JPH09227365A - ジンゲロール含有hsp47合成抑制剤 - Google Patents

ジンゲロール含有hsp47合成抑制剤

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JPH09227365A
JPH09227365A JP8065568A JP6556896A JPH09227365A JP H09227365 A JPH09227365 A JP H09227365A JP 8065568 A JP8065568 A JP 8065568A JP 6556896 A JP6556896 A JP 6556896A JP H09227365 A JPH09227365 A JP H09227365A
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zingerol
gingerol
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collagen
suppressor
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Masayoshi Morino
眞嘉 森野
Tomoko Tsuzuki
智子 都築
Hiroko Iijima
弘子 飯島
Toshimi Shiragami
俊美 白神
Yoichi Shobu
洋一 清輔
Makoto Yoshimura
真 吉村
Chikao Yoshikumi
親雄 吉汲
Nagahiro Saijo
長宏 西條
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コラーゲン合成を抑制することによって、細
胞外マトリックス産生の亢進の病態を示す病気を治療す
ることができる、分子量47キロダルトンの熱ショック
タンパク質の合成抑制剤を提供する。 【解決手段】 ジンゲロール又はその誘導体を有効成分
として含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジンゲロール又は
その誘導体、特に[6]−ジンゲロールを有効成分とし
て含有する、分子量47キロダルトン(kD)の熱ショ
ックタンパク質(以下、HSP47と称する)の合成抑
制剤に関する。本発明のHSP47合成抑制剤は、特
に、臓器内のコラーゲンの合成を抑制することにより肝
硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥
いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後
に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又
は関節リウマチなどの細胞外マトリックス(細胞外基
質)産生亢進の病態を示す病気の患者の生理学的状態を
有効に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全
(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性
瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、
強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マト
リックス産生亢進の病態を示す病気を効果的に治療する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】近年、コラーゲンなどの細胞外マトリッ
クスの産生の亢進の病態を示す病気が大きな問題となっ
ている。ここでいう細胞外マトリックス産生の亢進の病
態を示す病気とは、例えば肝硬変、間質性肺疾患、慢性
腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や
熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性
瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどを含
む。
【0003】例えば、死亡者がわが国だけでも年間約2
万人にものぼるといわれている肝硬変は、肝臓が結合組
織の増殖のため固くなる病気の総称で、種々の慢性肝疾
患の終末像であるといわれ、肝全体にわたるびまん性の
肝線維症である。すなわち、肝炎などの肝傷害が長期に
及ぶ慢性肝炎においては、線維芽細胞や伊東細胞などの
細胞外マトリックス(特にI型コラーゲン)産生の著し
い亢進を伴い肝臓は線維化する。肝の線維化が慢性的に
進行すると、ますます正常な肝再生は妨害され、肝細胞
に置き換わり、線維芽細胞とI型コラーゲンを主体とす
る細胞外マトリックスが肝組織のかなりの部分を占め、
多くの凝小葉からなる肝硬変に至る。肝硬変の進行に伴
い、線維隔壁が肝全体に進展し、その結果生じる血流の
異常は、肝実質細胞の変性を更に押し進める一因にもな
り、肝硬変における悪循環が続くことになり、更にはア
ルコール、ウイルス、自己免疫等種々の原因によって、
肝臓中に多量の膠質線維が生成され、肝細胞の壊死と機
能消失とが生じ、肝硬変患者は遂には死に至る。I型コ
ラーゲンは正常肝では全タンパク質量の約2%を占める
が、肝硬変となると10〜30%を占めるようになる。
【0004】また、間質性肺疾患は、肺胞及び肺胞管の
みならず、しばしば呼吸細気管支や終末気管支も巻き込
む下部気道の慢性炎症(肺胞炎 alveolitis)とその結果
である間質の線維化と肺胞内線維化を特徴とする疾患群
である。ここでいう間質性肺疾患とは、例えば、間質性
肺炎、肺線維症などのびまん性間質性肺疾患、特発性肺
線維症、透過性肺水腫、膠原病肺、サルコイドーシスな
どを含む。間質性肺疾患においては、線維化組織では細
胞外マトリックスの過剰な産生と蓄積が認められてい
る。すなわち、間質性肺疾患の肺線維化組織では、肥大
した間質に著明なI型及び III型コラーゲンの集積がみ
られており、特に III型コラーゲンは、線維化の早期に
肥厚した肺胞中隔に集積し、病期が進行し、後期にはI
型コラーゲンが増加し、主要なコラーゲンとなる。基底
膜は早期に破壊されており、肺胞腔側へのコラーゲン線
維の侵入が観察される。
【0005】また、慢性腎不全とは慢性腎炎症候群の結
果、腎機能の荒廃により体内の恒常性が維持できなくな
った状態である。慢性腎不全の進行を病理学的にみると
糸球体硬化と間質線維化の進行である。糸球体硬化症
は、メサンギウム領域を中心とした細胞外マトリックス
の増生である。メサンギウム硬化症の成分は正常と比較
し、著明にIV型コラーゲンなどの糸球体基底膜の成分が
増加し、また間質成分であるI型コラーゲンも硬化症部
位に一致して増生している。すなわち、慢性に経過する
糸球体硬化に対しては、細胞外マトリックスの産生亢進
が大きな要因である。ここで慢性腎不全に陥いる疾患と
は、例えばIgA腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性
腎炎、糖尿病性腎症、慢性間質性腎炎、慢性糸球体腎炎
などを含む。その他、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、あるい
は強皮症、動脈硬化等の細胞外マトリックス産生亢進の
病態を示す病気は、何らかの原因によりコラーゲン合成
の異常亢進が起こり、線維化が進んで組織の硬化変化を
生ずることが主要な成因と考えられている。
【0006】また、血管新生においても基底膜及び基底
膜中のコラーゲン合成が、重要な役割をはたすことが指
摘されている(Maragoudakis, E., Sarmonika, M., and
Panoutsacopoulous, M., "J. Pharmacol. Exp. The
r.", 244 : 729, 1988 ; Ingber, D. E., Madri, J.
A., and Folkman, J., "Endocrinology", 119 : 1768,
1986)。血管新生による疾患としては、例えば、糖尿
病性網膜症、後水晶体線維増殖症、角膜移植に伴う血管
新生、緑内症、眼腫瘍、トラコーマ、幹せん、化膿性肉
芽腫、血管腫、線維性血管腫、肥大性はん痕、肉芽、リ
ューマチ性関節炎、浮腫性硬化症、アテローム性動脈硬
化症、各種腫瘍などが知られている。このようにコラー
ゲンなどの細胞外マトリックスの産生の亢進の病態を示
す病気が大きな問題となっているにもかかわらず、従来
では副作用や薬理効果等の種々の面で満足すべき細胞外
マトリックス合成抑制剤(例えば、コラーゲン合成抑制
剤)は未だ開発されていなかったのである。
【0007】一方、熱ショックタンパク質(heat shock
protein;HSP、ストレスタンパク質ともいう)は、
細胞を何らかのストレス、例えば熱、重金属、薬剤、ア
ミノ酸類似体、又は低酸素(低濃度酸素)などで刺激す
ることにより、細胞に発現される一群のタンパク質であ
る。熱ショックタンパク質は、自然界に普遍的に存在し
ており、細菌、酵母、植物、昆虫、及びヒトを含む高等
動物により産生される。HSPは、その種類は多種多様
であるが、分子量の大きさからHSP90ファミリー
(例えば、90kD又は110kDのHSPなど)、H
SP70ファミリー(例えば、70〜73kDのHSP
など)、HSP60ファミリー(例えば、57〜68k
DのHSPなど)、低分子HSPファミリー(例えば、
20kD、25〜28kD、又は47kDのHSPな
ど)の4ファミリーに大別することができる。なお、本
明細書においては、特定分子量を有するHSPを、HS
Pとその直後に記載する数字とによって示すものとし、
例えば、分子量47kDのHSPを『HSP47』と称
するものとする。以上のように、HSPには多くの種類
が存在するが、これらは分子量だけでなく、構造、機
能、又は性質などもそれぞれ異なるものである。ストレ
スへの応答に加えて、これらのタンパク質の中には構成
的に合成されるものがあり、正常な環境の下で、タンパ
ク質のフォールディング、アンフォールディング、タン
パク質サブユニットの会合、タンパク質の膜輸送のよう
な、必須の生理的な役割を演じていることが示されてい
る。熱ショックタンパク質としてのこれらの機能は、分
子シャペロンと称される。
【0008】HSP47は、永田等によって1986年
に発見されたタンパク質で、分子量47キロダルトンの
塩基性タンパク質(pI=9.0)である。HSP47
の発現が増大するにつれて、コラーゲンの合成も増加す
ることが様々な細胞で示されている("J. Biol. Che
m.", 261 : 7531, 1986 ; "Eur. J. Biochem.", 206 :
323, 1992 ; "J. Biol. Chem.", 265 : 992, 1990 ;
"J. Clin. Invest.", 94:2481, 1994)。すなわち、H
SP47は、細胞内で小胞体内でのプロコラーゲンのプ
ロセシング、三重鎖ヘリックス形成、あるいは小胞体か
らゴルジ装置へのプロコラーゲン輸送・分泌という局面
で、コラーゲンの特異的分子シャペロンとして機能して
いるとされているので、増大したHSP47発現は、細
胞外マトリックスにおけるコラーゲン分子の蓄積を刺激
する。このようにコラーゲン結合熱ショックタンパク質
であるHSP47は、発現と同様に機能においても、細
胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンに密接に
関連した熱ショックタンパク質である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢
性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交
通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、
動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリックス
産生亢進の病態を示す病気の患者の生理学的状態を有効
に改善させ、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は
慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、
交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮
症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリッ
クス産生亢進の病態を示す病気を効果的に治療すること
のできる、細胞外マトリックス合成抑制剤を提供するた
めに、種々検討を重ねてきた。
【0010】上記したように、肝硬変、間質性肺疾患、
慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢
痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥
厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの
線維症は臓器内の細胞外マトリックスの著しく増加した
病態が主病変と理解されている。肝硬変、間質性肺疾
患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後
の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に生じるケロイド
や肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は関節リウマチな
どの細胞外マトリックス産生亢進の病態を示す病気に伴
う線維化は、コラーゲン生合成増加やコラーゲン分解能
の低下により生ずると考えられている。例えば、肝の線
維化において、I型、 III型、IV型コラーゲンの合成活
性化が起こるが、特に主要成分であるI型コラーゲンの
合成活性化が重要な意味をもつ。
【0011】こうした状況下で、本発明者らは、意外に
も、ショウキョウの成分であるジンゲロール又はその誘
導体、特に[6]−ジンゲロールが、病態を示す組織の
細胞におけるHSP47の合成を特異的に抑制すること
を見出した。すなわち、ジンゲロール又はその誘導体を
投与することにより、細胞内でのHSP47の合成を抑
制し、臓器内でのコラーゲン合成を抑制し、ひいては肝
硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥
いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後
に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又
は関節リウマチなどの細胞外マトリックス産生亢進の病
態を示す病気の治療が可能であることを見出したのであ
る。本発明はこうした知見に基づくものであり、肝硬
変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥い
る疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に
生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は
関節リウマチなどの細胞外マトリックス産生の亢進の病
態を示す病気を効果的に治療することのできるHSP4
7合成抑制剤であって、細胞内でのコラーゲンの成熟及
び輸送過程に重要な役割を果たしているコラーゲン特異
的な分子シャペロンであるHSP47の合成抑制剤を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、ジン
ゲロール又はその誘導体(特に[6]−ジンゲロール)
を有効成分として含有することを特徴とする、HSP4
7合成抑制剤に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の合成抑制剤は、有効成分としてジンゲロ
ール又はその誘導体を含有する。本明細書においてジン
ゲロールとは、例えば、[3]−ジンゲロール([3]
−gingerol)、[4]−ジンゲロール([4]
−gingerol)、[5]−ジンゲロール([5]
−gingerol)、[6]−ジンゲロール([6]
−gingerol)、[8]−ジンゲロール([8]
−gingerol)、[10]−ジンゲロール([1
0]−gingerol)、又は[12]−ジンゲロー
ル([12]−gingerol)等を意味する。本発
明においては、それらのジンゲロール同族体は、単独で
用いることもできるし、あるいは、異なる複数のジンゲ
ロールを組み合わせて同時に用いることもできる。本発
明の合成抑制剤において用いられるジンゲロールとして
は、特に、[6]−ジンゲロール〔(S)−5−ヒドロ
キシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)
−3−デカノン;C17264 =294.38〕が最も
好適である。[6]−ジンゲロールは、式
【化1】 で表される化合物であり、例えば、ショウキョウ等の生
薬に含まれている。
【0014】本発明の合成抑制剤に含有されるジンゲロ
ール又はその誘導体は、化学合成によって、又は天然物
から抽出して精製することによって、調製することがで
きる。あるいは、市販品を用いてもよい。また、本発明
の合成抑制剤において有効成分として用いるジンゲロー
ルを、天然物から抽出する場合には、ジンゲロールを含
有する植物の全体又は一部分(例えば、全草、葉、根、
根茎、茎、根皮、若しくは花)をそのまま用いて、又は
簡単に加工処理(例えば、乾燥、切断、若しくは粉末
化)したもの(例えば、生薬)を用いて抽出する。抽出
条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制
限はない。
【0015】本発明におけるジンゲロールは、生薬から
抽出する場合、これに限定するものではないが、例えば
ショウキョウから抽出することが好ましい。ショウキョ
ウ(生姜:Ginger;Zingiberis Rh
izoma)とは、ショウガ(Zingiber of
ficinale Roscoe)の根茎の生又は乾燥
物を意味し、それらの部分を単独であるいは任意に組み
合わせて使用することができる。
【0016】本発明による合成抑制剤において有効成分
として用いることのできるショウキョウ抽出物は、前記
のジンゲロール、特には[6]−ジンゲロールを含有し
ていればよく、従って、ショウキョウの粗抽出物を用い
ることができる。本発明で用いるショウキョウ抽出物の
製造方法としては、ショウキョウを、例えば、水(例え
ば、温水、好ましくは熱湯)によって抽出するか、又は
有機溶媒を用いて抽出する。有機溶媒としては、例え
ば、炭素数1〜6のアルコール(例えば、メチルアルコ
ール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、若しくはブチルアルコール)、
脂肪酸エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、若しくは酢酸ブチル)、ケトン(例えば、
アセトン若しくはメチルイソブチルケトン)、エーテ
ル、石油エーテル、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼ
ン、炭化水素のハロゲン誘導体(例えば、四塩化炭素、
ジクロロメタン、若しくはクロロホルム)、ピリジン、
グリコール(例えば、プロピレングリコール、若しくは
ブチレングリコール)、ポリエチレングリコール、又は
アセトニトリルなどを用いることができ、これらの有機
溶媒を単独、又は適宜組み合わせ、一定の比率で混合
し、更には無水又は含水状態で用いることができる。好
ましくは、エチルアルコール−水混合溶媒、エチルアル
コール、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、アセト
ン、又は熱石油エーテル等が望ましい。
【0017】水抽出又は有機溶媒抽出の方法としては、
通常の生薬抽出に用いられる方法を用いることができ、
例えば(乾燥)ショウキョウ1重量部に対し、水又は有
機溶媒5〜300重量部を用いて、攪拌しながら、その
沸点以下の温度で加熱還流することが望ましい。抽出工
程は、通常は5分〜7日間、好ましくは10分〜24時
間実施し、必要に応じて、攪拌等の補助的手段を加える
ことにより、抽出時間を短縮することができる。
【0018】抽出工程終了後、濾過又は遠心分離等の適
当な方法により、水又は有機溶媒抽出液から、不溶物を
分離して粗抽出物を得ることができる。なお、本発明の
合成抑制剤において、天然物より抽出、分画したジンゲ
ロール、特に[6]−ジンゲロールを用いる場合には、
前記の粗抽出物を特に精製することなく、そのまま使用
してもよい。常法による熱水抽出物又は有機溶媒抽出物
の他に、前記の粗抽出物を各種有機溶媒又は吸着剤等に
より、更に処理した精製抽出物も、本発明の合成抑制剤
の有効成分として用いることができる。これらの粗抽出
物及び各種の精製処理を終えた精製抽出物を含むショウ
キョウ抽出物は、抽出したままの溶液を用いても、溶媒
を濃縮したエキスを用いても良いし、溶媒を留去し乾燥
した粉末、更には結晶化して精製したもの、あるいは粘
性のある物質を用いても良く、またそれらの希釈液を用
いることもできる。こうして得られたショウキョウ抽出
物は、ショウキョウに含まれるジンゲロール(例えば、
[3]−ジンゲロール、[4]−ジンゲロール、[5]
−ジンゲロール、[6]−ジンゲロール、[8]−ジン
ゲロール、[10]−ジンゲロール、及び/又は[1
2]−ジンゲロール等)を混合物として含み、同時に原
料のショウキョウに由来する不純物を含んでいる。
【0019】また、ジンゲロール誘導体としては、例え
ば、天然物中に本来含有されているジンゲロール誘導
体、抽出又は分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体、及び化学的修飾を行ったジンゲロー
ル誘導体等が含まれる。天然物中に本来含有されている
ジンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ジンジ
ャージオール([6]−gingerdiol)、
[8]−ジンジャージオール([8]−gingerd
iol)、[10]−ジンジャージオール([10]−
gingerdiol)、メチル[6]−ジンジャージ
オール(methyl[6]−gingerdio
l)、メチル[6]−ジンジャージオールジアセテート
(methyl [6]−gingerdiol di
acetate)、又はデヒドロジンゲロン(dehy
drozingerone)等を挙げることができる。
抽出若しくは分画の際の化学的処理によって変換したジ
ンゲロール誘導体としては、例えば、[6]−ショウガ
オール([6]−shogaol)、[8]−ショウガ
オール([8]−shogaol)、[10]−ショウ
ガオール([10]−shogaol)、又はジンゲロ
ン(zingerone)等を挙げることができる。化
学的修飾を行ったジンゲロール誘導体としては、例え
ば、メチルジンゲロール(methylgingero
l)、ジメチルジンゲロール(dimethylgin
gerol)、又はジニトロフェニルジンゲロール(d
initrophenylgingerol)等を挙げ
ることができる。なお、前記のジンゲロール又はその誘
導体には、立体異性体が存在し、本発明では、それらの
任意の純粋な立体異性体又はそれらの混合物を用いるこ
とができる。
【0020】本発明の合成抑制剤は、ジンゲロール若し
くはその誘導体、又はジンゲロール含有植物、例えば、
ジンゲロール含有生薬(特には、ショウキョウ)より抽
出、分画したジンゲロール含有抽出物を、それ単独で、
又は好ましくは製剤学的若しくは獣医学的に許容するこ
とのできる通常の担体と共に、動物、好ましくは哺乳動
物(特にはヒト)に投与することができる。投与剤型と
しては、特に限定がなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロ
ップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、又は注射
剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、若
しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
【0021】これらの経口剤は、例えば、ゼラチン、ア
ルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳
糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロー
ス、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロ
ース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タル
ク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコー
ル、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸
アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性
剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、
香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防
止剤等を用いて、常法に従って製造することができる。
例えば、[6]−ジンゲロール1重量部と乳糖99重量
部とを混合して充填したカプセル剤などである。
【0022】非経口投与方法としては、注射(皮下、静
脈内等)、又は直腸投与等が例示される。これらのなか
で、注射剤が最も好適に用いられる。例えば、注射剤の
調製においては、有効成分としてのジンゲロール若しく
はその誘導体(特には[6]−ジンゲロール)、又はジ
ンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含有
生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)の他に、例
えば、生理食塩水、リンゲル液等の水溶性溶剤、植物
油、若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ
糖、若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助
剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤等を任意
に用いることができる。また、本発明の合成抑制剤は、
徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて
投与してもよい。例えば、本発明の合成抑制剤をエチレ
ンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、この
ペレットを治療すべき組織中に外科的に移植することが
できる。
【0023】本発明の合成抑制剤は、これに限定される
ものではないが、ジンゲロール又はその誘導体を、0.
01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量
で含有することができる。また、ジンゲロール含有植物
抽出物、例えば、ジンゲロール含有生薬抽出物(特に
は、ショウキョウ抽出物)を有効成分として含有する本
発明の合成抑制剤は、その中に含まれるジンゲロール
(特には、[6]−ジンゲロール)が前記の量範囲にな
るように適宜調整して、調製することができる。なお、
ジンゲロール含有植物抽出物、例えば、ジンゲロール含
有生薬抽出物(特には、ショウキョウ抽出物)を有効成
分として含有する合成抑制剤を、経口投与用製剤とする
場合には、製剤学的に許容することのできる担体を用い
て、製剤化することが好ましい。
【0024】本発明の合成抑制剤を用いる場合の投与量
は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程
度、又は投与方法などにより異なり、特に制限はない
が、[6]−ジンゲロール量として通常成人1人当り1
mg〜10g程度を、1日1〜4回程度にわけて、経口
的に又は非経口的に投与する。更に、用途も医薬品に限
定されるものではなく、種々の用途、例えば、機能性食
品や健康食品として飲食物の形で与えることも可能であ
る。
【0025】
【作用】上記したように、本発明の合成抑制剤に含有さ
れるジンゲロール又はその誘導体、特に[6]−ジンゲ
ロールは、細胞内のHSP47合成を特異的に抑制する
作用があるので、ジンゲロール又はその誘導体を投与す
ると細胞内でのHSP47生合成が特異的に減少し、コ
ラーゲンの生合成が抑制される。その結果、細胞外マト
リックス産生も抑制されることになる。従って、ジンゲ
ロール又はその誘導体は、コラーゲンの増加を伴う細胞
外マトリックス産生亢進の病態を示す病気、例えば肝硬
変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又は慢性腎不全に陥い
る疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢痕、交通事故等の後に
生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強皮症、動脈硬化、又は
関節リウマチなどの予防及び治療に使用することができ
る。すなわち、本発明の合成抑制剤は、コラーゲン特異
的シャペロンであるHSP47の合成を抑制することに
よりコラーゲンの合成を抑制する。
【0026】また、前記のように、血管新生において
も、基底膜及び基底膜中のコラーゲン合成が重要な役割
をはたすことが指摘されているので、本発明の合成抑制
剤は、血管新生の異常増殖に基づく多くの疾患の予防治
療薬として極めて有用であり、先に述べたような各疾
患、すなわち糖尿病性網膜症、後水晶体線維増殖症、角
膜移植に伴う血管新生、緑内症、眼腫瘍、トラコーマ、
乾せん、化膿性肉芽腫、血管腫、線維性血管腫、肥大性
はん痕、肉芽、リューマチ性関節炎、浮腫性硬化症、ア
テローム性動脈硬化症及び各種腫瘍などに用いることが
できる。更に、I型コラーゲンとフィブロネクチンを基
本骨格とする間質(interstitial stroma)が癌の転移に
おいて、離脱した癌細胞が近傍の脈管に侵入するまでの
ガイド役を果たすことが、明らかとなっているので〔"B
IOTHERAPY", 7 (8) : 1181, 1993〕、本発明の合成抑制
剤を投与することにより、癌の転移を抑制することも可
能である。
【0027】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:抗HSP47ポリクローナル抗体の作製 (1)抗HSP47ポリクローナル抗体の調製 ヒトHSP47のN末端から2〜16番目のアミノ酸配
列に対応するアミノ酸15個からなるペプチド〔以下、
ヒトHSP47ペプチド(2−16)と称する;ラット
のHSP47の相当する部分と共通アミノ酸配列を示
す〕を自動ペプチド合成装置(PSSM−8システム,
島津制作所)を用いて作製し、スクシニミジル4−(p
−マレイミドフェニル)ブチレート〔SMPB:Succin
imidyl 4-(p-maleimidophenyl)butyrate〕を架橋剤とし
て用い、常法("Biochemistry", 18:690, 1979)により
ラクトグロブリンと結合させ、感作抗原を作製した。こ
の感作抗原150μgを含むリン酸緩衝生理食塩水〔組
成:KCl=0.2g/l,KH2 PO4 =0.2g/
l,NaCl=8g/l,Na2 HPO4 (無水)=
1.15g/l:以下PBS(−)と称する:コスモバ
イオ,カタログ番号320-01〕0.2mlと、等量のフロ
イント完全アジュバント(ヤトロン,カタログ番号RM60
6-1)とを混和し、得られた混合液0.2mlを、ルーラ
ット(6週齢,雌性:日本クレア)の皮下に投与し、免
疫した。同様の方法で第2次及び第3次免疫を繰り返し
た後、アジュバント(Hunter's TiterMax ; CytRx Corp
oration,米国ジョージア州)を用いて6回免疫感作を行
った。感作動物より採血し、常法により血清を分離して
採取し、以下に示す酵素抗体法(ELISA法)及びウ
ェスタンブロット法によって血清中の抗体価を測定し
た。
【0028】(2)酵素抗体法(ELISA法)による
抗HSP47ポリクローナル抗体特性の評価 前項(1)で調製したヒトHSP47ペプチド(2−1
6)をPBS(−)に溶解し、10μg/mlの濃度の
ペプチド溶液を調製し、リジットアセイプレート(ファ
ルコン,カタログ番号3910)の各ウェルに前記ペプチド
溶液を50μlずつ滴下した。最も外側のウェルにはP
BS(−)50μlのみを入れ、湿潤下で4℃にて一晩
放置した後、前記ペプチド溶液を捨て、PBS(−)を
用いて各ウェルを洗浄した後、1%ウシ血清アルブミン
(以下、BSAと略称する)を含むPBS(−)100
μlを各ウェルに入れ、室温下で1時間放置した。PB
S(−)で3回洗浄した後、前項(1)で取得したルー
ラット血清50μlを各ウェルに入れ、1時間室温にて
放置した。PBS(−)で3回洗浄した後、各ウェルに
2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG5
0μlを入れ、室温下で1時間放置した。PBS(−)
で2回洗浄した後、過酸化水素水4μlを加えた0.1
Mクエン酸バッファー(pH4.5)10mlにo−フ
ェニレンジアミン(OPD)タブレット(シグマ,カタ
ログ番号P8287)1個(10mg)を溶解して調製した基
質液100μlずつを各ウェルに滴下し、室温にて遮光
下で30分間放置した後、各ウェルの492nmの吸光
度をマイクロプレートリーダー(東ソー,MPR−A4
i型)にて測定した。抗体価の上昇が確認された血清を
抗ヒトHSP47ポリクローナル抗体として以下の実施
例に用いた。
【0029】(3)ウェスタンブロット法による抗HS
P47ポリクローナル抗体特性の評価 Laemmliのバッファー系(Laemmli, N. K., "Nat
ure", 283 : pp. 249-256, 1970)を用いて、HeLa細
胞のライセートのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動を、以下の方法に従って
行った。濃縮ゲルの調製は次のように行った。蒸留水
6.1ml、0.5Mトリス(バイオ・ラッド,カタロ
グ番号161-0716)−HCl(pH6.8)2.5ml、
10%SDS(バイオ・ラッド,カタログ番号161-030
1)100μl、及び30%アクリルアミド(バイオ・
ラッド,カタログ番号161-0101)/N,N’−メチレン
ビスアクリルアミド(バイオ・ラッド,カタログ番号16
1-0201)1.3mlを混合して、15分間脱気し、10
%過硫酸アンモニウム(バイオ・ラッド,カタログ番号
161-0700)50μl及びN,N,N’,N’−テトラメ
チルエチレンジアミン(以下、TEMEDと略称する)
(バイオ・ラッド,カタログ番号161-0800)10μlを
加えて、濃縮ゲルを調製した。また、分離ゲルの調製は
次のように行った。蒸留水4.045ml、1.5Mト
リス−HCl(pH8.8)2.5ml、10%SDS
100μl、及び30%アクリルアミド/N,N’−メ
チレンビスアクリルアミド3.3mlをゆっくり混合し
て、15分間アスピレータで脱気し、10%過硫酸アン
モニウム50μl、及びTEMED5μlを加えた。泳
動バッファーとしては、トリス9.0g、グリシン(バ
イオ・ラッド,カタログ番号161-0717)43.2g、及
びSDS3.0gに蒸留水を加えて600mlにし、こ
れを蒸留水で5倍希釈したものを用いた。サンプルバッ
ファーは、蒸留水2ml、2Mトリス−HCl(pH
6.8)500μl、SDS0.32g、β−メルカプ
トエタノール800μl、及び0.05%(w/v)ブ
ロモフェノールブルー(バイオ・ラッド,カタログ番号
161-0404)400μlを混合したものを用いた。
【0030】後述する実施例2に示す方法に基づいてH
eLa細胞を培養し、そのライセートを調製した。得ら
れたHeLa細胞ライセートのSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を行った後、0.45μmニトロセル
ロース膜(Schleicher & Schuell,カタログ番号40119
6)にゲルを密着させ、タンパク質転写装置(Trans-Blo
t Electrophoretic Transfer Cell:バイオ・ラッド)
を用いて、室温にて100Vで、3時間ブロッティング
を行った。ブロッティングバッファーとしては0.02
5Mトリス及び0.192MグリシンよりなりpH8.
5に調整されたトリスグリシンバッファー(Tris Gly R
unning and Blotting Buffer;Enprotech,米国マサチュ
ーセッツ州,カタログ番号SA100034)にメチルアルコー
ルを20%になるように加えて調製したバッファーを用
いた。ブロッティング後、5%スキムミルク(雪印乳
業)を含むPBS(−)溶液にニトロセルロース膜を室
温にて30分間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキ
ング後、スクリーナーブロッター(サンプラテック)を
用いて、前項(1)で取得したルーラット血清を1次抗
体として、1次抗体反応を行った。1次抗体反応は、2
%スキムミルク(雪印乳業)を含むPBS(−)にて1
0倍希釈した前記ルーラット血清200μlで、室温に
て120分間行った。1次抗体反応終了後、スロー・ロ
ッキング・シェイカーを用いて、PBS(−)で5分間
の振盪を2回、0.1%Tween20(バイオ・ラッ
ド,カタログ番号170-6531)を含むPBS(−)溶液で
15分間の振盪を4回、更にPBS(−)で5分間の振
盪を2回行うことにより、ニトロセルロース膜を洗浄し
た。洗浄終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットI
gG抗体(Southern Biotechnology,カタログ番号3030
-05)を、2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5
000倍に希釈した溶液5mlを用いて、2次抗体反応
を2時間行った。反応終了後、PBS(−)溶液、及び
0.1%Tween20を含むPBS(−)溶液で、1
次抗体反応後の洗浄と同じ条件下にてニトロセルロース
膜の洗浄を行った。
【0031】余分なPBS(−)溶液を除去した後、ウ
ェスタンブロッティング検出試薬(ECL Western blotti
ng detection reagent;アマーシャム,カタログ番号RP
N2106)をニトロセルロース膜上に振りかけ、1分間室温
にて静置した後、余分な検出試薬を除去し、ニトロセル
ロース膜をラップに包み、反応面をX線フィルム(コダ
ック X-OMAT, AR カタログ番号165 1454)に密着させて
露光させた。現像後、HSP47に相当する分子量47
キロダルトン付近のバンドを測定することによって、抗
HSP47ポリクローナル抗体の反応性の検討を行っ
た。抗体価の上昇が確認された血清を、抗ヒトHSP4
7ポリクローナル抗体として、以下の実施例に用いた。
【0032】実施例2:ヒト培養癌細胞のHSP発現量
の測定 (1)ヒト培養癌細胞の培養 以下の各種ヒト培養癌細胞を、5%二酸化炭素条件下
で、熱ショック処理時以外は、37℃で培養した。肺癌
細胞株H69(ATCC HTB 119)は、10%
非働化ウシ胎児血清(以下、FBSと略称する)を含む
RPMI1640培地中で培養した。子宮癌細胞株He
La S3(ATCC CCL 2.2)は、10%非
働化FBSを含むMEM培地にて培養した。
【0033】(2)[6]−ジンゲロール処理及び熱シ
ョック処理 播種2日後の前記各種培養ヒト癌細胞の培地中に、最終
濃度100μMになるように[6]−ジンゲロール(松
浦薬業)を添加し、24時間培養した。その後、45℃
にて15分間熱ショック処理をしてから、37℃にて終
夜培養した。対照試験は、[6]−ジンゲロールを添加
しないこと以外は前記と同様に実施した。
【0034】(3)ヒト培養癌細胞でのHSP発現量の
測定 前項(2)で処理した各細胞を、以下に示す方法により
ホモジナイズし、HSP発現量をウェスタンブロット法
にて測定した。すなわち、前項(2)で処理した細胞を
PBS(−)で洗浄した後、ライシスバッファー(ly
sis buffer)〔1.0%NP−40、0.1
5M塩化ナトリウム、50mMトリス−HCl(pH
8.0)、5mM−EDTA、2mM−N−エチルマレ
イミド、2mMフェニルメチルスルホニルフルオリド、
2μg/mlロイペプチン及び2μg/mlペプスタチ
ン〕1mlを加え、氷上で20分間静置した。その後、
4℃で12000rpmにて、20分間、遠心を行っ
た。遠心後の上清10μlをPBS(−)790μlに
加え、更にプロテインアッセイ染色液(Dye Reagent Co
ncentrate : バイオラッド,カタログ番号500-0006)2
00μlを加えた。5分間、室温にて静置した後、59
5nmで吸光度を測定してタンパク質定量を行った。タ
ンパク質定量を行った試料を用いて、Laemmliの
バッファー系にて、等量のタンパク質を含むライセート
のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電
気泳動後、実施例1で述べた方法に従って、ブロッティ
ング及びそれに続くブロッキングを行った。すなわち、
タンパク質転写装置(Trans-Blot Electrophoretic Tra
nsfer Cell:バイオ・ラッド)を用いて、室温にて10
0Vにて、0.45μmニトロセルロース膜(Schleich
er & Schuell,カタログ番号401196)にゲルを密着さ
せ、3時間ブロッティングを行った。ブロッティングバ
ッファーとしては、前記実施例1(3)で用いたバッフ
ァーと同じものを用いた。ブロッティング後、ニトロセ
ルロース膜を10%スキムミルク(雪印乳業)−PBS
(−)溶液に室温にて30分間、インキュベートし非特
異的結合をブロックした。
【0035】ブロッキング後、ニトロセルロース膜の上
で、実施例1にて製造した抗ヒトHSP47ラットポリ
クローナル抗体により、1次抗体反応を行った。その
後、PBS(−)で5分間ずつ、溶液を取り替えて2回
の洗浄をスロー・ロッキング・シェイカーによって行
い、更にPBS(−)−0.1%Tween20(バイ
オ・ラッド,カタログ番号170-6531)溶液で15分間ず
つ、溶液を取り替えて4回の洗浄を行った。最終的に、
PBS(−)で5分間ずつ、2回の洗浄を行った。洗浄
終了後、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体
(Southern Biotechnology,カタログ番号3030-05)を、
2%スキムミルクを含むPBS(−)溶液で5000倍
に希釈して調製した抗体溶液5mlを用いて、2時間、
2次抗体反応を行った。反応終了後、ニトロセルロース
膜に関して、PBS(−)溶液で5分間ずつ溶液を変え
て2回、更にPBS(−)−0.1%Tween20溶
液で15分間ずつ溶液を変えて5回の洗浄をスロー・ロ
ッキング・シェイカーにより行った。最後にPBS
(−)溶液で5分間ずつ2回の洗浄を行った。余分なP
BS(−)溶液を除去した後、ウェスタンブロッティン
グ検出試薬(ECL Westernblotting detection reagen
t;Amersham,カタログ番号RPN2106)をニトロセルロー
ス膜上に振りかけ、1分間インキュベートした後、余分
な検出試薬を除去し、ニトロセルロース膜をラップに包
み、反応面をX線フィルム(コダック X-OMAT,AR,カタ
ログ番号165 1454)に密着させて露光し、現像してHS
P47の有無の検討を行った。結果を表1に示す。表
中、「↓」は、対照に比べて、[6]−ジンゲロール処
理によりHSP47発現量が減少したことを意味する。
【0036】
【表1】癌種 癌細胞 肺 H69 ↓子宮 HeLa S3 ↓
【0037】表1に示すとおり、[6]−ジンゲロール
は、肺癌細胞株H69及び子宮癌細胞株HeLa S3
においてHSP47の発現を抑制した。すなわち、
[6]−ジンゲロールは、HSP47の発現を抑制する
合成抑制剤の活性を有するものと結論づけられ、この事
実は、[6]−ジンゲロールが細胞外マトリックス産生
の亢進に抑制的に働くことを示している。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の合成抑制
剤は、例えば、肝硬変、間質性肺疾患、慢性腎不全(又
は慢性腎不全に陥いる疾患)、術後の瘢痕や熱傷性瘢
痕、交通事故等の後に生じるケロイドや肥厚性瘢痕、強
皮症、動脈硬化、又は関節リウマチなどの細胞外マトリ
ックス産生の亢進の病態を示す病気に罹患した細胞にみ
られるコラーゲン合成亢進を改善する作用を有する。従
って、本発明による合成抑制剤を投与することにより、
臓器、組織の線維化、硬化が阻止され、その結果、前記
病気の患者の生理学的状態を有効に改善させ、前記病気
を効果的に治療することができる。また、本発明の合成
抑制剤は、血管新生の異常増殖を伴う各種疾患の予防治
療にも有用である。更に、I型コラーゲンとフィブロネ
クチンを基本骨格とする間質が、癌の転移において離脱
した癌細胞が近傍の脈管に侵入するまでのガイド役を果
たすことが、明らかとなっているので、本発明の合成抑
制剤を投与することにより、癌の転移を抑制することも
可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/12 ADA A61K 31/12 ADA 35/78 AED 35/78 AEDC (72)発明者 清輔 洋一 東京都新宿区百人町3−26−1−303 (72)発明者 吉村 真 神奈川県川崎市麻生区下麻生1154−91 (72)発明者 吉汲 親雄 東京都国立市東2−19−46 (72)発明者 西條 長宏 東京都目黒区東が丘2−5−28

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジンゲロール又はその誘導体を有効成分
    として含有することを特徴とする、分子量47キロダル
    トンの熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  2. 【請求項2】 ジンゲロールが[6]−ジンゲロールで
    ある、請求項1に記載の分子量47キロダルトンの熱シ
    ョックタンパク質の合成抑制剤。
  3. 【請求項3】 ジンゲロール含有植物の抽出物を有効成
    分として含有することを特徴とする、分子量47キロダ
    ルトンの熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
  4. 【請求項4】 ショウキョウの抽出物を有効成分として
    含有することを特徴とする、分子量47キロダルトンの
    熱ショックタンパク質の合成抑制剤。
JP8065568A 1996-02-27 1996-02-27 ジンゲロール含有hsp47合成抑制剤 Pending JPH09227365A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002028404A1 (en) * 2000-10-03 2002-04-11 Senju Pharmaceutical Co., Ltd. Eye drops
WO2002098405A1 (fr) * 2001-06-05 2002-12-12 Ajinomoto Co., Inc. Inhibiteurs de fibrose du foie
WO2004071534A1 (ja) * 2003-02-17 2004-08-26 Takeda Pharmaceutical Company Limited 腎疾患の予防・治療剤
JP2007126410A (ja) * 2005-11-04 2007-05-24 Seo Hyungu Choi 肝疾患予防及び治療用生薬組成

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