JPH09330966A - シリコン基板中炭素の検出方法 - Google Patents

シリコン基板中炭素の検出方法

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JPH09330966A
JPH09330966A JP16832196A JP16832196A JPH09330966A JP H09330966 A JPH09330966 A JP H09330966A JP 16832196 A JP16832196 A JP 16832196A JP 16832196 A JP16832196 A JP 16832196A JP H09330966 A JPH09330966 A JP H09330966A
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JP
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silicon substrate
carbon
silicon
nitride film
silicon nitride
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JP16832196A
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Katsuhiro Nishihara
克浩 西原
Toshiro Yamamoto
俊郎 山本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CPAA法では、荷電粒子(イオン)の加速
器が必要なため、日常のルーティン分析には適さず、日
常のルーティン分析に用いられ、最も簡便にシリコン基
板中炭素を検出し得る室温FT−IR法では高感度の検
出が困難である。また、低温FT−IR法では試料の形
状が限定されるため通常市販されている形状のシリコン
基板中炭素のルーティン分析には採用することができな
い。 【解決手段】 シリコン基板2に対して、まず窒素雰囲
気中で600〜800(℃)×4〜64時間の熱処理を
行い、該熱処理により形成された窒化珪素膜12を除去
した後、リング状の窒化珪素膜12を形成し、その後酸
素雰囲気中で1000〜1200(℃)×4〜64時間
の熱処理を行った後、リング状の窒化珪素膜12を除去
して、フーリエ変換型赤外吸収(FT−IR)法により
室温でシリコン基板2中の炭素を検出することを特徴と
するシリコン基板中炭素の検出方法を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリコン基板中炭素
の検出方法に関し、より詳細にはLSI等の半導体デバ
イス用基板として用いられるシリコン基板中炭素の検出
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、LSI等の半導体デバイス用基板
として用いられるシリコン基板の大部分は、チョクラル
スキー法(以下「CZ法」と記す)と呼ばれる引き上げ
方法によって形成された単結晶シリコン(以下「CZシ
リコン」と記す)から製造されている。
【0003】CZ法では高純度多結晶シリコンをカーボ
ンヒータを用いて溶融させるため、製造されたシリコン
基板中には、原料となる高純度半導体多結晶シリコンの
溶融時、及び/又は前記CZシリコンの引き上げ時、不
純物として混入した炭素が存在している。
【0004】前記シリコン基板中炭素は、シリコン基
板中の酸素析出を増速する。ニュードナーを形成す
る。デバイスプロセス中に欠陥を発生させる等、シリ
コン基板の結晶特性あるいは電気特性に大きな影響を及
ぼす。従って、前記シリコン基板中の炭素を高感度に検
出することはシリコン基板の結晶特性及び電気特性を評
価する上で非常に重要である。
【0005】シリコン基板中炭素の検出方法としては、
(1)荷電粒子放射化分析(CPAA:Charged Partic
le Activation Analysis)法、(2)赤外吸収法、
(3)二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion
Mass Spectroscopy )法などがある。これら検出方法の
特徴を以下に示す(参考文献:例えば、高柳邦夫ら監
修「半導体計測評価事典」(1994)(株)サイエンスフ
ォーラム、阿部孝夫「シリコン結晶成長とウエーハ加
工」(1994)培風館、小間篤ら「シリコンの物性と評
価法」(1987)丸善)。
【0006】 (1)荷電粒子放射化分析(CPAA)法 利用する核反応 :12C(3 He,α)11C 検出される炭素の状態:全含有炭素、又は溶解炭素とSiC集合体の一部 検出限界 :2.5×1014(atoms/cm3 ) 特徴 :標準試料を必要としない定量評価 (2)赤外吸収法(フーリエ変換型) 吸収波数 :607(cm-1) 検出される炭素の状態:置換位置の炭素 検出限界 :2.5×1015(atoms/cm3 )(室温、 old ASTM) 5.0×1014(atoms/cm3 )(77k 以下、old ASTM) 特徴 :標準試料を用いた相対定量評価 (3)二次イオン質量分析法(SIMS) 検出イオン :12C- 検出される炭素の状態:全含有炭素 検出限界 :2×1016(atoms/cm3 ) 特徴 :深さ方向分析、標準試料を用いた定量評価 上記検出方法(1)〜(3)は目的に応じて使い分けら
れている。最も高感度の検出が可能なCPAA法(上記
(1))は、他の検出方法に用いる検量線の作成や標準
試料の濃度決定等のために採用される場合が多く、シリ
コン基板中炭素のルーティン分析には、CPAA法によ
り補償された検量線や標準試料を用いるフーリエ変換型
赤外吸収(FT−IR:Fourier Transform Infrared s
pectroscopy )法(上記(2)。以下、FT−IR法と
記す)が採用される場合が多い。また、炭素濃度の深さ
方向分布の検出にはSIMS法(上記(3))が採用さ
れる場合が多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記C
PAA法によれば最も高感度にシリコン基板中炭素を検
出できる一方、荷電粒子(イオン)の加速器が必要なた
め、日常のルーティン分析には適さない。また、日常の
ルーティン分析に用いられ、最も簡便にシリコン基板中
炭素を検出し得る室温FT−IR法は、上記したように
その検出下限が2.5×1015(atoms/cm3
(old ASTM)であるため、通常市販されている
シリコン基板中に含まれている炭素(2.5×10
15(atoms/cm3 )程度以下)は検出できないと
いった課題があった。
【0008】そこでシリコン基板を液体窒素温度(77
k)以下まで冷却し、検出下限を5.0×1014(at
oms/cm3 )(old ASTM)にまで広げた低
温FT−IR法(上記(2))によりシリコン基板中炭
素が高感度にかつ簡便に検出されてきた。しかしながら
前記低温FT−IR法は測定できる試料の形状が縦15
(mm)×横15(mm)×厚さ1(mm)程度に限定
されるため、通常市販されている形状のシリコン基板中
炭素のルーティン分析には採用することができないとい
った課題があった。
【0009】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、シリコン基板の形状を限定することなく、かつ冷却
することなく、シリコン基板中炭素を簡便にかつ高感度
に検出することが可能なシリコン基板中炭素の検出方法
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係るシリコン基板中炭素の検出
方法(1)は、シリコン基板に対して、まず窒素雰囲気
中で600〜800(℃)×4〜64時間の熱処理(以
下、第1熱処理と記す)を行い、該第1熱処理により形
成された窒化珪素膜を除去した後、リング状の窒化珪素
膜を形成し、その後酸素雰囲気中で1000〜1200
(℃)×4〜64時間の熱処理(以下、第2熱処理と記
す)を行った後、前記リング状の窒化珪素膜を除去し
て、FT−IR法により室温でシリコン基板中の炭素を
検出することを特徴としている。
【0011】一般にシリコン中の炭素は置換位置炭素原
子(Cs)、格子間炭素原子(Ci)、SiC、炭素ク
ラスタ等の状態で存在するが、このうち赤外吸収法で検
出されるのは置換位置炭素原子(Cs)のみである。
【0012】上記シリコン基板中炭素の検出方法(1)
によれば、前記第1熱処理によってシリコン基板内でO
i−Ci複合体の形成が促進され、その後の前記第2熱
処理によってシリコン基板内の前記Oi−Ci複合体や
SiC、炭素クラスタ等における炭素が解離して格子間
炭素原子(Ci)となる。また、前記窒化珪素が形成さ
れていない箇所においては前記格子間炭素原子(Ci)
が酸化珪素/シリコン界面から供給された格子間シリコ
ンによって増速拡散され、前記窒化珪素が形成されてい
る箇所においては前記格子間炭素原子(Ci)が窒化珪
素/シリコン界面から供給された空孔と結合して置換位
置炭素原子(Cs)となる。このように前記窒化珪素膜
の形成箇所においては、前記第2熱処理により生成及び
増速拡散された格子間炭素原子(Ci)が置換位置炭素
原子(Cs)となって安定化するため、窒化珪素膜を形
成していない箇所に比べて置換位置炭素原子濃度が高く
なり、シリコン基板中に均一分布していた置換位置炭素
原子が窒化珪素膜の形成箇所に凝集したことになる。つ
まり、シリコン基板全体に均一分布していたため室温F
T−IR法の検出下限以下であった置換位置炭素原子
が、窒化珪素膜形成箇所に凝集されることによって、室
温FT−IR法で検出可能となったのである。よって、
CPAA法等で上記室温FT−IR法の検出下限以下の
炭素濃度が決定された標準試料を用い、該標準試料を基
に本発明に係るシリコン基板中炭素の検出方法による検
量線を作成することにより、前記室温FT−IR法の検
出下限以下の濃度のシリコン基板中炭素を評価すること
ができる。
【0013】このように、室温FT−IR法によっても
十分な感度の相対評価を行うことができることから、低
温FT−IR法を採用する必要がなく、シリコン基板を
冷却するための冷媒を必要としないためその経費を削減
することができる。また、シリコン基板をウエハ形状の
まま測定試料とすることができ、シリコン基板の日常的
な抜き取り炭素濃度検出を行うことができる。
【0014】また、同心円状の濃度勾配を有する炭素を
含有するシリコン基板の場合、形成する窒化珪素膜のリ
ングの幅及び位置、第2熱処理時間等を制御することに
より、前記窒化珪素膜内外の炭素濃度分布を簡便に見積
もることができる。
【0015】また、通常の赤外吸収法で検出可能な炭素
濃度を有するシリコン基板に対し本発明に係る方法によ
り炭素を検出した場合は、前記窒化珪素膜がシリコン基
板中の炭素に及ぼす影響(置換位置炭素原子を凝集する
ことにより生じる窒化珪素を形成した箇所と、形成して
いない箇所の置換位置炭素の濃度勾配(あるいは濃度分
布))を見積り得るため、前記窒化珪素膜の形成箇所と
置換位置炭素濃度勾配(面内あるいは径方向分布)の関
係を調べ、前記窒化珪素膜の形成箇所を変えることによ
り、シリコン基板中置換位置炭素の相対分布を調べるこ
とができる。
【0016】さらに、室温FT−IR法におけるシリコ
ン基板中炭素の検出感度を通常の場合より向上させるこ
とができるため、これまで前記室温FT−IR法では検
出できなかった微量の炭素がシリコン基板の結晶特性や
電気特性にどのような影響を及ぼすのかを究明し得る。
また、前記微量の炭素を含有する高品質のシリコン基板
を確認し得るため、高品質のLSIを製造歩留まりよく
製造することができる。
【0017】また、本発明に係るシリコン基板中炭素の
検出方法(2)は、上記シリコン基板中炭素の検出方法
(1)において、炭素を含むシリコン基板を400
(℃)以下の温度範囲に維持し、スパッタ法またはCV
D法により前記シリコン基板の表面または裏面に窒化珪
素膜をリング状に形成することを特徴としている。
【0018】シリコン基板上に窒化珪素膜を形成する時
の基板温度が400(℃)を超える温度に維持されてい
ると、前記シリコン基板中に電気的に活性なサーマルド
ナー、ニューサーマルドー、ニュードナー等の欠陥が発
生しやすい。該欠陥の生成にはシリコン基板中炭素が大
きな影響を及ぼし、かつこれらの欠陥の生成によってシ
リコン基板中炭素濃度も大きく変化する。
【0019】上記シリコン基板中炭素の検出方法(2)
によれば、炭素を含むシリコン基板が400(℃)以下
の温度範囲に維持されるため、前記欠陥が発生しにく
く、該欠陥の生成によってシリコン基板中炭素濃度が大
きく変化することはない。よってシリコン基板中炭素の
正確な検出を可能とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るシリコン基板
中炭素の検出方法の実施の形態を図面に基づいて説明す
る。
【0021】<第1熱処理>まず、所望の直径を有し、
両面が研磨されたシリコン基板に窒素雰囲気中で600
〜800(℃)×4〜64時間の第1熱処理を施し、熱
窒化珪素膜を形成する。
【0022】一般にシリコン基板中の炭素は置換位置炭
素原子(Cs)、格子間炭素原子(Ci)、SiC、炭
素クラスタ等の状態で存在するが、このうち赤外吸収法
で検出できるのは置換位置炭素原子(Cs)のみであ
る。上記第1熱処理によれば、600〜800(℃)×
4〜64時間の第1熱処理が行われるため、格子間酸素
原子(Oi)1個と格子間炭素原子2〜3個からなるO
i−Ci複合体の形成が促進される。この第1熱処理で
形成されたOi−Ci複合体は第2熱処理で解離して、
格子位置炭素原子(Ci)になりやすい。そして、この
格子位置炭素原子が窒化珪素膜の形成と第2熱処理によ
り、効率よく窒化珪素膜形成箇所で置換位置炭素原子
(Cs)となる。
【0023】前記Oi−Ci複合体を効率よく形成する
には前記第1熱処理温度を750〜800℃の範囲にす
るのがより好ましい。一方、前記第1熱処理温度が60
0℃に満たない場合は前記Oi−Ci複合体の形成が思
うように促進されず、他方、前記第1熱処理温度が80
0℃を超える場合は、Oi−Ci複合体の形成よりも酸
素析出(Si−Oxの形成)が支配的となる。
【0024】<リング状の窒化珪素膜の形成>次に前記
熱窒化珪素膜を弗酸洗浄により除去し、前記熱窒化珪素
膜が全面除去された前記シリコン基板の温度を400℃
以下に維持しつつ、前記シリコン基板の表面又は裏面上
に、以下に示すように例えばスパッタ法でリング状の窒
化珪素膜を形成する。
【0025】スパッタ装置としては、例えばターゲット
を下側、前記シリコン基板を上側に配置するいわゆるス
パッタアップ方式二極平板型高周波二極スパッタ装置を
使用する。前記スパッタ装置においてはターゲット近傍
にターゲット選択用のターゲットマスクが装備され、前
記ターゲットと前記シリコン基板との中間位置には膜厚
制御用のシャッターが装備されているのが一般的であ
る。
【0026】前記ターゲットとしては、形成される窒化
珪素膜と略同一組成を有する窒化珪素化合物焼結体ター
ゲットを用い、スパッタ気体には高純度のArガス等を
使用する。
【0027】図1(a)は前記シリコン基板上に前記所
定形状の窒化珪素膜を形成する際に用いられる治具を示
した模式的斜視図であり、(b)は前記治具に前記シリ
コン基板が取り付けられた状態を示した模式的側断面図
である。
【0028】図中1は所定径を有する高純度単結晶シリ
コン基板を示しており、高純度単結晶シリコン基板1上
にはこれと同一中心となるよう、試料としての炭素を含
むシリコン基板2が載置されている。また、この高純度
単結晶シリコン基板1上のシリコン基板2を上方から抑
え込むように高純度単結晶シリコン製の治具3が配置さ
れている。治具3は平面視リング形状の部分4とこの部
分4の中空部4Aに配置された平面視円形状の部分5と
がそれぞれの上面4aと上面5aにおいて連結部材6a
〜6dにより連結された構成となっている。連結部材6
a〜6dは側面視コの字形状をしており、例えば隣の連
結部材(6a〜6dのうちのいずれか)とその長さ方向
が直角になるよう配置されている。部分4の内周部及び
部分5の外周部はいずれも鉤状に削り込まれた形状とな
っており、これら鉤状部4b、5bの先端がシリコン基
板2の面2aと当接することによりシリコン基板2が高
純度単結晶シリコン基板1上に抑え込まれるようになっ
ている。
【0029】このように構成された治具3を用いること
により、シリコン基板2は図示しないスパッタ装置の上
側に治具3を下にして取り付けられる。また、取り付け
られた際にシリコン基板2における鉤状部4b−5b間
リング状領域である面2bが前記ターゲット方向に露出
するため、形成される窒化珪素膜は面2b同様リング状
となる。
【0030】一般にシリコン基板2上に窒化珪素膜等の
薄膜を形成すると、形成された薄膜中には膜応力が生じ
る。
【0031】図2は、炭素を含むシリコン基板2の裏面
11a上に薄膜12が形成された状態を示す部分断面図
(図中右側部分)であり、薄膜12の膜応力(引張応
力)σf がシリコン基板2に及ぼす応力の基板断面方向
分布(図中左側部分)を併せて示している。
【0032】膜応力σf は下記の数2式で示される。
【0033】
【数2】 σf =σt +σi (σt :熱応力、σi :薄膜12固有の内部応力) ここで、熱応力σt は下記の数3式で示される。
【0034】
【数3】 σt =σt1+σt2 (σt1:変形前後の温度差及び薄膜12とシリコン基板
2との線膨張係数及びヤング率の違い(バイメタル効
果)による熱応力 σt2:シリコン基板2の薄膜12形成側とその反対側と
の温度差による熱応力) バイメタル効果による熱応力σt1は下記の数4式で示さ
れる。
【0035】
【数4】
【0036】シリコン基板2の表面11bと裏面11a
との温度差による熱応力σt2は下記の数5式で示され
る。
【0037】
【数5】
【0038】また、薄膜12固有の内部応力σi は下記
の数6式で示される。
【0039】
【数6】
【0040】薄膜12が上記膜応力σf を有しているこ
とにより、シリコン基板2の裏面11aには応力σs
働く。シリコン基板2の厚さをts 、薄膜12の厚さを
fとすると、応力σf と応力σs との関係は、下記の
数7式で示される。
【0041】
【数7】
【0042】すなわち薄膜12が応力σf を有している
ことによりシリコン基板2の裏面11aにはσs (<σ
f )の応力が働く。この応力σs は裏面11aから厚さ
方向に(2/3)ts まで進む間、除々に小さくなり、
裏面11aから厚さ方向に(2/3)ts 進んだ箇所に
おいては作用する応力が0となる。この位置からシリコ
ン基板2の表面11bまでの間は応力σs が除々に大き
くなるように働き、表面11bの位置にて最大の応力1
/2σs が働く。
【0043】以上説明したように、炭素を含むシリコン
基板2上にリング状の薄膜(窒化珪素膜)12を形成す
ると、窒化珪素膜12が形成されたシリコン基板2部分
は、すなわちリング状に応力が集中して働いている部分
となる。
【0044】シリコン基板2を400(℃)を超える温
度に維持した場合には、シリコン基板2中に電気的に活
性なサーマルドナー、ニューサーマルドー、ニュードナ
ー等の欠陥が発生しやすい。そして、該欠陥の生成はシ
リコン基板2中炭素により大きな影響を受け、かつこれ
らの欠陥の生成によってシリコン基板2中炭素濃度も大
きく変化することが知られている。このため、シリコン
基板2中炭素を検出するには上記したようにシリコン基
板2の温度を400(℃)以下に維持して窒化珪素膜1
2を形成する必要がある。また、前記欠陥の生成以外
に、シリコン基板2中に固溶している重金属不純物が炭
素に及ぼす影響をも抑制するためには、窒化珪素膜12
を形成する時のシリコン基板2の温度を200(℃)以
下にすることがより望ましい。
【0045】シリコン基板2上に形成する窒化珪素膜1
2の膜厚は、形成時間や窒化珪素膜12がシリコン基板
2に及ぼす応力の大きさ等の関係から0.4〜2(μ
m)程度が望ましい。さらに、後の第2熱処理後の窒化
珪素膜12の除去に要する時間と窒化珪素膜12の効果
とを考慮すると、0.8〜1.6(μm)程度がより望
ましい。一方、窒化珪素膜12の膜厚が0.4(μm)
に満たない場合には、窒化珪素膜12がシリコン基板2
に及ぼす応力が不充分となり、後の第2熱処理による効
果を十分に享受することができない。他方、窒化珪素膜
12の膜厚が2(μm)を超える場合にはその形成時間
が長くなり、作業効率が低下する。
【0046】前記リング状の窒化珪素膜12の形成箇所
は特に限定されるものではないが、シリコン基板2中の
炭素の前記濃度勾配を有効に活用するためには、窒化珪
素膜12のリング幅がシリコン基板2の半径rを3等分
した幅で、しかも窒化珪素膜12のリング幅の中心がシ
リコン基板2の半径rの中心pになるよう形成されるの
が最も好ましい。
【0047】<第2熱処理>次に窒化珪素膜12が形成
されたシリコン基板2に対し酸素雰囲気中で1000〜
1200(℃)×4〜64時間の熱処理(第2熱処理)
を行う。
【0048】シリコン基板2の窒化珪素膜12が形成さ
れていない部分においては酸化珪素/シリコン界面から
シリコン基板2中に格子間シリコンが供給される。一
方、窒化珪素膜12が形成されている部分においては窒
化珪素/シリコン界面からシリコン基板2中に空孔が供
給される。ここで、シリコン基板2中の前記格子間シリ
コンはシリコン基板2中の炭素を増速拡散させ、シリコ
ン基板2中の前記空孔は前記第2熱処理時における熱拡
散により供給された炭素と結合し、該炭素が置換位置炭
素原子(Cs)となる。
【0049】このように第2熱処理を行えば、上記第1
熱処理にて形成されたOi−Ci複合体や、SiC、炭
素クラスタ等の、赤外吸収法では検出できない様々の形
態の炭素が解離して格子間炭素原子(Ci)となり、こ
の格子間炭素原子(Ci)が窒化珪素膜12が形成され
ていないシリコン基板2部分においては酸化珪素/シリ
コン界面から供給された前記格子間シリコンによって増
速拡散されると共に、窒化珪素膜12が形成されたシリ
コン基板2部分においては窒化珪素/シリコン界面から
供給された前記空孔と結合して赤外吸収法の場合の検出
対象である置換位置炭素原子(Cs)となる。すなわち
シリコン基板2中の炭素が室温FT−IR法で検出可能
な状態に顕在化される。
【0050】通常、シリコン基板2中の炭素濃度は同心
円状に濃度勾配を有し、また、熱処理時のシリコン基板
2の温度分布も同心円状に温度勾配を有する。ここで窒
化珪素膜12がシリコン基板2の中心(端部)から同心
円状に分布するリング状であることから前記濃度勾配及
び前記温度勾配が影響し、炭素のシリコン基板径方向へ
の拡散が促進される。
【0051】<室温FT−IR法による検出>次にシリ
コン基板2上に形成されたリング状の窒化珪素膜12を
弗酸洗浄により除去し、シリコン基板2の窒化珪素膜1
2の形成箇所において室温FT−IR法による炭素の検
出を行う。
【0052】一般に赤外吸収法は分子構造の決定に広く
用いられているが、結晶性材料においては、双極子モー
メントの変化を生じるような格子振動(フォノン)や不
純物の振動エネルギーを測定する手法として用いられて
いる。このうち(室温又は冷却)FT−IR法は、走査
型マイケルソン干渉計を使って赤外吸収スペクトルの分
析を行うものである。
【0053】図3は前記FT−IR法に用いられるフー
リエ変換型赤外分光器を示した模式図である。
【0054】図中21は光源を示しており、光源21の
前方であって図中左側には例えばKBrのビームスプリ
ッター22が配置されている。ビームスプリッター22
の長さ方向軸は光源21からの光線21aに対して所定
角度θを有している。光源21の前方であってビームス
プリッター22を挟んで光源21の反対側には光線21
aに略垂直な鏡面23aを有する固定ミラー23が配置
されており、光源21、ビームスプリッター22の略中
心部22a及び固定ミラー23をつなぐ水平直線Aと垂
直であってビームスプリッター22の略中心部22aを
通る直線B上には例えば図中ビームスプリッター22上
方に可動ミラー24が配置され、例えば図中ビームスプ
リッター22下方には試料25を挟んで検出器26が配
置されている。
【0055】上記フーリエ変換型赤外分光器によれば、
まず光源21からの光線21aがビームスプリッター2
2で二等分され、二等分された光線21aの一方は固定
ミラー23で、他方は可動ミラー24で反射される。こ
れら反射された光線はビームスプリッターで再び重な
り、二つの光線の光路差に依存して両者に干渉が生じ
る。この干渉パターンをインターフェログラムと呼び、
検出器26ではこれが測定される。前記インターフェロ
グラムを計算機によりフーリエ変換することにより、通
常の赤外吸収スペクトルが得られる。
【0056】図4は試料25としてシリコン基板2を用
いた場合の赤外吸収スペクトルの一例を示した図であ
る。図中下段の実線Aは炭素を含むシリコン基板2の赤
外吸収スペクトルであり、破線Bは炭素を含まないシリ
コン結晶の赤外吸収スペクトルであり、上段の実線Cは
実線Aの赤外吸収スペクトルから破線Bの赤外吸収スペ
クトルを差し引いた差スペクトルを示している。
【0057】ここで、図4中607(cm-1)でのピー
クqがシリコン基板2中の置換位置炭素原子(Cs)の
局在振動モードに関係している。しかし、この607
(cm-1)のピーク近くにはシリコンの多重フォノンの
吸収が存在しているため、この赤外吸収スペクトルから
シリコン基板2中炭素を定量測定するためには、シリコ
ン基板2の赤外吸収スペクトル(実線A)から炭素を含
まないシリコン結晶の赤外吸収スペクトル(破線B)を
差し引いた差スペクトル(実線C)において、置換位置
炭素原子(Cs)に関係する607(cm-1)でのピー
クsの面積強度を基に定量測定を行う必要がある。
【0058】赤外吸収係数αより炭素濃度を求めるに
は、下記の数1式で示されるランバート−ベール(Lamb
ert-Beer)の法則を用いる(ただし試料表面での多重反
射による吸収を無視する)。
【0059】
【数1】 I=I0 (1−R)2 exp(−αt) (I:透過光強度、I0 :入射光強度、R:試料表面の
反射率、α:赤外吸収係数、t:試料の厚さ) 赤外吸収係数αはシリコン基板2中の炭素濃度に比例す
るので、CPAA法等により濃度既知となっている標準
試料を用いて検量線を求め、該検量線を基に赤外吸収係
数αを炭素濃度Cに換算する換算係数kを求めることに
より、シリコン基板2中の炭素濃度を求めることができ
る。
【0060】換算係数kはASTMやJEIDAによっ
て標準化されており、本実施の形態においては例えば
1.0×1017(atoms/cm3 )を用いる。
【0061】以上詳述したように、本実施の形態に係る
シリコン基板中炭素の検出方法によれば、上記第1熱処
理によってシリコン基板2内でOi−Ci複合体の形成
が促進され、その後の第2熱処理によってシリコン基板
2内の前記Oi−Ci複合体やSiC、炭素クラスタ等
における炭素が解離して格子間炭素原子(Ci)とな
る。
【0062】窒化珪素膜12が形成されていない箇所に
おいては前記格子間炭素原子(Ci)が酸化珪素/シリ
コン界面から供給された格子間シリコンによって増速拡
散される。ここで、窒化珪素膜12がシリコン基板2の
中心(端部)から同心円状に分布するリング状であるこ
とから同心円状の炭素濃度勾配及び温度勾配が影響し、
炭素のシリコン基板径方向への前記拡散がより促進され
る。
【0063】窒化珪素12が形成されている箇所におい
ては前記格子間炭素原子(Ci)が窒化珪素/シリコン
界面から供給された空孔と結合して置換位置炭素原子
(Cs)となる。
【0064】このように窒化珪素膜12の形成箇所にお
いてはシリコン基板中炭素の多くが置換位置炭素原子
(Cs)となるため、室温FT−IR法による検出時に
相対透過強度が通常よりも強く現われると共に検出され
る炭素濃度は通常よりも高くなる。よって、CPAA法
等で上記室温FT−IR法の検出下限以下の炭素濃度が
決定された標準試料を用い、該標準試料を基に本発明に
係るシリコン基板中炭素の検出方法による検量線を作成
することにより、前記室温FT−IR法の検出下限以下
の濃度のシリコン基板中炭素をも相対評価することがで
きる。
【0065】このように、室温FT−IR法によっても
十分な感度の相対評価を行うことができることから、低
温FT−IR法を採用する必要がなく、シリコン基板2
を冷却するための冷媒が必要ないためその経費を削減す
ることができる。また、シリコン基板2をウエハ形状の
まま測定試料とすることができ、シリコン基板2の日常
的な抜き取り炭素濃度検出を行うことができる。
【0066】また、同心円状の濃度勾配を有する炭素を
含有するシリコン基板の場合、形成する窒化珪素膜12
のリングの幅及び位置、第2熱処理時間等を制御するこ
とにより、窒化珪素膜12内外の炭素濃度分布を簡便に
見積もることができる。
【0067】また、通常の赤外吸収法で検出可能な炭素
濃度を有するシリコン基板2に対し本発明に係る方法に
より炭素を検出した場合は、窒化珪素膜12がシリコン
基板中炭素に及ぼす影響を見積り得るため、窒化珪素膜
12の形成場所を変えることにより、シリコン基板中炭
素の相対的な分布を簡便に調べることができる。
【0068】さらに、室温FT−IR法におけるシリコ
ン基板中炭素の検出感度を通常の場合より向上させるこ
とができるため、これまで前記室温FT−IR法では検
出できなかった微量の炭素がシリコン基板2の結晶特性
や電気特性にどのような影響を及ぼすのかを究明し得
る。また、前記微量の炭素を含有する高品質のシリコン
基板2を確認し得るため、高品質のLSIを製造歩留ま
りよく製造することができる。
【0069】また、炭素を含むシリコン基板2が400
(℃)以下の温度範囲に維持された状態で窒化珪素膜1
2が形成されるため、シリコン基板2中に電気的に活性
なサーマルドナー、ニューサーマルドー、ニュードナー
等の欠陥を発生しにくくすることができる。よってシリ
コン基板中炭素濃度が大きく変化することはない。
【0070】
【実施例及び比較例】本発明の実施例及び比較例に係る
シリコン基板中炭素の検出方法を以下の条件に基づいて
行った。 <実施例1> シリコン基板2の含有炭素量:通常の室温FT−IR法
では検出できない炭素量(2.5×1015(atoms
/cm3 )(old ASTM)以下) 含有酸素量:1.4×1018(atoms/cm3 ) 直径r:4インチ 研磨 :両面研磨 第1熱処理条件 :下記の表1に示す
【0071】
【表1】
【0072】 窒化珪素膜の形成速度 :約0.8(μm/hour) スパッタ装置 :スパッタアップ方式二極平板型高周波二極スパッ タ装置 ターゲット :形成される窒化珪素膜と同じ組成である窒化珪素 化合物焼結体ターゲット スパッタ気体 :Arガス(純度99.995(%)) 試料槽内の全圧 :2(Pa) シリコン基板2とターゲット間距離:90(mm) シリコン基板2の設定温度:150(℃) シリコン基板2の回転速度:2.5(rpm) 注入する高周波電力 :400(W) 高純度単結晶シリコン基板1の直径:6インチ 窒化珪素膜12の形成領域:裏面11aの端部から約12〜25(mm)のリ ング状の領域 膜厚 :約0.8(μm) 第2熱処理条件 :下記の表2に示す
【0073】
【表2】
【0074】室温FT−IR法適用時の装置内温度:2
5(℃) FT−IR装置のシリコン基板2中炭素の検出限界:
6.45×1015(atoms/cm3 ) 図5は実施例1の場合において、シリコン基板中炭素を
室温FT−IR法で検出した結果を示した図である。図
中横軸はシリコン基板2の端部からの距離(mm)を示
しており、縦軸はシリコン基板中炭素濃度(×10
15(atoms/cm3 ))を示している。なお、前記
シリコン基板中炭素濃度とは、正確には置換位置炭素原
子(Cs)濃度を示している。また、図中□は第1熱処
理後に測定したシリコン基板中炭素濃度を、◇は第2熱
処理を行い、弗酸洗浄で窒化珪素膜を除去した後(以
下、単に第2熱処理後と記す)に測定したシリコン基板
中炭素濃度をそれぞれ示している。
【0075】図5から明らかなように、窒化珪素膜12
が形成された部分(端部から約12〜25(mm)のリ
ング状の領域)においては、第2熱処理後に最高9.5
×1015(atoms/cm3 )程度の置換位置炭素原
子(Cs)が検出された。前記検出は第2熱処理後の場
合のみ明らかとなったものであり、第1熱処理後の時点
では検出されなかった。
【0076】<実施例2> 窒化珪素膜12の膜厚 :約1.6(μm) その他の条件は実施例1の場合と同様とした。図6は実
施例2の場合において、シリコン基板中炭素濃度を室温
FT−IR法で測定した結果を図5の場合と同様に示し
た図である。
【0077】図6から明らかなように、窒化珪素膜12
を形成した部分(端部から約12〜25(mm)のリン
グ状の領域)においては、第2熱処理後に最高9.6×
1015(atoms/cm3 )程度の置換位置炭素原子
(Cs)が検出された。前記検出は第2熱処理後の場合
のみ明らかとなったものであり、第1熱処理後の時点で
は検出されなかった。
【0078】<実施例3、4>実施例3、4において
は、第1熱処理温度をそれぞれ600℃、700℃とし
た以外は実施例2の場合と同様の条件で測定を行った。
【0079】図7は実施例3、4の場合において、シリ
コン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図
5の場合と同様に示した図である。なお、グラフを比較
するため、図7中には実施例2の場合のグラフも記載し
ている。また、いずれも第2熱処理後のグラフを示して
いる。
【0080】図中□は第1熱処理温度が600℃の場合
(実施例3)、◇は700℃の場合(実施例4)、○は
800℃の場合(実施例2)をそれぞれ示している。
【0081】図7から明らかなように、第1熱処理温度
が600℃、700℃、800℃のいずれの場合であっ
ても略一様に、窒化珪素膜12を形成した部分(端部か
ら約12〜25(mm)のリング状の領域)において
は、最高9.6×1015(atoms/cm3 )程度の
置換位置炭素原子(Cs)が検出された。
【0082】<実施例5、6>実施例5、6において
は、第2熱処理温度をそれぞれ1000℃、1200℃
とした以外は実施例2の場合と同様の条件で測定を行っ
た。
【0083】図8は実施例5、6の場合において、シリ
コン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図
7の場合と同様に示した図である。なお、グラフを比較
するため、図8中には実施例2の場合のグラフも記載し
ている。いずれも第2熱処理後のグラフを示している。
【0084】図中□は第2熱処理温度が1000℃の場
合(実施例5)、◇は1100℃の場合(実施例2)、
○は1200℃の場合(実施例6)をそれぞれ示してい
る。
【0085】図8から明らかなように、第2熱処理温度
が1000℃、1100℃、1200℃のいずれの場合
であっても略一様に、窒化珪素膜12を形成した部分
(端部から約12〜25(mm)のリング状の領域)に
おいては、最高(9.2〜10.0)×1015(ato
ms/cm3 )程度の置換位置炭素原子(Cs)が検出
された。
【0086】<実施例7>実施例7においては、窒化珪
素膜12の形成領域を裏面11aの端部から約12〜2
5(mm)のリング状の領域とした以外は実施例2の場
合と同様の条件で測定を行った。
【0087】図9は実施例7の場合において、シリコン
基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図7の
場合と同様に示した図である。なお、グラフを比較する
ため、図9中には実施例2の場合のグラフも記載してい
る。いずれも第2熱処理後のグラフを示している。
【0088】図中□は窒化珪素膜12の形成領域を端部
から約12〜25(mm)とした場合(実施例2)、◇
は窒化珪素膜12の形成領域を端部から約12〜25
(mm)とした場合(実施例7)をそれぞれ示してい
る。
【0089】図9から明らかなように、窒化珪素膜12
の形成領域を移動させた場合でも、該形成領域内では最
高9.6×1015(atoms/cm3 )程度の置換位
置炭素原子(Cs)が検出された。
【0090】これは、シリコン基板2中に炭素が均一に
分布していたため、窒化珪素膜12の形成場所を変えて
も、検出される炭素濃度がほとんど変化しなかったと考
えられる。
【0091】<実施例8、9>実施例8、9において
は、第1熱処理時間をそれぞれ4時間、64時間とした
以外は実施例2の場合と同様の条件で測定を行った。
【0092】図10は実施例8、9の場合において、シ
リコン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を
図7の場合と同様に示した図である。なお、グラフを比
較するため、図10中には実施例2の場合のグラフも記
載している。いずれも第2熱処理後のグラフを示してい
る。
【0093】図中□は第1熱処理時間が4時間の場合
(実施例8)、◇は16時間の場合(実施例2)、○は
64時間の場合(実施例9)をそれぞれ示している。
【0094】図10から明らかなように、第1熱処理時
間が4時間、16時間、64時間のいずれの場合であっ
ても略一様に、窒化珪素膜12を形成した部分(端部か
ら約12〜25(mm)のリング状の領域)において
は、第2熱処理後に最高(9.5〜10.0)×1015
(atoms/cm3 )程度の置換位置炭素原子(C
s)が検出された。
【0095】<実施例10、11>実施例10、11に
おいては、第2熱処理時間をそれぞれ4時間、64時間
とした以外は実施例2の場合と同様の条件で測定を行っ
た。
【0096】図11は実施例10、11の場合におい
て、シリコン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した
結果を図7の場合と同様に示した図である。なお、グラ
フを比較するため、図11中には実施例2の場合のグラ
フも記載している。いずれも第2熱処理後のグラフを示
している。
【0097】図中□は第2熱処理時間が4時間の場合
(実施例10)、◇は16時間の場合(実施例2)、○
は64時間の場合(実施例11)をそれぞれ示してい
る。
【0098】図11から明らかなように、第2熱処理時
間が4時間、16時間、64時間のいずれの場合であっ
ても略一様に、窒化珪素膜12を形成した部分(端部か
ら約12〜25(mm)のリング状の領域)において
は、第2熱処理後に最高(9.2〜10.0)×1015
(atoms/cm3 )程度の置換位置炭素原子(C
s)が検出された。
【0099】<比較例1>シリコン基板2の裏面11a
全面に窒化珪素膜12を形成した以外は実施例2の場合
と同様の条件で測定を行った。
【0100】図12は比較例1の場合において、シリコ
ン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図5
の場合と同様に示した図である。
【0101】図中、パルス的に炭素を検出している場所
(a1 、a2 、a3 …)があるが、これら(a1 、a
2 、a3 …)は装置性能に起因して生じたノイズである
と考えられる。
【0102】図12から明らかなように、第1熱処理
後、第2熱処理後のいずれにおいても、検出限界以上の
置換位置炭素原子(Cs)を検出することはできなかっ
た。
【0103】<比較例2>窒化珪素膜12を形成しなか
った以外は実施例1の場合と同様の条件で測定を行っ
た。
【0104】図13は比較例2の場合において、シリコ
ン基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図1
2の場合と同様に示した図である。
【0105】図中、パルス的に炭素を検出している場所
(b1 、b2 、b3 …)があるが、これら(b1 、b
2 、b3 …)は装置性能に起因して生じたノイズである
と考えられる。
【0106】図13から明らかなように、第1熱処理
後、第2熱処理後のいずれにおいても、前記検出限界以
上の置換位置炭素原子(Cs)を検出することはできな
かった。
【0107】以上詳述したように、実施例1〜11の場
合にはシリコン基板2における窒化珪素膜12を形成し
た部分(端部から約12〜25(mm)のリング状の領
域)で、第2熱処理後に最高(9.2〜10.0)×1
15(atoms/cm3 )程度の置換位置炭素原子
(Cs)が検出された。これに対し、比較例1及び比較
例2の場合には、第1熱処理後、第2熱処理後のいずれ
においても、置換位置炭素原子(Cs)を検出すること
ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はシリコン基板上に所定形状の窒化珪素
膜を形成する際に用いられる治具を示した模式的斜視図
であり、(b)は前記治具に前記シリコン基板が取り付
けられた状態を示した模式的側断面図である。
【図2】炭素を含むシリコン基板の裏面上に薄膜が形成
された部分断面図(図中右部分)及び薄膜の膜応力(引
張応力)σf がシリコン基板に及ぼす応力の基板断面方
向分布図である。
【図3】FT−IR法に用いられるフーリエ変換型赤外
分光器を示した模式図である。
【図4】シリコン基板の赤外吸収スペクトルの一例を示
した図である。
【図5】実施例1の場合において、シリコン基板中炭素
を室温FT−IR法で検出した結果を示した図である。
【図6】実施例2の場合において、シリコン基板中炭素
濃度を室温FT−IR法で測定した結果を図5の場合と
同様に示した図である。
【図7】実施例3、4の場合において、シリコン基板中
炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図5の場合と
同様に示した図である。
【図8】実施例5、6の場合において、シリコン基板中
炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図7の場合と
同様に示した図である。
【図9】実施例7の場合において、シリコン基板中炭素
を室温FT−IR法で測定した結果を図7の場合と同様
に示した図である。
【図10】実施例8、9の場合において、シリコン基板
中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図7の場合
と同様に示した図である。
【図11】実施例10、11の場合において、シリコン
基板中炭素を室温FT−IR法で測定した結果を図7の
場合と同様に示した図である。
【図12】比較例1の場合において、シリコン基板中炭
素を室温FT−IR法で測定した結果を図5の場合と同
様に示した図である。
【図13】比較例2の場合において、シリコン基板中炭
素を室温FT−IR法で測定した結果を図12の場合と
同様に示した図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板に対して、まず窒素雰囲気
    中で600〜800(℃)×4〜64時間の熱処理を行
    い、該熱処理により形成された窒化珪素膜を除去した
    後、リング状の窒化珪素膜を形成し、その後酸素雰囲気
    中で1000〜1200(℃)×4〜64時間の熱処理
    を行った後、前記リング状の窒化珪素膜を除去して、フ
    ーリエ変換型赤外吸収(FT−IR)法により室温でシ
    リコン基板中の炭素を検出することを特徴とするシリコ
    ン基板中炭素の検出方法。
  2. 【請求項2】 炭素を含むシリコン基板を400(℃)
    以下の温度範囲に維持し、スパッタ法またはCVD法に
    より前記シリコン基板の表面または裏面に窒化珪素膜を
    リング状に形成することを特徴とする請求項1記載のシ
    リコン基板中炭素の検出方法。
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