JPH09309022A - 正面フライスの取付機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正面フライスの取付機構において、被削材の
平削りを行う正面フライスを正確な芯出しにより機械本
体に取り付け、高速回転においても良好な切削性能を得
ることを課題とする。 【解決手段】 フライス本体の外周縁に切刃が配列され
被削材を平面加工する正面フライスを、機械本体のフラ
イス取付部に脱着可能に装着する正面フライスの取付機
構において、前記正面フライスの上部に円周方向に等間
隔に配列された第１歯と、前記フライス取付部の下部に
円周方向に等間隔に配列されていて前記第１歯と噛み合
い得る第２歯とを備えている技術が採用される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、平面切削に用いら
れる正面フライスを、機械本体のフライス取付部に脱着
可能に装着する正面フライスの取付機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来一般に、被削材の平面加工に用いら
れる正面フライスを機械本体の主軸先端部にアダプタを
介して取り付ける場合、図４に示すように、アダプタ１
を機械本体の主軸２の先端部にはめてボルト３で固定
し、そのアダプタ１の先端面に形成された突部４に、外
周縁にスローアウェイチップ等の切刃５を取り付けたリ
ング状のフライス本体６を嵌合し、クランプボルト８に
より締め付け固定される取付手段が採られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
正面フライスの取付手段には、以下のような課題が残さ
れている。すなわち、フライス本体６を単にクランプボ
ルト８で締結しているので、主軸に対して若干の芯ずれ
が生じる場合がある。正面フライスの場合は、平削りを
行うので若干の芯ずれが生じても通常の切削では、切削
性能の低下は生じないが、高速回転で用いられる正面フ
ライスでは、僅かな芯ずれがあった場合には、回転バラ
ンスが崩れて振動が生じやすくなるとともに、該振動に
より切刃に強い負荷が加わって寿命を短縮させるという
不都合が生じていた。

【０００４】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、被削材の平削りを行う正面フライスとして用いら
れる正面フライスを正確な芯出しにより機械本体に取り
付け、高速回転においても良好な切削性能を得ることが
できる正面フライスの取付機構を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を採用した。すなわち、請求項
１の正面フライスの取付機構では、フライス本体の外周
縁に切刃が配列され被削材を平面加工する正面フライス
を、機械本体のフライス取付部に脱着可能に装着する正
面フライスの取付機構において、前記正面フライスの上
部に円周方向に等間隔に配列された第１歯と、前記フラ
イス取付部の下部に円周方向に等間隔に配列されていて
前記第１歯と噛み合い得る第２歯とを備えている技術が
採用される。

【０００６】この正面フライスの取付機構では、円周方
向に等間隔に配列された第１歯と第２歯とを噛み合わせ
て取り付けるので、第１歯と第２歯が互いに多方向に係
合し合って位置決めされることから、正面フライスが正
確な芯出しでフライス取付部に取り付けられる。

【０００７】請求項２の正面フライスの取付機構では、
請求項１記載の正面フライスの取付機構において、前記
第１歯および第２歯は、台形状に隆起した形状とされる
技術が採用される。

【０００８】この正面フライスの取付機構では、第１歯
および第２歯が台形状に隆起した形状とされるので、各
歯の互いの側面が傾斜状態に当接することから、いわゆ
る楔効果が生じて大きなクランプ力が発生し回転力の伝
達性が向上する。

【０００９】請求項３の正面フライスの取付機構では、
請求項１または２記載の正面フライスの取付機構におい
て、前記第１歯および第２歯は、前記円周方向の全周に
亙って形成されている技術が採用される。

【００１０】この正面フライスの取付機構では、第１歯
および第２歯が前記円周方向の全周に亙って形成されて
いるので、第１歯と第２歯とが全周に亙って互いに係合
することから、さらに正確な芯出しで正面フライスがフ
ライス取付部に取り付けられる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
１から図３を参照しながら説明する。これらの図にあっ
て、符号１１は正面フライス、１２はフライス本体、１
３はアダプタを示している。

【００１２】本形態に係る正面フライス１１の取付機構
は、図１および図２に示すように、フライス本体１２の
基端側に配設されたアダプタ（フライス取付部）１３
と、前記フライス本体１２に貫通され前記アダプタ１３
に螺着固定されてフライス本体１２をアダプタ１３に固
定するクランプボルト１４とから概略構成されている。

【００１３】正面フライス１１は、円環状をなす前記フ
ライス本体１２と、該フライス本体１２の外周縁部に複
数装着されたスローアウェイチップ１７とを具備してい
る。前記フライス本体１２は、その先端外周部に該フラ
イス本体１２の先端面および外周面に向かって開口する
複数の凹溝１２ｂが、周方向に等間隔に形成されてい
る。これらの凹溝１２ｂには、図３に示すように、スロ
ーアウェイチップ１７がクランプネジ１８で締め込まれ
る楔部材１９によって着脱自在に装着される。

【００１４】また、フライス本体１２の外周部基端面に
は、その外周縁部に沿って円周方向に全周に亙ってカッ
プリング用のカッタ側歯（第１歯）１２ｃが等間隔に配
列されているとともに、中心孔１２ａの軸線に対して放
射状に配されており、各カッタ側歯１２ｃは台形状に隆
起している（図２および図３参照）。さらに、フライス
本体１２には、前記クランプボルト１４を貫通させる貫
通孔２０が中心孔１２ａの軸線に平行して形成され、該
貫通孔２０は、断面形状がいわゆるだるま形とされ、大
径部２０ａと小径部２０ｂとを備えている。前記クラン
プボルト１４は、前記小径部２０ｂに配されるとともに
フライス本体１２をアダプタ１３側に押圧して固定して
いる。

【００１５】前記アダプタ１３は、複数のボルト孔２２
に挿入される連結ボルト２３によって主軸２と一体的に
連結されるようになっている。また、アダプタ１３の外
周部先端面には、その外周縁部に沿って、図３に示すよ
うに、前記カッタ側歯１２ｃと噛み合う台形状に隆起し
たアダプタ側歯１３ｂ（第２歯）がカッタ側歯１２ｃと
同一の間隔で全周に亙って円周方向に等間隔に配列され
ているとともに、中心軸に対して放射状に配されてい
る。すなわち、カッタ側歯１２ｃとアダプタ側歯１３ｂ
に関して、一方の歯列の隣接する二つの歯の間の谷部に
他方の歯列の歯が嵌合することで、両者はいわゆるハー
スカップリングを構成する。さらに、前記アダプタ１３
は、先端面に突部１３ｃが円筒状に形成され、該突部１
３ｃは前記フライス本体１２の取り付け時に中心孔１２
ａに内挿状態とされる。

【００１６】次に、本発明に係る正面フライスの取付機
構の一形態における正面フライス１１の取付方法につい
て説明する。

【００１７】まず、フライス本体１２を機械本体の主軸
に取り付けるには、アダプタ１３をボルト孔２２に挿入
される連結ボルト２３によって前記主軸に装着する。次
に、フライス本体１２を、中心孔１２ａに前記突部１３
ｃを内挿状態とするとともに、貫通孔２０の大径部２０
ａにクランプボルト１４を貫通させてアダプタ１３に螺
着させる。このとき、前記クランプボルト１４を完全に
締結する前、すなわちクランプボルト１４の頭部がフラ
イス本体１２から離間した状態でフライス本体１２を軸
線を中心に小径部２０ｂ側に回転させ、クランプボルト
１４の頭部が小径部２０ｂに配されるように設定する。

【００１８】この状態で、クランプボルト１４を締結し
てフライス本体１２をアダプタ１３に位置決め固定す
る。このとき、前記カッタ側歯１２ｃとアダプタ側歯１
３ｂが上下に互い違いとなる位置に配する。

【００１９】これにより、カッタ側歯１２ｃおよびアダ
プタ側歯１３ｂは、一方の歯列の隣接する二つの歯の間
の谷部に他方の歯列の歯が嵌合し、ハースカップリング
を構成する。したがって、フライス本体１２は、アダプ
タ１３の軸線に対して芯合わせが行われることになる。

【００２０】上記のように、フライス本体１２が機械本
体の主軸に装着されると、次いで機械本体が起動されて
フライス本体１２が回転せしめられるとともに軸線と直
交する方向に送られ、これに伴ってフライス本体１２の
先端面から突出するスローアウェイチップ１７の切刃が
被削材を切削してゆく。

【００２１】このとき、フライス本体１２は、アダプタ
１３にカッタ側歯１２ｃとアダプタ側歯１３ｂとを噛み
合わせて取り付けられるので、カッタ側歯１２ｃとアダ
プタ側歯１３ｂが互いに全周に亙って配され、互いに多
方向に係合し合って位置決めされることから、正面フラ
イス１１が正確な芯出しでアダプタ１３に取り付けられ
る。したがって、高速回転によって平面加工を施す際で
も、回転バランスが崩れず振動が生じ難くなるととも
に、該振動による切刃への強い負担が抑制される。さら
に、大きなクランプ力により回転力の伝達性を向上させ
ることができる。

【００２２】また、カッタ側歯１２ｃおよびアダプタ側
歯１３ｂが台形状に隆起した形状とされるので、各歯の
互いの側面が傾斜状態に当接することから、いわゆる楔
効果が生じて大きなクランプ力が発生し回転力の伝達性
が向上する。

【００２３】なお、上記の一形態においては、カッタ側
歯１２ｃおよびアダプタ側歯１３ｂを円周方向にそれぞ
れ全周に亙って形成したが、互いに噛み合う位置に形成
すれば、円周方向の一部に形成しても構わない。しかし
ながら、より正確な芯出しを行うには、全周に亙って形
成することが好ましい。なお、円周方向の一部に各歯を
形成する場合は、カッタ側歯１２ｃおよびアダプタ側歯
１３ｂを円周方向に複数箇所配し、かつ回転軸に対して
対称な位置に形成すれば、中心軸に対して均等な放射状
に各歯が配されることから、芯出し精度が向上するとと
もに、回転バランスを良好に維持することができる。ま
た、本形態では、特にスローアウェイ式の正面フライス
の取付機構に適用したが、チップをロウ付けした正面フ
ライスの取付機構に適用しても構わない。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、以下の効果を奏する。 （１）請求項１記載の正面フライスの取付機構によれ
ば、正面フライスの第１歯とフライス取付部の第２歯と
を噛み合わせて取り付け、正面フライスを正確な芯出し
でフライス取付部に取り付るので、高速回転によって平
面加工を施す際でも、回転バランスが崩れず振動が生じ
難くなるとともに、該振動による切刃への強い負担を抑
制し、高速回転における高寿命化を図ることができる。 （２）請求項２記載の正面フライスの取付機構によれ
ば、第１歯および第２歯が台形状に隆起した形状とされ
るので、各歯の互いの側面が傾斜状態に当接することか
ら、いわゆる楔効果が生じて大きなクランプ力が発生し
回転力の伝達性を向上させることができる。 （３）請求項３記載の正面フライスの取付機構によれ
ば、第１歯および第２歯が前記円周方向の全周に亙って
形成されているので、第１歯と第２歯とが全周に亙って
互いに係合することから、さらに正確な芯出しで正面フ
ライスをフライス取付部に取り付けることができるとと
もに、高速回転においてより高い信頼性を有することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る正面フライスの取付機構の一形態
を示す軸方向断面図である。

【図２】本発明に係る正面フライスの取付機構の一形態
を示す裏面図である。

【図３】本発明に係る正面フライスの取付機構の一形態
におけるフライス本体の先端外周部を示す拡大図であ
る。

【図４】本発明に係る正面フライスの取付機構の従来例
を示す軸方向断面図である。

【符号の説明】

１１ 正面フライス １２ フライス本体 １２ｃ カッタ側歯 １３ アダプタ １３ｂ アダプタ側歯 １４ クランプボルト １７ スローアウェイチップ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フライス本体の外周縁に切刃が配列され
   被削材を平面加工する正面フライスを、機械本体のフラ
   イス取付部に脱着可能に装着する正面フライスの取付機
   構において、 前記正面フライスの上部に円周方向に等間隔に配列され
   た第１歯と、 前記フライス取付部の下部に円周方向に等間隔に配列さ
   れていて前記第１歯と噛み合い得る第２歯とを備えてい
   ることを特徴とする正面フライスの取付機構。
2. 【請求項２】 請求項１記載の正面フライスの取付機構
   において、 前記第１歯および第２歯は、台形状に隆起した形状とさ
   れることを特徴とする正面フライスの取付機構。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の正面フライスの
   取付機構において、 前記第１歯および第２歯は、前記円周方向の全周に亙っ
   て形成されていることを特徴とする正面フライスの取付
   機構。