JPH0931815A - 繊維集合体およびその製造方法 - Google Patents

繊維集合体およびその製造方法

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JPH0931815A
JPH0931815A JP7313469A JP31346995A JPH0931815A JP H0931815 A JPH0931815 A JP H0931815A JP 7313469 A JP7313469 A JP 7313469A JP 31346995 A JP31346995 A JP 31346995A JP H0931815 A JPH0931815 A JP H0931815A
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fiber
heat
copolymer
adhesive
weight
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JP7313469A
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English (en)
Inventor
Koki Nagano
幸喜 永野
Seiji Yokota
誠二 横田
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JNC Corp
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヤシ繊維または麻が抜け落ちることがなく、
適度な弾性を有し、柔軟性を持ち、かつ強力が十分なバ
ランスの優れた繊維集合体および積層繊維集合体を提供
することである。また衛生的で、容易に製造できる繊維
集合体の製造方法である。 【解決手段】 アクリル酸エステル、無水マレイン酸と
オレフィンとの共重合体(A)を含有した熱接着性繊維
(B)20〜70重量%と、厚さ0.1mm以上の植物繊
維(C)80〜30重量%が混合分散され、かつ繊維接
点が熱接着性繊維(B)により融着されていることを特
徴とする繊維集合体。および溶融紡糸し熱接着性繊維
(B)を得、熱接着性繊維(B)と厚さ0.1mm以上の
植物繊維(C)のウェブ状混合物を得、その後熱処理す
る繊維集合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0010】
【発明の属する技術分野】 本発明は、繊維集合体に関
する。さらに詳しくは、マットレスやシート、室内装飾
用等のクッション材及び吸音・断熱材等として成形加工
された、例えばフェルト,バネ受け,植木鉢,吸音パネ
ル,断熱パネル等に好適な繊維集合体に関するものであ
る。
【0011】
【従来の技術】 従来、天然繊維ベースの繊維集合体と
して、ヤシ繊維をベースとして合成樹脂繊維を絡み付か
せたもの、粘弾性物質の被膜を形成させたもの(特開平
5−209309号公報)が知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、公報
等に開示された技術は、連続した合成樹脂繊維の中にヤ
シ繊維を吹き込ませる方法であるため、ヤシ繊維は合成
樹脂繊維に挟まれるだけであり、接着剤として用いた合
成樹脂繊維とヤシ繊維とが均一にブレンドされていな
い。そのため、クッション性のある嵩高なマット用途と
しては未だ用をなさないという欠点があった。特にマッ
トとしては反発弾性が必須であるにも拘らず、反発弾性
が不足しているという課題がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱接着性繊維と
厚さ0.1mm以上の植物繊維からなる繊維集合体を得る
ことで、所期の目的が達成されることを知り、本発明を
完成するに至った。本発明は下記構成を有する。本発明
でいう繊維集合体とは、厚さ0.1mm以上の植物繊維
(C)と熱接着性繊維(C)を均一にブレンドし、熱処
理することにより熱接着性繊維がマトリックス構造を形
成した繊維集合体をいう。
【0014】 (1) 酢酸ビニル,アクリルアミド,
アクリロニトリル,アクリル酸エステル,メタクリル酸
エステル,無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種
とオレフィンとの共重合体(A)を10重量%以上含有
した熱接着性繊維(B)20〜70重量%と、厚さ0.
1mm以上の植物繊維(C)80〜30重量%が混合分散
され、繊維接点が熱接着性繊維(B)により融着されて
いることを特徴とする繊維集合体。 (2) 厚さ0.1mm以上の植物繊維(C)がヤシ繊維
または麻であり、熱接着性繊維(B)が、共重合体
(A)と熱可塑性樹脂との混合物を連続形成している繊
維(D)である、あるいは共重合体(A)からなる第1
成分または共重合体(A)と熱可塑性樹脂との混合物か
らなる第1成分と、第2成分の熱可塑性樹脂からなり、
第一成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続
形成している複合繊維(E)である上記1の繊維集合
体。 (3) 共重合体(A)が、酢酸ビニル,アクリルアミ
ド,アクリロニトリル,アクリル酸エステル,メタクリ
ル酸エステルから選ばれた少なくとも1種、エチレン及
び無水マレイン酸を三元共重合したものであり、熱可塑
性樹脂が、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリア
ミド系の群から選ばれた少なくとも1種であることを特
徴とする上記1または2の繊維集合体。 (4) 目付け50〜5000g/m2、密度0.01
〜0.5g/cm3であり、かつ厚さ0.1mm以上の植
物繊維の引抜き強力100g/本以上であることを特徴
とする上記1から3の繊維集合体。 (5) 上記1から4の繊維集合体と繊維集合体を積層
した、または繊維集合体と他のシートを積層した積層繊
維集合体。 (6) 酢酸ビニル,アクリルアミド,アクリロニトリ
ル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステル,無水
マレイン酸から選ばれた少なくとも1種とオレフィンと
の共重合体(A)を少なくとも10重量%含有したもの
を溶融紡糸し熱接着性繊維(B)を得、この熱接着性繊
維(B)20〜70重量%と厚さ0.1mm以上の植物繊
維(C)80〜30重量%を混合分散しウェブ状混合物
を得、その後ウェブ状混合物を熱処理し、熱接着性繊維
(B)により繊維接点を融着することを特徴とする繊維
集合体の製造方法。 (7) 熱処理時または/及び熱処理後に加圧成形する
上記6の繊維集合体の製造法。
【0015】 本発明に用いる植物繊維(C)は、厚さ
0.1mm以上の植物繊維であり、特に厚さ0.1mm〜1
mmが好ましく、植物質繊維は、種子毛繊維,靱皮繊維,
葉脈繊維,果実繊維等があり、特にヤシ繊維または麻が
より好ましく用いられ、50〜300mmの長さのものが
好ましい。
【0016】 本発明に用いる共重合体(A)は、熱接
着性繊維(B)の必須成分であり、酢酸ビニル,アクリ
ルアミド,アクリロニトリル,アクリル酸エステル,メ
タクリル酸エステル,無水マレイン酸から選ばれた少な
くとも1種とオレフィンを共重合体したものである。共
重合体は、均一共重合体、ブロック共重合体またはグラ
フト共重合体いずれでもよい。さらに上記アクリル酸エ
ステルは、メチルアクリレート,エチルアクリレート,
ブチルアクリレートから選ばれた少なくとも1種が好ま
しく用いられ、またメタクリル酸エステルは、メチルメ
タクリレート,エチルメタクリレートから選ばれた少な
くとも1種が好ましく用いられる。中でも、アクリル酸
エステルが好ましく、特にエチルアクリレートが厚さ
0.1〜1mmの植物繊維との接着強度、繊維集合体点強
度の点で好ましい。上記オレフィンは、エチレン、プロ
ピレン、ブテンが好ましく用いられる。中でもアクリル
酸エステルまたはメタクリル酸エステル(a)、エチレ
ン(b)及び無水マレイン酸(c)との三元共重合体が
好ましい。上記三元共重合体は、(a)成分が6〜30
重量%,(c)成分が2〜5重量%であって、融点が6
0〜110℃、メルトフローレート(JIS K 72
10、条件4)が2〜300g/10minのものが紡
糸性及び接着性が良くて好ましい。これら共重合体は、
それ自身単独で紡糸して熱接着性繊維とすることができ
る。またこの共重合体の経済的高価な欠点を回避するた
めに、他の熱可塑性樹脂を混合して紡糸することもでき
る。
【0017】 本発明に用いる熱接着性繊維(B)は、
共重合体(A)を必須成分とし、少なくとも10重量%
含有し、他に熱可塑性樹脂を併用しても良く連続形成し
ている繊維である。共重合体(A)の比率は、熱接着性
繊維(B)中10重量%以上であり、好ましくは20〜
70重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
熱接着性繊維(B)は、1)共重合体(A)を100重
量%とした連続形成している繊維(D)であってもよ
く、2)共重合体(A)と熱可塑性樹脂との混合物を連
続形成している繊維(D)でもよく、3)共重合体
(A)を連続形成している繊維と、熱可塑性樹脂を連続
形成している繊維を混合した混合繊維でもよく、4)共
重合体(A)と、熱可塑性樹脂とからなる複合繊維
(E)でもよく、5)共重合体(A)と熱可塑性樹脂と
の混合物からなる第1成分と、該第1成分の熱可塑性樹
脂より20℃以上高融点の熱可塑性樹脂の第2成分とか
らなり、第一成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方
向に連続形成している複合繊維(E)であってもよい。
【0018】 上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフ
ィン系,ポリエステル系,ポリアミド系の群から選ばれ
た少なくとも1種であり、中でも高密度ポリエチレン,
低密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチエン,ポリ
プロピレン,低融点共重合ポリエステル,低融点ポリア
ミドが好ましく、他にポリアミド,低融点ポリアミド,
ポリエステル,低融点共重合ポリエステル,ポリビニー
ルアセテート,ポリスチレン,ポリウレタンエラストマ
ー,ポリエステルエラストマー,共重合ポリプロピレ
ン,共重合ポリエチレン等を例示できるが、繊維集合体
に厚さ0.1〜5mmの植物繊維を用いているので、熱処
理温度があまり高すぎないことが望ましく、温度で示す
と60〜200℃で溶融する熱可塑性樹脂であることが
望ましい。
【0019】 複合繊維(E)の複合形式としては並列
型または低融点成分を鞘成分とする鞘芯型あるいは低融
点成分を海成分とする海島型のいづれでも良く、また複
合の少なくとも一成分として低融点成分が繊維表面の少
なくとも一部を形成しているものでも良い。複合比は3
0/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/
40、より好ましくは45/55〜55/45の範囲で
ある。複合繊維(E)中の熱接着成分(低融点成分)の
複合比が少なくては熱接着が不足し、繊維集合体として
十分な強力が得られない。逆に多いと熱接着時に繊維同
士の接着点部分の溶融成分の量が多くなり、この溶融物
が繊維集合体の通気性を妨げる障害物となり易く、好ま
しくない。一方、第2成分を構成する熱可塑性樹脂とし
ては、該第1成分の熱可塑性樹脂より20℃以上高融点
の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリオレフィン系,ポリエ
ステル系,ポリアミド系の群から選ばぶことができる。
【0020】 本発明の繊維集合体の物性は、熱接着性
繊維(B)のデニール及びカット長により大きく影響さ
れる。本発明に用いる熱接着性繊維(B)のデニール
は、2〜1000デニール、カット長は5〜128mm
が望ましい。特に好ましくは10〜500デニール、カ
ット長は35〜100mmが望ましい。この範囲である
と嵩がよく均一な分散が得られ、マトリックス構造を形
成しやすく、厚さ0.1〜1mmの植物繊維(C)の保持
がよくなる。
【0021】 本発明に用いる熱接着性繊維(B)は、
捲縮したものが望ましい。捲縮繊維としては二次元的に
機械的な捲縮を付与したもの、潜在捲縮により三次元的
に捲縮を発現させたもの、及び熱収縮率の違いから捲縮
を発現させたものがある。これらの捲縮形態のものを単
独、または混合させた状態で使用できる。特に嵩高性能
が優れた潜在捲縮を有する三次元捲縮を発現させたもの
が好ましい。捲縮数は1インチ当り4〜30個が好まし
く、さらに8〜20個が好ましい。捲縮繊維を用いるこ
とにより、捲縮繊維同士は捲縮の無い繊維同士が作るマ
トリックスに較べ、はるかに嵩高なマトリックスを形成
することができる。この嵩高なマトリックスは空隙率が
高く、このため上記特定された捲縮繊維を用いたマトリ
ックスは優れた通気性を有している。特に三次元捲縮繊
維を用いると、通気性が大きい。
【0022】 本発明の繊維集合体は、厚さ0.1mm以
上の植物繊維(C)が80〜30重量%、熱接着性繊維
(B)が20〜70重量%である。この他、繊度6〜3
000d/fの他の繊維を混入させることは何等妨げる
ものではない。熱接着性繊維(B)が少なすぎると熱融
着後の強力が十分でなく、同時に熱融着繊維から成るマ
トリックスによる植物繊維(C)の保持が十分でない。
また植物繊維(C)が少なすぎるとでは、繊維集合体に
必要な弾性が十分ではない。本発明の繊維集合体は、熱
接着性繊維(B)と厚さ0.1mm以上の植物繊維(C)
が混合分散され、繊維接点が熱接着性繊維(B)により
融着され、マトリックス構造となっている。マトリック
ス構造とは、立体的網状構造のことであり、例えば本発
明の繊維集合体を70%硫酸溶液で溶解することによ
り、植物繊維(C)が溶解し、熱接着性繊維によるマト
リックスを容易に観察できる。このようなマトリックス
構造は、繊維集合体を熱処理することによっても得られ
るが、複合繊維(E)の場合、高融点成分の融点以下、
低融点成分の融点以上の温度で熱処理すると、高融点成
分(第2成分)は繊維形状を維持した状態となり、低融
点成分(第1成分)が繊維同士の接点を融着接合するの
で、一層堅固なマトリックス構造を形成する。
【0023】 さらに本発明の繊維集合体は、繊維集合
体または他のシートを積層し積層繊維集合体とすること
ができる。他のシートとしては、編織物,不織布,発泡
ウレタン,フィルム,紙状物,羊毛成形体,金属板,木
板,プラスチック板などが例示でき、それぞれの機能を
維持できる。例えば、熱接着性複合繊維単独あるいは親
水性繊維と熱接着性繊維との混綿から成る不織布を積層
しても良い。要は本発明の効果を妨げない範囲において
他のものをラミネートすることは何等妨げるものではな
い。
【0024】 本発明の繊維集合体は、目付重量50〜
5000g/m2、好ましくは、200〜3000g/
2、さらに好ましくは300〜2000g/m2であ
る。密度は0.01〜0.5g/cm3、好ましくは
0.03〜0.3g/cm3である。厚さ0.1mm以上
の植物繊維(C)の引抜き強力が50g/本以上が好ま
しく、より好ましくは100g/本以上である。目付重
量などををこの範囲にすることにより、目付け斑がな
く、成形時に均一な成形体を作ることができ、任意の嵩
高になり、表面と内部の均一な熱処理ができる。
【0025】 本発明の繊維集合体は、熱処理時に熱接
着性繊維(B)が厚さ0.1mm以上の植物繊維(C)及
び熱接着性繊維(B)同士の各接合点で融着し、マトリ
ックス構造を形成することにより成形性を付与し、適度
な弾性を与えるのである。なお、ここでいう成形性と
は、成形時の型枠通りに繊維集合体が得られるというこ
とである。また、成形性があることから圧縮した場合に
は、密度の高い複合成形体が得られる。ここでいう適度
な弾性とは、複合成型体使用時に破れることがなく、極
端な剛性感がないことをいう。
【0026】 このように、本発明の繊維集合体は、熱
接着性繊維(B)によるマトリックス構造を有すること
を特徴としているが、繊維集合体の製造に用いられる熱
接着性繊維(B)の形態としては、熱可塑性樹脂から成
る繊維、スプリットヤーン等をカットしたもの、あるい
は長繊維がある。
【0027】 本発明の繊維集合体の製造方法は、上記
共重合体(A)を少なくとも10重量%含有したものを
溶融紡糸し熱接着性繊維(B)を得、この熱接着性繊維
(B)20〜70重量%と厚さ0.1mm以上の植物繊維
(C)80〜30重量%を混合分散しウェブ状混合物を
得、その後ウェブ状混合物を熱処理し、熱接着性繊維
(B)により繊維接点を融着させる。
【0028】 熱接着性繊維(B)は、共重合体(A)
を含有したものを溶融紡糸することができ、紡糸方法を
特定するものではなく、必要に応じ延伸し、捲縮し、切
断してもよい。次にこの熱接着性繊維(B)と厚さ0.
1mm以上の植物繊維(C)を混合分散しウェブ状混合物
を得る。熱接着性繊維(B)と厚さ0.1mm以上の植物
繊維(C)を積層させ、カーディングすることにより、
両繊維が均一に混合分散したウェブを形成することがで
きる。混合分散する方法としては、カーディング、乾式
パルプ法によるエアーレイド法などを例示でき、熱接着
性繊維(B)と厚さ0.1mm以上の植物繊維(C)を同
時に供給することによりウェブを形成させる。さらに均
一に両繊維を混合分散させるには、カーディングの後に
エアーレイドを行う方法がある。本発明の製造方法で行
う熱処理により、ウェブ状混合物の繊維接点が、熱接着
性繊維(B)の溶融により接着される。このため熱処理
条件は、熱接着性繊維(B)が溶着する範囲であれば短
時間の方がよい。また熱接着性繊維(B)が複合繊維
(E)の場合、高融点成分の融点以下、低融点成分の融
点以上の温度で熱処理すると、高融点成分(第2成分)
は繊維形状を維持した状態となり、低融点成分(第1成
分)が繊維同士の接点を融着するし、一層堅固な繊維集
合体となる。処理方法としては、熱炉式ドライヤー,熱
風循環式ドライヤー,熱プレス機またはコンベアー式熱
プレス機を例示できる。
【0029】 また上記繊維集合体を得た後に、熱プレ
ス機またはコンベアー式熱プレス機を用いて熱処理する
ことにより、希望の厚さの繊維集合体を得ることもで
き、また必要に応じて熱処理時及び熱処理後に加圧(熱
プレス)することもでき、平板だけでなく任意形状が可
能。本発明の繊維集合体は、さらに熱処理時に前記マト
リックス構造を形成すると共に、繊維集合体自身が織布
及び不織布等の他の素材あるいは同種の素材と接着でき
る。
【0030】
【実施例】 実施例及び比較例により本発明を具体的に
説明する。なお、各例の中で用いた目付け,嵩,密度,
引抜き強力,引張強力及び弾性は以下のようにして測定
した。 《目付け》50cm角に切った成形体の重量を秤量し、
計算により目付けを求めた。 《嵩》50cm角のサンプルの角部及び4辺の中央部の
嵩を測定しその平均値を嵩とした。 《密度》測定した目付けと嵩の値を用い、次式より計算
した値を密度とした。 目付け(g/m2)÷嵩(mm)÷100=密度(g/
cm3) 《引抜き強力》引抜き強力は、繊維集合体の表層部の植
物繊維(C)を、イマダ(株)製Push−Pull−
Scaleの釣り針型引っかけ具で引っかけ、植物繊維
(C)の一方の端が引き抜ける時の最大荷重を引抜き強
力とした。(n=50) 《引張強力》繊維集合体を機械方向に対して平行方向に
15cm,垂直方向に5cmにカットし、引張強力測定
用サンプルとした。このサンプルを島津製作所(株)製
オートグラフAG−500Dを用い、試長10cm,引
張速度10cm/min.で引張り、最大値を引張強力
とした(n=5)。 《弾性》弾性は、5人の感応検査による評価法を記載す
る。 感応検査2級以上を合格とする。
【0031】 下記の各種の原料を用いた。(組成比は
すべて重量%、以下%と略記した) (実施例1〜3及び比較例1.2) 三元共重合体(a):融点80℃MI=20g/10m
in.(JIS K 6730)、エチレン78%、エ
チルアクリレート19%、無水マレイン酸含有量3%の
エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合
体(住友化学工業(株)製:AボンダインHX814
0) ポリエチレン(b):融点132℃、MI=16.5g
/10min.(JISK 6730)(チッソ(株)
製:チッソポリエチS690) ポリプロピレン(c):融点163℃、MI=16g/
10min.(JISK 6730)(チッソ(株)
製:チッソポリプロCS3300) 熱接着性繊維−1:三元共重合体(a)/ポリエチレン
(b)=60/40を溶融紡糸した捲縮数13山/吋の
二次元捲縮を有する30デニール76mmの繊維 熱接着性繊維−2:鞘成分:三元共重合体(a)/ポリ
エチレン(b)=60/40を混合したもの、芯成分:
ポリプロピレン(c)、芯鞘比=50/50を複合紡糸
した捲縮数13山/吋の二次元捲縮を有する30デニー
ル76mmの複合繊維 熱接着性繊維−3:ポリエチレン(b)を溶融紡糸した
捲縮数13山/吋の二次元捲縮を有する30デニール7
6mmの繊維 熱接着性繊維−4:鞘成分:ポリエチレン(b)、芯成
分:ポリプロピレン(c)、芯鞘比=50/50を溶融
紡糸した捲縮数13山/吋の二次元捲縮を有する30デ
ニール76mmの複合繊維 植物繊維−1 :ヤシ繊維 (コイア種、厚さ0.
1〜1mm、長さ150〜300mm)
【0032】 各実施例の複合成形体の作製条件は以下
の通り。 (実施例1〜5、比較例1〜4)表−1に示した必要量
を分取し熱接着性繊維とヤシ繊維をカード機のラチス上
に積層し、カード機を通すことにより均一に混合分散絡
合させ、ウェブ状混合物を作製する。次に、上記製造方
法により得られたウェブ状混合物を、熱風を強制循環さ
せるサクションバンドドライヤーに通し、熱処理するこ
とにより前述の熱接着性繊維からなるマトリックス構造
を有する繊維集合体を作製する。熱処理条件は温度15
0℃,時間10秒間、風速1.9m/sec.である。
一度、繊維集合体を得た後に、熱プレス機を用いて熱処
理することにより、種々の厚さの複合成形体を作製す
る。熱処理条件は温度150℃,時間30秒,圧力1k
g/cm2,スペーサー2mmである。この繊維集合体
の製造条件,目付け,嵩,比容積,引き抜き強力,引張
強力及び弾性を表−1及び表−2に示した。
【0033】 実験の結果、前記共重合体を使用した熱
接着性繊維または熱接着性複合繊維を用いた実施例1〜
5では、ヤシ繊維の引き抜き強力が100g以上あるの
に対し、前記共重合体を使用していない熱接着性繊維ま
たは熱接着性複合繊維を用いた比較例1,2では、引き
抜き強力は50gを越えていない。理由として、熱接着
性繊維または熱接着性複合繊維のヤシ繊維に対する接着
性に大きな違いがあることが挙げられる。前記共重合体
を使用していない場合、熱接着性繊維または熱接着性複
合繊維は熱処理しても、ヤシ繊維に接合した部分は溶融
し食い込みはするが、接着していないために剥離してし
まう。そのため、ヤシ繊維を引き抜く場合、その引き抜
き強力は物理的な引っかかりの強力のみである。
【0034】 これに対し、ヤシ繊維との接着性がある
前記共重合体を使用している接着性繊維または熱接着性
複合繊維は、熱処理によりヤシ繊維に接合した部分で溶
融し接着している。そのため、ヤシ繊維を引き抜く場
合、引き抜きを阻止しようとするだけの接着をしてお
り、ヤシ繊維を引き抜くには接着界面を破壊するだけの
強力が必要になる。そのため、ヤシ繊維と接着しない熱
接着性繊維または熱接着性複合繊維に較べ、引き抜き強
力が大きくなっている。引張強力では、実施例1は比較
例1に較べ大きい。これは、熱処理により熱接着性繊維
は溶融し、ヤシ繊維との交点にバインダーとして存在し
ており、実施例1が熱接着性繊維に前記共重合体を使用
しているためヤシ繊維との接着に優れているのに対し、
比較例1は熱接着性繊維に前記共重合体を使用していな
いためヤシ繊維との接着性がほとんどないからである。
【0035】 比較例2は、実施例2に較べ引張強力が
大きくなっている。これは、比較例2はヤシ繊維との接
着性に優れた前記共重合体を使用していないにも拘ら
ず、熱接着性複合繊維同士の接着強力が前記共重合体を
使用した熱接着性複合繊維同士の接着強力よりも大きい
ためである。実施例5は、実施例2に較べ引張強力が小
さくなっている。これは、実施例5が実施例2に較べて
嵩が高いために、繊維同士の交なり部分の数および面積
が多いためである。比較例3は、熱接着性複合繊維の混
率が15%と低い場合であり、引き抜き強力が小さく、
引張強力も小さい。かつ熱接着性複合繊維が20重量%
未満では熱融着後の強力が十分でなく、同時に熱融着繊
維から成るマトリックスによるヤシ繊維の保持が十分で
ない。比較例4は、熱接着性複合繊維の混率が85%と
多い場合であり、引き抜き強力は大きくなっており、引
張強力も大きいが、ヤシ繊維が20重量%未満では、複
合成形体に必要な弾性が十分ではない。
【0036】
【発明の効果】本発明の繊維集合体は、特定した共重合
体を配した熱融着性繊維により融着しているため、ヤシ
繊維が抜け落ちなかった。本発明の繊維集合体は、適度
な弾性を有する手触りであった。また柔軟性を持つこと
から、曲率が小さい場所での使用に耐え得た。本発明の
繊維集合体は、熱接着性繊維と植物繊維が混合分散さ
れ、繊維接点が熱接着性繊維により融着されているの
で、接着斑なく均一に絡合させることができた。従来の
接着斑をなくすため、バインダーとしての接着剤の混率
をアップしていたが、本発明では少量の熱接着性繊維で
もよく、また薄くすることも可能となった。また強力が
十分な繊維集合体であり、コンパクトな繊維集合体であ
った。本発明の積層繊維集合体は、用途に応じてシート
を積層し、それぞれの性能を維持できた。本発明の繊維
集合体の製造方法は、熱接着性繊維と植物繊維を混合分
散し、熱処理のみでよく、従来、液状あるいはパウダー
状の接着剤より植物繊維を接着させていたのに対し、成
形前の液だれ及び粉落ちがないことから、非常に衛生的
であり、しかも容易に製造できるようになった。熱処理
時または熱処理後に加圧成形することができ、一体成形
できた。本発明の繊維集合体は、接着剤を用いることな
く織布及び不織布等の他の素材あるいは同種の素材と熱
処理のみで接着できることから、接着工程を簡略なもの
にできた。また接着剤を使用しないことから、接着剤自
体の硬さ”ゴワゴワ”を感じることのない優れたマット
ができた。本発明の繊維集合体は、このような優れた性
能によりマットレスやシート、室内装飾用等のクッショ
ン材及び吸音・断熱材等として成形加工することがで
き、例えばフェルト,バネ受け,植木鉢,吸音パネル,
断熱パネル等に好適な繊維集合体となり。複雑な成形を
することも容易であった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ビニル,アクリルアミド,アクリロ
    ニトリル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステ
    ル,無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種とオレ
    フィンとの共重合体(A)を10重量%以上含有した熱
    接着性繊維(B)20〜70重量%と、厚さ0.1mm以
    上の植物繊維(C)80〜30重量%が混合分散され、
    繊維接点が熱接着性繊維(B)により融着されているこ
    とを特徴とする繊維集合体。
  2. 【請求項2】 厚さ0.1mm以上の植物繊維(C)がヤ
    シ繊維または/及び麻であり、熱接着性繊維(B)が、
    共重合体(A)と熱可塑性樹脂との混合物を連続形成し
    ている繊維(D)である、あるいは共重合体(A)から
    なる第1成分または共重合体(A)と熱可塑性樹脂との
    混合物からなる第1成分と、第2成分の熱可塑性樹脂か
    らなり、第一成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方
    向に連続形成している複合繊維(E)である請求項1の
    繊維集合体。
  3. 【請求項3】 共重合体(A)が、酢酸ビニル,アクリ
    ルアミド,アクリロニトリル,アクリル酸エステル,メ
    タクリル酸エステルから選ばれた少なくとも1種、エチ
    レン及び無水マレイン酸を三元共重合したものであり、
    熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系、ポリエステル系、
    ポリアミド系の群から選ばれた少なくとも1種であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2の繊維集合体。
  4. 【請求項4】 目付け50〜5000g/m2、密度
    0.01〜0.5g/cm3であり、かつ厚さ0.1mm
    以上の植物繊維の引抜き強力100g/本以上であるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項3の繊維集合体。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4の繊維集合体と繊
    維集合体を積層した、または繊維集合体と他のシートを
    積層した積層繊維集合体。
  6. 【請求項6】 酢酸ビニル,アクリルアミド,アクリロ
    ニトリル,アクリル酸エステル,メタクリル酸エステ
    ル,無水マレイン酸から選ばれた少なくとも1種とオレ
    フィンとの共重合体(A)を少なくとも10重量%含有
    したものを溶融紡糸し熱接着性繊維(B)を得、この熱
    接着性繊維(B)20〜70重量%と厚さ0.1mm以上
    の植物繊維(C)80〜30重量%を混合分散しウェブ
    状混合物を得、その後ウェブ状混合物を熱処理し、熱接
    着性繊維(B)により繊維接点を融着することを特徴と
    する繊維集合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱処理時または/及び熱処理後に加圧成
    形する請求項6の繊維集合体の製造法。
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