JPH0941586A - 防水シート接合固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易且つ安価な施工で十分な防水性が確保さ
れる防水シート接合固定構造を提供する。 【解決手段】 防水性を有する柔軟なシート材１が下地
基材２上に並設され、このシート材１の端縁部分の裏面
同士が対向重合されてこの端縁重合部３が片側のシート
材１上へ傾倒され、同端縁重合部３の上から下地基材２
へと固着具４が差し込まれて同片側のシート材１と共に
端縁重合部３が挟着固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物の屋根やバル
コニー等に敷設される防水シート接合固定構造に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図９、図10、図11に示す如
く、防水シート（イ）を下地基材（ロ）上に並設し、該
防水シート（イ）の端縁部分同士を重合させて該重合部
分の上から下地基材（ロ）へと固着具（ハ）を差し込ん
で両防水シート（イ）の端縁部分を接合して下地基材
（ロ）に固定してなる防水シート接合固定構造は知られ
ている。この場合、下地基材（ロ）が屋根下地で防水シ
ート（イ）は屋根下地シートであり、該防水シート
（イ）上には屋根瓦が葺設される。又、固着具（ハ）は
タッカーで、下地基材（ロ）に打ち込まれるものであ
る。

【０００３】又、図９、図10、図11、いずれの場合にお
いても、雨水が防水シート（イ）の端縁部分同士の重合
部分の隙間から裏側の下地基材（ロ）へと侵入しないよ
うに工夫がなされている。すなわち、図９に示す場合
は、防水シート（イ）の端縁部分同士を巾広く重合させ
ており、図10に示す場合は、重合部分における防水シー
ト（イ）の端縁部分間を接着剤（ニ）を介して接着結合
しており、図11に示す場合は、防水シート（イ）の端縁
部分同士の重合部分上に防水テープ（ホ）を貼着してい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては、いずれの場合にも問題がある。す
なわち、図９に示す場合は、防水シート（イ）の端縁部
分同士を巾広く重合させるため、防水シート（イ）を大
きく使用することになってその材料費がかさみ不経済で
あると共に、同防水シート（イ）による屋根上の重量が
大きくなるという問題があり、しかも、重合部分の隙間
から雨水が少しづつ侵入して防水性が十分には確保され
ない。又、図10に示す場合は、接着剤（ニ）が劣化する
と重合部分の隙間から雨水が侵入し易くなり、長期の防
水性が確保されない。又、図11に示す場合は、施工時に
防水テープ（ホ）を貼着するという手間を要し、部品点
数も多くなって施工が煩雑になり易いという問題があっ
た。

【０００５】本発明は、上記従来の技術における問題を
悉く解決するために発明されたもので、すなわち、その
課題は、容易且つ安価な施工で十分な防水性が確保され
る防水シート接合固定構造を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
防水シート接合固定構造は、防水性を有する柔軟なシー
ト材を下地基材上に並設し、該シート材の端縁部分の裏
面同士を対向重合させて該端縁重合部を片側のシート材
上へ傾倒せしめ、同端縁重合部の上から下地基材へと固
着具を差し込んで同片側のシート材と共に端縁重合部を
挟着固定してなる。したがって、端縁重合部が傾倒され
た側のシート材上を該端縁重合部に向かって流れてきた
雨水は同傾倒された端縁重合部によって水返しされ、
又、反対側のシート材上を同端縁重合部に向かって流れ
てきた雨水は該端縁重合部上をスムーズに乗り越えるた
め、雨水が端縁重合部の裏側へ回り難く、しかも、端縁
重合部が傾倒された側のシート材と共に二重の同端縁重
合部が挟着固定されて該端縁重合部は密着封止され、十
分な防水性が確保される。又、シート材の端縁部分を重
合させてその上から固着具を差し込むという簡単な施工
で、防水テープのような別部品も必要とせず安価に仕上
がる。

【０００７】本発明の請求項２記載の防水シート接合固
定構造は、上記請求項１記載の防水シート接合固定構造
において、端縁重合部を構成する一方のシート材の端縁
部分を延設して該延設部を同他方のシート材の端縁部分
を覆うように折り返し、同延設部が下側となるように端
縁重合部を傾倒させたことを特徴とする。したがって、
この場合は、特に、端縁重合部の先端の隙間が延設部に
よって閉塞され、しかも、該延設部が端縁重合部とその
下側のシート材との間に挟着されるため、より確実な防
水性が得られる。

【０００８】本発明の請求項３記載の防水シート接合固
定構造は、上記請求項２記載の防水シート接合固定構造
において、他方のシート材の端縁部分を覆うように折り
返される延設部と同端縁部分との間を接着剤を介して接
着結合したことを特徴とする。したがって、この場合
は、特に、延設部と端縁重合部との間が接着結合される
ため、更に十分な防水性が得られると共に固定強度も確
保される。

【０００９】本発明の請求項４記載の防水シート接合固
定構造は、上記請求項１記載の防水シート接合固定構造
において、端縁重合部を構成する両シート材の端縁部分
を延設して延設端縁重合部を形成し、該延設端縁重合部
を折り返して同延設端縁重合部が下側となるように端縁
重合部を傾倒させたことを特徴とする。したがって、こ
の場合は、特に、延設端縁重合部が折り返されて端縁重
合部の先端の隙間が閉塞され、しかも、二重の同延設端
縁重合部が端縁重合部とその下側のシート材との間に挟
着されるため、より確実な防水性が得られる。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１、図２は、本発明の請求項１
に対応する一実施形態を示し、該実施形態の防水シート
接合固定構造は、防水性を有する柔軟なシート材１を下
地基材２上に並設し、該シート材１の端縁部分の裏面同
士を対向重合させて該端縁重合部３を片側のシート材１
上へ傾倒せしめ、同端縁重合部３の上から下地基材２へ
と固着具４を差し込んで同片側のシート材１と共に端縁
重合部３を挟着固定してなるものである。

【００１１】この場合、下地基材２が屋根下地でシート
材１は屋根下地シートであり、該シート材１上には屋根
瓦が葺設される。下地基材２は木製の野地板で、該下地
基材２上に複数枚のシート材１が軒棟方向と直交する方
向に順次並設され、該シート材１の端縁部分同士が接合
される。同シート材１は、軟質ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン等の合成樹脂或いは合成ゴム等の可撓性を有す
る材料にて形成されている。又、固着具４は二股状のタ
ッカーで下地基材２に打ち込まれるものであるが、その
他、打ち込み釘、スクリュー釘、或いは、ねじ込まれる
ネジ釘等を固着具４として使用しても良い。

【００１２】又、該実施形態の防水シート接合固定構造
は、図２の（ａ）（ｂ）（ｃ）の順で施工され接合固定
される。すなわち、まず（ａ）の如く、両シート材１の
端縁部分を各々立ち上げてその裏面同士を対向重合さ
せ、端縁重合部３を立設する。該端縁重合部３はその長
手方向が軒棟方向となる。次に（ｂ）の如く、同端縁重
合部３を片側のシート材１上へ傾倒させる。最後に
（ｃ）の如く、傾倒した同端縁重合部３の上から下地基
材２へと固着具４を打ち込んで同片側のシート材１と共
に端縁重合部３を挟着固定する。

【００１３】したがって、該実施形態の防水シート接合
固定構造においては、端縁重合部３が傾倒された側のシ
ート材１上を該端縁重合部３に向かって流れてきた雨水
は同傾倒された端縁重合部３によって水返しされ、又、
反対側のシート材１上を同端縁重合部３に向かって流れ
てきた雨水は該端縁重合部３上をスムーズに乗り越える
ため、雨水が端縁重合部３の裏側へ回り難い。しかも、
端縁重合部３が傾倒された側のシート材１と共に二重の
同端縁重合部３が挟着固定され三重構造となって該端縁
重合部３は密着封止される。それ故に、十分な防水性が
確保され、端縁重合部３の固着具４が打ち込まれた部分
からの雨水の侵入も防止される。又、シート材１の端縁
部分を重合させてその上から固着具４を打ち込むという
簡単な施工で、防水テープのような別部品も必要とせず
安価に仕上がる。

【００１４】図３、図４は、本発明の請求項１、２に対
応する別の実施形態を示し、該実施形態の防水シート接
合固定構造は、前記実施形態において、端縁重合部３を
構成する一方のシート材１の端縁部分を延設して該延設
部５を同他方のシート材１の端縁部分を覆うように折り
返し、同延設部５が下側となるように端縁重合部３を傾
倒させたことを特徴とする。それ以外は前記実施形態と
同様に構成され、図４の（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）の順
で施工され接合固定される。

【００１５】したがって、該実施形態の防水シート接合
固定構造においては、特に、端縁重合部３の先端の隙間
が延設部５によって閉塞され、しかも、該延設部５が二
重の端縁重合部３とその下側のシート材１との間に挟着
されて四重構造となるため、より確実な防水性が得られ
る。

【００１６】図５、図６は、本発明の請求項１、２、３
に対応する別の実施形態を示し、該実施形態の防水シー
ト接合固定構造は、前記実施形態において、他方のシー
ト材１の端縁部分を覆うように折り返される延設部５と
同端縁部分との間を接着剤６を介して接着結合したこと
を特徴とする。それ以外は前記実施形態と同様に構成さ
れ、図６の（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）の順で施工され接
合固定される。この場合、（ａ）において、他方のシー
ト材１の表面及び延設部５の裏面にわたって接着剤６が
塗布されているが、他方のシート材１の表面或いは延設
部５の裏面のいずれか一方にのみ接着剤６を塗布しても
良く、いずれの塗布作業も傾倒した端縁重合部３の上方
から容易に行うことができる。

【００１７】したがって、該実施形態の防水シート接合
固定構造においては、特に、延設部５と端縁重合部３と
の間が接着結合されるため、更に十分な防水性が得られ
ると共に固定強度も確保される。又、該実施形態の防水
シート接合固定構造においては、野地板材８の周縁部下
面に木製の桟材９が固着されて屋根パネル本体10が形成
され、該屋根パネル本体10の野地板材８上には各々シー
ト材１が敷設されて屋根パネルとなっている。建物構造
基体上に複数の同屋根パネルが軒棟方向と直交する方向
に順次並設され相互に接合固定されて下地基材２が形成
され、該屋根パネルの接合部分において各シート材１の
端縁部分同士が接合固定されて防水シート接合固定構造
となる。

【００１８】図７、図８は、本発明の請求項１、４に対
応する別の実施形態を示し、該実施形態の防水シート接
合固定構造は、上記図１、２に示した実施形態におい
て、端縁重合部３を構成する両シート材１の端縁部分を
延設して延設端縁重合部７を形成し、該延設端縁重合部
７を折り返して同延設端縁重合部７が下側となるように
端縁重合部３を傾倒させたことを特徴とする。それ以外
は上記図１、２に示した実施形態と同様に構成され、図
８の（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）の順で施工され接合固定
される。

【００１９】したがって、該実施形態の防水シート接合
固定構造においては、特に、延設端縁重合部７が折り返
されて端縁重合部３の先端の隙間が閉塞され、しかも、
二重の同延設端縁重合部７が二重の端縁重合部３とその
下側のシート材１との間に挟着されて五重構造となるた
め、より確実な防水性が得られる。

【００２０】なお、本発明の防水シート接合固定構造
は、上記実施形態のように屋根において施工される他、
バルコニー、ベランダ、屋上等の床面部分に施工するこ
ともできるものであり、この場合も、上記実施形態と同
様の作用効果が奏される。

【００２１】

【発明の効果】上述の如く、本発明の請求項１記載の防
水シート接合固定構造においては、シート材の端縁部分
の裏面同士が対向重合されて該端縁重合部が片側のシー
ト材上へ傾倒されるため、雨水がどちら側から流れてき
ても端縁重合部の裏側へは回り難く、しかも、該端縁重
合部は挟着により密着封止されていて、十分な防水性が
確保され、又、シート材の端縁部分を重合させてその上
から固着具を差し込むという簡単な施工で安価に仕上が
る。

【００２２】又、本発明の請求項２記載の防水シート接
合固定構造においては、特に、端縁重合部を構成する一
方のシート材の端縁部分が延設されて該延設部が同他方
のシート材の端縁部分を覆うように折り返され、同延設
部が下側となるように端縁重合部が傾倒されるため、端
縁重合部の先端の隙間が延設部によって閉塞され、しか
も、該延設部が端縁重合部とその下側のシート材との間
に挟着されて、より確実な防水性が得られる。

【００２３】又、本発明の請求項３記載の防水シート接
合固定構造においては、特に、上記の場合に、延設部と
端縁重合部との間が接着結合されるため、更に十分な防
水性が得られると共に固定強度も確保される。

【００２４】又、本発明の請求項４記載の防水シート接
合固定構造においては、特に、端縁重合部を構成する両
シート材の端縁部分が延設されて延設端縁重合部が形成
され、該延設端縁重合部が折り返されて同延設端縁重合
部が下側となるように端縁重合部が傾倒されるため、延
設端縁重合部が折り返されることによって端縁重合部の
先端の隙間が閉塞され、しかも、二重の同延設端縁重合
部が端縁重合部とその下側のシート材との間に挟着され
て、より確実な防水性が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の防水シート接合固定構造の一実施形態
を示す断面斜視図。

【図２】（ａ）（ｂ）（ｃ）は同防水シート接合固定構
造の施工過程を示す概略図。

【図３】本発明の防水シート接合固定構造の別の実施形
態を示す断面斜視図。

【図４】（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は同防水シート接合
固定構造の施工過程を示す概略図。

【図５】本発明の防水シート接合固定構造の更に別の実
施形態を示す一部切欠断面斜視図。

【図６】（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は同防水シート接合
固定構造の施工過程を示す概略図。

【図７】本発明の防水シート接合固定構造の更に別の実
施形態を示す断面斜視図。

【図８】（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は同防水シート接合
固定構造の施工過程を示す概略図。

【図９】従来例の防水シート接合固定構造を示す断面斜
視図。

【図10】別の従来例の防水シート接合固定構造を示す一
部切欠断面斜視図。

【図11】更に別の従来例の防水シート接合固定構造を示
す断面斜視図。

【符号の説明】

１ シート材 ２ 下地基材 ３ 端縁重合部 ４ 固着具 ５ 延設部 ６ 接着剤 ７ 延設端縁重合部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 防水性を有する柔軟なシート材を下地基
   材上に並設し、該シート材の端縁部分の裏面同士を対向
   重合させて該端縁重合部を片側のシート材上へ傾倒せし
   め、同端縁重合部の上から下地基材へと固着具を差し込
   んで同片側のシート材と共に端縁重合部を挟着固定して
   なる防水シート接合固定構造。
2. 【請求項２】 端縁重合部を構成する一方のシート材の
   端縁部分を延設して該延設部を同他方のシート材の端縁
   部分を覆うように折り返し、同延設部が下側となるよう
   に端縁重合部を傾倒させたことを特徴とする請求項１記
   載の防水シート接合固定構造。
3. 【請求項３】 他方のシート材の端縁部分を覆うように
   折り返される延設部と同端縁部分との間を接着剤を介し
   て接着結合したことを特徴とする請求項２記載の防水シ
   ート接合固定構造。
4. 【請求項４】 端縁重合部を構成する両シート材の端縁
   部分を延設して延設端縁重合部を形成し、該延設端縁重
   合部を折り返して同延設端縁重合部が下側となるように
   端縁重合部を傾倒させたことを特徴とする請求項１記載
   の防水シート接合固定構造。