JPH09327910A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JPH09327910A
JPH09327910A JP14877896A JP14877896A JPH09327910A JP H09327910 A JPH09327910 A JP H09327910A JP 14877896 A JP14877896 A JP 14877896A JP 14877896 A JP14877896 A JP 14877896A JP H09327910 A JPH09327910 A JP H09327910A
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JP
Japan
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forming
flow path
photosensitive resin
ink
flow passage
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JP14877896A
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English (en)
Inventor
Shinichi Tsunoda
慎一 角田
Yoshihisa Ota
善久 太田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細で複雑なインク流路を高精度に形成でき
ない。 【解決手段】 流体抵抗部20の側壁部45を形成して
いる振動板12の第1感光性樹脂層41の硬度をノズル
プレート17の第2感光性樹脂層42の硬度よりも高く
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットヘッ
ド及びその製造方法に関し、特にインク流路を複層構造
で形成するインクジェットヘッド及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録時の振
動、騒音が殆どなく、カラー化が容易なことから、コン
ピュータ等のデジタル処理装置のデータを出力するプリ
ンタの他、ファクシミリやコピー等にも用いられるよう
になっている。このようなインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するためのノズルと、ノズルに対応して
設けた電気機械変換素子や電気熱変換体などのアクチュ
エータ素子と、このアクチュエータ素子で加圧されるイ
ンク流路(以下、「加圧液室」と称する。)を備えたイ
ンクジェットヘッドを記録ヘッドに用いて、記録信号に
応じてノズルからインク滴を記録媒体(インク滴が付着
するもの)に吐出することによって、高速、高解像度、
高品質の記録を行なうものである。
【0003】ところで、インクジェット記録装置に対す
る高速、高画質化の要求に伴ってインクジェットヘッド
のノズルの集積度の高密度化、ノズル径の微細化が必要
になっている。特に高画質化に伴うノズルの高密度化
は、液室形状や流体抵抗部形状の微細化を招いている。
【0004】そこで、従来、例えば特開平6−2977
04号公報に記載されているように、複数の感光性樹脂
層を接合してインク流路を形成したり、或いはその他樹
脂成形、金属板の多層貼り合わせによってインク流路を
形成するようにしている。そして、この多層貼り合わせ
に接着剤を用いた場合には、接合部からの接着剤のはみ
出しを避けることが困難であるので、インク流路を感光
性樹脂で形成して、それを融着するようにし、加熱、加
圧による変形を防止するために、複数の感光性樹脂層間
で各感光性樹脂に含まれる多官能アクリレートの硬化率
を異ならせるようにしている(上記公報参照。)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように例えば複数の感光性樹脂層間で各感光性樹脂に
含まれる多官能アクリレートの硬化率を異ならせるよう
にしていても、接合時の加熱、加圧によって感光性樹脂
層に変形が生じるので、微細で複雑なインク流路を高精
度に形成することができない。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、微細で複雑なインク流路を高精度に形成したイン
クジェットヘッド及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェットヘッドは、インク流路を
形成するための流路形成部を設けた第1部材と、前記イ
ンク流路を形成するための流路形成部を設けた第2部材
とを接合して前記インク流路を形成したインクジェット
ヘッドにおいて、前記第1部材の流路形成部及び第2部
材の流路形成部の内、微細パターンを形成している一方
の流路形成部は、少なくとも前記微細パターンを形成す
る部分の硬度が他方の流路形成部の対応する部分の硬度
よりも高い構成とした。
【0008】請求項2のインクジェットヘッドは、イン
ク流路を形成するための流路形成部を設けた第1部材
と、前記インク流路を形成するための流路形成部を設け
た第2部材とを接合して前記インク流路を形成したイン
クジェットヘッドにおいて、前記第1部材の流路形成部
及び第2部材の流路形成部の内、微細パターンを形成し
ている一方の流路形成部は、少なくとも前記微細パター
ンを形成する部分のガラス転移温度が他方の流路形成部
の対応する部分のガラス転移温度よりも高い構成とし
た。
【0009】請求項3のインクジェットヘッドは、上記
請求項1又は2のインクジェットヘッドにおいて、前記
第1部材及び第2部材のいずれかが複数のノズルを形成
したノズル形成部材である構成とした。
【0010】請求項4のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記第1部材及び第2部材の少なくともいずれか
を樹脂成形により形成した構成とした。
【0011】請求項5のインクジェットヘッドは、上記
請求項2のインクジェットヘッドにおいて、前記第1部
材及び第2部材の少なくとも一方の流路形成部は感光性
樹脂層をパターニングして形成した構成とした。
【0012】請求項6のインクジェットヘッドは、上記
請求項2のインクジェットヘッドにおいて、前記第1部
材及び第2部材の各流路形成部は略同一組成の感光性樹
脂層をパターニングして形成した構成とした。
【0013】請求項7のインクジェットヘッドの製造方
法は、インク流路を形成するための流路形成部を設けた
第1部材と、前記インク流路を形成するための流路形成
部を設けた第2部材とを接合して前記インク流路を形成
したインクジェットヘッドの製造方法において、前記第
1部材及び第2部材の各流路形成部は略同一組成の感光
性樹脂層をパターニングして形成した後、前記第1部材
の流路形成部及び第2部材の流路形成部の内、微細パタ
ーンを形成している一方の流路形成部の前記微細パター
ンを形成する部分のみの再露光を行ってガラス転移温度
を高くした後接合する構成とした。
【0014】請求項8のインクジェットヘッドは、請求
項1乃至6のいずれかのインクジェットヘッドにおい
て、前記第1部材の流路形成部及び第2部材の流路形成
部の少なくともいずれかが多層構造をなしている構成と
した。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用するイン
クジェットヘッドの外観斜視図、図2は図1のA−A線
に沿う要部拡大断面図、図3は図1のB−B線に沿う要
部拡大断面図である。
【0016】このインクジェットヘッドは、アクチュエ
ータユニット1と、このアクチュエータユニット1上に
接合した液室ユニット2とからなる。アクチュエータユ
ニット1は、絶縁基板3上に2つの積層型圧電素子4,
4と、これら2列の圧電素子4,4の周囲を取り囲むフ
レーム5を接着剤6によって接合している。圧電素子4
は、インクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが
与えられる複数のアクチュエータ素子となる駆動部7,
7…と、これらの駆動部7,7間に位置して、駆動パル
スが与えられない支柱部となる複数の非駆動部8,8…
とを交互に配置してなる。
【0017】液室ユニット2は、ダイアフラム部11を
有する振動板12上に感光性樹脂フィルム(ドライフィ
ルムレジスト)で形成した流路形成部となる第1感光性
樹脂層13、第2感光性樹脂層14、第3感光性樹脂層
15及びノズル16を有するノズルプレート17を順次
積層して各駆動部7,7…に対応するインク流路である
複数の加圧液室18,18…、各加圧液室18,18…
にインクを供給するインク流路である複数の共通液室
(共通インク流路)19,19、共通液室19と加圧液
室18を連通するインク供給路をなすインク流路である
流体抵抗部20,20をそれぞれ形成している。
【0018】この液室ユニット2の振動板12は、Ni
(ニッケル)の金属プレートからなり、エレクトロフォ
ーミング(電鋳)工法によって製造している。この振動
板12は、図3に示すように第1感光性樹脂層13側を
平坦面とし、チャンネル方向と直交する方向では駆動部
7側にそれぞれ厚みの異なるダイアフラム領域12a、
接合領域12b及び逃げ領域12cを形成して、駆動部
7,7…に対応してダイアフラム部11、11…を形成
したものである。
【0019】この振動板12のダイアフラム領域12a
は、最も厚みの薄い領域(薄肉部)であって、厚さを3
〜10μm程度にしたダイアフラム部11のダイアフラ
ム領域(駆動部7の変位に応じて変形する弾性部分)で
ある。また、接合領域12bは、最も厚みの厚い領域
(厚肉部)であり、駆動部7,非駆動部8及びフレーム
5との接合領域であって、例えば20μm程度以上の厚
さに形成している。この場合、図4に示すようにチャン
ネル方向と直交する方向では、各接合領域12bの内、
非駆動部8に対応する部分は、液室ユニット2を非駆動
部8に接合するための梁部12eとなる。更に、逃げ領
域12cは、中間の厚さの領域であって、駆動部7との
接触を避けるための領域である。
【0020】この振動板12を形成する材料は、駆動部
7による加圧力を加圧液室18に伝搬できる弾性部分を
形成でき、インクに対する耐液性がよく、低透湿性のも
のであればよい。ここでは、上述したようにエレクトロ
ンフォーミング工法(電鋳)によって製造したNi(ニ
ッケル)の金属プレートを用いているが、この他SUS
等の金属膜、非常に薄い低透湿性の樹脂膜、例えばポリ
フェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサ
ルフォン、ポリクロロトリフルオロエチレン、アラミド
等の樹脂膜を用いることもできる。
【0021】また、ノズルプレート17には第2感光性
樹脂層14及び第3感光性樹脂層15を形成すると共
に、インク滴を飛翔させるための微細孔である多数のノ
ズル16を形成しており、このノズル16の径はインク
滴出口側の直径で35μm以下に形成している。このノ
ズルプレート17も振動板12と同様にエレクトロンフ
ォーミング工法(電鋳)によって製造したNi(ニッケ
ル)の金属プレートを用いているが、Si、その他の金
属材料を用いることもできる。なお、実際には、1列3
2〜64個のノズル16を2列配列した64〜128個
構成で1つのインクジェットヘッドを製作するが、この
64〜128個のノズル16を有するノズルプレート1
7の品質は、インクの滴形状、飛翔特性を決定し、画像
品質に大きな影響を与えるものであり、より高品位の画
像品質を得る上で表面の均一化処理が不可欠である。
【0022】そして、このインクジェットヘッドにおい
ては、予めアクチュエータユニット1と液室ユニット2
とを別々に組付けた後、接着剤21によって両ユニット
1,2を接着接合して製造している。液室ユニット2
は、振動板12側に第1感光性樹脂層13を形成する一
方、ノズルプレート17側に第2、第3感光性樹脂層1
4,15を形成した後、これらの振動板12とノズルプ
レート17とを第1、第3感光性樹脂層13と第2、第
3感光性樹脂層14,15の位置合わせをして融着接合
して形成する。
【0023】ここで、感光性樹脂を用いた液室ユニット
の製造工程について図5乃至図7を参照して説明する。
なお、ここでは、説明を簡単にするために、上記実施例
の第2感光性樹脂層14を設けない2層形態で説明す
る。
【0024】先ず、次のようにして、振動板12上に第
1感光体樹脂層13を形成した部材を製造する。 図5(a)に示すように予めエレクトロンフォーミ
ング工法(電鋳)を用いてNi(ニッケル)の金属プレ
ートからなる振動板12を製造した後、同図(b)に示
すように振動板12のフラットな面上に感光性樹脂であ
るネガ型ドライフィルムレジスト31を熱及び圧力によ
ってラミネートする。このドライフィルムレジストの厚
さは例えば20〜50μm程度である。
【0025】 同図(c)に示すようにインク流路形
状に応じたパターン(同図中、黒塗り部分が光遮蔽、白
部分が光透過)を有するマスク32を用いて紫外線(U
V光)露光をして、ドライフィルムレジスト31の露光
部分を硬化させる。これにより、ドライフィルムレジス
ト31は同図(d)に示すように溶剤不溶化領域である
硬化部分(露光部分)31aと溶剤溶化領域である未硬
化部分(未露光部分)31bとが生じる。 同図(e)に示すように未露光部分を除去できる溶
剤を用いて現像し、未露光部分31bを除去して、露光
部分31aを残すことにより、この露光部分31aで所
定のパターンを有する第1感光性樹脂層13が形成され
る。 水洗い、乾燥の後、再度紫外線露光と加熱によって
本硬化する。
【0026】一方、振動板12側と同様にして、ノズル
プレート17側に第3感光性樹脂層15を形成した部材
を製造する。すなわち、 図6(a)に示すように予めエレクトロンフォーミ
ング工法(電鋳)を用いてNi(ニッケル)の金属プレ
ートからなるノズル16を有するノズルプレート17を
製造した後、同図(b)に示すようにノズルプレート1
7のフラットな面上に感光性樹脂であるネガ型ドライフ
ィルムレジスト33を熱及び圧力によってラミネートす
る。このドライフィルムレジストの厚さは例えば40〜
100μm程度である。
【0027】 同図(c)に示すようにインク流路形
状に応じたパターンを有するマスク34を用いて紫外線
(UV光)露光をして、ドライフィルムレジスト33の
露光部分を硬化させる。これにより、ドライフィルムレ
ジスト33は同図(d)に示すように硬化部分(露光部
分)33aと未硬化部分(未露光部分)33bとが生じ
る。 同図(e)に示すように未露光部分を除去できる溶
剤を用いて現像して、未露光部分33bを除去すること
により、露光部分33aを残すことにより、この露光部
分33aで所定のパターンを有する第3感光性樹脂層1
5が形成される。 水洗い、乾燥の後、再度紫外線露光と加熱によって
本硬化する。
【0028】そして、図7に示すように、振動板13と
ノズルプレート17に形成されたドライフィルムレジス
トからなる第1感光性樹脂層13と第3感光性樹脂層1
5の対応する面同士を接合する。この接合は位置合わせ
治具を用いて行い、加圧及び前記本硬化のときより高い
温度での加熱を行う。なお、実際には、以上の工程は、
複数個分のヘッド面積のプレートにて組付けを行う。
【0029】そこで、このようなインクジェットヘッド
に適用した本発明の実施例について図8以降を参照して
説明する。なお、上述したインクジェットヘッドと対応
する部分には同一符号を付している。図8は本発明の第
1実施例を示す液室部の断面図、図9は図8の要部拡大
断面図である。
【0030】この液室ユニットは、インク流路を形成す
るための流路形成部を第1感光性樹脂層41で形成した
第1部材である振動板12と、インク流路を形成するた
めの流路形成部を第2感光性樹脂層42及び第3感光性
樹脂層43で形成した第2部材であるノズルプレート1
7とを接合して形成したものであり、層構造としては3
層構造としている。そして、ここで、微細パターンであ
る流体抵抗部20の側壁部45を形成している振動板1
2の第1感光性樹脂層41の硬度をノズルプレート17
の第2感光性樹脂層42の硬度よりも高くしている。
【0031】このように微細パターンである流体抵抗部
20の側壁部45を形成している振動板12の第1感光
性樹脂層41の硬度をノズルプレート17の第2感光性
樹脂層42の硬度よりも高くすることによって、振動板
12の第1感光性樹脂層41とノズルプレート17の第
2,第3感光性樹脂層42,43とを加熱、加圧して接
着する場合に、図9に示すように第1感光性樹脂層41
で形成している流体抵抗部20の側壁部45の変形の度
合いを低減することができると共に、硬度が相対的に低
い第2感光性樹脂層42で加えられた圧力を吸収するこ
とができ、微細パターンで形成する流体抵抗部20の精
度が向上する。
【0032】すなわち、ここで第1感光性樹脂層41と
流体抵抗部20の側壁部を形成していない第2感光性樹
脂層42との硬度が同じか、第2感光性樹脂層の硬度が
相対的に高い場合には、図10及び図11に示すよう
に、振動板12の第1感光性樹脂層41とノズルプレー
ト17の第2,第3感光性樹脂層42,43とを加熱、
加圧して接着する場合に、第1感光性樹脂層41で形成
している流体抵抗部29に側壁部45にだれなどの変形
が発生し、細パターンで形成される流体抵抗部20の精
度が低くなる。
【0033】このように流体抵抗部の側壁部の形状精度
が低くなると、断面積変化が大きくなってインク滴吐出
特性に大きな影響を与えることになり、チャンネル間
(各ノズルから)のインク滴吐出特性が異なってしま
い、画像品質が低下する。これに対して、上記実施例の
ようにすることで微細パターンで形成される流体抵抗部
20の形状精度が高くなる。
【0034】なお、第1部材,第2部材の流路形成部を
感光性樹脂に限らず、例えばその他の樹脂成形で形成し
てもよく、或いは微細パターンを形成する側を金属材料
とし、それ以外のパターンを樹脂成形で形成することも
できる。また、第1,第2部材の流路形成部をいずれも
金属材料で形成し、微細パターンを形成しない側、上記
実施例でいえばノズルプレート側の金属材料の接合面に
薄い樹脂固体層を設けて、微細パターンを形成する側の
接合面の硬度を相対的に高くすることもできる。さら
に、微細パターンを振動板側ではなく、ノズルプレート
側に形成する場合にも同様に実施することができる。
【0035】このように、第1部材の流路形成部及び第
2部材の流路形成部の内、微細パターンを形成している
一方の流路形成部は、少なくとも微細パターンを形成す
る部分の硬度が他方の流路形成部の対応する部分の硬度
よりも高い構成とすることによって、微細パターンを形
成する流路形成部の接合時の変形が少なく、形状精度が
向上して、各ノズルからのインク滴吐出特性のバラツキ
を減少することができ、画像品質が向上する。
【0036】また、第1部材及び第2部材のいずれかを
ノズルプレートとすることによってノズルプレート接合
工程を省略できて生産性が向上することになる。
【0037】また、第1部材,第2部材の流路形成部を
樹脂で形成した場合には、微細パターンを形成する側の
流路形成部のガラス転移温度を微細パターンを形成しな
い側の流路形成部のガラス転移温度よりも高くすること
でも、上述したと同様の作用効果が得られる。そして、
この場合、融着を行う温度を2つの基板の流路形成部の
ガラス転移温度の中間の温度に設定することによって、
微細パターン側の流路形成部は全く変化することなく、
両者を融着することができる。このときの樹脂は、熱可
塑性を示す樹脂であれば、どのような樹脂でもよい。
【0038】さらに、樹脂として上述したような感光性
樹脂を用いた場合、異なるガラス転移温度を持つ2種類
の感光性樹脂を用いて接合することも可能であるが、感
光性樹脂は同じ組成でも露光量や加熱温度を変えること
によってガラス転移温度を容易に変えることができるた
め、これらの手法を用いて容易に微細パターンを形成す
る側のガラス転移温度を他よりも高くすることができ
る。
【0039】このように樹脂成形でインク流路を形成す
る流路形成部を形成することによって、形状が任意に設
定できるとと共に、樹脂材料を変えることで容易に硬
度、ガラス転移温度を異なるものに設定することがで
き、製造が容易になる。そして、感光性樹脂を用いるこ
とで、形状を極めて容易に設定することができ、多層構
造による高さ方向の形状、即ち、液室容積の確保も容易
に行うことができる上、接合面を略同一組成にすること
ができて、接合強度を上げることができ、ガラス転移温
度も容易に変えることができて、生産性が向上する。
【0040】次に、図12を参照して本発明の第2実施
例について説明する。この第2実施例は上記第1実施例
の第1感光性樹脂層41を上側から見た平面図である。
この第2実施例においては、振動板12に設けた第1感
光性樹脂層41の微細パターンを形成する流体抵抗部形
成部41aの部分のみのガラス転移温度を高くしたもの
であり、他の加圧液室形成部41bはガラス転移温度を
相対的に低くしている。
【0041】これは、露光によるガラス転移温度の変化
を利用して実際に変形が生じてはならない部分のみを選
択的に露光したものである。すなわち、図12に示すよ
うにパターンで第1感光性樹脂層41を形成した後、流
体抵抗部形成部41a以外の部分にマスクをかけて、流
体抵抗部形成部41aだけを露光することにより、流体
抵抗部20の隔壁部分は接合によって変形せず、かつ、
接合強度が要求される加圧液室形成部41bは未露光の
ために柔らかく、十分な接合強度を得ることができるよ
うになる。
【0042】このように、第1部材及び第2部材の各流
路形成部は略同一組成の感光性樹脂層をパターニングし
て形成した後、第1部材の流路形成部及び第2部材の流
路形成部の内、微細パターンを形成している一方の流路
形成部の微細パターンを形成する部分のみの再露光を行
ってガラス転移温度を高くした後接合することによっ
て、変形を防止すると共に、接合強度を上げることがで
きる。
【0043】次に、図13を参照して本発明の第3実施
例について説明する。この第3実施例は上記第2実施例
と同様に第1感光性樹脂層41を上側から見た平面図で
ある。この第3実施例においては、振動板12に設けた
第1感光性樹脂層41の微細パターンを形成する流体抵
抗部形成部41aのうちの更に流体抵抗部20の隔壁部
分45のみガラス転移温度を高くしたものであり、流体
抵抗部形成部41aのうちの他の部分及び加圧液室形成
部41bはガラス転移温度を相対的に低くしている。
【0044】このように流体抵抗部形成部41aの外周
部分のみガラス転移温度を高くすることによって、流体
抵抗部20の隔壁部分は接合によって変形せず、かつ、
流体抵抗部20の近傍部分及び接合強度が要求される加
圧液室形成部41bは未露光のために柔らかく、一層十
分な接合強度を得ることができるようになる。
【0045】上記実施例では、アクチュエータ素子とし
て圧電素子を用いたインクジェットヘッドで説明してい
るが、アクチュエータ素子はこれに限るものでなく発熱
抵抗体等のその他のアクチュエータ素子を使用するイン
クジェットヘッドにも本発明は同様に適用することがで
きる。また、流路形成部を感光性樹脂で形成した例で説
明しているが、その他金属材料等も用いることができる
ことは上述したとおりである。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェットヘッドによれば、第1部材の流路形成部及び第
2部材の流路形成部の内、微細パターンを形成している
一方の流路形成部は、少なくとも微細パターンを形成す
る部分の硬度が他方の流路形成部の対応する部分の硬度
よりも高い構成としたので、微細パターンを形成する部
分の接合時の変形が少なく、微細で複雑なインク流路を
高精度に形成することができて、インク滴噴射特性のバ
ラツキを低減することができる。
【0047】請求項2のインクジェットヘッドによれ
ば、第1部材の流路形成部及び第2部材の流路形成部の
内、微細パターンを形成している一方の流路形成部は、
少なくとも微細パターンを形成する部分のガラス転移温
度が他方の流路形成部の対応する部分のガラス転移温度
よりも高い構成としたので、微細パターンを形成する部
分の接合時の変形が少なく、微細で複雑なインク流路を
高精度に形成することができて、インク滴噴射特性のバ
ラツキを低減することができる。
【0048】請求項3のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1又は2のインクジェットヘッドにおい
て、第1部材及び第2部材のいずれかが複数のノズルを
形成したノズル形成部材である構成としたので、生産性
を向上することができる。
【0049】請求項4のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、第1部材及び第2部材の少なくともいず
れかを樹脂成形により形成した構成としたので、形状設
定が容易で、硬度、ガラス転移温度の設定も容易にな
る。
【0050】請求項5のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項2のインクジェットヘッドにおいて、第
1部材及び第2部材の少なくとも一方の流路形成部は感
光性樹脂層をパターニングして形成した構成としたの
で、形状設定が極めて容易で、液室容積の確保も容易に
なる。
【0051】請求項6のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項2のインクジェットヘッドにおいて、第
1部材及び第2部材の各流路形成部は略同一組成の感光
性樹脂層をパターニングして形成した構成としたので、
接合強度を上げることができると共に、ガラス転移温度
の設定も容易に行うことができる。
【0052】請求項7のインクジェットヘッドの製造方
法によれば、第1部材及び第2部材の各流路形成部は略
同一組成の感光性樹脂層をパターニングして形成した
後、第1部材の流路形成部及び第2部材の流路形成部の
内、微細パターンを形成している一方の流路形成部の微
細パターンを形成する部分のみの再露光を行ってガラス
転移温度を高くした後接合する構成としたので、微細パ
ターン部分の変形を防止することができ、微細で複雑な
インク流路を高精度に形成することができて、インク滴
噴射特性が向上すると共に、接合強度も良好なインクジ
ェットヘッドを製造することができる。
【0053】請求項8のインクジェットヘッドによれ
ば、請求項1乃至6のいずれかのインクジェットヘッド
において、第1部材の流路形成部及び第2部材の流路形
成部の少なくともいずれかが多層構造をなしている構成
としたので、微細で複雑のインク流路を容易に、高い形
状精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するインクジェットヘッドの外観
斜視図
【図2】同インクジェットヘッドの分解斜視図
【図3】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図
【図4】図1のB−B線に沿う要部拡大断面図
【図5】液室ユニットの製造工程のうちの振動板の製造
工程を説明する工程図
【図6】液室ユニットの製造工程のうちのノズルプレー
トの製造工程を説明する工程図
【図7】液室ユニットの製造工程のうちの振動板とノズ
ルプレートの接合を説明する工程図
【図8】本発明の第1実施例を示す断面図
【図9】図8の要部拡大断面図
【図10】同実施例の作用説明に供する比較対象例の断
面図
【図11】図10の要部拡大断面図
【図12】本発明の第2実施例を示す要部断面図
【図13】本発明の第3実施例を示す要部断面図
【符号の説明】
1…アクチュエータユニット、2…液室ユニット、7…
圧電素子、12…振動板、13…第1感光性樹脂層、1
4…第2感光性樹脂層、15…第3感光性樹脂層、16
…ノズル、17…ノズルプレート、18…加圧液室、1
9…共通液室、20…流体抵抗部、41…第1感光性樹
脂層、42…第2感光性樹脂層、43…第3感光性樹脂
層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク流路を形成するための流路形成部
    を設けた第1部材と、前記インク流路を形成するための
    流路形成部を設けた第2部材とを接合して前記インク流
    路を形成したインクジェットヘッドにおいて、前記第1
    部材の流路形成部及び第2部材の流路形成部の内、微細
    パターンを形成している一方の流路形成部は、少なくと
    も前記微細パターンを形成する部分の硬度が他方の流路
    形成部の対応する部分の硬度よりも高いことを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 インク流路を形成するための流路形成部
    を設けた第1部材と、前記インク流路を形成するための
    流路形成部を設けた第2部材とを接合して前記インク流
    路を形成したインクジェットヘッドにおいて、前記第1
    部材の流路形成部及び第2部材の流路形成部の内、微細
    パターンを形成している一方の流路形成部は、少なくと
    も前記微細パターンを形成する部分のガラス転移温度が
    他方の流路形成部の対応する部分のガラス転移温度より
    も高いことを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のインクジェット
    ヘッドにおいて、前記第1部材及び第2部材のいずれか
    が複数のノズルを形成したノズル形成部材であることを
    特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記第1部材の流路形成部
    及び第2部材の流路形成部の少なくともいずれかを樹脂
    成形により形成したことを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のインクジェットヘッド
    において、前記第1部材の流路形成部及び第2部材の流
    路形成部の少なくともいずれかを感光性樹脂層をパター
    ニングして形成したことを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載のインクジェットヘッド
    において、前記第1部材及び第2部材の各流路形成部は
    略同一組成の感光性樹脂層をパターニングして形成した
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 インク流路を形成するための流路形成部
    を設けた第1部材と、前記インク流路を形成するための
    流路形成部を設けた第2部材とを接合して前記インク流
    路を形成したインクジェットヘッドの製造方法におい
    て、前記第1部材及び第2部材の各流路形成部は略同一
    組成の感光性樹脂層をパターニングして形成した後、前
    記第1部材の流路形成部及び第2部材の流路形成部の
    内、微細パターンを形成している一方の流路形成部の前
    記微細パターンを形成する部分のみの再露光を行ってガ
    ラス転移温度を高くした後接合することを特徴とするイ
    ンクジェットヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記第1部材の流路形成部
    及び第2部材の流路形成部の少なくともいずれかが多層
    構造をなしていることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009006723A (ja) * 2003-10-23 2009-01-15 Hewlett-Packard Development Co Lp 流体噴射装置のプリントヘッド組立品
JP2017503650A (ja) * 2014-01-07 2017-02-02 ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド 突起部を有する溝流路付きシートおよび対面シートを備えたろ過媒体パック

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US11511224B2 (en) 2014-01-07 2022-11-29 Donaldson Company, Inc. Filtration media pack, filter elements, and air filtration media
US12017176B2 (en) 2014-01-07 2024-06-25 Donaldson Company, Inc. Filtration media pack, filter elements, and air filtration media

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