JPH0639008B2 - カツタ−装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はカッター装置に関し、一層詳細には、円盤状の
カッターボデイに複数個の刃部を設け、夫々の刃部に対
応させて位置調整手段を配設することにより、前記刃部
を前記カッターボデイに対し強固に装着し且つ夫々の刃
部の切刃部分を切削方向に対して正確に整列することを
可能にしたカッター装置に関する。

軸に嵌着した円形状の刃物を回転させ、一方、ワークに
所定速度の送りを与えて前記刃物によりワークを切削す
るカッター装置、すなわち、ミリングマシンが広汎に用
いられている。

従来、このようなカッター装置としては、カッターボデ
イに対して複数の刃部が一体的に形成されているカッタ
ーと、前記刃部がカッターボデイに着脱自在に装着され
ているカッターとが使用されるに至っている。

然しながら、前者の刃部とカッターボデイとを一体化し
たカッターでは切削されるべきワークの数が多いと刃先
の損耗を招来し、その刃先だけの交換の必要性がある場
合であってもカッター全体を取り代えなければならない
欠点がある。また、ワークの種類が相違すれば、そのワ
ークに対応してカッター自体の交換が要求されることは
勿論であり、そのためには前記ワークの種類に応じて常
時多種類のカッターを用意しておかなければならず、実
際上、経済的でないという不都合が指摘されている。

一方、刃部とカッターボデイとが分離構成されているカ
ッターには切削用チップを直接前記カッターボデイに装
着するものと、この切削用チップを固着した刃部をカッ
ターボデイに配設するものとがある。従って、高精度な
切削加工が望まれる場合には、多数のチップあるいは刃
部をカッターボデイに設けると共に、チップ若しくは刃
部をワークに対して極めて正確に位置決めしなればなら
ない。

そこで、カッターボデイに複数のチップを着脱自在に装
着すると共に、各チップを前記カッターボデイの軸方向
に位置調整可能に構成するものが提案されており、例え
ば特開昭５７−４１１１０号公報にその技術的思想が開
示されている。

この従来技術では、略円筒形のプラグ部材に、傾斜する
頂面を有する平坦な楔部材を固着した位置決め楔が使用
されている。そして、この位置決め楔を、カッターボデ
イに形成された該位置決め楔の形状に対応する受溝に挿
入した状態で、両側に互いに反対方向にねじ切りされた
差動ねじを、前記位置決め楔を構成するプラグ部材に形
成されたねじ穴と前記カッターボデイに形成されたねじ
穴とに螺合することにより、楔部材の頂面で切削インサ
ート（切削用チップ）を軸方向に位置調整するように構
成されている。

しかしながら、上記の従来技術では、切削インサートを
軸方向に位置調整すべく、略円筒形のプラグ部材と、平
坦な楔部材と、このプラグ部材と楔部材とからなる位置
決め楔の形状に対応する受溝と、両側に互いに反対方向
にねじ切りされた差動ねじとを用いなければならない。
このため、部品点数が多くなり且つ製造工程が複雑化し
てしまい、特に多数の切削インサートを装着する際に該
部品点数が相当に増大すると共に、製造コストが高騰す
るという不具合が生じてしまう。

さらにまた、一般的に、チップあるいは刃部はボルト等
の緊締手段を介してカッターボデイに設けられた所定形
状の取付部に装着されている。従って、前記取付部にチ
ップあるいは刃部を配置してボルトを強固に締め付ける
と、前記チップあるいは刃部が前記ボルトの緊締力によ
り取付部に対し変位した状態で固着される場合がある。
このため、チップの切刃部の位置が不揃いとなる欠点が
生ずる。しかも、ワークに対し切削加工を行う際に、チ
ップの切刃部には切削抵抗が作用するために、チップあ
るいは刃部を固着しているボルトが弛緩し、前記チップ
あるいは刃部の締付状態が不十分なものとなる虞れがあ
る。結局、このようなカッターでワークに切削加工を行
えば、前記ワークを精度よく加工することが到底不可能
となる不都合が指摘される。

本発明は前記の不都合を克服するためになされたもので
あって、刃部をカッターボデイに強固に且つ正確に位置
決め固着してワークに対し精度の高い加工作業を施すこ
とを可能にしたカッター装置を提供することを目的とす
る。

前記の目的を達成するために、本発明は回転駆動源に連
結される円盤状のカッターボデイと、 前記カッターボデイに形成された取付部に緊締用ボルト
を介して装着される刃部と、 前記カッターボデイの外周部から突出して形成されるフ
ランジ部に軸線方向に螺入され、その頭部で前記刃部を
前記軸線方向に位置調整自在な調整ねじと、 を備え、 前記取付部は、前記刃部が受ける切削抵抗を保持すべく
該刃部に係合する面部と、 前記緊締用ボルトの螺入回転方向が前記刃部が受ける切
削抵抗により該緊締用ボルトを回転させようとする方向
と一致するように前記緊締用ボルトを螺合する螺孔と、 を有すると共に、 前記刃部は、前記緊締用ボルトのロッド部を挿通させる
ための溝部と、 前記カッターボデイの反回転方向に指向して外方に傾斜
し、前記溝部に配設された前記緊締用ボルトが前記螺孔
に螺入することにより該緊締用ボルトに押圧されて前記
刃部を前記面部と前記調整ねじとに押圧保持させるため
の傾斜面と、 を有することを特徴とする。

このように構成される本発明に係るカッター装置では、
緊締用ボルトが僅かに弛緩された状態で、調整ねじが螺
回されると、この調整ねじの頭部が刃部を軸線方向に位
置調整する。そして、緊締用ボルトが螺入方向に螺回さ
れると、この緊締用ボルトのロッド部と頭部との境界部
位が、刃部に設けられた傾斜面の外方端部側に係合し、
この刃部が、前記カッターボデイの面部と調整ねじとに
より強固に押圧保持される。しかも、緊締用ボルトの螺
入回転方向は、刃部が受ける切削抵抗により該緊締用ボ
ルトを回転させようとする方向と一致するため、切削中
にこの緊締用ボルトが弛緩することを確実に阻止するこ
とができる。

次に、本発明に係るカッター装置について好適な実施例
を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明す
る。

第１図乃至３図において、参照符号10は本発明に係るカ
ッター装置を構成するカッターボデイを示す。前記カッ
ターボデイ10の中央部分には大径な段付孔部12が形成さ
れており、前記孔部12には、後述するように、回転駆動
源に連結する回転軸が軸着される。カッターボデイ10の
外周端縁部には薄肉状のフランジ部14が形成され、前記
フランジ部14には等間隔離間してその軸線方向に延在す
る複数の螺孔16が穿設される。そして、このカッターボ
デイ10の外周面部に前記螺孔16に対応し等間隔離間して
複数の刃部用取付部18を形成する。

前記取付部18は、実質的には、カッターボデイ10の軸線
方向に延在すると共に互いに屈曲するように一体的に形
成される二つの面部20と22を含む。第２図に示すよう
に、前記面部20はカッターボデイ10の接線方向（矢印Ｈ
方向）に指向して内方に傾斜しており、一方、面部22は
前記カッターボデイ10の略半径方向に指向している。ま
た、前記面部20にはカッターボデイ10の略半径方向に指
向して螺孔24が穿設される。前記螺孔24は後述する刃部
を取付部18に装着するためのものであり、この場合、前
記刃部を取付部18に固着しているボルトの締付回転方向
と、前記刃部でワークを加工する際に生ずる切削抵抗に
より前記ボルトが回転しようとする方向とが同一となる
ように、前記螺孔24の螺回方向を選択しておくことが望
ましい。

そこで、夫々の取付部18に略柱体状を呈する刃部26を装
着する。第１図に示すように、前記刃部26は取付部18の
面部20、22に対応する取付面28、30が形成される。前記
取付面28に対応する反対側の面部32はこの取付面28と略
平行に形成されており、前記面部32取付面30に対応する
反対側の面部34との隅角部にはチップ取付用溝部36を刻
設する。この場合、第２図に示すように、前記面部34は
刃部26を取付部18に装着する際にカッターボデイ10の半
径方向に指向すると共に、前記取付部18に形成した螺孔
24の軸線と平行状態となる。また、面部32には刃部取付
用開口部38を形成する。

前記開口部38は長円状の第１の溝部40と前記第１溝部40
に傾斜面42ａ、42ｂを介して連通する長円状の第２の溝
部44とを含み、前記第２溝部44の一端部側には第１溝部
40の端部の直径と同一の直径を有する孔部46が連通する
（第３図および第４図参照）。一方、傾斜面42ａ、42ｂ
は面部34に直交する方向に指向して所定角度θ゜だけ傾
斜している。すなわち、刃部26を取付部18に装着する際
に、傾斜面42ａ、42ｂがカッターボデイ10の接線方向
（矢印Ｈ方向）に対し角度θ゜だけ外方に傾斜する（第
２図参照）。

刃部26を構成する面部48は溝部36から離間するに従って
内方に傾斜し、この面部48に対応する面部50は前記面部
34と直交している。そして、溝部36に切削用チップ52
を、例えば、ろう付けにより固着する。前記チップ52の
切刃部52ａには逃げ溝54を設けておくと好適である。

このように構成される刃部26を夫々取付部18に嵌合し、
開口部38にボルト56を挿通して後、その先端部を面部20
の螺孔24に螺入して前記刃部26を前記取付部18に装着す
る。なお、ボルト56のねじ溝の螺回方向は螺孔24に対応
して選択されている。さらにまた、フランジ部14の螺孔
16に調整ねじ58を螺入し、その頭部58ａを刃部26の面部
50に当接する。この場合、前記調整ねじ58の頭部58ａに
は半径方向に孔部60を貫通して穿設しておく。

本発明に係るカッター装置は基本的には以上のように構
成されるものであり、次にその作用並びに効果について
説明する。

そこで、先ず、夫々の刃部26の位置をワークＷに対応し
て調整する。すなわち、ボルト56を螺孔24に僅かに螺入
させて前記刃部26を仮り止めし、調整ねじ58を所定方向
に螺回してその頭部58ａを介して前記刃部26をカッター
ボデイ10の軸線方向に変位させる。この場合、前記調整
ねじ58の頭部58ａに穿設された孔部60に、例えば、ピン
部材等を嵌合することにより、前記調整ねじ58の螺介作
業を容易に行うことが出来る。このようにして調整ねじ
58により予め位置決めした後、ボルト56をさらに螺孔24
に螺入して本締めすれば、前記ボルト56と頭部56ａとの
境界面部が傾斜面42ａを押圧し、これによって、前記刃
部26はカッターボデイ10の取付部18に装着されることに
なる。

すなわち、このようにして、カッターボデイ10の外周に
は複数個の刃部26が固着されると共に、チップ52は前記
カッターボデイ10の軸線方向に対し正確に位置決め調整
される。

次いで、カッターボデイ10に設けられた大径な孔部12を
介して前記カッターボデイ10を装着し且つ回転駆動機構
に連結する回転駆動軸62を回転すれば、前記カッターボ
デイ10は矢印Ａ方向に回転するに至る。そして、この回
転するカッターボデイ10をワークＷに近接変位させれ
ば、取付部18に装着されている複数のチップ52の切刃部
52ａにより前記ワークＷに切削加工が行われる。その際
前記切刃部52ａには逃げ溝54が形成されているため、こ
のチップ52による切削加工は良好に行われることにな
る。さらに、刃部26の面部48が溝部36から離間する方
向、すなわち、チップ52から離間する方向に従って内方
向に傾斜しているため、切刃部52ａによる切削加工時に
刃部26はワークＷに接することがなく、しかも前記切削
加工時に生ずる切削屑は好適に外部に導出される。

ところで、ワークＷの種類が異なる場合には、以下に示
す手順により容易に対応することが出来る。先ず、刃部
26を固着しているボルト56を一旦弛緩して後、調整ねじ
58を所定方向に螺回してその頭部58ａに接触する刃部26
をカッターボデイ10の軸線方向に対して変位させ、切刃
部52ａの位置を新たなワークＷに対応して調整する。そ
して、ボルト56を螺孔24に螺入して刃部26を取付部18に
しっかりと固着して後、新たなワークＷに対して前述し
たように切削加工工程を行う。

この場合、本発明によれば、刃部26を取付部18に対し好
適に装着することが出来る。すなわち、刃部26には傾斜
面42ａ、42ｂが設けられており、前記傾斜面42ａ、42ｂ
は前述したように前記刃部26が取付部18に装着された際
にカッターボデイ10の接線方向（矢印Ｈ方向）に指向し
て角度θ゜だけ外方に傾斜している。このため、調整ね
じ58により前記刃部26の位置調整をして後、ボルト56の
先端部を螺孔24に螺入してこの刃部26を取付部18に装着
しようとすると、前記ボルト56と頭部56ａとの境界面部
が傾斜面42ａに接触する（第２図参照）。従って、第４
図に示すように、ボルト56を矢印Ｃ方向（反時計方向）
に螺回すれば、前記ボルト56と頭部56ａとの境界面部は
傾斜面42ａを矢印Ｂ方向に押圧し、刃部26の面部50は調
整ねじ58の頭部58ａに圧接する。このため、前記ボルト
56を緊締する際に、刃部26は取付部18に対して変位する
ことがなく、夫々のチップ52はカッターボデイ10に対し
て正確に配置されることになる。結果的に、刃部26はボ
ルト56により取付部18に装着されると共に調整ねじ58に
圧接し、カッターボデイ10に対して強固に且つ正確に装
着することが出来る。

さらにまた、第４図に示すように、カッターボデイ10を
矢印Ａ方向に回転させてチップ52の切刃部52ａによりワ
ークＷに切削加工を行うと、前記切刃部52ａには矢印Ａ
方向とは反対の方向に切削抵抗が作用する。そこで、刃
部26は矢印Ｃ方向に押圧されるものであるが、ボルト56
の螺着回転方向を前記矢印Ｃ方向に選択しているため、
前記ボルト56が弛緩することはない。結局、カッターボ
デイ10によりワークＷを加工する際に、刃部26に振動等
が惹起することなく前記ワークＷを極めて精度よく加工
することが可能となる。

さらに、本実施例では、刃部26の交換が簡単に行われ
る。すなわち、ボルト56を僅かに弛緩して後、刃部26
を、第４図中において、矢印Ｂ方向とは逆方向に変位さ
せ、孔部46をボルト56の頭部56ａと同軸上に位置させ
る。そこで、刃部26をカッターボデイ10の半径方向外方
に変位させれば、前記孔部46を介してこの刃部26が取付
部18ら取り外される。つまり、ボルト56を螺孔24から完
全に離脱させることなく刃部26の交換が行われ、前記刃
部26の交換作業はより一層短時間で且つ容易に行うこと
が出来る。

以上のように、本発明によれば円盤状のカッターボデイ
に所定形状の取付部を形成し、一方、これらの取付部に
対応する形状を有し且つ切削用チップを固着した刃部を
調整ねじを介して位置調整可能に構成すると共に、前記
刃部に緊締用ボルト手段に係合する傾斜面を形成してい
る。このため、前記ボルトを所定方向に螺回することに
より、刃部を調整ねじに押圧するようにして取付部に対
し強固に装着することが出来る。従って、カッターボデ
イに刃部を装着する際に、前記刃部がカッターボデイに
対し変位することがなく正確に位置決め固定され、結果
的に、ワークに対して極めて精度のよい切削加工を施す
ことが可能となる。しかも、刃部の位置調整並びに交換
作業が一層簡素化し、種類の異なる種々のワークに対し
好適に対応し得る利点がある。さらに、ボルトの螺入回
転方向が、刃部が受ける切削抵抗により該ボルトを回転
させようとする方向と一致するため、切削中にこのボル
トが弛緩することを確実に阻止することができる。

以上、本発明について好適な実施例を挙げて説明した
が、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、例
えば、カッターボデイの切削回転方向が反対であれば、
刃部を螺着するボルトの螺入回転方向を逆にすることに
より同等な効果を営むことが出来る等、本発明の要旨を
逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が
可能なことは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るカッター装置の一部省略斜視図、 第２図は本発明に係るカッター装置の一部平面図、 第３図は本発明装置の一部省略縦断面図、 第４図は本発明装置によりワークを加工する際の一部正
面図である。 10……カッターボデイ、12……孔部 14……フランジ部、16……螺孔 18……取付部、20、22……面部 24……螺孔、26……刃部 28、30……取付面、38……開口部 40……溝部、42ａ、42ｂ……傾斜面 56……ボルト、58……調整ねじ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転駆動源に連結される円盤状のカッター
   ボデイと、 前記カッターボデイに形成された取付部に緊締用ボルト
   を介して装着される刃部と、 前記カッターボデイの外周部から突出して形成されるフ
   ランジ部に軸線方向に螺入され、その頭部で前記刃部を
   前記軸線方向に位置調整自在な調整ねじと、 を備え、 前記取付部は、前記刃部が受ける切削抵抗を保持すべく
   該刃部に係合する面部と、 前記緊締用ボルトの螺入回転方向が前記刃部が受ける切
   削抵抗により該緊締用ボルトを回転させようとする方向
   と一致するように前記緊締用ボルトを螺合する螺孔と、 を有すると共に、 前記刃部は、前記緊締用ボルトのロッド部を挿通させる
   ための溝部と、 前記カッターボデイの反回転方向に指向して外方に傾斜
   し、前記溝部に配設された前記緊締用ボルトが前記螺孔
   に螺入することにより該緊締用ボルトに押圧されて前記
   刃部を前記面部と前記調整ねじとに押圧保持させるため
   の傾斜面と、 を有することを特徴とするカッター装置。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載の装置におい
   て、前記溝部は、前記カッターボデイの軸線方向に延在
   する長円状を有すると共に、 該溝部の一端部側に、前記緊締用ボルトの頭部を挿通さ
   せるための孔部が連通することを特徴とするカッター装
   置。