JP2005213653A - 繊維ボードの製造方法、熱可塑性樹脂繊維の切断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 植物繊維と熱可塑性樹脂繊維とから繊維ボードを製造する繊維ボードの製造方法であって、延伸・捲縮処理をしていない状態の熱可塑性樹脂繊維(トウ)を所定長さに切断し、切断された熱可塑性樹脂繊維と植物繊維とを混綿する。そしてこれらを加熱処理およびプレス処理することで繊維ボードを製造する。
【選択図】 図5
Description
特許文献1に係る繊維ボードは、植物繊維と熱可塑性樹脂繊維とを開繊して混綿し(開繊処理)、これらを加熱した後、冷間プレスすることで成形されている。
そして図6に示すようにトウを湯洗し、延伸機71によって延伸させていた(延伸処理)。そしてクリンパー72によって熱可塑性樹脂繊維を捲縮させ、乾燥機73で乾燥させ、切断装置74(例えば、特許文献2に係る切断装置)によって定寸カットしていた。そしてこれらを圧縮梱包機75によって固まり状(ベール)にしていた。
なおトウを延伸させている理由は、紡糸させただけの状態では、熱可塑性樹脂繊維の結晶の配向が不十分であって引張り強度が弱いからである。そして延伸させることで配向性を十分にし引張り強度を強くするためである。
そこで本発明は、従来必要であった延伸処理等を省略することで製造工程数を低減し得る繊維ボードの製造方法を提供することを課題とする。あるいはその製造方法に適した熱可塑性樹脂繊維の切断装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る繊維ボードの製造方法によると、延伸・捲縮処理をしていない状態の熱可塑性樹脂繊維を所定長さに切断し、切断された熱可塑性樹脂繊維と植物繊維とを混綿し、これらを加熱処理およびプレス処理することで繊維ボードを製造する方法である。
すなわち熱可塑性樹脂繊維は、延伸・捲縮処理をしていない状態のまま(トウの状態のまま)繊維ボードの原料として利用される。
したがって熱可塑性樹脂繊維の延伸・捲縮処理が不要となる。そして熱可塑性樹脂繊維の製造工程数、および繊維ボードの製造工程数が少なくなる。
なお加熱処理およびプレス処理は、順次別々に各処理を行う方法であってもよいが、両処理を一度に行う方法であっても良い。
すなわち切断装置は、熱可塑性樹脂繊維を巻取る回転体と、その回転体の外周に沿って巻取られた熱可塑性樹脂繊維を回転体の外周側方から回転体軸中心側に押す押込み手段とを有する。回転体は、複数の切断刃を有し、複数の切断刃は、回転体軸中心側から外周側方に向けて放射線状に伸び、かつ外周側方先端に刃先部を有する。そして熱可塑性樹脂繊維が刃先部上方位置にて巻取られる構成である。また押込み手段は、回転体の回転を止めた状態において、回転体に巻取られた熱可塑性樹脂繊維を回転体軸中心側に押すことで、熱可塑性樹脂繊維を切断刃によって切断させる構成になっている。
ところで従来の熱可塑性樹脂繊維の切断装置は、例えば特許文献2に係る構成を有していた。特許文献2に係る切断装置は、熱可塑性樹脂繊維を巻取る回転体と、回転体の外周に沿って巻取られた熱可塑性樹脂繊維を回転体軸中心側へ常に押す圧力ロータとを有していた。そして回転体と圧力ロータは、それぞれが回転し、回転体に設けられた切断刃によって熱可塑性樹脂繊維を切断していた。そのため熱可塑性樹脂繊維は、回転体と圧力ロータによって常に張力を受けており、とりわけ切断の際に大きな張力を受けていた。
ところが本発明における切断対象物は、延伸・捲縮処理をしていない熱可塑性樹脂繊維であって引張り強度が弱いものであった。したがって従来の切断装置によって切断を試みた場合は、切断対象物が切断刃と異なる位置において切れてしまい、所定の長さに切断することができなかった。
したがって本発明に係る切断装置は、従来の切断装置に比べて、熱可塑性樹脂繊維に対して張力を与えにくい構成になっている。特に切断時において張力を与えにくい構成になっている。かくして延伸・捲縮処理をしていない熱可塑性樹脂繊維は、切断刃と異なる位置において切れることが防止され、切断刃によって所定の長さに確実に切断され得る。
すなわち熱可塑性樹脂繊維は、延伸・捲縮処理をしていない状態のまま(トウの状態のまま)繊維ボードの原料として利用される。したがって熱可塑性樹脂繊維の延伸・捲縮処理が不要となる。かくして熱可塑性樹脂繊維の製造工程数、および繊維ボードの製造工程数が少なくなる。
先ず、延伸・捲縮処理をしていない熱可塑性樹脂繊維であるトウの製造方法について説明する。
図1に示すように熱可塑性樹脂の原料ペレットPをホッパー10に投入する(図4、ステップS10)。そしてこれらを結晶化装置11によって結晶化させる(図4、ステップS11)。なお結晶化装置11における設定温度は、110℃である。また結晶化装置11には、ブロッキングを防止するための攪拌装置が設けられている。
次に、チップ乾燥機12によって加水分解防止処理を行う(図4、ステップS12)。なおチップ乾燥機12における設定乾燥温度は、110℃〜140℃である。
次に、紡糸機15によって原料を所定径となる状態において連続的に吐出させ、それを順次、冷却固化させる。かくして熱可塑性樹脂が繊維状に成形される(図4、ステップS14)。
そして繊維状の熱可塑性樹脂を引取機16によって引取り、熱可塑性樹脂繊維を紡糸機15によって連続的に紡糸する。そして熱可塑性樹脂繊維をパン17に集約させる。
以上のようにしてトウT(延伸・捲縮処理をしていない状態の熱可塑性樹脂繊維)を製造する。
切断装置2は、図2に示すようにトウTを導くガイドローラ3と、ガイドローラ3によって導かれたトウTを巻取る回転体4とを有する。そしてトウTの先端を挟持するクランプ手段7と、トウTを回転体4の外周側方から回転体軸中心側に押す複数の押込み手段6とを有する。
上板部40は、円盤状であって中心部に回転軸部43が貫通された状態で取付けられている。下板部42は、ドーナツ状であって、中心部には略円孔状に形成された開口部42aが形成されている。
切断刃41は、上板部40と下板部42の間に板厚方向に立設した状態で取付けられている。そして複数の切断刃41は、図2に示すように回転体軸中心C側から外周側方に向けて放射線状に伸びており、これら複数の切断刃41は、周方向に所定のピッチ幅で等間隔で位置している。そして切断刃41は、外周側先端において刃先部41aを有する。かくして回転体4は、略円柱状および水車状に構成されている。
クランプ手段7は、図2に示すようにトウTの先端を把持する構成になっている。そしてクランプ手段7は、回転体4側に取付けられている。したがってクランプ手段7によってトウTの先端が把持され、回転体4が回転されることで、トウTが回転体4の外周に沿って巻取られる。
シリンダー60は、例えば油圧または気圧を利用してプッシャー61を往復直線運動させる。
プッシャー61は、シリンダー60によって回転体4に対して近接・離間するように進退動する。そして回転体4の外周側方から回転体軸中心側に進出し、切断刃41間に入り込む。
以上のようにして切断装置2が構成されている。
先ず、トウTをガイドローラ3によって回転体4側へ導く(図2参照)。次にトウTの先端をクランプ手段7によって把持する。そして回転体4をモータ5によって回転させる。これによりトウTを回転体4の外周に沿って巻き取る。そして巻き取られたトウTは、図3に示すように切断刃41の刃先部41a上方位置に配置される。
そしてトウTを回転体4の外周に一から十周程度巻き取り、その後、回転体4の回転を止める。
切断されたトウTは、図3に示すように上板部40と下板部42の間に進出したプッシャー61によって回転体軸中心C側へ押される。そして開口部42aに達したトウTは、開口部42aからパン8に向けて落下し、パン8に集約される。
以上のようにしてトウTの切断工程がなされ(図4、ステップS15)、その工程を繰り返す。
そしてパン8に集約させたトウTを圧縮梱包機によって圧縮させ、固まり状態(ベール)にする(図4、ステップS16)。
先ず、固まり状態としたトウTと植物繊維とを準備する(ステップS20)。そしてこれらを開繊し、混綿する(ステップS21)。そしてこれらを加熱した後(加熱処理)、冷間プレスする(プレス処理)(ステップS22)。かくして繊維ボードが形成される。
なお加熱温度は、トウTを十分に溶融させる温度であって、例えば180〜260℃である。そのためトウTは、繊維の形態をとどめない状態で冷えて固まり、植物繊維間のバインダーとなる。
以上のように成形された繊維ボードは、二次材料として利用されることが多い。例えば加熱プレスされることで、自動車のドアトリム用基材のハードボードの形状に加工されて利用される。
「熱可塑性樹脂繊維」は、加熱すると柔らかくなり可塑性(応力に応じて変形する性質)を有する繊維であって、好適には、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を原料とする繊維である。
なお混綿時におけるトウの長さと、植物繊維の長さとをほぼ同じ長さにするためには、切断装置2によって切断する際のトウの長さを植物繊維よりも20〜50mm長くなるようにすることが好ましく、例えば50〜100mmにすることが好ましい。なぜならトウは、引張り張力が弱く、混綿時において植物繊維よりも切れやすいからである。
すなわち熱可塑性樹脂繊維は、延伸・捲縮処理をしていない状態のまま(トウTの状態のまま)繊維ボードの原料として利用される。
したがって熱可塑性樹脂繊維の延伸・捲縮処理が不要となる。そして熱可塑性樹脂繊維の製造工程数、および繊維ボードの製造工程数が少なくなる。
したがって切断装置2は、従来の切断装置(例えば特許文献2に係る切断装置)に比べて、熱可塑性樹脂繊維(トウT)に対して張力を与えにくい構成になっている。特に切断時において張力を与えにくい構成になっている。
かくしてトウTは、切断刃41と異なる位置において切れることが防止され、切断刃41によって所定の長さに確実に切断され得る。
また切断装置2は、複数の押込み手段6を等間隔で有し、各押込み手段6は、切断刃41間に位置している。そしてトウTは、回転体4に対して複数周巻かれた状態において押込み手段6によって押され得る。かくして一度に多くの量が切断され得る。
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、以下の形態であってもよい。
(1)すなわち上記の実施の形態では、トウを図2,3に示す切断装置2によって切断していた。しかしトウを他の装置または方式によって切断する形態であってもよい。例えばギロチン方式によって切断する形態であってもよい。
(2)また上記の実施の形態に係る加熱処理およびプレス処理は、順次別々に処理する方法であった。しかし両処理を一度に行う方法、例えば加熱プレスを利用し、冷却する処理方法であっても良い。
(3)また上記の実施の形態では、図4に示す圧縮梱包工程を行っていた。しかし圧縮梱包工程を省略することも可能である。
3…ガイドローラ
4…回転体
5…モータ
6…押込み手段
7…クランプ手段
10…ホッパー
11…結晶化装置
12…チップ乾燥機
13…押出し機
15…紡糸機
16…引取機
40…上板部
41…切断刃
41a…刃先部
42…下板部
42a…開口部
43…回転軸部
60…シリンダー
61…プッシャー
C…回転体軸中心
T…トウ(延伸・捲縮処理をしていない状態の熱可塑性樹脂繊維)
Claims (3)
- 植物繊維と熱可塑性樹脂繊維とから繊維ボードを製造する繊維ボードの製造方法であって、
延伸・捲縮処理をしていない状態の前記熱可塑性樹脂繊維を所定長さに切断し、該切断された熱可塑性樹脂繊維と前記植物繊維とを混綿し、これらを加熱処理およびプレス処理することで繊維ボードを製造することを特徴とする繊維ボードの製造方法。 - 延伸・捲縮処理をしていない熱可塑性樹脂繊維を切断するための熱可塑性樹脂繊維の切断装置であって、
前記熱可塑性樹脂繊維を巻取る回転体と、その回転体の外周に沿って巻取られた熱可塑性樹脂繊維を前記回転体の外周側方から回転体軸中心側に押す押込み手段とを有し、
前記回転体は、複数の切断刃を有し、前記複数の切断刃は、前記回転体軸中心側から外周側方に向けて放射線状に伸び、かつ外周側方先端に刃先部を有し、前記熱可塑性樹脂繊維が前記刃先部上方位置にて巻取られる構成であり、
前記押込み手段は、前記回転体の回転を止めた状態において、前記回転体に巻取られた前記熱可塑性樹脂繊維を前記回転体軸中心側に押すことで、前記熱可塑性樹脂繊維を前記切断刃によって切断させる構成になっていることを特徴とする熱可塑性樹脂繊維の切断装置。 - 請求項2に記載された熱可塑性樹脂繊維の切断装置を利用して、延伸・捲縮処理をしていない熱可塑性樹脂繊維を所定長さに切断し、該切断された熱可塑性樹脂繊維と植物繊維とを混綿し、これらを加熱処理およびプレス処理することで繊維ボードを製造することを特徴とする繊維ボードの製造方法。
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