JPH09309861A - 新規アントラキノン系化合物0089 - Google Patents

新規アントラキノン系化合物0089

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JPH09309861A
JPH09309861A JP14977996A JP14977996A JPH09309861A JP H09309861 A JPH09309861 A JP H09309861A JP 14977996 A JP14977996 A JP 14977996A JP 14977996 A JP14977996 A JP 14977996A JP H09309861 A JPH09309861 A JP H09309861A
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JP14977996A
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Taiji Tanaka
泰至 田中
Hisayuki Komaki
久幸 小牧
Akira Nemoto
明 根本
Noboru Mikami
襄 三上
Katsukiyo Yazawa
勝清 矢沢
Junichi Kobayashi
淳一 小林
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Higeta Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higeta Shoyu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記化1に示される化学構造式を有する
化合物0089又はその医薬的に許容される塩。 【化1】 (式中、Rはリストサミン(ristosamine)又は−OH
又は−OCH3である。) 【効果】 すぐれた抗腫瘍作用を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規化合物008
9、その製造法及び用途に関するものである。新規化合
物0089は、微生物、特に放線菌の培養物から分離採
取された従来未知の新規アントラキノン系化合物であっ
て、すぐれた生理活性、特にすぐれた抗腫瘍作用を有す
るものである。従って、本発明に係る新規アントラキノ
ン系化合物は、抗腫瘍剤として癌の予防及び/又は治療
剤として有効に利用することが出来る。
【0002】
【従来の技術】抗腫瘍剤として数多くの新規化合物が発
見され、また、新規化合物も合成され、その一部は実用
化されている。たしかに従来より知られている抗腫瘍剤
にはすぐれたものが各種知られているが、効果はもとよ
り、安全性、生産性の面からもう一段の改良が求められ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする技術課題】本発明は、このよ
うな当業界における要望に応えるためになされたもので
あって、抗腫瘍剤の技術開発の流れに沿いスクリーニン
グを重ねた結果、今迄に知られていない新規な化合物に
抗腫瘍活性があることを見い出し、本発明を完成させ
た。本発明は、従来既知の物質より更にすぐれた抗腫瘍
活性を有する新規な化合物を提供する目的でなされたも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な抗
腫瘍作用を有する物質を得ることを目的として、天然
物、特に微生物の代謝産物について広く検索を行い、よ
り有効な抗腫瘍作用を有する物質について検索を行った
結果、新規なNocardia brasiliensis IFM0089株(FE
RM BP−5542)が菌体抽出物中に目的とする性
質を有する物質を蓄積することを発見した。そして、更
に本物質についてその物理化学的性質を詳細に調べ、化
学構造を明らかにしたところ、従来知られていない新規
物質であることが確認された。本物質は請求項1に記載
した様に、一般式(1)で示されるアントラキノン系の
新規な化合物であった。本発明者らは、本化合物を00
89と命名した。
【0005】すなわち本発明は、下記化2に示される一
般式(1)を有する新規な化合物0089又は医薬的に
許容し得る塩に関するものである。
【0006】
【化2】
【0007】(但し式中、Rはリストサミン(ristosam
ine)又は水酸基又はメトキシル基である。)
【0008】また、本発明は、新規アントラキノン系化
合物0089又はその医薬的に許容される塩を有効成分
とする新規抗腫瘍剤にも関するものである。以下、本発
明について詳述する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る化合物0089は、
混合物であって、現時点においては、A、B、Cの三種
の化合物が分離されている。これら化合物A、B、Cの
物理化学的性質は、それぞれ、下記表1、表2、表3に
示される。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】これら化合物A、B、Cの1H NMR及
13C NMRスペクトルの内、有意なシグナルは、そ
れぞれ、下記表4、表5、表6に示される。
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】本発明に係る化合物0089は、例えば新
規なNocardia brasiliensis IFM0089株(FERM B
P−5542)によって生産される。
【0018】Nocardia brasiliensis IFM0089株の菌学
的性質は、形態学的にはオートミール寒天培地(ISP
−3)で培養した時、形態学的にはアクチノミセーテス
(Actinomycetes)の一種に見られる様な分岐した長い
菌糸と気中菌糸体を有していた。また、培養時間を長く
することによって、桿菌様胞子が数個と気中菌糸断裂お
よび栄養菌糸の断裂が観察された。栄養菌糸断列が観察
されたことから形態学的にNocardia属に属するものと推
定された。各種培地でのNocardia brasiliensis IFM008
9株の培養的性質を下記表7に示した。また、生理学的
性質について下記表8に示した。
【0019】
【表7】
【0020】
【表8】
【0021】本菌株を培地(2%グルコースを含むブレ
インハート・インフュージョン)中で、250rpmで
30℃、72時間振とう培養し、培地中に生育した菌体
を遠心分離(3000rpm×10分)で集め、蒸留水
で2回洗浄した。更に菌体をエタノールで洗い、次いで
真空乾燥し、乾燥菌体とした。この乾燥菌体の細胞壁の
アミノ酸組成、糖組成、脂質組成をBergey's Manual of
Determinative Bacteriology 9th ed., Williams, Bal
timore, 1993に基づいて調べた。アミノ酸分析結果より
メソージアミノピメリン酸、糖分析結果よりアラビノー
ス、ガラクトースが検出された。また脂質分析の結果か
らミコール酸の存在が確認され、そのTypeはNocardia T
ypeであった。菌体脂質成分であるイソプレノイド・キ
ノンは主たる成分としてMK−8(H4)cycleが
確認された。また、表8に示したアデニン、カゼイン、
ヒポキサンチン、チロシンの資化性、さらには糖から酸
の産出パターン及び抗菌剤に対する感受性のパターン
(Mikami & Yazawa, Susceptibility pattern of path
ogenic Nocardia to some selected antimicrobial age
nts and their usefulness in the identification wor
k in a chinical laboratory ; Bull. JFCC「日本微生
物株保存連盟会誌」5:89、1989)から、本菌株
はNocardia brasiliensisと同定した。
【0022】この様に本菌株は、Nocardia brasiliensi
sに分類されるが、化合物0089を生産することが極
めて特徴的であるので、これを新菌株としてNocardia b
rasiliensis IFM0089と命名し、工業技術院生命工学工
業技術研究所に国際寄託した(FERM BP−554
2)。したがって、本発明は、一般式(1)に示した新
規化合物0089を生産する新規菌株Nocardia brasili
ensis IFM0089株に関するものである。
【0023】本発明に係る化合物0089は、新規なNo
cardia brasiliensis IFM0089(FERM BP−55
42)株によって生産されるほか、Nocardia属に属する
他の菌株によっても生産されることが確認されており、
化合物0089の生産はこれらの微生物からX線照射、
γ線照射、ナイトロジェンマスタード、N−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、2−アミノプ
リン、エチルメタンスルホネート等の変異処理により取
得できる人工変異株ならびに自然変異株を含めて化合物
0089を生産しうるすべての変異株の使用も広く包含
するものである。
【0024】本発明に係る一般式(1)で示される新規
化合物0089は、化学合成法によって製造できるほ
か、上記のように微生物によっても製造することができ
る。
【0025】後者の場合、本発明に係る一般式(1)で
示される新規化合物0089はNocardia属に属する該化
合物生産菌、例えばNocardia brasiliensis IFM0089が
資化しうる炭素源及び窒素源を含む培地で培養して製造
することが出来るが好気的深部培養条件(例えば振とう
培養、通気攪拌培養等)で生産せしめることが好まし
い。
【0026】炭素源としては、グルコース、グリセロー
ル、シュークロース、澱粉、デキストリンその他の炭水
化物を使用することが好ましい。窒素源としては、オー
トミール、イースト抽出物、牛肉抽出物、ツナ肉抽出
物、ペプトン、グルテンミール、綿実粉、大豆ミール、
コーンスティープリカー、乾燥イースト、小麦胚芽、落
花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)、尿素、アミノ
酸等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用すること
が出来る。
【0027】これらの炭素源及び窒素源は併用すること
が有利であるが、必ずしも純粋なものを使用する必要は
ない。純粋でないものには、生長因子や微量要素が含ま
れているため、これを使用することが望ましい為であ
る。必要ならば、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウ
ム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等のような無機
塩類を培地に添加することが出来る。必要ならば、特に
培地が発泡するのであれば、流動パラフィン、動物油、
植物油、鉱物油、シリコン等の消泡剤を加えることが出
来る。
【0028】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気攪拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。また、培養を大きなタンクで行う場合、
化合物0089の生産工程において菌の生育遅延を防止
するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を接種培
養した後、次に培養物を大きな生産タンクに移してそこ
で生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に使用
する培地及び生産培養に使用する培地の組成は、両者と
もに同一であってもよいし必要があれば両者を変えても
よい。
【0029】培養は通気攪拌条件で行うのが好ましく、
例えばプロペラやその他機械による攪拌、ファーメンタ
ーの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹込み等既
知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌してお
くのが良い。
【0030】培養温度は、化合物0089生産菌が本物
質を生産する範囲で適宜変更しうるが、通常は10〜4
0℃、好ましくは25〜35℃で培養するのがよい。培
養時間は、培養条件や培養量によっても異なるが、通常
は約1日〜1週間である。
【0031】発酵終了後、培養物から目的とする化合物
0089を回収する。すなわち、菌体は、直接水及び/
又は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機械的に又
は超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水及び/又
は有機溶媒で抽出した後、常法に従って回収、精製す
る。培養液の場合は、直接、溶媒で抽出してもよいし、
また、培養液の濾過又は遠心分離後、減圧濃縮、凍結乾
燥、pH調節、アニオン又はカチオン交換樹脂、活性
炭、粉末セルロース、シリカゲル、アルミナ、吸着性樹
脂等の担体に接触させて化合物0089を吸着させた
後、これを担体から溶出すればよい。
【0032】回収、精製方法としては、抗生物質採取の
際の常法が適宜利用され、例えば、水、有機溶媒これら
の混合溶媒による溶媒抽出;クロマトグラフィー;単一
溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が適宜単独である
いは組合わせて使用できる。
【0033】化合物0089の回収、精製は上記の様に
既知の方法を適宜利用して行うが、例えば次の様にして
もよい。先ず、培養物を遠心分離またはMF膜で処理す
ることによって菌体を集めた後、メタノール−アセトン
で抽出し、この抽出画分を更にn−ヘキサンで抽出し、
減圧濃縮し、更にシリカゲルクロマトグラフィーに供
し、吸着させ、ヘキサン−酢酸エチルで段階的溶出操作
を行い、分画し、更に分画画分をクロマトグラフィーに
より分画精製し、必要があれば凍結乾燥すればよい。
【0034】本発明化合物0089を医薬として投与す
る場合、本発明化合物をそのまま又は医薬的に許容され
る無毒性かつ不活性の担体中に、例えば、0.1%〜9
9.5%好ましくは0.5%〜90%含有する医薬組成
物として投与される。
【0035】担体としては、固形、半固形、又は液状の
希釈剤充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が用
いられる。医薬組成物は、投与単位形態で投与すること
が望ましい。本発明医薬組成物は、経口投与、組織内投
与、局所投与(経皮投与等)、又は経直腸的に投与する
事ができるが、外用剤としても使用できる。これらの投
与方法に適した剤型で投与されるのはもちろんである。
【0036】抗腫瘍剤としての用量は、年齢、体重等の
患者の状態、投与経路、病気の性質と程度等を考慮した
上で調整することが望ましいが、通常は、成人に対して
本発明の有効成分量として、一日当たり、10〜200
0mg範囲が一般的である。場合によっては、これ以下
で足りるしまた逆にこれ以上の用量を必要とする事もあ
る。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与す
ることが望ましい。
【0037】経口投与は固形又は液状の用量単位、例え
ば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ
剤、舌下錠その他の剤型によって行う事ができる。
【0038】末剤は、活性物質を適当な細かさにする事
より製造される。散剤は活性物質を適当な細かさと成
し、次いで同様に細かくした医薬用担体、例えば、澱
粉、マンニトールの如き可食性炭水化物その他と混合す
ることにより製造される。必要に応じて風味剤、保存
剤、分散剤、着色剤、香料その他のものを混じても良
い。
【0039】カプセル剤は、まず粉末状となった末剤や
散剤あるいは顆粒化したものを、例えばゼラチンカプセ
ルのようなカプセル外皮の中へ充填することにより製造
される。滑沢剤や流動化剤、例えばコロイド状のシリ
カ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム、固形のポリエチレングリコールの如きもの
を粉末状態のものに混合し、然るのちに充填操作を行う
事もできる。崩壊剤や可溶化剤、例えばカルボキシメチ
ルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加
すれば、カプセル剤が摂取された時の医薬の有効性を改
善する事ができる。また、本品の微粉末を植物油、ポリ
エチレングリコール、グリセリン、界面活性剤中に懸濁
分散し、これをゼラチンシートで包んで軟カプセル剤と
することもできる。
【0040】錠剤は粉末混合物を作り、顆粒化若しくは
スラグ化し、次いで崩壊剤又は滑沢剤を加えたのち打錠
することにより製造される。
【0041】粉末混合物は、適当に粉末化された物質を
上述の希釈剤やベースと混合し、必要に応じ結合剤(例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコールなど)、溶解遅延化剤(例えばパラフィンな
ど)、再吸収剤(例えば四級塩)及び/又は吸着剤(例
えばベントナイト、カオリン、リン酸ジカルシウムな
ど)を併用してもよい。粉末混合物は、まずシロップ、
でんぷん糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高分子
物質溶液などの結合剤で湿らせ、次いで篩を強制通過さ
せて顆粒とする事ができる。このように粉末を顆粒化す
るかわりに、まず打錠機にかけたのち、得られる不完全
な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能であ
る。
【0042】このようにして作られる顆粒は、滑沢剤と
してステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、ミネラル
オイルその他を添加することにより、互いに付着する事
を防ぐ事ができる。このように滑沢化された混合物を、
次いで打錠する。また薬物は、上述のように顆粒化やス
ラグ化の工程を経ることなく、流動性の不活性担体と結
合したのちに直接打錠しても良い。シェラックの密閉被
膜からなる透明又は半透明の保護被膜、糖や高分子材料
の被覆、及びワックスよりなる磨上被覆の如きも用いう
る。
【0043】他の経口投与剤型、例えば溶液、シロッ
プ、エリキシルなどもまたその一定量が含有するように
用量単位形態にする事ができる。シロップは、化合物を
適当な香味化水溶液に溶解して製造され、またエリキシ
ルは非毒性のアルコール性担体中に分散させることによ
り処方される。可溶化剤や乳化剤(例えばエトキシ化さ
れたイソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレン
ソルビトールエステル類)、保存剤、風味賦与剤(例え
ばペパミント油、サッカリン)その他もまた必要に応じ
添加できる。必要とあれば、経口投与のための用量単位
処方はマイクロカプセル化してもよい。該処方はまた被
覆をしたり、高分子・ワックス等中にうめ込んだりする
ことにより作用時間の延長や持続放出をもたらす事もで
きる。
【0044】非経口的投与は、皮下・筋肉内又は静脈内
注射用としたところの液状用量単位形態、例えば溶液や
懸濁剤の形態を用いることによって行いうる。これらの
ものは、化合物の一定量を、注射の目的に適合する非毒
性の液状担体、例えば、水性や油性の媒体に懸濁し又は
溶解し、次いで該懸濁液又は溶液を滅菌することにより
製造される。あるいは化合物の一定量をバイアルにと
り、然るのち該バイアルとその内容物を滅菌し密閉して
も良い。投与直前に溶解又は混合するために、粉末又は
凍結乾燥した有効成分に添えて、予備的なバイアルや担
体を準備しても良い。注射液を等張にするために非毒性
の塩や塩溶液を添加しても良い。さらに安定剤、保存
剤、乳化剤の如きものを併用する事もできる。
【0045】直腸投与は、化合物を低融点の固体、例え
ばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級エステル類
(例えばパルミチン酸ミリスチルエステル)及びそれら
の混合物を混じた座剤を用いることによって行いうる。
【0046】以下、本発明を実施例について更に詳しく
説明するが、本発明は実施例によって限定されるもので
はない。
【0047】
【実施例1】 (1)発酵生産 Nocardia brasiliensis IFM0089株(FERM BP−
5542)をグリセロール 2%、ポリペプトンP1
0.8%、ポリペプトン(日本製薬株式会社)0.5
%、ツナ肉エキス 0.5%、pH7.0からなる基本
培地10mlを50ml三角フラスコに分注したものに
接種し、30℃、72時間振とう培養した。これを更
に、同培地1.5Lを5Lのフラスコに分注した培地に
1%v/vで前記種培養物を種接し、同様前培養を行っ
た。この前培養液を同培地150Lを入れた200Lタ
ンク培養槽に接種し、通気量毎分150L、攪拌数20
0rpmで30℃、90時間培養した。
【0048】(2)回収精製 得られた培養液150Lを濾布で濾過することにより菌
体を回収した。菌体にメタノール:アセトン(1:1)
2Lを加え抽出操作を行った。この抽出液を更に酢酸エ
チルで抽出し、エバポレータで濃縮、乾固後、n−ヘキ
サン2Lで抽出した。ヘキサン抽出画分及びヘキサン不
溶画分を以下の精製工程に供した。
【0049】ヘキサン抽出画分は、エバポレータで濃
縮、乾固させ、n−ヘキサン:酢酸エチル(15:1)
に溶解後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行っ
た。溶出溶媒にはn−ヘキサン:酢酸エチル(15:
1)を使用した。化合物0089は抗菌活性を有する
(下記表9)ことから、溶出画分中の化合物の検出はM.
luteusを被検菌としたペーパーディスク法による生育
阻害活性を指標として行った。シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーの活性画分についてYMCパックR&Ds
il−60カラム(20×250mm)を用いた高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)で更に分画精製を行
った。溶出はn−ヘキサン:酢酸エチル(8:1)を用
いて流速30ml/minで行った。380nmの吸光
度及びM. luteusに対する生育阻害活性を指標に活性画
分を集め、エバポレータで濃縮、乾固して0089−B
5mg、0089−C 7mgを得た。
【0050】
【表9】
【0051】一方、ヘキサン不溶画分はベンゼン:酢酸
エチルに溶解後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
により分離を行った。ベンゼン:酢酸エチルで十分洗浄
し夾雑物を除き、アセトンで活性画分を溶出した。アセ
トン溶出液を濃縮、乾固し、クロロホルム:メタノール
(1:1)でLH20カラムクロマトグラフィーを行
い、溶出された活性画分をCapcell pack C18 SG120(株
式会社資生堂,5×250mm)を用いたHPLCで更
に分画精製を行った。アセトニトリル:水:トリフルオ
ロ酢酸(20:80:0.1)〜(35:65:0.
1)の濃度勾配溶出(120分間、20ml/min)
を行い、380nmの吸光度とM. luteusに対する抗菌
活性を指標にして活性画分(リテンション・タイム18
分)を集めた。エバポレータで濃縮後、凍結乾燥を行い
0089−A 5mgを得た。
【0052】
【実施例2:抗腫瘍活性】L1210細胞はRPMI1
640液体培地を、P388細胞及びアドリアマイシン
耐性P388細胞は20μM2−メルカプトエタノール
を含むRPMI1640液体培地(いずれも10%牛血
清を含む)を使用し、細胞浮遊液(5.6×106ce
lls/ml)を調製した。
【0053】被検体は、メタノールに溶解後各培地を用
いて希釈し、0.1mg/ml濃度から2倍希釈を順次
くり返し調製した。細胞浮遊液180μlと被検体液2
0μlを96穴マイクロプレートに分注し、5%CO2
−95%空気の湿潤環境下、37℃で培養した。72時
間後、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)
−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MT
T)を用いた色素定量法により細胞の生育を測定した。
すなわち、2mg/mlMTT溶液を20μlずつ各ウ
ェルに添加し4時間、37℃で培養する。その後20%
ドデシル硫酸ナトリウムを含む50%ジメチルホルムア
ミド溶液を50μl加え放置し、形成された紫色のホル
マザン結晶を溶解させ、マイクロプレート吸光光度計
(イムノリーダー)を用いて610nmにおける吸光度
を測定し、生育の指標とした。結果は、生育を50%阻
害する被検体濃度(IC50)で表示した。
【0054】L1210株、P388株そして同株のア
ドリアマイシン耐性株に対し、0089−A、B、C
は、各々生育阻害活性を有し、抗腫瘍剤として有効であ
ることが示唆された(下記表10)。
【0055】
【表10】
【0056】
【発明の効果】本発明は、化合物0089を提供するも
のであるが、本化合物は新規物質であって、すぐれた生
理活性を有し、抗腫瘍剤等として各種の医薬品に利用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 1/20 C12R 1:365) (C12P 15/00 C12R 1:365) (72)発明者 矢沢 勝清 船橋市三山9−13−1 (72)発明者 小林 淳一 札幌市西区8軒2条西4丁目1−14−16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1に示される一般式(1)を有す
    る化合物0089又はその医薬的に許容される塩。 【化1】 (式中、Rはリストサミン(ristosamine)又は−OH
    又は−OCH3である。)
  2. 【請求項2】 Rがリストサミン(ristosamine)で示
    されることを特徴とする請求項1に記載の化合物008
    9−A。
  3. 【請求項3】 Rが−OHであることを特徴とする請求
    項1に記載の化合物0089−B。
  4. 【請求項4】 Rが−OCH3であることを特徴とする
    請求項1に記載の化合物0089−C。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4で示されるいずれか1項に
    記載される少なくとも1つ以上の化合物またはその薬理
    的に許容される塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4で示されるいずれか1項に
    記載される少なくとも1つ以上の化合物を生産する能力
    を有する新規Nocardia brasiliensis。
  7. 【請求項7】 Nocardia属に属する請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の化合物生産菌を培養し、培養物より該
    化合物を採取することを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の化合物またはその塩の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5922582A (en) * 1997-04-11 1999-07-13 Higeta Shoyu Co., Ltd. Indole alkaloid type compound 0089-D
WO2000044762A1 (fr) * 1999-01-29 2000-08-03 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai 5-GLYCOSYLOXY-6-HYDROXYNAPHTO[2,3-f]QUINOLINE-7,12-DIONE A EFFET ANTICANCEREUX

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WO2000044762A1 (fr) * 1999-01-29 2000-08-03 Zaidan Hojin Biseibutsu Kagaku Kenkyu Kai 5-GLYCOSYLOXY-6-HYDROXYNAPHTO[2,3-f]QUINOLINE-7,12-DIONE A EFFET ANTICANCEREUX

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