JP4115700B2 - 切削工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、切削工具に係り、特に、ワークに穿設されている下穴を仕上げ加工するのに好適な切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、この種の工具の従来例を示すものである。図5に示す切削工具1は、下穴を仕上げ加工する穴加工工具2を有し、工具本体3に穴加工工具2を固定して、加工に供される。工具本体3は、全体的に外形が軸線Oを中心とした略多段円柱状をなしており、その先端側が先端に向かうに従い漸次縮径する略円錐台状に形成されている。この工具本体3の先端には該軸線O上に、長尺状のリーマ等の穴加工工具2を挿通するための挿通孔4が設けられると共に、工具本体3内に挿通孔4に向かうよう半径方向に向けてネジ穴5が設けられている。そして、切削工具1では、工具本体3の挿通孔4にブッシュ6を介して穴加工工具2のシャンク部2aが挿入されたとき、工具本体3のネジ穴5に一本のクランプネジ7が螺合され、クランプネジ7の先端がシャンク部2aの周面に形成された平面部2bと当接することにより、穴加工工具2が軸周りに回転するのを防ぎ、工具本体3の回転力が穴加工工具2に伝達されるように固定されている。この切削工具1は、工作機械(図示せず)の主軸先端などに装着され、その軸線O回りに回転されて穴加工工具2の先端の切刃2cで切削を行い、下穴の仕上げ加工に供される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の切削工具1は、工具本体3に穴加工工具2を挿入し、穴加工工具2のシャンク部2aの平面部2bを一本のクランプネジ7で締め付けることによって穴加工工具2を工具本体3に固定した構成であり、ブッシュ6のブッシュ穴6aと、穴加工工具2のシャンク部2aとの間にクリアランスがあるため、工具本体3の軸線Oに対し穴加工工具2の軸線がずれてしまい、加工時に穴加工工具2の先端部の切刃2cが振れを起こすという問題があった。しかも、穴加工工具2が長尺状をなして構成されているので、穴加工工具2の先端部の切刃2cの回転中心と軸線Oのずれが大きくなってしまう。そのため、工具本体3が回転したとき、切刃2cに振れが発生してしまうので、下穴を精密仕上げするというリーマ本来の精度良い切削加工ができなくなる問題があった。
【0004】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、穴加工工具の先端の振れ出しを調整し、切刃の振れが発生することを確実に防止し、精度良い加工を行うことができる切削工具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、軸線回りに回転される工具本体と、工具本体の先端に軸線方向に装着された長尺状の穴加工工具と、穴加工工具を工具本体に支持する支持手段とを備え、前記穴加工工具は、その先端部に切刃が形成され、その反対側がシャンク部とされ、前記工具本体内には前記軸線上に、前記シャンク部が挿入される取付孔が設けられ、前記支持手段は、前記取付孔に前記シャンク部を押し付けることにより前記穴加工工具を前記工具本体に固定するクランプネジと、前記工具本体内の前記クランプネジより先端側の位置に螺着されて、前記穴加工工具の先端部の前記切刃の回転中心を前記工具本体の軸線上に一致させるように振れ出しを調整する調整ネジとからなり、前記調整ネジは、前記工具本体の軸線と直交する面内において複数本からなり、それぞれが互いに等角度の間隔を隔てて配置されて、前記工具本体の軸線に直交する面内において互いに等角となる位置から前記シャンク部の外周面に当接して押圧することを特徴とする。
【0006】
この切削工具によれば、支持手段の調整ネジによって穴加工工具の先端部の切刃の回転中心を工具本体の軸線上に一致させるように振れ出しを調整し固定するので、工具本体の回転時、切刃の振れが防止され、加工時に穴加工工具は精度良く穴加工を行うことができる。
【0008】
この切削工具によれば、調整ネジは、工具本体内のクランプネジより先端の位置に螺着されているので、穴加工工具の先端部の振れ出しを簡単に調整することができる。
【0009】
また、この切削工具において、該調整ネジは、工具本体の軸線と直交する面内において複数本からなり、それぞれが互いに等角度の間隔を隔てて配置されている。
【0010】
この切削工具によれば、調整ネジは、工具本体の軸線と直交する面内において互いに等角度の間隔を隔てて配置されているので、確実に穴加工工具の先端部の振れ出しを調整し、固定することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図4は、この発明の一実施の形態に係る切削工具を示す図であって、図1は切削工具を示す一部破断側面図、図2は正面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図1のB−B断面図である。
【0012】
本実施形態において切削工具10は、工具本体11と、工具本体11に固定された長尺状のリーマ等の穴加工工具12と、穴加工工具12を工具本体11に固定するためのクランプネジ14と、穴加工工具12の先端部の振れ出しを調整する調整ネジ16とを備えている。
【0013】
工具本体11は、全体的に外形が軸線Oを中心とした略多段円柱状をなしており、その先端側が先端に向かうに従い漸次縮径する略円錐台状に形成されている。工具本体11の後端側の外周には、この工具本体11を図示しない工作機械のATC(自動工具交換装置)のアームによって把持するための把持部11Aが形成され、また後端部は工具本体11をマシニングセンタ等の工作機械(図示せず)の駆動軸に取り付けるための取付部11Bとされている。つまり、工具本体11は、取付部11Bが工作機械の駆動軸の駆動によって軸線Oを中心として回転しながら、かつ、軸線O方向の先端側に送りが与えられて進退するようになっている。そして、工具本体11内には軸線O上に、穴加工工具12用の取付孔11Cが設けられている。
【0014】
一方、穴加工工具12は、リーマとして構成されたものであって、その先端部に切刃12aが形成され、その反対側のシャンク部12bには、周面の一部が平らに切り欠かれることによって平面部12cが形成されている。そして、工具本体11の取付孔11Cに、穴加工工具12のシャンク部12bが挿入されたとき、シャンク部12bがクランプネジ14によって押し付けられることにより、工具本体11に固定される。
【0015】
クランプネジ14は、工具本体11内に刻設されたネジ孔15に螺着されたとき、その先端が穴加工工具12のシャンク部12bに設けられた平面部12cと当接してシャンク部12bを工具本体11に押し付けることにより、工具本体11に穴加工工具12を固定するようになっている。ネジ孔15は、工具本体11内の取付孔11Cに向かうよう半径方向に向けて設けられている。
【0016】
また、工具本体11の外周部には、穴加工工具12の先端部の振れ出しを調整するための調整ネジ16が設けられている。図3、図4に示すように、この調整ネジ16は、工具本体11のネジ孔15と異なる位置に半径方向に向けて穿設されたネジ孔17と螺合し、その先端をシャンク部12bに押し付けるように締め付けることにより、切刃12aの回転中心が工具本体11の軸線O上に一致するように、振れ出しを調整するものである。
【0017】
その場合、調整ネジ16のネジ孔17は、工具本体11内においてネジ孔15より工具本体11の先端側の位置に穿設されている。
【0018】
さらに、この調整ネジ16のネジ穴17は、工具本体11の軸線Oに直交する面内において、半径方向に向けて穿設された四本からなり、互いに等角度となる位置に設けられている。すなわち、調整ネジ16は、互いに90°の間隔を隔てて配置され、四方向から穴加工工具12の先端の振れ出しを調整するものであり、その先端が穴加工工具12のシャンク部12bの外周面を締め付けるように固定されている。
【0019】
なお、工具本体11には、加工した穴の開口部を加工するための切刃チップ20が装着されており、18は穴加工工具12の切刃12aの突き出し量を調整する中空の調整ネジであり、19は中空の調整ネジ18を通して穴加工工具12側にクーラント液を供給するためのクーラントパイプである。
【0020】
この実施形態における切削工具10は、上記の構成よりなるので工具本体11の取付孔11C内に穴加工工具12を装着する場合には、工具本体11のネジ孔15にクランプネジ14を螺合させ、クランプネジ14の先端が穴加工工具12のシャンク部12bの平面部12cを締め付け、穴加工工具12を工具本体11に固定する。そして、工具本体11のネジ孔17に調整ネジ16を螺合させ、調整ネジ16の先端がシャンク部12bの外周面を四方向から締め付け、工具本体11の軸線O上に穴加工工具12の先端部の切刃12aの回転中心が一致するように振れ出しを調整し、穴加工工具12を固定する。
【0021】
このような構成の切削工具10によって穴加工を行うには、工具本体11を軸線O回りに回転しつつ軸線O方向に送りを与え、穴加工工具12により穴加工を行い、切刃チップ20で穴開口部の加工を行う。
【0022】
この切削工具10においては、穴加工工具12の先端の切刃12aの回転中心が軸線O上に一致するように振れ出しを調整するので、切刃12aが振れを発生することなく、精密に仕上げ加工を行うことができる。また、調整ネジ16は、工具本体11内にクランプネジ14より先端の位置にあって、穴加工工具12のシャンク部12bを押圧するように用いられるので、穴加工工具12の先端の振れ出しを簡単に調整することができる。さらに、調整ネジ16は、工具本体11の軸線Oに直交する面内において互いに等角となる位置から穴加工工具12のシャンク部12bの外周面に当接して押圧するので、穴加工工具12を確実に固定することができるとともに、各調整ネジ16の押圧力を調整することによりいっそう確実に切刃12aの回転中心を軸線O上に一致させることができる。
【0023】
上述したように切削工具10は、切刃12aの振れの発生を防止し、リーマとしての精密仕上げ加工を良好に行うことができる。そして、その調整は簡単に行うことができ、確実に穴加工工具12を固定することができる。
【0024】
なお、図示の実施形態においては、調整ネジ16が互いに90°の角度となるように四本用いられた例を示したが、これに限らず、例えば、120°間隔となるように三個であってもよいし、四本以上の本数を用いてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、調整ネジによって穴加工工具の先端部の振れ出しを調整できるので、回転時、切刃が振れることを確実に防止できる。そして、精度良く切削加工することができるので、切削工具としての信頼性を高める効果が得られる。
【0026】
また、調整ネジが工具本体内のクランプネジより先端側の位置に螺着されているので、穴加工工具の先端の振れ出しを簡単に調整することができる。
【0027】
さらに、調整ネジが工具本体の軸線に直交する面内において複数本からなり、それぞれが互いに等角度の間隔を隔てて配置されているので、確実に振れ出しを調整し、固定しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態に係る切削工具を示す一部破断側面図である。
【図2】 この発明の一実施の形態に係る切削工具の正面図である。
【図3】 図2のA−A線視断面図である。
【図4】 図1のB−B線視断面図である。
【図5】 従来の切削工具の一例を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
10 切削工具
11 工具本体
12 穴加工工具
14 クランプネジ
16 調整ネジ
O 工具本体の軸線
Claims (1)
- 軸線回りに回転される工具本体と、工具本体の先端に装着された長尺状の穴加工工具と、穴加工工具を工具本体に支持する支持手段とを備えた切削工具において、
前記穴加工工具は、その先端部に切刃が形成され、その反対側がシャンク部とされ、
前記工具本体内には前記軸線上に、前記シャンク部が挿入される取付孔が設けられ、
前記支持手段は、前記取付孔に前記シャンク部を押し付けることにより前記穴加工工具を前記工具本体に固定するクランプネジと、前記工具本体内の前記クランプネジより先端側の位置に螺着されて、前記穴加工工具の先端部の前記切刃の回転中心を前記工具本体の軸線上に一致させるように振れ出しを調整する調整ネジとからなり、
前記調整ネジは、前記工具本体の軸線と直交する面内において複数本からなり、それぞれが互いに等角度の間隔を隔てて配置されて、前記工具本体の軸線に直交する面内において互いに等角となる位置から前記シャンク部の外周面に当接して押圧することを特徴とする切削工具。
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