JPH09315002A - 光情報記録媒体,光情報記録媒体の情報記録方法及び情報再生方法 - Google Patents

光情報記録媒体,光情報記録媒体の情報記録方法及び情報再生方法

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JPH09315002A
JPH09315002A JP8150498A JP15049896A JPH09315002A JP H09315002 A JPH09315002 A JP H09315002A JP 8150498 A JP8150498 A JP 8150498A JP 15049896 A JP15049896 A JP 15049896A JP H09315002 A JPH09315002 A JP H09315002A
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Tsutomu Sato
勉 佐藤
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辰也 戸村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の光情報記録媒体間又は複数の光情報記
録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図る。 【解決手段】 本発明の光情報記録媒体は,基板上に,
少なくとも色素を含む記録層及び反射層を積層して構成
されており,色素が,外部エネルギーの付加によって凝
集状態が変化し,複数の異なる波長域に対する吸収スペ
クトルが変化するものである。そして,色素は,一般式 【化1】 で示されるものである。ただし,X1 〜X4 は,それぞ
れ独立に水素原子,ハロゲン原子,置換基を有しても良
いアルキル基,置換基を有しても良いアリール基等であ
り,k,l,m,nは,置換基X1 〜X4 の置換数で0
〜4の整数である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は,光情報記録媒体,
光情報記録媒体の情報記録方法及び情報再生方法に関
し,より詳細には,複数の光情報記録媒体間,複数の光
情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図り,常に
変化し氾濫する光情報記録媒体の資源共有化を図ること
ができる光情報記録媒体,光情報記録媒体の情報記録方
法及び情報再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在,パーソナルコンピュータのデータ
ストレージメディアとして,いくつものリムーバブルデ
ィスクが登場している。これらの中において,CD−R
OMが,過去のFDDのように,1つの地位を完全に確
立し,ほとんどのパーソナルコンピュータにCD−RO
Mドライブが標準搭載されつつある。そして,このCD
−ROM系メディアに対する互換性ということが,リム
ーバブルメディアとしての差別化要因の1つにさえなっ
ている。
【0003】例えば,CD系の追記型メディアである,
CD−R(CD−Recordable)は,CD−R
OMドライブで再生できるようにするため,未記録状態
で60〜70%以上の反射率を有し,かつ記録により反
射率を低下させることで記録を行えるようにしている。
この互換性により,CD−Rに記録した情報をCD−R
OMドライブで読み出すことができる。
【0004】すなわち,CD−Rは,透明樹脂基板上に
記録層,反射層,保護層が積層されており,記録層に高
パワーのレーザ光を照射することによって,記録層が物
理的又は化学的変化を起こし,ピットの形で情報を記録
する。そして,形成されたピットに低パワーのレーザ光
を照射し,反射率の変化を検出することにより,ピット
として記録された情報を再生することができる。
【0005】ところで,近年,リムーバブルメディアも
HDDのようにギガバイトストレージとしての研究・開
発が盛んに行われており,CD系メディアもDVD(デ
ィジタルビデオディスク)系メディアへと進化し始めよ
うとしている。このDVD系メディアでは,現在のCD
系メディアの記録・再生に用いられる780nmの波長
のレーザ光に対し,630nmの波長のレーザ光が情報
の記録・再生に用いられる。また,DVD系メディアに
あっても,DVD−ROMはCD−ROMと同様,未記
録時に60〜70%以上という高反射率が要求されてい
る。
【0006】したがって,CD系メディアとDVD系メ
ディアとの互換性ということが非常に問題となって来る
ことが容易に想像できる。CD−ROM及びDVD−R
OMに関しては,両者間の互換性に問題はないが,追記
型のCD−Rでは,この問題が大きなハードルとして存
在する。
【0007】現在CD−Rが徐々にその互換性の高さや
取扱いの容易性から普及しつつあるが,CD−Rの記録
・再生波長とDVD系メディアの記録・再生波長が異な
ることにより,CD−Rメディアに記録された情報がD
VD系ドライブで読めないのは,ユーザにとっては非常
に不便である。それは,将来的にCD−RとDVD−R
OMの両者が普及する可能性があるからである。よっ
て,DVD系ドライブで再生可能なCD−Rを市場に登
場させることが好ましいのは明らかである。
【0008】前述したように現行のCD−Rは,780
nmのレーザ波長を利用して情報の記録・再生を行うも
のである。具体的に,現状のCD−RにDVD系メディ
アとの互換性を持たせ,CD−Rに書き込まれた情報を
DVD系ドライブで再生可能とするためには,CD−R
の記録材料の635nmの波長付近にも記録情報を存在
させることが必要である。言い換えれば,CD−Rに情
報を記録する際,780nm付近の色素の物性を変化さ
せると同時に,635nm付近の色素の物性をも変化さ
せることが必要である。
【0009】現状のCD−Rの記録層には,シアニン系
又はフタロシアニン系色素が用いられている。情報は,
これらの色素を分解させること等の色素の物性値変化,
基板の変形等により,反射率の変化(反射率を低下させ
る)として書き込まれている。
【0010】図22は,CD−Rに情報を書き込んだ状
態を説明するための説明図である。図22(a)は,情
報を記録する前のCD−Rの状態を示しており,このC
D−Rは,基板1と,基板1上に形成され,色素を含む
記録層2と,記録層2上に形成された金反射層3とが積
層されて構成されている。
【0011】実際にCD−Rに情報を記録する方法とし
ては,図22に示すように,色素を含む記録層2と基板
1との界面を変形させてBump(バンプ)を形成する
方法(図22(b)),色素を含む記録層2と金反射層
3との界面にPit(ピット)を形成する方法(図22
(c))又は色素を含む記録層2と金反射層3との界面
にBubble(バブル)を形成する方法(図22
(d))がある。なお,参考として,CD−ROMに情
報が記録された様子を図22(e)に示す。
【0012】ところで,現在のCD−Rは,シアニン色
素やフタロシアニン色素の吸収スペクトルの長波長側の
すそを記録・再生波長として用いている。この領域の波
長を用いることで,適度な吸収と反射率が得られる。す
なわち,未記録時には高反射率が得られ,記録時には熱
吸収による色素物性変化,その他基板界面,あるいは金
反射層界面の変化をもたらし,反射率を低下させて情報
を記録することができる。
【0013】そこで,CD−Rの記録・再生波長である
780nmのレーザ光で,780nm及び635nmの
波長で記録された情報を読み取ることができるようにす
るための1つの方法としては,780nmの波長に色素
の吸収スペクトルのすそ(長波長側)が位置するととも
に,635nmの波長にも色素の吸収スペクトルのすそ
(短波長側)が位置する色素を選択し,その色素を記録
層に用いるという方法が考えられる。
【0014】このように,異なる波長域で情報の記録及
び再生を可能とするものとして,例えば,特開平7−3
23665号公報に開示された光記録媒体がある。この
光記録媒体は,基板上に色素を含有する記録層,反射層
及び保護層を順次積層してなる光記録媒体において,記
録層が,630nm未満の吸収極大を有し,630〜6
90nmから選択される波長の光における吸光度が0.
03〜0.5であり,770〜830nmから選択され
る波長の光における吸光度が0.03〜0.3であるも
のである。
【0015】そして,この光記録媒体によれば,630
〜690nmから選択される波長の赤色レーザ光に対し
て,記録・再生ができ,かつ770〜830nmから選
択される波長の近赤外レーザ光に対して,CD規格に準
拠した記録・再生又は再生が可能な良好な記録特性を有
する光記録媒体を得ることができる。
【0016】また,他の例として,特開平8−3101
0号公報に開示された光記録媒体がある。この光記録媒
体は,透明な基板上に,直接又は他の層を介して設けら
れるレーザ光を吸収する光吸収層と,この光吸収層の上
に直接接して設けられる光反射層とから少なくともなる
光記録媒体において,光吸収層が少なくとも有機色素を
含み,光反射層が金属膜で形成されており,レーザ光の
波長λ1を用いて記録及び再生が可能であり,波長λ1
より短波長側のレーザ光の波長λ2を用いて記録及び再
生が可能であり,かつ,波長λ1における光吸収層の屈
折率が1.8〜2.6,消衰係数kが0.04〜0.1
6であり,波長λ2における光吸収層の屈折率が1.6
以上,消衰係数kが0.04〜0.5であるものであ
る。
【0017】そして,この光記録媒体によれば,異なる
波長,例えば770〜830nmから選択される波長の
近赤外レーザ光に対してCD規格に準拠した記録及び再
生が可能で,かつ,630〜690nmから選択される
波長の赤色レーザ光に対して記録及び再生又は再生が可
能な,良好な記録特性を有する光記録媒体を得ることが
できる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記2
つの公報に開示された光記録媒体では,図22に示すよ
うに色素を含む記録層2と金反射層3,あるいは色素を
含む記録層2と基板1との界面にバンプ等の記録部を形
成することによってCD−Rに情報を記録しているた
め,780nmの波長のレーザ光を用いた場合には,バ
ンプ等を記録情報として未記録部との反射率の差により
十分なコントラストで情報を再生することができるが,
630nmの波長のレーザ光を用いた場合には,未記録
部との反射率の差が十分なコントラストで得られず,情
報を正確に再生できないという虞がある。
【0019】なぜなら,CD系又はDVD系メディアに
おいては,入射レーザ光が記録部によって回折又は散乱
され,対物レンズに入射する回折光又は散乱光の光量に
基づいて情報を再生する方法が用いられているからであ
る。具体的には,CD系,DVD系メディアにおいて,
未記録部ではバンプ等が形成されておらず,情報の再生
のためのレーザ光が回折又は散乱されないため,検出器
には未記録部で反射されたレーザ光がほとんどそのまま
戻って来る。一方,バンプ等の記録部が形成されている
場合には,情報の再生のためのレーザ光が記録部により
回折あるいは散乱されるため,検出器に戻る光量が減少
する。このように,CD系及びDVD系メディアにおい
ては,入射したレーザ光の光量が減少して戻ってくるこ
とを利用して情報の再生が行われるのである。
【0020】このように,従来の光情報記録媒体では,
記録により色素を含む記録層自身,色素を含む記録層と
金反射層,あるいは色素を含む記録層と基板との界面に
微細な記録部が形成されて情報の記録が行われるため,
780nmの波長の光は,形成された記録部により十分
回折又は散乱されるため戻り光量が低下するが,635
nmの波長の光では十分回折あるいは散乱されず,戻り
光量が十分低下しない可能性があるのである。
【0021】また,現状のCD−R用色素では,780
nmの波長のレーザ光で情報を記録・再生することがで
きても,635nmの波長のレーザ光で記録された情報
を再生することは困難である。これは,1つには,上記
説明したような記録のメカニズム自身の問題であり,ま
た,もう1つは,635nm近辺での反射率の低さにあ
る。この反射率の低さのために,信号の検出が困難にな
ると共に,エラーレートやジッタが増大することにな
る。したがって,780nm近辺だけでなく,635n
m近辺においてもある程度の反射率が必要となる。
【0022】したがって,本発明は上記に鑑みてなされ
たものであって,複数の光情報記録媒体間又は複数の光
情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化を行い,常に
変化し氾濫する光情報記録媒体の資源共有化を図ること
を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は,色素
を含む記録層,金反射層及び基板の形状の変化を伴わ
ず,記録時に複数の再生波長領域の色素の物性のみを変
化させる光情報記録媒体を開発することにより,上記目
的を達成することができることを見い出した。すなわ
ち,本発明の請求項1に係る光情報記録媒体は,基板上
に,少なくとも色素を含む記録層及び反射層を積層して
構成された光情報記録媒体において,前記色素が,外部
エネルギーの付加によって凝集状態が変化し,複数の異
なる波長域に対する吸収スペクトルが変化するものであ
る。
【0024】また,本発明の請求項2に係る光情報記録
媒体は,請求項1記載の光情報記録媒体において,前記
記録層が,前記色素の凝集状態の変化により,前記色素
の凝集状態の変化前の反射率と比較して,前記複数の異
なる波長域から選択された全ての光に対する反射率を低
下させることによって情報を記録及び再生するものであ
る。
【0025】また,本発明の請求項3に係る光情報記録
媒体は,請求項1又は2記載の光情報記録媒体におい
て,前記複数の異なる波長域が,620〜650nm及
び760〜830nmであるものである。
【0026】また,本発明の請求項4に係る光情報記録
媒体は,請求項3記載の光情報記録媒体において,前記
620〜650nmの波長域から選択された波長のレー
ザ光で情報の記録及び再生が可能であり,かつ前記76
0〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ光
で情報の記録及び再生が可能であるものである。
【0027】また,本発明の請求項5に係る光情報記録
媒体は,請求項4記載の光情報記録媒体において,更
に,前記620〜650nm又は前記760〜830n
mのいずれか一方の波長域から選択された波長のレーザ
光によって記録された情報が,前記620〜650nm
及び前記760〜830nmの波長域から選択された全
ての波長のレーザ光で再生可能であるものである。
【0028】また,本発明の請求項6に係る光情報記録
媒体は,請求項1〜5記載の光情報記録媒体において,
前記色素が,一般式
【化2】 (ただし,X1 〜X4 は,それぞれ独立に水素原子,ハ
ロゲン原子,置換基を有しても良いアルキル基,置換基
を有しても良いアリール基,置換基を有しても良いアル
コキシ基,置換基を有しても良いアリールオキシ基,置
換基を有しても良いアルキルチオ基,置換基を有しても
良いアリールチオ基,ニトロ基,シアノ基,スルホン
基,スルホン酸アミド基,スルホン酸エステル基であ
り,k,l,m,nは,置換基X1 〜X4 の置換数で0
〜4の整数である。)で表されるフタロシアニン化合物
であるものである。
【0029】また,本発明の請求項7に係る光情報記録
媒体の情報記録方法は,請求項1〜6のいずれかに記載
の光情報記録媒体の情報記録方法において,前記記録層
に対して外部エネルギーを付加して,前記色素の凝集状
態を変化させ,前記複数の異なる波長域の吸収スペクト
ルを,前記外部エネルギー付加前の吸収スペクトルから
異なる吸収スペクトルに変化させることによって前記記
録層に情報を記録するものである。
【0030】また,本発明の請求項8に係る光情報記録
媒体の情報記録方法は,請求項7記載の光情報記録媒体
の情報記録方法において,前記複数の異なる波長域から
選択された全ての波長の光に対する反射率を,前記吸収
スペクトル変化前の反射率から低下させることによって
前記記録層に情報を記録するものである。
【0031】また,本発明の請求項9に係る光情報記録
媒体の情報記録方法は,請求項7又は8記載の光情報記
録媒体の情報記録方法において,前記複数の異なる波長
域が,620〜650nm及び760〜830nmであ
るものである。
【0032】また,本発明の請求項10に係る光情報記
録媒体の情報再生方法は,請求項1〜6のいずれかに記
載の光情報記録媒体の情報再生方法において,前記外部
エネルギーを付加することによって吸収スペクトルが変
化する複数の異なる波長域から選択された光を用いて,
前記記録層に記録された情報を再生するものである。
【0033】また,本発明の請求項11に係る光情報記
録媒体の情報再生方法は,請求項10記載の光情報記録
媒体の情報再生方法において,前記記録層に前記複数の
異なる波長域から選択された光を照射してその反射光を
受光し,前記記録層に情報が記録されていない状態の反
射率に対する反射率の低下を検出することによって前記
記録層に記録された情報を再生するものである。
【0034】更に,本発明の請求項12に係る光情報記
録媒体の情報再生方法は,請求項10又は11記載の光
情報記録媒体の情報再生方法において,前記複数の異な
る波長域が,620〜650nm及び760〜830n
mであるものである。
【0035】すなわち,本発明に係る光情報記録媒体
は,複数の異なる波長域から選択されたレーザ光で情報
の記録及び再生を可能にすることを特徴とする。複数の
異なる波長域から選択されたレーザ光とは,例えば異な
る波長域が2つの場合,一方のレーザ光の記録波長λw
1 と他方の記録波長λw 2 ,一方のレーザ光の再生波長
λr 1 と他方の再生波長λr 2 がそれぞれ異なっていて
も良いということである。すなわち,λw 1 ≠λw 2
λr 1 ≠λr 2 でも良い。通常,記録波長と再生波長は
同一波長を用いるため,λw 1 =λr 1 ≠λw 2 =λr
2 となる。
【0036】また,本発明に係る光情報記録媒体は,あ
る1つの波長のレーザ光で記録した情報を2つ以上の異
なる波長のレーザ光で再生可能とすることである。例え
ば,異なる記録波長及び再生波長がそれぞれ2つずつあ
る場合には,λw 1 又はλw 2 で記録した情報を,λr
1 及びλr 2 のいずれを用いても再生することができ
る。
【0037】具体的に,本発明に係る光情報記録媒体
は,760〜830nmの波長域から選択された波長の
レーザ光で情報を記録でき,その記録された情報を,7
60〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ
光で再生でき(記録波長と再生波長は異なっていても良
い),かつ620〜650nmの波長域から選択された
波長のレーザ光で情報を記録でき,その記録された情報
を,620〜650nmの波長域から選択された波長の
レーザ光で再生できるものである(記録波長と再生波長
は異なっていても良い)。加えて,760〜830nm
の波長域から選択された波長のレーザ光で記録された情
報を,この波長域とは異なる波長域,例えば620〜6
50nmの波長域から選択された波長のレーザ光で再生
することができる。更に,620nm〜650nmの波
長域から選択された波長のレーザ光で記録された情報
を,この波長域とは異なる波長域,例えば760〜83
0nmの波長域から選択されたレーザ光で再生すること
ができる。
【0038】本発明に係る光情報記録媒体では,760
〜830nm及び620〜650nmの波長域から選択
された波長のレーザ光で情報を記録することにより,7
60〜830nm及び620〜650nm近傍の吸収ス
ペクトルを変化させることができる。そして,情報は,
760〜830nm及び620〜650nmの波長域か
ら選択された波長のレーザ光を照射した場合の反射率
を,情報が記録されていない状態での反射率に対して低
下させることによって記録される。
【0039】これにより,620〜650nmの波長域
から選択された波長のレーザ光を照射し,受光した反射
光の反射率の低下を検出することによって,760〜8
30nmの波長域から選択された波長のレーザ光によっ
て記録された情報を再生することができる。また,76
0〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ光
を照射し,受光した反射光の反射率の低下を検出するこ
とによって,620〜650nmの波長域から選択され
た波長のレーザ光によって記録された情報を再生するこ
とができる。
【0040】このようにある波長のレーザ光を照射し,
複数の波長域の吸収スペクトルを変化させ,かつ複数の
波長域から選択された波長のレーザ光に対する反射率を
低下させることができることが,本発明の光情報記録媒
体の特徴である。吸収スペクトルの変化は,記録層の色
素の凝集状態の変化によって起こる。本発明の発明者
は,色素の凝集状態を変化させて620〜650nm及
び760〜830nmの波長域の吸収スペクトルを変化
させ,かつ反射率を低下させることができる色素を見い
出した。その色素の構造は,上記化学式に示されるもの
である。
【0041】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
記録方法では,外部エネルギーで上記色素分子の凝集状
態を制御し,吸収スペクトルを変化させる。吸収スペク
トルの変化としては,色素の相変化や結晶化による吸光
度の増減,色素吸光度の増減である濃色効果(hype
rchromic effect)や淡色効果(hyp
ochromic effect),又は吸収スペクト
ルのシフトが生じる凝集状態の変化や深色移動(bat
hochromic shift),浅色移動(hyp
sochromic shift)等がある。
【0042】吸収スペクトルの形状変化は,吸収スペク
トルのどのような変化であっても良いが,色素の分解,
溶解,相変化,結晶化等により,色素膜の物理的形状変
化を伴うものは従来技術の問題点で説明したように好ま
しくない。
【0043】そこで,本発明では,色素の凝集状態のみ
を変化させて吸収スペクトルを変化させるという方法を
用いる。この吸収スペクトルの変化は,いわゆる吸収ス
ペクトルのシフトを伴う。ただし,吸収スペクトルの変
化により,吸収スペクトルシフトのみが生じるわけでは
ない。ここでスペクトルシフトという用語を用いたの
は,図22に示すような記録層等の形状変化を伴わない
記録を行うことができるということを強調したものであ
る。言い換えれば,色素を含む記録層の物理的変化を伴
わない吸収スペクトル変化が生じるということを意味し
ている。以下に使用される吸収スペクトルシフト又は吸
収スペクトルの変化という用語は,全て色素の形状状態
等の物理的変化を伴わない吸収スペクトルの変化という
意味として用いる。ただし,本発明に用いられる記録層
は形状状態等の物理的変化を伴わない吸収スペクトルの
変化により情報を記録/再生できるが,実際の光ディス
クにおいて図22に示したような基板等の物理的変化が
本発明の吸収スペクトルの変化に付加されることを拒む
ものではない。要は本発明の光情報記録媒体の記録層
は,従来のように基板等の物理的変化がなくても全くか
まわないのである。
【0044】本発明の光情報記録媒体では,前記吸収ス
ペクトルシフトを少なくとも2つ以上の異なる波長域で
同時に起こさせることで情報の記録を行う。この吸収ス
ペクトルシフトとは,1つの外部エネルギーの付与,例
えばある波長のレーザ光の照射によって吸収スペクトル
全体がシフトするものであり,局所的な吸収スペクトル
シフトではない。したがって,この記録方法を用いるこ
とにより,2つ以上の互いに異なる記録波長で情報の記
録を可能とし,かつ2つ以上の異なる再生波長である波
長で記録した情報を再生することができる。
【0045】図1は,上記吸収スペクトルのシフトを説
明するための説明図である。図1において,吸収スペク
トルのピーク波長に対して長波長側では,色素の凝集状
態を変化させることによって吸収スペクトルのシフトを
生じさせる。一方,吸収スペクトルのピーク波長に対し
て短波長側では,色素の凝集状態を変化させることによ
って,吸収スペクトルを増加させる。そして,吸収スペ
クトルの変化が生じた長波長及び短波長の両者の波長の
レーザ光を照射した場合に,そのレーザ光の反射率を低
下させることができるようにすることによって情報を記
録することができる。
【0046】なお,図1においては,再生波長が色素の
ピーク波長に対して長波長側と短波長側に存在すると仮
定したが,2つの再生波長が長波長側にあっても,短波
長側にあっても良い。
【0047】したがって,この情報記録方法により,2
つの互いに異なる波長の光で情報を記録することがで
き,かつこの記録により,再生波長のレーザ光に対する
反射率を情報が記録されていない状態に対して低下させ
ることができる。よって,ある波長で記録した情報を,
2つ以上の異なる波長のレーザ光で再生することが可能
となる。この再生方法は,情報の記録により反射率が低
下するというCD系メディアと同一の方法を用いるもの
であるであるため,他のCD系メディアとの互換性を持
たせることができる。
【0048】具体的に,本発明に係る光情報記録媒体で
は,760〜830nm及び620〜650nmの波長
域から選択された波長のレーザ光で情報を記録すること
により,760〜830nm及び620〜650nmの
波長域近傍の吸収スペクトルを変化させる。また,情報
は,情報が記録されていない状態の反射率に対して,7
60〜830nm及び620〜650nmの波長域から
選択された波長のレーザ光に対する反射率が低下するこ
とを利用して記録される。
【0049】これにより,760〜830nmの波長域
から選択された波長のレーザ光で記録された情報を,7
60〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ
光及び620〜650nmの波長域から選択された波長
のレーザ光の両者を用いても,未記録状態の反射率に対
する反射率の低下として情報を再生することができる。
一方,620〜650nmの波長域から選択された波長
のレーザ光で記録された情報も,760〜830nmの
波長域から選択された波長のレーザ光及び620〜65
0nmの波長域から選択された波長のレーザ光の両者を
用いても,未記録状態の反射率に対する反射率の低下と
して情報を再生することができる。
【0050】このように,ある波長のレーザ光で,色素
の凝集状態を変化させて複数の波長域の吸収スペクトル
を変化させ,かつその変化により複数の波長域のレーザ
光に対する反射率を低下させて情報を記録することがで
きることが本発明の光情報記録媒体の情報記録方法の特
徴である。
【0051】更に,本発明の光情報記録媒体の情報再生
方法では,前述した光情報記録媒体において,吸収スペ
クトルの変化が生じ,反射率を低下させる複数の波長域
の光を照射することにより,光情報記録媒体に記録され
た情報を再生することができる。
【0052】例えば,前述した図1に示すように,吸収
スペクトルの変化が生じた長波長側及び短波長側の波長
域から選択された波長のレーザ光を照射することによ
り,図1に示すような2つの異なる波長域に記録された
情報を,反射率の低下を検出することによって再生する
ことができる。なお,図1において,情報の2つの再生
波長が,吸収スペクトルのピーク波長に対して長波長側
及び短波長側の波長域にあるとして情報の再生を説明し
たが,2つの再生波長が吸収スペクトルのピーク波長に
対して,長波長側又は短波長側の一方に存在する場合で
あっても情報を再生することができる。
【0053】前述したように,本発明の光情報記録媒体
においては,760〜830nm及び620〜650n
mの波長域から選択された波長のレーザ光で情報を記録
することができ,760〜830nm及び620〜65
0nmの波長域近傍の吸収スペクトルを変化させる。情
報は,未記録状態の反射率に対して,760〜830n
m及び620〜650nmの波長域近傍の反射率を低下
させることによって記録される。
【0054】これにより,760〜830nmの波長域
から選択された波長のレーザ光で記録された情報を,7
60〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ
光及び620〜650nmの波長域から選択された波長
のレーザ光の両者によって,未記録状態の反射率に対す
る反射率の低下として情報を再生することができる。一
方,620〜650nmの波長域から選択された波長の
レーザ光で記録された情報も,760〜830nmの波
長域から選択された波長のレーザ光及び620〜650
nmの波長域から選択された波長のレーザ光の両者によ
って,未記録状態の反射率に対する反射率の低下として
情報を再生することができる。
【0055】このように,吸収スペクトルの変化を用い
て反射率の低下として記録された情報を,複数の波長域
から選択された波長のレーザ光を照射することによって
反射率の低下を検出し,情報を再生することが本発明の
光情報記録媒体の情報再生方法の特徴である。
【0056】
【発明の実施の形態】以下,本発明に係る光情報記録媒
体,光情報記録媒体の記録方法及び再生方法の実施の形
態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0057】本発明の実施の形態においては,有機材料
で追記性を持った記録材料を説明すると共に,CD系メ
ディア及びDVD系メディアと互換性のある追記型光情
報記録媒体について説明する。すなわち,現状において
市場に出回っているCD−Rや今後登場してくるDVD
−R系のような1回だけ書込可能な高感度の追記型光情
報記録媒体について説明する。
【0058】(記録層に用いる色素)現在CD系メディ
アやPD,MD,MO等の光ディスクは,記録容量が最
高で650MB程度である。また,追記型のものについ
ては有機材料が,書換型のものについては無機材料が用
いられれている。
【0059】相変化材料等の無機材料の実績から,前記
容量においては書換型のものの材料として有機材料が用
いられるということは考えられない。しかしながら,今
後DVD系メディアが普及していくにつれ,追記型はも
ちろんであるが,書換型においても有機材料が適用され
る可能性がある。
【0060】なぜなら,無機材料は感度が悪く,有機材
料に対して1〜2桁熱伝導率及び熱拡散係数が大きいか
らである。また,ROMとの互換性を考えると,追記型
及び書換型の両者に対し,ROMのような高反射率が要
求される場合があり,無機材料では,このような高反射
率を達成することが困難であるからである。
【0061】現状でも,DVD−ROMが容量4.7G
B以上であるのに対し,相変化材料を用いたDVD−R
AMは,マークエッジ記録やランド・グルーブ記録を用
いたとしても容量が2.9GB程度である。そこで,本
発明の発明者は,高感度化及び高転送レート化が可能な
材料として,有機材料を用いることを検討した。
【0062】現在,フタロシアニン,ナフタロシアニン
化合物は,光情報記録媒体の材料として最も適した材料
の1つである。ところが,CD−R,即ちユーザが1回
だけ情報を書き込めるタイプのメディアにおいて,フタ
ロシアニン,ナフタロシアニン化合物は,単に情報記録
時のレーザ光吸収用として使用されるのみである。そし
て,情報は,レーザ光吸収によるフタロシアニン,ナフ
タロシアニン化合物の分解,あるいはフタロシアニン,
ナフタロシアニン化合物のレーザ光吸収による基板の変
形を用いて記録される。このレーザ光吸収によって基板
を変形させ,情報の記録を行った様子は,前述した図2
2に示した通りである。この図22に示す記録メカニズ
ムでは,高速再生時のジッタが大きくなり,高転送レー
ト化を図ることができないという問題がある。
【0063】特に,DVD系メディアにおいては,再生
時の高速化と共に記録時の高速化も要求される。そのた
めには,記録膜の感度が非常に重要である。しかしなが
ら,現状のCD−Rのような熱分解,熱変形によって情
報の記録を行う場合には,高出力のレーザが必要とな
り,記録レスポンスの点から好ましくない。
【0064】また,DVD系メディアにおいては,DV
D−ROMが4.7GB以上の容量を有することから,
追記型及び書換型のDVDについても同等の容量を有す
ることが好ましい。しかしながら,現在RAMとして脚
光を浴びているものは,相変化型の材料を用いたもので
あり,マークエッジ記録やランド・グルーブ方式の高密
度化手法を用いても容量が2.9GB程度にとどまって
いる。
【0065】この理由は,無機材料が基本的に感度が悪
いこと,有機材料に比べて1〜2桁熱伝導率及び熱拡散
係数が大きいことによる。したがって,高速で高感度に
記録でき,低ジッタで情報が再生できる記録材料が非常
に望まれているのである。
【0066】本発明においては,従来のように単なる吸
収材としてフタロシアニン,ナフタロシアニン化合物を
使用するのではなく,フタロシアニン,ナフタロシアニ
ン化合物自体の物性変化を直接的に利用することによ
り,基板変形,色素の物理的変化等による表面形状の変
化を伴わない光情報記録媒体用材料を特定し,光情報記
録媒体,光情報記録媒体の情報記録方法及び情報再生方
法を提供する。
【0067】フタロシアニン,ナフタロシアニン化合物
等の色素化合物による吸収スペクトル変化は,例えば結
晶状態,凝集状態,会合状態,構造・電子的状態等の変
化により生ずる。
【0068】凝集状態の変化を利用する吸収スペクトル
の変化は,色素分子と色素分子間の相互作用が変化する
ものである。例えば,色素分子が他の色素分子と相互作
用しない単独に存在する状態,即ち分散された状態に対
し,色素分子が凝集すると,吸収スペクトルが短波長又
は長波長へシフトする。例えば,図2に示すように,太
線の吸収スペクトルから細線の吸収スペクトルにシフト
する。
【0069】また,前述した図1に示すように,ある色
素の凝集状態に対し,色素−色素間の相互作用が変化
し,図2に示す凝集状態とは異なる色素凝集状態を示す
ことで,吸収スペクトルが短波長又は長波長へシフトを
起こす。
【0070】2つ以上の色素分子が分子オーダーの距離
又はそれ以下に近づいた場合,色素のいわゆるJ−会
合,H−会合等の会合現象が見られる。これは凝集状態
の変化に当たるものである。一般的に,結晶状態の変
化,相変化等は,膜の表面状態が激しく,光メモリには
適していないため,色素の凝集状態を外部エネルギーに
より変化させることのできる色素を探索する必要があ
る。
【0071】本発明は,(a)記録により色素分子の吸
収スペクトルを変化させることができなくなるような,
色素分子の基本骨格同士の分子間力や静電力,双極子相
互作用等の力による会合,凝集を防ぎ,(b)記録によ
り色素分子の吸収スペクトルをコントロールできるよう
な程度に初期的に会合,凝集しており,(c)また,逆
に記録によっても色素分子が互いに相互作用を生じない
ことを防ぎ,色素分子の吸収スペクトルを記録によりコ
ントロールできるような程度に初期から会合,凝集させ
られる色素分子として,色素分子に置換基を設けた色
素,好ましくは中心金属に置換基を有する色素,更に好
ましくは中心金属にアルキル置換基を有する色素を用
い,この置換基の凝集力や置換基の空間的広がりにより
会合,凝集させ,この効果により色素基本骨格のπ共役
系の相互作用を生じ,色素のある状態に対して色素分子
の吸収スペクトルを変化させることに特徴がある。
【0072】このように本発明に用いる色素は,色素分
子に置換基,好ましくは中心金属に置換基,更に好まし
くは中心金属にアルキル置換基を有するものである。
【0073】色素分子に置換基ない場合(中心金属以外
の部分に置換された置換基も含めて)や,置換基が小さ
い場合等は,色素分子間の距離が狭く,色素分子同士の
相互作用力が大きい。このため,外部エネルギーによる
記録処理を施しても相互作用力を変化させることができ
ず,吸収スペクトルを変化させることができない。した
がって,吸収スペクトル可動性がないため,記録層の形
状変化を伴わない追記もできない。
【0074】他方,置換基が3次元的に非常に大きい場
合等は,色素基本骨格同士の相互作用が弱められ,置換
基の分子間力相互作用により,色素分子が会合,凝集状
態を形成するが,色素分子の基本骨格の距離が大きくな
り,色素分子基本骨格のπ共役系間の相互作用がほとん
どなくなる可能性もある。そのためには,記録による色
素分子間相互作用の変化が少なくなり,吸収スペクトル
シフトが期待できない(ある1つの安定色素凝集状態と
もう1つの安定色素凝集状態の吸収スペクトル差が小さ
くなる。)。したがって,記録により色素分子間の相互
作用力を変えることを可能にするためには(吸収スペク
トルの可動性),十分な吸収スペクトルシフトを起こす
ような距離圏内に色素分子同士を引き込み,しかも吸収
スペクトル可動性を持たせるために,色素分子同士を近
づけすぎないようにすることが重要である。
【0075】また,本発明では,吸収スペクトル可動
性,可逆性の発現,安定性の向上,成膜性や膜均一性の
改善のため,色素に高分子化合物を添加しても良い。
【0076】本発明において好ましい色素構造は,色素
分子同士を近づけすぎないようにするため,色素分子の
中心金属に置換基を設け,かつ色素分子同士を十分な吸
収スペクトルシフトを起こすような距離圏内引き込むよ
うにする作用を置換基の凝集力(分子間力)及び置換基
の空間的広がりに持たせるものである。
【0077】フタロシアニン,ナフタロシアニン化合物
を置換基のつく場所で大きく分類すると, 1)α位に置換基を有するタイプ 2)β位に置換基を有するタイプ 3)中心金属に置換基を有するタイプ にわけることができる。
【0078】これらのうち,α位に置換基を有するタイ
プ及びβ位に置換基を有するタイプのフタロシアニン,
ナフタロシアニン化合物は,異性体の存在や置換基の回
転・振動によるエネルギー準位の存在によって吸収スペ
クトルが広がり易い。したがって,会合等の凝集状態変
化による吸収スペクトル変化が生じても,その変化が非
常に大きくなければ記録コントラストは低い(図3)。
【0079】他方,中心金属に置換基を有するタイプ,
いわゆる軸配位子のフタロシアニン,ナフタロシアニン
化合物は,一般的に軸配位子の影響がフタロシアニン,
ナフタロシアニン化合物の基本骨格に与える影響が少な
いため,軸配位子の回転・振動によるエネルギー状態間
にほとんど差がない。また,α位やβ位に置換基を導入
しなければ,異性体も存在しないため,吸収スペクトル
の広がりがなく,溶液状態のような鋭いピークを持つ吸
収スペクトルを示す。
【0080】したがって,このような軸配位子型の色素
は,会合,凝集状態の変化による色素分子と色素分子間
の相互作用変化によってわずかに吸収スペクトルが変化
しても,もとの(ある安定状態)吸収スペクトルが非常
にシャープであるため記録コントラストが高くなる(図
1及び図2参照)。
【0081】更に,CD系,DVD系メディアと互換性
を持たせる構造とした場合,即ち記録層の上に金属反射
層を設けたとき,α位に置換基を有するタイプ及びβ位
に置換基を有するタイプのフタロシアニン,ナフタロシ
アニン化合物は吸収スペクトルがブロードで,もともと
追記変化の2つの安定状態を含んだ吸収スペクトル形状
を示すこと,本来メイン構造の色素には存在しないはず
の波長領域にも,異性体の存在や置換基の回転・振動に
よるエネルギー準位の存在により吸収が存在すること等
により,初期から記録・再生波長に比較的大きな吸収が
ある場合が多くなり,初期(未記録,消去時)の反射率
が低下するおそれがある。
【0082】つまり未記録・消去時の反射率を高くする
ような記録・再生波長を選択し(その波長ではほとんど
吸収がない),その波長に大きな吸収を持たせるように
する程,吸収スペクトルを動かすことができない可能性
がある。
【0083】他方,中心金属に置換基を有するタイプ,
即ちいわゆる軸配位子型のフタロシアニン,ナフタロシ
アニン化合物は,逆に未記録・消去時の反射率を高くす
るような記録・再生波長を選択しても,その波長に大き
な吸収を持たせるようになるくらいに吸収スペクトルを
動かすことが可能である(少しの吸収スペクトル変化で
良い)。
【0084】この軸配位子は,無置換状態のように,色
素分子間の相互作用が非常に大きい状態から色素分子間
の距離を広げる働きを担い,吸収スペクトル可動性を持
たせることが可能になると同時に,色素間の相互作用を
失わせない作用を担う。つまり,軸配位子を適当に選択
することによって,軸配位子の凝集力及び軸配位子の空
間的広がりで色素分子間の距離,凝集する角度等の凝集
状態をコントロールできるため,記録コントラストが高
く,良好な追記性を有する記録材料の提供が可能とな
る。
【0085】このような理由により,中心金属に置換基
を有するタイプ,即ちいわゆる軸配位子型のフタロシア
ニン,ナフタロシアニン等の化合物を有機光情報記録媒
体用材料として選択したことが本発明の重要な点であ
る。
【0086】さて,大きな吸収スペクトル変化を起こす
ためには,まず色素分子同士,つまり色素基本骨格のπ
共役系同士を置換基同士の分子間力等の相互作用で吸収
スペクトルの変化が十分大きくなるような距離に引き込
むことが必要である。
【0087】この場合,色素分子同士が接近しすぎても
吸収スペクトル可動性を失う可能性があるため好ましく
ない。しかし,中心金属に置換基を有するタイプ,即ち
いわゆる軸配位子型のフタロシアニン,ナフタロシアニ
ン等の化合物は,その軸配位子によって色素分子同士が
接近できる距離,角度等の凝集状態をコントロールする
ことができるので都合が良い。
【0088】このように本発明の発明者は,特定軸配位
子の長さ及び軸配位子の空間的広がりをコントロールす
ることにより,追記性を制御できることを見い出した。
【0089】ところで,色素−色素間の相互作用による
吸収スペクトルは,単分子状態のハミルトニアンに双極
子−双極子相互作用の項を取り込むことで近似できる。
すなわち,双極子−双極子相互作用は次式で表される。
【数1】 なお,図4は,フタロシニアン,ナフタロシニアン等の
化合物の主骨格の位置と吸収スペクトルの変化量を説明
するための説明図である。
【0090】いま,双極子−双極子相互作用の項のみを
考え,この相互作用によるエネルギー変化を調べると,
図5のようになる。この図5から明らかなように,フタ
ロシアニン,ナフタロシアニン等の化合物における主骨
格がθ方向又はφ方向に,あるいはθ方向及びφ方向の
混合で,どのような位置をとるかによって吸収スペクト
ルの変化量も変わることがわかる。
【0091】双極子−双極子相互作用の式からわかるよ
うに,この相互作用によるエネルギー変化を大きくする
ためには,図4において,双極子モーメントの大きさμ
A ,μB を大きくすること,距離rを小さくすること,
あるいはφ,θを最適化することが必要である。
【0092】双極子モーメントの大きさμA ,μB を大
きくすることは,フタロシアニン,ナフタロシアニン等
の化合物における主骨格環を変えることに対応するた
め,容易に分子設計できない。
【0093】また,前述したように,距離rを極端に小
さくすることは吸収スペクトル可動性を失うため,好ま
しくない。
【0094】本発明では,双極子−双極子相互作用力の
変化,即ち色素基本骨格π共役系間の相互作用力変化に
よって吸収スペクトルシフトを大きくすることを,吸収
スペクトル可動性を失わない範囲で色素基本骨格間距離
r,θ方向,φ方向の配置をコントロールすることによ
り行う。すなわち,本発明の発明者は,中心金属の置換
基,即ち軸配位子を選択することで上記コントロールを
行うことができることを見い出した。
【0095】更に,本発明の発明者は,軸配位子を選択
することにより,情報の記録によってある程度規則性を
もって色素を凝集させることができることを見い出し
た。本発明での情報の記録は,色素のある安定凝集状態
に対し,別の安定な凝集状態へと変化させることによっ
て行われる。
【0096】軸配位子を変えることで軸配位子の傾き,
立体障害性,かさ高さ,たわみ易さ等をコントロールで
き,従って色素分子同士の相互作用配置,凝集状態の規
則性を変えることができる。
【0097】このような配位子としてはアルキル基が好
ましい。これは,アルキル基が適当な凝集力を有し,ア
ルキル基を大きくしても色素基本骨格π共役系間の相互
作用を持たせることができるためである。
【0098】例えば,以下の(1)式及び(2)式で示
される化合物R1,R2,R3におけるアルキル基は,
前述の双極子−双極子相互作用によるエネルギー変化を
見てもわかるように,ある1つの色素凝集状態からの吸
収スペクトル変化量を大きくするために,他方の色素凝
集状態を規則性を持って凝集させることが好ましい。こ
のような状態にするためには,例えば軸配位子が比較的
立った状態になるアルキル基が選択され,色素分子同士
がいわゆるH会合した状態をとるような又は軸配位子が
極端に寝た状態になるアルキル基が選択され,色素分子
同士がいわゆるJ会合した状態をとるような状態が好ま
しく,このような状態をとるための最適組合せが存在す
る。
【0099】
【化3】
【0100】
【化4】
【0101】ただし,X1 〜X4 は,それぞれ独立に水
素原子,ハロゲン原子,置換基を有しても良いアルキル
基,置換基を有しても良いアリール基,置換基を有して
も良いアルコキシ基,置換基を有しても良いアリールオ
キシ基,置換基を有しても良いアルキルチオ基,置換基
を有しても良いアリールチオ基,ニトロ基,シアノ基,
スルホン酸基,スルホン酸アミド基,スルホン酸エステ
ル基を示す。k,l,m,nは,置換基X1 〜X4 の置
換数で0〜4の整数を示す。
【0102】2つの色素凝集状態として,色素の分散状
態に近い状態と色素の凝集状態を安定的に形成しやすい
色素構造としては,例えば(1)式及び(2)式で示さ
れる化合物において,R1,R2,R3がアルキル基で
あり,R1,R2,R3はアルキル基の種類が異なって
も良く,好ましい1例としては,R3はR1とR2のう
ち炭素数の大きいアルキル基よりも炭素数で3つ以上の
差を有するアルキル基,又は(1)式及び(2)式で示
される化合物において,R1,R2,R3はアルキル基
であって,R1,R2,R3はアルキル基の種類が異な
っても良く,R1,R2は炭素数3以下のアルキル基で
あり,R3はR1とR2のうち炭素数の大きいアルキル
基よりも炭素数3つ以上の差を有するアルキル基が吸収
スペクトル変化を大きくできる最適組み合わせである。
【0103】軸配位子に適したアルキル基としては,メ
チル基,エチル基,n−プロピル基,n−ブチル基,イ
ソブチル基,n−ペンチル基,ネオペンチル基,イソア
ミル基,2−メチルブチル基,n−ヘキシル基,2−メ
チルペンチル基,3−メチルペンチル基,4−メチルペ
ンチル基,2−エチルブチル基,n−ヘプチル基,2ー
メチルヘキシル基,3−メチルヘキシル基,4−メチル
ヘキシル基,5−メチルヘキシル基,2−エチルペンチ
ル基,3−エチルペンチル基,n−オクチル基,2−メ
チルヘプチル基,3−メチルヘプチル基,4−メチルヘ
プチル基,5−メチルヘプチル基,2−エチルヘキシル
基,3−エチルヘキシル基,n−ノニル基,n−デシル
基,n−ドデシル基等の一級アルキル基,イソプロピル
基,sec−ブチル基,1−エチルプロピル基,1−メ
チルブチル基,1,2−ジメチルプロピル基,1−メチ
ルヘプチル基,1−エチルブチル基,1,3−ジメチル
ブチル基,1,2−ジメチルブチル基,1−エチル−2
−メチルプロピル基,1−メチルヘキシル基,1−エチ
ルヘプチル基,1−プロピルブチル基,1−イソプロピ
ル−2−メチルプロピル基,1−エチル−2−メチルブ
チル基,1−プロピル−2−メチルプロピル基,1−メ
チルヘプチル基,1−エチルヘキシル基,1−プロピル
ペンチル基,1−イソプロピルペンチル基,1−イソプ
ロピル−2−メチルブチル基,1−イソプロピル−3−
メチルブチル基,1−メチルオクチル基,1−エチルプ
ロピル基,1−プロピルヘキシル基,1−イソブチル−
3−メチルブチル基等の二級アルキル基,tert−ブ
チル基,tert−ヘキシル基,tert−アミル基,
tert−オクチル基等の三級アルキル基,シクロヘキ
シル基,4−メチルシクロヘキシル基,4−エチルシク
ロヘキシル基,4−tert−ブチルシクロヘキシル
基,4−(2−エチルヘキシル)シクロヘキシル基,ボ
ルニル基,イソボニル基,アダマンタン基等のシクロア
ルキル基等が挙げられる。
【0104】また,(1)式及び(2)式中のX1 〜X
4 は,それぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子,置換基
を有しても良いアルキル基,置換基を有しても良いアリ
ール基,置換基を有しても良いアルコキシ基,置換基を
有しても良いアリールオキシ基,置換基を有しても良い
アルキルチオ基,置換基を有しても良いアリールチオ
基,ニトロ基,シアノ基,スルホン酸基,スルホン酸ア
ミド基,スルホン酸エステル基を示す。k,l,m,n
は,置換基X1 〜X4 の置換数で0〜4の整数を示す。
(1)式及び(2)式中のX1 〜X4 は,好ましくは置
換基があまり立体的に大きくなく,置換基の数としても
少ないものが良い。これは置換基として立体的に大きい
もの,また,置換基を数多く導入することは,軸配位子
型色素吸収スペクトルの特徴を失わせるものであるから
である。
【0105】具体的に説明すると,(1)式及び(2)
式で示される化合物において,R1,R2,R3が同一
で大きなアルキル基である場合には,空間的に密で色素
基本骨格π共役系同士があまり近づけなく(図4に示す
rが大きくなる),色素基本骨格π共役系の相互作用が
低下するため,吸収スペクトルシフト量が小さい。
【0106】また,アルキル基3つが全て大きなアルキ
ル基であるとすると,そのアルキル基部分が結晶化し易
くなり,光情報記録媒体として使用することができな
い。
【0107】そこで,(1)式及び(2)式に示される
化合物において,R1,R2,R3のうちの1つのアル
キル基を長くし,他の2つを短くすることで,上記問題
を改善することができる。これによって,大きな吸収ス
ペクトル変化を生じる記録材料を得ることができる。
【0108】しかしながら,これらの色素吸収スペクト
ル変化は,初期的にある程度ランダムな状態から記録に
よって色素分子間の相互作用が強まるように凝集する変
化であり,記録した状態が色素が規則性をもって凝集し
た状態ではない。したがって,その吸収スペクトル変化
が図6に示すような相似的移動で,吸収スペクトルのピ
ーク波長に対して短波長側と長波長側では,記録による
反射率の極性が異なる(逆になる)。そのため,ある1
つの記録波長で記録された情報が,2以上の異なる波長
で,記録情報が反射率の低下として再生することができ
ない可能性がある。また,現実的には(1)式に示され
たフタロシアニン化合物の場合,780nm付近と63
0nm付近の波長域はそれぞれ,図7において吸収スペ
クトルのピーク波長に対して長波長側のすそと短波長側
のすそ付近に対応する(もちろんそれぞれ吸収スペクト
ルは異なる)。そのため,760nm〜830nmの波
長でも,620〜650nmの波長でも,両方で記録さ
れた情報を反射率の低下として再生することは不可能で
ある。これを解決するためには,単に情報の記録によっ
て未記録状態に対してある程度凝集性を増加させたり,
逆に分散化させるだけでは不可能で,色素分子の凝集性
に秩序性を持たせる必要がある。
【0109】本発明の発明者は,以下の(3)式に示さ
れるフタロシアニン化合物が,類似する他の色素とは異
なる特性を示すことを見い出した。
【0110】
【化5】
【0111】すなわち,(3)式に示されるフタロシア
ニン化合物によれば,未記録状態からある程度色素が規
則性をもって凝集し,かつ記録によって更に色素の規則
性が高まり,大きな凝集状態変化をもたらす。
【0112】成膜性や膜均一性,記録,再生特性を改善
するため,更に上記色素に高分子を添加しても良い。
【0113】具体的に好ましい例としては,以下の
(4)式で示されるポリメタクリル酸エステル,(5)
式で示されるポリスチレン置換体を挙げることができ
る。ポリメタクリル酸エステルにおいて,Rが,分岐を
有しても良い炭素数3以上のアルキル基が好ましい。ポ
リスチレン置換体においては,置換基がZ1〜Z6のう
ち少なくとも1カ所以上に炭素数3以上の分岐を有して
も良いアルキル基が置換されていることが好ましい。た
だし,そのうちの置換基の1つの位置がZ6の場合は,
炭素数1以上の分岐を有しても良いアルキル基が置換さ
れていることが好ましく,置換基は複数導入されていて
も良い。
【0114】
【化6】
【0115】
【化7】
【0116】これらの高分子の規定は,側鎖へのアルキ
ル基導入,また,側鎖に立体障害をもたらすかさ高い置
換基を導入することにより,高分子間の相互作用を低下
させるため,さらには側鎖のアルキル基と色素分子の置
換基,具体的には中心金属に置換されたアルキル基部分
との分子間力,即ち相互作用を高めるために必要であ
る。
【0117】また,他の好ましい高分子化合物として,
(6)式に示される高分子化合物を挙げることができ
る。
【0118】
【化8】
【0119】(6)式中,R11,R12は,水素又は
置換基を有しても良いアルキル基を示す。これらは同一
であっても良いが,両方同時に水素を有することはな
く,少なくとも一方は置換基を有しても良いアルキル基
である。(6)式において,XはS,O,Se又はNR
13であり,R13は水素,アルキル基又はアリール基を示
す。これらのうち,好ましくはXが硫黄原子であるポリ
チオフェン誘導体で,更に好ましくは,R11,R12
のうち,1つが水素原子で,他方がアルキル基であるポ
リ(3−アルキルチオフェン)である。また,ポリ(3
−アルキルチオフェン)のうちでも,有機溶媒への溶解
性,高分子間の相互作用力,色素分子との相互作用力等
の関係からn=6以上のアルキル基が好ましい。
【0120】(記録層)記録層の形成に当たっては,光
エネルギーの効率,波長整合性,色素の分子集合状態,
分散状態,結晶状態の変化促進のため,他の色素を添加
しても良い。そのような色素としては,例えばポリメチ
ン色素,ナフタロシアニン系,フタロシアニン系,スク
アリリウム系,コロコニウム系,ピリリウム系,ナフト
キノン系,アントラキノン(インダンスレン)系,キサ
ンテン系,トリフェニルメタン系,アズレン系,テトラ
ヒドロコリン系,フェナンスレン系,トリフェチアジン
系染料及び金属錯体化合物等が挙げられる。上記の染料
を単独で用いても良いし,また2種以上の組合せにして
も良い。また,上記染料中に金属,金属化合物,例えば
In,Te,Bi,Al,Be,TeO2 ,SnO,A
s,Cd等を分散混合,あるいは積層の形態で用いるこ
ともできる。更に,上記染料中に高分子材料,例えばア
イオノマー樹脂,ポリアミド系樹脂,ビニル系樹脂,天
然高分子,シリコーン,液状ゴム等の種々の材料,もし
くはシランカップリング剤等を分散混合して用いても良
いし,あるいは特性改良の目的で,安定剤(例えば遷移
金属錯体),分散剤,難燃剤,滑剤,帯電防止剤,界面
活性剤,可塑剤等と一緒に用いることができる。
【0121】記録層の形成は,蒸着,スパッタリング,
CVD又は溶剤塗布等の通常の方法によって行うことが
できる。塗布法を用いる場合には,上記染料等を有機溶
媒に溶解させて,スプレー,ローラコーティング,ディ
ッピング及びスピンコーティング等の慣用のコーティン
グ法によって行われる。
【0122】上記有機溶媒としては,一般にメタノー
ル,エタノール,イソプロパノール等のアルコール類,
アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサン等のケ
トン類,N,N−ジメチルアセトアミド,N−Nジメチ
ルホルムアミド等のアミド類,ジメチルスホキシド等の
スルホキシド類,テトラヒドロフラン,ジオキサン,ジ
エチルエーテル,エチレングリコールモノメチルエーテ
ル等のエーテル類,酢酸メチル,酢酸エチル等のエステ
ル類,クロロホルム,塩化メチレン,ジクロロエタン,
四塩化炭素,トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭
素類,あるいはベンゼン,キシレン,モノクロロベンゼ
ン,ジクロロベンゼン等の芳香族類,メトキシエタノー
ル,エトキシエタノール等のセルソルブ類,ヘキサン,
ペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン等の
炭化水素類等を用いることができる。
【0123】なお,記録層の膜厚は,100オングスト
ローム〜10μm,好ましくは200〜2000オング
ストロームが適当である。
【0124】(基板)基板は,基板側より記録・再生を
行う場合にのみ,使用されるレーザ光に対して透明でな
ければならず,記録層側から記録・再生を行う場合に
は,透明である必要はない。
【0125】基板材料としては,例えば,ポリエステ
ル,アクリル樹脂,ポリアミド,ポリカーボネート樹
脂,ポリオレフィン樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹
脂,ポリイミド等のプラスチック,あるいはガラス,セ
ラミック,金属等を用いることができる。
【0126】なお,基板の表面にトラッキング用の案内
溝や案内ピット,更にアドレス信号等のプレフォーマッ
トが形成されていても良い。
【0127】(下引き層)下引き層は,(a)接着性の
向上,(b)水又はガス等のバリアー,(c)記録層の
保存安定性の向上,(d)反射率の向上,(e)溶剤か
らの基板の保護,(f)案内溝・案内ピット・プレフォ
ーマット等の形成等を目的として使用される。
【0128】(a)の目的に対しては,高分子材料,例
えばアイオノマー樹脂,ポリアミド樹脂,ビニル系樹
脂,天然樹脂,天然高分子,シリコーン,液状ゴム等の
種々の高分子物質,及びシランカップリング剤等を用い
ることができる。
【0129】(b)及び(c)の目的に対しては,上記
高分子材料以外に,無機化合物,例えばSiO2 ,Mg
2 ,SiO,TiO2 ,ZnO,TiN,SiN等の
金属又は半金属,例えばZn,Cu,Ni,Cr,G
e,Se,Au,Ag,Al等を用いることができる。
【0130】(d)の目的に対しては,例えばAl,A
g等や,金属光沢を有する有機薄膜,例えばメチン染
料,キサンテン系染料等を用いることができる。
【0131】(e)及び(f)の目的に対しては,紫外
線硬化樹脂,熱硬化樹脂,熱可塑性樹脂等を用いること
ができる。
【0132】なお,下引き層の膜厚は,0.01〜30
μm,好ましくは0.05〜10μmが適当である。
【0133】(保護層・基板表面ハードコート層)保護
層又は基板表面ハードコート層は,(a)記録層(反射
吸収層)の傷,ホコリ,汚れ等からの保護,(b)記録
層(反射吸収層)の保存安定性の向上,(c)反射率の
向上等を目的として使用される。
【0134】上記の目的に対しては,前記下引き層の説
明の際に示した材料を用いることができる。また,無機
材料として,SiO,SiO2 等も用いることができ,
有機材料として,ポリメチルアクリレート,ポリカーボ
ネート,エポキシ樹脂,ポリスチレン,ポリエステル樹
脂,ビニル樹脂,セルロース,脂肪族炭化水素樹脂,芳
香族炭化水素樹脂,天然ゴム,スチレン−ブタジエン樹
脂,クロロプレンゴム,ワックス,アルキッド樹脂,乾
性油,ロジン等の熱軟化性,熱溶融樹脂も用いることが
できる。
【0135】上記材料のうち,保護層又は基板表面ハー
ドコート層に最も好ましい物質は,生産性に優れた紫外
線硬化樹脂である。保護層又は基板表面ハードコート層
の膜厚は,0.01〜30μm,好ましくは0.05〜
10μmが適当である。
【0136】本発明においては,下引き層,保護層及び
基板表面ハードコート層には,記録層の場合と同様に,
安定剤,分散剤,難燃剤,滑剤,帯電防止剤,界面活性
剤,可塑剤等を含有させることができる。
【0137】(金属反射層)反射層には,単体で高反射
率が得られ,腐食されにくい金属,半金属等を用いるこ
とができる。材料の例としては,Au,Ag,Cu,C
r,Ni,Al等を挙げることができ,好ましくはA
u,Alが良い。これらの金属,半金属は,単独で使用
しても良く,2種以上の合金としても良い。
【0138】反射層の膜形成方法としては,蒸着,スパ
ッタリング等が挙げられ,膜厚としては,50〜300
0オングストローム,好ましくは100〜1000オン
グストロームである。
【0139】次に,本発明の光情報記録媒体の実施例を
説明する。 [実施例1]
【0140】以下の(7)式で示されるフタロシアニン
化合物において,nが7及び11である2つの化合物を
合成した。このフタロシアニン化合物をクロロホルムに
溶解させ,スピンコーティング法によりガラス基板上に
薄膜を形成した。
【0141】
【化9】
【0142】この2つの化合物の分光特性を測定した結
果が図8及び図9であり,図8はnが7の場合,図9は
nが11の場合を示している。図8及び図9から明らか
なように,この色素が初期的(未記録状態)に,複数の
安定した凝集状態を形成することがわかる。
【0143】また,2つの化合物のクロロホルム溶液の
吸収スペクトルは,それぞれ図10及び図11に示す通
りであって,両者とも溶液状態では,ほとんど色素間相
互作用がなく,分子が単一分散状態となっていると考え
られる。このことから,(7)式の色素が,固体となる
ときに特異な凝集状態を生じていることがわかる。
【0144】更に,n=7及び11の色素について,初
期,100℃,150℃,180℃,200℃に加熱し
たときの吸収スペクトルを測定した。その結果を図12
及び図13に示す。なお,図12はn=7,図13はn
=11の場合の結果を示している。図12及び図13に
示すように,加熱により吸収スペクトルの変化が生じて
おり,加熱により色素の凝集状態を変化させることがで
きることがわかる。
【0145】この色素の初期,100℃,150℃,1
80℃,200℃の加熱による膜状態を高分解能の顕微
鏡で観察した結果,表面形状には全く変化はなく,均一
であった。すなわち,記録層の表面形状の変化による乱
反射で吸収スペクトルの変化が生じたのではなく,純粋
な凝集状態の変化により生じたものであることがわかっ
た。
【0146】[比較例]前述した実施例1に対する比較
例として,(8)式〜(15)式に示すフタロシアニン
化合物を合成し,クロロホルムに溶解させ,スピンコー
ティング法によりガラス基板上に薄膜を形成した。
【0147】
【化10】
【0148】
【化11】
【0149】
【化12】
【0150】
【化13】
【0151】
【化14】
【0152】
【化15】
【0153】
【化16】
【0154】
【化17】
【0155】同様に,これら比較例の化合物の分光特性
を測定した結果を図14〜図20に示す。図14〜図2
0から,初期的に色素分子がランダムに凝集していると
推測される。なぜなら,初期の吸収スペクトルのピーク
が1つで,吸収スペクトル幅が狭いからである。
【0156】なお,図14は(8)式のSiPc[−O
Si(CH3 2 4 9 2 ,図15は,(9)式の
SiPc[−OSi(CH3 2 5 112 ,図16
は,(10)式のSiPc[−OSi(CH3 2 6
13]2,図17は,(11)式のSiPc[−OSi
(CH3 2 8 172 ,図18は,(12)式のS
iPc[−OSi(CH3 2 10212 ,図19
は,(13)式のSiPc[−OSi(CH3 2 12
252 ,図20は,(14)式のSiPc[−OSi
(C2 5 2 8 172 の薄膜吸収スペクトルをそ
れぞれ示している。
【0157】(15)式のSiPc[−OSi(i−C
3 7 2 8 172 の薄膜吸収スペクトルについて
は図示していないが,初期(成膜時)から相分離してお
り,吸収スペクトル変化は図20に示す(14)式のS
iPc[−OSi(C2 52 8 172 の吸収ス
ペクトル変化と同様であった。
【0158】これら比較例の色素は初期的あるいは加熱
によって色素が相分離又は結晶化を起こし,膜質は不良
であった。これについても置換基の凝集力及び空間的広
がりによる特有の効果により生じているものと考えられ
る。
【0159】また,比較例の化合物は,100℃,15
0℃,180℃,200℃の加熱では吸光度の急激な低
下が起きてしまい,吸収スペクトルがシフトしなかっ
た。
【0160】以上より,(7)式に示す実施例の化合物
が,その色素構造により規則的な1つ以上の色素凝集状
態を形成させる特有の効果があり,かつ加熱によりその
凝集状態を大きく変化させ,別の凝集状態へと変化させ
ることができることがわかった。更に,この加熱による
凝集状態の変化に伴い,複数の波長域で吸収スペクトル
変化が生じており,複数の異なる波長域から選択された
波長のレーザ光で情報の記録及び再生が可能で,かつ,
ある波長で記録した情報を,複数の異なる再生波長で再
生できることが可能であることがわかった。
【0161】更に,(7)式の構造を有する色素が,C
D系メディアとDVD系メディア,即ち記録,再生波長
として780nm近傍を利用する光情報記録媒体と63
0nm近傍を利用する光情報記録媒体間で互換性を有す
るメディアとして利用することができる特性を有する否
かを以下に確かめた。
【0162】スピンコート法により,(7)式において
n=11の色素(図9参照)の薄膜をガラス基板上に形
成し,更にその上に金を蒸着したサンプルを作成した。
【0163】このときのサンプルの反射率は,図21の
実線に示される通りであり,780nmで反射率約79
%,635nmで反射率約57%であり,高反射型C
D,DVD系メディアとして利用可能であることがわか
った。
【0164】次に,このサンプルを180℃で5分加熱
したときの反射率を図21の破線で示す。この結果から
明らかなように,780nm近傍,650nm近傍共
に,加熱記録によって反射率が低下していることがわか
った。加熱記録による反射率変化は,780nmで79
%から37%への変化,635nmで57%から46%
への変化であった。
【0165】上述したように,加熱によって650nm
近傍及び780nm近傍の両方の吸収スペクトルを変化
させることができたことは,ある任意のこの色素が吸収
する波長のレーザ光を照射すれば,その吸収加熱効果に
より,図21と同様な反射率変化が得られることがわか
る。すなわち,760nm〜830nmの記録波長で記
録しても,620〜650の記録波長で記録しても,7
60nm〜830nmと620nm〜650nm近傍の
両方の吸収スペクトルを同時に変化させることができ
る。また,760nm〜830nm又は620nm〜6
50nmから選択された任意の記録波長で記録された情
報は,760nm〜830nmの再生波長でも,620
nm〜650nmの再生波長でも記録された情報を未記
録状態に対して,反射率が低下する情報として再生する
ことができることが明らかになった。
【0166】
【発明の効果】以上説明したように,本発明に係る光情
報記録媒体(請求項1)によれば,色素が,外部エネル
ギーの付加によって凝集状態が変化し,複数の異なる波
長域に対する吸収スペクトルが変化するものであるた
め,複数の異なる波長域から選択された波長のレーザ光
で情報の記録及び再生を行うことができる。また,色素
の凝集状態を変化させるのみであるため,低パワーのレ
ーザ光を情報の記録及び再生に用いることができる。し
たがって,複数の光情報記録媒体間,複数の光情報記録
媒体用ドライブ間で情報の共有化を図ることができると
共に,常に変化し氾濫する光情報記録媒体の資源共有化
を図ることができ,互換性の高い光情報記録媒体を得る
ことができる。
【0167】また,本発明に係る光情報記録媒体(請求
項2)によれば,請求項1記載の光情報記録媒体におい
て,記録層が,色素の凝集状態の変化により,色素の凝
集状態の変化前の反射率と比較して,複数の異なる波長
域から選択された全ての光に対する反射率を低下させる
ことによって情報を記録するものであるため,複数の異
なる波長域から選択された波長のレーザ光で情報の記録
及び再生を行うことができる。また,色素の凝集状態を
変化させるのみであるため,低パワーのレーザ光を情報
の記録及び再生に用いることができる。したがって,複
数の光情報記録媒体間,複数の光情報記録媒体用ドライ
ブ間で情報の共有化を図ることができると共に,常に変
化し氾濫する光情報記録媒体の資源共有化を図ることが
でき,互換性の高い光情報記録媒体を得ることができ
る。
【0168】また,本発明に係る光情報記録媒体(請求
項3)によれば,請求項1又は2記載の光情報記録媒体
において,複数の異なる波長域が,620〜650nm
及び760〜830nmであるため,複数の異なる波長
域から選択された波長のレーザ光で情報の記録及び再生
を行うことができる。したがって,複数の光情報記録媒
体間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有
化を図ることができると共に,常に変化し氾濫する光情
報記録媒体の資源共有化を図ることができ,互換性の高
い光情報記録媒体を得ることができる。
【0169】また,本発明に係る光情報記録媒体(請求
項4)によれば,請求項3記載の光情報記録媒体におい
て,620〜650nmの波長域から選択された波長の
レーザ光で情報の記録及び再生が可能であり,かつ76
0〜830nmの波長域から選択された波長のレーザ光
で情報の記録及び再生が可能であるため,複数の光情報
記録媒体間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報
の共有化を図ることができると共に,常に変化し氾濫す
る光情報記録媒体の資源共有化を図ることができ,互換
性の高い光情報記録媒体を得ることができる。
【0170】また,本発明に係る光情報記録媒体(請求
項5)によれば,請求項4記載の光情報記録媒体におい
て,更に,620〜650nm又は760〜830nm
のいずれか一方の波長域から選択された波長のレーザ光
によって記録された情報が,620〜650nm及び7
60〜830nmの波長域から選択された全ての波長の
レーザ光で再生可能であるため,複数の光情報記録媒体
間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化
を図ることができると共に,常に変化し氾濫する光情報
記録媒体の資源共有化を図ることができ,互換性の高い
光情報記録媒体を得ることができる
【0171】また,本発明に係る光情報記録媒体(請求
項6)によれば,請求項1〜5記載の光情報記録媒体に
おいて,色素が,一般式
【化18】 で表されるフタロシアニン化合物であるため,大きなス
ペクトルシフトを得ることができ,複数の異なる波長域
から選択された波長のレーザ光で情報の記録及び再生を
行うことができる。したがって,複数の光情報記録媒体
間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化
を図ることができると共に,常に変化し氾濫する光情報
記録媒体の資源共有化を図ることができ,互換性の高い
光情報記録媒体を得ることができる。
【0172】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
記録方法(請求項7)によれば,請求項1〜6のいずれ
かに記載の光情報記録媒体の記録層に対して外部エネル
ギーを付加して,色素の凝集状態を変化させ,複数の異
なる波長域の吸収スペクトルを,外部エネルギー付加前
の吸収スペクトルから異なる吸収スペクトルに変化させ
ることによって記録層に情報を記録するため,複数の異
なる波長域から選択された波長のレーザ光で情報の記録
を行うことができる。また,色素の凝集状態を変化させ
るのみであるため,低パワーのレーザ光を情報の記録及
び再生に用いることができる。したがって,複数の光情
報記録媒体間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情
報の共有化を図ることができると共に,常に変化し氾濫
する光情報記録媒体の資源共有化を図ることができ,互
換性の高い光情報記録媒体の情報記録方法を得ることが
できる。
【0173】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
記録方法(請求項8)によれば,請求項7記載の光情報
記録媒体の情報記録方法において,複数の異なる波長域
から選択された全ての波長の光に対する反射率を,吸収
スペクトル変化前の反射率から低下させることによって
記録層に情報を記録するため,複数の異なる波長域から
選択された波長のレーザ光で情報の記録を行うことがで
きる。また,色素の凝集状態を変化させるのみであるた
め,低パワーのレーザ光を情報の記録及び再生に用いる
ことができる。したがって,複数の光情報記録媒体間,
複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図
ることができると共に,常に変化し氾濫する光情報記録
媒体の資源共有化を図ることができ,互換性の高い光情
報記録媒体の情報記録方法を得ることができる。
【0174】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
記録方法(請求項9)によれば,請求項7又は8記載の
光情報記録媒体の情報記録方法において,複数の異なる
波長域が,620〜650nm及び760〜830nm
であるため,複数の光情報記録媒体間,複数の光情報記
録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図ることができる
と共に,常に変化し氾濫する光情報記録媒体の資源共有
化を図ることができ,互換性の高い光情報記録媒体の情
報記録方法を得ることができる。
【0175】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
再生方法(請求項10)によれば,請求項1〜6のいず
れかに記載の光情報記録媒体において,外部エネルギー
を付加することによって吸収スペクトルが変化する複数
の異なる波長域から選択された波長の光を用いて,記録
層に記録された情報を再生するため,複数の異なる波長
域から選択された波長のレーザ光で情報の再生を行うこ
とができる。したがって,複数の光情報記録媒体間,複
数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図る
ことができると共に,常に変化し氾濫する光情報記録媒
体の資源共有化を図ることができ,互換性の高い光情報
記録媒体の情報再生方法を得ることができる。
【0176】また,本発明に係る光情報記録媒体の情報
再生方法(請求項11)によれば,請求項10記載の光
情報記録媒体の情報再生方法において,記録層に複数の
異なる波長域から選択された波長の光を照射してその反
射光を受光し,記録層に情報が記録されていない状態の
反射率に対する反射率の低下を検出することによって記
録層に記録された情報を再生することにしたため,複数
の異なる波長域から選択された波長のレーザ光で情報の
再生を行うことができる。したがって,複数の光情報記
録媒体間,複数の光情報記録媒体用ドライブ間で情報の
共有化を図ることができると共に,常に変化し氾濫する
光情報記録媒体の資源共有化を図ることができ,互換性
の高い光情報記録媒体の情報再生方法を得ることができ
る。
【0177】更に,本発明に係る光情報記録媒体の情報
再生方法(請求項12)によれば,請求項10又は11
記載の光情報記録媒体の情報再生方法において,複数の
異なる波長域が,620〜650nm及び760〜83
0nmであるため,複数の光情報記録媒体間,複数の光
情報記録媒体用ドライブ間で情報の共有化を図ることが
できると共に,常に変化し氾濫する光情報記録媒体の資
源共有化を図ることができ,互換性の高い光情報記録媒
体の情報再生方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録層に用いる色素の吸収スペクトルのシフト
を説明するための説明図である。
【図2】記録層に用いる色素の吸収スペクトルのシフト
を説明するための説明図である。
【図3】記録層に用いる色素の吸収スペクトルのシフト
を説明するための説明図である。
【図4】フタロシニアン,ナフタロシニアン等の化合物
の主骨格の位置と吸収スペクトルの変化量を説明するた
めの説明図である。
【図5】フタロシニアン,ナフタロシニアン等の化合物
の主骨格の位置によるエネルギー変化を説明するための
説明図である。
【図6】記録層に用いる色素の吸収スペクトルのシフト
を説明するための説明図である。
【図7】記録層に用いる色素の吸収スペクトルのシフト
を説明するための説明図である。
【図8】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化合
物の実施例((7)式,n=7)の分光特性を説明する
説明図である。
【図9】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化合
物の実施例((7)式,n=11)の分光特性を説明す
る説明図である。
【図10】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化
合物の実施例((7)式,n=7)をクロロホルム溶液
に溶解させた場合の吸収スペクトルを説明する説明図で
ある。
【図11】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化
合物の実施例((7)式,n=11)をクロロホルム溶
液に溶解させた場合の吸収スペクトルを説明する説明図
である。
【図12】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化
合物の実施例((7)式,n=7)をクロロホルム溶液
からスピンコーティング法により薄膜化させ,初期状
態,100℃,150℃,180℃,200℃に加熱し
たときの吸収スペクトルを説明する説明図である。
【図13】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化
合物の実施例((7)式,n=11)をクロロホルム溶
液からスピンコーティング法により薄膜化させ,初期状
態,100℃,150℃,180℃,200℃に加熱し
たときの吸収スペクトルを説明する説明図である。
【図14】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((8)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティン
グ法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図15】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((9)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティン
グ法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図16】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((10)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティ
ング法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図17】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((11)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティ
ング法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図18】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((12)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティ
ング法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図19】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((13)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティ
ング法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図20】光情報記録媒体に用いる色素化合物の比較例
((14)式)をクロロホルム溶液からスピンコーティ
ング法により薄膜化させ,初期状態,100℃,150
℃,180℃,200℃に加熱したときの吸収スペクト
ルを説明する説明図である。
【図21】本発明に係る光情報記録媒体に用いる色素化
合物の実施例((7)式,n=11)を用いた場合の反
射率の変化を説明するための説明図である。
【図22】CD−Rに情報を書き込んだ状態を説明する
ための説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 金反射面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07F 7/10 C07F 7/10 W 7/12 7/12 X (72)発明者 植野 泰伸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に,少なくとも色素を含む記録層
    及び反射層を積層して構成された光情報記録媒体におい
    て,前記色素が,外部エネルギーの付加によって凝集状
    態が変化し,複数の異なる波長域に対する吸収スペクト
    ルが変化するものであることを特徴とする光情報記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光情報記録媒体におい
    て,前記記録層が,前記色素の凝集状態の変化により,
    前記色素の凝集状態の変化前の反射率と比較して,前記
    複数の異なる波長域から選択された全ての光に対する反
    射率を低下させることによって情報を記録及び再生する
    ものであることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の光情報記録媒体に
    おいて,前記複数の異なる波長域が,620〜650n
    m及び760〜830nmであることを特徴とする光情
    報記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の光情報記録媒体におい
    て,前記620〜650nmの波長域から選択された波
    長のレーザ光で情報の記録及び再生が可能であり,かつ
    前記760〜830nmの波長域から選択された波長の
    レーザ光で情報の記録及び再生が可能であることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の光情報記録媒体におい
    て,更に,前記620〜650nm又は前記760〜8
    30nmのいずれか一方の波長域から選択された波長の
    レーザ光によって記録された情報が,前記620〜65
    0nm及び前記760〜830nmの波長域から選択さ
    れた全ての波長のレーザ光で再生可能であることを特徴
    とする光情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の光情報記録媒体にお
    いて,前記色素が,一般式 【化1】 (ただし,X1 〜X4 は,それぞれ独立に水素原子,ハ
    ロゲン原子,置換基を有しても良いアルキル基,置換基
    を有しても良いアリール基,置換基を有しても良いアル
    コキシ基,置換基を有しても良いアリールオキシ基,置
    換基を有しても良いアルキルチオ基,置換基を有しても
    良いアリールチオ基,ニトロ基,シアノ基,スルホン酸
    基,スルホン酸アミド基,スルホン酸エステル基であ
    り,k,l,m,nは,置換基X1 〜X4 の置換数で0
    〜4の整数である。)で表されるフタロシアニン化合物
    であることを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光情報
    記録媒体の情報記録方法において,前記記録層に対して
    外部エネルギーを付加して,前記色素の凝集状態を変化
    させ,前記複数の異なる波長域の吸収スペクトルを,前
    記外部エネルギー付加前の吸収スペクトルから異なる吸
    収スペクトルに変化させることによって前記記録層に情
    報を記録することを特徴とする光情報記録媒体の情報記
    録方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の光情報記録媒体の情報記
    録方法において,前記複数の異なる波長域から選択され
    た全ての波長の光に対する反射率を,前記吸収スペクト
    ル変化前の反射率から低下させることによって前記記録
    層に情報を記録することを特徴とする光情報記録媒体の
    情報記録方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載の光情報記録媒体の
    情報記録方法において,前記複数の異なる波長域が,6
    20〜650nm及び760〜830nmであることを
    特徴とする光情報記録媒体の情報記録方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載の光情
    報記録媒体の情報再生方法において,前記外部エネルギ
    ーを付加することによって吸収スペクトルが変化する前
    記複数の異なる波長域から選択された波長の光を用い
    て,前記記録層に記録された情報を再生することを特徴
    とする光情報記録媒体の情報再生方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の光情報記録媒体の情
    報再生方法において,前記記録層に前記複数の異なる波
    長域から選択された波長の光を照射してその反射光を受
    光し,前記記録層に情報が記録されていない状態の反射
    率に対する反射率の低下を検出することによって前記記
    録層に記録された情報を再生することを特徴とする光情
    報記録媒体の情報再生方法。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11記載の光情報記録
    媒体の情報再生方法において,前記複数の異なる波長域
    が,620〜650nm及び760〜830nmである
    ことを特徴とする光情報記録媒体の情報再生方法。
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