JPH0665247A - 新規物質キノリドマイシン、その使用および製造 - Google Patents

新規物質キノリドマイシン、その使用および製造

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JPH0665247A
JPH0665247A JP4238894A JP23889492A JPH0665247A JP H0665247 A JPH0665247 A JP H0665247A JP 4238894 A JP4238894 A JP 4238894A JP 23889492 A JP23889492 A JP 23889492A JP H0665247 A JPH0665247 A JP H0665247A
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quinolidomycin
compound
methanol
strain
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JP4238894A
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English (en)
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Haruo Seto
戸 治 男 瀬
Yoichi Hayakawa
川 洋 一 早
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抗腫瘍作用を有する新規な化合物およびその
用途を提供する。 【構成】 次式(I)で示される、化合物キノリドマイ
シンまたはその塩基付加塩。 【化1】 式中、R1 はメチル基または水素原子、R2 は5−ヒド
ロキシ−2−メチルチオ−3,6−ジオキソ−3,6−
ジヒドロフェニル基または3,5,6−トリヒドロキシ
−2−メチルチオフェニル基を表す。上記式(I)に記
載の化合物の少なくとも一種を有効成分として含む抗腫
瘍剤。 ミクロモノスポラ属に属し、キノリドマイシン
の生産能を有する菌株を培養してキノリドマイシンの少
なくとも一種を産生させ、その培養物より化合物キノリ
ドマイシンの少なくとも一種を採取する。この方法によ
り、上記式(I)で示される化合物キノリドマイシンを
製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は新規物質に、さらに詳し
くは抗腫瘍作用を有する新規化合物キノリドマイシン、
それを含む抗腫瘍剤およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】抗腫瘍物質に関しては、すでに多数のも
のが医薬として実用化されている。例えばドキソルビシ
ンは白血病やリンパ腫、あるいは多くの固形腫瘍に対し
て優れた抗腫瘍作用を示すことが知られている。しか
し、一方、多剤耐性をはじめとする耐性癌細胞の出現
や、血液毒性、心臓毒性などの副作用のため癌の克服に
は至っていない。したがって癌化学療法は、異なった作
用を有する複数の制癌剤を投与する多剤併用療法が通常
実施される。一般に化学物質の生理活性はその化学構造
に依存するところが大きいため、抗腫瘍性を有する新規
な化合物に対しては不断の希求があると言えよう。
【0003】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗腫瘍作用
を有する新規化合物を提供することを目的とするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、土壌から
分離したミクロモノスポラ・エスピーJY16株の培養
物から、抗腫瘍作用を有する新規物質キノリドマイシン
を見出し、この知見をもとに本発明を完成させた。すな
わち、本発明による新規化合物は次式(I)で示される
キノリドマイシンまたはその塩基付加塩である。
【化2】 式中、R1 はメチル基または水素原子、R2 は5−ヒド
ロキシ−2−メチルチオ−3,6−ジオキソ−3,6−
ジヒドロフェニル基または3,5,6−トリヒドロキシ
−2−メチルチオフェニル基を表す。本発明は、また、
この化合物の使用に関する。すなわち、本発明による抗
腫瘍剤は、上記式(I)で示される化合物の少なくとも
一種を有効成分として含むものである。本発明は、さら
にまた、この化合物の製造法に関する。すなわち、本発
明による上記式(I)で示されるキノリドマイシンの製
造法は、ミクロモノスポラ属に属しキノリドマイシンの
生産能を有する菌株を培養して式(I)で示されるキノ
リドマイシンの少なくとも一種を産生させ、その培養物
より、化合物キノリドマイシンの少なくとも一種を採取
すること、を特徴とするものである。
【0005】〔発明の具体的説明〕新規物質キノリドマイシン 1)化学構造 本発明による新規物質キノリドマイシンは、前記の一般
式(I)で示される化学構造を有する。この化学構造は
次の物理化学的性状をもとにして決定されたものであ
る。式(I)で示される化合物は、具体的には次式(I
I)〜(IV)で示される化学構造を有するキノリドマイ
シンA1 ,A2 およびB1 である。
【化3】
【化4】
【化5】 2)物理化学的性状 本発明による新規物質キノリドマイシンは、下記のよう
な物理化学的性状を有する。 (1)外観 A1 :橙色粉末、A2 :淡黄色粉末、B1 :橙色粉末 (2)融点 A1 :142〜147℃、A2 :142〜147℃、B
1 :134〜139℃ (3)比旋光度(24℃、c 0.1 クロロホルム−
メタノール 1:1中) A1 :+50°、A2 :+7°、B1 :+50° (4)Rf値(メルク社製「シリカゲル60F254 」使
用) クロロホルム−メタノール(10:1) A1 :0.13、A2 :0.17、B1 :0.11 ベンゼン−クロロホルム−メタノール(3:7:3) A1 :0.61、A2 :0.65、B1 :0.61 (5)高分解能FABマススペクトル(m/z) A1 :1551.8771(M+Na)+ 計算値1551.8778(分子式C83132 23S) A2 :1553.8909(M+Na)+ 計算値1553.8935(分子式C83134 23S) B1 :1537.8699(M+Na)+ 計算値1537.8622(分子式C82130 23S) (6)溶解性 A1 、A2 、B1 :ジメチルスルホキシド、メタノール
に可溶、エタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホ
ルムに微溶、ヘキサン、水に不溶。 (7)紫外吸収スペクトル λmax nm (ε) A1 :232(93,500)、257(42,50
0)268(49,600)、279(37,90
0)、365(6,600)、メタノール中。図1に示
す。 A2 :232(96,600)、257(46,00
0)、268(53,100)、279(38,70
0)、301(6,200)、314(6,300)、
メタノール中。図2に示す。 B1 :232(99,500)、257(42,40
0)、268(48,500)、279(38,30
0)、360(11,200)、メタノール中。図3に
示す。 (8)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) A1 :図4に示す。 A2 :図5に示す。 B1 :図6に示す。 (9)プロトン核磁気共鳴スペクトル(500メガヘル
ツ、重メタノール中) A1 :図7に示す。 A2 :図8に示す。 B1 :図9に示す。 (10)炭素13核磁気共鳴スペクトル(125メガヘ
ルツ、重メタノール中) A1 :図10に示す。 A2 :図11に示す。 B1 :図12に示す。 式(I)(式(II)〜(IV))で示される化合物は、O
H基の位置において塩基付加塩があり得る。本発明によ
る化合物はこの塩基付加塩も包含するものである。塩基
付加塩としては、例えばアルカリ金属化合物(例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)との塩、アルカ
リ土類金属化合物(例えば水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウムなど)との塩、アンモニウム塩、有機塩基
(例えばトリエチルアミン、エタノールアミンなど)と
の塩をあげることができる。塩基付加塩を医薬として使
用する場合には、塩基は薬学上許容されるものでなけれ
ばならないことは言うまでもない。
【0006】キノリドマイシンの製造 1)概要 化合物キノリドマイシンは現在のところ微生物の培養に
よってのみ得られているが、類縁化合物の合成化学的修
飾によって製造することも、あるいは全合成化学的に製
造することもできよう。また遺伝子工学的手法によるこ
ともできよう。すなわち、化合物キノリドマイシンの産
生に関与する遺伝子を適当な微生物に導入し、この様な
形質転換微生物を培養し、この培養物から得ることも可
能であろう。微生物の培養による場合の菌株としては、
例えばミクロモノスポラ属に属するキノリドマイシン生
産能を有するものが使用される。具体的には、本発明者
らの分離したミクロモノスポラ・エスピー(Micromonos
pora sp.)JY16株がキノリドマイシンを生産するこ
とが本発明者らによって明らかにされているが、その他
の菌株については、抗生物質生産菌単離の常法によって
適当なものを自然界より分離することが可能である。ま
た、ミクロモノスポラ・エスピーJY16株を含めてキ
ノリドマイシンの生産菌を放射線照射その他の変異処理
に付して、キノリドマイシンの生産能を高める余地も残
されている。遺伝子工学的手法もまた可能であることは
前記したところである。化合物キノリドマイシンは、常
法によって前記したような塩基付加塩の形にすることが
できる。 2)JY16株 キノリドマイシン生成能を有するミクロモノスポラ属の
菌株として本発明者らの見出しているJY16株は、下
記の内容のものである。 (1)形態 JY16株は、グルコース・アスパラギン寒天培地、グ
リセロール・アスパラギン寒天培地、チロシン寒天培
地、および、イースト・麦芽寒天培地上での生育は、中
程度であるが、シュクロース・硝酸塩寒天培地、スター
チ無機塩寒天培地、栄養寒天培地、およびオートミール
寒天培地上では良く生育する。気菌糸の着生は、いずれ
の培地上でも観察されなかった。基生菌糸は、細く長く
伸張し単純分枝する。また、基生菌糸に着生する胞子の
生育は良好で、形状は単一球形で、直径約0.8μであ
り、その表面は、わずかにこぶ状である。胞子嚢、鞭毛
胞子、菌核などの特殊形態は認められない。 (2)各種培地上の生育 JY16株を各種培地に27℃、3週間培養した結果
は、表1に示す通りである。 (3)生理的性質 JY16の生理的性質は、表2に示す通りである。 (4)炭素源の利用性 JY16の炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒
天培地上)は、表3に示す通りである。 (5)細胞壁の組成 ジアミノピメリン酸は、メソ型が主で、微量の3−ハイ
ドロキシ型を含み、グリシンの存在が認められた。全菌
体糖パターンはD型アラビノースおよびキシロースを含
む。また、ムラミン酸はグリコリル型である。以上の菌
学的性状を要約すると、次の通りである。 (i)気菌糸の着生は、観察されなかった。 (ii)基生菌糸は、細く長く伸長し、単純分枝してい
る。 (iii) 基生菌糸には、単一、球形の胞子の着生が認めら
れる。 (iv)菌体の色調は、橙〜黄味白〜暗い黄茶〜黒色等を
呈する。 (v)チロシン寒天培地、ペプトン・イースト・鉄寒天
培地、およびトリプトン・イースト液体培地のいずれで
も、メラニン様色素は認められない。 (vi)イノシトール、D−マンニトールおよび、ラムノ
ースは、資化されない。
【0007】
【表1】
【0008】
【表2】
【0009】
【表3】 上記性状を、バージーズ・マニュアル・オブ・システマ
ティック・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Sys
tematic Bacteriology)の記載と対比し、形態、細胞壁
の成分等よりミクロモノスポラ属に属する菌株であると
推定した。また、各種試験の結果より、Micromonospora
halophytica subsp. nigra が、JY16菌株に最も近
縁の種として挙げられたが、種を特定するにはいたらな
かった。従って本菌株をMicromonospora sp. JY16
株とし、工業技術院、微生物工業技術研究所に寄託し
て、微工研条寄第3940号(FERM BP −3940)の
寄託番号を得ている。
【0010】培養/キノリドマイシンの生産 化合物キノリドマイシンは、ミクロモノスポラ属に属す
るキノリドマイシン生産菌を適当な培地で好気的に培養
して式(I)で示される化合物キノリドマイシン(キノ
リドマイシンA1 、A2 、B1 )の少なくとも一種を産
生させ、その培養物から産生された化合物キノリドマイ
シンの少なくとも一種を採取することによって(すなわ
ち、産生されたキノリドマイシンが一種の場合にはこの
化合物の一種を、また産生されたキノリドマイシンが複
数種であればこれらの化合物のうちの少なくとも一種を
採取することによって)、製造することができる。培地
は、キノリドマイシン生産菌が利用しうる任意の栄養源
を含有するものでありうる。具体的には、例えば、炭素
源としてグルコース、シュークロース、マルトース、ス
ターチ、グリセロールおよび油脂類などが使用でき、窒
素源として大豆粉、綿実粕、乾燥酵母、酵母エキス、肉
エキス、ポリペプトン、廃糖蜜およびコーンスティープ
リカーなどの有機物ならびにアンモニウム塩または硝酸
塩、たとえば硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウムおよび
塩化アンモニウムなどの無機物が利用できる。また、必
要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム、燐酸塩、
重金属塩など無機塩類を添加することができる。発酵中
の発泡を抑制するために、常法に従って適当な消泡剤、
例えばシリコーン油を添加することもできる。培養方法
としては、一般に行われている抗生物質の生産方法と同
じく、好気的液体培養法が最も適している。培養温度は
20〜37℃が適当であるが、25〜30℃が好まし
い。この方法でキノリドマイシンの生産量は、振盪培
養、通気攪拌培養ともに培養2日間で最高に達する。こ
のようにしてキノリドマイシンの蓄積された培養物が得
られる。培養物中では、キノリドマイシンはその一部は
培養濾液中に存在するが、その大部分は菌体中に存在す
る。このような培養物からキノリドマイシンを採取する
には、合目的的な任意の方法が利用可能である。その一
つの方法は抽出の原理に基くものであって、具体的に
は、培養濾液中のキノリドマイシンについてはこれを水
不混和性のキノリドマイシン用溶媒(前記キノリドマイ
シンの物理化学的性状の項参照)、例えばクロロホルム
などで抽出する方法、あるいは菌体内のキノリドマイシ
ンについては濾過、遠心分離などで得た菌体集体をメタ
ノール、エタノール、アセトンなどで処理して回収する
方法などがある。菌体を分離せずに培養物そのままを上
記の抽出操作に付すこともできる。適当な溶媒を用いた
向流分配法も抽出の範疇に入れることができる。培養物
からキノリドマイシンを採取する他の一つの方法は吸着
の原理に基くものであって、既に液状となっているキノ
リドマイシン含有物、たとえば培養濾液あるいは上記の
ようにして抽出操作を行うことによって得られる抽出液
を対象として、適当な吸着剤、たとえばシリカゲル、活
性炭、「ダイヤイオンHP20」(三菱化成社製)など
を用いて目的のキノリドマイシンを吸着させ、その後、
適当な溶媒にて溶離させることによってキノリドマシイ
ンを得ることができる。このようにして得られたキノリ
ドマイシン溶液を減圧濃縮乾固すれば、キノリドマイシ
ン粗標品が得られる。このようにして得られるキノリド
マイシンの粗標品をさらに精製するためには、上記の抽
出法および吸着法にゲル濾過法、高速液体クロマトグラ
フィーなどを必要に応じて組合せて必要回数行えばよ
い。たとえば、シリカゲルなどの吸着剤、「セファデッ
クスLH−20」(ファルマシア社製)などのゲル濾過
剤を用いたカラムクロマトグラフィー、「YMCパッ
ク」(山村科学社製)などを用いた高速液体クロマトグ
ラフィーおよび向流分配法を適宜組合せて実施すること
ができる。具体的には、たとえば、キノリドマイシンA
1 粗標品を「セファデックスLH−20」カラムに付
し、クロロホルム−メタノール(1:1)混合液で活性
画分を溶出させ、濃縮乾固するとキノリドマイシンA1
の純品が得られる。また、キノリドマイシンA2 は空気
中で容易に酸化され、キノリドマイシンA1 を生成す
る。したがって、キノリドマイシンA2 純品の粉末また
は溶液を空気中で1週間以上放置することによりキノリ
ドマイシンA1 の純品を得ることができる。
【0011】キノリドマイシンの用途 本発明による化合物キノリドマイシンは、抗腫瘍活性を
有するという点で有用である。 (1)生物活性 キノリドマイシンA1 およびB1 は腫瘍細胞に対して細
胞増殖抑制活性を示した。例えばヒトK562白血病細
胞を5×104 個/mlとなるように10%熱非働化牛胎
児血清および0.1%「バクトペプトン」(ディフコ社
製)を含むイーグル最少培地に浮遊させ、種々の濃度の
キノリドマイシンとともに37℃で3日間培養した後の
IC50値は、キノリドマイシンA1 では38ng/ml、キ
ノリドマイシンB1 では104ng/mlであった。またヒ
トKB扁平上皮癌細胞を5×104 個/mlとなるように
10%熱非働化牛胎児血清および0.1%「バクトペプ
トン」(ディフコ社製)を含むイーグル最少培地に浮遊
させ、種々の濃度のキノリドマイシンとともに37℃で
3日間培養した後のIC50値は、キノリドマイシンA1
では103ng/ml、キノリドマイシンB1 では220ng
/mlであった。上記のように、本発明のキノリドマイシ
ンは抗腫瘍性を示すことが明らかにされた。したがっ
て、本発明のキノリドマイシンは抗腫瘍剤として使用す
ることができ、必要に応じて既存の制癌剤と併用して抗
腫瘍剤として使用することもできる。 (2)抗腫瘍剤 このように、本発明のキノリドマイシンは、動物の腫
瘍、特に悪性腫瘍に対して抗腫瘍性を示すことが明らか
にされた。したがって、本発明化合物は抗腫瘍剤として
使用することができる。抗腫瘍剤としての本発明化合物
は合目的的な任意の投与経路で、また採用投与経路によ
って決る剤型で投与することができる。薬剤としては、
製薬上許可される担体あるいは希釈剤(具体的には溶
剤、可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤、賦形剤、
結合剤、滑沢剤、安定剤等)で希釈された形態(具体的
には、注射剤、懸濁剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル
剤、軟膏剤、クリーム剤等)が普通である。抗腫瘍剤と
して本発明化合物を実際に投与する場合には、これらを
注射用蒸留水または生理食塩水に溶解して注射する方法
が代表的なもののひとつとして挙げられる。具体的に
は、皮下注射、腹腔内注射、静脈または動脈への血管内
注射および注射による局所投与などの方法がある。溶剤
としては、上記したように水、生理食塩水が、代表的で
あり、可溶化剤としては、例えばエタノール、ポリソル
ベート剤が、賦形剤としては、例えば乳糖、デンプン、
結晶セルロース、マンニトール、マルトース、リン酸水
素カルシウム、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム等が、
結合剤としては、例えばデンプン、ポリビニルピロリド
ン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム等が、
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセ
ルロースカルシウム等が、滑沢剤としては、例えばステ
アリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等が、安定剤と
しては、例えば乳糖、マンニトール、マルトース、ポリ
ソルベート類、マクロゴール類、ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油等があげられる。また、必要に応じて、グリ
セリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウ
ム、界面活性剤、塩基性物質(例えば、エチレンジアミ
ン、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、アルギニン、
メグルミン、トリスアミノメタン)を添加することもで
きる。これらの成分を用いて、注射剤、錠剤、顆粒剤、
カプセル剤等の剤型に製造することができる。本発明化
合物の投与量は、動物試験の結果および種々の状況を勘
案して、連続的または間欠的に投与したときに総投与量
が一定量を越えないように定められる。具体的な投与量
は、投与方法、患者または被処理動物の状況、たとえば
年齢、体重、性別、感受性、食餌、投与時間、併用する
薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化すること
は言うまでもなく、また一定の条件のもとにおける適量
と投与回数は、上記指針をもととして専門医の適量決定
試験によって決定されなければならない。具体的には、
成人1日あたり1〜100mg程度である。
【0012】
【実施例】以下の実施例は、本発明を更に詳しく説明す
るためのものであり、これによって本発明は限定される
ものではない。 (1)種母の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解して、pH7.2に調整したものである。 スターチ 10g 廃糖蜜 10g 肉エキス 10g ポリペプトン 10g 上記培地15mlを50ml容の試験官へ分注し、殺菌後、
ミクロモノスポラ・エスピーJY16株(FERM B
P−3940)をスラントより1白金耳接種し、27℃
にて3日間振盪培養したものを種母とした。 (2)培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解して、pH7.2に調整したものである。 グリセロール 20g 廃糖蜜 10g 肉エキス 10g ポリペプトン 10g 上記培地100mlを500ml容のフラスコへ分注し、殺
菌後、上記種母2mlを添加し、27℃にて2日間振盪培
養を行った。 (3)キノリドマイシンの採取 上記の条件で培養後、培養液(2リットル)を遠心分離
し、菌体を1リットルのメタノールで抽出する。抽出液
を濃縮後、200mlずつの酢酸エチルおよび水で洗浄
し、不溶物を200mlのメタノールで抽出する。この抽
出液を濃縮後、シリカゲル(和光純薬製「ワコーゲル
C−200])のカラム(1.5cmφ×20cm)に吸着
させ、クロロホルム−メタノール(20:1)160ml
で洗浄後、クロロホルム−メタノール(10:1)16
0mlで溶出する。溶出液を濃縮乾固するとキノリドマイ
シンの粗粉末を得る。この粗粉末を、「セファデックス
LH−20」(ファルマシア社製)カラム(2cmφ×5
0cm)にかけ、クロロホルム−メタノール(1:1)で
溶出する。活性フラクションを濃縮し、再度シリカゲル
カラム(1.5cmφ×20cm)に吸着させ、クロロホル
ム−メタノール(10:1)で展開する。活性フラクシ
ョンを濃縮し、「センシューパックAQUASIL S
S−752N」(センシュー科学製)を用いた高速液体
クロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール
(10:1)で展開する。得られた2種の活性画分を濃
縮乾固することによりキノリドマイシンA2 の純品2mg
とキノリドマイシンA1 +B1 フラクションを得る。こ
れをさらに「YMCパックD−ODS−7」(山村科学
製)を用いた高速液体クロマトグラフィーに付し、75
%メタノールで展開する。得られた2種の活性画分を濃
縮乾固することによりキノリドマイシンA1 の純品7mg
およびキノリドマイシンB1 の純品1mgを得る。
【0013】
【発明の効果】本発明による新規化合物キノリドマイシ
ンは、優れた抗腫瘍作用を有している。本発明化合物が
このような生理的作用を有しているという特性は当業者
にとって思いがけなかったことと解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】キノリドマイシンA1 のメタノール中での紫外
吸収スペクトルを模写したものである。
【図2】キノリドマイシンA2 のメタノール中での紫外
吸収スペクトルを模写したものである。
【図3】キノリドマイシンB1 のメタノール中での紫外
吸収スペクトルを模写したものである。
【図4】キノリドマイシンA1 のKBrディスク法によ
る赤外吸収スペクトルを模写したものである。
【図5】キノリドマイシンA2 のKBrディスク法によ
る赤外吸収スペクトルを模写したものである。
【図6】キノリドマイシンB1 のKBrディスク法によ
る赤外吸収スペクトルを模写したものである。
【図7】キノリドマイシンA1 の重メタノール中におけ
る500メガヘルツプロトン核磁気共鳴スペクトルを模
写したものである。
【図8】キノリドマイシンA2 の重メタノール中におけ
る500メガヘルツプロトン核磁気共鳴スペクトルを模
写したものである。
【図9】キノリドマイシンB1 の重メタノール中におけ
る500メガヘルツプロトン核磁気共鳴スペクトルを模
写したものである。
【図10】キリノドマイシンA1 の重メタノール中にお
ける125メガヘルツ炭素13核磁気共鳴スペクトルを
模写したものである。
【図11】キノリドマイシンA2 の重メタノール中にお
ける125メガヘルツ炭素13核磁気共鳴スペクトルを
模写したものである。
【図12】キノリドマイシンB1 の重メタノール中にお
ける125メガヘルツ炭素13核磁気共鳴スペクトルを
模写したものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式(I)で示される、化合物キノリドマ
    イシンまたはその塩基付加塩。 【化1】 式中、R1 はメチル基または水素原子、R2 は5−ヒド
    ロキシ−2−メチルチオ−3,6−ジオキソ−3,6−
    ジヒドロフェニル基または3,5,6−トリヒドロキシ
    −2−メチルチオフェニル基を表す。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化合物の少なくとも一種
    を有効成分として含む抗腫瘍剤。
  3. 【請求項3】ミクロモノスポラ属に属しキノリドマイシ
    ンの生産能を有する菌株を培養してキノリドマイシンの
    少なくとも一種を産生させ、その培養物より化合物キノ
    リドマイシンの少なくとも一種を採取することを特徴と
    する、請求項1に記載の化合物キノリドマイシンの製造
    法。
  4. 【請求項4】キノリドマイシンの生産能を有する菌株が
    ミクロモノスポラ・エスピーJY16株である、請求項
    3に記載の製造法。
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