JP2001233896A - 新規ペプチド系化合物tm−a - Google Patents

新規ペプチド系化合物tm−a

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JP2001233896A
JP2001233896A JP2000047552A JP2000047552A JP2001233896A JP 2001233896 A JP2001233896 A JP 2001233896A JP 2000047552 A JP2000047552 A JP 2000047552A JP 2000047552 A JP2000047552 A JP 2000047552A JP 2001233896 A JP2001233896 A JP 2001233896A
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JP2000047552A
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English (en)
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Hisayuki Komaki
久幸 小牧
Taiji Tanaka
泰至 田中
Akira Nemoto
明 根本
Katsukiyo Yazawa
勝清 矢沢
Noboru Mikami
襄 三上
Kenichi Harada
健一 原田
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Higeta Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higeta Shoyu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 下記一般式(1)を有する新規ペプチド
系化合物TM−A又はその医薬的に許容される塩ならび
に、Actinomadura属に属する、該化合物を
生産する菌株を培養し、培養物より摂取することを特徴
とする、該化合物またはその塩の製造法。 【効果】 優れた抗菌作用、抗癌作用、免疫抑制作用を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規化合物TM−
A、その製造法、及び用途に関するものである。新規化
合物TM−Aは、微生物、特に放線菌の培養物から分離
採取された従来未知の新規ペプチド系化合物であって、
シデロフォア作用を有する優れた生理活性を有するもの
である。したがって、本発明に係る新規ペプチド系化合
物は、種々の医薬品として有効に利用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】様々な医薬品が人類の福祉に果たした役
割は計り知れない。しかしながら各種疾病に対し現在の
医薬品が有効性や毒性などの面で必ずしも満足いくもの
ではないことも周知の事実である。
【0003】例えば細菌感染症は、化学療法が著しく進
歩したにもかかわらず、今なお医療現場で大きな問題と
なっている。確かに、数多くの新規抗菌物質が発見さ
れ、その一部は実用化されている。臨床で使用されてい
る抗菌剤には優れたものが各種知られているが、更に効
果や安全性の面からも、もう一段の改良が望まれてい
る。一方、癌は現代の死亡原因の上位を占めている。癌
治療薬を目指し数多くの抗腫瘍物質が発見され、その一
部は実用化されている。しかし、より優れた抗腫瘍効果
を有する物質、既存物質とは異なる作用点を有する物
質、特に安全性の優れた物質などが新しい抗癌剤として
熱望されている。また、近年増加傾向にあるアレルギー
疾患、自己免疫疾患などの一群の病態に種々の免疫抑制
剤が使用され、その効果に注目が集まっている。免疫抑
制剤は、臓器移植の際に生ずる拒絶反応の抑制のために
開発された経緯を有するが、年々その重要性は増してい
る。しかし、この分野における有効な薬剤は種類が限ら
れており(BIO INDUSTRY 15, 29-35, 1998)、しかも作
用点に類似が認められ、更に副作用の問題もあるため、
より優れた新規物質の開発が強く望まれている。
【0004】このような状況下でより優れた抗菌剤、抗
癌剤、免疫抑制剤などの種々の医薬品が求められ、それ
らの探索及び開発研究が精力的に行われている。
【0005】その一方で、従来行われてきた薬効を特定
する探索研究とは異なり、得られた新規化合物の特徴的
な作用を明確化し、そこから可能性のある薬効や利用法
を見出すことも、これまでにない医薬品を開発するには
有効な手段である。
【0006】本新規化合物はシデロフォア作用を有す
る、すなわち、シデロフォアによりキレートされたFe3+
は細胞表層に存在するシデロフォア受容体を介して細胞
内に取り込まれることから、シデロフォアは微生物がFe
3+を効率良く細胞内に取り込むために利用されると考え
られている。シデロフォアはその作用に基づいた種々の
利用法、例えば鉄過剰に対する薬としての使用(Vnitr.
Lek. 40, 605, 1994)、抗菌剤の菌体内取り込み促進を
目的とした試みとして抗菌剤とシデロフォアの併用(APM
IS 102, 219, 1994)や抗菌剤とシデロフォアの結合物質
の開発(Chem. Rev. 89, 1563, 1989、Acc. Chem. Res.
26, 241, 1993)、更には抗マラリア作用(J. Lab. Clin.
Med. 127, 574, 1996)などの可能性が報告されてい
る。シデロフォアにはこれらの作用が期待されるのは勿
論のことであるが、これまでに見出されてきたシデロフ
ォアは種類が限られている(J. Peptide Sci. 4, 174, 1
998)ため、実用化に至ったものは十分あるとは言い難
い。実際に鉄過剰に対する薬となったのはdesferrioxam
ineだけであり、しかもその投与法には制限があるなど
の欠点がある。よって、新規なシデロフォア化合物TM
−Aに対する期待が高まっている。また、シデロフォア
はこれらの用途以外にも他の応用が期待される物質群と
位置付けることが出来る(Schweiz. Med. Wochenschr.
113, 1428, 1983)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
当業界における要望に応えるためになされたものであっ
て、従来既知の物質よりも更にすぐれた新規物質を開発
する目的でなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な生
理活性物質を得ることを目的として、天然物、特に微生
物の代謝産物について広く検索を行い、抗菌性を有する
物質について検索を行った結果、新規な菌株Actinomadu
ra madurae IFM 0745株(FERM P-17734)が培養液中に
目的とする性質を有する物質を蓄積することを発見し
た。そして更に本物質についてその物理化学的性質を詳
細に調べ、化学構造を明らかにしたところ、従来未知の
新規物質であることが確認された。本物質は請求項1〜
4に記載した様に、一般式(1)で示されるペプチド系
の新規化合物であった。発明者らは該化合物をTM−A
と命名し、更にRに応じてそれぞれTM−A1、TM−
A2、TM−A3と命名した。
【0009】すなわち、本発明は、下記化5に示される
一般式(1)を有する新規な化合物TM−A又はその医
薬的に許容し得る塩に関するものである。
【0010】
【化5】
【0011】本発明において、塩とは、ナトリウム塩や
カリウム塩といったアルカリ金属塩、カルシウム塩やマ
グネシウム塩といったアルカリ土類金属塩、塩酸塩、硫
酸塩、硝酸塩等の無機酸塩のほか、各種有機酸塩、アミ
ン塩やピリジニウム塩等の有機塩等、医薬的に許容され
る塩がすべて包含される。
【0012】また、本発明は、新規ペプチド系化合物T
M−A又はその薬理学的に許容される塩を有効成分とす
る抗菌剤、抗癌剤、免疫抑制剤などに関するものであ
る。以下、本発明について詳述する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る化合物TM−A1〜
3の物理化学的性質を、下記表1に示した。
【0014】 (表1) 第1表 化合物TM−A1〜3の物理化学的性質 ──────────────────────────────────── TM−A1 TM−A2 TM−A3 ──────────────────────────────────── (1)分子量 605 623 623 (2)分子式 C27H39N7O9 C27H41N7O10 C27H41N7O10 (3)マススペクトル FAB-MS(m/z) 606(M+H)+ 624(M+H)+ 624(M+H)+ HR-FABMS(m/Z) observed 606.2859(M+H)+ 624.2997(M+H)+ caluculated 606.2831 624.3001 (forC27H40N7O9) (forC27H42N7O10) (4)比旋光度[α]D -4.06 (5)紫外吸収スペクトル (UVλmax,nm) 254, 323 239, 297 237, 306 ────────────────────────────────────
【0015】また、TM−A1の1H及び13C核磁気共
鳴(NMR)スペクトルにおける有意なシグナルは下記
表2に示した通りである。
【0016】
【0017】本発明に係る化合物TM−Aは、例えば新
規なActinomadura madurae IFM 0745株(FERM P-1773
4)によって生産される。
【0018】Actinomadura madurae IFM 0745株は、形
態学的には放線菌に特徴的な分岐した長い菌糸と気中菌
糸を有していた。そこで、放線菌の属の決定に広く用い
られる、化学分類的手法による検討を行った。
【0019】本菌株を2%グルコースを含むブレイン・
ハート・インフュージョン液体培地中で、250rp
m、30℃、72時間振とう培養後、生育した菌体を遠
心分離(3000rpm、10分間)で集め、蒸留水で
2回洗浄した。更に菌体をエタノールで洗い、次いで、
真空乾燥し、乾燥菌体とした。この乾燥菌体の細胞壁成
分(ジアミノピメリン酸(DAP)、細胞壁構成糖)、
脂質組成をBergey's Manual of Detaminative Bacterio
logy 9th ed, Williams & Willkins, Baltimore,1993に
基づいて分析した。アミノ酸分析結果よりmeso−D
AP、糖分析結果よりマジュロースが検出された。ま
た、脂質分析ではミコール酸の存在は確認されなかっ
た。電子伝達系の成分であるインプレノイドキノンは主
たる成分としてMK−9(H6)が確認された。これら
の結果から本菌はActinomadura属に属すると考えられ
た。更に、本菌の種を決定するため生理生化学的性質を
検討した(下記表3)。
【0020】 (表3) 第3表 Actinomadura madurae IFM 0745の生理生化学的性質 ──────────────────────────────────── 分解性 アルブチン 陽性 エスクリン 陽性 炭素源の資化性及び酸の生成 資化性 酸生成 アラビノース 陽性 陽性 フルクトース 陽性 陽性 ガラクトース 陽性 陽性 グルコース 陽性 陽性 グリセロール 陽性 陽性 ラクトース 陽性 陽性 マンニトール 陽性 陽性 マンノース 陽性 陽性 ラムノース 陽性 陽性 キシロース 陽性 陽性 抗生物質に対する感受性 イミペネム 陽性 トブラマイシン 陽性 5−FU 陰性 カナマイシン 陽性 ペニシリンG 陰性 アンピシリン 陰性 β−ラクタマーゼ生産 陽性 45℃の生育 陽性 ────────────────────────────────────
【0021】上記に示したように、アルブチン及びエス
クリンの分解能を有することや各種炭素源の利用能のパ
ターンから、本菌株をActinomadura maduraeと同定し
た。
【0022】このように本菌株は、Actinomadura madur
aeに分類されるが、化合物TM−Aを生産することで極
めて特徴的であるので、これを新菌株としてActinomadu
ra madurae IFM 0745と命名し、工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託した(FERM P-17734)。したがっ
て、本発明は、一般式(1)に示した新規化合物TM−
Aを生産する新規菌株Actinomadura madurae IFM 0745
株に関するものである。
【0023】本発明に係る化合物TM−Aは、新規なAc
tinomadura madurae IFM 0745株(FERM P-17734)によ
って生産されるほか、Actinomadura属に属する他の菌株
によっても生産されることが確認されている。化合物T
M−Aの生産はこれらの微生物のみに限定されるもので
はなく、これらの微生物からX線照射、紫外線照射、γ
線照射、ナイトロジェンマスタード、N−メチル−N'
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、2−アミノプリ
ン、エチルメタンスルホネート等を使用した変異処理に
より取得できる人工変異株ならびに自然変異株を含めて
化合物TM−Aを生産しうるすべての菌株の使用も広く
包含するものである。
【0024】本発明に係る一般式(1)で示される新規
化合物TM−Aは、化学合成法によって製造できるほ
か、上記のように微生物によっても製造することができ
る。
【0025】後者の場合、本発明に係る一般式(1)で
示される新規化合物TM−Aは、Actinomadura属に属す
る該化合物生産菌、例えばActinomadura madurae IFM 0
745が資化しうる炭素源及び窒素源を含む培地で培養し
て製造することが出来るが、好気的深部培養条件(例え
ば振とう培養、通気撹拌培養等)で生産せしめることが
好ましい。
【0026】炭素源としては、グルコース、グリセロー
ル、シュークロース、澱粉、デキストリンその他の炭水
化物を使用することが好ましい。窒素源としては、オー
トミール、イースト抽出物、牛肉抽出物、ツナ肉抽出
物、ペプトン、グルテンミール、綿実粉、大豆ミール、
コーンスティープリカー、乾燥イースト、小麦胚芽、落
花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)、尿素、アミノ
酸等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用すること
が出来る。
【0027】これらの炭素源及び窒素源は併用すること
が有利であるが、必ずしも純粋なものを使用する必要は
ない。純粋でないものには、生長因子や微量要素が含ま
れているため、これを使用することが望ましい為であ
る。必要ならば、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウ
ム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等のような無機
塩類を培地に添加することが出来る。必要ならば、特
に、培地が発泡するのであれば、液体パラフィン、動物
油、植物油、鉱物油、シリコン等の消泡剤を加えること
が出来る。
【0028】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気撹拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。また、培養を大きなタンクで行う場合、
化合物TM−Aの生産工程において菌の生育遅延を防止
するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を接種し
前培養した後、次に培養物を大きな生産タンクに移して
そこで生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に
使用する培地及び生産培養に使用する培地の組成は、両
者とも同一であってもよいし必要あれば両者を変えても
よい。
【0029】培養は、通気撹拌条件で行うのが好まし
く、例えば振とう、プロペラやその他機械による撹拌、
ファーメンターの回転、ポンプ処理または空気の吹込み
等既知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌し
ておくのが良い。
【0030】培養温度は、化合物TM−A生産菌が本物
質を生産する範囲で適宜変更しうるが、通常は10〜4
0℃、好ましくは25〜35℃で培養するのがよい。培
養時間は、培養条件や培養量によっても異なるが、通常
は約1日〜1週間である。
【0031】発酵終了後、培養物から目的とする化合物
TM−Aを回収する。すなわち、菌体は、直接水及び/
又は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機械的に又
は超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水及び/又
は有機溶媒で抽出した後、既法に従って回収、精製す
る。培養液の場合は、直接、溶媒で抽出してもよいし、
また、培養液の濾過又は遠心分離後、減圧濃縮、凍結乾
燥、pH調節、アニオン又はカチオン交換樹脂、活性
炭、粉末セルロース、シリカゲル、アルミナ、吸着性樹
脂等の担体に接触させて化合物TM−Aを吸着させた
後、これを担体から溶出させればよい。
【0032】回収、精製方法としては、抗生物質採取の
際の常法が適宜利用され、例えば、水、有機溶媒これら
の混合溶媒による溶媒抽出;クロマトグラフィー;単一
溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が適宜単独である
いは組合わせて使用できる。
【0033】化合物TM−A1の回収、精製は上記の様
に既知の方法を適宜利用して行うが、例えば次の様にし
てもよい。先ず、培養物を遠心分離または濾布で菌体を
除去後、Diaion HP20カラムクロマトグラフィーに供
し、吸着させ、水とメタノールの混合溶媒で段階的溶出
操作を行い、得られた画分を逆相クロマトグラフィーに
より分画精製し、必要があれば凍結乾燥すればよい。
【0034】本発明化合物TM−Aを医薬品として投与
する場合、本発明化合物をそのまま又は医薬的に許容さ
れる無毒性かつ不活性の担体中に、例えば、0.1%〜
99.5%好ましくは0.5%〜90%含有する医薬組
成物として投与される。
【0035】担体としては、固形、半固形、又は液状の
希釈剤、充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が
用いられる。医薬組成物は、投与単位形態で投与するこ
とが望ましい。本発明医薬組成物は、経口投与、組織内
投与、局所投与(経皮投与等)、又は経直腸的に投与す
る事ができるが、外用剤としても使用できる。これらの
投与方法に適した剤型で投与されるのはもちろんであ
る。
【0036】医療剤としての用量は、年齢、体重等の患
者の状態、投与経路、病気の性質と程度等を考慮した上
で調整することが望ましいが、通常は、成人に対して本
発明の有効成分量として、一日当たり、10〜200m
g範囲が一般的である。場合によっては、これ以下で足
りるし、また逆にこれ以上の用量を必要とする事もあ
る。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与す
ることが望ましい。なお本化合物を1日当り500mg
ラットに対して経口投与したが、10日間経過後におい
ても急性毒性は認められず、安全性が認められた。
【0037】経口投与は固形又は液状の用量単位、例え
ば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ
剤、舌下錠その他の剤型によって行う事ができる。
【0038】末剤は、活性物質を適当な細かさにする事
により製造される。散剤は活性物質を適当な細かさと成
し、次いで同様に細かくした医薬用担体、例えば、澱
粉、マンニトールの如き可食性炭水化物その他と混合す
ることにより製造される。必要に応じて風味剤、保存
剤、分散剤、着色剤、香料その他のものを混じても良
い。
【0039】カプセル剤は、まず粉末状となった末剤や
散剤あるいは顆粒化したものを、例えばゼラチンカプセ
ルのようなカプセル外皮の中へ充填することにより製造
される。滑沢剤や流動化剤、例えばコロイド状のシリ
カ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム、固形のポリエチレングリコールの如きもの
を粉末状態のものに混合し、然るのちに充填操作を行う
事もできる。崩壊剤や可溶化剤、例えばカルボキシメチ
ルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加
すれば、カプセル剤が摂取された時の医薬品の有効性を
改善できる。また、本品の微粉末を植物油、ポリエチレ
ングリコール、グリセリン、界面活性剤中に懸濁分散
し、これをゼラチンシートで包んで軟カプセル剤とする
こともできる。
【0040】錠剤は粉末混合物を作り、顆粒化若しくは
スラグ化し、次いで崩壊剤又は滑沢剤を加えたのち打錠
することにより製造される。
【0041】粉末混合物は、適当に粉末化された物質を
上述の希釈剤やベースと混合し、必要に応じ結合剤(例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコールなど)、溶解遅延化剤(例えばパラフィンな
ど)、再吸収剤(例えば四級塩)及び/又は吸着剤(例
えばベントナイト、カオリン、リン酸ジカルシウムな
ど)を併用してもよい。粉末混合物は、まずシロップ、
でんぷん糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高分子
物質溶液などの結合剤で湿らせ、次いで篩を強制通過さ
せて顆粒とする事ができる。このように粉末を顆粒化す
るかわりに、まず打錠機にかけたのち、得られる不完全
な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能であ
る。
【0042】このようにして作れる顆粒は、滑沢剤とし
てステアリン酸塩、タルク、ミネラルオイルその他を添
加することにより、互いに付着する事を防ぐ事ができ
る。このように滑沢化された混合物を、次いで打錠す
る。また薬物は、上述のように顆粒化やスラグ化の工程
を経ることなく、流動性の不活性担体と結合したのちに
直接打錠しても良い。シェラックの密閉被膜からなる透
明又は半透明の保護被膜、糖や高分子材料の被覆、及び
ワックスよりなる磨上被覆の如きも用いうる。
【0043】他の経口投与剤型、例えば溶液、シロッ
プ、エリキシルなどもまたその一定量が含有するように
用量単位形態とする事ができる。シロップは、化合物を
適当な香味化水溶液に溶解して製造され、またエリキシ
ルは非毒性のアルコール性担体中に分散させることによ
り処方される。可溶化剤や乳化剤(例えばエトキシ化さ
れたイソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレン
ソルビトールエステル類)、保存剤、風味賦与剤(例え
ばペパーミント油、サッカリン)その他もまた必要に応
じて添加できる。必要とあれば、経口投与のための用量
単位処方はマイクロカプセル化してもよい。該処方はま
た被覆をしたり、高分子・ワックス等中にうめ込んだり
することにより作用時間の延長や持続放出をもたらす事
もできる。
【0044】非経口的投与は、皮下・筋肉内又は静脈内
注射用としたところの液状用量単位形態、例えば溶液や
懸濁剤の形態を用いることによって行いうる。これらの
ものは、化合物の一定量を、注射の目的に適合する非毒
性の液状担体、例えば、水性や油性の媒体に懸濁し又は
溶解し、次いで該懸濁液又は溶液を滅菌することにより
製造される。あるいは化合物の一定量をバイアルにと
り、然るのち該バイアルとその内容物を滅菌し密閉して
も良い。投与直前に溶解又は混合するために、粉末又は
凍結乾燥した有効成分に添えて、予備的なバイアルや担
体を準備しても良い。注射液を等張にするために非毒性
の塩や塩溶液を添加しても良い。さらに安定剤、保存
剤、乳化剤の如きものを併用する事もできる。
【0045】直腸投与は、化合物を低融点の固体、例え
ばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級エステル類
(例えばパルミチン酸ミリスチルエステル)及びそれら
の混合物を混じた座剤を用いることによって行いうる。
また、外用剤として直接患部に適用することも可能であ
る。
【0046】以下、本発明を実施例で更に詳しく説明す
るが、本発明は実施例によって限定されるものではな
い。
【0047】
【実施例1:発酵生産及び回収精製】培養に使用する全
ての培地及びその容器は、オートクレープ滅菌(121
℃、15分間)してから使用した。
【0048】Actinomadura madurae IFM 0745株(FERM
P-17734)をグルコース1%、グリセロール1%、ポリ
ペプトン1%、ツナ肉エキス0.5%、pH7.0から
なる培地5mlを分注した10ml容三角フラスコに接
種し30℃、回転数250rpmで72時間培養した。
これを更に、同培地125mlを分注した500ml容
三角フラスコ(80本)に1.25ml接種し、30
℃、250rpm、90時間培養した。
【0049】得られた培養物10Lを遠心分離(300
0rpm、10分間)し菌体を除去後、上清をDiai
on HP20カラムクロマトグラフィー(カラムサイ
ズ;5cm×10cm)に供し、水、50%メタノー
ル、100%メタノール(各0.5L)で溶出した。1
00%メタノール溶出画分をエバポレーターで濃縮し、
凍結乾燥を行った。得られた標品を高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)で更に分画精製した。HPLCに
よる分画精製にはCOSMOSIL 5C18−ARI
I(10mm×250mm)カラムを用い、溶出はメタ
ノール:0.1%トリフルオロ酢酸(4:6)を使用
し、流速4ml/分で行った。検出は254nmの吸光
度で行い、保持時間5〜15分の間にTM−A2、A
3、A1の順で溶出された。それぞれの画分を回収、エ
バポレーターで濃縮乾固を行い、精製標品として60.
5mgのTM−A1、3mgのTM−A2、6.5mg
のTM−A3を得た。
【0050】
【実施例2:抗菌活性】実施例1で製造したTM−A1
について、Micrococcus luteusに対する抗菌活性を測定
した。日本化学療法学会が提案した方法(CHEMOTHERAPY
38, 103, 1990)に基づいて最小生育阻止濃度(MI
C)を測定した結果、MICは6.25μg/mlであ
り、本物質が抗菌活性を有することが明らかになった。
【0051】
【実施例3:抗癌活性】ヒト由来の培養腫瘍細胞株であ
るHL−60とMDA−MB−231に対するTM−A
1の細胞毒性(in vitro抗癌活性)を以下の方法で測定
した。
【0052】TM−A1をメタノールに溶解後、滅菌水
を用いて段階希釈を行うことで種々の濃度のTM−A1
液を調製した。リンパ球癌細胞であるHL−60はRP
MI1640培地、乳癌細胞であるMDA−MB−23
1はダルベッコ改変MEM培地(いずれも10% fetal
bovine serumを含む)でそれぞれ細胞懸濁液(5×1
4cells/ml)を調製した。TM−A1液20
μlと細胞懸濁液180μlを96穴マイクロプレート
に分注し37℃、5%CO2−95%空気の湿潤環境下
で培養した。72時間後、3−(4,5−ジメチルチア
ゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウ
ムブロマイド(MTT)を用いた色素定量法により細胞
の生育を測定した。すなわち、2mg/ml MTT溶
液を20μlずつ各ウェルに添加し、4時間、37℃で
培養した後、50%ジメチルホルムアミド、20%ドデ
シル硫酸ナトリウム溶液(pH4.7)を50μl加
え、細胞内に形成しているホルマザン結晶を溶解し、マ
イクロプレート吸光光度計(イムノリーダー)を用いて
570nmの吸光度を測定した。以下の式より生育抑制
率を算出し検体濃度と抑制率の関係から50%生育を阻
害する検体濃度(IC 50値)を求めた。
【0053】抑制率(%)=(1−Q)×100 但しQ=被検体を添加した場合の吸光度/被検体未添加
の場合の吸光度
【0054】その結果、HL−60に対するTM−A1
のIC50値は17μg/ml、またMDA−MB−23
1に対するIC50値は50μg/mlであり強い細胞毒
性を有していた。従ってTM−A1は抗腫瘍活性を有し
ているところが確認された。
【0055】
【実施例4:免疫抑制活性】TM−A1のin vitro免疫
抑制活性をマウスリンパ球混合反応で測定した。すなわ
ち、反応細胞としてC57BL/6マウス(H−2b
の脾細胞を、刺激細胞としてBALB/Cマウス(H−
d)の脾臓細胞をマイトマイシンCを処理したものを
用い、混合培養することによって行った。
【0056】反応細胞の調製は、以下の方法で行った。
5〜6週齢のC57BL/6マウスより脾臓を摘出し、
10%熱処理不活性化fetal bovine serum(FBS)を
加えた氷冷RPMI1640培地20ml中でホモゲナ
イズ後、ガーゼ濾過することで単細胞浮遊液を得た。遠
心により回収後、RPMI1640培地4mlに懸濁
し、0.15M塩化アンモニウム、1mM炭酸水素ナト
リウム及び0.1mMエチレンジアミン四酢酸四ナトリ
ウムを含む溶液(pH7.2)6mlを添加して0℃で
1分間インキュベートし、混在する赤血球を除いた。こ
れにRPMI1640培地を加え、遠心分離し、さらに
3回同培地20mlで遠心洗浄後50μM2−メルカプ
トエタノール、10%FBSを含むRPMI1640培
地を用いて5.6×106/mlに調製し、反応細胞浮
遊液とした。
【0057】刺激細胞の調製は、5〜6週齢のBALB
/Cマウスより脾臓を摘出し、同様の方法で調製した脾
臓細胞浮遊液に25μg/mlのマイトマイシンCを添
加し、37℃、30分間インキュベートした。これにR
PMI1640培地20mlを加え、遠心分離し、さら
に3回同培地(20ml)で遠心洗浄後50μM2−メ
ルカプトエタノール、10%FBSを含むRPMI16
40培地を用いて5.6×106/mlに調製し、刺激
細胞浮遊液とした。
【0058】反応細胞液90μlと刺激細胞液90μl
及び実施例3と同様に調製したTM−A1液20μlを
96穴マイクロプレートに加え、37℃、5% CO2
−95%空気の湿潤条件下で96時間培養を行った。リ
ンパ球の幼若化はトリチウム化チミジンの取り込みを測
定することにより調べた。96時間培養後、各ウエルに
25μCiトリチウム化チミジン/ml RPMI16
40を20μl添加し、0.5μCi/ウエルずつパル
ス標識した。4時間インキュベート後、マルチプル試料
収集機を用い、グラスファイバー濾紙上に培養物を集め
た。個々のウエルに対応する濾紙ディスクの放射活性
(cpm)を液体シンチレーション測定法により測定し
た(ベータカウンター使用)。
【0059】幼若化の指標となるトリチウム化チミジン
の取り込みの阻害の度合を、下記の式より抑制率(%)
で求め、検体濃度と、抑制率の関係から50%阻害濃度
(IC50)を算出した。その結果、TM−A1のIC50
は、15μg/mlであり、強い免疫抑制活性を有して
いることが確認された。
【0060】抑制率(%)=(1−P)×100 但しP=被検体を添加した場合の放射活性/被検体未添
加の場合の放射活性
【0061】
【実施例5:製剤化】(1)実施例1で製造した物質T
M−A1 20g、(2)ラクトース80g、(3)コ
ーンスターチ30g、(4)ステアリン酸マグネシウム
2gを原料として用い錠剤を製造した。すなわち、
(1)、(2)及び(3)(但し15g)を混合し、
(3)(但し10g)から調製したペーストとともに顆
粒化した。得られた顆粒に(3)(但し5g)と(4)
を加えよく混合し、この混合物を圧縮錠剤機により圧縮
し、1錠剤当たり有効成分(1)を25mg含有する錠
剤800個を製造した。
【0062】
【発明の効果】本発明は化合物TM−Aを提供するもの
であるが、本化合物は新規物質であって、すぐれた生理
活性を有し、シデロフォア作用に基づく種々の医薬品に
利用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 (C12P 21/02 A //(C12P 21/02 C12R 1:03) C12R 1:03) A61K 37/02 (72)発明者 三上 襄 千葉県山武郡大網白里町大網993−1 (72)発明者 原田 健一 名古屋市名東区植園町3−4−1−118 Fターム(参考) 4B064 AG01 BA07 BH01 BH04 BH05 BH06 BH07 CA03 CE10 DA01 4C084 AA01 AA02 AA07 BA01 BA10 BA15 CA04 CA59 NA14 ZB081 ZB082 ZB261 ZB262 ZB351 ZB352 4H045 AA10 AA20 AA30 BA13 CA11 EA22 EA28 EA29 FA73 GA15 GA25 HA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1に示される一般式(1)を有す
    る化合物TM−A又はその医薬的に許容される塩。 【化1】
  2. 【請求項2】 Rが下記化2で示されることを特徴とす
    る請求項1記載の化合物TM−A1又はその医薬的に許
    容される塩。 【化2】
  3. 【請求項3】 Rが下記化3で示されることを特徴とす
    る請求項1記載の化合物TM−A2又はその医薬的に許
    容される塩。 【化3】
  4. 【請求項4】 Rが下記化4で示されることを特徴とす
    る請求項1記載の化合物TM−A3又はその医薬的に許
    容される塩。 【化4】
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    合物またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする
    抗菌剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    合物またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする
    免疫抑制剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    合物またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする
    抗癌剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4のいずれか1項に記載され
    る1以上の化合物を生産する能力を有する新規菌株Acti
    nomadura madurae IFM 0745(FERM P-17734)。
  9. 【請求項9】 Actinomadura属に属する請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の化合物を生産する菌株を培養し、
    培養物より該化合物を採取することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩の製
    造法。
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