JPH0940553A - フェルラ酸含有hsp47合成抑制剤 - Google Patents
フェルラ酸含有hsp47合成抑制剤Info
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- JPH0940553A JPH0940553A JP7211274A JP21127495A JPH0940553A JP H0940553 A JPH0940553 A JP H0940553A JP 7211274 A JP7211274 A JP 7211274A JP 21127495 A JP21127495 A JP 21127495A JP H0940553 A JPH0940553 A JP H0940553A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 分子量47キロダルトンの熱ショックタンパ
ク質の合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩を有効成分として含有す
る。 【効果】 コラーゲン合成を抑制するので、細胞外マト
リックス産生の亢進の病態を示す病気を治療することが
できる。
ク質の合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩を有効成分として含有す
る。 【効果】 コラーゲン合成を抑制するので、細胞外マト
リックス産生の亢進の病態を示す病気を治療することが
できる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェルラ酸又はそ
の誘導体を有効成分として含有する、分子量47キロダ
ルトンの熱ショックタンパク質(以下、HSP47と称
する)の合成抑制剤に関する。本発明のHSP47合成
抑制剤は、特に、臓器内のコラーゲンの合成を抑制する
ことにより肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢
性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交
通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、
動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリックス
(細胞外基質)産生亢進の病態を示す病気の患者の生理
学的状態を有効に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢
性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕
や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚
性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細
胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気を効果的に
治療することができる。
の誘導体を有効成分として含有する、分子量47キロダ
ルトンの熱ショックタンパク質(以下、HSP47と称
する)の合成抑制剤に関する。本発明のHSP47合成
抑制剤は、特に、臓器内のコラーゲンの合成を抑制する
ことにより肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢
性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交
通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、
動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリックス
(細胞外基質)産生亢進の病態を示す病気の患者の生理
学的状態を有効に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢
性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕
や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚
性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細
胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気を効果的に
治療することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、コラーゲンなどの細胞外マトリッ
クスの産生の亢進の病態を示す病気が大きな問題となっ
ている。ここでいう細胞外マトリックス産生の亢進の病
態を示す病気とは、例えば肝硬変、間質性肺疾患、慢性
腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や
熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性
瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどを含
む。
クスの産生の亢進の病態を示す病気が大きな問題となっ
ている。ここでいう細胞外マトリックス産生の亢進の病
態を示す病気とは、例えば肝硬変、間質性肺疾患、慢性
腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や
熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性
瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどを含
む。
【0003】例えば、死亡者がわが国だけでも年間約2
万人にものぼるといわれている肝硬変は、肝臓が結合組
織の増殖のため固くなる病気の総称で、種々の慢性肝疾
患の終末像であるといわれ、肝全体にわたるびまん性の
肝線維症である。すなわち、肝炎などの肝傷害が長期に
及ぶ慢性肝炎においては、線維芽細胞や伊東細胞などの
細胞外マトリックス(特にI型コラーゲン)産生の著し
い亢進を伴い肝臓は線維化する。肝の線維化が慢性的に
進行すると、ますます正常な肝再生は妨害され、肝細胞
に置き換わり、線維芽細胞とI型コラーゲンを主体とす
る細胞外マトリックスが肝組織のかなりの部分を占め、
多くの凝小葉からなる肝硬変に至る。肝硬変の進行に伴
い、線維隔壁が肝全体に進展し、その結果生じる血流の
異常は、肝実質細胞の変性を更に押し進める一因にもな
り、肝硬変における悪循環が続くことになり、更にはア
ルコール、ウイルス、自己免疫等種々の原因によって、
肝臓中に多量の膠質線維が生成され、肝細胞の壊死と機
能消失とが生じ、肝硬変患者は遂には死に至る。I型コ
ラーゲンは正常肝では全タンパク質量の約2%を占める
が、肝硬変となると10〜30%を占めるようになる。
万人にものぼるといわれている肝硬変は、肝臓が結合組
織の増殖のため固くなる病気の総称で、種々の慢性肝疾
患の終末像であるといわれ、肝全体にわたるびまん性の
肝線維症である。すなわち、肝炎などの肝傷害が長期に
及ぶ慢性肝炎においては、線維芽細胞や伊東細胞などの
細胞外マトリックス(特にI型コラーゲン)産生の著し
い亢進を伴い肝臓は線維化する。肝の線維化が慢性的に
進行すると、ますます正常な肝再生は妨害され、肝細胞
に置き換わり、線維芽細胞とI型コラーゲンを主体とす
る細胞外マトリックスが肝組織のかなりの部分を占め、
多くの凝小葉からなる肝硬変に至る。肝硬変の進行に伴
い、線維隔壁が肝全体に進展し、その結果生じる血流の
異常は、肝実質細胞の変性を更に押し進める一因にもな
り、肝硬変における悪循環が続くことになり、更にはア
ルコール、ウイルス、自己免疫等種々の原因によって、
肝臓中に多量の膠質線維が生成され、肝細胞の壊死と機
能消失とが生じ、肝硬変患者は遂には死に至る。I型コ
ラーゲンは正常肝では全タンパク質量の約2%を占める
が、肝硬変となると10〜30%を占めるようになる。
【0004】また、間質性肺疾患は、肺胞及び肺胞管の
みならず、しばしば呼吸細気管支や終末気管支も巻き込
む下部気道の慢性炎症(肺胞炎 alveolitis)とその結果
である間質の線維化と肺胞内線維化を特徴とする疾患群
である。ここでいう間質性肺疾患とは、例えば、間質性
肺炎、肺線維症などのびまん性間質性肺疾患、特発性肺
線維症、透過性肺水腫、膠原病肺、サルコイドーシスな
どを含む。間質性肺疾患においては、線維化組織では細
胞外マトリックスの過剰な産生と蓄積が認められてい
る。すなわち、間質性肺疾患の肺線維化組織では、肥大
した間質に著明なI型及び III型コラーゲンの集積がみ
られており、特に III型コラーゲンは、線維化の早期に
肥厚した肺胞中隔に集積し、病期が進行し、後期にはI
型コラーゲンが増加し、主要なコラーゲンとなる。基底
膜は早期に破壊されており、肺胞腔側へのコラーゲン線
維の侵入が観察される。
みならず、しばしば呼吸細気管支や終末気管支も巻き込
む下部気道の慢性炎症(肺胞炎 alveolitis)とその結果
である間質の線維化と肺胞内線維化を特徴とする疾患群
である。ここでいう間質性肺疾患とは、例えば、間質性
肺炎、肺線維症などのびまん性間質性肺疾患、特発性肺
線維症、透過性肺水腫、膠原病肺、サルコイドーシスな
どを含む。間質性肺疾患においては、線維化組織では細
胞外マトリックスの過剰な産生と蓄積が認められてい
る。すなわち、間質性肺疾患の肺線維化組織では、肥大
した間質に著明なI型及び III型コラーゲンの集積がみ
られており、特に III型コラーゲンは、線維化の早期に
肥厚した肺胞中隔に集積し、病期が進行し、後期にはI
型コラーゲンが増加し、主要なコラーゲンとなる。基底
膜は早期に破壊されており、肺胞腔側へのコラーゲン線
維の侵入が観察される。
【0005】また、慢性腎不全とは慢性腎炎症候群の結
果、腎機能の荒廃により体内の恒常性が維持できなくな
った状態である。慢性腎不全の進行を病理学的にみると
糸球体硬化と間質線維化の進行である。糸球体硬化症
は、メサンギウム領域を中心とした細胞外マトリックス
の増生である。メサンギウム硬化症の成分は正常と比較
し、著明にIV型コラーゲンなどの糸球体基底膜の成分が
増加し、また間質成分であるI型コラーゲンも硬化症部
位に一致して増生している。すなわち、慢性に経過する
糸球体硬化に対しては、細胞外マトリックスの産生亢進
が大きな要因である。ここで慢性腎不全に陥いる疾患と
は、例えばIgA腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性
腎炎、糖尿病性腎症、慢性間質性腎炎、慢性糸球体腎炎
などを含む。その他、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、あるい
は強皮症、動脈硬化等の細胞外マトリックス産生亢進の
病態を示す病気は、何らかの原因によりコラーゲン合成
の異常亢進が起こり、線維化が進んで組織の硬化変化を
生ずることが主要な成因と考えられている。
果、腎機能の荒廃により体内の恒常性が維持できなくな
った状態である。慢性腎不全の進行を病理学的にみると
糸球体硬化と間質線維化の進行である。糸球体硬化症
は、メサンギウム領域を中心とした細胞外マトリックス
の増生である。メサンギウム硬化症の成分は正常と比較
し、著明にIV型コラーゲンなどの糸球体基底膜の成分が
増加し、また間質成分であるI型コラーゲンも硬化症部
位に一致して増生している。すなわち、慢性に経過する
糸球体硬化に対しては、細胞外マトリックスの産生亢進
が大きな要因である。ここで慢性腎不全に陥いる疾患と
は、例えばIgA腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性
腎炎、糖尿病性腎症、慢性間質性腎炎、慢性糸球体腎炎
などを含む。その他、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、あるい
は強皮症、動脈硬化等の細胞外マトリックス産生亢進の
病態を示す病気は、何らかの原因によりコラーゲン合成
の異常亢進が起こり、線維化が進んで組織の硬化変化を
生ずることが主要な成因と考えられている。
【0006】また、血管新生においても基底膜及び基底
膜中のコラーゲン合成が、重要な役割をはたすことが指
摘されている(Maragoudakis, E., Sarmonika, M., and
Panoutsacopoulous, M., "J. Pharmacol. Exp. The
r.", 244 : 729, 1988; Ingber,D. E., Madri, J. A.,
and Folkman, J., "Endocrinology", 119 : 1768, 198
6)。血管新生による疾患としては、例えば、糖尿病性
網膜症、後水晶体線維増殖症、角膜移植に伴う血管新
生、緑内症、眼腫瘍、トラコーマ、幹せん、化膿性肉芽
腫、血管腫、線維性血管腫、肥大性はん痕、肉芽、リュ
ーマチ性関節炎、浮腫性硬化症、アテローム性動脈硬化
症、各種腫瘍などが知られている。このようにコラーゲ
ンなどの細胞外マトリックスの産生の亢進の病態を示す
病気が大きな問題となっているにもかかわらず、従来で
は副作用や薬理効果等の種々の面で満足すべき細胞外マ
トリックス合成抑制剤(例えば、コラーゲン合成抑制
剤)は未だ開発されていなかったのである。
膜中のコラーゲン合成が、重要な役割をはたすことが指
摘されている(Maragoudakis, E., Sarmonika, M., and
Panoutsacopoulous, M., "J. Pharmacol. Exp. The
r.", 244 : 729, 1988; Ingber,D. E., Madri, J. A.,
and Folkman, J., "Endocrinology", 119 : 1768, 198
6)。血管新生による疾患としては、例えば、糖尿病性
網膜症、後水晶体線維増殖症、角膜移植に伴う血管新
生、緑内症、眼腫瘍、トラコーマ、幹せん、化膿性肉芽
腫、血管腫、線維性血管腫、肥大性はん痕、肉芽、リュ
ーマチ性関節炎、浮腫性硬化症、アテローム性動脈硬化
症、各種腫瘍などが知られている。このようにコラーゲ
ンなどの細胞外マトリックスの産生の亢進の病態を示す
病気が大きな問題となっているにもかかわらず、従来で
は副作用や薬理効果等の種々の面で満足すべき細胞外マ
トリックス合成抑制剤(例えば、コラーゲン合成抑制
剤)は未だ開発されていなかったのである。
【0007】一方、熱ショックタンパク質(heat shock
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞に何らかのストレス、例えば熱、薬剤、放射線等を
加えることにより細胞に発現されるタンパク質である。
HSPは、その種類は多種多様であるが、分子量の大き
さから90ファミリー、70ファミリー、60ファミリ
ー、低分子ファミリーの4ファミリーに大別することが
できる。ストレスへの応答に加えて、これらのタンパク
質のいくつかは構成的に合成され、正常な環境のもと、
タンパク質のフォールディング、アンフォールディン
グ、タンパク質サブユニットの会合、タンパク質の膜輸
送のような、必須の生理的な役割を演じていることが示
されている。熱ショックタンパク質としてのこれらの機
能は、分子シャペロンと称される。
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞に何らかのストレス、例えば熱、薬剤、放射線等を
加えることにより細胞に発現されるタンパク質である。
HSPは、その種類は多種多様であるが、分子量の大き
さから90ファミリー、70ファミリー、60ファミリ
ー、低分子ファミリーの4ファミリーに大別することが
できる。ストレスへの応答に加えて、これらのタンパク
質のいくつかは構成的に合成され、正常な環境のもと、
タンパク質のフォールディング、アンフォールディン
グ、タンパク質サブユニットの会合、タンパク質の膜輸
送のような、必須の生理的な役割を演じていることが示
されている。熱ショックタンパク質としてのこれらの機
能は、分子シャペロンと称される。
【0008】HSP47は、永田等によって1986年
に発見されたタンパク質で、分子量47キロダルトンの
塩基性タンパク質(pI=9.0)である。HSP47
の発現が増大するにつれて、コラーゲンの合成も増加す
ることが様々な細胞で示されている("J. Biol. Che
m.", 261 : 7531, 1986; "Eur. J. Biochem.", 206 : 3
23, 1992; "J. Biol. Chem.", 265 : 992, 1990; "J.
Clin. Invest.", 94: 2481, 1994)。すなわち、HS
P47は、細胞内で小胞体内でのプロコラーゲンのプロ
セシング、三重鎖ヘリックス形成、あるいは小胞体から
ゴルジ装置へのプロコラーゲン輸送・分泌という局面
で、コラーゲンの特異的分子シャペロンとして機能して
いるとされているので、増大したHSP47発現は、細
胞外マトリックスにおけるコラーゲン分子の蓄積を刺激
する。このようにコラーゲン結合熱ショックタンパク質
であるHSP47は、発現と同様に機能においても、細
胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンに密接に
関連した熱ショックタンパク質である。
に発見されたタンパク質で、分子量47キロダルトンの
塩基性タンパク質(pI=9.0)である。HSP47
の発現が増大するにつれて、コラーゲンの合成も増加す
ることが様々な細胞で示されている("J. Biol. Che
m.", 261 : 7531, 1986; "Eur. J. Biochem.", 206 : 3
23, 1992; "J. Biol. Chem.", 265 : 992, 1990; "J.
Clin. Invest.", 94: 2481, 1994)。すなわち、HS
P47は、細胞内で小胞体内でのプロコラーゲンのプロ
セシング、三重鎖ヘリックス形成、あるいは小胞体から
ゴルジ装置へのプロコラーゲン輸送・分泌という局面
で、コラーゲンの特異的分子シャペロンとして機能して
いるとされているので、増大したHSP47発現は、細
胞外マトリックスにおけるコラーゲン分子の蓄積を刺激
する。このようにコラーゲン結合熱ショックタンパク質
であるHSP47は、発現と同様に機能においても、細
胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンに密接に
関連した熱ショックタンパク質である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢
性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交
通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、
動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリックス
産生亢進の病態を示す病気の患者の生理学的状態を有効
に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は
慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、
交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮
症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリッ
クス産生亢進の病態を示す病気を効果的に治療すること
のできる、細胞外マトリックス合成抑制剤を提供するた
めに、種々検討を重ねてきた。
情に鑑み、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢
性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交
通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、
動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリックス
産生亢進の病態を示す病気の患者の生理学的状態を有効
に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は
慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、
交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮
症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリッ
クス産生亢進の病態を示す病気を効果的に治療すること
のできる、細胞外マトリックス合成抑制剤を提供するた
めに、種々検討を重ねてきた。
【0010】上記したように、肝硬変、間質性肺疾患、
慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢
痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥
厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの
線維症は臓器内の細胞外マトリックスの著しく増加した
病態が主病変と理解されている。肝硬変、間質性肺疾
患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後
の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイド
や肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチな
どの細胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気に伴
う線維化は、コラーゲン生合成増加やコラーゲン分解能
の低下により生ずると考えられている。例えば、肝の線
維化において、I型、 III型、IV型コラーゲンの合成活
性化が起こるが、特に主要成分であるI型コラーゲンの
合成活性化が重要な意味をもつ。
慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢
痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥
厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの
線維症は臓器内の細胞外マトリックスの著しく増加した
病態が主病変と理解されている。肝硬変、間質性肺疾
患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後
の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイド
や肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチな
どの細胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気に伴
う線維化は、コラーゲン生合成増加やコラーゲン分解能
の低下により生ずると考えられている。例えば、肝の線
維化において、I型、 III型、IV型コラーゲンの合成活
性化が起こるが、特に主要成分であるI型コラーゲンの
合成活性化が重要な意味をもつ。
【0011】こうした状況下で、本発明者らは、意外に
も、フェルラ酸が、病態を示す組織の細胞におけるHS
P47の合成を特異的に抑制することを見出した。すな
わち、フェルラ酸を投与することにより、細胞内でのH
SP47の合成を抑制し、臓器内でのコラーゲン合成を
抑制し、ひいては肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全
(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性
瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、
強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マト
リックス産生亢進の病態を示す病気の治療が可能である
ことを見出したのである。本発明はこうした知見に基づ
くものであり、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又
は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢
痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強
皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリ
ックス産生の亢進の病態を示す病気を効果的に治療する
ことのできるHSP47合成抑制剤であって、細胞内で
のコラーゲンの成熟及び輸送過程に重要な役割を果たし
ているコラーゲン特異的な分子シャペロンであるHSP
47の合成抑制剤を提供することを目的とする。
も、フェルラ酸が、病態を示す組織の細胞におけるHS
P47の合成を特異的に抑制することを見出した。すな
わち、フェルラ酸を投与することにより、細胞内でのH
SP47の合成を抑制し、臓器内でのコラーゲン合成を
抑制し、ひいては肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全
(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性
瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、
強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マト
リックス産生亢進の病態を示す病気の治療が可能である
ことを見出したのである。本発明はこうした知見に基づ
くものであり、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又
は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢
痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強
皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリ
ックス産生の亢進の病態を示す病気を効果的に治療する
ことのできるHSP47合成抑制剤であって、細胞内で
のコラーゲンの成熟及び輸送過程に重要な役割を果たし
ているコラーゲン特異的な分子シャペロンであるHSP
47の合成抑制剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、フェ
ルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を有効成分として含有することを特徴とする、
HSP47合成抑制剤に関する。また、本発明は、フェ
ルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を含有する植物の抽出物を有効成分として含有
することを特徴とする、HSP47合成抑制剤にも関す
る。更に、本発明は、コメの抽出物を有効成分として含
有することを特徴とする、HSP47合成抑制剤にも関
する。
ルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を有効成分として含有することを特徴とする、
HSP47合成抑制剤に関する。また、本発明は、フェ
ルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を含有する植物の抽出物を有効成分として含有
することを特徴とする、HSP47合成抑制剤にも関す
る。更に、本発明は、コメの抽出物を有効成分として含
有することを特徴とする、HSP47合成抑制剤にも関
する。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明のHSP47合成抑制剤の有効成分として用いるこ
とができるフェルラ酸(Ferulic acid)、
すなわち4−ヒドロキシ−3−メトキシケイヒ酸は、そ
のエステル誘導体がコメ又はハトムギ等の天然物(特に
植物)に含まれる化合物である。なお、前記のフェルラ
酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容され
る塩には、立体異性体が存在し、本発明では、純粋な立
体異性体又はそれらの混合物を用いることができる。
発明のHSP47合成抑制剤の有効成分として用いるこ
とができるフェルラ酸(Ferulic acid)、
すなわち4−ヒドロキシ−3−メトキシケイヒ酸は、そ
のエステル誘導体がコメ又はハトムギ等の天然物(特に
植物)に含まれる化合物である。なお、前記のフェルラ
酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容され
る塩には、立体異性体が存在し、本発明では、純粋な立
体異性体又はそれらの混合物を用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のHSP47合成抑制剤の
有効成分として用いることができるフェルラ酸誘導体に
は、天然物(特に植物)中に本来含有されているフェル
ラ酸誘導体、抽出及び/又は分画の際の化学的処理によ
って変換したフェルラ酸誘導体、及び化学的修飾を行っ
たフェルラ酸誘導体等が含まれる。具体的には、例え
ば、フェルラ酸エステル等を挙げることができる。フェ
ルラ酸をエステルの形で用いることにより、油性成分に
対する溶解性を向上させることができる。フェルラ酸エ
ステル誘導体(特には製剤学的に許容することのできる
フェルラ酸エステル誘導体)の具体例としては、例え
ば、直鎖状若しくは分枝状のアルキル若しくはアルケニ
ルアルコール(好ましくは炭素数1〜40の直鎖状若し
くは分枝状のアルキル若しくはアルケニルアルコー
ル)、アリールアルコール(好ましくは炭素数6〜40
のアリールアルコール)、テルペンアルコール(特にモ
ノテルペンアルコール、セスキテルペンアルコール、ジ
テルペンアルコール、若しくはトリテルペンアルコー
ル)、ステロール、又はトリメチルステロールと、フェ
ルラ酸とのエステル化合物、例えば、フェルラ酸エチ
ル、フェルラ酸−2−エチルヘキシル、フェルラ酸アリ
ル、フェルラ酸セチル、フェルラ酸オレイル、フェルラ
酸メンチル、フェルラ酸フェニル、フェルラ酸コレステ
リル、フェルラ酸シクロアルテノール、又はフェルラ酸
24−メチレンシクロアルタノールなどが挙げられる。
有効成分として用いることができるフェルラ酸誘導体に
は、天然物(特に植物)中に本来含有されているフェル
ラ酸誘導体、抽出及び/又は分画の際の化学的処理によ
って変換したフェルラ酸誘導体、及び化学的修飾を行っ
たフェルラ酸誘導体等が含まれる。具体的には、例え
ば、フェルラ酸エステル等を挙げることができる。フェ
ルラ酸をエステルの形で用いることにより、油性成分に
対する溶解性を向上させることができる。フェルラ酸エ
ステル誘導体(特には製剤学的に許容することのできる
フェルラ酸エステル誘導体)の具体例としては、例え
ば、直鎖状若しくは分枝状のアルキル若しくはアルケニ
ルアルコール(好ましくは炭素数1〜40の直鎖状若し
くは分枝状のアルキル若しくはアルケニルアルコー
ル)、アリールアルコール(好ましくは炭素数6〜40
のアリールアルコール)、テルペンアルコール(特にモ
ノテルペンアルコール、セスキテルペンアルコール、ジ
テルペンアルコール、若しくはトリテルペンアルコー
ル)、ステロール、又はトリメチルステロールと、フェ
ルラ酸とのエステル化合物、例えば、フェルラ酸エチ
ル、フェルラ酸−2−エチルヘキシル、フェルラ酸アリ
ル、フェルラ酸セチル、フェルラ酸オレイル、フェルラ
酸メンチル、フェルラ酸フェニル、フェルラ酸コレステ
リル、フェルラ酸シクロアルテノール、又はフェルラ酸
24−メチレンシクロアルタノールなどが挙げられる。
【0015】フェルラ酸を塩の形で用いることにより、
水への溶解性を高めることができる。フェルラ酸を塩
(特には製剤学的に許容することのできる塩)として用
いる場合の、塩形成用の塩基物質としては、例えば、ア
ルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化カルシウム、
又は水酸化アンモニウムなどの無機塩基、アルギニン、
リジン、ヒスチジン、若しくはオルニチンなどの塩基性
アミノ酸、又はモノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、若しくはトリエタノールアミンなどの有機塩基が
用いられる。上記の塩を調製してから、その塩を本発明
の合成抑制剤中に添加して用いてもよいし、塩形成成分
を本発明の合成抑制剤中に別々に添加して処方系中で反
応させて塩を形成させてもよい。
水への溶解性を高めることができる。フェルラ酸を塩
(特には製剤学的に許容することのできる塩)として用
いる場合の、塩形成用の塩基物質としては、例えば、ア
ルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、例え
ば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化カルシウム、
又は水酸化アンモニウムなどの無機塩基、アルギニン、
リジン、ヒスチジン、若しくはオルニチンなどの塩基性
アミノ酸、又はモノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、若しくはトリエタノールアミンなどの有機塩基が
用いられる。上記の塩を調製してから、その塩を本発明
の合成抑制剤中に添加して用いてもよいし、塩形成成分
を本発明の合成抑制剤中に別々に添加して処方系中で反
応させて塩を形成させてもよい。
【0016】本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として用いることができるフェルラ酸若しくはその誘導
体又はそれらの薬剤学的に許容される塩は、化学合成に
よって、又は天然物から抽出して精製することによっ
て、調製することができる。あるいは、市販品を用いて
もよい。化学合成によってフェルラ酸を調製する場合
は、例えば、バニリンとマロン酸との縮合反応によって
製造することができる("Journal of American Chemica
l Society", 74: 5346, 1952)。
として用いることができるフェルラ酸若しくはその誘導
体又はそれらの薬剤学的に許容される塩は、化学合成に
よって、又は天然物から抽出して精製することによっ
て、調製することができる。あるいは、市販品を用いて
もよい。化学合成によってフェルラ酸を調製する場合
は、例えば、バニリンとマロン酸との縮合反応によって
製造することができる("Journal of American Chemica
l Society", 74: 5346, 1952)。
【0017】本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として、フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬
剤学的に許容される塩を含有する植物の抽出物を用いる
こともできる。前記植物は、フェルラ酸若しくはその誘
導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を含有するも
のであれば、特に限定されないが、例えば、マツ、オウ
レン、アギ、カンショ、トウモロコシ、大麦、又はコメ
等が好ましく、コメが特に好ましい。本明細書において
コメとは、イネ
として、フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬
剤学的に許容される塩を含有する植物の抽出物を用いる
こともできる。前記植物は、フェルラ酸若しくはその誘
導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を含有するも
のであれば、特に限定されないが、例えば、マツ、オウ
レン、アギ、カンショ、トウモロコシ、大麦、又はコメ
等が好ましく、コメが特に好ましい。本明細書において
コメとは、イネ
【外1】 の種実等の生又は乾燥物を意味し、それらの部分を単独
であるいは任意に組み合わせて使用することができる。
であるいは任意に組み合わせて使用することができる。
【0018】本発明によるHSP47合成抑制剤の有効
成分として、植物の抽出物、例えば、コメ抽出物を用い
る場合には、常法による熱水抽出物又は有機溶媒抽出物
を用いることができる。これらの抽出物は、特に精製す
ることなく、粗抽出分画しただけの粗抽出物、例えば、
コメの粗抽出物を用いることができる。また、これら抽
出物を各種有機溶媒や吸着剤等により、更に処理した、
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩含有の抽出物も、本発明のHSP47合成
抑制剤の有効成分として用いることができる。これらの
抽出物、例えば、コメ抽出物は、抽出したままの溶液を
用いても、溶媒を濃縮したエキスを用いてもよいし、溶
媒を留去し乾燥した粉末、更には結晶化して精製したも
の、あるいは粘性のある物質を用いてもよく、またそれ
らの希釈液を用いることもできる。こうして得られる天
然物の抽出物、例えば、コメ抽出物は、抽出原料として
用いた天然物、例えば、コメに含まれるフェルラ酸若し
くはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を
含み、同時に抽出原料の天然物、例えば、コメに由来す
る不純物を含んでいる。
成分として、植物の抽出物、例えば、コメ抽出物を用い
る場合には、常法による熱水抽出物又は有機溶媒抽出物
を用いることができる。これらの抽出物は、特に精製す
ることなく、粗抽出分画しただけの粗抽出物、例えば、
コメの粗抽出物を用いることができる。また、これら抽
出物を各種有機溶媒や吸着剤等により、更に処理した、
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩含有の抽出物も、本発明のHSP47合成
抑制剤の有効成分として用いることができる。これらの
抽出物、例えば、コメ抽出物は、抽出したままの溶液を
用いても、溶媒を濃縮したエキスを用いてもよいし、溶
媒を留去し乾燥した粉末、更には結晶化して精製したも
の、あるいは粘性のある物質を用いてもよく、またそれ
らの希釈液を用いることもできる。こうして得られる天
然物の抽出物、例えば、コメ抽出物は、抽出原料として
用いた天然物、例えば、コメに含まれるフェルラ酸若し
くはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を
含み、同時に抽出原料の天然物、例えば、コメに由来す
る不純物を含んでいる。
【0019】本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として用いることができる植物の抽出物、及びその抽出
物から精製して得られるフェルラ酸若しくはその誘導体
又はそれらの薬剤学的に許容される塩を、天然物から調
製する場合には、フェルラ酸若しくはその誘導体(特に
は、フェルラ酸エステル)又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を含有する天然物、例えば、植物の全体又は一
部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、根皮、花、
実、若しくは種子)をそのまま、あるいは簡単に加工処
理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末化)したものか
ら抽出する。抽出条件は、一般的に植物抽出に用いられ
る条件ならば特に制限はない。
として用いることができる植物の抽出物、及びその抽出
物から精製して得られるフェルラ酸若しくはその誘導体
又はそれらの薬剤学的に許容される塩を、天然物から調
製する場合には、フェルラ酸若しくはその誘導体(特に
は、フェルラ酸エステル)又はそれらの薬剤学的に許容
される塩を含有する天然物、例えば、植物の全体又は一
部分(例えば、全草、葉、根、根茎、茎、根皮、花、
実、若しくは種子)をそのまま、あるいは簡単に加工処
理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末化)したものか
ら抽出する。抽出条件は、一般的に植物抽出に用いられ
る条件ならば特に制限はない。
【0020】本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として用いることができる植物の抽出物、及びその抽出
物から精製して得られるフェルラ酸又はその誘導体は、
例えば、以下に説明する方法によって天然物から調製す
ることができる。フェルラ酸又はその誘導体(特には、
フェルラ酸エステル)を天然物から抽出、精製する場合
には、これに限定するものではないが、例えば、コメ、
特にコメ糠、コメ胚芽、又はコメ種子膜などを、抽出原
料として用いることが好ましい。例えば、コメ糠をアル
カリ性含水アルコールで処理することによって、コメ糠
中のフェルラ酸エステルを直接抽出することができる。
粗抽出液を弱酸で中和することにより、簡単に高純度の
フェルラ酸エステルを析出分離することができる。使用
するアルコール類は、例えば、メチルアルコール又はエ
チルアルコールをはじめとする低級アルコールであり、
アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリ
ウムなどである。前記中間工程で得られるフェルラ酸エ
ステル含有の抽出物、例えば、コメ糠、コメ胚芽、又は
コメ種子膜などのアルカリ性含水アルコール抽出液も、
本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分として用いる
ことができる。また、コメ糠より抽出したコメ糠油、コ
メ胚芽より抽出したコメ胚芽油、又はそれらの油滓若し
くはロウにも、フェルラ酸エステルが含有されているの
で、これらの油脂類を抽出原料として用いることができ
る。これらのフェルラ酸エステル含有油脂類からフェル
ラ酸エステルを回収する方法としては、例えば、油脂を
先ず低級アルコールで抽出し、次いで抽出残留物をアル
カリ性低級アルコール溶液で抽出し、この抽出液を弱酸
で中和することにより、フェルラ酸エステルを析出採取
することができる。前記フェルラ酸エステル含有油脂類
又は前記各中間工程で得られるフェルラ酸エステル含有
の抽出物も、本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として用いることができる。
として用いることができる植物の抽出物、及びその抽出
物から精製して得られるフェルラ酸又はその誘導体は、
例えば、以下に説明する方法によって天然物から調製す
ることができる。フェルラ酸又はその誘導体(特には、
フェルラ酸エステル)を天然物から抽出、精製する場合
には、これに限定するものではないが、例えば、コメ、
特にコメ糠、コメ胚芽、又はコメ種子膜などを、抽出原
料として用いることが好ましい。例えば、コメ糠をアル
カリ性含水アルコールで処理することによって、コメ糠
中のフェルラ酸エステルを直接抽出することができる。
粗抽出液を弱酸で中和することにより、簡単に高純度の
フェルラ酸エステルを析出分離することができる。使用
するアルコール類は、例えば、メチルアルコール又はエ
チルアルコールをはじめとする低級アルコールであり、
アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリ
ウムなどである。前記中間工程で得られるフェルラ酸エ
ステル含有の抽出物、例えば、コメ糠、コメ胚芽、又は
コメ種子膜などのアルカリ性含水アルコール抽出液も、
本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分として用いる
ことができる。また、コメ糠より抽出したコメ糠油、コ
メ胚芽より抽出したコメ胚芽油、又はそれらの油滓若し
くはロウにも、フェルラ酸エステルが含有されているの
で、これらの油脂類を抽出原料として用いることができ
る。これらのフェルラ酸エステル含有油脂類からフェル
ラ酸エステルを回収する方法としては、例えば、油脂を
先ず低級アルコールで抽出し、次いで抽出残留物をアル
カリ性低級アルコール溶液で抽出し、この抽出液を弱酸
で中和することにより、フェルラ酸エステルを析出採取
することができる。前記フェルラ酸エステル含有油脂類
又は前記各中間工程で得られるフェルラ酸エステル含有
の抽出物も、本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分
として用いることができる。
【0021】また、前記のフェルラ酸エステル含有油脂
類の溶液を、実質的にケン化が起こらない条件のもと
で、例えば、pH12.1以上に調節し、非水溶性有機
溶剤で洗浄して中性物質を除き、次に残液をpH9.0
〜12.0に調節した後、非水溶性有機溶剤で抽出し、
この抽出液からフェルラ酸エステルを回収することも可
能である。非水性有機溶媒としては、例えば、エーテ
ル、石油エーテル、ベンゼン、又は各種炭化水素が好適
である。また、例えば、コメ糠より溶媒(例えば、ヘキ
サン)で抽出した油性成分を脱ガム、脱鑞後にアルカリ
で加水分解し、中和後固液分離し、残渣を蒸留、溶媒抽
出、カラム処理等を行うことによって、粗フェルラ酸エ
ステルを得ることができる。本発明のHSP47合成抑
制剤の有効成分として、前記各抽出方法の各中間工程で
得られる、天然物、例えば、コメ由来の各種の成分も同
時に含有するフェルラ酸エステル含有の抽出物も用いる
ことができる。なお、前記抽出方法以外の方法で調製さ
れるフェルラ酸エステル含有の抽出物も用いることがで
きる。
類の溶液を、実質的にケン化が起こらない条件のもと
で、例えば、pH12.1以上に調節し、非水溶性有機
溶剤で洗浄して中性物質を除き、次に残液をpH9.0
〜12.0に調節した後、非水溶性有機溶剤で抽出し、
この抽出液からフェルラ酸エステルを回収することも可
能である。非水性有機溶媒としては、例えば、エーテ
ル、石油エーテル、ベンゼン、又は各種炭化水素が好適
である。また、例えば、コメ糠より溶媒(例えば、ヘキ
サン)で抽出した油性成分を脱ガム、脱鑞後にアルカリ
で加水分解し、中和後固液分離し、残渣を蒸留、溶媒抽
出、カラム処理等を行うことによって、粗フェルラ酸エ
ステルを得ることができる。本発明のHSP47合成抑
制剤の有効成分として、前記各抽出方法の各中間工程で
得られる、天然物、例えば、コメ由来の各種の成分も同
時に含有するフェルラ酸エステル含有の抽出物も用いる
ことができる。なお、前記抽出方法以外の方法で調製さ
れるフェルラ酸エステル含有の抽出物も用いることがで
きる。
【0022】前記の方法によって抽出、精製されて得ら
れるフェルラ酸エステル濃縮物は、必要に応じて、吸着
剤又はイオン交換樹脂を用いて更に精製することができ
る。すなわち、前記抽出物を高度に精製したγ−オリザ
ノール、更にγ−オリザノールをより高度に精製するこ
とによって得られる成分、例えば、フェルラ酸シクロア
ルテノール、フェルラ酸24−メチレンシクロアルタノ
ールも、本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分とし
て用いることができる。
れるフェルラ酸エステル濃縮物は、必要に応じて、吸着
剤又はイオン交換樹脂を用いて更に精製することができ
る。すなわち、前記抽出物を高度に精製したγ−オリザ
ノール、更にγ−オリザノールをより高度に精製するこ
とによって得られる成分、例えば、フェルラ酸シクロア
ルテノール、フェルラ酸24−メチレンシクロアルタノ
ールも、本発明のHSP47合成抑制剤の有効成分とし
て用いることができる。
【0023】以上の方法により得られたフェルラ酸エス
テル又は粗フェルラ酸エステルは、本発明のHSP47
合成抑制剤の有効成分として用いることができるが、更
にこれらのフェルラ酸エステルを、例えば、以下に示す
方法でアルカリ加水分解することによって、遊離のフェ
ルラ酸を製造することができる。加水分解に用いること
ができるアルカリは、一般的には、例えば、水酸化ナト
リウム又は水酸化カリウムであるが、他の使用可能なア
ルカリとして、LiOH、RuOH、Na2 CO3 、K
2 CO3 、NaHCO3 などが例示される。アルカリ加
水分解する場合には、フェルラ酸エステル及び/又は粗
フェルラ酸エステルは水に溶けにくいため、適当なアル
コールを溶剤として使用することが好ましい。次いで、
フェルラ酸のアルカリ塩を含む溶液を酸性として、溶液
中に析出するフェルラ酸を濾別する。濾別した粗フェル
ラ酸を高温の水(約90℃〜100℃)に溶解した後、
冷却してフェルラ酸を再析出させることによって、フェ
ルラ酸を得ることができる。
テル又は粗フェルラ酸エステルは、本発明のHSP47
合成抑制剤の有効成分として用いることができるが、更
にこれらのフェルラ酸エステルを、例えば、以下に示す
方法でアルカリ加水分解することによって、遊離のフェ
ルラ酸を製造することができる。加水分解に用いること
ができるアルカリは、一般的には、例えば、水酸化ナト
リウム又は水酸化カリウムであるが、他の使用可能なア
ルカリとして、LiOH、RuOH、Na2 CO3 、K
2 CO3 、NaHCO3 などが例示される。アルカリ加
水分解する場合には、フェルラ酸エステル及び/又は粗
フェルラ酸エステルは水に溶けにくいため、適当なアル
コールを溶剤として使用することが好ましい。次いで、
フェルラ酸のアルカリ塩を含む溶液を酸性として、溶液
中に析出するフェルラ酸を濾別する。濾別した粗フェル
ラ酸を高温の水(約90℃〜100℃)に溶解した後、
冷却してフェルラ酸を再析出させることによって、フェ
ルラ酸を得ることができる。
【0024】本発明のHSP47合成抑制剤は、フェル
ラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容さ
れる塩を、それ単独で、又は好ましくは製剤学的に許容
することのできる通常の担体と共に投与することができ
る。投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散
剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマ
ルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の
経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投
与のクリーム若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げるこ
とができる。
ラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容さ
れる塩を、それ単独で、又は好ましくは製剤学的に許容
することのできる通常の担体と共に投与することができ
る。投与剤型としては、特に限定がなく、例えば、散
剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマ
ルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の
経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投
与のクリーム若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げるこ
とができる。
【0025】これらの経口剤は、例えば、ゼラチン、ア
ルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳
糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロー
ス、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロ
ース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タル
ク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコー
ル、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、合成ケイ酸アル
ミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、
滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香
料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等
を用いて、常法に従って製造することができる。例え
ば、フェルラ酸1重量部と乳糖99重量部とを混合して
充填したカプセル剤などである。
ルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳
糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロー
ス、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロ
ース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タル
ク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコー
ル、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、合成ケイ酸アル
ミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、
滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香
料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等
を用いて、常法に従って製造することができる。例え
ば、フェルラ酸1重量部と乳糖99重量部とを混合して
充填したカプセル剤などである。
【0026】非経口投与方法としては、注射(皮下、静
脈内等)、直腸投与等が例示される。これらのなかで、
注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の調製
においては、有効成分としてのフェルラ酸若しくはその
誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩の他に、例
えば、生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油、若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ
糖、若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助
剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意
に用いることができる。具体的に一例を示すと、フェル
ラ酸10mgとマンニトール50mgとを蒸留水に溶解
して10mlとし、常法で除菌した後、2mlずつを注
射用小瓶に分注し、又はそのまま凍結乾燥して注射剤と
する。使用に際して、生理食塩水で希釈して注射液とす
る。また、本発明のHSP47合成抑制剤は、徐放性ポ
リマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与して
もよい。例えば、本発明のHSP47合成抑制剤をエチ
レンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、こ
のペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すること
ができる。
脈内等)、直腸投与等が例示される。これらのなかで、
注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の調製
においては、有効成分としてのフェルラ酸若しくはその
誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩の他に、例
えば、生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油、若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ
糖、若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助
剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意
に用いることができる。具体的に一例を示すと、フェル
ラ酸10mgとマンニトール50mgとを蒸留水に溶解
して10mlとし、常法で除菌した後、2mlずつを注
射用小瓶に分注し、又はそのまま凍結乾燥して注射剤と
する。使用に際して、生理食塩水で希釈して注射液とす
る。また、本発明のHSP47合成抑制剤は、徐放性ポ
リマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与して
もよい。例えば、本発明のHSP47合成抑制剤をエチ
レンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、こ
のペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すること
ができる。
【0027】本発明のHSP47合成抑制剤は、これに
限定されるものではないが、フェルラ酸若しくはその誘
導体、又はその医薬上許容される塩を、0.01〜99
重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有する
ことができる。また、例えば、コメ胚芽抽出物やコメ種
子膜抽出物などの植物の抽出物を有効成分として含有す
る本発明のHSP47合成抑制剤は、その中に含まれる
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩が前記の量範囲になるように適宜調整し
て、調製することができる。なお、例えば、コメ胚芽抽
出物やコメ種子膜抽出物などの天然物の抽出物を有効成
分として含有するHSP47合成抑制剤を、経口投与用
製剤とする場合には、製剤学的に許容することのできる
担体を用いて、製剤化することが好ましい。本発明のH
SP47合成抑制剤を用いる場合の投与量は、病気の種
類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、投与方法な
どにより異なり、特に制限はないが、フェルラ酸量とし
て通常成人1人当り1mg〜10g程度を、1日1〜4
回程度にわけて、経口的に又は非経口的に投与する。更
に、用途も医薬品に限定されるものではなく、種々の用
途、例えば、機能性食品や健康食品として飲食物等の形
で与えることも可能である。なお、本発明に用いられる
フェルラ酸に毒性は特に認められなかった。
限定されるものではないが、フェルラ酸若しくはその誘
導体、又はその医薬上許容される塩を、0.01〜99
重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有する
ことができる。また、例えば、コメ胚芽抽出物やコメ種
子膜抽出物などの植物の抽出物を有効成分として含有す
る本発明のHSP47合成抑制剤は、その中に含まれる
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩が前記の量範囲になるように適宜調整し
て、調製することができる。なお、例えば、コメ胚芽抽
出物やコメ種子膜抽出物などの天然物の抽出物を有効成
分として含有するHSP47合成抑制剤を、経口投与用
製剤とする場合には、製剤学的に許容することのできる
担体を用いて、製剤化することが好ましい。本発明のH
SP47合成抑制剤を用いる場合の投与量は、病気の種
類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、投与方法な
どにより異なり、特に制限はないが、フェルラ酸量とし
て通常成人1人当り1mg〜10g程度を、1日1〜4
回程度にわけて、経口的に又は非経口的に投与する。更
に、用途も医薬品に限定されるものではなく、種々の用
途、例えば、機能性食品や健康食品として飲食物等の形
で与えることも可能である。なお、本発明に用いられる
フェルラ酸に毒性は特に認められなかった。
【0028】
【作用】上記したように、本発明のHSP47合成抑制
剤に含有されるフェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩は、細胞内のHSP47合
成を特異的に抑制する作用があるので、フェルラ酸若し
くはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を
投与すると細胞内でのHSP47生合成が特異的に減少
し、コラーゲンの生合成が抑制される。その結果、細胞
外マトリックス産生も抑制されることになる。従って、
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩は、コラーゲンの増加を伴う細胞外マトリ
ックス産生亢進の病態を示す病気、例えば肝硬変、間質
性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾
患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じ
るケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節
リウマチなどの予防及び治療に使用することができる。
すなわち、本発明のHSP47合成抑制剤は、コラーゲ
ン特異的シャペロンであるHSP47の合成を抑制する
ことによりコラーゲンの合成を抑制する。
剤に含有されるフェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩は、細胞内のHSP47合
成を特異的に抑制する作用があるので、フェルラ酸若し
くはその誘導体又はそれらの薬剤学的に許容される塩を
投与すると細胞内でのHSP47生合成が特異的に減少
し、コラーゲンの生合成が抑制される。その結果、細胞
外マトリックス産生も抑制されることになる。従って、
フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれらの薬剤学的に
許容される塩は、コラーゲンの増加を伴う細胞外マトリ
ックス産生亢進の病態を示す病気、例えば肝硬変、間質
性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾
患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じ
るケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節
リウマチなどの予防及び治療に使用することができる。
すなわち、本発明のHSP47合成抑制剤は、コラーゲ
ン特異的シャペロンであるHSP47の合成を抑制する
ことによりコラーゲンの合成を抑制する。
【0029】また、前記のように、血管新生において
も、基底膜及び基底膜中のコラーゲン合成が重要な役割
をはたすことが指摘されているので、本発明のHSP4
7合成抑制剤は、血管新生の異常増殖に基づく多くの疾
患の予防治療薬として極めて有用であり、先に述べたよ
うな各疾患、すなわち糖尿病性網膜症、後水晶体線維増
殖症、角膜移植に伴う血管新生、緑内症、眼腫瘍、トラ
コーマ、乾せん、化膿性肉芽腫、血管腫、線維性血管
腫、肥大性はん痕、肉芽、リューマチ性関節炎、浮腫性
硬化症、アテローム性動脈硬化症及び各種腫瘍などに用
いることができる。更に、I型コラーゲンとフィブロネ
クチンを基本骨格とする間質(interstitialstroma)が
癌の転移において、離脱した癌細胞が近傍の脈管に侵入
するまでのガイド役を果たすことが、明らかとなってい
るので〔"BIOTHERAPY", 7 (8): 1181,1993 〕、本発明
のHSP47合成抑制剤を投与することにより、癌の転
移を抑制することも可能である。
も、基底膜及び基底膜中のコラーゲン合成が重要な役割
をはたすことが指摘されているので、本発明のHSP4
7合成抑制剤は、血管新生の異常増殖に基づく多くの疾
患の予防治療薬として極めて有用であり、先に述べたよ
うな各疾患、すなわち糖尿病性網膜症、後水晶体線維増
殖症、角膜移植に伴う血管新生、緑内症、眼腫瘍、トラ
コーマ、乾せん、化膿性肉芽腫、血管腫、線維性血管
腫、肥大性はん痕、肉芽、リューマチ性関節炎、浮腫性
硬化症、アテローム性動脈硬化症及び各種腫瘍などに用
いることができる。更に、I型コラーゲンとフィブロネ
クチンを基本骨格とする間質(interstitialstroma)が
癌の転移において、離脱した癌細胞が近傍の脈管に侵入
するまでのガイド役を果たすことが、明らかとなってい
るので〔"BIOTHERAPY", 7 (8): 1181,1993 〕、本発明
のHSP47合成抑制剤を投与することにより、癌の転
移を抑制することも可能である。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:抗HSP47ポリクローナル抗体の作製 (1)抗HSP47ポリクローナル抗体の調製 ヒトHSP47のN末端から2〜16番目のアミノ酸配
列に対応するアミノ酸15個からなるペプチド〔以下、
ヒトHSP47ペプチド(2−16)と称する;ラット
のHSP47の相当する部分と共通アミノ酸配列を示
す〕を自動ペプチド合成装置(PSSM−8システム,
島津制作所)を用いて作製し、スクシニミジル4−(p
−マレイミドフェニル)ブチレート〔SMPB:Succin
imidyl 4-(p-maleimidophenyl)butyrate〕を架橋剤とし
て用い、常法("Biochemistry", 18: 690, 1979)により
ラクトグロブリンと結合させ、感作抗原を作製した。こ
の感作抗原150μgを含むリン酸緩衝生理食塩水〔組
成:KCl=0.2g/l,KH2 PO4 =0.2g/
l,NaCl=8g/l,Na2 HPO4 (無水)=
1.15g/l:以下PBS(−)と称する:コスモバ
イオ,カタログ番号320-01〕0.2mlと、等量のフロ
イント完全アジュバント(ヤトロン,カタログ番号RM60
6-1)とを混和し、得られた混合液0.2mlを、ルーラ
ット(6週齢,雌性:日本クレア)の皮下に投与し、免
疫した。同様の方法で第2次及び第3次免疫を繰り返し
た後、アジュバント(Hunter's TiterMax ; CytRx Corp
oration,米国ジョージア州)を用いて6回免疫感作を行
った。感作動物より採血し、常法により血清を分離して
採取し、以下に示す酵素抗体法(ELISA法)及びウ
ェスタンブロット法によって血清中の抗体価を測定し
た。
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:抗HSP47ポリクローナル抗体の作製 (1)抗HSP47ポリクローナル抗体の調製 ヒトHSP47のN末端から2〜16番目のアミノ酸配
列に対応するアミノ酸15個からなるペプチド〔以下、
ヒトHSP47ペプチド(2−16)と称する;ラット
のHSP47の相当する部分と共通アミノ酸配列を示
す〕を自動ペプチド合成装置(PSSM−8システム,
島津制作所)を用いて作製し、スクシニミジル4−(p
−マレイミドフェニル)ブチレート〔SMPB:Succin
imidyl 4-(p-maleimidophenyl)butyrate〕を架橋剤とし
て用い、常法("Biochemistry", 18: 690, 1979)により
ラクトグロブリンと結合させ、感作抗原を作製した。こ
の感作抗原150μgを含むリン酸緩衝生理食塩水〔組
成:KCl=0.2g/l,KH2 PO4 =0.2g/
l,NaCl=8g/l,Na2 HPO4 (無水)=
1.15g/l:以下PBS(−)と称する:コスモバ
イオ,カタログ番号320-01〕0.2mlと、等量のフロ
イント完全アジュバント(ヤトロン,カタログ番号RM60
6-1)とを混和し、得られた混合液0.2mlを、ルーラ
ット(6週齢,雌性:日本クレア)の皮下に投与し、免
疫した。同様の方法で第2次及び第3次免疫を繰り返し
た後、アジュバント(Hunter's TiterMax ; CytRx Corp
oration,米国ジョージア州)を用いて6回免疫感作を行
った。感作動物より採血し、常法により血清を分離して
採取し、以下に示す酵素抗体法(ELISA法)及びウ
ェスタンブロット法によって血清中の抗体価を測定し
た。
【0031】(2)酵素抗体法(ELISA法)による
抗HSP47ポリクローナル抗体特性の評価 前記(1)で調製したヒトHSP47ペプチド(2−1
6)をPBS(−)に溶解し、10μg/mlの濃度の
ペプチド溶液を調製し、リジットアセイプレート(ファ
ルコン,カタログ番号3910)の各ウェルに前記ペプチド
溶液を50μlずつ滴下した。最も外側のウェルにはP
BS(−)50μlのみを入れ、湿潤下で4℃にて一晩
放置した後、前記ペプチド溶液を捨て、PBS(−)を
用いて各ウェルを洗浄した後、1%ウシ血清アルブミン
(以下、BSAと略称する)を含むPBS(−)100
μlを各ウェルに入れ、室温下で1時間放置した。PB
S(−)で3回洗浄した後、前項(1)で取得したルー
ラット血清50μlを各ウェルに入れ、1時間室温にて
放置した。PBS(−)で3回洗浄した後、各ウェルに
2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG5
0μlを入れ、室温下で1時間放置した。PBS(−)
で2回洗浄した後、過酸化水素水4μlを加えた0.1
Mクエン酸バッファー(pH4.5)10mlにo−フ
ェニレンジアミン(OPD)タブレット(シグマ,カタ
ログ番号P8287)1個(10mg)を溶解して調製した基
質液100μlずつを各ウェルに滴下し、室温にて遮光
下で30分間放置した後、各ウェルの492nmの吸光
度をマイクロプレートリーダー(東ソー,MPR−A4
i型)にて測定した。抗体価の上昇が確認された血清を
抗ヒトHSP47ポリクローナル抗体として以下の実施
例に用いた。
抗HSP47ポリクローナル抗体特性の評価 前記(1)で調製したヒトHSP47ペプチド(2−1
6)をPBS(−)に溶解し、10μg/mlの濃度の
ペプチド溶液を調製し、リジットアセイプレート(ファ
ルコン,カタログ番号3910)の各ウェルに前記ペプチド
溶液を50μlずつ滴下した。最も外側のウェルにはP
BS(−)50μlのみを入れ、湿潤下で4℃にて一晩
放置した後、前記ペプチド溶液を捨て、PBS(−)を
用いて各ウェルを洗浄した後、1%ウシ血清アルブミン
(以下、BSAと略称する)を含むPBS(−)100
μlを各ウェルに入れ、室温下で1時間放置した。PB
S(−)で3回洗浄した後、前項(1)で取得したルー
ラット血清50μlを各ウェルに入れ、1時間室温にて
放置した。PBS(−)で3回洗浄した後、各ウェルに
2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG5
0μlを入れ、室温下で1時間放置した。PBS(−)
で2回洗浄した後、過酸化水素水4μlを加えた0.1
Mクエン酸バッファー(pH4.5)10mlにo−フ
ェニレンジアミン(OPD)タブレット(シグマ,カタ
ログ番号P8287)1個(10mg)を溶解して調製した基
質液100μlずつを各ウェルに滴下し、室温にて遮光
下で30分間放置した後、各ウェルの492nmの吸光
度をマイクロプレートリーダー(東ソー,MPR−A4
i型)にて測定した。抗体価の上昇が確認された血清を
抗ヒトHSP47ポリクローナル抗体として以下の実施
例に用いた。
【0032】(3)ウェスタンブロット法による抗HS
P47ポリクローナル抗体特性の評価 Laemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Nat
ure", 283 : pp.249-256, 1970)を用いて、HeLa細
胞のライセートのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動を、以下の方法に従って
行った。濃縮ゲルの調製は次のように行った。蒸留水
6.1ml、0.5Mトリス(バイオ・ラッド,カタロ
グ番号161-0716)−HCl(pH6.8)2.5ml、
10%SDS(バイオ・ラッド,カタログ番号161-030
1)100μl、及び30%アクリルアミド(バイオ・
ラッド,カタログ番号161-0101)/N,N’−メチレン
ビスアクリルアミド(バイオ・ラッド,カタログ番号16
1-0201)1.3mlを混合して、15分間脱気し、10
%過硫酸アンモニウム(バイオ・ラッド,カタログ番号
161-0700)50μl及びN,N,N’,N’−テトラメ
チルエチレンジアミン(以下、TEMEDと略称する)
(バイオ・ラッド,カタログ番号161-0800)10μlを
加えて、濃縮ゲルを調製した。また、分離ゲルの調製は
次のように行った。蒸留水4.045ml、1.5Mト
リス−HCl(pH8.8)2.5ml、10%SDS
100μl、及び30%アクリルアミド/N,N’−メ
チレンビスアクリルアミド3.3mlをゆっくり混合し
て、15分間アスピレータで脱気し、10%過硫酸アン
モニウム50μl、及びTEMED5μlを加えた。泳
動バッファーとしては、トリス9.0g、グリシン(バ
イオ・ラッド,カタログ番号161-0717)43.2g、及
びSDS3.0gに蒸留水を加えて600mlにし、こ
の溶液を蒸留水で5倍希釈したものを用いた。サンプル
バッファーは、蒸留水2ml、2Mトリス−HCl(p
H6.8)500μl、SDS0.32g、β−メルカ
プトエタノール800μl、及び0.05%(w/v)
ブロモフェノールブルー(バイオ・ラッド,カタログ番
号161-0404)400μlを混合したものを用いた。
P47ポリクローナル抗体特性の評価 Laemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Nat
ure", 283 : pp.249-256, 1970)を用いて、HeLa細
胞のライセートのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動を、以下の方法に従って
行った。濃縮ゲルの調製は次のように行った。蒸留水
6.1ml、0.5Mトリス(バイオ・ラッド,カタロ
グ番号161-0716)−HCl(pH6.8)2.5ml、
10%SDS(バイオ・ラッド,カタログ番号161-030
1)100μl、及び30%アクリルアミド(バイオ・
ラッド,カタログ番号161-0101)/N,N’−メチレン
ビスアクリルアミド(バイオ・ラッド,カタログ番号16
1-0201)1.3mlを混合して、15分間脱気し、10
%過硫酸アンモニウム(バイオ・ラッド,カタログ番号
161-0700)50μl及びN,N,N’,N’−テトラメ
チルエチレンジアミン(以下、TEMEDと略称する)
(バイオ・ラッド,カタログ番号161-0800)10μlを
加えて、濃縮ゲルを調製した。また、分離ゲルの調製は
次のように行った。蒸留水4.045ml、1.5Mト
リス−HCl(pH8.8)2.5ml、10%SDS
100μl、及び30%アクリルアミド/N,N’−メ
チレンビスアクリルアミド3.3mlをゆっくり混合し
て、15分間アスピレータで脱気し、10%過硫酸アン
モニウム50μl、及びTEMED5μlを加えた。泳
動バッファーとしては、トリス9.0g、グリシン(バ
イオ・ラッド,カタログ番号161-0717)43.2g、及
びSDS3.0gに蒸留水を加えて600mlにし、こ
の溶液を蒸留水で5倍希釈したものを用いた。サンプル
バッファーは、蒸留水2ml、2Mトリス−HCl(p
H6.8)500μl、SDS0.32g、β−メルカ
プトエタノール800μl、及び0.05%(w/v)
ブロモフェノールブルー(バイオ・ラッド,カタログ番
号161-0404)400μlを混合したものを用いた。
【0033】後述する実施例2に示す方法に基づいてH
eLa細胞を培養し、そのライセートを調製した。得ら
れたHeLa細胞ライセートのSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行った後、0.45μmニトロセル
ロース膜(Schleicher & Schuell,カタログ番号40119
6)にゲルを密着させ、タンパク質転写装置(Trans-Blo
t Electrophoretic Transfer Cell:バイオ・ラッド)
を用いて、室温にて100Vで、3時間ブロッティング
を行った。ブロッティングバッファーとしては0.02
5Mトリス及び0.192MグリシンよりなりpH8.
5に調整されたトリスグリシンバッファー(Tris Gly R
unning and Blotting Buffer;Enprotech,米国マサチュ
ーセッツ州,カタログ番号SA100034)にメチルアルコー
ルを20%になるように加えて調製したバッファーを用
いた。ブロッティング後、5%スキムミルク(雪印乳
業)を含むPBS(−)溶液にニトロセルロース膜を室
温にて30分間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキ
ング後、スクリーナーブロッター(サンプラテック)を
用いて、前項(1)で取得したルーラット血清を1次抗
体として、1次抗体反応を行った。1次抗体反応は、2
%スキムミルク(雪印乳業)を含むPBS(−)にて1
0倍希釈した前記ルーラット血清200μlで、室温に
て120分間行った。1次抗体反応終了後、スロー・ロ
ッキング・シェイカーを用いて、PBS(−)で5分間
の振盪を2回、0.1%Tween20(バイオ・ラッ
ド,カタログ番号170-6531)を含むPBS(−)溶液で
15分間の振盪を4回、更にPBS(−)で5分間の振
盪を2回行うことにより、ニトロセルロース膜を洗浄し
た。洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットI
gG抗体(Southern Biotechnology,カタログ番号3030
-05)を、2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5
000倍に希釈した溶液5mlを用いて、2次抗体反応
を2時間行った。反応終了後、PBS(−)溶液、及び
0.1%Tween20を含むPBS(−)溶液で、1
次抗体反応後の洗浄と同じ条件下にてニトロセルロース
膜の洗浄を行った。
eLa細胞を培養し、そのライセートを調製した。得ら
れたHeLa細胞ライセートのSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行った後、0.45μmニトロセル
ロース膜(Schleicher & Schuell,カタログ番号40119
6)にゲルを密着させ、タンパク質転写装置(Trans-Blo
t Electrophoretic Transfer Cell:バイオ・ラッド)
を用いて、室温にて100Vで、3時間ブロッティング
を行った。ブロッティングバッファーとしては0.02
5Mトリス及び0.192MグリシンよりなりpH8.
5に調整されたトリスグリシンバッファー(Tris Gly R
unning and Blotting Buffer;Enprotech,米国マサチュ
ーセッツ州,カタログ番号SA100034)にメチルアルコー
ルを20%になるように加えて調製したバッファーを用
いた。ブロッティング後、5%スキムミルク(雪印乳
業)を含むPBS(−)溶液にニトロセルロース膜を室
温にて30分間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキ
ング後、スクリーナーブロッター(サンプラテック)を
用いて、前項(1)で取得したルーラット血清を1次抗
体として、1次抗体反応を行った。1次抗体反応は、2
%スキムミルク(雪印乳業)を含むPBS(−)にて1
0倍希釈した前記ルーラット血清200μlで、室温に
て120分間行った。1次抗体反応終了後、スロー・ロ
ッキング・シェイカーを用いて、PBS(−)で5分間
の振盪を2回、0.1%Tween20(バイオ・ラッ
ド,カタログ番号170-6531)を含むPBS(−)溶液で
15分間の振盪を4回、更にPBS(−)で5分間の振
盪を2回行うことにより、ニトロセルロース膜を洗浄し
た。洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットI
gG抗体(Southern Biotechnology,カタログ番号3030
-05)を、2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5
000倍に希釈した溶液5mlを用いて、2次抗体反応
を2時間行った。反応終了後、PBS(−)溶液、及び
0.1%Tween20を含むPBS(−)溶液で、1
次抗体反応後の洗浄と同じ条件下にてニトロセルロース
膜の洗浄を行った。
【0034】余分なPBS(−)溶液を除去した後、ウ
ェスタンブロッティング検出試薬(ECL Western blotti
ng detection reagent;アマーシャム,カタログ番号RP
N2106)をニトロセルロース膜上に振りかけ、1分間室温
にて静置した後、余分な検出試薬を除去し、ニトロセル
ロース膜をラップに包み、反応面をX線フィルム(コダ
ック X-OMAT, AR カタログ番号165 1454)に密着させて
露光させた。現像後、HSP47に相当する分子量47
キロダルトン付近のバンドを測定することによって、抗
HSP47ポリクローナル抗体の反応性の検討を行っ
た。抗体価の上昇が確認された血清を、抗ヒトHSP4
7ポリクローナル抗体として、以下の実施例に用いた。
ェスタンブロッティング検出試薬(ECL Western blotti
ng detection reagent;アマーシャム,カタログ番号RP
N2106)をニトロセルロース膜上に振りかけ、1分間室温
にて静置した後、余分な検出試薬を除去し、ニトロセル
ロース膜をラップに包み、反応面をX線フィルム(コダ
ック X-OMAT, AR カタログ番号165 1454)に密着させて
露光させた。現像後、HSP47に相当する分子量47
キロダルトン付近のバンドを測定することによって、抗
HSP47ポリクローナル抗体の反応性の検討を行っ
た。抗体価の上昇が確認された血清を、抗ヒトHSP4
7ポリクローナル抗体として、以下の実施例に用いた。
【0035】実施例2:ヒト培養癌細胞のHSP発現量
の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 ヒト培養子宮癌細胞株HeLa S3(ATCC CC
L 2.2)を、5%二酸化炭素条件下で、熱ショック
処理時以外は、37℃で、10%非働化ウシ胎児血清
(FBS)を含むMEM培地にて培養した。
の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 ヒト培養子宮癌細胞株HeLa S3(ATCC CC
L 2.2)を、5%二酸化炭素条件下で、熱ショック
処理時以外は、37℃で、10%非働化ウシ胎児血清
(FBS)を含むMEM培地にて培養した。
【0036】(2)フェルラ酸処理及び熱ショック処理 播種2日後の培養ヒト子宮癌細胞株HeLa S3の培
地中に、最終濃度100μMになるようにフェルラ酸
(キシダ化学,カタログ番号268−38963)を添
加し、24時間培養した。その後、45℃にて15分間
熱ショック処理をしてから、37℃にて終夜培養した。
対照試験は、フェルラ酸を添加しないこと以外は前記と
同様に実施した。
地中に、最終濃度100μMになるようにフェルラ酸
(キシダ化学,カタログ番号268−38963)を添
加し、24時間培養した。その後、45℃にて15分間
熱ショック処理をしてから、37℃にて終夜培養した。
対照試験は、フェルラ酸を添加しないこと以外は前記と
同様に実施した。
【0037】(3)ヒト培養癌細胞でのHSP発現量の
測定 前項(2)で処理した細胞を、以下に示す方法によりホ
モジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法に
て測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞をP
BS(−)で洗浄した後、ライシスバッファー(lys
is buffer)〔1.0%NP−40、0.15
M塩化ナトリウム、50mMトリス−HCl(pH8.
0)、5mM−EDTA、2mM−N−エチルマレイミ
ド、2mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、2μ
g/mlロイペプチン及び2μg/mlペプスタチン〕
1mlを加え、氷上で20分間静置した。その後、4℃
で12000rpmにて、20分間、遠心を行った。遠
心後の上清10μlをPBS(−)790μlに加え、
更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reagent Concentr
ate : バイオラッド,カタログ番号500-0006)200μ
lを加えた。5分間、室温にて静置した後、595nm
で吸光度を測定してタンパク質定量を行った。タンパク
質定量を行った試料を用いて、Laemmliのバッフ
ァー系にて、等量のタンパク質を含むライセートのSD
Sポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電気泳動
後、実施例1で述べた方法に従って、ブロッティング及
びそれに続くブロッキングを行った。すなわち、タンパ
ク質転写装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer
Cell:バイオ・ラッド)を用いて、室温にて100Vに
て、0.45μmニトロセルロース膜(Schleicher & S
chuell,カタログ番号401196)にゲルを密着させ、3時
間ブロッティングを行った。ブロッティングバッファー
としては、前記実施例1(3)で用いたバッファーと同
じものを用いた。ブロッティング後、ニトロセルロース
膜を10%スキムミルク(雪印乳業)−PBS(−)溶
液に室温にて30分間、インキュベートし非特異的結合
をブロックした。
測定 前項(2)で処理した細胞を、以下に示す方法によりホ
モジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法に
て測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞をP
BS(−)で洗浄した後、ライシスバッファー(lys
is buffer)〔1.0%NP−40、0.15
M塩化ナトリウム、50mMトリス−HCl(pH8.
0)、5mM−EDTA、2mM−N−エチルマレイミ
ド、2mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、2μ
g/mlロイペプチン及び2μg/mlペプスタチン〕
1mlを加え、氷上で20分間静置した。その後、4℃
で12000rpmにて、20分間、遠心を行った。遠
心後の上清10μlをPBS(−)790μlに加え、
更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reagent Concentr
ate : バイオラッド,カタログ番号500-0006)200μ
lを加えた。5分間、室温にて静置した後、595nm
で吸光度を測定してタンパク質定量を行った。タンパク
質定量を行った試料を用いて、Laemmliのバッフ
ァー系にて、等量のタンパク質を含むライセートのSD
Sポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電気泳動
後、実施例1で述べた方法に従って、ブロッティング及
びそれに続くブロッキングを行った。すなわち、タンパ
ク質転写装置(Trans-Blot Electrophoretic Transfer
Cell:バイオ・ラッド)を用いて、室温にて100Vに
て、0.45μmニトロセルロース膜(Schleicher & S
chuell,カタログ番号401196)にゲルを密着させ、3時
間ブロッティングを行った。ブロッティングバッファー
としては、前記実施例1(3)で用いたバッファーと同
じものを用いた。ブロッティング後、ニトロセルロース
膜を10%スキムミルク(雪印乳業)−PBS(−)溶
液に室温にて30分間、インキュベートし非特異的結合
をブロックした。
【0038】ブロッキング後、スクリーナーブロッター
(サンプラテック)を用いて、ニトロセルロース膜の上
で、実施例1にて製造した抗ヒトHSP47ラットポリ
クローナル抗体により、1次抗体反応を行った。その
後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて2回
の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって行
い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バイ
オ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間ず
つ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的に、
PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。洗浄
終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体
(Southern Biotechnology,カタログ番号3030-05)を、
2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍
に希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、
2次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース
膜に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変え
て2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶
液で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロ
ッキング・シェイカーにより行った。最後にPBS
(−)溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なP
BS(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティン
グ検出試薬(ECL Westernblotting detection reagen
t;Amersham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロー
ス膜上に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分
な検出試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包
み、反応面をX線フィルム(コダック X-OMAT,AR,カタ
ログ番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHS
P47の有無の検討を行った。その結果によれば、フェ
ルラ酸は子宮癌細胞株HeLa S3においてHSP4
7の発現を抑制した。すなわち、フェルラ酸は、HSP
47の発現を抑制するHSP47合成抑制剤の活性を有
するものと結論づけられ、この事実は、フェルラ酸が細
胞外マトリックス産生の亢進に抑制的に働くことを示し
ている。
(サンプラテック)を用いて、ニトロセルロース膜の上
で、実施例1にて製造した抗ヒトHSP47ラットポリ
クローナル抗体により、1次抗体反応を行った。その
後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて2回
の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって行
い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バイ
オ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間ず
つ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的に、
PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。洗浄
終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体
(Southern Biotechnology,カタログ番号3030-05)を、
2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍
に希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、
2次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース
膜に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変え
て2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶
液で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロ
ッキング・シェイカーにより行った。最後にPBS
(−)溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なP
BS(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティン
グ検出試薬(ECL Westernblotting detection reagen
t;Amersham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロー
ス膜上に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分
な検出試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包
み、反応面をX線フィルム(コダック X-OMAT,AR,カタ
ログ番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHS
P47の有無の検討を行った。その結果によれば、フェ
ルラ酸は子宮癌細胞株HeLa S3においてHSP4
7の発現を抑制した。すなわち、フェルラ酸は、HSP
47の発現を抑制するHSP47合成抑制剤の活性を有
するものと結論づけられ、この事実は、フェルラ酸が細
胞外マトリックス産生の亢進に抑制的に働くことを示し
ている。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のHSP4
7合成抑制剤は、例えば、肝硬変、間質性肺疾患、慢性
腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や
熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性
瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞
外マトリックス産生の亢進の病態を示す病気に罹患した
細胞にみられるコラーゲン合成亢進を改善する作用を有
する。従って、本発明によるHSP47合成抑制剤を投
与することにより、臓器、組織の線維化、硬化が阻止さ
れ、その結果、前記病気の患者の生理学的状態を有効に
改善させ、前記病気を効果的に治療することができる。
また、本発明のHSP47合成抑制剤は、血管新生の異
常増殖を伴う各種疾患の予防治療にも有用である。更
に、I型コラーゲンとフィブロネクチンを基本骨格とす
る間質が、癌の転移において離脱した癌細胞が近傍の脈
管に侵入するまでのガイド役を果たすことが、明らかと
なっているので、本発明のHSP47合成抑制剤を投与
することにより、癌の転移を抑制することも可能であ
る。
7合成抑制剤は、例えば、肝硬変、間質性肺疾患、慢性
腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や
熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性
瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞
外マトリックス産生の亢進の病態を示す病気に罹患した
細胞にみられるコラーゲン合成亢進を改善する作用を有
する。従って、本発明によるHSP47合成抑制剤を投
与することにより、臓器、組織の線維化、硬化が阻止さ
れ、その結果、前記病気の患者の生理学的状態を有効に
改善させ、前記病気を効果的に治療することができる。
また、本発明のHSP47合成抑制剤は、血管新生の異
常増殖を伴う各種疾患の予防治療にも有用である。更
に、I型コラーゲンとフィブロネクチンを基本骨格とす
る間質が、癌の転移において離脱した癌細胞が近傍の脈
管に侵入するまでのガイド役を果たすことが、明らかと
なっているので、本発明のHSP47合成抑制剤を投与
することにより、癌の転移を抑制することも可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/78 ABG A61K 35/78 ABG ABX ABXU
Claims (3)
- 【請求項1】 フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩を有効成分として含有する
ことを特徴とする、分子量47キロダルトンの熱ショッ
クタンパク質の合成抑制剤。 - 【請求項2】 フェルラ酸若しくはその誘導体又はそれ
らの薬剤学的に許容される塩を含有する植物の抽出物を
有効成分として含有することを特徴とする、分子量47
キロダルトンの熱ショックタンパク質の合成抑制剤。 - 【請求項3】 コメの抽出物を有効成分として含有する
ことを特徴とする、分子量47キロダルトンの熱ショッ
クタンパク質の合成抑制剤。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7211274A JP2933511B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | フェルラ酸含有hsp47合成抑制剤 |
CA002175985A CA2175985A1 (en) | 1995-05-10 | 1996-05-07 | Pharmaceutical composition containing substance inhibiting hsp47 production |
AU52140/96A AU689036B2 (en) | 1995-05-10 | 1996-05-07 | Pharmaceutical composition containing substance inhibiting HSP47 production |
EP96107224A EP0742012A3 (en) | 1995-05-10 | 1996-05-08 | Pharmaceutical composition containing substance inhibiting HSP47 production |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7211274A JP2933511B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | フェルラ酸含有hsp47合成抑制剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0940553A true JPH0940553A (ja) | 1997-02-10 |
JP2933511B2 JP2933511B2 (ja) | 1999-08-16 |
Family
ID=16603217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7211274A Expired - Lifetime JP2933511B2 (ja) | 1995-05-10 | 1995-07-28 | フェルラ酸含有hsp47合成抑制剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2933511B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003514835A (ja) * | 1999-11-17 | 2003-04-22 | ディ・エスジー・ライセンシング・コーポレイション | 瘢痕を治療する方法と組成物 |
JP2013079215A (ja) * | 2011-10-04 | 2013-05-02 | Nihon Univ | 口腔癌細胞浸潤阻害剤 |
-
1995
- 1995-07-28 JP JP7211274A patent/JP2933511B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003514835A (ja) * | 1999-11-17 | 2003-04-22 | ディ・エスジー・ライセンシング・コーポレイション | 瘢痕を治療する方法と組成物 |
JP4759902B2 (ja) * | 1999-11-17 | 2011-08-31 | ディ・エスジー・ライセンシング・コーポレイション | 瘢痕を治療する方法と組成物 |
JP2013079215A (ja) * | 2011-10-04 | 2013-05-02 | Nihon Univ | 口腔癌細胞浸潤阻害剤 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2933511B2 (ja) | 1999-08-16 |
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