JP2001002613A - 新規モノテルペン系化合物bmt - Google Patents

新規モノテルペン系化合物bmt

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JP2001002613A
JP2001002613A JP11175979A JP17597999A JP2001002613A JP 2001002613 A JP2001002613 A JP 2001002613A JP 11175979 A JP11175979 A JP 11175979A JP 17597999 A JP17597999 A JP 17597999A JP 2001002613 A JP2001002613 A JP 2001002613A
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bmt
formula
nocardia
culture
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JP11175979A
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English (en)
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Akira Nemoto
明 根本
Taiji Tanaka
泰至 田中
Hisayuki Komaki
久幸 小牧
Katsukiyo Yazawa
勝清 矢沢
Noboru Mikami
襄 三上
Masashi Tsuda
正史 津田
Junichi Kobayashi
淳一 小林
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Higeta Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higeta Shoyu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 下記化1に示される一般式(1)を有す
る化合物BMT又はその医薬的に許容される塩。 【化5】 (式中、R1はH又は−CH3、R2は−CH2OH又は−
CO2CH3である。) 【効果】 すぐれた抗腫瘍作用、抗菌作用を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規化合物BMT
(一般式(1)を有する化合物、例えばBMT−1、
2、3又はこれらの2種以上の混合物)、その製造法及
び用途に関するものである。新規化合物BMTは、微生
物、特に放線菌の培養物から分離採取された従来未知の
新規モノテルペン系化合物であって、すぐれた生理活
性、特にすぐれた抗腫瘍作用、抗菌作用を有するもので
ある。従って、本発明に係る新規モノテルペン系化合物
は、抗腫瘍剤、抗菌剤としてこれら疾病の予防及び/又
は治療剤として有効に利用することが出来る。
【0002】
【従来の技術】抗腫瘍剤、抗菌剤として数多くの新規化
合物が発見され、また新規化合物が合成され、その一部
は実用化されている。たしかに従来より知られている抗
腫瘍剤及び抗菌剤にはすぐれたものが各種知られている
が、効果はもとより、安全性、生産性の面からもう一段
の改良が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
当業界における要望に応えるためになされたものであっ
て、抗腫瘍剤、抗菌剤の技術開発の流れに沿いスクリー
ニングを重ねた結果、今迄に知られていない新規な化合
物に抗腫瘍活性及び抗菌活性があることを見い出し、本
発明を完成させた。本発明は、従来既知の物質より更に
すぐれた抗腫瘍活性及び抗菌活性を有する新規な化合物
を提供する目的でなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な抗
腫瘍作用を有する物質を得ることを目的として、天然
物、特に微生物の代謝産物について広く検索を行い、よ
り有効な抗腫瘍作用、抗菌作用を有する物質について検
索を行った結果、Nocardia brasiliensis IFM 0667株の
菌体抽出物中に目的とする作用を有する物質を見出し、
本物質についてその物理化学的性質を詳細に調べ化学構
造を明らかにしたところ、従来知られていない新規物質
であることが確認された。本物質は請求項1〜4に記載
した様に、一般式(1)で示されるモノテルペン系の新
規な化合物であった。そこで発明者らは、本化合物をB
MT−1、2、3と命名した。
【0005】すなわち本発明は、下記化2〜4に示され
る式(2)〜(4)を有する新規な化合物BMT又は医
薬的に許容し得る塩に関するものである。
【0006】
【化2】
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】また、本発明は、新規モノテルペン系化合
物BMT又はその医薬的に許容される塩(カリウム、ナ
トリウム、カルシウム、マグネシウム、ピリジニウム、
アミン、塩等医薬において常用される塩)を有効成分と
する新規抗腫瘍剤及び抗菌剤にも関するものである。以
下、本発明について詳述する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る化合物BMTの物理
化学的諸性質は、下記表1〜表3に示される。
【0011】 (表1) BMT−1の物理化学的諸性質 (1)物質の色及び状態 無色油状 (2)赤外吸収スペクトル IR(neat)νmax: 3370(br), 2920, 1620cm-1 (3)紫外吸収スペクトル UV(EtOH)λmax: 279(ε2500), 226(6000)nm (4)分子量 260 (5)分子式 C17H24O2 (6)マススペクトル HREIMS m/z 実測値: 260.1787(M+) 計算値: 260.1777(C17H24O2) (7)溶解性 ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、 エタノール、メタノールに可溶。 水に不溶。
【0012】 (表2) BMT−2の物理化学的諸性質 (1)物質の色及び状態 無色油状 (2)赤外吸収スペクトル IR(neat)νmax: 3325(br), 2925, 1725cm-1 (3)紫外吸収スペクトル UV(EtOH)λmax: 280(ε3500), 245(8000)nm (4)分子量 288 (5)分子式 C18H24O3 (6)マススペクトル HREIMS m/z 実測値: 288.1722(M+) 計算値: 288.1725(C18H24O3) (7)溶解性 ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、 エタノール、メタノールに可溶。 水に不溶。
【0013】 (表3) BMT−3の物理化学的諸性質 (1)物質の色及び状態 無色油状 (2)赤外吸収スペクトル IR(neat)νmax: 2930, 1720cm-1 (3)紫外吸収スペクトル UV(EtOH)λmax: 279(ε4000), 250(10000)nm (4)分子量 302 (5)分子式 C19H26O3 (6)マススペクトル HREIMS m/z 実測値: 302.1819(M+) 計算値: 302.1882(C19H26O3) (7)溶解性 ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、 エタノール、メタノールに可溶。 水に不溶。
【0014】化合物BMTの1H NMR及び13C NM
Rスペクトルの内、有意なシグナルは、図1に示され
る。
【0015】本発明に係る化合物BMTは、例えばNoca
rdia brasiliensis IFM 0667株(FERM BP-6727)によって
生産される。
【0016】Nocardia brasiliensis IFM 0667株の菌学
的性質は、形態学的にはオートミール寒天培地(ISP
−3)で培養した時、アクチノミセーテス(Actinomyce
tes)の一種に見られる様な分岐した長い菌糸と気中菌
糸体を有していた。また、培養時間を長くすることによ
って、桿菌様胞子が数個と気中菌糸断列および栄養菌糸
の断列が観察された。栄養菌糸断列が観察されたことか
ら形態学的にNocardia属に属するものと推定された。各
種培地でのNocardia brasiliensis IFM 0667株の培養的
性質を下記表4に示した。また、生理生化学的性質につ
いては下記表5に示した。
【0017】 表4 Nocardia brasiliensis IFM 0667の培養的性質 ──────────────────────────────────── 培 地 特 性 ──────────────────────────────────── ISP-1 豊富な生育、表面にしわ、黄色 (トリプトン・酵母エキス寒天) コロニー周辺に白色の気中菌糸 ISP-2 豊富な生育、表面にしわ、茶色 (イースト・麦芽寒天) 旺盛な白色気中菌糸 ISP-3 中程度の生育、平滑な表面、白黄色 (オートミール寒天) 旺盛な白色気中菌糸 ISP-6 中程度の生育、表面にしわ、黄色 (ペプトン・イースト鉄寒天) 微量の気中菌糸 ISP-7 微量な生育、表面にしわ、茶色 (チロシン寒天) BHI 豊富な生育、表面にしわ、橙色 (ブレインハート・ 微量の気中菌糸 インフュージョン寒天) NB 豊富な生育、表面にしわ、赤茶色 (ニュートリエント寒天) 微量の気中菌糸 ────────────────────────────────────
【0018】 (表5) Nocardia brasiliensis IFM 0667の生理生化学的性質 ──────────────────────────────── (分解性) アデニン 陽性 カゼイン 陽性 ヒポキサンチン 陽性 チロシン 陽性 キサンチン 陰性 (糖からの酸産生) ガラクトース 陽性 グルコース 陽性 イノシトール 陽性 ラムノース 陰性 マルトース 陰性 アドニトール 陰性 アラビノース 陰性 エリスリトール 陰性 マンノース 陰性 ソルビトール 陰性 (クエン酸の利用) 陽性 (抗生物質に対する感受性) イミペネム 陰性 トブラマイシン 陽性 5−FU 陰性 カナマイシン 陰性 (β−ラクタマーゼ生産) 陽性 (45℃での生育) 生育しない ────────────────────────────────
【0019】本菌株を培地(2%グルコースを含むブレ
インハート・インフュージョン)中で、攪拌数250r
pmで30℃、72時間振とう培養し、培地中に生育し
た菌体を遠心分離(3000rpm×10分)で集め、
蒸留水で2回洗浄した。更に菌体をエタノールで洗い、
次いで真空乾燥し、乾燥菌体とした。この乾燥菌体の細
胞壁のアミノ酸組成、糖組成、脂質組成をBergey's Man
ual of DeterminativeBacteriology 9th ed., William
s, Baltimore, 1993に基づいて調べた。アミノ酸分析の
結果よりメソ-ジアミノピメリン酸、糖分析結果よりア
ラビノース、ガラクノースが検出された。また脂質分析
の結果からミコール酸の存在が確認され、そのType
はNocardia Typeであった。菌体脂質成分であるイソプ
レノイド・キノンは主たる成分としてMK-8(H4)cycleが
確認された。また、表5に示したアデニン、カゼイン、
ヒポキサンチン、チロシンの資化性、さらには糖から酸
の生成パターン及び抗菌剤に対する感受性のパターン
(Mikami&Yazawa, Susceptibility pattern of pathog
enic Nocardia to some selected antimicrobial agent
s and their usefulness in the identification work
in a clinical laboratory:Bull. JFCC「日本微生物株
保存連盟会誌」5 : 89、1989)から、本菌株はNocardia
brasiliensisと同定された。
【0020】この様に本菌株は、Nocardia brasiliensi
sに分類されるが、化合物BMTを生産することで特徴
的であり、これをNocardia brasiliensis IFM 0667と命
名し、工業技術院生命工学工業技術研究所に国際寄託し
た(FERM BP-6727)。
【0021】本発明に係る化合物BMTは、Nocardia b
rasiliensis IFM 0667(FERM BP-6727)株によって生産
されるほか、Nocardia属に属する他の菌株によっても生
産されることが確認されており、化合物BMTの生産は
これらの微生物からX線照射、γ線照射、ナイトロジェ
ンマスタード、N-メチ-N′-ニトロ-N-ニトロソグア
ニジン、2-アミノプリン、エチルメタンスルホネート
等の変異剤処理により取得できる人工変異株ならびに自
然変異株を含めて化合物BMTを生産しうるすべての変
異株の使用も広く包含するものである。
【0022】本発明に係る式(2)〜(4)で示される
新規化合物BMTは、化学合成法によって製造できるほ
か、上記のように微生物によっても製造することができ
る。
【0023】後者の場合、本発明に係る一般式(1)で
示される新規化合物BMTはNocardia属に属する該化合
物生産菌、例えばNocardia brasiliensis IFM 0667が資
化しうる炭素源及び窒素源を含む培地で培養して製造す
ることが出来るが好気的深部培養条件(例えば振とう培
養、通気攪拌培養等)で生産せしめることが好ましい。
【0024】炭素源としては、グルコース、グリセロー
ル、シュークロース、澱粉、デキストリンその他の炭水
化物を使用することが好ましい。窒素源としては、オー
トミール、イースト抽出物、牛肉抽出物、ツナ肉抽出
物、ペプトン、グルテンミール、綿実粉、大豆ミール、
コーンスティープリカー、乾燥イースト、小麦胚芽、落
花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)、尿素、アミノ
酸等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用すること
が出来る。
【0025】これらの炭素源及び窒素源は併用すること
が有利であるが、必ずしも純粋なものを使用する必要は
ない。純粋でないものには、生長因子や微量要素が含ま
れているため、これを使用することが望ましい為であ
る。必要ならば、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウ
ム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等のような無機
塩類を培地に添加することが出来る。必要ならば、特
に、培地が発泡するのであれば、流動パラフィン、動物
油、植物油、鉱物油、シリコン等の消泡剤を加えること
が出来る。
【0026】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気攪拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。また、培養を大きなタンクで行う場合、
化合物BMTの生産工程において菌の生育遅延を防止す
るため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を接種培養
した後、次に培養物を大きな生産タンクに移してそこで
生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に使用す
る培地及び生産培養に使用する培地の組成は、両者とも
に同一であってもよいし必要があれば両者を変えてもよ
い。
【0027】培養は通気攪拌条件で行うのが好ましく、
例えばプロペラやその他機械による攪拌、ファーメンタ
ーの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹込み等既
知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌してお
くのが良い。
【0028】培養温度は、化合物BMT生産菌が本物質
を生産する範囲で適宜変更しうるが、通常は10〜40
℃、好ましくは25〜35℃で培養するのがよい。培養
時間は培養条件や培養量によっても異なるが、通常は約
1日〜1週間である。
【0029】発酵終了後、培養物から目的とする化合物
BMTを回収する。すなわち、菌体は、直接水及び/又
は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機械的に又は
超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水及び/又は
有機溶媒で抽出し、常法に従って回収、精製する。培養
液の場合は、直接、溶媒で抽出してもよいし、また、培
養液の濾過又は遠心分離後、減圧濃縮、凍結乾燥、pH
調節、アニオン又はカチオン交換樹脂、活性炭、粉末セ
ルロース、シリカゲル、アルミナ、吸着性樹脂等の担体
に接触させて化合物BMTを吸着させた後、これを担体
から溶出すればよい。
【0030】回収、精製方法としては、抗生物質採取の
際の常法が適宜利用され、例えば、水、有機溶媒これら
の混合溶媒による溶媒抽出、クロマトグラフィー、単一
溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が適宜単独である
いは組合わせて使用できる。
【0031】化合物BMTの回収、精製は上記の様に既
知の方法を適宜利用して行うが、例えば次の様にしても
よい。先ず、培養物を遠心分離またはMF膜で処理する
ことによって菌体を集めた後、メタノールで抽出し、こ
の抽出画分を濃縮後、更にジエチルエーテルで抽出す
る。抽出画分を減圧濃縮し、更にシリカゲルクロマトグ
ラフィーに供し、ヘキサン、酢酸エチルで段階的及び/
又は連続的溶出操作を行い分画精製し減圧下で濃縮、乾
固しHPLC(ODSカラム)にて分画精製し濃縮、乾
固すればよい。
【0032】本発明化合物BMTを医薬として投与する
場合、本発明化合物をそのまま又は医薬的に許容される
無毒性かつ不活性の担体中に、例えば、0.1%〜9
9.5%好ましくは0.5%〜90%含有する医薬組成
物として投与される。
【0033】担体としては、固形、半固形、又は液状の
希釈剤、充填剤、及びその他の処方用の助剤一種以上が
用いられる。医薬組成物は、投与単位形態で投与するこ
とが望ましい。本発明医薬組成物は、経口投与、組織内
投与、局所投与(経皮投与等)、又は経直腸的に投与す
る事ができるが、外用剤としても使用できる。これらの
投与方法に適した剤型で投与されるのはもちろんであ
る。
【0034】抗腫瘍剤または抗菌剤としての用量は、年
齢、体重等の患者の状態、投与経路、病気の性質と程度
等を考慮した上で調整することが望ましいが、通常は、
成人に対して本発明の有効成分量として、一日当たり、
10〜2000mg範囲が一般的である。場合によって
は、これ以下で足りるし、また逆にこれ以上の用量を必
要とする事もある。多量に投与するときは、一日数回に
分割して/又は連続的に投与することが望ましい。
【0035】経口投与は固形又は液状の用量単位、例え
ば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ
剤、舌下錠その他の剤型によって行う事ができる。
【0036】末剤は、活性物質を適当な細かさにする事
により製造される。散剤は活性物質を適当な細かさと成
し、次いで同様に細かくした医薬用担体、例えば、澱
粉、マンニトールの如き可食性炭水化物その他と混合す
ることにより製造される。必要に応じて風味剤、保存
剤、分散剤、着色剤、香料その他のものを混じても良
い。
【0037】カプセル剤は、まず粉末状となった末剤や
散剤あるいは顆粒化したものを、例えばゼラチンカプセ
ルのようなカプセル外皮の中へ充填することにより製造
される。滑沢剤や流動化剤、例えばコロイド状のシリ
カ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム、固形のポリエチレングリコールの如きもの
を粉末状態のものに混合し、然るのちに充填操作を行う
事もできる。崩壊剤や可溶化剤、例えばカルボキシメチ
ルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを添加
すれば、カプセル剤が摂取された時の医薬の有効性を改
善する事ができる。また、本品の微粉末を植物油、ポリ
エチレングリコール、グリセリン、界面活性剤中に懸濁
分散し、これをゼラチンシートで包んで軟カプセル剤と
することもできる。
【0038】錠剤は粉末混合物を作り、顆粒化若しくは
スラグ化し、次いで崩壊剤又は滑沢剤を加えたのち打錠
することにより製造される。
【0039】粉末混合物は、適当に粉末化された物質を
上述の希釈剤やベースと混合し、必要に応じ結合剤(例
えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン
酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコールなど)、溶解遅延化剤(例えばパラフィンな
ど)、再吸収剤(例えば四級塩)及び/又は吸着剤(例
えばベントナイト、カオリン、リン酸ジカルシウムな
ど)を併用してもよい。粉末混合物は、まずシロップ、
でんぷん糊、アラビアゴム、セルロース溶液又は高分子
物質溶液などの結合剤で湿らせ、次いで篩を強制通過さ
せて顆粒とする事ができる。このように粉末を顆粒化す
るかわりに、まず打錠機にかけたのち、得られる不完全
な形態のスラグを破砕して顆粒にすることも可能であ
る。
【0040】このようにして作られる顆粒は、滑沢剤と
してステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、ミネラル
オイルその他を添加することにより、互いに付着する事
を防ぐ事ができる。このように滑沢化された混合物を次
いで打錠する。また薬物は、上述のように顆粒化やスラ
グ化の工程を経ることなく、流動性の不活性担体と結合
したのちに直接打錠しても良い。シェラックの密閉被膜
からなる透明又は半透明の保護被膜、糖や高分子材料の
被覆、及びワックスよりなる磨上被覆の如きも用いう
る。
【0041】他の経口投与剤型、例えば溶液、シロッ
プ、エリキシルなどもまたその一定量が含有するように
用量単位形態にする事ができる。シロップは、化合物を
適当な香味化水溶液に溶解して製造され、またエリキシ
ルは非毒性はアルコール性担体中に分散させることによ
り処方される。可溶化剤や乳化剤(例えばエトキシ化さ
れたイソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレン
ソルビトールエステル類保存剤、風味賦与剤(例えばペ
パーミント油、サッカリン)その他もまた必要に応じ添
加できる。必要とあれば、経口投与のための用量単位処
方はマイクロカプセル化してもよい。該処方はまた被覆
をしたり、高分子・ワックス等中にうめ込んだりするこ
とにより作用時間の延長や持続放出をもたらす事もでき
る。
【0042】非経口的投与は、皮下・筋肉内又は静脈内
注射用としたところの液状用量単位形態、例えば溶液や
懸濁剤の形態を用いることによって行いうる。これらの
ものは、化合物の一定量を、注射の目的に適合する非毒
性の液状担体、例えば、水性や油性の媒体に懸濁し又は
溶解し、次いで該懸濁液又は溶液を滅菌することにより
製造される。あるいは化合物の一定量をバイアルにと
り、然るのち該バイアルとその内容物を滅菌し密閉して
も良い。投与直前に溶解又は混合するために、粉末又は
凍結乾燥した有効成分に添えて、予備的なバイアルや担
体を準備しても良い。注射液を等張にするために非毒性
の塩や塩溶液を添加しても良い。さらに安定剤、保存
剤、乳化剤の如きものを併用する事もできる。
【0043】直腸投与は、化合物を低融点の固体、例え
ばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級エステル類
(例えばパルミチン酸ミリスチルエステル)及びそれら
の混合物を混じた座剤を用いることによって行いうる。
【0044】以下、本発明を実施例について更に詳しく
説明するが、本発明は実施例によって限定されるもので
はない。
【0045】
【実施例1】(1)発酵生産 Nocardia brasiliensis IFM 0667株(FERM BP-6727)
を、2%グルコース添加Brain Heart Infusion液体培地
(Difco社製)25mlを50ml容三角フラスコに分
注したものに接種し、30℃、72時間振とう培養し
た。これを更に、同培地200mlを500ml容の三
角フラスコに分注したものに2ml接種し、同様の前培
養を行った。この前培養液(1.5L)をグルコース
2%、肉エキス(和光純薬株式会社)0.5%、ポリペ
プトンP1 0.5%、ポリペプトン(日本製薬株式会
社)0.5%、塩化ナトリウム 0.3%、pH7.0
からなる生産培地150Lを入れた200Lタンク培養
槽に接種し、通気量毎分150L、攪拌数200rp
m、28℃、90時間培養した。
【0046】(2)回収精製 得られた培養液150Lを濾布で濾過することにより菌
体を回収した。菌体にメタノール3Lを加え抽出操作を
行い、この抽出液をエバポレーターで濃縮した。濃縮液
に蒸留水300mlを加え、ジエチルエーテル1Lで3
回分配抽出した。ジエチルエーテル層(3L)をエバポ
レーターで濃縮、乾固し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに供した(カラムサイズ3cm×20cm)。
n-ヘキサン、酢酸エチル40:1、20:1、5:1
各1Lで段階的に溶出した。溶出画分中のBMTの検出
はP388培養細胞を用いた抗腫瘍活性を指標に行い、
活性画分を各々回収しエバポレーターで濃縮、乾固して
BMT−1、2、3を得た。各々の重量は13、3、5
mgであった。
【0047】
【実施例2:抗腫瘍活性】ヒト由来の培養腫瘍細胞株で
あるHL−60、CCRF−CEM、CCRF−SB、
MDA−MB−231の4種に対するBMTのIC50
値より抗腫瘍活性を判定した。
【0048】BMTをメタノールに溶解した後、各培地
を用いて段階希釈を行うことで種々の濃度のBMT液を
調製した。リンパ球癌細胞であるHL−60、CCRF
−CEM、CCRF−SBはRPMI1640培地、乳
癌細胞であるMDA−MB−231はダルベッコMEM
培地(いずれも10%牛血清を含む)でそれぞれ細胞懸
濁液(5×104個/ml)を調製した。BMT液20
μlと細胞懸濁液180μlを96穴マイクロプレート
に分注し、5%CO2、95%空気の湿潤環境下、37
℃で培養した。72時間後、3-(4,5 -ジメチルチア
ゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブ
ロマイド(MTT)を用いた色素定量法により細胞の生
育を測定した。すなわち、2mg/ml MTT溶液を
20μlずつ各ウェルに添加し、4時間、37℃で培養
した後、細胞内に形成しているホルマザン結晶を、50
%ジメチルホルムアミド溶液で作成した20%ドデシル
硫酸ナトリウム溶液を50μl加え溶解し、マイクロプ
レート吸光光度計(イムノリーダー)を用いて570n
mにおける吸光度を測定し生育の指標とした。以下の式
より、生育抑制率を算出し検体濃度と抑制率の関係から
50%生育阻害する検体濃度(IC50値)を求めた。
【0049】抑制率=(1−被検体を添加した場合の吸
光度/被検体未添加の場合の吸光度)×100
【0050】その結果、リンパ球癌細胞に対するBMT
のIC50値は0.51〜1.30μg/mlであり、乳
癌細胞に対するIC50値はBMT−1、2は0.56〜
1.61μg/mlであった(表6)。従ってこれらの
結果から明らかなように、本発明のBMTはすぐれた抗
腫瘍活性を有している。
【0051】 (表6) BMTの腫瘍細胞生育阻害活性 ────────────────────────────────── IC50(μg/ml) cell lines ───────────────────── BMT−1 BMT−2 BMT−3 ────────────────────────────────── HL−60 0.91 0.51 0.60 CCRF−CEM 1.30 0.61 1.21 CCRF−SB 1.27 0.52 0.77 MDA−MB−231 1.61 0.56 >12.5 ──────────────────────────────────
【0052】
【実施例3:抗菌活性】BMTの抗菌活性は、以下のよ
うにして最小発育阻止濃度(MIC)より判定した。下
記に示す各種微生物に対するBMTのMIC値を日本化
学療法学会の規定に基づき(抗生物質大要 第4版 東
京大学出版会 1992)、0.2%グルコースを含む
ミュラーヒントン培地で行った。
【0053】(A) Nocardia asteroides IFM 0319 (B) Gordonia bronchialis IFM 0259 (C) Mycobacterium smegmatis ATCC 607 (D) Bacillus subtilis PCI 189 (E) Micrococcus luteus IFM 2066 (F) Escherichia coli NIHJC-2 (G) Aspergillus niger ATCC 40606 (H) Candida albicans ATCC 90028 (I) Cryptococcus neoformans ATCC 90112
【0054】BMTはメタノールに溶解後、上記培地を
用いて希釈し、0.25mg/ml濃度から2倍希釈を
繰り返し調製した。被検菌は上記培地で1×106cf
u/mlに調製し被検菌液とした。BMT液20μlと
被検菌液180μlを96穴マイクロプレートに分注
し、37℃で培養した。24時間目の生育の可否を目視
によって確認し、MIC値を算出した(表7)。その結
果、BMTのMIC値は、日和見感染菌であるNocardia
asteroides、Gordonia bronchialis、Mycobacterium s
megmatisに対して0.39〜25μg/mlであった
(表7)。
【0055】 (表7) BMTの抗菌活性 ────────────────────────────────── MIC値(μg/ml) 被 検 菌 ────────────────────────── BMT−1 BMT−2 BMT−3 ────────────────────────────────── (A) 3.13 1.56 >25 (B) 0.39 0.78 25 (C) 6.25 6.25 >25 (D) 6.25 1.56 >25 (E) >25 >25 >25 (F) >25 >25 >25 (G) 25 >25 >25 (H) >25 >25 >25 (I) >25 >25 >25 ──────────────────────────────────
【0056】
【実施例4:点滴剤の製造】BMT−1、BMT−2、
BMT−3の等量混合物60mgを5%グルコース溶液
60mlに溶解させ、この溶液を5%グルコース溶液4
40mlに混合して点滴剤とした。
【0057】
【実施例5:錠剤の製造】(1)BMT−1、BMT−
2、BMT−3各50g、(2)ラクトース90g、
(3)コーンスターチ29g、(4)ステアリン酸マグ
ネシウム1gを原料として用い、錠剤を製造した。すな
わち、(1)、(2)及び(3)(但し17g)を混合
し、(3)(但し7g)から調製したペーストとともに
顆粒化した。得られた顆粒に(3)(但し5g)と
(4)を加えてよく混合し、この混合物を圧縮錠剤機に
より圧縮して、1錠あたり有効成分であるBMT−1、
2、3を各々50mg含有する錠剤1000個をそれぞ
れ製造した。
【0058】
【発明の効果】本発明は、化合物BMTを提供するもの
であるが、本発明は新規物質であり、優れた抗腫瘍剤、
抗菌剤等として各種の医薬品等に利用することができ
る。また、ICR系マウス(SPF、オス、体重20
g)各5頭に対して、BMT−1、2、3をそれぞれ1
00mg/日経口投与したが、3週間経過後も死亡例は
認められず、低毒性及び安全性が充分に示唆された。
【図面の簡単な説明】
【図1】BMT(BMT−1、2、3)の13C及び1
核磁気共鳴スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/88 C07C 69/88 69/92 69/92 C12P 7/22 C12P 7/22 7/62 7/62 // C12N 1/20 C12N 1/20 A (C12P 7/62 C12R 1:365) (C12N 1/20 C12R 1:365) (72)発明者 三上 襄 千葉県山武郡大網白里町大網993−1 (72)発明者 津田 正史 札幌市西区八軒10条東3丁目1−1−406 (72)発明者 小林 淳一 札幌市西区八軒2条西4丁目1−14−16 Fターム(参考) 4B064 AC17 AD77 CA03 DA03 DA05 4B065 AA38X AC14 BA22 CA05 CA12 CA44 4C206 AA01 AA02 AA03 CA17 DB17 KA01 KA18 MA01 MA04 NA14 ZB26 ZB35 4H006 AA01 AB03 AB28 BJ50 BN30 BP30 FC50 FE13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1に示される一般式(1)を有す
    る化合物BMT又はその医薬的に許容される塩。 【化1】 (式中、R1はH又は−CH3、R2は−CH2OH又は−
    CO2CH3である。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R1はH、R2
    −CH2OHで示されることを特徴とする請求項1記載
    の化合物BMT−1。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1はH、R2
    −CO2CH3で示されることを特徴とする請求項1記載
    の化合物BMT−2。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、R1は−CH3
    2は−CO2CH3で示されることを特徴とする請求項
    1記載の化合物BMT−3。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化
    合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分とする
    抗腫瘍剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載され
    る化合物またはその薬理的に許容される塩を有効成分と
    する抗菌剤。
  7. 【請求項7】 Nocardia属に属し、請求項1〜4のいず
    れか1項に記載される化合物を生産する該化合物生産菌
    を培養し、培養物より該化合物を採取することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載される化合物ま
    たはその塩の製造法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104803853A (zh) * 2014-01-29 2015-07-29 中国科学院海洋研究所 一种抗海洋弧菌单萜衍生物及其制备方法和应用

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