JP2010169698A - 窒素濃度測定方法及び窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法 - Google Patents

窒素濃度測定方法及び窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 窒素濃度測定方法及び窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法に関し、個別のリファレンスを要することなく、簡便な赤外線吸収差スペクトルによってシリコン結晶中の窒素濃度を精密に測定する。
【解決手段】 シリコン結晶を600℃に加熱して、準熱平衡状態に到らしめたのち、前記シリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定し、次いで、前記シリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめたのち、前記シリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定し、次いで、前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求めて窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求め、前記吸収ピークの強度に基づいて、前記シリコン結晶中の窒素濃度を求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒素濃度測定方法及び窒素の濃度測定用比例換算係数の算出方法に関するものである。
シリコンデバイスの製造においては、チョクラルスキー法で引き上げられたシリコンインゴットから切り出されたシリコンウェハを用いて製造を行っているが、その際、使用するシリコンウェハ中における窒素等の不純物濃度を予め知っておく必要がある。
特に、近年、ボイド欠陥、COP、或いは、LSTD等呼ばれる空孔による欠陥を低減するとともに、酸素析出の促進によるゲッタリング作用を増進するために窒素をドープしているので、この窒素濃度を精密に制御する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
そこで、従来においては、ウェハ製造メーカーに対して希望する窒素濃度のウェハを供給するように要請し、供給されたウェハについて確認のための窒素濃度試験測定を行っていた。
この場合、SIMS(二次イオン質量分析計)を使用すると、精密に窒素濃度を測定することは可能であるが、測定が高コストになるという問題があるため、赤外線による簡便な測定方法が求められている。
そこで、本発明者らは、既に、チョクラルスキー法で引き上げられたシリコン結晶中の不純物窒素濃度を赤外線吸収測定によって定量する技術を開発している(必要ならば、特願2001−259446号参照)ので、その手法の概略を以下に示す。
まず、供給された窒素添加CZ−Si結晶試料について赤外線吸収測定を行うと、2種類の窒素関連欠陥に起因する赤外線吸収線ピークが見られる。この2種の欠陥のうちの一つは、シリコン原子の格子間にある不純物窒素とその不純物窒素から第4近接以内にあるシリコン原子の格子間にある不純物窒素からなる欠陥、所謂N−Nペアと呼ばれる波数963cm-1に吸収ピークを有する欠陥である。なお、「不純物窒素から第4近接のシリコン原子」とは、N−Nペアの一方のNの最近傍のSi格子位置から数えて3つの結合子を介して結合するシリコン原子を意味する。
もう一つは、N−Nペアから第4近接以内にあるシリコン原子の格子間にある不純物酸素からなる欠陥、所謂N−O複合体と呼ばれる波数996cm-1と1026cm-1に吸収ピークを持つ欠陥である。
本発明者らは、窒素添加CZ−Si結晶試料を600℃より高温でおよそ2時間以上保持すると、N−NペアとN−O複合体の欠陥反応がこの時間スケールでは熱平衡に達し、欠陥の密度が一定となる準熱平衡状態が存在することを見出すことに成功した。
この準熱平衡状態では、N−NペアとN−O複合体の密度比も一定となるので、試料を準熱平衡状態に到達させ、波数963cm-1、996cm-1、及び、1026cm-1の少なくとも一つの位置に現れる吸収ピークの強度を求めることによって3つのピークの強度が分かることになる。そして、予め作成されている比例換算係数を用いることによって全不純物窒素濃度を決定することができる。
この様に、赤外線吸収測定により不純物原子に起因する吸収を評価する場合には、不純物を含まない結晶をリファレンスとし、不純物を含む結晶との差スペクトルを用いるのが一般的である。
例えば、良く知られたCZ−Si中の不純物酸素の定量には、酸素を含まないフローティング・ゾーン法で作成されたシリコン結晶をリファレンスとして用いており、また、不純物窒素の定量にも、不純物窒素を含まない試料をリファレンスとして、不純物窒素を含む結晶との赤外線吸収差スペクトルを用いるのが一般的である。
特開2000−332074号公報
しかし、N−NペアやN−O複合体等の窒素関連欠陥に起因する赤外線吸収線は、上述のように963cm-1、996cm-1、及び、1026cm-1にピークを持ち、これは室温で1106cm-1にピークを持つ格子間酸素の大きな吸収の裾野にあたる。
しかも、不純物窒素の濃度は不純物酸素の数%で吸収が極僅かであるため、赤外線吸収差スペクトルを求めるときにはリファレンスとの酸素濃度はもちろんのこと、試料厚さ,窒素以外の不純物ドープ量も揃える必要があるが、これらにわずかな違いがありベースラインが変化するだけで窒素の吸収が検出できないという問題があり、したがって、測定試料とリファレンスの窒素以外の因子をいかに揃えるかが最大の課題である.
また、実用上最も重要なことは、厚さが1mm以下の窒素添加ウェハをいかに精度良く測定できるかである。これは、シリコン中の含有窒素濃度は他の不純物の濃度に比べて小さいことに加えて、ウェハのように測定試料の厚さが薄くなれば、赤外光が通過するウェハ中に含まれる不純物窒素の絶対量が減少するため、不純物窒素に起因する赤外線吸収のピーク強度も減少するためであり、そのため、リファレンスに対する要請は益々厳しいものになる。
この様な測定結晶とリファレンス結晶の酸素濃度、試料厚さ,窒素以外の不純物ドープ量の不一致を解消する唯一の方法は、測定試料、リファレンス結晶とも同一の結晶を用いることであるが、単純に同一試料を用いるのでは不純物窒素濃度までもが一致するので、窒素濃度の定量の役割を果たさないという問題がある。
したがって、本発明は、別個のリファレンスを要することなく、簡便な赤外線吸収差スペクトルによってシリコンウェハ中の窒素濃度を精密に測定することを目的とする。
開示する一観点からは、シリコン結晶を600℃に加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第一の工程と、前記シリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定する第二の工程と、前記シリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第三の工程と、前記シリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定する第四の工程と、前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求める第五の工程と、前記吸収ピークの強度に基づいて、前記シリコン結晶中の窒素濃度を求める第六の工程と、を有することを特徴とする窒素濃度測定方法が提供される。
また、開示する別の観点からは、一つのシリコン母結晶から切り出した複数のシリコン結晶を準備する工程と、前記複数のシリコン結晶の内、第一のシリコン結晶を600℃で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第一の工程と、前記第一のシリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定する第二の工程と、前記複数のシリコン結晶の内、第二のシリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第三の工程と、前記第二のシリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定する第四の工程と、前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求める第五の工程と、前記吸収ピークの強度に基づいて、前記シリコン結晶中の窒素濃度を求める第六の工程と、を有することを特徴とする窒素濃度測定方法が提供される。
また、開示するさらに別の観点からは、予め窒素濃度の測定されたシリコン結晶を、600℃で加熱して、準熱平衡状態に到らしめ、該シリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定し、前記シリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめ、該シリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定し、前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求め、前記求められた吸収ピークの強度と前記予め測定された窒素濃度に基づいて算出されることを特徴とする窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法が提供される。
開示の窒素濃度測定方法及び窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法によれば、CZ−シリコンウェハ等の同じ半導体母結晶から切り出した半導体結晶を異なった温度で熱処理したのちの赤外線吸収差スペクトルを利用しているので、赤外線吸収測定という簡便な方法で、窒素添加シリコンウェハ等の不純物添加半導体結晶における添加不純物濃度の定量が可能になり、ひいては、半導体装置の信頼性の向上に寄与するところが大きい。
シリコン結晶が準熱平衡状態に到達した時の3つの赤外線吸収ピークにおける吸光度と熱処理温度の相関の説明図である。 各熱処理温度における赤外線吸収差スペクトルの説明図である。 本発明の実施例1のシリコン結晶中の窒素濃度の定量方法のフローチャートである。 本発明の実施例2のシリコン結晶中の窒素濃度の定量方法のフローチャートである。
ここで、本発明の実施の形態を説明する。本発明においては、一つのシリコン母結晶から切り出された一つ以上の赤外吸収測定用シリコン結晶を準備し、シリコン結晶を異なった温度で加熱したのち、加熱後のシリコン結晶の赤外線吸収スペクトルを測定し、赤外線吸収差スペクトルから窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求める。
特定の熱処理温度で熱処理して準熱平衡状態になった場合、窒素等の特定不純物に起因する欠陥に対応する各ピーク強度比は、不純物濃度によらず一定になるとともに、各熱処理温度における各ピーク強度は不純物濃度を反映した値となるので、一つのシリコン母結晶から切り出された一つ以上の赤外吸収測定用シリコン結晶を異なった温度で加熱することによって、別個のリファレンスを要することなく窒素等の特定不純物の濃度の決定が可能になる。なお、この現象は、母結晶材料及び特定不純物には依存せず、熱力学的に決定される現象であるので、各種の半導体結晶及び不純物に共通に適用されるものである。
この場合、同一のシリコン結晶を異なった温度で2度加熱しても良いし、或いは、二つのシリコン結晶を互いに異なった温度で加熱しても良く、同一のシリコン結晶を用いた場合には、元々の含有不純物が同一であるので正確にバックグラウンドを除去することが可能になり、また、二つのシリコン結晶を用いた場合には、複数の熱処理装置を用いて同時に熱処理することが可能になるので測定時間を短縮化することができる。
また、熱処理時間は、特定不純物に起因する欠陥の形態と密度の変動が赤外線吸収差スペクトルの測定誤差の範囲以内、例えば、2時間以上15時間以下、より好適には2時間以上8時間以下であることが望ましい。なお、15時間を越えると酸素析出により内部構造が変質するので精度の高い測定が困難になる。
また、この様なシリコン母結晶としては、不純物酸素を含むシリコン結晶、特に、チョクラルスキー法によって引き上げられたシリコンインゴットが典型的なものである。
次に、図1及び図2を参照して、本発明における添加窒素濃度の測定原理を説明する。図1は、本発明者らが見出した、不純物窒素濃度が3.2×1015cm-3のシリコン結晶の963cm-1、996cm-1、及び、1018cm-1にピークを持つ窒素関連欠陥が準熱平衡状態に透したときの吸光度の熱処理温度依存性を示す図である。なお、この場合の不純物濃度は、SIMS(二次イオン質量分析)或いは放射化学分析等によって予め正確に求めておいたものである。
図に示すように、熱処理温度を固定して所定時間熱処理すると、窒素関連欠陥の反応が準熱平衡状態に達するので、963cm-1、996cm-1、及び、1018cm-1の各欠陥の密度に比例するピーク強度比は不純物窒素濃度によらず一定となる。
したがって、963cm-1、996cm-1、及び、1018cm-1のピークのいずれか一つに着目したとき、熱処理温度が異なる吸光度の差は、不純物窒素濃度に応じて唯一に決まる。
図2は、1枚のCZ−シリコンウェハから切り出した5枚のシリコンチップについて、夫々、600℃、700℃、750℃、800℃、及び、900℃で熱処理をして準熱平衡状態に到達させたのちの赤外線吸収スペクトルであり、600℃で熱処理したシリコンチップをリファレンスとした差スペクトルであり、963cm-1において差スペクトルにピークが見られ、特に、800℃で熱処理したシリコンチップとの差が最も大きくなることが理解される。なお、各曲線における直線の下線は963cm-1のピークの大きさを決定するための線である。
以上を背景として、窒素添加CZ−シリコン結晶AのSIMSで予め測定した不純物窒素濃度をNとし、ここでは、例えば、差スペクトルにピークが見られる963cm-1にピークを持つN−Nペアに起因する吸収のみに着目する。
まず、シリコン結晶Aに対して600℃で熱処理を施し準熱平衡状態に到達させたときの結晶をリファレンス結晶とし、次いで、差スペクトルが最も大きくなる800℃で時間熱処理を施し準熱平衡状態に到達させたときの結晶を測定結晶とし、リファレンス結晶に対する差スペクトルを測定する。
この場合、測定結晶及びリファレンス結晶ともそれぞれの吸光度の正真の絶対値は不明で、両者の吸光度の差のみしか分からない。
これをα(800−600)で表すことにする。
しかし、この吸光度の絶対値α(800−600)は、シリコン結晶に含まれる不純物窒素濃度に比例するので、一定の比例換算係数κと不純物窒素濃度Nを用いて次式の関係が得られる。
α(800−600)=κ・N ・・・(1)
したがって、α(800−600)を赤外線吸収測定より決定し、全不純物窒素濃度Nは上述の様に二次イオン質量分析あるいは放射化分析等で測定しておくことによって、比例換算係数κが唯一に決まる。なお、この様な不純物窒素に由来する欠陥の熱処理に伴う準熱平衡状態への移行は熱力学的要件によって決定されるので、比例換算係数κは成長方法の違いによらず酸素を含んだシリコン結晶に共通である。
次に、不純物窒素濃度が未知なるシリコン結晶Bに対して600℃の熱処理を施し準熱平衡状態に到達させた後、リファレンス結晶として赤外線吸収測定を行い、バックグラウンドを含んだ963cm-1ピークの吸光度α600を取得する。
次いで、同じシリコン結晶Bを800℃で熱処理を施し準熱平衡状態に到達させた後、測定結晶として赤外線吸収測定を行い、バックグラウンドを含んだ963cm-1ピークの吸光度α800を取得し、両者の差α(800−600)=α800−α600を求める。
上述のように、600℃の熱処理による準熱平衡状態と800℃の熱処理による準熱平衡状態とおける吸光度の差α(800−600)についての比例換算係数κは結晶によらず一定であるので、上記(1)式から、
α(800−600)=κ・N
となる。
したがって、シリコン結晶Bの不純物窒素濃度Nは、既に、SIMS等により正確な不純物窒素濃度を測定してあるシリコン結晶Aによって測定した比例換算係数κと、不純物窒素濃度が未知なるシリコン結晶Bにおいて測定した差赤外線吸光度α(800−600)から、
=α(800−600)/κ ・・・(2)
として求められる。
この様に、最初に一度だけSIMS等により正確な不純物窒素濃度を測定して比例換算係数κを取得すると、以降は、簡便な赤外線吸収測定のみによって各種のシリコン結晶に含まれる不純物窒素濃度を正確に評価することが可能になる。
また、同じサンプルを複数回熱処理しているので、上記の発明が解決しようとする課題で述べたような測定試料とリファレンスの違いは実質上生じない。なお、同じサンプルを複数回熱処理することによって、アウトディフュージョン等によって若干不純物濃度が変化するものの、変化にともなう吸光度の変化は赤外線吸収差スペクトルの測定誤差に比べて小さいので問題とはならない。
以上の測定原理を踏まえて、次に、図3を参照して本発明の実施例1を説明する。図3は、本発明の実施例1のシリコン結晶中の窒素濃度の定量方法のフローチャートであり、まず、
a.チョクラルスキー法によって引き上げたシリコンインゴットから切り出した一枚のシリコンウェハより一つの赤外線吸収測定用試料片を切り出す。
次いで、
b.切り出した赤外線吸収測定用試料片を、窒素雰囲気中で600℃において、2〜15時間、例えば、2時間の熱処理を施す。
この熱処理において、赤外線吸収測定用試料片は準熱平衡状態に到達する。次いで、
c.熱処理を施した赤外線吸収測定用試料片について赤外線吸収スペクトルを取得する。
次いで、
d.同一の赤外線吸収測定用試料片を、窒素雰囲気中で800℃において、2〜15時間、例えば、2時間の熱処理を施す。
この熱処理において、赤外線吸収測定用試料片は再び別の準熱平衡状態に到達する。次いで、
e.二度目の熱処理を施した赤外線吸収測定用試料片について再び赤外線吸収スペクトルを取得する。
次いで、
f.600℃における熱処理後に取得した赤外線吸収スペクトルと、800℃における熱処理後に取得した赤外線吸収スペクトルとの963cm-1のピークにおける差スペクトルにおける吸光度α(800−600)を求める。
次いで、
g.不純物窒素濃度が既知のシリコンチップについて、予め取得してある800℃と600℃の熱処理による差吸光度α(800−600)に関する比例換算係数κを用いて、上記の(2)式に基づいて、窒素濃度Nを、
N=α(800−600)/κ
として求める。
この様に、本発明の実施例1においては、同一チップを2度熱処理することによって、1度目の熱処理によって取得した赤外線吸収スペクトルをリファレンスとして用いているので別個のリファレンスチップを要することがなく、したがって、酸素濃度や、窒素以外の不純物の濃度、及び、チップの厚さは一定であるので、従来のように別個のリファレンスチップを用いた場合の問題が生じなくなる。
次に、図4を参照して、本発明の実施例2を説明する。図4は、本発明の実施例2のシリコン結晶中の窒素濃度の定量方法のフローチャートであり、まず、
a.チョクラルスキー法によって引き上げたシリコンインゴットから切り出した一枚のシリコンウェハより二つの赤外線吸収測定用試料片を切り出す。
次いで、
b.切り出した二つの赤外線吸収測定用試料片を、夫々別の熱処理装置を用い、一方は、窒素雰囲気中で600℃において、2〜15時間、例えば、2時間の熱処理を施して準熱平衡状態に到達させ、他方の赤外線吸収測定用試料片を、窒素雰囲気中で800℃において、2〜15時間、例えば、2時間の熱処理を施して別の準熱平衡状態に到達させる。
次いで、
c.熱処理を施した二つの赤外線吸収測定用試料片について、夫々赤外線吸収スペクトルを取得する。
次いで、
d.二つの赤外線吸収スペクトルの963cm-1のピークにおける差スペクトルにおける吸光度α(800−600)を求める。
次いで、
e.不純物窒素濃度が既知のシリコンチップについて、予め取得してある800℃と600℃の熱処理による差吸光度α(800−600)に関する比例換算係数κを用いて、上記の(2)式に基づいて、窒素濃度Nを、
N=α(800−600)/κ
として求める。
この様に、本発明の実施例2においては、同じウェハから切り出した二つのチップを同時に熱処理しているので、熱処理に要する時間は1回分で済むため、測定に要する時間を大幅に短縮することができる。なお、二つのチップにおける酸素濃度や、窒素以外の不純物の濃度は若干異なることがあるが、二つのチップを互いに隣接した領域から切り出すことによって、実質上の問題はない。
以上、本発明の実施の形態及び各実施例を説明してきたが、本発明は実施の形態及び各実施例に記載された構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。例えば、上記の各実施例においては、800℃の熱処理後の赤外線吸収スペクトルと600℃の熱処理後の赤外線吸収スペクトルとの差スペクトルを利用しているが、他の温度同士の差スペクトルを用いても良いものである。
また、上記の各実施例においては、リファレンスを600℃の熱処理後の赤外線吸収スペクトルとしているが、必ずしも600℃の熱処理後の赤外線吸収スペクトルである必要はなく、例えば、700℃の熱処理後の赤外線吸収スペクトルでも良く、その場合には、二度目の熱処理を700℃以上で行えば良い。但し、その場合には、κを予め取得する場合のリファレンスの熱処理温度を700℃にする必要がある。
また、上記の実施例2においては、2つの熱処理装置を用いて同時に熱処理しているが、同じ熱処理炉中に温度勾配を設けて、同じ熱処理炉において同時に熱処理を行っても良く、それによって、必要とする熱処理装置を一つで済ますことができる。
或いは、同じ熱処理炉を用いて、別個に熱処理を行っても良いものであり、その場合には、二つのチップにおける各不純物濃度のばらつきが多少問題になるが、逆に、実施例1に比べて熱処理時間の違いによるアウトディフュージョンによる不純物濃度の変動の影響を受けることが無くなる。
また、上記の各実施例においては、963cm-1におけるピークを測定対象としているが、996cm-1や1018cm-1のピークを用いても良いものである。
また、上記の各実施例においては、CZ−シリコン結晶を測定対象としているが、CZ−シリコン結晶に限られるものではなく、他の成長方法によって成長させた少なくとも酸素を含むとともに窒素を添加したシリコン結晶であれば同様な準熱平衡状態が存在するので適用されるものである。
さらには、酸素が必ずしも含む必要はないものであり、N−Nペアに注目すれば酸素を実質的に含まないフローティング・ゾーン法によって成長させたインゴットに対しても適用されるものである。
また、上記の各実施例においては、測定対象となる不純物を窒素としているが、本発明で使用する準熱平衡状態は熱力学的現象により結晶中に成立する現象であるので、不純物の種類によらず、したがって、窒素に限られるものではなく、窒素と同様に酸素の析出を促進する不純物である炭素(C)の濃度の測定にも適用されるものである。
また、上述のように、本発明で使用する準熱平衡状態は熱力学的現象により結晶中に成立する現象であるので、結晶の母体材料によらない現象であり、したがって、シリコン結晶に限られるものではなく、SiGe結晶或いはGe結晶等の他のIV族結晶、或いは、GaAs等のIII-V族化合物半導体等の他の半導体結晶にも適用されるものであり、各結晶において準熱平衡状態が得られる熱処理条件を見出せば良いだけである。

Claims (13)

  1. シリコン結晶を600℃に加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第一の工程と、
    前記シリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定する第二の工程と、
    前記シリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第三の工程と、
    前記シリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定する第四の工程と、
    前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求める第五の工程と、
    前記吸収ピークの強度に基づいて、前記シリコン結晶中の窒素濃度を求める第六の工程と、
    を有することを特徴とする窒素濃度測定方法。
  2. 前記窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークとして963cm-1、996cm-1、1018cm-1のいずれかの波数に現れるものを用いることを特徴とする請求項1記載の窒素濃度測定方法。
  3. 前記第六の工程は、前記吸収ピークの強度と予め定められた比例換算係数とに基づいて、前記窒素濃度を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒素濃度測定方法。
  4. 前記600℃より高い温度は、800℃であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の窒素濃度測定方法。
  5. 一つのシリコン母結晶から切り出した複数のシリコン結晶を準備する工程と、
    前記複数のシリコン結晶の内、第一のシリコン結晶を600℃で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第一の工程と、
    前記第一のシリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定する第二の工程と、
    前記複数のシリコン結晶の内、第二のシリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめる第三の工程と、
    前記第二のシリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定する第四の工程と、
    前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求める第五の工程と、
    前記吸収ピークの強度に基づいて、前記シリコン結晶中の窒素濃度を求める第六の工程と、
    を有することを特徴とする窒素濃度測定方法。
  6. 前記シリコン母結晶は、チョクラルスキー法によって引き上げられたシリコンインゴットから切り出されたシリコンウェハであることを特徴とする請求項5記載の窒素濃度測定方法。
  7. 前記窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークとして963cm-1、996cm-1、1018cm-1のいずれかの波数に現れるものを用いることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の窒素濃度測定方法。
  8. 前記第六の工程は、前記吸収ピークの強度と予め定められた比例換算係数とに基づいて、前記窒素濃度を求めることを特徴とする請求項5至請求項7のいずれか1項に記載の窒素濃度測定方法。
  9. 前記600℃より高い温度は、800℃であることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の窒素濃度測定方法。
  10. 予め窒素濃度の測定されたシリコン結晶を、600℃で加熱して、準熱平衡状態に到らしめ、該シリコン結晶の第一の赤外線吸収スペクトルを測定し、
    前記シリコン結晶を600℃より高い温度で加熱して、準熱平衡状態に到らしめ、該シリコン結晶の第二の赤外線吸収スペクトルを測定し、
    前記第一の赤外線吸収スペクトルと前記第二の赤外線吸収スペクトルとの赤外線吸収差スペクトルを求め、窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークの強度を求め、
    前記求められた吸収ピークの強度と前記予め測定された窒素濃度に基づいて算出されることを特徴とする窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法。
  11. 前記窒素に起因する欠陥に対応する吸収ピークとして、963cm-1、996cm-1、1018cm-1のいずれかの波数に現れるものを用いることを特徴とする請求項10記載の窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法。
  12. 前記シリコン結晶は、二次イオン質量分析或いは放射化学分析によって、前記窒素濃度を予め測定されたものであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法。
  13. 前記600℃より高い温度は、800℃であることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1項に記載の窒素濃度測定用比例換算係数の算出方法。
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