JPH0931615A - 耐SCC性及び耳率に優れたAl−Mg系合金の製造方法 - Google Patents

耐SCC性及び耳率に優れたAl−Mg系合金の製造方法

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JPH0931615A
JPH0931615A JP7201651A JP20165195A JPH0931615A JP H0931615 A JPH0931615 A JP H0931615A JP 7201651 A JP7201651 A JP 7201651A JP 20165195 A JP20165195 A JP 20165195A JP H0931615 A JPH0931615 A JP H0931615A
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rolling
warm
alloy
scc resistance
warm rolling
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JP7201651A
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Tatsuya Kinoshita
達也 木下
Takehiko Eto
武比古 江藤
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐応力腐食割れ性に優れかつ耳率の小さいA
l−Mg系合金を得る。 【構成】 Mg:0.5〜8wt%を含有し、さらにM
n:0.1〜0.5wt%、Cr:0.05〜0.2w
t%、Zr:0.05〜0.2wt%のうち少なくとも
1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる
Al−Mg系合金を、圧延及び圧延終了温度が80〜2
00℃で温間圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐応力腐食割れ性
(以下、耐SCC性という)及び耳率に優れたAl−M
g系合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al−Mg系合金は、溶接性、耐食性、
成形性に優れるため、調理器具、一般用器物、高級器
物、車両用材、船舶用材、圧力容器、缶材、燃料タンク
等に使用されているが、このAl−Mg系合金を応力が
負荷された状態で長時間使用する場合、応力腐食割れが
発生するという問題がある。
【0003】この応力腐食割れを防止する方法として、
従来より冷間圧延後204℃〜274℃で2時間以上保
持する熱処理が行われている。この熱処理は、β相を粒
内に均一に分散させることで、応力腐食割れの原因とな
るβ相の粒界への析出を防止しようとするものだが、こ
の方法では熱処理温度が高いため強度が低下し、熱処理
後再度冷間圧延を必要とするという問題があるととも
に、耳率が大きくなるという問題がある。さらに、熱処
理温度が高いことにより表面が酸化され、熱処理後表面
処理を行う必要もあり、その分、工程が増加するという
問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術のか
かる問題点に鑑みてなされたものであり、冷間圧延後の
熱処理による強度低下や表面酸化の問題がなく、また耳
率も大きくなることのない耐SCC性及び耳率に優れた
Al−Mg系合金の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる耐SCC
性に優れたAl−Mg系合金の製造方法は、Mg:0.
5〜8wt%を含有し、さらにMn:0.1〜0.5w
t%、Cr:0.05〜0.2wt%、Zr:0.05
〜0.2wt%のうち少なくとも1種を含有し、残部が
Alおよび不可避不純物からなるAl−Mg系合金、上
記合金成分に加えさらにCu:0.02〜1.0wt
%、Zn:0.1〜2.0wt%のうち少なくとも1種
を含有するAl−Mg系合金、又はそれらに加えさらに
Ti:0.001〜0.05wt%を含有するAl−M
g系合金を、圧延及び圧延終了温度が80〜200℃で
温間圧延し、耐SCC性および耳率を向上させたことを
特徴とする。
【0006】以下、本発明におけるAl−Mg系合金の
成分限定理由と、温間圧延における圧延及び圧延終了温
度の限定理由について説明する。
【0007】<Mg>Mg含有量が0.5wt%未満で
は成形性には優れるが、強度不足となる。一方、Mg含
有量が8wt%を超える合金では耐SCC性および耐食
性が低下するとともに価格も上昇する。このため、Mg
含有量は0.5〜8wt%とする。
【0008】<Mn、Cr、Zr>Mn、Cr、Zrは
いずれも結晶粒を微細化し、伸びおよび成形性を向上さ
せる効果がある。しかし、これらの成分の含有量がそれ
ぞれ0.1wt%未満、0.05wt%未満、0.05
wt%未満ではその効果は十分でなく、一方、それぞれ
0.5wt%、0.2wt%、0.2wt%を超える
と、微細化効果が飽和するとともに伸び及び成形性が低
下する。したがって、Mn含有量は0.1〜0.5wt
%、Cr含有量は0.05〜0.2wt%、Zr含有量
は0.05〜0.2wt%とし、これらの元素から選択
された1種または2種以上の元素を添加する。
【0009】<Cu、Zn>Cu及びZnはいずれもA
l合金の強度を向上させる効果がある。しかし、これら
の成分の含有量がそれぞれ0.02wt%未満、0.1
wt%未満ではその効果が少なく、いっぽう、それぞれ
1.0wt%、2.0wt%を超えると強度は向上する
が、常温時効性が大きくなり過ぎ、出荷後の強度変化を
生じるとともに、耐食性も低下する。したがって、Cu
含有量は0.02〜1.0wt%、Zn含有量は0.1
〜2.0wt%とする。
【0010】<Ti>TiはAl合金鋳塊中の結晶粒を
微細化する効果がある。しかし、Ti含有量が0.00
1wt%未満ではその効果は十分でなく、0.05wt
%を超えるとその効果が飽和する。したがって、Ti含
有量は0.001〜0.05wt%とする。
【0011】<圧延及び圧延終了温度>圧延及び圧延終
了温度は耐SCC性に大きく影響を及ぼす。本発明にお
いては、圧延及び圧延終了温度を従来の冷間圧延より高
くしたことで、圧延により増殖した転位へのβ相の析出
が促進され、粒界に析出するβ相の量が減少し、耐SC
C性が向上する。なお、本発明において圧延及び圧延終
了温度とは、圧延中及び圧延直後の材料の温度を意味す
る。
【0012】この温度が80℃未満では、耳率が大きく
なると同時に、転位密度が増加して強度が高くなり過
ぎ、所望の強度にするため焼純を必要とするようにな
る。しかし、この焼純を行うと組織が回復し粒界が明瞭
となるため、β相が粒界に優先的に析出し耐SCC性を
低下させる。また、200℃を超えると再結晶組織とな
るため、粒界のβ相析出密度が高くなり、耐SCC性が
低下する。また、転位密度の減少により強度低下も生じ
ると同時に、45°方向の集合組織の発達が遅れるた
め、0°、180°方向の耳が大きくなる。したがっ
て、圧延および圧延終了温度は80〜200℃とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における温間圧延は、Al
−Mg系合金の一連の製造工程の最終段階において施さ
れる。温間圧延における圧延及び圧延終了温度を上記の
範囲内に制御する手段としては、例えばロール加熱によ
る方法、及び/又は、圧下による発熱を利用する方法が
挙げられる。
【0014】Al−Mg系合金に対し本発明を適用した
場合の製造工程の代表的なものは、鋳塊を均熱化処理
(ex.450〜500℃×4Hr)、熱間圧延(e
x.圧延開始温度450〜550℃、最終板厚1〜4m
m)、次いで上記条件下で温間圧延するというものであ
り、必要に応じて温間圧延の前に冷間圧延が施される。
なお、冷間圧延に引き続き温間圧延を施す場合、温間圧
延の圧下率を大きめに設定することで、外部加熱を要す
ることなく圧延及び圧延終了温度を上記の範囲内に制御
することができる。一例を挙げれば、冷間圧延の圧下率
を例えば40%としたとき、温間圧延の圧下率を50〜
80%とすればよい。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例についてその比較例と
比較して説明する。まず、表1に示す組成のAl合金を
板厚50mmの金型に鋳造した後、510℃×4hの均
質化処理を施した。次に板厚3.5mmまで熱間圧延を
行った後、1パス目で板厚1.1mmまで圧延し、2パ
ス目で板厚0.285mmまで圧延した。なお、1パス
目は通常の冷間圧延とし、2パス目では、ロール加熱を
行い、圧延及び圧延終了温度が50〜220℃になるよ
うに調整し、供試材とした。表1にはその圧延終了温度
をあわせて示す。
【0016】
【表1】
【0017】得られた供試材のうち本発明材No.2及
び比較材No.11について、その金属組織の顕微鏡写
真を図1(a)、(b)に示す。
【0018】また、得られた供試材について、引張特
性、耳率、耐SCC性、及び耐食性を下記の要領で測定
し、その結果を表2に示す。 引張特性:評点間距離18.6mm、板幅12mm、板
厚0.285mmのJIS7号試験片を用い、引張速度
3mm/minにて引張試験を行い、その耐力を測定し
た。 耳率:エリクセン試験機を使用し、φ40mmのパンチ
を用いて、絞り率40%時の0度、45度、90度方向
の耳率を測定し、最も大きい耳率の値を表1に記載し
た。 耐SCC性は通電法(電流密度:6.2mA/cm2
電解液:3.5%NaCl水溶液)で行い、通電後10
00分までの表面割れの有無により、割れなしを○、割
れ有りを×と評価した。耐食性は、表面積1000mm
2の試料を用いて塩水噴霧試験を行い、1000時間後
の重量減少量を測定し、重量減少量5mg未満を○、5
mg以上を×と評価した。
【0019】
【表2】
【0020】表2の試験結果をみると、組成及び圧延終
了温度が本発明の範囲内にある本発明材No.1〜N
o.8は、図1(a)に示すように結晶粒が微細化して
おり、強度が高く、耳率が小さく、耐SCC性及び耐食
性にも優れている。
【0021】一方、比較材No.9〜No.18は組成
又は圧延終了温度が本発明で規定する範囲外のものであ
る。比較材No.9は耳率が小さく、耐SCC性及び耐
食性もよいが、Mg含有量が0.5wt%未満であるた
め、強度が低くなっている。比較材No.10はMg含
有量が8wt%を超えているため、耐SCC性及び耐食
性が低下している。比較材No.11はMn、Cr、Z
rのいずれも含有していないため、図1(b)に示すよ
うに結晶粒が粗大化し、耐SCC性が低下している。比
較材No.12は圧延終了温度が80℃未満であるた
め、耳率が大きく耐SCC性も低下している。比較材N
o.13は圧延終了温度が200℃を超えているため、
強度及び耐SCC性が低下すると同時に耳率も大きくな
っている。比較材No.14、15はCu又はZn含有
量がそれぞれ1.0wt%、2.0wt%を超えている
ため、耐食性が低下している。比較材No.16〜18
はMn、Cr、Zrがそれぞれ0.5wt%、0.2w
t%、0.2wt%を超えているため、成形性が低下
し、割れが生じている。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
所定量のMgと、Mn、Cr及びZrから選択された1
又は2以上の元素、さらに必要に応じてCu、Zn、T
i等を含有するAl−Mg系合金を所定の温度条件で温
間圧延することにより、耐SCC性及び耳率に優れたA
l−Mg系合金を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明材(No.2)、(b)は比較
材(No.11)の金属組織を同倍率で示す図(顕微鏡
写真)である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:0.5〜8wt%を含有し、さら
    にMn:0.1〜0.5wt%、Cr:0.05〜0.
    2wt%、Zr:0.05〜0.2wt%のうち少なく
    とも1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物から
    なるAl−Mg系合金を、圧延及び圧延終了温度が80
    〜200℃で温間圧延することを特徴とする耐SCC性
    および耳率に優れたAl−Mg系合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらにCu:0.02〜1.0wt%、
    Zn:0.1〜2.0wt%のうち少なくとも1種を含
    有する請求項1に記載されたAl−Mg系合金を、圧延
    および圧延終了温度が80〜200℃で温間圧延するこ
    とを特徴とする耐SCC性および耳率に優れたAl−M
    g系合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 さらにTi:0.001〜0.05wt
    %を含有する請求項1又は2に記載されたAl−Mg系
    合金を、圧延および圧延終了温度が80〜200℃で温
    間圧延することを特徴とする耐SCC性および耳率に優
    れたAl−Mg系合金の製造方法。
JP7201651A 1995-07-14 1995-07-14 耐SCC性及び耳率に優れたAl−Mg系合金の製造方法 Pending JPH0931615A (ja)

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