノアルデヒド,ニトロ基、ニトリル基、カルボ
キシル基またはアミド基を有する環状エーテル又は環状
アセタール)を用いて共重合することにより変性基を直
接導入する方法である。そのため、いずれの方法でも重
合反応性が低下し、高分子量の共重合体を高い収率で得
ることが困難である。
【0004】また、補強剤による補強効果を向上させる
ため、予め重合生成したポリアセタール樹脂に各種変性
基を有する反応性化合物を添加し、充填剤およびラジカ
ル開始剤の存在下で溶融混練処理することにより補強剤
含有樹脂組成物を得る方法も提案されている(例えば、
特公昭58−18383号公報、特公昭60−6969
号公報など)。しかし、これらの方法では、変性基の導
入効率が極めて低く、また処理時にポリアセタールの分
解劣化が生じるので、有効な変性方法とは言い難い。さ
らに、これらの方法で得られた組成物は予め特定の補強
剤を含有しているため、互いに非相溶の2種以上の樹脂
で構成される広範囲のポリマーアロイに適用できず、用
途毎に前記樹脂組成物を調製する必要がある。特に、互
いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂は均一な溶融混合
が困難であるため、前記の方法では均一な変性およびポ
リマーアロイ化が困難である。
【0005】さらに、ラジルカル開始剤とポリアセター
ルとを溶融混練すると、ラジカル重合開始剤によりポリ
アセタール樹脂が酸化分解し、低分子量化する(特開昭
60−219252号公報,特開昭49−74790号
公報,英国特許第1172741号明細書)。そのた
め、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤を用いる
と、高い分子量、機械的特性、電気的特性を維持しつ
つ、ポリアセタールを改質することは困難である。ま
た、ポリアセタールの低分子量化に伴って、アロイ化に
より複合化しても樹脂組成物の機械的特性などを十分に
向上できなくなる。そのためか、特開平5−21421
2号公報には、ポリアセタールを直接変性することな
く、グリシジル基およびアミド結合を有する重合性単量
体で変性された変性ポリオレフィンの添加により、ポリ
オキシメチレン樹脂を改質することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂を有効にア
ロイ化できる樹脂組成物を提供することにある。本発明
の他の目的は、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂
の特性を有効に発現させることができ、高いウェルド強
度・伸度を有する樹脂組成物を提供することにある。本
発明のさらに他の目的は、前記の如き高い特性を有する
樹脂組成物を簡単な操作で効率よく得ることができる熱
可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、ポリアセタールを重合
性化合物で変性した変性ポリアセタールが、種々の熱可
塑性樹脂に対する親和性が高く相溶化剤として機能する
こと、互いに非相溶の複数の熱可塑性樹脂を含む組成物
に変性ポリアセタールを添加すると、高いウェルド強度
・伸度を有する樹脂組成物が得られることを見いだし、
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂(1)と、
エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル
基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ
基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、アリー
ル基、およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環
基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を
有する重合性化合物の残基が、ポリアセタール成分に対
して導入されている変性ポリアセタール(2)とを含ん
でいる。変性ポリアセタールにおける重合性化合物の残
基の導入量は0.1〜30重量%程度である。本発明の
方法では、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂
(1)と前記変性ポリアセタール(2)とを混合するこ
とにより熱可塑性樹脂組成物を製造する。
【0009】なお、本明細書において、「熱可塑性樹
脂」とは、変性ポリアセタール以外の熱可塑性樹脂を意
味する。また、「重合性化合物の残基」とは、重合性化
合物の単量体の単位に限らず、その重合体(例えば、重
合により生成したダイマー、トリマー、テトラマーやポ
リマー成分)をも意味する。また、「非自己縮合性官能
基」とは、例えば、メチロール基などのように、反応成
分が介在することなしに縮合可能な官能基を意味する。
さらに、特に言及する場合を除き、アクリル系単量体お
よびメタクリル系単量体を「(メタ)アクリル系単量
体」と総称する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の樹脂組成物は、(1)互いに非相溶の複数
の熱可塑性樹脂と(2)変性ポリアセタールとを含んで
いる。前記複数の熱可塑性樹脂(1)および変性ポリア
セタール(2)の内容は次の通りである。
【0011】(1)熱可塑性樹脂 熱可塑性樹脂の種類は、特に制限されず、例えば、オレ
フィン系ポリマー、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリ
マー、スチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニ
ル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボ
ネート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリフェニレン
エーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルイミド、ポリアミドイミド、フッ素含有樹脂、
その他の熱可塑性樹脂が含まれる。
【0012】オレフィン系ポリマーとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネ
ン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独重合
体又は共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブロック
共重合体、グラフト共重合体)、前記α−オレフィンを
主成分とし、さらに少なくとも一種のコモノマー成分と
のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重
合体などが含まれる。上記コモノマー成分には、例え
ば、非共役ジエン(1,4−ヘキサジエン、ジシクロペ
ンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2,
5−ノルボナジエンなど)、共役ジエン(例えば、ブタ
ジエン、イソプレン、ピペリレンなど)、α,β−不飽
和カルボン酸又はその誘導体(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、これらの無水物、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルなど)、アクリロニトリル、芳香族ビニル
化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレンな
ど)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルなど)、ビ
ニルエーテル(例えば、ビニルメチルエーテルなど)、
これらのビニル系化合物の誘導体などが含まれる。前記
オレフィン系ポリマーの重合度、側鎖や分岐の有無、分
岐度、共重合組成割合などは特に限定されない。より具
体的には、オレフィン系ポリマーには、例えば、高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、メチルペン
テン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体(例え
ば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブ
テン共重合体など)、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン
−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(例え
ば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)、アイ
オノマーなどが含まれる。好ましいオレフィン系ポリマ
ーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体など
のエチレン−α−オレフィン共重合体が含まれる。
【0013】ジエン系ポリマーには、ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレンなどの共役ジエンを主体とする単
独又は共重合体が含まれる。ジエン系ポリマーとして
は、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリク
ロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体な
どが挙げられる。
【0014】スチレン系ポリマーとしては、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブ
チルスチレン、クロロメチルスチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物の単独重合又は共重合体(ランダム共重合体、
ブロック共重合体又はグラフト共重合体)、前記芳香族
ビニル化合物と、アクリル系モノマー及び/又は無水マ
レイン酸又はその誘導体との共重合体が挙げられる。ア
クリル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)
アクリル酸エステルなどが挙げられ、無水マレイン酸又
はその誘導体としては、例えは、無水マレイン酸、N−
メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げ
られる。また、上記芳香族ビニル化合物とアクリル系モ
ノマーとを、ジエンモノマー(ブタジエンなど)、オレ
フィン(エチレン、プロピレンなど)やエラストマー
(ブタジエンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢
酸ビニル共重合体などのゴム成分)などと重合した共重
合体又はその水素添加物も使用できる。これらの共重合
体は、ランダム、ブロック、グラフトなどの共重合の形
態、重合度、側鎖や分岐の有無とその程度、共重合組成
割合などは特に制限されない。スチレン系ポリマーに
は、例えば、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重
合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体の水素添加物、スチレン−ア
クリロニトリル−エチレン共重合体、スチレン系ブロッ
クコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレ
ン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレ
ン(SIS)共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン
−スチレン(SEBS)共重合体など)が含まれる。好
ましいスチレン系ポリマーには、ポリスチレン、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン系ブロッ
クコポリマーなどが含まれる。
【0015】アクリル系ポリマーには、アクリル酸、メ
タクリル酸又はこれらのエステルの単位を主成分とする
単独又は共重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチル、
メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メ
タクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステル共重合
体、アクリル−スチレン共重合体、アクリルゴムなどが
含まれる。これらのアクリル樹脂のうち、ポリメタクリ
ル酸メチルや、アクリルゴムなどを用いる場合が多い。
【0016】ビニル系ポリマーとしては、前記ポリ塩化
ビニル以外に、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテ
ル、ポリビニルケトン、ポリビニルピロリドン、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0017】ポリエステルとは、主鎖にエステル結合を
有する高分子を意味し、ジカルボン酸又はその誘導体と
2価アルコールとの重縮合、ヒドロキシカルボン酸の重
縮合、又は環状エステルの開環重合により得られる。ポ
リエステルには、例えば、ポリアルキレンテレフタレー
ト(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートなど)、アルキレンテレフタレートを
主な繰り返し単位とし、さらにイソフタル酸、ビスフェ
ノールA、シクロヘキサンジメタノールなどの共重合成
分を含むコポリエステル、芳香族ポリエステル(例え
ば、ビスフェノールAなどの芳香族ジオールと、テレフ
タル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とのエ
ステル化により生成するポリアリレートなど)などが含
まれる。ポリエステルには、液晶性ポリエステルやエラ
ストマーも含まれる。これらのポリエステルのうち、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
トなどのポリアルキレンテレフタレート、芳香族ポリエ
ステル、液晶性ポリエステルやポリエステルエラストマ
ーなどが好ましい。
【0018】ポリアミドは、主鎖にアミド結合を有する
高分子であり、通常、ジカルボン酸とジアミンとの重縮
合、又は環状ラクタムの開環重合により得られる。ポリ
アミドには、脂肪族ポリアミド(例えば、ポリアミド
6、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド4
6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6
12やこれらのポリアミドの構成モノマー単位を含む共
重合ポリアミド)、芳香族ポリアミドなどが含まれる。
ポリアミドには、液晶性ポリアミド、液晶性コポリエス
テルアミドやエラストマーも含まれる。これらのポリア
ミドのうち、ポリアミド6,ポリアミド66、ポリアミ
ド11,ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド、芳香
族ポリアミド、液晶性コポリエステルアミドやポリアミ
ドエラストマーが好ましい。
【0019】ポリカーボネートとは、主鎖にカーボネー
ト結合を有する高分子を意味し、通常、ジヒドロキシ化
合物とホスゲンとの重縮合、又はジヒドロキシ化合物と
炭酸エステルとのエステル交換反応により得られる。ポ
リカーボネートとしては、脂肪族、脂環族および芳香族
ポリカーボネートのいずれであってもよい。好ましいポ
リカーボネートには、芳香族ポリカーボネート、特に、
ビスフェノールA型ポリカーボネートなどのビスフェノ
ール型ポリカーボネートが含まれる。
【0020】ポリウレタンとは、主鎖にウレタン結合を
含む高分子であり、例えば、脂肪族、脂環族や芳香族ポ
リイソシアネートなどのポリイソシアネート成分(ヘキ
サメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなど)
と、低分子量ないし高分子量のポリオール成分(エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオー
ル、ポリカーボネートジオールなど)との反応により生
成する熱可塑性ポリウレタンが含まれる。ポリウレタン
はエラストマーであってもよい。
【0021】ポリエーテルとは、主鎖にエーテル結合を
有する高分子であり、環状エーテルの開環重合、グリコ
ールの自己縮合により得られる。ポリエーテルには、例
えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド、ポリテトラメチレンオキサイドなどが含まれる。
【0022】さらに、熱可塑性樹脂には、エンジニアリ
ングプラスチック、例えば、ポリフェニレンエーテルや
変性ポリフェニレンエーテルなどのポリフェニレンエー
テル(ポリフェニレンオキシド)、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイ
ミドなどが含まれる。
【0023】フッ素含有樹脂としては、テトラフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオ
ロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、
フッ化ビニリデン、フッ化ビニルなどのフッ素含有モノ
マー単位を含む単独又は共重合体、例えば、ポリテトラ
フルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフ
ルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−クロ
ロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフル
オロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
ルなどが挙げられる。その他の熱可塑性樹脂としては、
例えば、セルロースアセテートなどのセルロース系高分
子、コアシェル構造などの多相構造を有するポリマー粒
子などが挙げられる。
【0024】これらの熱可塑性樹脂のうち、アロイ化に
より優れた特性を有効に発現させるためには、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体、オレフィン系エラストマーなどのオレフ
ィン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル、アクリルゴ
ムなどのアクリル系ポリマー;ポリスチレン、耐衝撃性
ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン系ブロック
コポリマーなどのスチレン系ポリマー;ポリ塩化ビニ
ル;ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフ
タレートを主体とするコポリエステル、ポリアリレー
ト、液晶性ポリエステルやポリエステルエラストマーな
どのポリエステル;脂肪族ポリアミド(例えば、ポリア
ミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド
12)、芳香族ポリアミド、液晶性コポリエステルアミ
ド、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド;ビスフ
ェノールA型ポリカーボネートなどのポリカーボネー
ト;ポリウレタン;ポリフェニレンエーテル;ポリスル
ホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポ
リアミドイミド;ポリテトラフルオロエチレンなどのフ
ッ素含有樹脂などが好ましい。また、熱可塑性樹脂は変
性されていてもよいが、未変性の熱可塑性樹脂であって
も、熱可塑性樹脂の特性を有効に発現させることができ
る。
【0025】本発明では、アロイ化した熱可塑性樹脂組
成物の用途などに応じて、前記熱可塑性樹脂のうち、互
いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂を用いる。互いに
非相溶の熱可塑性樹脂は、適当に選択して組み合わせる
ことができ、例えば、オレフィン系ポリマーと、スチ
レン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカー
ボネートおよびポリウレタンから選択された少くとも一
種の樹脂との組み合わせ、スチレン系ポリマーと、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリ
ウレタンから選択された少くとも一種の樹脂との組み合
わせ、ポリエステルと、ポリアミド、ポリカーボネー
トおよびポリウレタンから選択された少くとも一種の樹
脂との組み合わせ、ポリアミドと、ポリカーボネート
又はポリウレタンとの組み合わせ、ポリカーボネート
とポリウレタンとの組み合わせなどが例示できる。な
お、互いに非相溶の熱可塑性樹脂は、ポリアミドとポリ
ウレタンとの組み合わせなどのように、互いに異なる系
統の樹脂である場合が多いものの、同系統の樹脂の組み
合わせ(例えば、脂肪族ポリアミドと液晶性コポリエス
テルアミドとの組み合わせなど)であってもよい。
【0026】互いに非相溶の複数の熱可塑性樹脂の組成
割合は、所望する特性に応じて広い範囲から選択でき、
各樹脂の割合は、複数の熱可塑性樹脂全体に対して、例
えば、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、
さらに好ましくは25〜75重量%程度の範囲から選択
できる。
【0027】(2)変性ポリアセタール 変性ポリアセタールを構成する(A)ポリアセタール
(ポリアセタール成分)は、オキシメチレン基(−CH
2 O−)を主たる構成単位として含む高分子化合物であ
る。ポリアセタールには、ポリオキシメチレンホモポリ
マーおよびポリアセタールコポリマーが含まれる。この
コポリマーは、オキシメチレン基以外に、炭素数2〜6
程度、好ましくは炭素数2〜4程度のオキシアルキレン
単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2 CH2
−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基な
ど)を構成単位として含んでいる。炭素数2〜6程度の
オキシアルキレン基の割合は、ポリアセタールの用途な
どに応じて適当に選択でき、例えば、ポリアセタール全
体に対して、0.1〜30モル%、好ましくは1〜20
モル%程度である。
【0028】ポリアセタールコポリマーは、二成分で構
成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマー
などの複数の成分で構成されていてもよく、ブロックコ
ポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール
は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造
を有していてもよい。さらに、ポリアセタールの末端
は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン
酸とのエステル化などにより安定化されていてもよい。
ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度も特に制限は
なく、溶融成形可能であればよい。
【0029】好ましいポリアセタールには、ポリオキシ
メチレン、ポリアセタールコポリマー(例えば、少なく
ともオキシメチレン単位とオキシエチレン単位とで構成
されたコポリマー)が含まれる。熱安定性の点からは、
ポリアセタールコポリマーが好ましい。
【0030】前記(A)ポリアセタールは、例えば、ホ
ルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン
などの環状エーテルを重合することにより製造できる。
【0031】また、前記(A)ポリアセタールとして、
重合性ポリアセタールを使用することもできる。重合性
ポリアセタールとは、オキシメチレン基(−CH2
−)を主たる構成単位とし、分子中に重合性官能基を有
する高分子化合物である。重合性官能基には、例えば、
エチレン性二重結合やアセチレン結合が含まれ、特にエ
チレン性不飽和結合が好ましい。
【0032】重合性ポリアセタールには、ホルムアル
デヒド又はトリオキサンを主モノマーとし、エチレン性
不飽和結合を置換基として有する環状エーテル又は環状
ホルマールをコモノマーとして、カチオン活性触媒の存
在下で共重合したエチレン性不飽和結合を有するポリア
セタールコポリマーと、ホルムアルデヒドまたはトリ
オキサンを主モノマーとし、連鎖移動剤としてエチレン
性不飽和結合を有する直鎖状ホルマール化合物の存在
下、カチオン重合触媒によって重合又は共重合した、末
端にエチレン性不飽和結合を有するポリアセタールコポ
リマー、ホルムアルデヒドを主モノマーとし、更にエ
チレン性不飽和結合などの重合性官能基を有する連鎖移
動剤の存在下、アニオン重合によって重合したエチレン
性不飽和結合を有するポリアセタールが含まれる。上記
の重合工程では、必要に応じてコモノマーとして
エチレン性不飽和結合を有しない環状エーテル又は環状
ホルマールを共存させてもよい。さらに、重合性ポリア
セタールは、重合反応の後、重合性官能基を有するカ
ルボン酸又はその酸無水物を末端エステル化剤として用
いる方法により得られるポリアセタールであってもよ
い。
【0033】前記の重合性ポリアセタールにおいて、
エチレン性不飽和結合を有する環状エーテル又は環状ホ
ルマールとしては、例えば、アリルグリシジルエーテ
ル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げら
れ、前記の方法において、連鎖移動剤としての直鎖状
ホルマール化合物としては、ジビニルホルマールなどが
あげられる。
【0034】また、前記の重合性ポリアセタールにお
いて、重合性官能基を有する連鎖移動剤としては、アリ
ルアルコール、クロトニルアルコールなどのエチレン性
不飽和結合を有するアルコール、プロパルギルアルコー
ルなどのアセチレン結合を有するアルコールが含まれ
る。さらに、前記の方法において、重合性官能基を有
するカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、ビニルグリコール酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和結合
を有するモノ又はジカルボン酸、プロピオール酸などの
アセチレン結合を有するカルボン酸などが使用できる。
重合性官能基を有するカルボン酸としては、アクリル酸
又はメタクリル酸などを用いる場合が多い。
【0035】重合性ポリアセタールにおいて、エチレン
性不飽和結合などの重合性官能基の含有量は、例えば、
0.001〜5モル/kg、好ましくは0.01〜2モ
ル/kg程度である。(A)ポリアセタールとして重合
性ポリアセタールを用いると、後述する重合性化合物の
導入効率が高くなるので好ましい。
【0036】前記変性ポリアセタールには、官能基を有
する重合性化合物の残基が導入されている。重合性化合
物の官能基には、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水
物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミ
ド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミ
ド基、アリール基、およびヘテロ原子として窒素原子を
有する複素環基などが含まれる。なお、アミド基及びア
ミノ基の窒素原子には、置換基が結合していてもよい。
重合性化合物は、1分子中に同種又は異種の官能基を有
する多官能性であってもよい。これらの官能基は、前記
熱可塑性樹脂(1)、補強剤や充填剤などの添加剤との
親和性を高める上で有用である。これらの重合性化合物
は一種又は二種以上組合せて使用できる。
【0037】官能基を有する重合性化合物は、1分子中
に少なくとも1つの重合性基を有する必要がある。複数
の重合性基を有する化合物は少量添加して変性すること
により、過度の架橋を抑制し溶融粘度を抑制して、ブロ
ー成形やフィルム成形などに適した樹脂組成物を得るの
に有効である。射出成形材料のように流動性を要求され
る場合は、架橋を抑制し、成形加工性を高めるため、重
合性化合物は1分子中に1つの重合性基(例えば、エチ
レン性二重結合、アセチレン結合)、特にエチレン性不
飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。また、複
数の重合性基を有する化合物であっても、例えば、ジア
リルアミンなどのように、分子内で環状化して線状の重
合体を形成する重合性化合物も使用できる。
【0038】エポキシ基を有する化合物としては、例え
ば、アリルグリシジルエーテル、カルコングリシジルエ
ーテルなどのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)
アクリレート、ビニル安息香酸グリシジルエステル、ア
リル安息香酸グリシジルエステル、ケイ皮酸グリシジル
エステル、シンナミリデン酢酸グリシジルエステル、ダ
イマー酸グリシジルエステル、エポキシ化ステアリルア
ルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルな
どのグリシジル又はエポキシエステル;エポキシヘキセ
ン、リモネンオキシドなどのエポキシ化された不飽和の
鎖状又は環状オレフィンなどが挙げられる。なお、グリ
シジルエーテル型の重合性化合物には、後述するよう
に、式(1)で表される化合物(例えば、N−[4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベ
ンジル]アクリルアミドなど)も含まれる。エポキシ基
を有する好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリロ
イル基を有するグリシジルエーテル型又はグリシジルエ
ステル型エポキシ化合物が含まれる。
【0039】カルボキシル基を有する化合物としては、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、
クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸;ケイ皮
酸などの芳香族不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和
ジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ
エチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノヘキシ
ル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチ
ルヘキシルなどのマレイン酸モノエステルやこれらに対
応するフマル酸モノエステルなどの不飽和ジカルボン酸
モノエステルなどが挙げられる。好ましいカルボキシル
基を有する化合物には、(メタ)アクリル酸、マレイン
酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどが含まれる。
酸無水物基を有する化合物には、例えば、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ハイミッ
ク酸などが含まれる。酸無水物基を有する好ましい化合
物には、無水マレイン酸が含まれる。
【0040】エステル基を有する化合物には、例えば、
前記不飽和モノまたはジカルボン酸などのカルボキシル
基を有する重合性化合物又は酸無水物基を有する重合性
化合物と、炭素数1〜20程度のヒドロキシ化合物との
エステルが含まれる。前記ヒドロキシ化合物としては、
例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−
プロパノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、
1−ドデカノール、ステアリルアルコールなどの炭素数
1〜20程度(好ましくは炭素数4〜20程度)の脂肪
族アルコール、シクロヘキサノールなどの脂環族アルコ
ール、ベンジルアルコールなどのアラルキルアルコー
ル、フェノールなどのフェノール類が挙げられる。この
ような重合性化合物には、例えば、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)ア
クリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウ
リル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリ
ル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メ
タ)アクリレート;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
エチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、
マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシ
ルやこれらに対応するフマル酸エステルなどの不飽和ジ
カルボン酸エステルが含まれる。エステル基を有する化
合物には、後述するヒドロキシル基を有する重合性化合
物と、有機カルボン酸とのエステルも含まれる。エステ
ル基を有する化合物には、さらに、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、
ステアリル酸ビニルなどの炭素数2〜20程度(好まし
くは炭素数6〜20程度)の有機カルボン酸のビニルエ
ステル類も含まれる。エステル基を有する好ましい重合
性化合物には、沸点が比較的高い化合物、例えば、アル
キル基の炭素数8〜20程度の(メタ)アクリル酸アル
キルエステル及び有機カルボン酸部分の炭素数10〜2
0程度のビニルエステルが含まれる。
【0041】ヒドロキシル基を有する化合物としては、
例えば、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセ
リンモノ(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなど
が挙げられる。ヒドロキシル基を有する好ましい重合性
化合物には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
などが含まれる。
【0042】エーテル基を有する化合物としては、例え
ば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメ
チル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)ア
クリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エ
トキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル
(メタ)アクリレート、メトキシスチレンなどが例示で
きる。
【0043】また、ヒドロキシル基およびエーテル基を
有する化合物には、ジエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレートなどが挙げられる。
【0044】アミド基を有する化合物には、例えば、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルア
クリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−
イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド、シアセトンアクリルアミドな
どの(メタ)アクリルアミドとその誘導体;ビニルスル
ホンアミド、ビニルスルホンアニリド、ビニルスルホン
メチルアニリド、ビニルスルホンアセトアニリドなどの
ビニルスルホンアミド類が含まれる。アミド基を有する
好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリルアミド、
N−置換(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0045】アミノ基を有する化合物としては、例え
ば、アリルアミン、ジアリルアミンなどのアリル化合
物;4−ビニルアニリン、N−ビニルジフェニルアミン
などのビニル化合物;N,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類が
挙げられる。
【0046】イミド基を有する化合物には、例えば、マ
レイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド、ビスマレイミドなどのマレイミドとその誘導体;
N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルグルタルイミ
ド、N−ビニルフタルイミドなどのN−ビニル多価カル
ボン酸イミドなどが含まれる。イミド基を有する好まし
い重合性化合物には、マレイミドとその誘導体が含まれ
る。
【0047】ニトリル基を有する化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、2−シアノエチル
(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ニトリル基を
有する好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリロニ
トリルが含まれる。イソシアネート基を有する化合物と
しては、ビニルイソシアネート、メタクリロイルイソシ
アネート、m−(2−イソシアノ−2−プロピル)−α
−メチルスチレンなどが挙げられる。シクロアルキル基
又はアリール基を有する化合物としては、例えば、ビニ
ルシクロヘキサン、2−ビニル−1−ノネン、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、
p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタリ
ン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。
【0048】複素環基を有する化合物としては、ヘテロ
原子として窒素原子を有する化合物、例えば、2−ビニ
ルキノリン、3−ビニルピペリジン、2−ビニルピラジ
ン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビ
ニルピロール、N−ビニルインドール、N−ビニルカル
バゾール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−
ピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、アクリ
ロイルモルホリンなどが挙げられる。また、前記複素環
基を有する重合性化合物には、オキサゾロン基を有する
化合物(例えば、2−ビニル−5−オキサゾロンなど)
などの環状イミノエステル、オキサゾリン基を有する化
合物(例えば、2−ビニル−2−オキサゾリンなど)な
どの環状イミノエーテルなども含まれる。複素環基を有
する好ましい重合性化合物には、ヘテロ原子としての窒
素原子にビニル基が結合した複素環化合物、環状イミノ
エステル基や環状イミノエーテル基などのようにヘテロ
原子として窒素原子とともに酸素原子を有する複素環基
を有するビニル化合物が含まれる。
【0049】重合性化合物の好ましい官能基には、例え
ば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステ
ル基、ヒドロキシル基、官能基が窒素原子に結合してい
てもよいアミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネ
ート基、イミド基、前記複素環基(環状イミノエステル
基、環状イミノエーテル基など)が含まれる。好ましい
アミド基には、非自己縮合性官能基が窒素原子に結合し
たN−置換アミド基が含まれる。特に、グリシジル
(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有するエチレ
ン性重合性化合物、(メタ)アクリル酸などのカルボ
キシル基を有するエチレン性重合性化合物、無水マレ
イン酸などの酸無水物基を有するエチレン性重合性化合
物、又はアミド結合及びエポキシ基を有するエチレン
性重合性化合物が好ましい。
【0050】エポキシ基又はアミド結合及びエポキ
シ基を有するエチレン性重合性化合物には、下記式
(1)で表される化合物が含まれる。
【0051】
【化2】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 〜R5 は同
一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ア
シルオキシ基を示す。nは0又は1である) 前記ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原
子が含まれ、アルキル基には、例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s
ec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オク
チル基など炭素数1〜10程度のアルキル基が含まれ
る。好ましいアルキル基には炭素数1〜6程度、特に炭
素数1〜4程度の低級アルキル基が含まれる。アルコキ
シ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、
ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオ
キシ基などの炭素数1〜6程度の低級アルコキシ基が含
まれる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度の低
級アルコキシカルボニル基である場合が多い。アシル基
には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、
バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度の低級
アシル基が含まれる。アシルオキシ基としては、例え
ば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオ
キシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ基などが例示
できる。
【0052】R2 〜R5 は同一又は異なって水素原子、
ハロゲン原子、低級アルキル基である場合が多い。特に
2 〜R5 は同一又は異なって水素原子又は低級アルキ
ル基である場合が多い。
【0053】nが0の化合物には、前記グリシジル(メ
タ)アクリレートが含まれる。nが1の化合物の具体例
としては、例えば、N−[4−(2,3−エポキシプロ
ポキシ)フェニルメチル]アクリルアミド、N−[4−
(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベ
ンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキ
シプロポキシ)−3,5−ジエチルベンジル]アクリル
アミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−
3,5−ジブチルベンジル]アクリルアミドなどのN−
[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジア
ルキルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3
−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンジル]
アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポ
キシ)−2,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド、
N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,3,
5,6−テトラメチルベンジル]アクリルアミドなどが
例示される。
【0054】重合性化合物は、室温、大気圧下で液状又
は固体状(非ガス状)である場合が多い。これらの重合
性化合物のうち、常圧における沸点70℃以上、好まし
くは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上の化
合物を用いる場合が多く、好ましい重合性化合物の沸点
は、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、グリシジル
(メタ)アクリレート、前記式(1)で表される化合物
(例えば、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)
−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド)などの
ように、常圧で140℃以上である場合が多い。
【0055】なお、変性効率、変性ポリアセタールおよ
び成形品の利用効率を高めるため、変性ポリアセタール
は、充填剤や補強剤の非共存下、前記重合性化合物によ
り変性されたポリアセタールであるのが好ましい。充填
剤や補強剤の非共存下で変性された変性ポリアセタール
を用いると、用途に応じて複数の熱可塑性樹脂と混合す
るだけで、樹脂組成物を調製でき、アロイ化や複合化の
自由度が大きくなる。
【0056】前記官能基の導入量は、熱可塑性樹脂や添
加剤との親和性を向上できる範囲で選択でき、例えば、
ポリアセタール成分に対して重合性化合物換算で、0.
1〜30重量%(例えば0.1〜20重量%程度)、好
ましくは0.2〜25重量%(例えば0.2〜15重量
%程度)、さらに好ましくは0.3〜20重量%(例え
ば0.3〜10重量%程度)であり、0.2〜10重量
%程度である場合が多い。
【0057】前記変性ポリアセタールは、(A)ポリア
セタールと、(B)官能基を有する重合性化合物とを加
熱し、前記重合性化合物の残基をポリアセタールに導入
することにより製造できる。(A)ポリアセタールと
(B)官能基を有する重合性化合物とは、(C)ラジカ
ル発生剤(重合開始剤)の非存在下で加熱してもよい
が、(C)ラジカル発生剤の存在下で加熱すると、重合
性化合物の残基を効率よく導入できる。
【0058】(C)ラジカル発生剤は、フリーラジカル
を発生し、重合性化合物の重合を開始する重合開始剤と
しての機能を有する化合物であれば、その種類は特に制
限されない。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物な
どの過酸化物、アゾ化合物、その他のラジカル重合開始
剤が使用できる。
【0059】過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒ
ドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、
クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒ
ドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5
−ジヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキ
シド;ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミル
パーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパー
オキシクメン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α′
−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベ
ンゼンなどの過酸化ジアルキル;ベンゾイルパーオキシ
ド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパ
ーオキシドなどの過酸化ジアシル;メチルエチルケトン
パーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどのアル
キリデンペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t
−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエートなどの過酸エステルなどが挙げられる。
【0060】アゾ化合物としては、例えば、1−[(1
−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、
2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス
(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}など
のアゾアミド系化合物;1,1−アゾビス(シクロヘキ
サン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′
−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリ
ル]、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾニトリル
系化合物;2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチ
ルペンタン)などのアルキルアゾ系化合物が挙げられ
る。
【0061】他のラジカル発生剤としては、例えば、過
硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム
などの過硫酸塩も使用できる。これらのラジカル発生剤
は単独で使用してもよく、同種又は異種のものを組合せ
て使用してもよい。
【0062】重合性化合物(B)の官能基をポリアセタ
ールに効率よく導入するため、好ましいラジカル発生剤
には、半減期1分に対応する温度が130℃以上、好ま
しくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上の
化合物が含まれる。このようなラジカル発生剤は、アル
キルヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸エス
テル(特にアルキルヒドロペルオキシド、過酸化ジアル
キル)、前記アゾ化合物である場合が多い。
【0063】(B)官能基を有する重合性化合物の割合
は、所望する改質度および変性ポリアセタールの用途な
どに応じて選択でき、例えば、(A)ポリアセタール1
00重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは
0.3〜25重量部、さらに好ましくは0.5〜20重
量部程度であり、1〜20重量部程度である場合が多
い。(B)重合性化合物の割合が少ないと、ポリアセタ
ールの変性度が小さく、過多であると、重合性化合物の
種類によっては、ポリアセタールの機械的特性などが低
下する場合がある。
【0064】(A)ポリアセタールに対する(C)ラジ
カル発生剤の割合は、ポリアセタールの過度の低分子量
化を抑制でき、かつ変性効率を損わない範囲から選択で
き、例えば、(A)ポリアセタール100重量部に対し
て3.5重量部以下(例えば、0.01〜3.5重量部
程度)、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好まし
くは0.01〜1.5重量部程度であり、0.05〜
0.5重量部程度である場合が多い。また、(A)ポリ
アセタールと(B)重合性化合物との合計量に対する
(C)ラジカル発生剤の割合は、ラジカル発生剤の加工
温度における半減期、重合性化合物の量、加工温度、加
工時間などに応じて選択でき、(A)ポリアセタールと
(B)重合性化合物との合計100重量部に対して2.
5重量部以下(例えば、0.01〜2.5重量部程
度)、好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましく
は0.01〜1重量部程度であり、0.05〜0.5重
量部程度である場合が多い。(C)ラジカル発生剤の使
用量が過少であると、(B)重合性化合物による変性度
が低下し易く、過多であってもさほど変性度が向上しな
い。また、ラジカル発生剤の使用量が多過ぎると、ラジ
カル発生剤の種類によってはポリセタールの分解が過度
に生じる場合がある。なお、(B)重合性化合物100
重量部に対する(C)ラジカル発生剤の割合は、0.1
〜25重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに
好ましくは1〜10重量部程度である場合が多い。
【0065】ポリアセタールを簡便に変性する方法に
は、(C)ラジカル発生剤の存在下、(A)ポリアセタ
ールと(B)官能基を有する重合性化合物とを、ポリア
セタールの溶融状態で混合する方法、特に溶融混練する
方法が含まれる。溶融混合や溶融混練処理には、慣用の
混合機や混練機、例えば、押出機、ブラベンダー、ニー
ダー、バンバリーミキサー、ロールミルなどが利用でき
る。好ましい溶融混合又は混練機には、押出機、ニーダ
ーなどの密閉式装置が含まれる。混練温度は、ポリアセ
タールの融点〜分解温度の範囲で選択でき、好ましくは
ポリアセタールの融点よりも5〜70℃(好ましくは1
0〜50℃程度)高い温度である。処理時間は、混合又
は混練温度に応じて選択でき、例えば、20秒〜2時
間、好ましくは30秒〜1時間程度であり、30秒〜3
0分程度である場合が多い。
【0066】溶融混合又は溶融混練処理は、(A)ポリ
アセタール、(B)重合性化合物、および必要に応じて
(C)ラジカル発生剤を、個別に前記混合機や混練機に
順次供したり、予め二成分(A)(B)又は三成分
(A)(B)(C)の混合物を前記混合機や混練機に供
することにより同時に行なってもよい。また、溶融混合
又は溶融混練処理は、酸化防止剤の存在下で行なっても
よい。
【0067】なお、(B)重合性化合物の不存在下に、
(A)ポリアセタールと(C)ラジカル発生剤とを溶融
混合又は溶融混練すると、ラジカル発生剤により、ポリ
アセタールが著しく低分子量化する。これに対して、
(B)重合性化合物の存在下、(A)ポリアセタールと
(C)ラジカル発生剤とを溶融混合又は溶融混練する
と、重合性化合物により変性できるとともに、ラジカル
発生剤の量にもよるが、ポリアセタールが過度に低分子
量化するのを抑制できる。そのため、(A)ポリアセタ
ールと(C)ラジカル発生剤との溶融混合物に、(B)
官能基を有する重合性化合物を添加し、ポリアセタール
の溶融状態で混合すると、重合性化合物により変性され
た比較的低分子量の変性ポリアセタールを得ることがで
きる。このような変性ポリアセタールは、相溶化剤や、
樹脂、金属、接着剤、塗料などとの密着性改良剤などと
して利用できる。
【0068】ポリアセタールの分解を抑制しつつ、ラジ
カル発生剤を変性に有効に利用し、重合性化合物による
変性効率を高めるためには、(A)ポリアセタールと
(B)官能基を有する重合性化合物と(C)ラジカル発
生剤との三成分を、ポリアセタールの溶融状態で混合又
は混練したり、(A)ポリアセタールと(B)重合性
化合物との共存下、(C)ラジカル発生剤を添加して、
ポリアセタールの溶融状態で混合又は混練する方法、
(A)ポリアセタールと(B)官能基を有する重合性化
合物との混合物、特に均一混合物(好ましくはコンパウ
ンド又は溶融混合物)に、(C)ラジカル発生剤を添加
し、ポリアセタールの溶融状態で混合又は混練する方法
が有用である。このような方法では、高い分子量とポリ
アセタールの優れた特性を維持しつつ、重合性化合物の
官能基を効率よく導入できる。特に前記方法は、第
1の方法に比べて、(A)ポリアセタールの低分子量
化を抑制しつつ、変性効率を高めることができるという
利点がある。
【0069】このような方法は、例えば、前記押出し機
などの装置に前記三成分やコンパウンドを供給したり、
装置内でポリアセタールと重合性化合物とを溶融混合し
た後、ラジカル発生剤を装置内に添加又は注入し、混合
又は混練することにより行なうことができる。また、前
記コンパウンドとラジカル発生剤との混合物を前記装置
に供給し、混合又は混練してもよい。前記コンパウンド
は、粉粒状又はペレット状で使用する場合が多い。
【0070】さらに、重合性化合物による変性度および
ラジカル発生剤の利用効率を高めるため、前記の溶融混
合又は溶融混練は、補強性充填剤などの充填剤の非存在
下で行なうのが好ましい。すなわち、充填剤の存在下で
溶融混合又は溶融混練すると、ポリアセタールに対する
重合性化合物の変性効率と溶融粘度とを制御するのが困
難である場合が多い。これに対して、充填剤及び補強剤
の非存在下で変性すると、ラジカル発生剤及び重合性化
合物をポリアセタールの変性に有効に利用できるととも
に、比較的多量に使用される充填剤及び補強剤により改
質されていないので、変性ポリアセタールと種々の熱可
塑性樹脂とを組み合わせることにより、幅広い組成物を
得ることができる。
【0071】なお、必要に応じて、添加剤、例えば、酸
化防止剤などの安定化剤を含む樹脂組成物を上記の溶融
混合又は溶融混練操作に供してもよい。その際、重合性
化合物によるポリアセタールの変性効率、およびラジカ
ル発生剤の利用効率を高めるため、添加剤の添加量は少
ない方が好ましく、例えば、ポリアセタールと重合性化
合物との合計量100重量部に対して、10重量部以
下、好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましく
は0.01〜3重量部程度である。
【0072】前記添加剤のうち酸化防止剤の添加は、変
性ポリアセタールの安定性を高める上で有用である。前
記酸化防止剤には、例えば、ヒンダードフェノール類、
ヒンダードアミン類、その他の化合物が含まれる。ヒン
タードフェノール類には、例えば、2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチ
レンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,
4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビ
ス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−
3−(4′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピ
オネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステ
アリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブ
チル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル−4−メチ
ルフェニルアクリレート、N,N′−ヘキサメチレンビ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロ
シンナマミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどが含ま
れる。
【0073】ヒンダードアミン類には、例えば、4−ア
セトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、
4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シ
クロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイ
ルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)オキザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペー
ト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘ
キサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン
−1,3,5−トリカルボキシレート、フェニル−α−
ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,
N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェ
ニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミ
ン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレ
ンジアミンなどが挙げられる。
【0074】その他の酸化防止剤には、例えば、ジミリ
スチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピ
オネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのイ
オウ系酸化防止剤;トリイソデシルホスファイト、トリ
フェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤;2,5
−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジアミルヒド
ロキノンなどののヒドロキノン系酸化防止剤;6−エト
キシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノ
リンなどのキノリン系酸化防止剤;メルカプトヘンゾイ
ミダゾールなどが含まれる。
【0075】これらの酸化防止剤は一種又は二種以上併
用することができる。好ましい酸化防止剤には、ヒンダ
ードフェノール類(フェノール系酸化防止剤)、ヒンダ
ードアミン類(アミン系酸化防止剤)が含まれる。
【0076】酸化防止剤の共存下でポリアセタールを変
性する場合、酸化防止剤は(A)ポリアセタール又は変
性過程で添加してもよい。酸化防止剤の使用量は、
(A)ポリアセタール100重量部に対して、0.00
1〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部程度であ
る。このようにして得られた変性ポリアセタールは、必
要に応じてペレット化してもよい。
【0077】前記変性ポリアセタールは、前記重合性化
合物の官能基の種類やその量に応じて、前記(1)熱可
塑性樹脂に対して高い親和性、相溶性を有している。そ
のため、互いに非相溶の複数の熱可塑性樹脂を含んでい
ても、各熱可塑性樹脂の特性が有効に発現し、特にウェ
ルド強度及びウェルド伸度の高い樹脂組成物や、耐衝撃
性の高い樹脂組成物を得ることができる。
【0078】(1)互いに非相溶の複数の熱可塑性樹脂
と(2)変性ポリアセタールとの割合は、ポリアセター
ルの変性度、熱可塑性樹脂の種類などに応じて、例え
ば、(1)複数の熱可塑性樹脂/(2)変性ポリアセタ
ール=50/50〜99/1(重量比)、好ましくは7
0/30〜99/2(重量比)、さらに好ましくは80
/20〜95/5(重量比)程度の範囲から選択でき
る。
【0079】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の方
法、例えば、(1)複数の熱可塑性樹脂と(2)変性ポ
リアセタールとを粉粒状で混合することにより製造して
もよいが、溶融状態又は溶液状態で混合することにより
樹脂組成物を製造する場合が多い。溶融状態で混合する
場合、慣用の混合機や混練機、例えば、押出し機、ブラ
ベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミキ
サーなどが利用できる。好ましい溶融混合又は混練機に
は、押出し機、ニーダーなどの密閉式装置が含まれる。
【0080】混合温度は、(1)複数の熱可塑性樹脂お
よび(2)変性ポリアセタールのそれぞれの溶融可能な
温度の下限(例えば、融点)から分解温度までの温度範
囲のうち、重複する温度範囲、例えば、100〜240
℃、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは1
60〜220℃程度の範囲から適当に選択できる。
【0081】また、(2)変性ポリアセタールを、前記
のように溶融混合により製造する場合、ポリアセタール
と重合性化合物との溶融混合系に(1)複数の熱可塑性
樹脂を共存させることにより、(1)互いに非相溶の複
数の熱可塑性樹脂と(2)変性ポリアセタールとで構成
された本発明の組成物を得ることも可能である。
【0082】溶液状態で混合する場合には、(1)複数
の熱可塑性樹脂および(2)変性ポリアセタールを、両
者の共通溶媒に溶解又は分散して混合した後、例えば、
加熱や減圧などの手段により溶媒を除去する方法、前記
溶液や分散液を双方の樹脂に対する貧溶媒に注入して析
出させる方法などにより、組成物を得ることができる。
溶液状態で混合する方法は、(1)複数の熱可塑性樹脂
と(2)変性ポリアセタールとにおいて溶融可能な温度
が重複しない場合や溶融可能な温度が大きく異なる場合
などに有効である。
【0083】また、変性ポリアセタールは、前記重合性
化合物の官能基の種類やその量に応じて、補強剤や充填
剤に対しても高い親和性、相溶性や濡れ性を示す。その
ため、本発明において、さらに補強剤や充填剤などを含
む樹脂組成物も好ましい。補強剤には、例えば、有機繊
維(例えば、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、ポリ
アクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊
維、ポリエステル繊維など)、無機繊維(ガラス繊維、
アルミナ繊維、炭素繊維、金属繊維など)や、ホイスカ
ー(例えば、アルミナ、酸化ベリリウム、炭化ホウ素、
炭化ケイ素、窒化ケイ素などのホイスカー)などが挙げ
られる。これらの補強剤は一種又は二種以上使用でき
る。
【0084】充填剤としては、例えば、アルミナ、シリ
カ、カオリン、クレイ、ガラス、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、水酸化アルミ
ニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリ
ウム、チタン酸カリウム、二硫化モリブデン、カーボ
ン、黒鉛、金属粉などが例示される。これらの充填剤も
一種又は二種以上使用できる。
【0085】補強剤と充填剤との使用量は、補強剤や充
填剤の種類に応じて、それぞれ成形性などの特性を損な
わない範囲で選択でき、例えば、熱可塑性樹脂と変性ポ
リアセタールとからなる樹脂組成物100重量部に対し
て、補強剤及び/又は充填剤1〜500重量部、好まし
くは5〜250重量部、さらに好ましくは10〜100
重量部程度の範囲から選択できる。
【0086】さらに、樹脂組成物は、必要に応じて、酸
化防止剤、紫外線吸収剤などの安定化剤、帯電防止剤、
滑剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよ
い。なお、酸化防止剤は、変性ポリアセタールに添加し
てもよい。
【0087】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工
により種々の成形品を得る上で有用である。成形品は、
慣用の方法、例えば、射出成形、押し出し成形等により
得ることができる。
【0088】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、互いに非相溶の
2種以上の熱可塑性樹脂であっても、変性ポリアセター
ルにより有効にアロイ化できる。また、変性ポリアセタ
ールにより、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂の
特性を有効に発現させることができ、高いウェルド強度
・伸度を有する樹脂組成物を得ることができる。本発明
の方法では、互いに非相溶の複数の熱可塑性樹脂と変性
ポリアセタールとを混合するという簡単な操作で、前記
の如き高い特性を有する樹脂組成物を効率よく得ること
ができる。さらに、補強剤や充填剤の非存在下で変性し
た変性ポリアセタールを用いることにより、種々の樹脂
組成物の調製に効率よく対応でき、用途に対する自由度
を広げることができる。
【0089】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定さ
れるものではない。 [変性ポリアセタールの調製] 調製例1(変性ポリアセタール1の調製) (A)ポリアセタール[ポリプラスチックス(株)製、
商品名ジュラコンM25、ポリアセタールコポリマー、
メルトフローレート2.5g/10分(190℃,2.
16kg)]95重量部および(B)重合性化合物[N
−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジ
メチルベンジル]アクリルアミド(鐘淵化学工業(株)
製、商品名 AXE)]5重量部(ポリアセタール10
0重量部に対して5.3重量部)をドライブレンドした
後、二軸押出機にて190℃の温度で約2分間溶融混練
し、ペレットを得た。得られたペレットと(C)ラジカ
ル発生剤[α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m
−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製、商品名
パーブチルP)]0.1重量部(ポリアセタール100
重量部に対して0.11重量部)とをドライブレンドし
た後、再び二軸押出機にて190℃の温度で約2分間溶
融混練し、変性ポリアセタールのペレットを得た。
【0090】重合性化合物による変性量は、1.9重量
%であった。なお、変性量は次のようにして測定した。
ポリアセタールに結合しなかった(B)重合性化合物を
除去するため、変性ポリアセタールを再沈法により精製
し、プロトンNMRにより、ポリアセタールへ導入され
た(B)重合性化合物を定量し、重合性化合物による変
性量を、ポリアセタール成分に対する割合として、重量
%で表示した。なお、再沈は、変性ポリアセタール15
0mgとヘキサフルオロイソプロパノール4mlとの溶
液を、再沈用溶媒(アセトン)中に滴下し、析出したポ
リマーを濾過により回収した。この操作を3回以上繰り
返すことにより、変性ポリアセタールを精製した。
【0091】調製例2(変性ポリアセタール2の調製) (A)ポリアセタール90重量部および(B)重合性化
合物[N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−
3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド10重量部
(ポリアセタール100重量部に対して11重量部)を
用いる以外、調製例1と同様にして変性ポリアセタール
を得た。重合性化合物による変性量は、3.3重量%で
あった。
【0092】調製例3(変性ポリアセタール3の調製) 前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に
対して重合性化合物[グリシジルメタクリレート(東京
化成工業(株)]5.3重量部を用いる以外、調製例1
と同様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物
による変性量は、1.5重量%であった。なお、再沈に
よる精製に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用
いた。
【0093】調製例4(変性ポリアセタール4の調製) 前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に
対して重合性化合物[無水マレイン酸(東京化成工業
(株)]5.3重量部を用いる以外、調製例1と同様に
して変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変
性量は、2.0重量%であった。なお、再沈による精製
に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0094】調製例5(変性ポリアセタール5の調製) 前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に
対して重合性化合物[2−ビニル−2−オキサゾリン
(特開昭63−10773号公報に記載の方法に従って
合成した)]5.3重量部を用いる以外、調製例1と同
様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物によ
る変性量は、1.3重量%であった。なお、再沈による
精製に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用い
た。
【0095】調製例6(変性ポリアセタール6の調製) 3.3重量%の1,3−ジオキソラン、0.8重量%の
アリルグリシジルエーテルおよび100ppmのメチラ
ールを含有するトリオキサンに、三フッ化ホウ素をトリ
オキサンに対して60ppm添加してカチオン重合し、
重合性ポリアセタールを調製した。前記調製例1におい
て、ポリアセタールに代えて、上記重合性ポリアセター
ルを用いる以外、調製例1と同様にして、変性ポリアセ
タールを得た。重合性化合物による変性量は、3.1重
量%であった。
【0096】調製例7(変性ポリアセタール7の調製) 3.3重量%の1,3−ジオキソランおよび400pp
mのジビニルホルマールを含有するトリオキサンに、三
フッ化ホウ素をトリオキサンに対して60ppm添加し
てカチオン重合し、重合性ポリアセタールを調製した。
前記調製例1において、ポリアセタールに代えて、上記
重合性ポリアセタールを用いる以外、調製例1と同様に
して、変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による
変性量は、2.5重量%であった。
【0097】調製例8(変性ポリアセタール8の調製) 連鎖移動剤としてのアリルアルコール150ppm、ア
ニオン重合触媒としてのジブチル錫ジメトキシド5.5
×10-4モル/Lを含むシクロヘキサン500重量部
に、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを100重
量部/hrの速度で供給した。また、上記ホルムアルデ
ヒドの供給とともに、上記連鎖移動剤およびアニオン重
合触媒を上記と同じ濃度で含むシクロヘキサンも、50
0重量部/hrの速度で供給した。そして、温度55℃
で3時間重合し、重合体をシクロヘキサンから分離し、
洗浄、乾燥した後、アセチル化することにより、重合性
ポリアセタールを調製した。前記調製例1において、ポ
リアセタールに代えて、上記重合性ポリアセタールを用
いる以外、調製例1と同様にして、変性ポリアセタール
を得た。重合性化合物による変性量は、2.4重量%で
あった。
【0098】実施例1〜12および比較例1〜4 上記調製例で得られた得られた変性ポリアセタール1〜
8と、ポリアミド12(ダイセル・ヒュルス社製、ダイ
アミドL1801)と、ポリウレタンエラストマー(ジ
イソシアネートとして4,4′−メチレンビス(フェニ
ルイソシアネート)を用いたポリエーテル型ポリウレタ
ンエラストマー,日本ミラクトラン社製)を表1に示す
割合でドライブレンドした後、二軸押出し機にて190
℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを射出
成形機により成形し、ゲートを両端に有するウェルド試
験片(厚み2mm)を作製した。ASTM D638に
準じて、得られた試験片のウェルド強度およびウェルド
伸度を測定したところ、表1および表2に示す結果を得
た。結果を表1および表2に示す。なお、比較のため
に、変性ポリアセタールの代わりに未変性ポリアセター
ルを用いて同様に行った結果を表2に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】 表1および表2より、比較例の樹脂組成物に比べて、変
性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物を用いる
と、ウェルド強度及び伸度を大きく改善できる。
【0101】実施例13〜23および比較例5〜8 上記調製例で得られた得られた変性ポリアセタール1〜
8と、ポリエステル(30モル%のイソフタル酸が共重
合した低融点ポリブチレンテレフタレート樹脂,固有粘
度IV=0.5)と、熱可塑性ポリウレタン樹脂(武田
バーディシェウレタン工業(株)製,XET880D1
0)とを表3および表4に示す割合で用いる以外、実施
例1〜12と同様にして調製した試験片のウェルド強度
およびウェルド伸度を測定したところ、表3および表4
に示す結果を得た。結果を表3および表4に示す。な
お、比較のために、変性ポリアセタールの代わりに未変
性ポリアセタールを用いて同様に行った結果を表4に示
す。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】 表3および表4より、比較例の樹脂組成物に比べて、変
性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物は、ウェル
ド強度および伸度が大きい。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに非相溶性の2種以上の熱可塑性樹
    脂(1)と、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物
    基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド
    基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド
    基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ原子
    として窒素原子を有する複素環基からなる群から選択さ
    れた少なくとも一種の官能基を有する重合性化合物の残
    基が、ポリアセタール成分に導入されている変性ポリア
    セタール(2)とを含む熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 2種以上の熱可塑性樹脂(1)が、オレ
    フィン系ポリマー、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリ
    マー、スチレン系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリエ
    ステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタ
    ン、ポリエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリスル
    ホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポ
    リアミドイミドおよびフッ素含有樹脂からなる群から選
    択された2種以上の熱可塑性樹脂である請求項1記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 変性ポリアセタール(2)が、ポリアセ
    タール成分に対して、重合性化合物の残基0.1〜30
    重量%が導入されている変性ポリアセタールである請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 変性ポリアセタール(2)が、ポリアセ
    タール成分に対して、重合性化合物の残基0.2〜25
    重量%が導入されている変性ポリアセタールである請求
    項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 官能基を有する重合性化合物が、1分子
    中に1つのエチレン性不飽和結合を有する請求項1記載
    の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 官能基を有する重合性化合物が、1分子
    中に1つのエチレン性二重結合と、エポキシ基、カルボ
    キシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、
    非縮合性官能基が窒素原子に結合したN−置換アミド
    基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド
    基、環状イミノエステル基および環状イミノエーテル基
    からなる群から選択された少なくとも一種の官能基とを
    有し、かつ常圧における沸点が70℃以上の化合物であ
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 官能基を有する重合性化合物が、エポ
    キシ基、カルボキシル基、酸無水物基、又はアミ
    ド結合及びエポキシ基を有するエチレン性重合性化合物
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 官能基を有する重合性化合物が、無水マ
    レイン酸または下記式(1) 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 〜R5 は同
    一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ア
    シルオキシ基を示す。nは0又は1である)で表される
    化合物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂
    (1)と変性ポリアセタール(2)との割合が、前者
    (1)/後者(2)=50/50〜99/1(重量比)
    である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 (1)ポリエチレン、ポリプロピレ
    ン、エチレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン系
    エラストマー、ポリメタクリル酸メチル、アクリルゴ
    ム、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニ
    ル、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフ
    タレートを主体とするコポリエステル、ポリアリレー
    ト、液晶性ポリエステル、ポリエステルエラストマー、
    脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、液晶性コポリエ
    ステルアミド、ポリアミドエラストマー、ビスフェノー
    ル型ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニレン
    エーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
    エーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオ
    ロエチレンからなる群から選択され、かつ互いに非相溶
    の2種以上の未変性熱可塑性樹脂と、(2)分子中に1
    つのエチレン性不飽和結合を有し、かつ沸点120℃以
    上の重合性化合物により変性された変性ポリアセタール
    とを含む組成物であって、前記変性ポリアセタールが、
    エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル
    基、ヒドロキシル基、非自己縮合性官能基を有するアミ
    ド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミ
    ド基、環状イミノエステル基および環状イミノエーテル
    基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を
    有する重合性化合物の残基が、ポリアセタール成分に対
    して、0.3〜20重量%導入されている変性ポリアセ
    タールであり、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂
    (1)と変性ポリアセタール(2)との割合が、(1)
    前者/(2)後者=70/30〜98/2(重量比)で
    ある樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 (1)互いに非相溶の2種以上熱可塑
    性樹脂と、(2)エポキシ基、カルボキシル基、酸無水
    物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミ
    ド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミ
    ド基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ原
    子として窒素原子を有する複素環基からなる群から選択
    された少なくとも一種の官能基を有する重合性化合物の
    残基が、ポリアセタール成分に導入されている変性ポリ
    アセタールとを混合する熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。
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