JPH09324050A - 芳香族ポリベンゾチアゾール及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリベンゾチアゾール及びその製造方法

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JPH09324050A
JPH09324050A JP14428196A JP14428196A JPH09324050A JP H09324050 A JPH09324050 A JP H09324050A JP 14428196 A JP14428196 A JP 14428196A JP 14428196 A JP14428196 A JP 14428196A JP H09324050 A JPH09324050 A JP H09324050A
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JP
Japan
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group
formula
aromatic
benzene ring
polybenzothiazole
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JP14428196A
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Masatoshi Maeda
政利 前田
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶媒への溶解性が良好で、強度及び耐熱性に
優れた皮膜成形性品を得ることができる芳香族ポリベン
ゾチアゾールを提供する。 【解決手段】 2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジ
チオール二塩酸塩15.0g(61.2mmol)と、4,4´−ヘ
キサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物2
7.2g(61.2mmol)と、溶媒としてのN−メチル−2−ピ
ロリドン200ml及びジクロロベンゼン40mlを混合し、
アルゴン雰囲気下、室温から170 ℃まで昇温させ、170
℃で生成する水を共沸脱水させながら5時間反応させ
る。 反応終了後、室温まで冷却し、重合液を2倍に希
釈して1000mlのメタノール溶液に高速攪拌下、少量ずつ
滴下して沈澱を起こさせ、これをろ過すると、その固有
粘度が0.64 (dL/g)の図1のIRスペクトルを有する
芳香族ポリベンゾチアゾールが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリベンゾチ
アゾール及びその製造方法に関し、特に、溶媒への溶解
性が良好で、強度及び耐熱性に優れた皮膜成形品を作製
することができる芳香族ポリベンゾチアゾール及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子産業界および化学産業
界において、耐熱性樹脂であって、電気絶縁性、耐溶剤
性、及び成形時の寸法安定性等に優れた各種樹脂材料が
幅広く利用されているが、かかる樹脂材料の一つとして
芳香族ポリベンゾチアゾールが挙げられる。
【0003】芳香族ポリベンゾチアゾールを得る方法と
しては、従来から、ジカルボン酸クロライドとジアミノ
ジチオール化合物(ジアミノジチオールまたはジアミノ
ジチオール二塩酸塩)とを重縮合させる、または、濃硫
酸やポリリン酸中でジカルボン酸とジアミノジチオール
化合物とを重縮合させて一旦ポリアミドを生成し、ポリ
アミドからそのチオール基を反応種とする閉環反応(脱
水反応)によって芳香族ポリベンゾチアゾールに転換す
る方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の芳香族ポリ
ベンゾチアゾールの製造方法により得られる既存の芳香
族ポリベンゾチアゾールは一般的に難溶性であることか
ら、これの成形品を得る場合、前段階のポリアミドをキ
ュアー等により加熱脱水して成形加工する方法が採られ
るが、この際、脱水による重量減少によって成形品が脆
くなったり、亀裂やボイドが生じたりするという欠点が
あった。
【0005】また、前記従来の芳香族ポリベンゾチアゾ
ールの製造方法では、ポリアミドからポリベンゾチアゾ
ールへの転換が容易でなく、比較的長い反応時間を要
し、また、濃硫酸やポリリン酸の使用は工業的に困難
(例えば反応溶媒の後処理等における困難性)を伴うこ
とが多い。また、濃硫酸やポリリン酸を使用すると、製
造過程でイオンや塩類を生成し、芳香族ポリベンゾチア
ゾールを電気・電子産業分野の材料として使用する場合
にこれらのイオンや塩類を芳香族ポリベンゾチアゾール
から取り除く必要が極めて大であるにも拘わらず、その
完全な取り除きができなかったり、または除去のための
工程が繁雑になるといった欠点がある。
【0006】本発明は前記のような技術的課題に鑑みて
なされたものであり、溶媒への溶解性が良好で、強度及
び耐熱性に優れた皮膜成形性品を作製することができる
芳香族ポリベンゾチアゾール及びその製造(合成)方法
を提供することを目的とする。
【0007】また、本発明の他の目的は、濃硫酸やポリ
リン酸を使用することなく、汎用の溶媒を用いて短時間
で芳香族ポリベンゾチアゾールを合成することができる
芳香族ポリベンゾチアゾールの製造(合成)方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の芳香族ポリベンゾチアゾールは下記一般式
(化5)の繰り返し単位からなるものとした。このよう
な構成により、繰り返し単位中に導入したカルボキシル
基によって優れた有機溶媒への溶解性を示し、、その結
果、芳香族ポリベンゾチアゾールの樹脂溶液を用いて皮
膜成形品を製造すると、樹脂溶液の皮膜形成性の向上効
果とカルボキシル基による分子間水素結合とにより、優
れた強度及び耐熱性を備えた皮膜成形品を製造すること
ができる。
【0009】
【化5】
【0010】(但し、R及びArは少なくとも一つのベ
ンゼン環を有する4価の有機基であり、S(硫黄元素)
及びN(窒素元素)はベンゼン環に直接結合し、S(硫
黄元素)はN(窒素元素)に対してオルト位に位置して
いる。) また、本発明の芳香族ポリベンゾチアゾールの製造方法
は、下記一般式(化6)で表わされるジアミノジチオー
ル及び下記一般式(化7)で表わされるジアミノジチオ
ール二塩酸塩から選ばれる少なくとも1つと、下記一般
式(化8)で表わされる芳香族酸二無水物とを縮合重合
させて、前記本発明の芳香族ポリベンゾチアゾールを製
造するようにした。このような構成により、ポリアミド
等の重合反応で使用される例えばN−メチル−2−ピロ
リドン等の汎用の有機溶媒中で前記縮合重合が効率良く
進行し、前記一般式(化5)の繰り返し単位からなる本
発明の芳香族ポリベンゾチアゾールを短時間で合成する
ことができる。
【0011】
【化6】
【0012】(但し、Rは少なくとも一つのベンゼン環
を有する4価の有機基であり、チオール基(−SH)及
びアミノ基(−NH2 )はベンゼン環に直接結合し、チ
オール基(−SH)はアミノ基(−NH2 )に対してオ
ルト位に位置している。)
【0013】
【化7】
【0014】(但し、Rは少なくとも一つのベンゼン環
を有する4価の有機基であり、チオール基(−SH)及
びアミノ基(−NH2 )はベンゼン環に直接結合し、チ
オール基(−SH)はアミノ基(−NH2 )に対してオ
ルト位に位置している。)
【0015】
【化8】
【0016】(但し、Arは少なくとも一つのベンゼン
環を有する4価の有機基である。) なお、前記において一般式(化6)及び一般式(化7)
中の少なくとも一つのベンゼン環を有する4価の有機基
Rは一般式(化5)中の少なくとも一つのベンゼン環を
有する4価の有機基Rに対応しており、一般式(化8)
中の少なくとも一つのベンゼン環を有する4価の有機基
Arは一般式(化5)中の少なくとも一つのベンゼン環
を有する4価の有機基Arに対応している。
【0017】
【発明の実施の形態】前記一般式(化6)で表わされる
ジアミノジチオール及び一般式(化7)で表わされるジ
アミノジチオール二塩酸塩における、少なくとも一つの
ベンゼン環を有する4価の有機基Rとしては、例えば下
記式(化9)及び下記式(化10)に示す4価基が挙げ
られる。
【0018】
【化9】
【0019】(但し、ベンゼン環の少なくとも1つの水
素原子がハロゲン元素、炭素数が1〜4のアルキル基、
炭素数が6〜8のアリール基、または炭素数が1〜2の
フッ化アルキル基で置換されていても良い。) ここでのハロゲン元素の具体例としては例えば塩素、臭
素、フッ素等が挙げられ、炭素数が1〜4のアルキル基
としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、(i
so,s−,t−)ブチル基等が挙げられ、炭素数が6
〜8のアリール基としては例えばフェニル基、(o−,
m−,p−)トリル基、2,3−キシリル基、3,5−
キシリル基等が挙げられ、炭素数が1〜2のフッ化アル
キル基としては例えばトリフロロメチル基、ペンタフロ
ロエチル基等が挙げられる。
【0020】
【化10】
【0021】(但し、−X1 −は2つ炭素間の単結合、
−O−、−S−、−SO2 −、−CO−、−CH2 −、
−C(CH3 2 −、−C(CF3 2 −、又は−(C
6 4 )−であり、また、ベンゼン環の少なくとも1つ
の水素原子がハロゲン元素、炭素数が1〜4のアルキル
基、炭素数が6〜8のアリール基、または炭素数が1〜
2のフッ化アルキル基で置換されていても良い。) ここでのハロゲン元素としては例えば塩素、臭素、フッ
素等が挙げられ、炭素数が1〜4のアルキル基としては
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、(iso,s
−,t−)ブチル基等が挙げられ、炭素数が6〜8のア
リール基としては例えばフェニル基、(o−,m−,p
−)トリル基、2,3−キシリル基、3,5−キシリル
基等が挙げられ、炭素数が1〜2のフッ化アルキル基と
しては例えばトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル
基等が挙げられる。
【0022】前記一般式(化6)で表わされるジアミノ
ジチオールの好適な具体例としては下記表1の式(A) 〜
式(J) の構造式からなるものが挙げられる。
【0023】
【表1】
【0024】また、前記一般式(化7)で表わされるジ
アミノジチオール二塩酸塩の好適な具体例としては、前
記表1のジアミノジチオールをそのジアミノジチオール
とする二塩酸塩を挙げることができる。
【0025】前記一般式(化8)で表わされる芳香族酸
二無水物の式(化8)中の少なくとも一つのベンゼン環
を有する4価の有機基Arとしては、例えば下記式(化
11)、(化12)、及び(化13)に示される4価基
が挙げられる。
【0026】
【化11】
【0027】(但し、ベンゼン環の少なくとも1つの水
素原子がハロゲン元素、炭素数が1〜4のアルキル基、
炭素数が6〜8のアリール基、または炭素数が1〜2の
フッ化アルキル基で置換されていても良い。) ここでのハロゲン元素としては例えば塩素、臭素、フッ
素等が挙げられ、炭素数が1〜4のアルキル基としては
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、(iso,s
−,t−)ブチル基等が挙げられ、炭素数が6〜8のア
リール基としては例えばフェニル基、(o−,m−,p
−)トリル基、2,3−キシリル基、3,5−キシリル
基等が挙げられ、炭素数が1〜2のフッ化アルキル基と
しては例えばトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル
基等が挙げられる。
【0028】
【化12】
【0029】(但し、−X2 −は2つ炭素間の単結合、
−O−、−S−、−SO2 −、−CO−、−CH2 −、
−C(CH3 2 −、−C(CF3 2 −、−C(CF
3 )(C6 5 )−、又は−(C6 4 )−であり、ま
た、ベンゼン環の水素原子の少なくとも1つはハロゲン
元素、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が6〜8の
アリール基、または炭素数が1〜2のフッ化アルキル基
で置換されていても良い。) ここでのハロゲン元素としては例えば塩素、臭素、フッ
素等が挙げられ、炭素数が1〜4のアルキル基としては
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、(iso,s
−,t−)ブチル基等が挙げられ、炭素数が6〜8のア
リール基としては例えばフェニル基、(o−,m−,p
−)トリル基、2,3−キシリル基、3,5−キシリル
基等が挙げられ、炭素数が1〜2のフッ化アルキル基と
しては例えばトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル
基等が挙げられる。
【0030】
【化13】
【0031】(但し、−X3 −は2つのベンゼン間の互
いの一つの炭素同士の結合、−O−、−S−、−SO2
−、−CO−、−CH2 −、−C(CH3 2 −、−C
(CF3 2 −、−C(CF3 )(C6 5 )−、又は
−(C6 4 )−であり、また、ベンゼン環の水素原子
の少なくとも1つはハロゲン元素、炭素数が1〜4のア
ルキル基、炭素数が6〜8のアリール基、または炭素数
が1〜2のフッ化アルキル基で置換されていても良
い。) ここでのハロゲン元素としては例えば塩素、臭素、フッ
素等が挙げられ、炭素数が1〜4のアルキル基としては
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、(iso,s
−,t−)ブチル基等が挙げられ、炭素数が6〜8のア
リール基としては例えばフェニル基、(o−,m−,p
−)トリル基、2,3−キシリル基、3,5−キシリル
基等が挙げられ、炭素数が1〜2のフッ化アルキル基と
しては例えばトリフロロメチル基、ペンタフロロエチル
基等が挙げられる。
【0032】前記一般式(化8)で表わされる芳香族酸
二無水物の好適な具体例としては、下記の表2の式(a)
〜式(o) の構造式からなるものが挙げられる。
【0033】
【表2】
【0034】以下、縮合反応の反応条件について詳しく
説明する。通常、前記一般式(化6)で表わされるジア
ミノジチオール及び/または前記一般式(化7)で表わ
されるジアミノジチオール二塩酸塩(以下、これらを総
称してジアミノジチオール化合物と称す。)と、前記一
般式(8)で表わされる芳香族酸二無水物との縮合反応
(縮合重合)は、前記一般式(化6)または前記一般式
(化7)で表わされるジアミノジチオール化合物である
1種または2種以上の物質と、前記一般式(8)で表わ
される芳香族酸二無水物である1種または2種以上の物
質とを等モル、場合によっては、ジアミノジチオール化
合物1モルに対して芳香族酸二無水物を0.9〜1.1
モル、好ましくは0.95〜1.05モル使用して、有
機溶媒中にて行われる。有機溶媒の使用量はモノマー
(ジアミノジチオール化合物+芳香族酸二無水物)に対
する重量比(モノマー:有機溶媒)で、一般に10:9
0〜30:70である。有機溶媒は、必ずしも、前記ジ
アミノジチオール化合物及び芳香族酸二無水物を完全に
溶解させるものを使用する必要はないが、前記ジアミノ
ジチオール化合物及び芳香族酸二無水物を完全に溶解さ
せるものが好ましく、縮合生成物である前記一般式(化
5)で表わされる芳香族ポリベンゾチアゾールをも完全
に溶解させるものがより好ましい。かかる有機溶媒の好
適な具体例としては、例えばN−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフ
ォスフォルアミド等の極性溶媒を挙げることができる。
これらは二種以上を混合して使用しても差し支えない。
また、これらの極性溶媒にベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、及びアセトンから選
ばれる少なくとも一つの溶媒を補助溶媒として添加する
こともできる。かかる補助溶媒の添加量は、モノマーで
あるジアミノジチオール化合物及び芳香族酸二無水物
と、縮合生成物である芳香族ポリベンゾチアゾールの前
記極性溶媒への溶解性を考慮して決定されるが、溶媒全
体当たり補助溶媒が一般に5〜30重量%、好ましくは
10〜20重量%である。
【0035】前記ジアミノジチオール化合物と芳香族酸
二無水物との縮合反応(縮合重合)は、通常、前記溶媒
中にてこれらを混合するだけである程度進行するが、窒
素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で溶媒を
加熱する加熱反応にて行うのが好ましい。また、かかる
加熱反応では前記した補助溶媒のうちのベンゼン、トル
エン、キシレン、クロルベンゼン、及びジクロルベンゼ
ン等の共沸溶媒を前記極性溶媒に混合して加熱し共沸脱
水しながら行うのが好ましい。この場合、共沸溶媒は前
記極性溶媒に対する重量比(極性溶媒:共沸溶媒)で一
般に85:15〜70:30である。また、共沸溶媒の
混合に代えて、減圧状態で前記有機溶媒を加熱して生成
水等を取り除きながら反応を促進させるようにしても良
い。反応温度は一般に200℃以下、好ましくは160
〜180℃である。反応圧力は通常は常圧であるが、前
記減圧状態で反応させる場合は一般に50〜400To
rrにする。反応時間は溶媒の種類、反応温度などによ
っても異なるが、一般に1〜24時間であり、多くの場
合1〜5時間程度で充分である。反応は多くの場合均一
溶液系で進行するため、製造管理(反応条件等の管理)
が容易に行える。
【0036】縮合生成物である前記一般式(化5)で表
わされる芳香族ポリベンゾチアゾールは、通常、メタノ
ール中で沈殿を形成させ、これを濾過回収した後、メタ
ノール等の洗浄剤にて洗浄した後、乾燥することにより
取得される。縮合生成物(前記一般式(化5)で表わさ
れる芳香族ポリベンゾチアゾール)の重合度は、モノマ
ー(前記一般式(化6)または前記一般式(化7)で表
わされるジアミノジチオール化合物+前記一般式(8)
で表わされる芳香族酸二無水物)及びかかる縮合生成物
が溶媒に対して良好な溶解性を示すことから比較的高く
なり、その固有粘度は一般に0.6〜1.2dL/g程
度となる。
【0037】以上のようにして得られる縮合生成物(前
記一般式(化5)で表わされる芳香族ポリベンゾチアゾ
ール)は、前記したN−メチル−2−ピロリドン、N,
N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォ
ルアミド等の有機溶媒に良く溶け、多くの場合室温で完
全溶解し、室温で完全溶解しないものも加熱(一般に5
0〜80℃)すれば完全溶解する。従って、かかる縮合
生成物を完全または完全に近い状態まで溶解させた樹脂
溶液を用いてこれの皮膜を形成すると、樹脂溶液が均一
組成であることから斑や気泡がない均一な皮膜を形成す
ることができる。そして、これを加熱乾燥(焼成)する
ことにより、分子中に導入されたカルボキシル基による
分子間水素結合も手伝って、亀裂やボイドがなく、高強
度で耐熱性に優れた皮膜成形品を得ることができる。な
お、かかる皮膜成形品を得る際の樹脂溶液における樹脂
(芳香族ポリベンゾチアゾール)の濃度は一般に5〜3
0重量%である。また、皮膜成形品の用途としてはコー
ティング材、分離膜等を挙げることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】(実施例1)攪拌モーター、アルゴンガス
導入管、温度制御用の熱電対、ディーンスタークトラッ
プおよび還流冷却器を取りつけた500mlの四つ口フ
ラスコに、下記構造式(化14)の2,5−ジアミノ−
1,4−ベンゼンジチオール二塩酸塩15.0g(6
1.2mmol)と、下記構造式(化15)の4,4´
−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水
物27.2g(61.2mmol)と、溶媒としてのN
−メチル−2−ピロリドン200ml及びジクロルベン
ゼン40mlとを加え、アルゴン雰囲気下、加熱浴槽を
室温から170℃まで昇温させ、170℃で生成する水
を共沸脱水させながら5時間反応させた。反応終了後、
室温まで冷却し、重合液を2倍に希釈して1000ml
のメタノール溶液に高速攪拌下、少量ずつ滴下し沈澱さ
せた。これをろ過し、重合物を回収した。さらに、この
重合物を2回過剰量のメタノールで洗浄後、80℃で乾
燥させた。得られた重合物は25.6gであり、収率は
66.7%であった。また、固有粘度は0.64(dL
/g)であった。この重合物のIR(赤外)吸収スペク
トルおよびH−NMR(高分解能核磁気共鳴吸収)スペ
クトルを測定したところ、図1および図2に示すスペク
トルが得られ、解析の結果目的の芳香族ポリベンゾチア
ゾール、すなわち、下記式(化16)の繰り返し単位か
らなる芳香族ポリベンゾチアゾールであることを確認し
た。なお、図2のH−NMRスペクトルにおいて−CO
OHのHはカップリング変換などで動くこと及びブロー
ドであることから確認できなかった(ピーク2,3,4
の中に入っているものと推定。)。この重合物は下記表
3に示すようにN−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、及びヘキサメチルフォスフ
ォルアミドなどの溶媒に対して良好な溶解性を示した。
そして、この重合物の樹脂溶液(溶媒としてN−メチル
−2−ピロリドンを用いた重合物の濃度が10重量%の
樹脂溶液)を用いて、(分離膜用基材の表面に)皮膜成
形品を作製した得たところ、亀裂やボイドがなく、高強
度でかつ耐熱性に優れた皮膜成形品(ガラス転移点が2
14.9℃)を得ることができた。
【0040】
【化14】
【0041】
【化15】
【0042】
【化16】
【0043】(比較例1)攪拌モーター、アルゴンガス
導入管、および乾燥排気管を取りつけた500mlの四
つ口フラスコに、200gのポリリン酸(P2 5 含量
濃度、84重量%)を投入した。そして、アルゴンガス
雰囲気下、110℃でかき混ぜながら、前記構造式(化
14)の2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオー
ル二塩酸塩10.0g(40.8mmol)を少しずつ
加え溶解させる。この溶液中に下記構造式(化17)の
2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン18.1g(40.8mmol)を加えて、
180℃まで昇温し、ポリリン酸を途中で50g加え、
15時間反応させた。反応生成物を3lの純水中に少量
ずつ滴下し再沈を行った。これをろ過し、重合物を回収
した。さらに、この重合物を過剰量の純水で2回洗浄
後、最後にメタノールで洗浄し、80℃で乾燥させ得
た。得られた重合物の重量は15.3gであり、収率は
71.0%であった。また、固有粘度は0.55(dL
/g)であった。この重合物をIRおよびH−NMRを
測定したところ、下記式(化18)の繰り返し単位から
なる芳香族ポリベンゾチアゾールであった。この重合物
を前記実施例1と同様にN−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、及びヘキサメチルフ
ォスフォルアミドなどの溶媒への溶解性を調べたとこ
ろ、下記表3に示すように、前記実施例1で得られた重
合物のそれに著しく劣るものであった。
【0044】
【化17】
【0045】
【化18】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、短時間
で溶媒への溶解性が良好な芳香族ポリベンゾチアゾール
を製造することができ、その結果、かかる芳香族ポリベ
ンゾチアゾールを用いて強度及び耐熱性に優れた皮膜成
形性品を得ることができる。また、濃硫酸やポリリン酸
を使用せず、汎用の有機溶媒を反応溶媒として芳香族ポ
リベンゾチアゾールを製造できるので、反応後の溶媒の
後処理が容易で、工業的な困難を伴うことなく芳香族ポ
リベンゾチアゾールを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1により得られた芳香族ポリベ
ンゾチアゾールのIRスペクトルを示した図である。
【図2】本発明の実施例1により得られた芳香族ポリベ
ンゾチアゾールのH−NMRスペクトルを示した図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(化1)の繰り返し単位から
    なる芳香族ポリベンゾチアゾール。 【化1】 (但し、R及びArは少なくとも一つのベンゼン環を有
    する4価の有機基であり、S(硫黄元素)及びN(窒素
    元素)はベンゼン環に直接結合し、S(硫黄元素)はN
    (窒素元素)に対してオルト位に位置している。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の芳香族ポリベンゾチア
    ゾールを製造する方法であって、下記一般式(化2)で
    表わされるジアミノジチオール及び下記一般式(化3)
    で表わされるジアミノジチオール二塩酸塩から選ばれる
    少なくとも1つと、下記一般式(化4)で表わされる芳
    香族酸二無水物とを縮合重合させることを特徴とする芳
    香族ポリベンゾチアゾールの製造方法。 【化2】 (但し、Rは少なくとも一つのベンゼン環を有する4価
    の有機基であり、チオール基(−SH)及びアミノ基
    (−NH2 )はベンゼン環に結合し、チオール基(−S
    H)はアミノ基(−NH2 )に対してオルト位に結合し
    ている。) 【化3】 (但し、Rは少なくとも一つのベンゼン環を有する4価
    の有機基であり、チオール基(−SH)及びアミノ基
    (−NH2 )はベンゼン環に結合し、チオール基(−S
    H)はアミノ基(−NH2 )に対してオルト位に結合し
    ている。) 【化4】 (但し、Arは少なくとも一つのベンゼン環を有する4
    価の有機基である。)
  3. 【請求項3】 ジアミノジチオール及びジアミノジチオ
    ール二塩酸塩から選ばれる少なくとも一つと芳香族酸二
    無水物との縮合重合反応が、N−メチル−2−ピロリド
    ン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
    ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びヘキサメチ
    ルフォスフォルアミドから選ばれる少なくとも一つから
    なる有機溶媒中にて行われる請求項2に記載の芳香族ポ
    リベンゾチアゾールの製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒にベンゼン、トルエン、キシレ
    ン、クロルベンゼン、及びジクロルベンゼンから選ばれ
    る少なくとも一つが添加されている請求項3に記載の芳
    香族ポリベンゾチアゾールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006104295A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Chisso Corp ポリチアゾール、その薄膜および薄膜の形成方法
JP2006249186A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Teijin Ltd 剛直系複素環重合体、およびその製造方法

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