JP4220990B2 - 可溶性・低誘電率・非対称ポリイミド及びその製造方法 - Google Patents

可溶性・低誘電率・非対称ポリイミド及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非プロトン溶媒に可溶である、誘電率の低い非対称ポリイミド及びその製造方法に関する。
ポリイミド(PI)は、電気特性、機械特性に優れており、且つ高い熱安定性、熱酸化安定性、化学安定性、及び極めて優れた耐溶媒性、寸法安定性を有しているので、航空、宇宙飛行、電子、核エネルギー、自動車産業等の各種分野で幅広く応用されている。ポリイミドは、一般的に、芳香族酸二無水物モノマーとジアミンモノマーを重縮合させて製造されてきた。例えば、特許文献1には、無水ピロメリト酸と各種のジアミンからポリイミドをつくることが開示されている。
特許文献2には、ジアミンとしての2,2’−ビス(パラアミノフェノキシ)−ジフェニルと各種の酸二無水物を重縮合させてポリイミドをつくることが開示されている。しかし、従来の方法によって合成された硬質ポリイミド(PI)は、酸二無水物の構成部分とジアミンの構成部分が交互配列する対称性構造をもっており、分子鎖間の作用、例えば電荷移動作用と分極作用が非常に強いので、溶解・溶融し難く、加工が極めて困難である等問題がある。更に、商品化されている芳香族テトラ酸二無水物と芳香族ジアミンの価格が高いので、ポリイミドの生産コストを結構高いものにし、ポリイミドの応用分野に制限をもたらしている。これが故に、本発明は、ポリイミドの各方面においての優れた特性を減じることなく、可溶性で、非対称のポリイミドを合成するものである。
米国特許第4485140号明細書 米国特許第4239880号明細書 米国特許第4486576号明細書 I.Colon and D.Kelsey,J.Org.Chem.,1986,51,2627.
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの合成方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドは、下記化1式の構造を有する。
Figure 0004220990
ここで,m、nは、それぞれm>1、n>1の整数を示し、好ましくはm、nは2〜1000の整数を示し、Rは、一つの有機基であり、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
本発明の他の一態様によれば、前記のような可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドを製造する方法は、下記の工程を含む。
Figure 0004220990
(式中,Aは、Cl又はBrから選ばれ、その置換位置は3位又は4位であることができる。Rは、一つの有機基であり、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、Xは、Cl又はBrから選ばれ、その置換位置は3位又は4位であることができる)
上記化2式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドを、不活性ガス雰囲気下、ニッケル触媒、還元剤、非プロトン溶媒の存在下、60〜125℃の温度で、2〜8時間カップリング反応させる。
本発明において、前記ニッケル触媒、還元剤、及び上記化2式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドのモル比が、1:7〜20:2〜15であることが好ましく、1:10〜18:6〜10であることが特に好ましい。
本発明において、前記ニッケル触媒が、ビス(トリフェニルホスフィン)二臭化ニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化ニッケル、臭化ニッケルとトリフェニルホスフィン、塩化ニッケルとトリフェニルホスフィン、又は2,2’−ジピリジルから選ばれる1種又は2種以上の混合物であることが好ましい。
本発明において、前記方法は、前記カップリング反応が終わった後、反応混合物をHClとエタノールの混合溶液(HCl濃度が25wt%)に注加し、撹拌し、ろ過して、沈殿物を収集し、続いてエタノールで洗浄し乾燥させる工程を更に含むことことが好ましい。
本発明において、前記非プロトン溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンオキシド炭酸エステル、スルホラン、又はテトラヒドロフランから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明において、製造された可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの、混合クレゾール溶媒に溶解し、30℃にて測定して得られるインヘレント粘度(以下、「30℃インヘレント粘度」という)が、0.32〜1.45dl/gであることが好ましい。
本発明において、前記還元物が、亜鉛粉末であることが好ましい。
本発明において、前記不活性ガス雰囲気が、窒素雰囲気であることが好ましい。
本発明の方法によれば、ビフェニル酸二無水物の合成工程を省略することができるばかりでなく、重合物の特性が改善され、生産コストを減少させることができる。
本発明の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドは、下記化3式の構造を有する。
Figure 0004220990
ここで、Rは一つの有機基であり、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
本発明において、前記の非対称ポリイミドは、
(1)下記化4式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミド;
(2)還元剤としての亜鉛粉末;
(3)ビス(トリフェニルホスフィン)二臭化ニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化ニッケル、臭化ニッケルとトリフェニルホスフィン、塩化ニッケルとトリフェニルホスフィン、又は2,2’−ジピリジルから選ばれる1種又は2種以上の混合物である触媒;及び
(4)N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンオキシド炭酸エステル、スルホラン、又はテトラヒドロフランから選ばれる1種又は2種以上である非プロトン溶媒;
を用いて合成される。
Figure 0004220990
(式中、AはCl又はBrから選ばれ、その置換位置は3位又は4位であることができる;Rは一つの有機基であり、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上であり;XはCl又はBrから選ばれ、その置換位置が3位又は4位であることができる)
上記化4式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドは、入手容易なハロゲン置換無水フタル酸とハロゲン置換アニリンを、モル比1:1の割合で反応させることにより合成される。例えば、ハロゲン置換無水フタル酸0.1モル、ハロゲン置換アニリン0.1モル及び氷酢酸100〜500mlの混合物を室温で30分撹拌した後、24〜48時間還流して20〜400mlの氷酢酸を留出させ、その後反応混合物を冷却し、ろ過し、沈殿物を氷酢酸で繰り返し洗浄し、最後に沈殿物を昇華させることによりジハロゲン置換フタルイミドの白色結晶を得ることができる。
本発明の可溶性・非対称ポリイミドは、遷移金属触媒の存在下、Colon(非特許文献1;特許文献3)に記載されたジフェニル化合物と非硬質重合体との合成方法と類似する方法を用い、カップリング反応により直接に合成される。具体的には、ニッケル塩3〜30mmol、トリフェニルホスフィン12〜150mmol、必要に応じて添加する2,2’−ジピリジル3〜30mmol、及び亜鉛粉末70〜400mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換する。続いて、非プロトン溶媒25〜90mlを添加し、60〜125℃で攪拌しながら反応させる。反応溶液が赤褐色に変化した後、再度非プロトン溶媒120〜650mlを、更には非対称ジハロゲン置換フタルイミドを添加し、連続2〜8時間反応させる。その後、反応物をHCl/エタノール混合溶液(HCl濃度が25%である)1000〜2500mlに投入し、20〜40分撹拌した後、ろ過して、沈殿を収集する。続いて、沈殿物をエタノール250〜800mlで還流しながら4〜8時間洗浄し、洗浄混合液をろ過した後、沈殿物を100〜120℃で乾燥することにより収率96〜100%で生成物を得ることができる。得られた生成物のインヘレント粘度は0.32〜1.45dl/gである。前記のニッケル塩は、臭化ニッケル又は塩化ニッケルである。
得られたポリイミドの構造式は、下記化5式で示される。
Figure 0004220990
このように非規則構造のポリイミドが得られるのは、重合過程において重合モノマー、例えば、式(I)のジハロゲン置換フタルイミド上の炭素‐炭素結合には、下記化6式で示す結合方式、即ち頭‐頭結合:置換基A上の炭素と置換基A上の炭素の結合、尾‐尾結合:置換基X上の炭素と置換基X上の炭素の結合、及び頭‐尾結合:置換基A上の炭素と置換基X上の炭素の結合方式があるからである。
Figure 0004220990
本発明の方法によって得られるポリイミドは、酸二無水物とジアミンが交互に存在する、芳香族テトラ酸二無水物と芳香族ジアミンを重合させて得られる従来のポリイミドの持つ対称構造も有するし、非対称の頭尾構造も有する。
本発明で用いる重合モノマーは、二個のハロゲンで置換されたフタルイミドモノマーであり、これらはハロゲン置換無水フタル酸とハロゲン置換アニリンから極めて容易に製造されるので、重合モノマーとして芳香族テトラ酸二無水物と芳香族ジアミンを用いる必要はない。
本発明で作られるポリイミドは、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、エポキシプロパン炭酸エステル、スルホラン、又はテトラヒドロフラン等の極性非プロトン溶媒に溶解する。改善されたポリイミドの溶解性は、その非対称構造に由来する。本発明のポリイミドは、突出した総合性能、例えば高い熱安定性、優れた溶解性、突出した電気特性と機械特性を有する。これらのポリイミドは、低吸水性、低誘電率、低線膨張係数を有するフィルムを形成することができる。したがって、本発明のポリイミドは、マイクロエレクトロニクス分野において特に好適に用いられる。更に、ガスと分子の分離膜の製造にも好適に用いられる。
本発明では、先ず、非対称ジハロゲン置換フタルイミドモノマーを非プロトン溶媒中に入れ、触媒として遷移金属であるニッケルを用い、カップリング方法にて、直接、分子主鎖構造の規律性を欠く非対称ポリイミドを合成する。本発明によれば、従来の合成方法に比べ、重合体の性能が改善されるだけでなく、生産コストも大幅に減少させることができる。
(実施例1)
2−メトキシ−4−クロロアニリン1.576g(0.010mol)と4−クロロ無水フタル酸1.825g(0.010mol)を反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、窒素気流の保護下、氷酢酸250mlを添加し、室温で2時間反応させた。12時間の還流の後、反応液を冷却し、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥して、N−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−4−クロロフタルイミド2.96gを白色の固体として得た。収率は92%であった。融点は198〜200℃であった。
塩化ニッケル8mmol、トリフェニルホスフィン50mmol及び亜鉛粉末90mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 25mlを添加し、70℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 150mlとN−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、8時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。沈殿物をエタノール400mlで4時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を110℃で乾燥して、N−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−4−クロロフタルイミド重合体12.10gを得た。収率は96.4%、30℃インヘレント粘度は0.87dl/g、ガラス転移温度(Tg)は301℃、5%の熱減量Td5%は464であった。得られた重合体の元素分析データ(計算値)は、C:71.71%,H:3.59%,N:5.58%;同実験値は、C:70.46%,H:3.63%,N:5.59%であった。
(実施例2)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−メチル−4−クロロアニリン1.416g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−(4−クロロ−2−メトキシフェニル)−4−クロロフタルイミド2.88gを白色の固体として得た。収率は96%、融点は193〜195℃であった。
塩化ニッケル20mmol、トリフェニルホスフィン100mmol及び亜鉛粉末300mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMF 50mlを添加し、120℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 500mlとN−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−クロロフタルイミド70mmolを添加し、5時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液2000mlに投入し、40分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール500mlで6時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を105℃で乾燥してN−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−クロロフタルイミド重合体11.26gを得た。収率は98.9%、30℃インヘレント粘度は1.02dl/g、ガラス転移温度(Tg)は339℃、5%の熱減量Td5%は467であった。得られた重合体の元素分析データ(計算値)はC:76.60%,H:3.83%,N:5.96%;同実験値はC:75.39%,H:3.92%,N:5.54%であった。
(実施例3)
2−メトキシ−4−クロロアニリンと4−クロロ無水フタル酸に代えて、2−メチル−4−クロロアニリン1.416g(0.010mol)と4−ブロモ無水フタル酸を2.270g(0.010mol)用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド3.26gを白色の固体として得た。収率は93%、融点は207〜210℃であった。
塩化ニッケル12mmol、トリフェニルホスフィン90mmol及び亜鉛粉末150mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、NMP40mlを添加し、105℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、NMP400mlとN−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド60mmolを添加し、2時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、混合液をろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール400mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド重合体13.85gを得た。収率は98.2%、30℃インヘレント粘度は1.00dl/g、ガラス転移温度(Tg)は336℃、5%の熱減量Td5%は468であった。得られた重合体の元素分析データ(理論値)はC:76.60%,H:3.83%,N:5.96%;同実験値はC:75.66%,H:4.04%,N:5.61%であった。
(実施例4)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−メチル−4−ブロロアニリン1.861g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−(4−ブロロ−2−メチルフェニル)−4−クロロフタルイミド3.30gを白色の固体として得た。収率は93%、融点は210〜212℃であった。
臭化ニッケル3mol、トリフェニルホスフィン15mmol及び亜鉛粉末100mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 25mlを添加し、115℃で攪拌しながら反応させた。体系が赤褐色に変化した後、DMAc 160mlとN−(4−ブロロ−2−メチルフェニル)−4−クロロフタルイミド40mmolを添加し、6時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液900mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール250mlで5時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を120℃で乾燥してN−(4−ブロロ−2−メチルフェニル)−4−クロロフタルイミド重合体9.12gを得た。収率は97.0%、30℃インヘレント粘度は0.95dl/g、ガラス転移温度(Tg)は334℃、5%の熱減量Td5%は464であった。得られた重合体の元素分析データ(理論値)はC:76.60%,H:3.83%,N:5.96%;同実験値はC:74.97%,H:4.07%,N:5.78%であった。
(実施例5)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.336g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド3.80gを白色の固体として得た。収率は95%、融点は229〜231℃であった。
ビス(トリフェニルホスフィン)−ジブロモニッケル5mmol、2,2’−ジピリジル10mmol及び亜鉛粉末100mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、スルホラン30mlを添加し、100℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、スルホラン150mlとN−[2−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、8時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール400mlで7時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[2−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体15.75gを得た。収率は96.3%、30℃インヘレント粘度は0.77dl/g、ガラス転移温度(Tg)は287℃、5%の熱減量Td5%は458であった。得られた重合体の元素分析データ(計算値)はC:76.60%,H:3.95%,N:4.26%;同実験値はC:75.42%,H:4.03%,N:4.16%であった。
(実施例6)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、3−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.336g(0.010mol)を用いた以外は実施例1と同様にして、N−[3−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド3.88gを白色の固体として得た。収率は97%、融点は232〜234℃であった。
臭化ニッケル5mol、トリフェニルホスフィン12mmol及び亜鉛粉末160mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 40mlを添加し、95℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 150mlとN−[3−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1000mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、この沈殿物をエタノール400mlで6時間還流を行った後、ろ過し、110℃で乾燥してN−[3−メチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体15.71gを得た。収率は96.1%、30℃インヘレント粘度は0.80dl/g、ガラス転移温度(Tg)は279℃、5%の熱減量Td5%は449であった。得られた重合体の元素分析データ(理論値)はC:76.60%,H:3.95%,N:4.26%;同実験値はC:76.01%,H:3.99%,N:4.28%であった。
(実施例7)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−メチル−3−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.336g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−メチル−3−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド3.76gを白色の固体として得た。収率は94%、融点は221〜223℃であった。
塩化ニッケル5mol、トリフェニルホスフィン12mmol及び亜鉛粉末160mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 40mlを添加し、95℃で攪拌しながら反応させた。体系が赤褐色に変化した後、DMAc 150mlとN−[2−メチル−3−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド25mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液800mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、この沈殿物をエタノール400mlで6時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を110℃で乾燥してN−[2−メチル−3−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体7.83gを得た。収率は97.0%、30℃インヘレント粘度は0.35dl/g、ガラス転移温度(Tg)は286℃、5%の熱減量Td5%は453であった。元素分析データ(計算値)はC:76.60%,H:3.95%,N:4.26%;同実験値はC:76.01%,H:3.99%,N:4.28%であった。
(実施例8)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−メチル−5−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.336g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−メチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド3.68gを白色の固体として得た。収率は92%、融点は218〜220℃であった。
臭化ニッケル20mol、トリフェニルホスフィン100mmol及び亜鉛粉末300mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 60mlを添加し、90℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 250mlとN−[2−メチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド100mmolを添加し、6時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液2500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、この沈殿物をエタノール800mlで2時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[2−メチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体31.72gを得た。収率は97.0%、30℃インヘレント粘度は0.53dl/g、ガラス転移温度(Tg)は283℃、5%の熱減量Td5%は455であった。元素分析データ(理論値)はC:76.60%,H:3.95%,N:4.26%;同実験値はC:75.23%,H:4.18%,N:4.17%であった。
(実施例9)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−トリフルオロメチル−4−クロロアニリン2.255g(0.010mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル]−4−クロロフタルイミド3.55gを白色の固体として得た。収率は91%、融点は157〜158℃であった。
ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロニッケル30mol、トリフェニルホスフィン150mmol及び亜鉛粉末400mmolを反応フラスコに仕込み、更に2,2’−ジピリジル30mmolを反応フラスコに添加し、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、NMP80mlを添加し、115℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、NMP650mlとN−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド90mmolを添加し、5時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液3500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿をエタノール800mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド重合体26.8gを得た。収率は100%、30℃インヘレント粘度は1.45dl/g、ガラス転移温度(Tg)は353℃、5%の熱減量Td5%は535であった。元素分析データ(計算値)はC:62.28%,H:2.08%,N:4.84%;同実験値はC:61.82%,H:2.17%,N:4.68%であった。
(実施例10)
実施例1において、2−メトキシ−4−クロロアニリンと4−クロロ無水フタル酸に代えて、2−トリフルオロメチル−4−クロロアニリン2.255g(0.010mol)と3−クロロ無水フタル酸1.825g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル]−3−クロロフタルイミド3.71gを白色の固体として得た。収率は95%、融点は168〜170℃であった。
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン15mmol及び亜鉛粉末100mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、THF50mlを添加し、60℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、再度THF250mlとN−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミド50mmolを添加し、6時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、エタノール400mlで7時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミド重合体14.6gを得た。収率は98.0%、30℃インヘレント粘度は0.32dl/g、ガラス転移温度(Tg)は354℃、5%の熱減量Td5%は542であった。元素分析データ(計算値)はC:62.28%,H:2.08%,N:4.84%;実験値はC:61.32%,H:2.16%,N:4.77%であった。
(実施例11)
2−メトキシ−4−クロロアニリンと4−クロロ無水フタル酸に代えて、2−トリフルオロメチル−4−クロロアニリン2.255g(0.010mol)と4−ブロモ無水フタル酸2.270g(0.010mol)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド3.95gを白色の固体として得た。収率は91%、融点174〜175℃であった。
臭化ニッケル15mmol、トリフェニルホスフィン80mmol及び亜鉛粉末150mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMSO 60mlを添加し、105℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMSO 350mlとN−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド50mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール400mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−4−ブロモフタルイミド重合体14.5gを得た。収率は97.3%、30℃インヘレント粘度は1.35dl/g、ガラス転移温度(Tg)は356℃、5%の熱減量Td5%は521であった。元素分析データ(計算値)はC:62.28%,H:2.08%,N:4.84%;同実験値はC:61.54%,H:2.20%,N:4.73%であった。
(実施例12)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.877g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド4.27gを白色の固体として得た。収率は94.5%、融点は192〜195℃であった。
臭化ニッケル15mmol、トリフェニルホスフィン80mmol及び亜鉛粉末150mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 50mlを添加し、70℃で攪拌しながら反応させた。体系が赤褐色に変化した後、DMAc 150mlとN−[2−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、8時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール400mlで6時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[2−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体19.38gを得た。収率は98.6%、30℃インヘレント粘度は0.83dl/g、ガラス転移温度(Tg)は296℃、5%の熱減量Td5%は521であった。元素分析データ(理論値)はC:65.80%,H:2.61%,N:3.66%;同実験値はC:63.71%,H:2.75%,N:3.49%であった。
(実施例13)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、3−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.877g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[3−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド4.16gを白色の固体として得た。収率は92%、融点は196〜197℃であった。
臭化ニッケル15mmol、トリフェニルホスフィン90mmol及び亜鉛粉末140mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、DMAc 60mlを添加し、125℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 150mlとN−[3−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、7時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール600mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[3−トリフルオロメチル−4−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体19.0gを得た。収率は97.4%、30℃インヘレント粘度は1.11dl/g、ガラス転移温度(Tg)は294℃、5%の熱減量Td5%は524であった。元素分析データ(計算値)はC:65.80%,H:2.61%,N:3.66%;同実験値はC:64.51%,H:3.26%,N:3.30%であった。
(実施例14)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、5−トリフルオロメチル−2−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.877g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[5−トリフルオロメチル−2−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド4.07gを白色の固体として得た。収率は90%、融点は187〜189℃であった。
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン50mmol及び亜鉛粉末150mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、DMF40ml添加し、105℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後続いて、DMF150mlとN−[5−トリフルオロメチル−2−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、8時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、60分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール600mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[5−トリフルオロメチル−2−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体19.0gを得た。収率は97.4%、30℃インヘレント粘度は1.13dl/g、ガラス転移温度(Tg)は302℃、5%の熱減量Td5%は518であった。元素分析データ(計算値)はC:65.80%,H:2.61%,N:3.66%;同実験値はC:65.11%,H:2.87%,N:3.53%であった。
(実施例15)
2−メトキシ−4−クロロアニリンとに代えて、2−トリフルオロメチル−4−(3’−クロロフェノキシ)アニリン2.877g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−トリフルオロメチル−4−(3’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド4.12gを白色の固体として得た。収率は91.2%、融点は190〜191℃であった。
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン45mmol及び亜鉛粉末70mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、スルホラン50ml添加し、70℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後続いて、スルホラン150mlとN−[2−トリフルオロメチル−4−(3’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、6時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール550mlで4時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[2−トリフルオロメチル−4−(3’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体18.5gを得た。収率は94.9%、30℃インヘレント粘度は0.82dl/g、ガラス転移温度(Tg)は304℃、5%の熱減量Td5%は513であった。元素分析データ(計算値)はC:65.80%,H:2.61%,N:3.66%;同実験値はC:64.55%,H:2.76%,N:3.37であった。
(実施例16)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−トリフルオロメチル−5−(4’−クロロフェノキシ)アニリン2.877g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−[2−トリフルオロメチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド4.21gを白色の固体として得た。収率は93%、融点は193〜194℃であった。
臭化ニッケル20mmol、トリフェニルホスフィン100mmol及び亜鉛粉末300mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、DMAcを90ml添加し、125℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 180mlとN−[2−トリフルオロメチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、6時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール800mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−[2−トリフルオロメチル−5−(4’−クロロフェノキシ)フェニル]−4−クロロフタルイミド重合体18.4gを得た。収率は96.7%、30℃インヘレント粘度は1.08dl/g、ガラス転移温度(Tg)は291℃、5%の熱減量Td5%は502であった。元素分析データ(計算値)はC:65.80%,H:2.61%,N:3.66%;同実験値はC:64.66%,H:2.82%,N:3.44%であった。
(実施例17)
2−メトキシ−4−クロロアニリンに代えて、2−トリフルオロメトキシ−4−クロロアニリン2.415g(0.010mol)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、N−(4−クロロ2−トリフルオロメトキシフェニル]−4−クロロフタルイミド4.07gを白色の固体として得た。収率は96%、融点は156〜157℃であった。
臭化ニッケル5mmol、トリフェニルホスフィン20mmol、2,2’−ジピリジル3mmol、及び亜鉛粉末100mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、DMAcを30ml添加し、125℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 120mlとN−(4−クロロ2−トリフルオロメトキシフェニル)−4−クロロフタルイミド30mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液800mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール450mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ2−トリフルオロメトキシフェニル]−4−クロロフタルイミド重合体9.30gを得た。収率は98.6%、30℃インヘレント粘度は1.32dl/g、ガラス転移温度(Tg)は336℃、5%の熱減量Td5%は562であった。元素分析データ(計算値)はC:59.02%,H:1.97%,N:4.59%;同実験値はC:57.76%,H:2.18%,N:4.43%であった。
(実施例18)
2,6−ジメチル−4−クロロアニリン1.556g(0.010mol)と4−クロロ無水フタル酸1.825g(0.010mol)を反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。続いて、窒素気流の保護下、氷酢酸250mlを添加し、室温で2時間反応させた後、12時間還流して、冷却し、反応液をろ過した後、沈殿物を100℃で乾燥して、N−(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド2.88gを白色の固体として得た。収率は90%、融点は175〜176℃であった。
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン45mmol及び亜鉛粉末70mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、NMPを50ml添加し、105℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、NMP 150mlとN−(4−クロロ2,6−ジメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド50mmolを添加し、7時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液1500mlに投入し、60分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール400mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ−2,6−ジメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド重合体12.1gを得た。収率は96.8%、30℃インヘレント粘度は0.76dl/g、ガラス転移温度(Tg)は344℃、5%の熱減量Td5%は463であった。元素分析データ(計算値)はC:76.80%,H:4.80%,N:5.60%;同実験値はC:75.61%,H:4.96%,N:5.37%であった。
(実施例19)
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン40mmol、2,2’−ジピリジル20mmol、及び亜鉛粉末200mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、DMAcを60ml添加し、125℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、DMAc 300ml、N−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド40mmolとN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミド10mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液800mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。その後、沈殿物をエタノール700mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミドとN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミドの共重合物14.89gを得た。収率は98.6%、30℃インヘレント粘度は0.87dl/g、ガラス転移温度(Tg)は348℃、5%の熱減量Td5%は553であった。元素分析データ(計算値)はC:62.28%,H:2.08%,N:4.84%;同実験値はC:61.89%,H:2.35%,N:4.55%であった。
(実施例20)
臭化ニッケル10mmol、トリフェニルホスフィン50mmol、2,2’−ジピリジル20mmol、及び亜鉛粉末200mmolを反応フラスコに仕込み、反応器内を窒素ガスで置換した。更に、エポキシプロパン炭酸エステルを60ml添加し、125℃で攪拌しながら反応させた。反応系が赤褐色に変化した後、エポキシプロパン炭酸エステル250ml、N−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミド42.5mmolとN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミド7.5mmolを添加し、4時間反応させた。その後、反応物を25%HCl/エタノール溶液700mlに投入し、30分撹拌した後、ろ過し、沈殿を収集した。沈殿物をエタノール700mlで8時間還流を行った後、ろ過し、沈殿物を100℃で乾燥してN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−4−クロロフタルイミドとN−(4−クロロ2−トリフルオロメチルフェニル)−3−クロロフタルイミドの共重合物14.78gを得た。収率は97.9%、30℃インヘレント粘度は0.93dl/g、ガラス転移温度(Tg)は346℃、5%の熱減量Td5%は559であった。元素分析データ(計算値)はC:62.28%,H:2.08%,N:4.84%;同実験値はC:61.73%,H:2.22%,N:4.74%であった。
以上の説明の通り、本発明の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドは、航空、宇宙飛行、電子、核エネルギー、自動車産業等の各種分野で幅広く用いられているポリイミドとして適用される。

Claims (10)

  1. 下記化1式で表わされることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミド。
    Figure 0004220990
    (式中,m、nはそれぞれ2〜1000の整数を示し、Rは、一つの有機基を示し、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上を示す)
  2. 請求項1に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドを製造する方法であって、
    下記化2式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドを、不活性ガス雰囲気下において、ニッケル触媒、還元剤及び非プロトン溶媒の存在下、60〜125℃の温度で、2〜8時間カップリング反応させる工程を含むことを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
    Figure 0004220990
    (式中,Aは、Cl又はBrから選ばれ、3位又は4位で置換される。Rは、一つの有機基を示し、2−トリフルオロメチルフェニル、2−メチルフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、3−トリフルオロメチル−4−フェノキシフェニル、2−メチル−4−フェノキシフェニル、3−メチル−4−フェノキシフェニル、5−トリフルオロメチル−2−フェノキシフェニル、2−トリフルオロメチル−5−フェノキシフェニル、2−メチル−3−フェノキシフェニル、又は2−メチル−5−フェノキシフェニルからなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、Xは、Cl又はBrから選ばれ、3位又は4位で置換される)
  3. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記のニッケル触媒、還元剤及び上記化2式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドのモル比が、1:7〜20:2〜15であることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  4. 請求項3に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記ニッケル触媒、還元剤及び上記化2式の式(I)のジハロゲン置換フタルイミドのモル比が、1:10〜18:6〜10あることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  5. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記ニッケル触媒が、ビス(トリフェニルホスフィン)臭化ニッケル、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化ニッケル、臭化ニッケルとトリフェニルホスフィン、塩化ニッケルとトリフェニルホスフィン、又は2,2’−ジピリジル中の1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  6. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記方法は、前記カップリング反応が終わった後、反応物をHClとエタノールの混合溶液に投入し、撹拌し、ろ過して沈殿を収集し、続いてエタノールで洗浄し、乾燥させる工程を含むことを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  7. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記非プロトン溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンオキシド炭酸エステル、スルホラン、テトラヒドロフラン中の1種又は2種以上であることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  8. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、製造された可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの、混合クレゾール溶媒に溶解し、30℃の条件で測定して得られたインヘレント粘度が、0.32〜1.45dl/gであることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  9. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記還元剤が亜鉛粉末であることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
  10. 請求項2に記載の可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法において、前記不活性ガス雰囲気が窒素雰囲気であることを特徴とする可溶性・低誘電率・非対称ポリイミドの製造方法。
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