JP3400910B2 - 高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金及びその製造方法 - Google Patents
高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金及びその製造方法Info
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Description
優れたAl−Mg系合金及びその製造方法に関する。
形性に優れるため、調理器具、一般用器物、高級器物、
車両用材、船舶用材、圧力容器、缶材、燃料タンクに使
用される。Al−Mg系合金は溶解鋳造後、500℃付
近で均熱化処理、熱間圧延を行った後、油性の圧延油へ
の引火を防止するため、圧延及び圧延終了温度60〜1
00℃で冷間圧延を行う。次に冷間圧延のままでは強度
が高く、成形時に割れを生じるため、200〜270℃
で最終焼鈍し、下部組織をサブグレイン化し、強度を低
下させることにより成形性を向上させる。
−Mg系合金の製造方法では、冷間圧延後に焼鈍して下
部組織をサブグレイン化し、強度を犠牲にしないと成形
性が良好にならないという問題がある。本発明は従来技
術のかかる問題点に鑑みてなされたもので、強度低下を
抑制した高強度で成形性に優れるAl−Mg系合金を提
供することを目的とする。
成形性に優れたAl−Mg系合金は、Mg:1.5wt
%〜8wt%を含有し、さらにMn:0.1〜0.5w
t%、Cr:0.05〜0.2wt%、Zr:0.05
〜0.2wt%のうち少なくとも1種の元素を含有し、
残部がAl及び不可避不純物からなり、ポリゴニゼーシ
ョンによる直径0.1〜2μmのシェルが形成されてい
ることを特徴とする。また、本発明に係わる高強度で成
形性に優れたAl−Mg系合金は、上記元素に加え、
Cu:0.02〜1.0wt%、Zn:0.1〜2.0
wt%のうち少なくとも1種の元素を含有し、あるい
は、Ti:0.001〜0.05wt%を含有し、ま
たは、上記との双方を含有することを特徴とす
る。
Mg系合金鋳塊を、均熱化処理、熱間圧延後、圧延及び
圧延終了温度が100℃を超えても引火しない水溶性の
圧延油を使用し、圧延及び圧延終了温度を100〜20
0℃として圧延し、ポリゴニゼーションにより直径0.
1〜2μmのシェルを形成させたことを特徴とする。こ
の製造方法においては、上記Al−Mg系合金の圧延及
び圧延終了温度を100〜200℃に制御することによ
り転位の増殖及び回復を同時進行させ、下部組織をサブ
グレイン化手前のポリゴン化組織にすることにより、強
度低下を抑制した高強度で成形性に優れるAl−Mg系
合金を得ることができる。
成分限定理由と、圧延及び圧延終了温度の限定理由につ
いて説明する。
は成形性には優れるが、強度不足となる。一方、Mgが
8wt%を超える合金では耐SCC性及び耐食性が低下
し、価格も高くなる。このため、Mg含有量は1.5〜
8wt%とする。
いずれも結晶粒を微細化し、伸び及び成形性を向上させ
る効果がある。しかし、これらの成分の含有量がそれぞ
れ0.1wt%未満、0.05wt%未満、0.05w
t%未満ではその効果は十分でなく、一方、それぞれ
0.5wt%、0.2wt%、0.2wt%を超えると
微細化の効果は飽和するとともに成形性が低下する。し
たがって、Mn含有量は0.1〜0.5wt%、Cr含
有量は0.05〜0.2wt%、Zr含有量は0.05
〜0.2wt%とする。
l−Mg系合金の強度を向上させる効果がある。しか
し、これらの成分の含有量がそれぞれ0.02wt%未
満、0.1wt%未満ではその効果は少なく、一方、そ
れぞれ1.0wt%、2.0wt%を超えると強度は向
上するが、常温時効性が大きくなり過ぎ、出荷後の強度
変化を生じるとともに、耐食性も低下する。したがっ
て、Cu含有量は0.02〜1.0wt%、Zn含有量
は0.1〜2.0wt%とする。
微細化する効果がある。しかし、Ti含有量が0.00
1wt%未満ではその効果は十分でなく、0.05wt
%を超えるとその効果が飽和する。したがって、Ti含
有量は0.001〜0.05wt%とする。
組織は成形性に大きく影響を及ぼし、本発明では圧延及
び圧延終了温度を従来の冷間圧延より高くしたことで転
位の回復が生じ、ポリゴニゼーションによるシェルが形
成され成形性が向上する。なお、本発明において圧延及
び圧延終了温度とは、圧延中及び圧延直後の材料の温度
を意味する。この温度が100℃より低いと転位の回復
を生じないタングルの状態になり成形性が向上しない。
また、この温度が200℃より高いと、転位の回復によ
りサブグレインが形成されるため、成形性は向上するが
強度の低下も大きくなる。したがって、圧延及び圧延終
了温度は100〜200℃とする。この圧延条件により
上記アルミニウム合金において転位の増殖及び回復が同
時進行し、下部組織がサブグレイン化手前のポリゴン化
組織となり、そのときのシェル直径は0.1〜2μmの
範囲となる。なお、圧下率を高めた方(例えば60%以
上)が転移の回復が促進され、ポリゴン化しやすくな
る。
g系合金の一連の製造工程の最終段階において施され
る。この圧延における圧延及び圧延終了温度を上記の範
囲内に制御する手段としては、例えばロール加熱による
方法、及び/又は、圧下による発熱を利用する方法が挙
げられる。
場合の製造工程の代表的なものは、鋳塊を均熱化処理
(ex.450〜500℃×4Hr)、熱間圧延(e
x.圧延開始温度450〜550℃、最終板厚1〜4m
m)、次いで上記条件下で圧延するというものであり、
必要に応じてこの圧延の前に冷間圧延が施される。な
お、冷間圧延に引き続きこの発明の圧延を施す場合、圧
下率を大きめに設定することで、外部加熱を要すること
なく圧延及び圧延終了温度を上記の範囲内に制御するこ
とができる。一例を挙げれば、冷間圧延の圧下率を例え
ば40%としたとき、この圧延の圧下率を50〜80%
とすればよい。
比較して説明する。まず、表1に示す組成のAl合金を
板厚50mmの金型に鋳造した後、510℃×4hの均
質化処理を施した。次に板厚3.5mmまで熱間圧延を
行った後、250℃を超えても引火しない水溶性の圧延
油を用いて、1パス目で板厚1.1mmまで、2パス目
で板厚0.285mmまで圧延した。なお、1パス目は
通常の冷間圧延とし、2パス目ではロール加熱を行い、
圧延及び圧延終了温度が50〜250℃になるように調
整し、供試材とした。表1にはその圧延終了温度をあわ
せて示す。
率、リベット成形性、耐食性を下記の要領で測定し、そ
の結果を表2に示す。 引張特性:評点間距離18.6mm、板幅12mm、板
厚0.285mmのJIS7号試験片を用い、引張速度
3mm/minにて引張試験を行い、その耐力を測定し
た。 耳率:エリクセン試験機を使用し、φ40mmのパンチ
を用いて、絞り率40%時の0度、45度、90度方向
の耳率を測定し、最も大きい耳率の値を供試材の耳率と
した。 リベット成形性:リベット成形高さ1.7mmで成形し
た時の割れの有無により、割れなしを○、割れ有りを×
と評価した。 耐食性:表面積1000mm2の試料を用いて塩水噴霧
試験を行い、1000時間後の重量減少量を測定し、重
量減少量5mg未満を○、5mg以上を×と評価した。
カー液でエッチングした後、光学顕微鏡を用いて結晶粒
を観察し、TEM(透過電子顕微鏡)を用いて下部組織
を観察し、シェルサイズを切断法により測定した。下部
組織の種別とシェルサイズの測定結果を表2にあわせて
示す。また、本発明材No.3及び比較材No.12に
ついて結晶粒の光学顕微鏡写真を図1に、本発明材N
o.3、比較材No.13及び比較材No.14につい
て下部組織の透過電子顕微鏡写真を図2に示す。
了温度が本発明の範囲内にある本発明材No.1〜N
o.9は、結晶粒が微細化し、下部組織がポリゴニゼー
ションにより直径0.1〜2μmのシェルを形成してい
るため、強度が高く成形性にも優れ、耐食性にも優れて
いる。
成又は圧延終了温度が本発明で規定する範囲外のもので
ある。比較材No.10は成形性に優れるが、Mg含有
量が1.5wt%未満であるため、強度が低くなってい
る。比較材No.11はMg含有量が8wt%を超えて
いるため、成形性及び耐食性が低下している。比較材N
o.12はMn、Cr、Zrのいずれも含有してないた
め、図1に示すように結晶粒が粗大化し、成形性が低下
している。比較材No.13は圧延終了温度が100℃
未満であるため、図2に示すように下部組織がポリゴン
化せず、タングルの状態になっており、成形性が低下す
ると同時に耳率も大きくなっている。比較材No.14
は圧延終了温度が200℃を超えているため、下部組織
がサブグレインになり、強度低下が大きくなっている。
比較材No.15、16はCu又はZn含有量がそれぞ
れ1.0wt%、2.0wt%を超えているため、耐食
性が低下している。比較材No.17〜19はMn、C
r、Zrがそれぞれ0.5wt%、0.2wt%、0.
2wt%を超えているため、結晶粒が粗大化し、成形性
が低下している。
所定量のMgとMn、Cr、Zrのうち少なくとも1
種、必要に応じてCu、Zn、Ti等を含有するAl−
Mg系合金において、下部組織をポリゴン化してシェル
直径0.1〜2μmのシェルを形成することで、高強度
で成形性に優れたAl−Mg系合金を得ることができ
る。
の金属結晶組織を同倍率で示す光学顕微鏡写真である。
No.14)の金属結晶下部組織を同倍率で示す透過電
子顕微鏡写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 Mg:1.5wt%〜8wt%を含有
し、さらにMn:0.1〜0.5wt%、Cr:0.0
5〜0.2wt%、Zr:0.05〜0.2wt%のう
ち少なくとも1種の元素を含有し、残部がAl及び不可
避不純物からなり、ポリゴニゼーションによる直径0.
1〜2μmのシェルが形成されていることを特徴とする
高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金。 - 【請求項2】 さらに、Cu:0.02〜1.0wt
%、Zn:0.1〜2.0wt%のうち少なくとも1種
の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載され
た高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金。 - 【請求項3】 さらに、Ti:0.001〜0.05w
t%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載
された高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された組
成をもつAl−Mg系合金鋳塊を、均熱化処理、熱間圧
延後、水溶性の圧延油を用いて圧延及び圧延終了温度1
00〜200℃で圧延し、ポリゴニゼーションにより直
径0.1〜2μmのシェルを形成させることを特徴とす
る高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11533796A JP3400910B2 (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11533796A JP3400910B2 (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09279282A JPH09279282A (ja) | 1997-10-28 |
JP3400910B2 true JP3400910B2 (ja) | 2003-04-28 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP11533796A Expired - Fee Related JP3400910B2 (ja) | 1996-04-11 | 1996-04-11 | 高強度で成形性に優れたAl−Mg系合金及びその製造方法 |
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JP (1) | JP3400910B2 (ja) |
-
1996
- 1996-04-11 JP JP11533796A patent/JP3400910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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