JPH09302520A - 易フィブリル化繊維の製造方法 - Google Patents

易フィブリル化繊維の製造方法

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JPH09302520A
JPH09302520A JP11858696A JP11858696A JPH09302520A JP H09302520 A JPH09302520 A JP H09302520A JP 11858696 A JP11858696 A JP 11858696A JP 11858696 A JP11858696 A JP 11858696A JP H09302520 A JPH09302520 A JP H09302520A
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sea
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Akio Omori
昭夫 大森
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Masahiro Sato
政弘 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水性、生分解性などのセルロースの特長を
有し、かつ全面フィブリル化し易く、高精度、均一孔径
のフィルターや高緊度紙などを容易に得ることができる
繊維の製造方法を提供する。 【解決手段】 セルロース系ポリマー(ポリマーA)と
ポリマーAと相分離し易いポリマー(ポリマーB)をア
ミンオキシド系溶剤またはその水溶液に溶解し、島相の
大きさが0.5〜50μの海島構造の紡糸原液を得て、
これを湿式紡糸方法あるいは乾湿式紡糸方法により繊維
化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系ポリ
マーを含有するフィブリル化し易い繊維の製造方法に関
するもので、機械的応力と化学的膨潤力の各々単独ある
いは組合わせにより、容易に極細フィブリルとなり、湿
式あるいは乾式不織布、織物、ニット、補強繊維などに
好適に用いることのできる繊維の製造方法、およびその
製造に用いられる紡糸原液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年コートルズ社やレンチング社で開発
された木材パルプなどの天然セルロースをアミンオキシ
ド系溶剤に溶解して得た有機溶剤系セルロース繊維“リ
オセル”は、セルロースを分解させることなくセルロー
スを高度に配向させることができることより、高強度
(特に湿潤強度)、高ヤング率化が可能でかつ後加工に
より極細フィブリルにフィブリル化可能である。このた
め、アパレル分野では高感性高機能素材として、また湿
式あるいは乾式不織布分野では、高機能高性能素材とし
て、脚光を浴びている。またリオセルは製造工程におい
て用いた有機溶剤は完全クローズドシステムで回収され
るため有害なガスや有害な廃水を排出せず、地球に優し
い繊維としても注目されている。しかしながら、従来の
方法で製造されたリオセルは、繊維表面から剥がれるよ
うにフィブリル化し、繊維の中心部までのフィブリル化
が困難で、いわゆるヒゲ型フィブリルとなり、繊維全体
をフィブリル化させるには非常に厳しい苛酷な叩解条件
をとる必要がある。
【0003】合成繊維のフィブリルを得る方法として、
ポリマーをブレンドする試みが数多くなされている。例
えば、特公昭49−10617号、特公昭51−176
09号、特開昭48−56925号、特開昭49−62
03号等の各公報には、ポリアクリロニトリル(PA
N)を海成分とし、ポリビニルアルコール(PVA)に
アクリロニトリルをグラフト共重合したものや、ポリメ
チルメタクリレート系ポリマーを島成分とする海島繊維
を叩解するとフィブリルが得られることが記載されてい
る。また特公昭47−31376号の公報には、完全ケ
ン化PVAを海成分、部分ケン化PVAを島成分とする
PVA系の易フィブリル化繊維が記載されている。しか
し、これらの公報には、セルロース系ポリマーについて
は触れられていない。また前記公報に記載の溶媒にはセ
ルロースは不溶のため、公報記載の方法ではセルロース
含有フィブリルを得ることはできない。一方、特公昭4
9−1245号公報には、ビスコース水溶液にホットメ
ルトポリマーのエマルジョンを添加し、凝固性液体中に
湿式紡糸すると、フィブリル化可能な繊維が得られるこ
とが記載されている。しかしながら、この方法で得られ
る繊維は強度が低くさらにフィブリル化が必ずしも良好
とは言えないという欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上より、親水性であ
りながら耐水性があり、生分解性、耐熱性、難融性に優
れたセルロースを含有し、繊維全体がフィブリル化し易
い繊維の製造方法が強く望まれていたにもかかわらず、
いまだ見出されていなかった。このような状況に鑑み、
本発明者等は鋭意努力し、上記の要望されている性能を
満足するセルロース含有易フィブリル化繊維の製造方
法、およびその製造に用いられる紡糸原液を見いだし
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、セル
ロース系ポリマー(ポリマーA)と、アミンオキシド系
溶剤またはその水溶液に可溶でポリマーAとは異なるポ
リマー(ポリマーB)とをアミンオキシド系溶剤または
その水溶液に溶解し、得られた紡糸原液を紡糸して、繊
維を製造するに際して、以下の(1)と(2)の条件 (1)ポリマーA/ポリマーBの重量比を5/95〜9
5/5とすること、(2)ポリマーAが海成分でポリマ
ーBが島成分、あるいはポリマーBが海成分でポリマー
Aが島成分の海島構造の紡糸原液とし、島相の大きさを
0.5〜50μmとすること、を満足することを特徴と
する易フィブリル化繊維の製造方法である。また本発明
は、その製造に用いる紡糸原液に関するものであり、具
体的にはセルロース系ポリマー(ポリマーA)と、アミ
ンオキシド系溶剤またはその水溶液に可溶でポリマーA
とは異なるポリマー(ポリマーB)とをアミンオキシド
系溶剤またはその水溶液に溶解した溶液であって、下記
の条件(1)及び(2) (1)ポリマーA/ポリマーBの重量比が5/95〜9
5/5であること、(2)ポリマーAが海成分でポリマ
ーBが島成分、あるいはポリマーBが海成分でポリマー
Aが島成分の海島構造を有し、島相の大きさが0.5μ
m〜50μmであること、を満足するポリマー溶液であ
る。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。まず本発
明ではセルロース系ポリマー(ポリマーA)を含有して
いなければならない。セルロース系ポリマーは親水性で
ありながら耐水性があり、しかも生分解性、高アルカリ
吸液性、耐熱性、難融性に優れており、使い捨てのワイ
パーや衛生材料、衣料、フィルターなどの分野に使用す
る場合、好適に使用することができ、しかも地球にやさ
しい素材である。本発明で言うセルロース系ポリマー
(ポリマーA)としては、純然たるセルロースの他に、
酢酸セルロース、硝酸セルロースなどの各種セルロース
誘導体も包含され、特別な限定はないが、機能及びコス
トの点で、木材パルプ、コットンリンターなどの天然セ
ルロース、再生セルロースが好ましい。ポリマーAの重
合度に特別の限定はないが、重合度が100以下では強
度が低く、1500以上では紡糸原液の粘度が高過ぎて
好ましくない。ポリマーAの好ましい重合度は300〜
1200である。
【0007】本発明においては、紡糸原液の溶媒として
使用するアミンオキシド系溶剤またはその水溶液に可溶
で、ポリマーAとは異なるポリマー(ポリマーB)を、
ポリマーAと共にアミンオキシド系溶剤に溶解して、ポ
リマーAとポリマーBの混合液を紡糸原液として用い
る。この紡糸原液において、ポリマーA/ポリマーBの
重量比は5/95〜95/5としなければならない。こ
の混合割合の範囲外では、次に記載する島相の大きさが
0.5〜50μmであってもフィブリル化が困難とな
る。フィブリル化性の点で混合割合が10/90〜90
/10であると好ましく、20/80〜80/20であ
るとより好ましい。
【0008】本発明紡糸原液は、ポリマーAが海成分で
ポリマーBが島成分、あるいはポリマーBが海成分でポ
リマーAが島成分の海島構造を形成し、島相の大きさを
0.5μ〜50μmとすることが本発明繊維製造方法の
重要なポイントである。本発明でいう紡糸原液の島相と
は、紡糸原液をスライドガラス上に約100μmの厚さ
に塗布し、室温の水(あるいは水で凝固しない場合はメ
タノール)により凝固させ、得られたフィルムを500
倍の光学顕微鏡で観察した場合に識別される構造であ
り、本発明においては、ポリマーAとポリマーBが相分
離して存在しており、一方の成分が分散成分(島相)と
なり、他方の成分が分散媒成分(海相)となっている。
50%以上含有ポリマー成分が海相を形成することが一
般的である。本発明でいう島相の大きさとは、上記した
ような方法で得られたフィルムを500倍の光学顕微鏡
で観察した場合に判別できる大多数がその範囲の径を有
していることを意味している。島相の大多数が50μm
を越える場合には原液安定性および紡糸安定性の点で好
ましくなく、また大多数が、0.5μm未満で0.5μ
mを越える島相がほとんど存在しない場合には相構造が
小さく、得られた繊維のフィブリル化性がわるくなり好
ましくない。より好ましい島相の大きさは1〜10μm
である。紡糸原液での海島構造が凝固時の核となり、フ
ィブリル化し易い繊維を形成するための重要なポイント
である。
【0009】上記条件を満足するポリマーBの具体例と
しては、ポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコ
ールポリマーなどのビニルアルコール系ポリマー、ポリ
メチルメタクリレートやポリメチルアクリレートなどの
アクリレート系ポリマー、ポリアクリロニトリルやアク
リロニトリルとスチレンのコポリマーなどのポリアクリ
ロニトリル系ポリマー、ポリ酢酸ビニルなどのビニルエ
ステル系ポリマー、ポリエチレングリコールなどのポリ
アルキレングリコール、澱粉及びその誘導体ポリマー、
ポリマーAとは異なるセルロース系ポリマーなどが挙げ
られる。
【0010】紡糸原液の海島構造を決定する因子として
は、両ポリマーの相溶性、両ポリマーの組成比、原液ポ
リマー濃度、溶剤の種類、原液の温度、撹拌速度などの
原液溶解条件などがある。これらの条件を調整し、島相
の大きさを所定の範囲に制御することが重要である。な
お海相や島相がポリマーAとポリマーBの各単独より必
ずしも構成されるわけではなく、島相のポリマーBの中
にさらにポリマーAの島相が存在する所謂サラミ構造と
なっても特に問題はない。
【0011】次に、本発明の原液溶剤としては、アミン
オキシド系溶剤を用いる。ポリマーAのセルロース系ポ
リマーを溶解する溶剤としては、N−メチルモルホリン
−N−オキシド(N−MMO)、ジメチルエタノールア
ミン−N−オキシド、ジメチルホモピペラジン−N−オ
キシド、ジメチルベンジルアミン−N−オキシド、N,
N,N−トリメチルアミン−N−オキシドおよびこれら
の50%以上の水溶液などがあげられるが、工業的取扱
い性の点でN−MMO及びその50%以上の水溶液が好
ましい。特にN−MMOの1水和剤〔N−MMO/(N
−MMO+水)=87%〕がセルロースに対する溶解
性、安全性などの点で最も好ましい。
【0012】紡糸原液の溶解法は、ポリマーA/ポリマ
ーBの混合比が95/5〜5/95で、島相の大きさが
0.5〜50μの海島構造を有するアミンオキシド溶液
またはアミンオキシド水溶液が得られれば特に限定はな
いが、アミンオキシド系溶剤を80〜110℃で溶融
し、必要に応じて所定量の水を加え、ポリマーAとポリ
マーBを所定量投入し、90〜100℃で混合、撹拌し
て溶解する。ポリマーAがセルロースで溶解し難い場合
はセルロースの分子間水素結合を弱めるために、メタノ
ールや水などで前処理することが好ましい。またポリマ
ー並びに溶剤の分解を抑制するため、窒素雰囲気や真空
下で溶解するとともに、没食子酸及びそのアルキルエス
テルや、過酸化水素とシュウ酸などの酸化防止剤を添加
して溶解することが好ましい。次に撹拌機は通常の翼型
も使用可能であるが、強力な剪断力を与えることが可能
で、高粘度原液を連続的に得ることができる単軸あるい
は2軸の押出機もより好適に用いることができる。
【0013】紡糸原液のポリマー濃度は、用いるポリマ
ーAおよびポリマーBの種類、重合度、組成比や、紡糸
方法により異なり、特に限定はないが、5〜30重量%
とすることが好ましい。紡糸原液の粘度は、特に紡糸方
法により異なり、乾湿式紡糸法では100〜50,00
0ポイズ、湿式紡糸法では10〜1,000ポイズが好
ましい。
【0014】得られた紡糸原液は、ノズルより吐出さ
れ、空気層を通して(乾湿式紡糸)固化浴中に、あるい
は直接(湿式紡糸)固化浴中に押し出して凝固させ、水
洗、乾燥して捲取る。乾湿式紡糸では空気層(エヤギャ
ップ)での延伸倍率を大きくとれるので高性能の繊維を
得ることができる。一方湿式紡糸では、ノズルの孔ピッ
チを小さくしても糸同士が接着し難いので多孔紡糸が可
能である。乾湿式紡糸ではノズル下の空気層の厚さ(す
なわちノズルと凝固浴液面との距離:エヤギャップ長と
もいう)が重要であり、通常2〜100mmとするのが
好ましい。エヤギャップ長が5〜30mmであるとより
好ましい。紡糸原液の海相がたとえばセルロースのよう
に水不溶性のポリマーの場合には、凝固浴は水を好まし
く用いることができる。一方、たとえばポリビニルアル
コールのように水溶液ポリマーの場合には、凝固浴およ
び抽出浴として凝固能を有するメタノールアセトンなど
の有機溶剤や、芒硝、硫安などの無機塩水溶液を用いる
ことができる。
【0015】本発明では紡糸原液において形成されてい
る海島構造が凝固、抽出、乾燥の各工程で維持増進され
るよう条件設定することも重要である。このため、セル
ロースの重合度、ポリマーBの組成、ポリマーAとポリ
マーBの混合割合、原液濃度、紡糸温度、ノズルドラフ
ト率、凝固浴と抽出浴の組成と温度、乾燥時の温度と張
力などをバランスよく制御する。
【0016】このような製造方法で得られた繊維は、ポ
リマーA相とポリマーB相が相分離して存在しており、
ビーター、リファイナー、ミキサー、高圧柱状水、混練
機、押出機などを用いて機械的応力を加えたり、さらに
必要に応じて化学的膨潤力も併用すると、極細フィブリ
ルを得ることができる。従来のセルロース単独繊維も高
配向、高結晶化すると、繊維表面より剥がれるようにフ
ィブリル化するが、繊維中心まで全てフィブリル化させ
るには、強力な応力を長時間加える必要があり、フィブ
リルの切断や絡み合いを回避することができなかったの
に対し、本発明製造方法で得られた繊維はポリマー相間
で剥離し易く、繊維中心まで全面的にフィブリル化し易
い特長を有する。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるわけ
ではない。なお実施例中の%は特に断りがない限り重量
に基づく値である。 実施例1 N−MMO1水和物(日本乳化剤(株)社製)を90℃
に加熱して液状化した。αセルロース97%の針葉針パ
ルプ(アラスカパルプ(株)社製)をメタノール混合、
脱液、粉砕、減圧乾燥の前処理を施したパルプ、水洗乾
燥した重合度1750、ケン化度99.9モル%のポリ
ビニルアルコール((株)クラレ社製)および没食子酸
プロピル(酸化防止剤)を、液状化した90℃N−MM
O1水和液に投入し、窒素雰囲気下撹拌溶解した。パル
プ/ポリビニルアルコールの重量比は65/35、ポリ
マーのtotal濃度は10%、没食子酸プロピルは
0.5%/ポリマーとした。6時間撹拌溶解し、粘稠な
濁った紡糸原液を得た。この紡糸原液の島相はポリビニ
ルアルコールを主体とし、その大きさは約3μmであっ
た。得られた紡糸原液を0.1mmφ、孔数80のノズ
ルより吐出させ、10mmのエヤギャップを通して、
0.1%のラウリル硫酸ソーダを含有する10℃の水中
に導き凝固させ、次いで水洗、乾燥した。ノズル吐出線
速度を捲取速度の比であるノズルドラフトは8倍とし
た。
【0018】得られた繊維は240dr/80fであ
り、これを2mmにカットして、ディスクリファイナー
で叩解すると約1μm程度のフィブリルが容易に得られ
た。このフィブリルは全面フィブリルで、繊維表面のみ
フィブリル化し繊維中心は未フィブリルのいわゆるヒゲ
状フィブリルはほとんどなかった。
【0019】比較例1 パルプとポリビニルアルコールの重量比を97/3とす
る以外は実質的に実施例1と同様に溶解し、紡糸した。
得られた繊維を実施例1と同様に叩解したところ、フィ
ブリルは得られたものの、繊維中心が未フィブリルで繊
維表面がヒゲ状フィブリルとなったフィブリルが多数み
られた。
【0020】実施例2 実施例1において、ポリビニルアルコールの代わりにコ
ーンスターチを用い、パルプ/コーンスターチの重量比
を75/25、ポリマー濃度を11%とする以外は、実
施例1とほぼ同様に溶解、紡糸した。得られた紡糸原液
の島相は主にコーンスターチよりなり、島の大きさは約
1μmであった。得られた繊維は200dr/80fで
あり、これを2mmにカットして家庭用ジュースミキサ
ーにより水中叩解すると簡易に全面フィブリル化された
フィブリルが得られた。
【0021】実施例3 N−MMO1水和物を液状化し、水を加えて70%N−
MMO水溶液を調整した。この水溶液を100℃に保
ち、重合度450のセルロース前処理品、実施例1と同
じポリビニルアルコール、および酸化防止剤として過酸
化水素とシュウ酸を投入溶解した。この際、セルロース
/ポリビニルアルコールの重量比は40/60であり、
ポリマー濃度は10%、酸化防止剤はポリマーtota
lに対し各々0.8%とした。5時間窒素下撹拌を続
け、粘稠、半濁溶液を得た。このようにした得た紡糸原
液の島相は主としてセルロースよりなっており、その大
きさは約5μmであった。この紡糸原液を0.09mm
φ、孔数400のノズルより吐出し、エヤギャップなし
でメタノール浴中に湿式紡糸した。次いで3.5倍湿延
伸し、メタノールで糸中のN−MMOを抽出し乾燥し、
さらに230℃で乾熱延伸を施した。得られた繊維は8
00dr/400fであり、これを2mmにカットし
て、家庭用ジュースミキサーで水中叩解すると約1μの
全面フィブリルが得られた。ヒゲ型フィブリルは殆どみ
られなかった。
【0022】比較例2 実施例3においてセルロース/ポリビニルアルコールの
重量比を3/97とし、ポリマー濃度9%とする以外は
実施例3とほぼ同様に溶解し紡糸した。工程通過性は良
好であったが、ジュースミキサーで30分水中叩解した
が、フィブリルは殆どみられなかった。
【0023】比較例3 酢酸ビニルモノマーを、セルロース存在下放射線重合
し、ケン化して得たセルロースグラフトポリビニルアル
コールを実施例1のポリビニルアルコールの代わりに用
いて、実施例1と同様に溶解した。得られた紡糸原液は
透明に近く、島相を観察したところ、大多数が0.1μ
m以下と小さいことがわかった。この紡糸原液を実施例
1と同様に繊維化、得られた繊維を実施例1と同様に叩
解しようとしたが、叩解性が不良であった。
【0024】
【発明の効果】本発明は、セルロース系ポリマー(ポリ
マーA)とポリマーAとは相溶性の低いポリマーBとを
アミンオキシド系溶剤またはその水溶液に混合溶解して
特定の海島構造を有する紡糸原液より繊維を製造する方
法であり、繊維の全面がフィブリル化したフィブリルを
容易に得ることができる特徴を有する。従来のリオセル
からは、繊維表面が剥離したヒゲ状フィブリルは得易い
が、繊維全面がフィブリル化したものを得ることは困難
であり、例えば精度の高い均一な孔径を有するフィルタ
ーや高緊度の紙を得ることができなかった。本発明の方
法より得た繊維は全面フィブリルが得られるため、たと
えばフィルターを作製した場合高精度の均一孔径を有す
る不織布フィルターを得ることができる。さらに、高緊
度紙、電池セパレーター、ワイパーなどにも有用であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系ポリマー(ポリマーA)
    と、アミンオキシド系溶剤またはその水溶液に可溶でポ
    リマーAとは異なるポリマー(ポリマーB)とをアミン
    オキシド系溶剤またはその水溶液に溶解し、得られた紡
    糸原液を紡糸するに際して、下記の条件(1)及び
    (2) (1)ポリマーA/ポリマーBの重量比を5/95〜9
    5/5とすること、(2)ポリマーAが海成分でポリマ
    ーBが島成分、あるいはポリマーBが海成分でポリマー
    Aが島成分の海島構造の紡糸原液とし、島相の大きさを
    0.5μm〜50μmとすること、を満足することを特
    徴とする易フィブリル化繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1で得られた繊維をフィブリル化さ
    せるフィブリル繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 セルロース系ポリマー(ポリマーA)
    と、アミンオキシド系溶剤またはその水溶液に可溶でポ
    リマーAとは異なるポリマー(ポリマーB)とをアミン
    オキシド系溶剤またはその水溶液に溶解した溶液であっ
    て、下記の条件(1)及び(2) (1)ポリマーA/ポリマーBの重量比が5/95〜9
    5/5であること、(2)ポリマーAが海成分でポリマ
    ーBが島成分、あるいはポリマーBが海成分でポリマー
    Aが島成分の海島構造を有し、島相の大きさが0.5μ
    m〜50μmであること、を満足するポリマー溶液。
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