JP3615605B2 - 変性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーアロイなどを得る上で有用な変性樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタールは、優れた機械的強度、摺動性、耐熱性、耐薬品性、成形性、電気的特性を有しているため、エンジニアリングプラスチックとして広い分野で利用されている。しかし、ポリアセタールは、耐酸性、接着性、塗装性、印刷性、染色性、耐候性などの点で必ずしも満足できるものではない。
そのため、ポリアセタールと他の熱可塑性樹脂とのアロイ化により、ポリアセタールの欠点を補うとともに、アロイ化の相手樹脂にポリアセタールの優れた特性を付与し、双方の樹脂の利点を有効に発現する組成物が期待される。しかし、ポリアセタールは、他の材料との親和性や相溶性が極めて小さい。そのため、他の熱可塑性樹脂とブレンドしても、双方の樹脂の特性が有効に発現しないだけでなく、ウェルド強度およびウェルド伸度が著しく低下する。特に、著しく低いウェルド強度およびウェルド伸度は、ポリアセタールと他の熱可塑性樹脂とのアロイを工業的に製造する上で大きな障害となる。
【0003】
ポリアセタールの親和性を改善するためには、ポリアセタールに適当な変性基を導入して変性することが有効であり、従来各種の変性基を導入してポリアセタールを変性する方法が提案されている(例えば、特公昭43−23467号公報、特公昭47−19425号公報、特開平3−21618号公報、特開平3−21619号公報など)。
しかし、これらの方法は、いずれも、重合過程で、ホルムアルデヒドやトリオキサンと、置換基として各種の変性基を有するコモノマー(例えば、アミノアルデヒド,ニトロ基、ニトリル基、カルボキシル基またはアミド基を有する環状エーテル又は環状アセタール)を用いて共重合することにより変性基を直接導入する方法である。そのため、いずれの方法でも重合反応性が低下し、高分子量の共重合体を高い収率で得ることが困難である。
【0004】
また、補強剤による補強効果を向上させるため、予め重合生成したポリアセタール樹脂に各種変性基を有する反応性化合物を添加し、充填剤およびラジカル開始剤の存在下で溶融混練処理することにより補強剤含有樹脂組成物を得る方法も提案されている(例えば、特公昭58−18383号公報、特公昭60−6969号公報など)。しかし、これらの方法では、変性基の導入効率が極めて低く、また処理時にポリアセタールの分解劣化が生じるので、有効な変性方法とは言い難い。さらに、これらの方法で得られた組成物は予め特定の補強剤を含有しているため、互いに非相溶の2種以上の樹脂で構成される広範囲のポリマーアロイに適用できず、用途毎に前記樹脂組成物を調製する必要がある。特に、互いに非相溶の2種以上の熱可塑性樹脂は均一な溶融混合が困難であるため、前記の方法では均一な変性およびポリマーアロイ化が困難である。
【0005】
さらに、ラジルカル開始剤とポリアセタールとを溶融混練すると、ラジカル重合開始剤によりポリアセタール樹脂が酸化分解し、低分子量化する(特開昭60−219252号公報,特開昭49−74790号公報,英国特許第1172741号明細書)。そのため、有機過酸化物などのラジカル重合開始剤を用いると、高い分子量、機械的特性、電気的特性を維持しつつ、ポリアセタールを改質することは困難である。また、ポリアセタールの低分子量化に伴って、アロイ化により複合化しても樹脂組成物の機械的特性などを十分に向上できなくなる。そのためか、特開平5−214212号公報には、ポリアセタールを直接変性することなく、グリシジル基およびアミド結合を有する重合性単量体で変性された変性ポリオレフィンの添加により、ポリオキシメチレン樹脂を改質することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、ポリアセタールと広範囲の熱可塑性樹脂とをアロイ化でき、ポリアセタールと熱可塑性樹脂の特性を有効に発現できる変性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ポリアセタールと他の熱可塑性樹脂とを複合化でき、高いウェルド強度・伸度を有する変性樹脂組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記の如き高い特性を有する組成物を簡単な操作で効率よく得ることができる変性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、ポリアセタールを重合性化合物で変性した変性ポリアセタールと、この変性ポリアセタール以外の変性ポリマーとを組み合わせると、双方のポリマーの特性が有効に発現すること、変性ポリアセタールと変性ポリマーとを組み合わせることにより、ポリアセタールに対して非相溶の熱可塑性樹脂を効率よくアロイ化できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の変性樹脂組成物は、変性ポリアセタール(1a)を含む変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と、前記変性ポリアセタール(1a)以外の変性ポリマー(2a)を含む変性ポリマー組成物(II)とで構成されている変性樹脂組成物であって、前記変性ポリアセタール( 1a )が、官能基を有する重合性化合物の残基が導入されている変性ポリアセタールであり、前記重合性化合物が1分子中に1つのエチレン性不飽和結合を有する変性樹脂組成物である。前記変性ポリアセタール(1a)は、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する重合性化合物の残基が、ポリアセタール成分に対して導入されている変性ポリアセタールであってもよい。変性ポリアセタール(1a)における重合性化合物の残基の導入量は0.1〜30重量%程度である。
前記変性ポリアセタール樹脂組成物(I)は、前記変性ポリアセタール(1a)に加えて未変性のポリアセタール(1b)とを含んでいてもよく、変性ポリマー組成物(II)は、さらに前記ポリアセタール(1b)以外の未変性ポリマー(2b)を含んでいてもよい。
本発明の方法では、前記変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と変性ポリマー組成物(II)とを混合することにより変性樹脂組成物を製造する。
【0009】
なお、本明細書において、「変性」とはポリマーの基本的骨格を構成する成分以外の成分を用い、官能基を導入することを意味する。「ポリアセタール」とは特に言及しない限り、ポリアセタールホモポリマーまたはポリアセタールコポリマーを意味する。また、「重合性化合物の残基」とは、重合性化合物の単量体の単位に限らず、その重合体(例えば、重合により生成したダイマー、トリマー、テトラマーやポリマー成分)をも意味する。また、「非自己縮合性官能基」とは、例えば、メチロール基などのように、反応成分が介在することなしに縮合可能な官能基を意味する。さらに、特に言及する場合を除き、アクリル系単量体およびメタクリル系単量体を「(メタ)アクリル系単量体」と総称する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
変性ポリアセタール樹脂組成物(I)および変性ポリマー組成物(II)の内容は次の通りである。
【0011】
[変性ポリアセタール樹脂組成物(I)]
変性ポリアセタール樹脂組成物(I)は、少くとも変性ポリアセタール(1a)を含んでおり、この変性ポリアセタール(1a)はポリアセタール(1b)を変性することにより得ることができる。前記変性ポリアセタール樹脂組成物(I)は、変性ポリアセタール(1a)単独で構成してもよく、この変性ポリアセタール(1a)と未変性のポリアセタール(1b)とを組み合わせて構成してもよい。
【0012】
ポリアセタール( 1b )
未変性のポリアセタール(1b)はオキシメチレン基(−CH2 O−)を主たる構成単位として含む高分子化合物である。ポリアセタールには、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびポリアセタールコポリマーが含まれる。このコポリマーは、オキシメチレン基以外に、炭素数2〜6程度、好ましくは炭素数2〜4程度のオキシアルキレン単位(例えば、オキシエチレン基(−CH2 CH2 O−)、オキシプロピレン基、オキシテトラメチレン基など)を構成単位として含んでいる。炭素数2〜6程度のオキシアルキレン基の割合は、ポリアセタールの用途などに応じて適当に選択でき、例えば、ポリアセタール全体に対して、0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%程度である。
【0013】
ポリアセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどの複数の成分で構成されていてもよく、ブロックコポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタールは、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタールの末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸とのエステル化などにより安定化されていてもよい。ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。
【0014】
好ましいポリアセタールには、ポリオキシメチレン、ポリアセタールコポリマー(例えば、少なくともオキシメチレン単位とオキシエチレン単位とで構成されたコポリマー)が含まれる。熱安定性の点からは、ポリアセタールコポリマーが好ましい。
前記ポリアセタールの分子量は特に制限されず、例えば、5,000〜500,000,好ましくは10,000〜400,000程度である。
【0015】
前記ポリアセタールは、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソランなどの環状エーテルを重合することにより製造できる。
【0016】
変性ポリアセタール( 1a )
変性ポリアセタール(1a)は、前記ポリアセタール(1b)の項で述べたポリアセタール(すなわちポリアセタールホモポリマーおよびポリアセタールコポリマー)、または重合性ポリアセタールを用い、官能基を有する重合性化合物で変性することにより得ることができる。以下、「ポリアセタール」および「重合性ポリアセタール」を単に「(A)ポリアセタール成分」と総称する場合がある。
【0017】
上記重合性ポリアセタールとは、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とし、分子中に重合性官能基を有する高分子化合物である。重合性官能基には、例えば、エチレン性二重結合やアセチレン結合が含まれ、特にエチレン性不飽和結合が好ましい。
【0018】
重合性ポリアセタールには、▲1▼ホルムアルデヒド又はトリオキサンを主モノマーとし、エチレン性不飽和結合を置換基として有する環状エーテル又は環状ホルマールをコモノマーとして、カチオン活性触媒の存在下で共重合したエチレン性不飽和結合を有するポリアセタールコポリマーと、▲2▼ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを主モノマーとし、連鎖移動剤としてエチレン性不飽和結合を有する直鎖状ホルマール化合物の存在下、カチオン重合触媒によって重合又は共重合した、末端にエチレン性不飽和結合を有するポリアセタールコポリマー、▲3▼ホルムアルデヒドを主モノマーとし、更にエチレン性不飽和結合などの重合性官能基を有する連鎖移動剤の存在下、アニオン重合によって重合したエチレン性不飽和結合を有するポリアセタールが含まれる。上記▲1▼▲2▼▲3▼の重合工程では、必要に応じてコモノマーとしてエチレン性不飽和結合を有しない環状エーテル又は環状ホルマールを共存させてもよい。さらに、重合性ポリアセタールは、▲4▼重合反応の後、重合性官能基を有するカルボン酸又はその酸無水物を末端エステル化剤として用いる方法により得られるポリアセタールであってもよい。
【0019】
前記▲1▼の重合性ポリアセタールにおいて、エチレン性不飽和結合を有する環状エーテル又は環状ホルマールとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられ、前記▲2▼の方法において、連鎖移動剤としての直鎖状ホルマール化合物としては、ジビニルホルマールなどがあげられる。
また、前記▲3▼の重合性ポリアセタールにおいて、重合性官能基を有する連鎖移動剤としては、アリルアルコール、クロトニルアルコールなどのエチレン性不飽和結合を有するアルコール、プロパルギルアルコールなどのアセチレン結合を有するアルコールが含まれる。さらに、前記▲4▼の方法において、重合性官能基を有するカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニルグリコール酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和結合を有するモノ又はジカルボン酸、プロピオール酸などのアセチレン結合を有するカルボン酸などが使用できる。重合性官能基を有するカルボン酸としては、アクリル酸又はメタクリル酸などを用いる場合が多い。
【0020】
重合性ポリアセタールにおいて、エチレン性不飽和結合などの重合性官能基の含有量は、例えば、0.001〜5モル/kg、好ましくは0.01〜2モル/kg程度である。
前記重合性ポリアセタールを用いると、後述する重合性化合物の導入効率が高くなるので好ましい。
【0021】
前記変性ポリアセタール(1a)は、(A)ポリアセタール(すなわち、ポリアセタールまたは重合性ポリアセタール)に官能基を有する重合性化合物の残基を導入することにより得られる。重合性化合物の官能基の種類は特に制限されないが、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環基などが含まれる。なお、アミド基及びアミノ基の窒素原子には、置換基が結合していてもよい。重合性化合物は、1分子中に同種又は異種の官能基を有する多官能性であってもよい。これらの官能基は、前記変性ポリマー組成物(II)、補強剤や充填剤などの添加剤との親和性を高める上で有用である。これらの重合性化合物は一種又は二種以上組合せて使用できる。
【0022】
官能基を有する重合性化合物は、1分子中に少なくとも1つの重合性基を有する必要がある。複数の重合性基を有する化合物は少量添加して変性することにより、過度の架橋を抑制し溶融粘度を抑制して、ブロー成形やフィルム成形などに適した樹脂組成物を得るのに有効である。射出成形材料のように流動性を要求される場合は、架橋を抑制し、成形加工性を高めるため、重合性化合物は1分子中に1つの重合性基(例えば、エチレン性二重結合、アセチレン結合)、特にエチレン性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。また、複数の重合性基を有する化合物であっても、例えば、ジアリルアミンなどのように、分子内で環状化して線状の重合体を形成する重合性化合物も使用できる。
【0023】
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、カルコングリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、ビニル安息香酸グリシジルエステル、アリル安息香酸グリシジルエステル、ケイ皮酸グリシジルエステル、シンナミリデン酢酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、エポキシ化ステアリルアルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルなどのグリシジル又はエポキシエステル;エポキシヘキセン、リモネンオキシドなどのエポキシ化された不飽和の鎖状又は環状オレフィンなどが挙げられる。なお、グリシジルエーテル型の重合性化合物には、後述するように、式(1)で表される化合物(例えば、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミドなど)も含まれる。エポキシ基を有する好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリロイル基を有するグリシジルエーテル型又はグリシジルエステル型エポキシ化合物が含まれる。
【0024】
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸;ケイ皮酸などの芳香族不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシルなどのマレイン酸モノエステルやこれらに対応するフマル酸モノエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられる。好ましいカルボキシル基を有する化合物には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどが含まれる。
【0025】
酸無水物基を有する化合物には、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ハイミック酸などが含まれる。酸無水物基を有する好ましい化合物には、無水マレイン酸が含まれる。
【0026】
エステル基を有する化合物には、例えば、前記不飽和モノまたはジカルボン酸などのカルボキシル基を有する重合性化合物又は酸無水物基を有する重合性化合物と、炭素数1〜20程度のヒドロキシ化合物とのエステルが含まれる。前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−ドデカノール、ステアリルアルコールなどの炭素数1〜20程度(好ましくは炭素数4〜20程度)の脂肪族アルコール、シクロヘキサノールなどの脂環族アルコール、ベンジルアルコールなどのアラルキルアルコール、フェノールなどのフェノール類が挙げられる。
このような重合性化合物には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリレート;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ2−エチルヘキシルやこれらに対応するフマル酸エステルなどの不飽和ジカルボン酸エステルが含まれる。
エステル基を有する化合物には、後述するヒドロキシル基を有する重合性化合物と、有機カルボン酸とのエステルも含まれる。エステル基を有する化合物には、さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、ステアリル酸ビニルなどの炭素数2〜20程度(好ましくは炭素数6〜20程度)の有機カルボン酸のビニルエステル類も含まれる。
エステル基を有する好ましい重合性化合物には、沸点が比較的高い化合物、例えば、アルキル基の炭素数8〜20程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び有機カルボン酸部分の炭素数10〜20程度のビニルエステルが含まれる。
【0027】
ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ビニルフェノールなどが挙げられる。ヒドロキシル基を有する好ましい重合性化合物には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが含まれる。
【0028】
エーテル基を有する化合物としては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシスチレンなどが例示できる。
【0029】
また、ヒドロキシル基およびエーテル基を有する化合物には、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0030】
アミド基を有する化合物には、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、シアセトンアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドとその誘導体;ビニルスルホンアミド、ビニルスルホンアニリド、ビニルスルホンメチルアニリド、ビニルスルホンアセトアニリドなどのビニルスルホンアミド類が含まれる。アミド基を有する好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミドが含まれる。
【0031】
アミノ基を有する化合物としては、例えば、アリルアミン、ジアリルアミンなどのアリル化合物;4−ビニルアニリン、N−ビニルジフェニルアミンなどのビニル化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0032】
イミド基を有する化合物には、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビスマレイミドなどのマレイミドとその誘導体;N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルグルタルイミド、N−ビニルフタルイミドなどのN−ビニル多価カルボン酸イミドなどが含まれる。イミド基を有する好ましい重合性化合物には、マレイミドとその誘導体が含まれる。
【0033】
ニトリル基を有する化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ニトリル基を有する好ましい重合性化合物には、(メタ)アクリロニトリルが含まれる。
イソシアネート基を有する化合物としては、ビニルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、m−(2−イソシアノ−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどが挙げられる。
シクロアルキル基又はアリール基を有する化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキサン、2−ビニル−1−ノネン、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタリン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。
【0034】
複素環基を有する化合物としては、ヘテロ原子として窒素原子を有する化合物、例えば、2−ビニルキノリン、3−ビニルピペリジン、2−ビニルピラジン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルインドール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。また、前記複素環基を有する重合性化合物には、オキサゾロン基を有する化合物(例えば、2−ビニル−5−オキサゾロンなど)などの環状イミノエステル、オキサゾリン基を有する化合物(例えば、2−ビニル−2−オキサゾリンなど)などの環状イミノエーテルなども含まれる。複素環基を有する好ましい重合性化合物には、ヘテロ原子としての窒素原子にビニル基が結合した複素環化合物、環状イミノエステル基や環状イミノエーテル基などのようにヘテロ原子として窒素原子とともに酸素原子を有する複素環基を有するビニル化合物が含まれる。
【0035】
重合性化合物の好ましい官能基には、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、官能基が窒素原子に結合していてもよいアミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、前記複素環基(環状イミノエステル基、環状イミノエーテル基など)が含まれる。好ましいアミド基には、非自己縮合性官能基が窒素原子に結合したN−置換アミド基が含まれる。
【0036】
特に、▲1▼グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有するエチレン性重合性化合物、▲2▼(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するエチレン性重合性化合物、▲3▼無水マレイン酸などの酸無水物基を有するエチレン性重合性化合物、又は▲4▼アミド結合及びエポキシ基を有するエチレン性重合性化合物が好ましい。
▲1▼エポキシ基又は▲4▼アミド結合及びエポキシ基を有するエチレン性重合性化合物には、下記式(1)で表される化合物が含まれる。
【0037】
【化2】
(式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 〜R5 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基を示す。nは0又は1である)
前記ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が含まれ、アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基など炭素数1〜10程度のアルキル基が含まれる。好ましいアルキル基には炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が含まれる。
アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6程度の低級アルコキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度の低級アルコキシカルボニル基である場合が多い。 アシル基には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度の低級アシル基が含まれる。アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ基などが例示できる。
R2 〜R5 は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基である場合が多い。特にR2 〜R5 は同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基である場合が多い。
【0038】
nが0の化合物には、前記グリシジル(メタ)アクリレートが含まれる。nが1の化合物の具体例としては、例えば、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニルメチル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジエチルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジブチルベンジル]アクリルアミドなどのN−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジアルキルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,3,5,6−テトラメチルベンジル]アクリルアミドなどが例示される。
【0039】
重合性化合物は、室温、大気圧下で液状又は固体状(非ガス状)である場合が多い。これらの重合性化合物のうち、常圧における沸点70℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上の化合物を用いる場合が多く、好ましい重合性化合物の沸点は、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、前記式(1)で表される化合物(例えば、N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド)などのように、常圧で140℃以上である場合が多い。
【0040】
なお、変性効率、変性ポリアセタールおよび成形品の利用効率を高めるため、変性ポリアセタール(1a)は、充填剤や補強剤の非共存下、前記重合性化合物により変性されたポリアセタールであるのが好ましい。充填剤や補強剤の非共存下で変性された変性ポリアセタールを用いると、用途に応じて複数の熱可塑性樹脂と混合するだけで、樹脂組成物を調製でき、アロイ化や複合化の自由度が大きくなる。
【0041】
前記官能基の導入量は、熱可塑性樹脂や添加剤との親和性を向上できる範囲で選択でき、例えば、(A)ポリアセタール成分に対して重合性化合物換算で、0.1〜30重量%(例えば0.1〜20重量%程度)、好ましくは0.2〜25重量%(例えば0.2〜15重量%程度)、さらに好ましくは0.3〜20重量%(例えば0.3〜10重量%程度)であり、0.2〜10重量%程度である場合が多い。
【0042】
前記変性ポリアセタール(1a)は、(A)ポリアセタール成分と、(B)官能基を有する重合性化合物とを加熱し、前記重合性化合物の残基をポリアセタールに導入することにより製造できる。(A)ポリアセタール成分と(B)官能基を有する重合性化合物とは、(C)ラジカル発生剤(重合開始剤)の非存在下で加熱してもよいが、(C)ラジカル発生剤の存在下で加熱すると、重合性化合物の残基を効率よく導入できる。
【0043】
(C)ラジカル発生剤は、フリーラジカルを発生し、重合性化合物の重合を開始する重合開始剤としての機能を有する化合物であれば、その種類は特に制限されない。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物などの過酸化物、アゾ化合物、その他のラジカル重合開始剤が使用できる。
【0044】
過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド;ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシクメン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどの過酸化ジアルキル;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシドなどの過酸化ジアシル;メチルエチルケトンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどのアルキリデンペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸エステルなどが挙げられる。
【0045】
アゾ化合物としては、例えば、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}などのアゾアミド系化合物;1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾニトリル系化合物;2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアルキルアゾ系化合物が挙げられる。
【0046】
他のラジカル発生剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩も使用できる。
これらのラジカル発生剤は単独で使用してもよく、同種又は異種のものを組合せて使用してもよい。
【0047】
重合性化合物(B)の官能基をポリアセタール(A)に効率よく導入するため、好ましいラジカル発生剤には、半減期1分に対応する温度が130℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは160℃以上の化合物が含まれる。このようなラジカル発生剤は、アルキルヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸エステル(特にアルキルヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル)、前記アゾ化合物である場合が多い。
【0048】
(B)官能基を有する重合性化合物の割合は、所望する改質度および変性ポリアセタールの用途などに応じて選択でき、例えば、(A)ポリアセタール成分100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.3〜25重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部程度であり、1〜20重量部程度である場合が多い。(B)重合性化合物の割合が少ないと、ポリアセタールの変性度が小さく、過多であると、重合性化合物の種類によっては、ポリアセタールの機械的特性などが低下する場合がある。
【0049】
(A)ポリアセタール成分に対する(C)ラジカル発生剤の割合は、ポリアセタールの過度の低分子量化を抑制でき、かつ変性効率を損わない範囲から選択でき、例えば、(A)ポリアセタール成分100重量部に対して3.5重量部以下(例えば、0.01〜3.5重量部程度)、好ましくは0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜1.5重量部程度であり、0.05〜0.5重量部程度である場合が多い。また、(A)ポリアセタール成分と(B)重合性化合物との合計量に対する(C)ラジカル発生剤の割合は、ラジカル発生剤の加工温度における半減期、重合性化合物の量、加工温度、加工時間などに応じて選択でき、(A)ポリアセタール成分と(B)重合性化合物との合計100重量部に対して2.5重量部以下(例えば、0.01〜2.5重量部程度)、好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部程度であり、0.05〜0.5重量部程度である場合が多い。(C)ラジカル発生剤の使用量が過少であると、(B)重合性化合物による変性度が低下し易く、過多であってもさほど変性度が向上しない。また、ラジカル発生剤の使用量が多過ぎると、ラジカル発生剤の種類によってはポリセタールの分解が過度に生じる場合がある。
なお、(B)重合性化合物100重量部に対する(C)ラジカル発生剤の割合は、0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である場合が多い。
【0050】
ポリアセタールを簡便に変性する方法には、(C)ラジカル発生剤の存在下、(A)ポリアセタール成分と(B)官能基を有する重合性化合物とを、ポリアセタールの溶融状態で混合する方法、特に溶融混練する方法が含まれる。
【0051】
溶融混合や溶融混練処理には、慣用の混合機や混練機、例えば、押出機、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミルなどが利用できる。好ましい溶融混合又は混練機には、押出機、ニーダーなどの密閉式装置が含まれる。混練温度は、ポリアセタールの融点〜分解温度の範囲で選択でき、好ましくはポリアセタールの融点よりも5〜70℃(好ましくは10〜50℃程度)高い温度である。処理時間は、混合又は混練温度に応じて選択でき、例えば、20秒〜2時間、好ましくは30秒〜1時間程度であり、30秒〜30分程度である場合が多い。
溶融混合又は溶融混練処理は、(A)ポリアセタール成分、(B)重合性化合物、および必要に応じて(C)ラジカル発生剤を、個別に前記混合機や混練機に順次供したり、予め二成分(A)(B)又は三成分(A)(B)(C)の混合物を前記混合機や混練機に供することにより同時に行なってもよい。また、溶融混合又は溶融混練処理は、酸化防止剤の存在下で行なってもよい。
【0052】
なお、(B)重合性化合物の不存在下に、(A)ポリアセタール成分と(C)ラジカル発生剤とを溶融混合又は溶融混練すると、ラジカル発生剤により、ポリアセタールが著しく低分子量化する。これに対して、(B)重合性化合物の存在下、(A)ポリアセタール成分と(C)ラジカル発生剤とを溶融混合又は溶融混練すると、重合性化合物により変性できるとともに、ラジカル発生剤の量にもよるが、ポリアセタールが過度に低分子量化するのを抑制できる。そのため、(A)ポリアセタール成分と(C)ラジカル発生剤との溶融混合物に、(B)官能基を有する重合性化合物を添加し、ポリアセタールの溶融状態で混合すると、重合性化合物により変性された比較的低分子量の変性ポリアセタールを得ることができる。このような変性ポリアセタールは、相溶化剤や、樹脂、金属、接着剤、塗料などとの密着性改良剤などとして利用できる。
【0053】
ポリアセタールの分解を抑制しつつ、ラジカル発生剤を変性に有効に利用し、重合性化合物による変性効率を高めるためには、▲1▼(A)ポリアセタール成分と(B)官能基を有する重合性化合物と(C)ラジカル発生剤との三成分を、ポリアセタールの溶融状態で混合又は混練したり、▲2▼(A)ポリアセタール成分と(B)重合性化合物との共存下、(C)ラジカル発生剤を添加して、ポリアセタールの溶融状態で混合又は混練する方法、▲3▼(A)ポリアセタール成分と(B)官能基を有する重合性化合物との混合物、特に均一混合物(好ましくはコンパウンド又は溶融混合物)に、(C)ラジカル発生剤を添加し、ポリアセタールの溶融状態で混合又は混練する方法が有用である。このような方法では、高い分子量とポリアセタールの優れた特性を維持しつつ、重合性化合物の官能基を効率よく導入できる。特に前記方法▲2▼▲3▼は、第1の方法▲1▼に比べて、(A)ポリアセタール成分の低分子量化を抑制しつつ、変性効率を高めることができるという利点がある。
【0054】
このような方法は、例えば、前記押出し機などの装置に前記三成分やコンパウンドを供給したり、装置内でポリアセタールと重合性化合物とを溶融混合した後、ラジカル発生剤を装置内に添加又は注入し、混合又は混練することにより行なうことができる。また、前記コンパウンドとラジカル発生剤との混合物を前記装置に供給し、混合又は混練してもよい。前記コンパウンドは、粉粒状又はペレット状で使用する場合が多い。
【0055】
さらに、重合性化合物による変性度およびラジカル発生剤の利用効率を高めるため、前記の溶融混合又は溶融混練は、補強性充填剤などの充填剤の非存在下で行なうのが好ましい。すなわち、充填剤の存在下で溶融混合又は溶融混練すると、ポリアセタールに対する重合性化合物の変性効率と溶融粘度とを制御するのが困難である場合が多い。これに対して、充填剤及び補強剤の非存在下で変性すると、ラジカル発生剤及び重合性化合物をポリアセタールの変性に有効に利用できるとともに、比較的多量に使用される充填剤及び補強剤により改質されていないので、変性ポリアセタールと種々の熱可塑性樹脂とを組み合わせることにより、幅広い組成物を得ることができる。
【0056】
なお、必要に応じて、添加剤、例えば、酸化防止剤などの安定化剤を含む樹脂組成物を上記の溶融混合又は溶融混練操作に供してもよい。その際、重合性化合物によるポリアセタールの変性効率、およびラジカル発生剤の利用効率を高めるため、添加剤の添加量は少ない方が好ましく、例えば、ポリアセタールと重合性化合物との合計量100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは0.001〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部程度である。
【0057】
前記添加剤のうち酸化防止剤の添加は、変性ポリアセタールの安定性を高める上で有用である。前記酸化防止剤には、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、その他の化合物が含まれる。ヒンタードフェノール類には、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(4′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル−4−メチルフェニルアクリレート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどが含まれる。
【0058】
ヒンダードアミン類には、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキザレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0059】
その他の酸化防止剤には、例えば、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのイオウ系酸化防止剤;トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジアミルヒドロキノンなどののヒドロキノン系酸化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系酸化防止剤;メルカプトベンゾイミダゾールなどが含まれる。
これらの酸化防止剤は一種又は二種以上併用することができる。
好ましい酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類(フェノール系酸化防止剤)、ヒンダードアミン類(アミン系酸化防止剤)が含まれる。
【0060】
酸化防止剤の共存下でポリアセタールを変性する場合、酸化防止剤は(A)ポリアセタール成分又は変性過程で添加してもよい。酸化防止剤の使用量は、(A)ポリアセタール成分100重量部に対して、0.001〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部程度である。
前記ポリアセタール(1a)及び/又は変性ポリアセタール(1b)は、必要に応じてペレット化して、下記の変性ポリマー組成物(II)と組み合わせて使用できる。
【0061】
変性ポリアセタール樹脂組成物(I)において、変性ポリアセタール(1a)と未変性ポリアセタール(1b)との割合は、変性ポリマー(2a)と未変性ポリマー(2b)の種類、変性ポリアセタール(1a)の分子量、所望する特性や用途などに応じて選択でき、例えば、前者(1a)/後者(1b)=100/0〜1/99(重量%)、好ましくは95/5〜5/95(重量%)、さらに好ましくは90/10〜10/90(重量%)程度であり、20/80〜80/20(重量%)程度である場合が多い。
【0062】
[変性ポリマー組成物( II )]
変性ポリマー組成物(II)は、前記変性ポリアセタール(1a)以外の変性ポリマー(2a)を少くとも含んでおり、前記変性ポリマー(2a)は、前記ポリアセタール(1b)以外の未変性ポリマー(2b)を変性することにより得ることができる。また、変性ポリマー組成物(II)は、前記変性ポリマー(2a)単独で構成してもよく、変性ポリマー(2a)と未変性ポリマー(2b)とを組み合わせることにより構成してもよい。さらに、変性ポリマー(2a)と未変性ポリマー(2b)とを組み合わせる場合、複数の変性ポリマー(2a)と1又は2以上の未変性ポリマー(2b)とを組み合わせて使用できる。
なお、変性ポリマー(2a)に対応する未変性ポリマー(2b)とは、変性ポリマー(2a)と同一または類似の化学構造の主鎖を主成分とするポリマー(2b)のみならず、変性ポリマー(2a)の主鎖の構造が異なる場合でも、前記変性ポリマー(2a)に対する親和性の高い未変性ポリマー(2b)をも意味する。
【0063】
未変性ポリマー (2b) および変性ポリマー( 2a )
未変性ポリマー(2b)の種類は、特に制限されず、例えば、オレフィン系ポリマー、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニル系ポリマー、ポリエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、その他の熱可塑性樹脂が含まれる。
【0064】
一方、変性ポリマー(2a)には、上記未変性ポリマー(2b)に対して種々の官能基、例えば、前記変性ポリアセタール(1a)に導入される官能基のうち、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環基などが導入された熱可塑性樹脂が含まれる。未変性ポリマー(2b)への官能基の導入には、前記と同様の官能基を有する重合性化合物や反応方式に応じた官能基を有する化合物が使用できる。変性ポリマー(2b)における好ましい官能基は、前記変性ポリアセタール(1a)と同様の官能基、特にエポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基が含まれる。
以下に、未変性ポリマー(2b)と、この未変性ポリマーに対応する変性ポリマー(2a)とを関連付けて説明する。
【0065】
オレフィン系ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独重合体又は共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、前記α−オレフィンを主成分とし、さらに少なくとも一種のコモノマー成分とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが含まれる。上記コモノマー成分には、例えば、例えば、非共役ジエン(1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなど)、共役ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなど)などが含まれる。前記オレフィン系ポリマーの重合度、側鎖や分岐の有無、分岐度、共重合組成割合などは特に限定されない。
【0066】
より具体的には、オレフィン系ポリマーには、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、メチルペンテン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体など)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などが含まれる。好ましいオレフィン系ポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体が含まれる。
【0067】
変性オレフィン系ポリマーには、前記α−オレフィンと、必要に応じて前記ジエン成分と、官能基を有するコモノマー成分、例えば、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、これらの無水物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど)、酸無水物基を有する重合性化合物(例えば、無水マレイン酸など)、グリシジル基を有する重合性化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルなど)、ビニルエーテル(例えば、ビニルメチルエーテルなど)、これらのビニル系化合物の誘導体などとの共重合体が含まれる。
【0068】
より具体的には、変性オレフィン系ポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン−ビニルエステル共重合体、カルボキシル変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなど)、酸無水物変性ポリオレフィン(例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなど)、グリシジル変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体など)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体など)などが挙げられる。
【0069】
ジエン系ポリマーには、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエンを主体とする単独又は共重合体、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0070】
変性ジエン系ポリマーとしては、例えば、酸無水物変性ポリブタジエン(無水マレイン酸変性ポリブタジエンなど)、カルボキシル変性ポリブタジエン(例えば、(メタ)アクリル酸変性ポリブタジエンなど)などが挙げられる。
【0071】
スチレン系ポリマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物の単独重合又は共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体)、上記芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリロニトリルとを、ジエンモノマー(ブタジエンなど)、オレフィン(エチレン、プロピレンなど)やエラストマー(ブタジエンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのゴム成分)などと重合した共重合体又はその水素添加物が挙げられる。これらの共重合体において、ランダム、ブロック、グラフトなどの共重合の形態、重合度、側鎖や分岐の有無とその程度、共重合組成割合などは特に制限されない。
【0072】
具体的には、スチレン系ポリマーには、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水素添加物、スチレン−アクリロニトリル−エチレン共重合体、スチレン系ブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体など)などが含まれる。好ましいスチレン系ポリマーとしては、アクリロニトリル−スチレン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン系ブロックコポリマーが挙げられる。
【0073】
変性スチレン系ポリマーには、前記芳香族ビニル化合物と、アクリル系モノマー及び/又は無水マレイン酸又はその誘導体との共重合体が挙げられる。アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、無水マレイン酸又はその誘導体としては、例えは、無水マレイン酸、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。共重合体は、ランダム、ブロック、グラフトなどの共重合の形態、重合度、側鎖や分岐の有無とその程度、共重合組成割合などは特に制限されない。
変性スチレン系ポリマーには、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などが含まれる。好ましい変性スチレン系ポリマーには、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などが含まれる。
【0074】
アクリル系ポリマーには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単独又は共重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アクリルゴムなどが含まれる。これらのアクリル系ポリマーのうち、ポリメタクリル酸メチルや、アクリルゴムなどを用いる場合が多い。
変性アクリル系ポリマーには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単独又は共重合体に、アクリル酸又はメタクリル酸の単位が導入されたポリマー、例えば、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸アルキルエステル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、メタクリル酸メチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体などが含まれる。
【0075】
ビニル系ポリマーとしては、前記ポリ塩化ビニル以外に、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
変性ビニル系ポリマーには、上記ビニル系ポリマーに、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸などが導入された共重合体、例えば、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などが含まれる。
【0076】
ポリエーテルとは、主鎖にエーテル結合を有する高分子であり、環状エーテルの開環重合、グリコールの自己縮合、ジオール化合物の酸化重合などにより得られる。ポリエーテルには、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリフェニレンエーテルなどが含まれる。
変性ポリエーテルとしては、例えば、これらのポリエーテルに、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有する重合性化合物を添加し、さらに必要に応じてラジカル開始剤を添加して加熱処理することにより生成するポリマーが例示される。
さらに、未変性ポリマーには、エンジニアリングプラスチック、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどが含まれる。
その他の変性ポリマーとしては、例えば、セルロースアセテートなどのセルロースエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロースエーテルなどが挙げられる。
【0077】
これらの熱可塑性樹脂のうち、好ましい未変性ポリマー(2b)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン系エラストマーなどのオレフィン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、アクリルゴムなどのアクリル系ポリマー;ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン系ブロックコポリマーなどのスチレン系ポリマー;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンエーテル;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルイミド;ポリアミドイミドなどが挙げられる。
【0078】
また、好ましい変性ポリマー(2a)としては、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基などにより変性されたポリマー、例えば、酸変性ポリオレフィン(例えば、(メタ)アクリル酸変性ポリエチレン、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなど)、グリシジル変性ポリオレフィン(例えば、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体など)などの変性ポリオレフィン、酸変性ポリスチレン(例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体など)、酸変性アクリルニトリル−スチレン共重合体(例えば、アクリルニトリル−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)、酸変性ABS樹脂(例えば、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)、グリシジル変性ポリスチレン(例えば、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体など)、酸変性アクリル系ポリマー(例えば、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など)、グリシジル変性アクリル系ポリマー(例えば、メタクリル酸メチル−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体など)などが挙げられる。
【0079】
変性ポリマー樹脂組成物(II)において、変性ポリマー(2a)と未変性ポリマー(2b)との割合は、変性ポリマーの種類、用途に応じて選択でき、例えば、前者(2a)/後者(2b)=100/0〜1/99(重量%)、好ましくは95/5〜5/95(重量%)、さらに好ましくは90/10〜10/90(重量%)程度であり、20/80〜80/20(重量%)程度である場合が多い。
【0080】
変性ポリアセタール(1a)と、変性ポリマー(2a)とを組み合わせると、ポリアセタール(1b)に対して非相溶の広範囲の未変性ポリマー(2b)であってもポリアセタール(1b)と有効にアロイ化できる。そのため、本発明では、ポリアセタールに対して非相溶または非混和性の未変性ポリマー(2b)を用いても、ポリアセタール(1b)と未変性ポリマー(2b)の特性が有効に発現し、高い機械的特性、特にウェルド強度及びウェルド伸度の高い複合樹脂組成物や、耐衝撃性の高い複合樹脂組成物を得ることができる。
【0081】
前記変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と変性ポリマー組成物(II)との割合は、各成分の種類および所望する特性に応じて広い範囲から選択でき、例えば、変性ポリアセタール樹脂組成物(I)/変性ポリマー組成物(II)=1/99〜99/1(重量比)、好ましくは5/95〜95/5(重量比)、さらに好ましくは10/90〜90/10(重量比)程度である。
【0082】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の方法、例えば、変性ポリアセタール(1a)、未変性ポリアセタール(1b)、変性ポリマー(2a)及び未変性ポリマー(2b)を粉粒状で混合することにより製造してもよいが、溶融状態又は溶液状態で混合することにより樹脂組成物を製造する場合が多い。溶融状態で混合する場合、慣用の混合機や混練機、例えば、押出し機、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミキサーなどが利用できる。好ましい溶融混合又は混練機には、押出し機、ニーダーなどの密閉式装置が含まれる。
【0083】
混合温度は、変性ポリアセタール(1a)、未変性ポリアセタール(1b)、変性ポリマー(2a)及び未変性ポリマー(2b)のそれぞれの溶融可能な温度の下限(例えば、融点)から分解温度までの温度範囲のうち、重複する温度範囲、例えば、100〜240℃、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは160〜220℃程度の範囲から適当に選択できる。
【0084】
また、変性ポリアセタール(1a)を、前記のように溶融混合により製造する場合、ポリアセタールと重合性化合物との溶融混合系に、未変性ポリアセタール(1b),変性ポリマー(2a)や未変性ポリマー(2b)を共存させることにより、本発明の組成物を得ることも可能である。
【0085】
溶液状態で混合する場合には、変性ポリアセタール(1a)、未変性ポリアセタール(1b)、変性ポリマー(2a)及び未変性ポリマー(2b)を、共通溶媒に溶解又は分散して混合した後、例えば、加熱や減圧などの手段により溶媒を除去する方法、前記溶液や分散液を双方の樹脂に対する貧溶媒に注入して析出させる方法などにより、組成物を得ることができる。溶液状態で混合する方法は、前記成分(1a)(1b)(2a)および(2b)において溶融可能な温度が重複しない場合や溶融可能な温度が大きく異なる場合などに有効である。
【0086】
また、変性ポリアセタールや変性ポリマーは、前記重合性化合物の官能基の種類やその量に応じて、補強剤や充填剤に対しても高い親和性、相溶性や濡れ性を示す。そのため、本発明において、さらに補強剤や充填剤などを含む樹脂組成物も好ましい。補強剤には、例えば、有機繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維など)、無機繊維(ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、金属繊維など)や、ホイスカー(例えば、アルミナ、酸化ベリリウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのホイスカー)などが挙げられる。これらの補強剤は一種又は二種以上使用できる。
【0087】
充填剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、カオリン、クレイ、ガラス、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、二硫化モリブデン、カーボン、黒鉛、金属粉などが例示される。これらの充填剤も一種又は二種以上使用できる。
【0088】
補強剤と充填剤との使用量は、補強剤や充填剤の種類に応じて、それぞれ成形性などの特性を損なわない範囲で選択でき、例えば、熱可塑性樹脂と変性ポリアセタールとからなる樹脂組成物100重量部に対して、補強剤及び/又は充填剤1〜500重量部、好ましくは5〜250重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度の範囲から選択できる。
【0089】
さらに、樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定化剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。なお、酸化防止剤は、変性ポリアセタールに添加してもよい。
【0090】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工により種々の成形品を得る上で有用である。成形品は、慣用の方法、例えば、射出成形、押し出し成形等により得ることができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の変性樹脂組成物は、変性ポリアセタールにより、ポリアセタールと広範囲の変性ポリマーとを有効にアロイ化でき、ポリアセタールと変性または未変性ポリマーとの特性を有効に発現できる。また、変性ポリアセタール及び変性ポリマーにより、ポリアセタールに対して非相溶の未変性ポリマーであってもポリアセタールと複合化でき、高いウェルド強度・伸度を有する樹脂組成物を得ることができる。
本発明の方法では、前記の成分を混合するという簡単な操作で、前記の如き高い特性を有する樹脂組成物を効率よく得ることができる。さらに、補強剤や充填剤の非存在下で変性した変性ポリアセタールを用いることにより、ポリアセタールを含む種々の樹脂組成物の調製に効率よく対応でき、用途に対する自由度を広げることができる。
【0092】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
[変性ポリアセタールの調製]
調製例1(変性ポリアセタール1の調製)
(A)ポリアセタール[ポリプラスチックス(株)製、商品名ジュラコンM25、ポリアセタールコポリマー、メルトフローレート2.5g/10分(190℃,2.16kg)]95重量部および(B)重合性化合物[N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド(鐘淵化学工業(株)製、商品名 AXE)]5重量部(ポリアセタール100重量部に対して5.3重量部)をドライブレンドした後、二軸押出機にて190℃の温度で約2分間溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットと(C)ラジカル発生剤[α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製、商品名パーブチルP)]0.1重量部(ポリアセタール100重量部に対して0.11重量部)とをドライブレンドした後、再び二軸押出機にて190℃の温度で約2分間溶融混練し、変性ポリアセタールのペレットを得た。
【0093】
重合性化合物による変性量は、1.9重量%であった。なお、変性量は次のようにして測定した。ポリアセタールに結合しなかった(B)重合性化合物を除去するため、変性ポリアセタールを再沈法により精製し、プロトンNMRにより、ポリアセタールへ導入された(B)重合性化合物を定量し、重合性化合物による変性量を、ポリアセタール成分に対する割合として、重量%で表示した。なお、再沈は、変性ポリアセタール150mgとヘキサフルオロイソプロパノール4mlとの溶液を、再沈用溶媒(アセトン)中に滴下し、析出したポリマーを濾過により回収した。この操作を3回以上繰り返すことにより、変性ポリアセタールを精製した。
【0094】
調製例2(変性ポリアセタール2の調製)
(A)ポリアセタール90重量部および(B)重合性化合物[N−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンジル]アクリルアミド10重量部(ポリアセタール100重量部に対して11重量部)を用いる以外、調製例1と同様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、3.3重量%であった。
【0095】
調製例3(変性ポリアセタール3の調製)
前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に対して重合性化合物[グリシジルメタクリレート(東京化成工業(株)]5.3重量部を用いる以外、調製例1と同様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、1.5重量%であった。なお、再沈による精製に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0096】
調製例4(変性ポリアセタール4の調製)
前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に対して重合性化合物[2−ビニル−2−オキサゾリン(特開昭63−10773号公報に記載の方法に従って合成した)]5.3重量部を用いる以外、調製例1と同様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、1.3重量%であった。なお、再沈による精製に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0097】
調製例5(変性ポリアセタール5の調製)
前記調製例1において、ポリアセタール100重量部に対して重合性化合物[無水マレイン酸(東京化成工業(株)]5.3重量部を用いる以外、調製例1と同様にして変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、2.0重量%であった。なお、再沈による精製に際して、再沈用溶媒としてクロロホルムを用いた。
【0098】
調製例6(変性ポリアセタール6の調製)
3.3重量%の1,3−ジオキソラン、0.8重量%のアリルグリシジルエーテルおよび100ppmのメチラールを含有するトリオキサンに、三フッ化ホウ素をトリオキサンに対して60ppm添加してカチオン重合し、重合性ポリアセタールを調製した。
前記調製例1において、ポリアセタールに代えて、上記重合性ポリアセタールを用いる以外、調製例1と同様にして、変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、3.1重量%であった。
【0099】
調製例7(変性ポリアセタール7の調製)
3.3重量%の1,3−ジオキソランおよび400ppmのジビニルホルマールを含有するトリオキサンに、三フッ化ホウ素をトリオキサンに対して60ppm添加してカチオン重合し、重合性ポリアセタールを調製した。
前記調製例1において、ポリアセタールに代えて、上記重合性ポリアセタールを用いる以外、調製例1と同様にして、変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、2.5重量%であった。
【0100】
調製例8(変性ポリアセタール8の調製)
連鎖移動剤としてのアリルアルコール150ppm、アニオン重合触媒としてのジブチル錫ジメトキシド5.5×10−4モル/Lを含むシクロヘキサン500重量部に、純度99.9%のホルムアルデヒドガスを100重量部/hrの速度で供給した。また、上記ホルムアルデヒドの供給とともに、上記連鎖移動剤およびアニオン重合触媒を上記と同じ濃度で含むシクロヘキサンも、500重量部/hrの速度で供給した。そして、温度55℃で3時間重合し、重合体をシクロヘキサンから分離し、洗浄、乾燥した後、アセチル化することにより、重合性ポリアセタールを調製した。
前記調製例1において、ポリアセタールに代えて、上記重合性ポリアセタールを用いる以外、調製例1と同様にして、変性ポリアセタールを得た。重合性化合物による変性量は、2.4重量%であった。
【0101】
実施例1〜11および比較例1〜3
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1〜4と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)酸無水物変性オレフィンエラストマー(三井石油化学工業(株),N−タフマーMP0620)と、(2b)オレフィンエラストマー(三井石油化学工業(株),タフマーP0680)とを表1及び表2に示す割合でドライブレンドした後、二軸押出し機にて190℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを射出成形機により成形し、ゲートを両端に有するウェルド試験片(厚み2mm)を作製した。ASTM D638に準じて、得られた試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定したところ、表1および表2に示す結果を得た。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
表1及び表2より、比較例の樹脂組成物に比べて、変性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物を用いると、ウェルド強度および伸度を大きく改善できる。
【0104】
実施例12〜34および比較例4〜8
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1〜8と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)酸無水物変性低密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学工業(株),NタフマーTX−436)又は(2a)エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株),ボンドファースト2C)と、低密度ポリエチレン樹脂(日本石油化学工業(株),レクスロンW3300)とを表3〜6に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして調製した試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定したところ、表3〜表6に示す結果を得た。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
表3〜表6より、比較例の樹脂組成物に比べて、変性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度および伸度が大きい。
【0109】
実施例35〜52および比較例9〜13
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1〜4と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)酸無水物変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成(株),ユーメツクス1001)と、(2b)ポリプロピレン樹脂(住友化学工業(株),ノーブレンD501)とを表7〜表9に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして試験片を調製し、試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定したところ、表7〜9に示す結果を得た。
【0110】
【表7】
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
表7〜表9より、比較例の樹脂組成物に比べて、変性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度および伸度が大きい。
【0113】
実施例53〜70および比較例14〜18
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1〜4と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)スチレン−無水マイン酸共重合体(アーコ・ケミカル社製,ダイラーク250)と、(2b)高衝撃ポリスチレン樹脂(ダイセル化学工業(株),ダイセルスチロールHITS R80)とを表10〜表12に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして試験片を調製し、試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定したところ、表10〜12に示す結果を得た。
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
【表12】
表10〜表12より、比較例の樹脂組成物に比べて、変性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度および伸度が大きい。
【0117】
実施例71〜79および比較例19〜22
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1〜4と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)変性アクリル樹脂(メタクリル酸メチルとメタクリル酸とを重量比95/5の割合でラジカル重合したメタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体,数平均分子量3×104 )と、(2b)アクリル樹脂(住友化学工業(株),スミベックスLG6)とを表13および表14に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして試験片を調製し、試験片のウェルド強度およびウェルド伸度を測定したところ、表13および表14に示す結果を得た。
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
表13〜表14より、比較例の樹脂組成物に比べて、変性ポリアセタールを含む実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度および伸度が大きい。なお、比較例20の樹脂組成物は成形不能であり、試験片の特性を測定できなかった。
【0120】
実施例80〜81および比較例23
上記調製例で得られた得られた(1a)変性ポリアセタール1と、(1b)ポリアセタール(ポリプラスチックス(株)製,ジュラコンM90)と、(2a)酸変性スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(酸変性ABS樹脂)(ダイセル化学工業(株)製,ABS DPT651)と、(2b)スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)(ダイセル化学工業(株)製,ABS DPT611)とを表15に示す割合で用いる以外、前記実施例と同様にして試験片を調製した。得られた試験片のウェルド強度、ウェルド伸度、曲げ強度および曲げ弾性率を測定したところ、表15に示す結果を得た。
【0121】
【表15】
表15より、比較例の樹脂組成物に比べて、実施例の樹脂組成物は、ウェルド強度、ウェルド伸度、曲げ強度および曲げ弾性率が大きい。
Claims (15)
- 変性ポリアセタール(1a)を含む変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と、変性ポリアセタール以外の変性ポリマー(2a)を含む変性ポリマー組成物(II)とで構成されている変性樹脂組成物であって、前記変性ポリアセタール( 1a )が、官能基を有する重合性化合物の残基が導入されている変性ポリアセタールであり、前記重合性化合物が1分子中に1つのエチレン性不飽和結合を有する変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール樹脂組成物(I)が、変性ポリアセタール(1a)1〜100重量%とポリアセタール(1b)0〜99重量%とで構成され、変性ポリマー組成物(II)が、変性ポリマー(2a)1〜100重量%と、ポリアセタール以外の未変性ポリマー(2b)0〜99重量%とで構成されている請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 未変性ポリマー(2b)が、変性ポリマー(2a)に対応する未変性ポリマーである請求項2記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と変性ポリマー組成物(II)との割合が、前者(I)/後者(II)=1/99〜99/1(重量比)である請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)が、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、シクロアルキル基、アリール基、およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基を有する重合性化合物の残基が、ポリアセタール成分に導入されている変性ポリアセタールである請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)が、ポリアセタール成分に対して、重合性化合物の残基0.1〜30重量%が導入されている変性ポリアセタールである請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)が、ポリアセタール成分に対して、重合性化合物の残基0.2〜25重量%が導入されている変性ポリアセタールである請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 官能基を有する重合性化合物が、1分子中に1つのエチレン性二重結合と、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、非縮合性官能基が窒素原子に結合したN−置換アミド基、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、イミド基、環状イミノエステル基および環状イミノエーテル基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基とを有し、かつ常圧における沸点が70℃以上の化合物である請求項5記載の変性樹脂組成物。
- 官能基を有する重合性化合物が、(i)エポキシ基、(ii)カルボキシル基、(iii)酸無水物基、又は(iv)アミド結合及びエポキシ基を有するエチレン性重合性化合物である請求項5記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)が、分子中に1つのエチレン性不飽和結合を有し、かつ沸点120℃以上の重合性化合物の残基が、ポリアセタール成分に対して0.3〜20重量%導入されている変性ポリアセタールである請求項5記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリマー(2a)が、オレフィン系ポリマー、ジエン系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリエーテル、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、およびポリアミドイミドからなる群から選択され、かつエポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、エステル基、ヒドロキシル基、エーテル基、アミド基、アミノ基、イミド基、イソシアネート基およびヘテロ原子として窒素原子を有する複素環基からなる群から選択された少なくとも一種の官能基が導入された熱可塑性樹脂である請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 未変性ポリマー(2b)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、オレフィン系エラストマー、ポリメタクリル酸メチル、アクリルゴム、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、およびポリアミドイミドからなる群から選択された未変性熱可塑性樹脂である請求項2記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)5〜95重量%およびポリアセタール(1b)95〜5重量%を含む変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と、変性ポリアセタール以外の変性ポリマー(2a)5〜95重量%およびポリアセタール以外の未変性ポリマー(2b)95〜5重量%を含む変性ポリマー組成物(II)とで構成され、前記変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と変性ポリマー組成物(II)との割合が、前者(I)/後者(II)=5/95〜95/5(重量比)である請求項1記載の変性樹脂組成物。
- 変性ポリアセタール(1a)を含む変性ポリアセタール樹脂組成物(I)と、変性ポリアセタール以外の変性ポリマー(2a)を含む変性ポリマー組成物(II)とを混合する変性樹脂組成物の製造方法であって、前記変性ポリアセタール( 1a )が、官能基を有する重合性化合物の残基が導入されている変性ポリアセタールであり、前記重合性化合物が1分子中に1つのエチレン性不飽和結合を有する変性樹脂組成物の製造方法。
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