JPH0632796A - ベンズアントラセン誘導体、該誘導体を含有する抗腫瘍剤及びその製造方法 - Google Patents
ベンズアントラセン誘導体、該誘導体を含有する抗腫瘍剤及びその製造方法Info
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- JPH0632796A JPH0632796A JP18838592A JP18838592A JPH0632796A JP H0632796 A JPH0632796 A JP H0632796A JP 18838592 A JP18838592 A JP 18838592A JP 18838592 A JP18838592 A JP 18838592A JP H0632796 A JPH0632796 A JP H0632796A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 式(I)で表されるベンズアントラセン誘導
体。 【化1】 (式中、R1 は、水素、COCH3 又はOCO(CH2)
2 OCOHを表わし、R2 及びR3 は、水素又はCOC
H3 を表すが、R2 及びR3 は一つの4級炭素を介して
環を形成しジメチルアセタール体にしてもよい。) 【効果】 本発明のベンズアントラセン誘導体は、動物
の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して優れた抗腫瘍活性性を示
し、抗腫瘍剤もしくは腫瘍治療剤として幅広く利用でき
る。又、アクチノマズラ(Actinomadura)属に属するベ
ンズアントラセン誘導体生産能を有する菌株を適当な培
地で好気的に培養しすることにより、効率的にベンズア
ントラセン誘導体を製造することができる。
体。 【化1】 (式中、R1 は、水素、COCH3 又はOCO(CH2)
2 OCOHを表わし、R2 及びR3 は、水素又はCOC
H3 を表すが、R2 及びR3 は一つの4級炭素を介して
環を形成しジメチルアセタール体にしてもよい。) 【効果】 本発明のベンズアントラセン誘導体は、動物
の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して優れた抗腫瘍活性性を示
し、抗腫瘍剤もしくは腫瘍治療剤として幅広く利用でき
る。又、アクチノマズラ(Actinomadura)属に属するベ
ンズアントラセン誘導体生産能を有する菌株を適当な培
地で好気的に培養しすることにより、効率的にベンズア
ントラセン誘導体を製造することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なベンズアントラ
セン誘導体に、さらに詳しくはActinomaduraに属する菌
株、例えばZ17株によって生産される抗腫瘍活性を有
する新規なベンズアントラセン誘導体に関する。
セン誘導体に、さらに詳しくはActinomaduraに属する菌
株、例えばZ17株によって生産される抗腫瘍活性を有
する新規なベンズアントラセン誘導体に関する。
【0002】多数の抗腫瘍性物質が医薬として実用化さ
れている。一般に化学物質の生理活性はその化学構造に
依存するところが大きいため、抗腫瘍活性を有する新規
な化合物に対しては不断の希求があるといえよう。
れている。一般に化学物質の生理活性はその化学構造に
依存するところが大きいため、抗腫瘍活性を有する新規
な化合物に対しては不断の希求があるといえよう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これまでに
知られていない新規な抗腫瘍性活性物質を提供すること
を目的とする。本発明は、また、該抗腫瘍性活性物質を
有効成分とする抗腫瘍剤及び該抗腫瘍性活性物質の効率
的な製造方法を提供することを目的とする。
知られていない新規な抗腫瘍性活性物質を提供すること
を目的とする。本発明は、また、該抗腫瘍性活性物質を
有効成分とする抗腫瘍剤及び該抗腫瘍性活性物質の効率
的な製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記一般式
(I)で表されるベンズアントラセン誘導体により解決
できた。
(I)で表されるベンズアントラセン誘導体により解決
できた。
【0005】
【化2】
【0006】(式中、R1 は、水素、COCH3 又はO
CO(CH2)2 OCOHを表わし、R2 及びR3 は、水
素又はCOCH3 を表すが、R2 及びR3 は1つの4級
炭素を介し環を形成しジメチルアセタール体にしてもよ
い) 上記一般式(I)で表されるベンズアントラセン誘導体
において、R1 、R2及びR3 の全てが水素である化合
物は、下記(II)で表され、その化学構造は各種NM
R解析によって決定した。
CO(CH2)2 OCOHを表わし、R2 及びR3 は、水
素又はCOCH3 を表すが、R2 及びR3 は1つの4級
炭素を介し環を形成しジメチルアセタール体にしてもよ
い) 上記一般式(I)で表されるベンズアントラセン誘導体
において、R1 、R2及びR3 の全てが水素である化合
物は、下記(II)で表され、その化学構造は各種NM
R解析によって決定した。
【0007】
【化3】
【0008】以下に示す物理化学的性質を示す。 (1)外観 暗紫色粉末 (2)融点 264−266℃(溶解) (3)分子式 C34H35O13N (4)元素分析値 計測値(%)、 計算値(%) 炭素 61.35、 炭素 59.60 水素 5.26、 水素 6.11 酸素 31.28、 酸素 29.22 窒素 2.11、 窒素 2.30 (5)溶解性 メタノール、エタノール、アセトン、酢
酸エチル、クロロホルムに可溶、ヘキサン、水に不溶。 (6)Rf値(メルク社製「シリカゲル60F254」使
用) クロロホルム−メタノール(23:1) 0.22 (7)Fast atom bomberedmentマススペクトル(m/
z)688(M+Na) +
酸エチル、クロロホルムに可溶、ヘキサン、水に不溶。 (6)Rf値(メルク社製「シリカゲル60F254」使
用) クロロホルム−メタノール(23:1) 0.22 (7)Fast atom bomberedmentマススペクトル(m/
z)688(M+Na) +
【0009】(8)紫外吸収スペクトル λmax nm
(ε)図1に示す。 230(7700)、242(7100)、262(6
600)、320(1400)、343(1300)、
376(1300)、385(1500)、408(1
1200)、497(1500)、535(300
0)、572(3000) (メタノール中) 218(7700)、242(6600)、262(5
600)、370(1600)、497(7000)、
535(1600)、572(1800)、680(6
00)(0.01規定水酸化ナトリウム−メタノール中) (9)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) 図2
に示す。 (10)プロトン核磁気共鳴スペクトル(500メガヘ
ルツ、重クロロホルム中)図3に示す。 (11)炭素13核磁気共鳴スペクトル(125メガヘ
ルツ、重クロロホルム中)図4に示す。 式(II)で表されるベンズアントラセン誘導体は、特
定の微生物の培養によって得られるが、類縁化合物から
の化学的修飾により、また全合成化学的に製造すること
もできる。微生物の培養による場合の菌株としては、Ac
tinomadura属に属する本発明化合物生産能を有するもの
が使用される。具体的には、ActinomaduraZ17株があ
げられるが、その他の菌株については、抗生物質生産菌
単離の常法によって適当なものを自然界より分離するこ
とが可能である。またActinomaduraZ17株を含めて本
発明の化合物生産菌を放射線照射その他の変異処理に付
して、本発明の化合物の生産能を高める余地も残されて
いる。
(ε)図1に示す。 230(7700)、242(7100)、262(6
600)、320(1400)、343(1300)、
376(1300)、385(1500)、408(1
1200)、497(1500)、535(300
0)、572(3000) (メタノール中) 218(7700)、242(6600)、262(5
600)、370(1600)、497(7000)、
535(1600)、572(1800)、680(6
00)(0.01規定水酸化ナトリウム−メタノール中) (9)赤外吸収スペクトル(KBrディスク法) 図2
に示す。 (10)プロトン核磁気共鳴スペクトル(500メガヘ
ルツ、重クロロホルム中)図3に示す。 (11)炭素13核磁気共鳴スペクトル(125メガヘ
ルツ、重クロロホルム中)図4に示す。 式(II)で表されるベンズアントラセン誘導体は、特
定の微生物の培養によって得られるが、類縁化合物から
の化学的修飾により、また全合成化学的に製造すること
もできる。微生物の培養による場合の菌株としては、Ac
tinomadura属に属する本発明化合物生産能を有するもの
が使用される。具体的には、ActinomaduraZ17株があ
げられるが、その他の菌株については、抗生物質生産菌
単離の常法によって適当なものを自然界より分離するこ
とが可能である。またActinomaduraZ17株を含めて本
発明の化合物生産菌を放射線照射その他の変異処理に付
して、本発明の化合物の生産能を高める余地も残されて
いる。
【0010】本発明の化合物の生産能を有するActinoma
dura属の菌株であるZ17株は、下記の菌学的性状を有
する。 1)由来および寄託番号 Z17株は日本国で採取した土壌から分離されたもので
あり、平成4年6月26日に工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されて「微工研菌寄第3903号」(FE
RMBP−3903)の番号を得ている。 2)菌学的性状 Z17株の菌学的性状は以下のとおりである。 (1)形態 本菌株Z17株菌土壌試料より分離された放線菌であ
る。本菌株の“特徴づけ”は『特許庁産業別審査基準記
載』の方法によった。本菌株の基生菌糸は分断しない。
気菌糸は主軸を形成し、そこより不規則に分枝した先端
に4〜10個からなる曲状又はループ状の胞子鎖を形成
する。胞子は非運動性で、長楕円形を呈し幅0.6〜0.7
μ長さ0.7〜1.4μであり、胞子表面はこぶ状である。
菌核、胞子のう、その他の特殊形態は観察されない。細
胞壁化学型は IIIB型で、マジュロースを含む。メナキ
ノンの主成分はMK−9(H6)であり、リン脂質はP
I型である。培養性状を表1に示す。菌落表面の菌叢色
は紫色系列で裏面色は紫色から青味黒色を呈し、pHで僅
かに変化する。拡散性色素は紫色が認められた。
dura属の菌株であるZ17株は、下記の菌学的性状を有
する。 1)由来および寄託番号 Z17株は日本国で採取した土壌から分離されたもので
あり、平成4年6月26日に工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されて「微工研菌寄第3903号」(FE
RMBP−3903)の番号を得ている。 2)菌学的性状 Z17株の菌学的性状は以下のとおりである。 (1)形態 本菌株Z17株菌土壌試料より分離された放線菌であ
る。本菌株の“特徴づけ”は『特許庁産業別審査基準記
載』の方法によった。本菌株の基生菌糸は分断しない。
気菌糸は主軸を形成し、そこより不規則に分枝した先端
に4〜10個からなる曲状又はループ状の胞子鎖を形成
する。胞子は非運動性で、長楕円形を呈し幅0.6〜0.7
μ長さ0.7〜1.4μであり、胞子表面はこぶ状である。
菌核、胞子のう、その他の特殊形態は観察されない。細
胞壁化学型は IIIB型で、マジュロースを含む。メナキ
ノンの主成分はMK−9(H6)であり、リン脂質はP
I型である。培養性状を表1に示す。菌落表面の菌叢色
は紫色系列で裏面色は紫色から青味黒色を呈し、pHで僅
かに変化する。拡散性色素は紫色が認められた。
【0011】
【表1】 表 1 培養性状 培 地 集落表面の菌叢色 集落の裏面色 拡散性色素 シュクロース・ 白色系列 紫色 なし 硝酸塩寒天 グルコース・アス 紫色系列 紫色 なし パラギン寒天 グリセリン・アス 紫色系列 紫色 紫色 パラギン寒天 無機塩・スターチ寒天 白色系列 紫色 なし チロシン寒天 紫色系列 青味黒色 紫色 栄養寒天 灰色系列 黄味白色 なし イースト・麦芽寒天 青色系列 青味黒色 紫色 オートミール寒天 白色系列 紫色 なし 生理的性状を表2に示す。本菌株は中温性で、炭素源の
同化能はフラクトースのみを利用しない。本菌株は形態
的特徴と細胞壁化学型からアクチノマジュラ(A.と略
す)属に位置する。
同化能はフラクトースのみを利用しない。本菌株は形態
的特徴と細胞壁化学型からアクチノマジュラ(A.と略
す)属に位置する。
【0012】
【表2】 表 2 生理的性状 生育温度範囲 20〜37℃ 最適温度 20〜37℃ メラニン様色素 チロシン寒天 − ペプトン・イースト鉄寒天 − トリプトン・イースト・プロス − スターチの加水分解 − ゼラチンの液化 + 脱脂粉乳のペプトン化 − 脱脂粉乳の凝固 − 硝酸塩の還元 + 炭素源の同化 D−グルコース + L−アラビノース + D−キシロース + D−フラクトース − シュクロース + L−ラムノース + ラフィノース + i−イノシトール ± D−マンニット +
【0013】上述の諸性状を基に『細菌名承認リスト、
1980』および『バージェイ氏細菌系統分類学便覧
4巻』、(Bergey's Manual of Systematic Bacteriolo
gy Vol.4)の記載を検索するとA.ベルコソスポラ
(Actinomadura verrucosospora)がもっとも近似であ
る。従って本菌株のアクチノマジュラ、ベルコソスポラ
Z−17株とする。 1)Z17株の培養 Z17株の培養用培地として大豆粉、綿実粕、乾燥酵
母、酵母エキスおよびコーンスティープリカーなどの有
機物ならびにアンモニウム塩または硝酸塩、たとえば硫
酸アンモニウム、硝酸ナトリウムおよび塩化アンモニウ
ムなどの無機物が利用できる。また、必要に応じて、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、燐酸塩、重金属塩など無
機塩類を添加することができる。発酵中の発泡を抑制す
るために、常法に従って適当な消泡剤、例えばシリコン
油を添加することもできる。培養方法としては、一般に
行われている抗生物質の生産方法と同じく、好気的液体
培養法が最も適している。培養温度は25〜40℃が適
当であるが、30〜35℃が好ましい。この方法で式
(II)で表されるベンズアントラセン誘導体の生産量
は、振盪培養で培養4日間で最高に達する。振盪培養の
他、醗酵タンクを使用した通気攪拌培養による培養も考
えられる。このようにして式(II)で表されるベンズ
アントラセン誘導体の蓄積された培養物が得られる。培
養物中では、該ベンズアントラセン誘導体はその大部分
が菌体中に存在するが、培養条件によっては菌体外に放
出される場合もある。
1980』および『バージェイ氏細菌系統分類学便覧
4巻』、(Bergey's Manual of Systematic Bacteriolo
gy Vol.4)の記載を検索するとA.ベルコソスポラ
(Actinomadura verrucosospora)がもっとも近似であ
る。従って本菌株のアクチノマジュラ、ベルコソスポラ
Z−17株とする。 1)Z17株の培養 Z17株の培養用培地として大豆粉、綿実粕、乾燥酵
母、酵母エキスおよびコーンスティープリカーなどの有
機物ならびにアンモニウム塩または硝酸塩、たとえば硫
酸アンモニウム、硝酸ナトリウムおよび塩化アンモニウ
ムなどの無機物が利用できる。また、必要に応じて、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、燐酸塩、重金属塩など無
機塩類を添加することができる。発酵中の発泡を抑制す
るために、常法に従って適当な消泡剤、例えばシリコン
油を添加することもできる。培養方法としては、一般に
行われている抗生物質の生産方法と同じく、好気的液体
培養法が最も適している。培養温度は25〜40℃が適
当であるが、30〜35℃が好ましい。この方法で式
(II)で表されるベンズアントラセン誘導体の生産量
は、振盪培養で培養4日間で最高に達する。振盪培養の
他、醗酵タンクを使用した通気攪拌培養による培養も考
えられる。このようにして式(II)で表されるベンズ
アントラセン誘導体の蓄積された培養物が得られる。培
養物中では、該ベンズアントラセン誘導体はその大部分
が菌体中に存在するが、培養条件によっては菌体外に放
出される場合もある。
【0014】2)式(II)で表されるベンズアントラ
セン誘導体の精製 このような培養物から式(II)で表されるベンズアン
トラセン誘導体を採取するには、合目的的な任意の方法
が利用可能である。そのひとつの方法は抽出の原理に基
くものであって、具体的には、菌体内のベンズアントラ
セン誘導体については濾過、遠心分離などで得た菌体集
体をメタノール、エタノール、アセトンなどで処理して
回収する方法などがある。菌体と分離した培養液、ある
いは菌体を分離せずに培養物そのままを上記の抽出操作
に付すこともできる。適当な溶媒を用いた向流分配法も
抽出の範疇に入れることができる。菌体抽出物は水不混
和性の溶媒、例えばクロロホルム−メタノール1:1の
混合物、などで抽出する。このようにして得られたベン
ズアントラセン誘導体含有溶液を減圧濃縮乾固すれば、
ベンズアントラセン誘導体粗標品が得られる。このよう
にして得られるベンズアントラセン誘導体の粗標品をさ
らに精製するためには、上記の抽出法および吸着法にゲ
ル濾過法などを必要に応じて組合せて必要回数行えばよ
い。たとえば、シリカゲルなどの吸着剤、「セファデッ
クスLH−20」(ファルマシア社製)などのゲル濾過
剤を用いたカラムクロマトグラフィーなどを適宜組合せ
て実施することができる。具体的には、たとえば、ベン
ズアントラセン誘導体粗標品を「セファデックスLH−
20」カラムに付し、クロロホルム−メタノール(1:
1)混合液で活性画分を溶出させ、濃縮乾固するとベン
ズアントラセン誘導体の純品が得られる。本発明の式
(II)で表されるベンズアントラセン誘導体以外の式
(I)で表されるベンズアントラセン誘導体は、式(I
I)で表されるベンズアントラセン誘導体を公知の方法
でアセチル化などを行うことにより容易に製造すること
ができる。
セン誘導体の精製 このような培養物から式(II)で表されるベンズアン
トラセン誘導体を採取するには、合目的的な任意の方法
が利用可能である。そのひとつの方法は抽出の原理に基
くものであって、具体的には、菌体内のベンズアントラ
セン誘導体については濾過、遠心分離などで得た菌体集
体をメタノール、エタノール、アセトンなどで処理して
回収する方法などがある。菌体と分離した培養液、ある
いは菌体を分離せずに培養物そのままを上記の抽出操作
に付すこともできる。適当な溶媒を用いた向流分配法も
抽出の範疇に入れることができる。菌体抽出物は水不混
和性の溶媒、例えばクロロホルム−メタノール1:1の
混合物、などで抽出する。このようにして得られたベン
ズアントラセン誘導体含有溶液を減圧濃縮乾固すれば、
ベンズアントラセン誘導体粗標品が得られる。このよう
にして得られるベンズアントラセン誘導体の粗標品をさ
らに精製するためには、上記の抽出法および吸着法にゲ
ル濾過法などを必要に応じて組合せて必要回数行えばよ
い。たとえば、シリカゲルなどの吸着剤、「セファデッ
クスLH−20」(ファルマシア社製)などのゲル濾過
剤を用いたカラムクロマトグラフィーなどを適宜組合せ
て実施することができる。具体的には、たとえば、ベン
ズアントラセン誘導体粗標品を「セファデックスLH−
20」カラムに付し、クロロホルム−メタノール(1:
1)混合液で活性画分を溶出させ、濃縮乾固するとベン
ズアントラセン誘導体の純品が得られる。本発明の式
(II)で表されるベンズアントラセン誘導体以外の式
(I)で表されるベンズアントラセン誘導体は、式(I
I)で表されるベンズアントラセン誘導体を公知の方法
でアセチル化などを行うことにより容易に製造すること
ができる。
【0015】本発明のベンズアントラセン誘導体は、抗
腫瘍活性を有するという点で有用である。 1)生物活性 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘導体はin v
itro腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を示した。たと
えばマウスP388白血病細胞を5×104 個/mlとな
るように10%熱非働化仔牛血清を含むRPMI164
0培地に浮遊させ、種々の濃度のベンズアントラセン誘
導体〔式(II)〜(V)の化合物〕とともに37℃で
3日間培養した後のIC50値は、いずれも4×10-4μ
g/mlであった。また該ベンズアントラセン誘導体(式
(II)の化合物)はマウスP388白血病に対するin
vivo 制癌活性が認められた。すなわちCDF1マウス
(6週齢、メス)に対し、マウスP388白血病細胞の
懸濁液1×106 ケ/マウスを腹腔内移植し、移植後1
日以降に10%DMSO−生理食塩水に懸濁したベンズ
アントラセン誘導体を9日間連日腹腔内投与し、10%
DMSO−生理食塩水を投与した対照群のマウスの生存
日数を100とした延命率(%)を表3に示す。
腫瘍活性を有するという点で有用である。 1)生物活性 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘導体はin v
itro腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を示した。たと
えばマウスP388白血病細胞を5×104 個/mlとな
るように10%熱非働化仔牛血清を含むRPMI164
0培地に浮遊させ、種々の濃度のベンズアントラセン誘
導体〔式(II)〜(V)の化合物〕とともに37℃で
3日間培養した後のIC50値は、いずれも4×10-4μ
g/mlであった。また該ベンズアントラセン誘導体(式
(II)の化合物)はマウスP388白血病に対するin
vivo 制癌活性が認められた。すなわちCDF1マウス
(6週齢、メス)に対し、マウスP388白血病細胞の
懸濁液1×106 ケ/マウスを腹腔内移植し、移植後1
日以降に10%DMSO−生理食塩水に懸濁したベンズ
アントラセン誘導体を9日間連日腹腔内投与し、10%
DMSO−生理食塩水を投与した対照群のマウスの生存
日数を100とした延命率(%)を表3に示す。
【0016】
【表3】 表3 試 料 投与量(mg/kg/day) 生存日数(Mean+SD) 延命率(%) 本発明化合物 32 14.7±1.6 142 本発明化合物 16 12.7±2.0 123 本発明化合物 8 12.8±3.6 125 対照群 0 10.3±1.5 100 このように、本発明のベンズアントラセン誘導体は、動
物の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して抗腫瘍性を示すことが
明らかにされた。したがって、本発明化合物は抗腫瘍剤
もしくは腫瘍治療剤として使用することができる。
物の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して抗腫瘍性を示すことが
明らかにされた。したがって、本発明化合物は抗腫瘍剤
もしくは腫瘍治療剤として使用することができる。
【0017】抗腫瘍剤としての本発明化合物は任意の投
与経路で、また採用投与経路によって決る剤型で投与す
ることができる。薬剤としては、製薬上許容される担体
あるいは希釈剤で希釈された形態が普通である。抗腫瘍
剤として本発明化合物を実際に投与する場合には、これ
らを注射用蒸留水または生理食塩水に溶解して注射する
方法が代表的なもののひとつとして挙げられる。具体的
には、動物の場合には腹腔内注射、皮下注射、静脈また
は動脈への血管内注射および注射による局所投与などの
方法が、ヒトの場合は静脈または動脈への血管内注射ま
たは注射による局所投与などの方法がある。本発明化合
物の投与量は、動物試験の結果および種々の状況を勘案
して、連続的または間欠的に投与したときに総投与量が
一定量を越えないように定められる。具体的な投与量
は、投与方法、患者または被処理動物の状況、たとえば
年齢、体重、性別、感受性、食餌、投与時間、併用する
薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化すること
は言うまでもなく、また一定の条件のもとにおける適量
と投与回数は、上記指針のもととして専門医の適量決定
試験によって決定されなければならない。具体的には、
成人1日あたり0.1〜1g程度である。
与経路で、また採用投与経路によって決る剤型で投与す
ることができる。薬剤としては、製薬上許容される担体
あるいは希釈剤で希釈された形態が普通である。抗腫瘍
剤として本発明化合物を実際に投与する場合には、これ
らを注射用蒸留水または生理食塩水に溶解して注射する
方法が代表的なもののひとつとして挙げられる。具体的
には、動物の場合には腹腔内注射、皮下注射、静脈また
は動脈への血管内注射および注射による局所投与などの
方法が、ヒトの場合は静脈または動脈への血管内注射ま
たは注射による局所投与などの方法がある。本発明化合
物の投与量は、動物試験の結果および種々の状況を勘案
して、連続的または間欠的に投与したときに総投与量が
一定量を越えないように定められる。具体的な投与量
は、投与方法、患者または被処理動物の状況、たとえば
年齢、体重、性別、感受性、食餌、投与時間、併用する
薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化すること
は言うまでもなく、また一定の条件のもとにおける適量
と投与回数は、上記指針のもととして専門医の適量決定
試験によって決定されなければならない。具体的には、
成人1日あたり0.1〜1g程度である。
【0018】
【発明の効果】本発明のベンズアントラセン誘導体は、
動物の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して優れた抗腫瘍活性性
を示し、抗腫瘍剤もしくは腫瘍治療剤として幅広く利用
できる。又、アクチノマズラ(Actinomadura)属に属す
るベンズアントラセン誘導体生産能を有する菌株を適当
な培地で好気的に培養しすることにより、効率的にベン
ズアントラセン誘導体を製造することができる。次に本
発明を実施例により説明する。
動物の腫瘍、特に悪性腫瘍に対して優れた抗腫瘍活性性
を示し、抗腫瘍剤もしくは腫瘍治療剤として幅広く利用
できる。又、アクチノマズラ(Actinomadura)属に属す
るベンズアントラセン誘導体生産能を有する菌株を適当
な培地で好気的に培養しすることにより、効率的にベン
ズアントラセン誘導体を製造することができる。次に本
発明を実施例により説明する。
【0019】
実施例1 1)種母の調製 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解してpH7.0に調整したものである。 グルコース 10.0g 可溶性澱粉 20.0g 酵母エキス 5.0g ベプトン 5.0g 炭酸カルシウム 4.0g 上記培地15mlを大型試験管へ分注し、殺菌後、ストレ
プトミセスZ17株をスラントより1白金耳接種し、3
7℃にて3日間振盪培養したものを種母とした。 2)培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解してpH6.2に調整したものである。 デキストリン 20.0g グルコース 2.0g 大豆粉 15.0g 酵母エキス 3.0g 炭酸カルシウム 3.0g 上記培地を100mlずつ500ml容三角フラスコに分注
殺菌したものへ、上記種母2mlを添加し、37℃にて4
日間、300 rpmで振盪培養を行った。 3)ベンズアントラセン誘導体の採取 上記の条件で培養後、培養液(1リットル)を濾過し
た。濾過後の菌体は1リットルのアセトンで抽出し、抽
出液を濃縮した。濃縮残液を濾液に混和後、混液を等量
のクロロホルム:メタノール1:1混合液で抽出し、抽
出液を濃縮乾固した。これを少量のクロロホルム−メタ
ノールH2O (260:20:1)に溶解し、不溶物を除
いた後、シリカゲル(和光純薬製)「ワコーゲルC20
0」)のカラム(3.4cmφ×34cm)に吸着させ、クロ
ロホルム−メタノール−H2O (260:20:1)で溶
出した。活性フラクションを濃縮乾固して式(II)の
ベンズアントラセン誘導体の紫色粉末300mgを得た。
これを少量のクロロフォルム−メタノール(1:1)に
溶解し、「セファデックスLH−20」のカラム(3.0
cmφ×95cm)に付し、クロロフォルム−メタノール
(1:1)にて活性画分を溶出した。これを濃縮乾固す
ると式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品10
0mgを得た。
溶解してpH7.0に調整したものである。 グルコース 10.0g 可溶性澱粉 20.0g 酵母エキス 5.0g ベプトン 5.0g 炭酸カルシウム 4.0g 上記培地15mlを大型試験管へ分注し、殺菌後、ストレ
プトミセスZ17株をスラントより1白金耳接種し、3
7℃にて3日間振盪培養したものを種母とした。 2)培養 使用した培地は、下記の組成の成分を1リットルの水に
溶解してpH6.2に調整したものである。 デキストリン 20.0g グルコース 2.0g 大豆粉 15.0g 酵母エキス 3.0g 炭酸カルシウム 3.0g 上記培地を100mlずつ500ml容三角フラスコに分注
殺菌したものへ、上記種母2mlを添加し、37℃にて4
日間、300 rpmで振盪培養を行った。 3)ベンズアントラセン誘導体の採取 上記の条件で培養後、培養液(1リットル)を濾過し
た。濾過後の菌体は1リットルのアセトンで抽出し、抽
出液を濃縮した。濃縮残液を濾液に混和後、混液を等量
のクロロホルム:メタノール1:1混合液で抽出し、抽
出液を濃縮乾固した。これを少量のクロロホルム−メタ
ノールH2O (260:20:1)に溶解し、不溶物を除
いた後、シリカゲル(和光純薬製)「ワコーゲルC20
0」)のカラム(3.4cmφ×34cm)に吸着させ、クロ
ロホルム−メタノール−H2O (260:20:1)で溶
出した。活性フラクションを濃縮乾固して式(II)の
ベンズアントラセン誘導体の紫色粉末300mgを得た。
これを少量のクロロフォルム−メタノール(1:1)に
溶解し、「セファデックスLH−20」のカラム(3.0
cmφ×95cm)に付し、クロロフォルム−メタノール
(1:1)にて活性画分を溶出した。これを濃縮乾固す
ると式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品10
0mgを得た。
【0020】実施例2 1)式(II)のベンズアントラセン誘導体の3′,
4′−ジメチルアセタール化 式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品400mg
をモレキュラーシブス4Aで脱水した無水クロロホルム
10mlに熔解し、2,2−ジメトキシプロパン5ml、パ
ラトルエンスルホン酸50mgを添加し、室温で20時間
密閉下で攪拌反応させる。反応終了後炭酸水素ナトリウ
ムの飽和溶液を20ml添加し、クロロホルム50mlにて
3回反復抽出した。抽出した溶媒液を炭酸水素ナトリウ
ム飽和溶液で洗浄後飽和食塩水で洗浄した。溶媒液を無
水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固した。得られた乾固
物をクロロホルム−メタノール40:1のシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにて溶出後、クロロホルム−メ
タノール1:1のセファデックスLH20カラムクロマ
トグラフィーで溶出し、濃縮乾固して該ベンズアントラ
セン誘導体の3′−4′ジメチルアセタール化物330
mgが暗紫色の粉末として得られた。 2)該ベンズアントラセン誘導体の3′,4′−ジメチ
ルアセタール化物の分子式 C37H39O13N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:728、2396;C37H39O13NNa 理論値:728、2319 3)該3′,4′−ジメチルアセタール化物(III)
の構造式
4′−ジメチルアセタール化 式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品400mg
をモレキュラーシブス4Aで脱水した無水クロロホルム
10mlに熔解し、2,2−ジメトキシプロパン5ml、パ
ラトルエンスルホン酸50mgを添加し、室温で20時間
密閉下で攪拌反応させる。反応終了後炭酸水素ナトリウ
ムの飽和溶液を20ml添加し、クロロホルム50mlにて
3回反復抽出した。抽出した溶媒液を炭酸水素ナトリウ
ム飽和溶液で洗浄後飽和食塩水で洗浄した。溶媒液を無
水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固した。得られた乾固
物をクロロホルム−メタノール40:1のシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにて溶出後、クロロホルム−メ
タノール1:1のセファデックスLH20カラムクロマ
トグラフィーで溶出し、濃縮乾固して該ベンズアントラ
セン誘導体の3′−4′ジメチルアセタール化物330
mgが暗紫色の粉末として得られた。 2)該ベンズアントラセン誘導体の3′,4′−ジメチ
ルアセタール化物の分子式 C37H39O13N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:728、2396;C37H39O13NNa 理論値:728、2319 3)該3′,4′−ジメチルアセタール化物(III)
の構造式
【0021】
【化4】
【0022】4)該3′,4′−ジメチルアセタール化
物のCDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図5に示す。 実施例3 1)ベンズアントラセン誘導体ジメチルアセタール化物
へのコハク酸付加 実施例2で得たジメチルアセタール化物純品400mgを
モレキュラーシーブス4Aで脱水した無水ピリジン5ml
に熔解し、無水酢酸コハク酸10mgを添加し、室温で2
0時間密閉下で攪拌反応させた。反応終了後炭酸水素ナ
トリウムの飽和溶液を20ml添加し、クロロホルム50
mlにて3回反復抽出した。抽出した溶媒液を炭酸水素ナ
トリウム飽和溶液で洗浄後飽和食塩水で洗浄した。溶媒
液を無水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固した。得られ
た乾固物をクロロホルム−メタノール11:1のシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにて溶出後、クロロホル
ム−メタノール1:1のセファデックスLH20カラム
クロマトグラフィーで溶出し、濃縮乾固してベンズアン
トラセン誘導体のトリアセチル化物250mgが暗紫色の
粉末として得られた。 2)ベンズアントラセン誘導体のジメチルアセタール化
−コハク酸付加物の分子式 C41H43O16N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:828、2455;C41H43O16NNa 理論値:828、2479 3)ベンズアントラセン誘導体のジメチルアセタール−
コハク酸付加物(IV)の構造式
物のCDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図5に示す。 実施例3 1)ベンズアントラセン誘導体ジメチルアセタール化物
へのコハク酸付加 実施例2で得たジメチルアセタール化物純品400mgを
モレキュラーシーブス4Aで脱水した無水ピリジン5ml
に熔解し、無水酢酸コハク酸10mgを添加し、室温で2
0時間密閉下で攪拌反応させた。反応終了後炭酸水素ナ
トリウムの飽和溶液を20ml添加し、クロロホルム50
mlにて3回反復抽出した。抽出した溶媒液を炭酸水素ナ
トリウム飽和溶液で洗浄後飽和食塩水で洗浄した。溶媒
液を無水硫酸ナトリウムで脱水後濃縮乾固した。得られ
た乾固物をクロロホルム−メタノール11:1のシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにて溶出後、クロロホル
ム−メタノール1:1のセファデックスLH20カラム
クロマトグラフィーで溶出し、濃縮乾固してベンズアン
トラセン誘導体のトリアセチル化物250mgが暗紫色の
粉末として得られた。 2)ベンズアントラセン誘導体のジメチルアセタール化
−コハク酸付加物の分子式 C41H43O16N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:828、2455;C41H43O16NNa 理論値:828、2479 3)ベンズアントラセン誘導体のジメチルアセタール−
コハク酸付加物(IV)の構造式
【0023】
【化5】
【0024】4)該ジメチルアセタール−コハク酸付加
物のCDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図6に示す。 実施例4 1)3′,4′,2″−トリアセチルベンズアントラセ
ン誘導体の製造 式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品400mg
を、モレキュラーシーブス4Aで脱水した無水ピリジン
5mlに熔解し、無水酢酸2mlとジメチルアミノピリジン
1mgを添加し、室温で20時間密閉下で攪拌反応させ
た。反応終了後炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を20ml
添加し、クロロホルム50mlにて3回反復抽出した。抽
出した溶媒液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄後飽
和食塩水で洗浄した。溶媒液を無水硫酸ナトリウムで脱
水後濃縮乾固した。得られた乾固物をクロロホルム−メ
タノール50:1のシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにて溶出後、クロロホルム−メタノール1:1のセフ
ァデックスLH20カラムクロマトグラフィーで溶出
し、濃縮乾固して3′,4′,2″−トリアセチルベン
ズアントラセン誘導体が330mgの暗紫色の粉末として
得られた。 2)3′,4′,2″−トリアセチルベンズアントラセ
ン誘導体の分子式 C40H41O16N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:814、2314;C40H41O16NNa 理論値:814、2322 3)3′,4′,2″−トリアセチル体(V)の構造式
物のCDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図6に示す。 実施例4 1)3′,4′,2″−トリアセチルベンズアントラセ
ン誘導体の製造 式(II)のベンズアントラセン誘導体の純品400mg
を、モレキュラーシーブス4Aで脱水した無水ピリジン
5mlに熔解し、無水酢酸2mlとジメチルアミノピリジン
1mgを添加し、室温で20時間密閉下で攪拌反応させ
た。反応終了後炭酸水素ナトリウムの飽和溶液を20ml
添加し、クロロホルム50mlにて3回反復抽出した。抽
出した溶媒液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄後飽
和食塩水で洗浄した。溶媒液を無水硫酸ナトリウムで脱
水後濃縮乾固した。得られた乾固物をクロロホルム−メ
タノール50:1のシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにて溶出後、クロロホルム−メタノール1:1のセフ
ァデックスLH20カラムクロマトグラフィーで溶出
し、濃縮乾固して3′,4′,2″−トリアセチルベン
ズアントラセン誘導体が330mgの暗紫色の粉末として
得られた。 2)3′,4′,2″−トリアセチルベンズアントラセ
ン誘導体の分子式 C40H41O16N (高分解能FAB−MSによるナトリウム付加分子イオ
ンピークによる) 観測値:814、2314;C40H41O16NNa 理論値:814、2322 3)3′,4′,2″−トリアセチル体(V)の構造式
【0025】
【化6】
【0026】4)3′,4′,2″−トリアセチル体の
CDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図7に示す。
CDCl3 中500MHz プロトンNMRスペクトル 図7に示す。
【0027】
【図1】 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘
導体のメタノール中(実線)、および0.01規定水酸化
ナトリウム−メタノール中(点線)での紫外吸収スペク
トルを模写したものである。
導体のメタノール中(実線)、および0.01規定水酸化
ナトリウム−メタノール中(点線)での紫外吸収スペク
トルを模写したものである。
【図2】 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘
導体のKBrディスク法による赤外吸収スペクトルを模
写したものである。
導体のKBrディスク法による赤外吸収スペクトルを模
写したものである。
【図3】 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘
導体の重クロロホルム中における500メガヘルツプロ
トン核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
導体の重クロロホルム中における500メガヘルツプロ
トン核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
【図4】 本発明の式(II)のベンズアントラセン誘
導体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素
13核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
導体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素
13核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
【図5】 本発明の式(III)のベンズアントラセン
誘導体の重クロロホルム中における500メガヘルツプ
ロトン核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
誘導体の重クロロホルム中における500メガヘルツプ
ロトン核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
【図6】 本発明の式(IV)のベンズアントラセン誘
導体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素
13核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
導体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素
13核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
【図7】 本発明の式(V)のベンズアントラセン誘導
体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素1
3核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
体の重クロロホルム中における125メガヘルツ炭素1
3核磁気共鳴スペクトルを模写したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 耕太郎 広島県広島市佐伯区皆賀1−2−20
Claims (3)
- 【請求項1】 式(I)で表されるベンズアントラセン
誘導体。 【化1】 (式中、R1 は、水素、COCH3 又はOCO(CH2)
2 OCOHを表わし、R2 及びR3 は、水素又はCOC
H3 を表すが、R2 及びR3 は1つの4級炭素を介し環
を形成しジメチルアセタール体にしても良い) - 【請求項2】 請求項1記載の式(I)で表されるベン
ズアントラセン誘導体を有効成分とする抗腫瘍剤。 - 【請求項3】 アクチノマズラ(Actinomadura)属に属
し請求項1記載の式(I)で表されるベンズアントラセ
ン誘導体生産能を有する菌株を適当な培地で好気的に培
養し、培養物より該ベンズアントラセン誘導体を得るこ
とを特徴とするベンズアントラセン誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18838592A JP2879394B2 (ja) | 1992-07-15 | 1992-07-15 | ベンズアントラセン誘導体、該誘導体を含有する抗腫瘍剤及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18838592A JP2879394B2 (ja) | 1992-07-15 | 1992-07-15 | ベンズアントラセン誘導体、該誘導体を含有する抗腫瘍剤及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0632796A true JPH0632796A (ja) | 1994-02-08 |
JP2879394B2 JP2879394B2 (ja) | 1999-04-05 |
Family
ID=16222704
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18838592A Expired - Fee Related JP2879394B2 (ja) | 1992-07-15 | 1992-07-15 | ベンズアントラセン誘導体、該誘導体を含有する抗腫瘍剤及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2879394B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0711785A1 (en) * | 1994-09-19 | 1996-05-15 | Bristol-Myers Squibb Company | Novel antitumor antibiotic compounds: hayumicins and analogs thereof |
-
1992
- 1992-07-15 JP JP18838592A patent/JP2879394B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0711785A1 (en) * | 1994-09-19 | 1996-05-15 | Bristol-Myers Squibb Company | Novel antitumor antibiotic compounds: hayumicins and analogs thereof |
US5639735A (en) * | 1994-09-19 | 1997-06-17 | Bristol-Myers Squibb Company | Antitumor antibiotic compounds: hayumicins and analogs thereof |
AU713765B2 (en) * | 1994-09-19 | 1999-12-09 | Bristol-Myers Squibb Company | Novel antitumor antibiotic compounds: hayumicins and analogs thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2879394B2 (ja) | 1999-04-05 |
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