JPH1064504A - 電池用セパレーター - Google Patents

電池用セパレーター

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JPH1064504A
JPH1064504A JP9137778A JP13777897A JPH1064504A JP H1064504 A JPH1064504 A JP H1064504A JP 9137778 A JP9137778 A JP 9137778A JP 13777897 A JP13777897 A JP 13777897A JP H1064504 A JPH1064504 A JP H1064504A
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fiber
sea
battery
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island
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JP9137778A
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Junichi Asaoka
準一 浅岡
Yuji Mototani
祐司 元谷
Akio Omori
昭夫 大森
Toshimi Yoshimochi
駛視 吉持
Tomoyuki Sano
友之 佐野
Satoru Kobayashi
悟 小林
Shunpei Naramura
俊平 楢村
Hiroyuki Kawai
弘之 川井
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解液の吸液能及び保持能が大きく、セパレ
ート性、耐アルカリ性、強度に優れ、電解液に対する膨
潤度が低く、電池寿命の向上、電池の内部短絡の防止、
内部抵抗の上昇抑制、電池容量の向上、安定した放電電
流の取出しを達成できる電池用セパレーター、特に水銀
無添加アルカリ電池用のセパレーターとして適する電池
用セパレーター、並びに該セパレーターを備える電池を
提供すること。 【解決手段】 繊維横断面において、ビニルアルコール
系ポリマー(A)からなる海成分中に水不溶性セルロース
系ポリマー(B)からなる島成分が分散した相構造を有す
る海島型構造繊維(I)をフィブリル化処理して得られた
フィブリル化物を構造繊維の少なくとも一部として用い
て形成した本発明の電池用セパレーター、及び該セパレ
ーターを備える本発明の電池によって上記の課題が解決
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用セパレータ
ーおよびそれを備えた電池に関する。より詳細には、本
発明は、アルカリ電池などで用いられる水酸化カリウム
水溶液等のアルカリ電解液の吸液能および保持能が大き
く、セパレート性、耐アルカリ性、強度に優れ、しかも
電解液に対する膨潤度が低く、電池寿命の向上、電池に
おける内部短絡の防止、内部抵抗の上昇抑制、電池容量
の向上、大電流の安定した放電(取り出し)に大きく寄
与することのできる電池用セパレーター、およびそれを
備えた電池に関するものであり、本発明の電池用セパレ
ーターは、アルカリマンガン電池、酸化銀電池などの負
極活物質として亜鉛を用いるアルカリ電池のセパレータ
ーとして特に適している。
【0002】
【従来の技術】電池用セパレーター、特にアルカリ電池
用のセパレーターに要求される特性としては、耐アルカ
リ性、電解液吸液性、セパレート性などが挙げられる。
耐アルカリ性とは、電解液として用いられる水酸化カリ
ウム水溶液などのアルカリ液に対してセパレーターが変
質、溶出などを起こさないことであり、耐アルカリ性に
欠けると電池反応に悪影響を及ぼしたり、セパレーター
の劣化による電池の両極間の内部短絡を起こすなどの弊
害を生ずる。また、電解液吸液性とは、電池反応に必要
な電解液を十分に含み得ることであり、これに欠けると
電池反応が阻害されて、アルカリ電池の特徴である大電
流を取り出せなくなるという弊害を生ずる。さらに、セ
パレート性とは、微細な細孔を有していて活物質や導電
性物質の通過を阻止し得る性能をいい、これに欠けると
酸化亜鉛の針状結晶などの導電性物がセパレーターを通
過して内部短絡を生ずるという弊害を生ずる。
【0003】従来から、ポリビニルアルコール系繊維か
らなる不織布がその優れた耐アルカリ性の点からアルカ
リ電池用のセパレーターとして用いられてきた。そし
て、耐アルカリ性という特性と共に、電解液吸液性やセ
パレート性にも優れる電池用セパレーターを得る目的で
様々な検討がなされている。例えば、電解液吸液性を高
めるためにポリビニルアルコール系繊維と親水性繊維を
併用して形成した湿式不織布を電池用セパレーターとし
て用いたもの(特公昭53−11059号公報)、セパ
レート性を向上させりために0.8デニール以下のポリ
ビニルアルコール系繊維とセルロース系繊維を組み合わ
せて電池用セパレーターを形成したもの(特開昭62−
15455号公報)などが知られている。
【0004】ところで、近年、環境保護を目的に亜鉛の
自己放電反応を抑制するために負極に添加されている水
銀量を低くすることが求められ、亜鉛に対する水銀の添
加率が、1985年以前は9.0重量%程度、1987
年には1.5重量%程度であったのが、1992年には
0重量%となっている。そして、水銀の添加率が低下す
るにしたがって、電池反応で生ずる酸化亜鉛の針状結晶
が微細化するために、該針状結晶がセパレーターを通過
するようになって電池の内部短絡が起こり易くなってい
る。それと共に、電解液への酸化亜鉛の溶解量が多くな
ることで電池反応が阻害されるため、終止電圧に至るま
での電池寿命が低下する傾向にある。また、電池容量向
上を目的とした負極亜鉛充填量の増加によって、前記し
た傾向がより顕在化している。しかしながら、上記した
従来の電池用セパレーターによっては、前記した内部短
絡の発生、電池寿命の低下などの問題に十分に対処でき
ないものとなっている。
【0005】そのため、亜鉛に対する水銀の添加率を0
重量%にした上記の歴史的な過程において、一層高度な
セパレート性と電解液吸液性を有する電池用セパレータ
ーを開発すべく種々検討が行われてきており、現在では
0.3デニールのポリビニルアルコール系繊維を用いた
電池用セパレーターが市販されている。しかしながらポ
リビニルアルコール系繊維を細デニール化するだけで
は、電解液吸液性(アルカリ吸液性)が十分ではなく、
容量の大きい電池を得ることができない。
【0006】そこで、セパレート性と電解液吸液性の向
上を目的として、叩解した耐アルカリ性セルロース系繊
維とポリビニルアルコール系繊維などの合成繊維を混抄
して形成した電池用セパレーターが提案されている(特
公平7−48375号公報)。この電池用セパレーター
では、叩解して微細化したセルロース系繊維を用いてい
ることにより、セパレーターが緻密化されてその孔(空
隙)が微細なものとなり、水銀添加率が1.5重量%程
度の電池に用いた場合には、セパレート性が発揮されて
内部短絡が防止でき、またセルロース系繊維自体がアル
カリ吸液性に優れることにより電解液吸液性にも優れる
という特性を有している。しかし、水銀添加率が0重量
%である水銀無添加のアルカリ電池において求められて
いる上記した一層高いセパレート性および電解液吸液性
の要求を十分に満足するには至っていない。
【0007】そこで、水銀添加率が0重量%の水銀無添
加のアルカリ電池に対しても使用可能な、セパレート性
および電解液吸液性において一層向上した電池用セパレ
ーターを得ることを目的として、溶剤紡糸セルロース系
繊維を叩解処理して得たフィブリルとポリビニルアルコ
ール系繊維などの合成繊維を混抄してなる電池用セパレ
ーターが提案されている(特開平6−163024号公
報)。この電池用セパレーターで用いている溶剤紡糸セ
ルロース系繊維のフィブリルは、溶剤紡糸セルロース系
繊維を叩解処理することで繊維の主骨格を残したまま該
繊維表面から細くて長いフィブリルが生成していること
により、該繊維主骨格が適度な空隙を形成しながらセパ
レーターを形成すると共に、細長く生成したフィブリル
がその空隙を細分化することによって、電解液の保持性
を高めて電池の内部抵抗の上昇を抑え、且つ微細化した
酸化亜鉛針状結晶の貫通を阻止して内部短絡を防止でき
るという特長を有する。しかしながら、水銀無添加とな
った電池において、その電池容量を向上させるために負
極亜鉛の充填量を増加させると、微細化した酸化亜鉛針
状結晶の生成量が増加するために、より一層のセパレー
ト性が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セパ
レート性が良好で電池における内部短絡の発生を良好に
防止でき、電解液吸液性および電解液保持性に優れ、し
かもアルカリ性電解液に対して低膨潤性であって電池容
量および電池寿命の向上が可能であり、且つ電池の内部
抵抗を小さくして、大電流を安定して長期にわたって取
り出すことのできる電池用セパレーター、特に負極亜鉛
に対する水銀添加率が0重量%である水銀無添加アルカ
リ電池に用いた場合にも、前記したような特性を発揮す
ることのできる高性能の電池用セパレーターを提供する
ことである。そして、本発明の目的は、上記した高性能
の電池用セパレーターを備える電池を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、電
池用セパレーターを形成する構造繊維の少なくとも一部
として、ビニルアルコール系ポリマーからなる海成分中
に水不溶性セルロース系ポリマーからなる島成分が分散
している海島型構造繊維から得られたフィブリル化物を
用いると、セパレート性が良好で電池の内部短絡を防止
でき、電解液吸液性および電解液保持性に優れて且つア
ルカリ性電解液に対して低膨潤性であって電池容量およ
び電池寿命の向上が可能であり、且つ電池の内部抵抗を
小さくして、大電流を安定して長期にわたって取り出す
ことのできる電池用セパレーターが得られること、しか
もその電池用セパレーターは負極亜鉛に対する水銀添加
率が0重量%である水銀無添加アルカリ電池に対しても
極めて有効であり、前記した特性を十分に発揮できるこ
とを見出した。
【0010】さらに、本発明者らは、上記した海島型構
造繊維のフィブリル化物を構造繊維の少なくとも一部と
して用いて形成した電池用セパレーターにおいては、該
海島型構造繊維における海成分と島成分の割合を特定の
ものにすると、また該海島型構造繊維のフィブリル化物
の寸法(平均直径およびアスペクト比)を特定のものと
すると一層良好な結果が得られることを見出した。ま
た、本発明者らは、上記した海島型構造繊維のフィブリ
ル化物を用いてなる電池用セパレーターにおいて、該海
島型構造繊維のフィブリル化物と共に他の繊維、ポリビ
ニルアルコール系繊維やその他の合成繊維、セルロース
系繊維、それらの叩解物などを構造繊維の一部として併
用すると、上記した各種性能に一層優れる電池用セパレ
ーターが得られることを見出し、それらの種々の知見に
基づいて本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、繊維横断面におい
て、ビニルアルコール系ポリマー(A)からなる海成分
中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)からなる島成
分が分散した相構造を有する海島型構造繊維(I)をフ
ィブリル化処理して得られたフィブリル化物を、構造繊
維の少なくとも一部として用いて形成したことを特徴と
する電池用セパレーターである。
【0012】そして、本発明は、前記の海島型構造繊維
(I)における海成分:島成分の重量比が95:5〜5
0:50である上記した電池用セパレーター、前記フィ
ブリルの平均直径が0.05〜8μm、およびアスペク
ト比が50以上である上記した電池用セパレーターを好
ましい態様として包含する。
【0013】また、本発明は、海島型構造繊維(I)か
ら得られたフィブリル化物と共に、更に他の合成繊維、
セルロース系繊維およびそれらの叩解物から選ばれる少
なくとも1種を構造繊維として用いて形成してなる上記
の電池用セパレーターをその好ましい態様として包含す
る。そして、該他の合成繊維としては、ポリビニルアル
コール系繊維がより好ましく用いられ、また前記のセル
ロース系繊維としては、溶剤紡糸セルロース系繊維、ポ
リノジックレーヨン繊維および/またはそれらの叩解物
がより好ましく用いられる。
【0014】さらに、本発明は、上記した構造繊維と共
に、ポリビニルアルコール系バインダーを更に用いてな
る上記の電池用セパレーターをその好ましい態様として
包含する。
【0015】さらに、本発明は、上記した電池用セパレ
ーターを備えていることを特徴とする電池である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず、本発明の電池用セパレーターは、繊維横断
面において、ビニルアルコール系ポリマー(A)[以下
「PVA系ポリマー(A)」という]からなる海成分
(分散媒成分)中に、水不溶性セルロース系ポリマー
(B)からなる島成分(分散成分)が分散している海島
型構造繊維(I)をフィブリル化処理して得られたフィ
ブリル化物を、構造繊維の少なくとも一部として用いて
形成してあることが必要である。ここで、本明細書でい
う「構造繊維」とは、電池用セパレーターの基本構造を
形成するのに関与する繊維を意味し、例えばバインダー
繊維などのような、繊維間の接着を目的に用いられる繊
維は包含されない。
【0017】フィブリル化する前の上記した海島型構造
繊維(I)では、その海成分を構成するPVA系ポリマ
ー(A)は、分子鎖が配向結晶化し易く、高強度フィブ
リルを形成し易く、耐アルカリ性および耐熱性に優れて
おり、しかも木材パルプと同様に親水性の水酸基を多量
に有しているという特性を有している。一方、島成分を
構成する水不溶性セルロース系ポリマー(B)は、高ア
ルカリ吸液性、低水膨潤性、親水性、耐熱難燃性、易フ
ィブリル性という特性を有している。そのために、海島
型構造繊維(I)を化学的膨潤剤で処理したり、機械的
剪断処理を行ったり、または両者を併用して処理したと
きに、海島型構造繊維(I)における海成分相と島成分
相との間で分離、剥離が生じて、微細繊維状に容易にフ
ィブリル化して(割裂して)、本発明の電池用セパレー
ターで用いるのに適するフィブリル化物を形成する。そ
して、そのフィブリル化物を用いて形成した本発明の電
池用セパレーターは、セパレート性、電解液吸液性、電
解液保持性、低膨潤性、低内部抵抗性などの特性に優れ
たものとなる。
【0018】フィブリル化する前の海島型構造繊維
(I)における海成分を形成するPVA系ポリマー
(A)は、ビニルアルコール単位に由来する構造単位の
割合が70モル%以上であればいずれのポリビニルアル
コールであってもよい。そのうちでも、PVA系ポリマ
ー(A)の配向結晶化が良好になる点から、PVA系ポ
リマー(A)におけるビニルアルコール単位の割合が9
5モル%以上であることが好ましく、98モル%以上で
あることがより好ましく、99モル%以上であることが
更に好ましく、99.8モル%以上であることが一層好
ましい。また、該ビニルアルコール単位がビニルエステ
ル単位をケン化したものである場合には、そのケン化度
は80モル%以上であることが好ましい。また、PVA
系ポリマー(A)は、通常、30モル%未満の割合で、
他のモノマーに由来する構造単位を有していてもよい。
その場合の他のモノマーの例としては、エチレン、イタ
コン酸、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビ
ニル、無水マレイン酸、スルホン酸含有ビニル化合物な
どを挙げることができ、PVA系ポリマー(A)は前記
した他のモノマーの1種または2種以上に由来する構造
単位を有していることができる。PVA系ポリマー
(A)の重合度に関しては特に限定はないが、高強度フ
ィブリル化物を得るためには、重合度が500以上であ
ることが好ましく、1500以上であることがより好ま
しい。また耐熱水性改善のために、繊維化後に、後反応
によってPVA系ポリマー(A)をホルムアルデヒドで
代表されるアルデヒド化合物により分子内および/また
は分子間アセタール化や架橋性薬剤などにより架橋して
もよい。
【0019】また、フィブリル化する前の海島型構造繊
維(I)における島成分を形成する水不溶性のセルロー
ス系ポリマーとしては、セルロースそのもの、セルロー
スジアセテートやセルローストリアセテートなどの酢酸
セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロースやエチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースなどのうちの水不溶性の低置換度セ
ルロースなどがあげられる。そのうちでも、海島型構造
繊維(I)における島成分は、酢酸セルロースから形成
されていることが好ましく、酢酸セルロースは、アルカ
リ吸液性、低膨潤性、低吸水性、親水性、耐熱難融性の
点に優れており、しかも海成分を形成しているPVA系
ポリマー(A)との相溶性が低いのでフィブリル化物を
形成し易い。 その場合に、海島型構造繊維(I)における島成分は、
PVA系ポリマー(A)を海成分として酢酸セルロース
を島成分とする海島型構造繊維(I)を製造した後に、
それを処理して島成分の酢酸セルロースをセルロースに
変えたものであってもよい。特に、水不溶性セルロース
系ポリマーの原料として酢酸セルロースを用いて前記の
海島型構造繊維(I)を製造した後にその島成分の酢酸
セルロースをケン化してセルロースに変えて得られる、
セルロースを島成分とする海島型構造繊維(I)は、極
めて容易にフィブリル化するので、本発明の電池用セパ
レーターに用いるフィブリル化物の製造に適している。
島成分を形成する水不溶性セルロース系ポリマー(B)
は、水に対する膨潤度は小さいがアルカリに対しては高
い吸液性を示し、且つ耐熱難融性であるので、本発明の
電池用セパレーターに対して高電解液吸液性、耐熱難燃
性を付与する。 澱粉類は非晶性で溶出性が大きいという問題点を有して
おり、海島型構造繊維(I)における島成分を形成する
水不溶性セルロース系ポリマーとしては適さない。
【0020】フィブリル化する前の海島型構造繊維
(I)では、その海成分[PVA系ポリマー(A)]:
島成分[水不溶性セルロース系ポリマー(B)]の重量
比が、95:5〜50:50であることが好ましく、9
0:10〜52:48であることがより好ましく、8
0:20〜55:45であることがさらに好ましく、7
5:25〜60:40であることが一層好ましい。海島
型構造繊維(I)において、島成分を形成する水不溶性
セルロース系ポリマー(B)の割合が5重量%未満であ
ると[海成分を形成するPVA系ポリマー(A)の割合
が95重量%を超えると]、本発明の電池用セパレータ
ーに用いるフィブリル化物が得られにくくなる。一方、
海島型構造繊維(I)において、島成分を形成する水不
溶性セルロース系ポリマー(B)の割合が50重量%を
超えると[海成分を形成するPVA系ポリマー(A)の
割合が50重量%未満であると]、水不溶性セルロース
系ポリマー(B)が部分的に海成分を形成するようにな
って、PVA系ポリマー(A)を海成分とし水不溶性セ
ルロース系ポリマー(B)を島成分とする明確なマトリ
ックス相を有する海島型構造繊維(I)が得られにくく
なり、フィブリル化処理を行っても高強度フィブリル物
が得られにくくなる。しかも、海島型構造繊維(I)を
製造する段階でフィブリル化が生じ易くなり、繊維製造
時の工程通過性が不良になり易い。
【0021】また、フィブリル化する前の海島型構造繊
維(I)では、島成分の平均直径が0.03〜10μm
であることが好ましく、0.1〜6μmであることがよ
り好ましく、0.5〜3μmであることが更に好まし
い。島成分の平均直径が0.03μm未満であると、島
成分の大きさが小さ過ぎて、フィブリル化が困難になる
場合があり、一方島成分の平均直径が10μmを超える
と、フィブリル化により得られるフィブリル物の径が太
くなって、セパレート性に優れる電池用セパレーターが
得られにくくなり、しかも海島型構造繊維(I)の製造
時にトラブルを起こし易く、工程通過性が不良になり易
い。なお、本明細書でいう島成分の平均直径は、海島型
構造繊維(I)に耐水化処理を施し、繊維断面の超薄切
片を作り、四酸化オスミウムで染色後透過型電子顕微鏡
で20,000〜60,000倍に拡大した断面写真よ
り、各島の面積を求め、その面積と同一の円の換算直径
を算出し、各島の換算径の相加平均により求めることが
できる。また、フィブリル化する前の上記海島型構造繊
維(I)では、島成分の形状が非円形或いは不定形であ
ることが好ましく、その場合には海成分と島成分の接触
面積が多くなって、分割され易い部分が多くなり、より
易フィブリル化され易くなる。
【0022】なお、フィブリル化する前の海島型構造繊
維(I)においては、PVA系ポリマー(A)からなる
海成分中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)より島
成分が分散し、その島成分中にさらにPVA系ポリマー
(A)が分散した形態をなす3相構造となっていてもよ
い。そのような3相構造をなす海島型構造繊維(I)で
は、フィブリル化処理によって各相間での分割がなされ
て一層微細なフィブリル物と生成する。
【0023】本発明の電池用セパレーターでは、フィブ
リル化する前の海島型構造繊維(I)の製造方法は特に
制限されず、繊維横断面においてPVA系ポリマー
(A)からなる海成分中に水不溶性セルロース系ポリマ
ー(B)からなる島成分が分散している海島型構造繊維
(I)であれば、いずれの方法で製造したものであって
もよい。何ら限定されるものではないが、フィブリル化
する前の海島型構造繊維(I)は、代表的には例えば下
記の方法により円滑に製造することができる。
【0024】[フィブリル化する前の海島型構造繊維
(I)の代表的な製造例] (1) まず、PVA系ポリマー(A)と水不溶性セル
ロース系ポリマー(B)を、両者に共通の有機溶媒[例
えば水不溶性セルロース系ポリマー(B)が酢酸セルロ
ース、硝酸セルロースの場合にはジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドと塩
化亜鉛などの金属塩の混合物等、また水不溶性セルロー
ス系ポリマー(B)がセルロースの場合はN−メチルモ
ルホリン−N−オキサイドなど]に、好ましくは95:
5〜50:50の重量比で溶解して、好ましくはPVA
系ポリマー(A)を含む海中に水不溶性セルロース系ポ
リマー(B)を含む島が分散した紡糸原液を調製する。
その際に、紡糸原液の粘度を、湿式紡糸方法を用いる場
合には好ましくは10〜400ポイズとすると、また乾
湿式紡糸方法を用いる場合には好ましくは50〜200
0ポイズとすると、フィブリル化が行われ易い、島成分
が非円型および/または不定型をなす海島型構造繊維
(I)を得ることができる。なお、水は、水不溶性セル
ロース系ポリマー(B)を溶解することが出来ないの
で、紡糸原液用の溶媒としては適さない。
【0025】(2) 次に、上記(1)で調製した紡糸
原液を、紡糸ノズルを通して固化浴中に湿式あるいは乾
湿式紡糸する。固化浴を紡糸ノズルに接触させる湿式紡
糸はノズル孔ピッチを狭くしても膠着せずに紡糸ができ
るので多ホールノズルを用いた紡糸に適しており、一方
固化浴と紡糸ノズルの間に空気層を設ける乾湿式紡糸は
空気層部での伸びが大きいことにより、高速紡糸に適し
ている。その際の固化浴としては、メタノール、エタノ
ールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ンなどのケトン類及びこれらと原液溶媒との混合液のよ
うに、低温でPVA系ポリマー(A)が微結晶を生成し
均一ゲル化を惹起させるものが好ましく用いられ、芒硝
水溶液のような不均一凝固を惹起させ易いものは適当で
ない。 (3) 次いで、上記(2)で得られた均一固化したゲ
ル糸篠を、湿延伸、抽出洗滌、油剤付与、乾燥、乾熱延
伸、及び必要に応じて乾熱処理を施して、海成分を形成
するPVA系ポリマー(A)の分子を配向、結晶化させ
て、上記した海島型構造繊維(I)とする。
【0026】海島型構造繊維(I)の製造に際して、島
成分の径は、上記(1)の紡糸原液段階での海島相分離
構造と、上記(2)の固化段階のゲル化挙動と相分離挙
動のバランスによって決定される。紡糸原液段階での島
成分の大きさが大きい程、また固化段階でのゲル化速度
が小さくて相分離速度が大きい程、得られる海島型構造
繊維(I)の島成分の径は大きくなる傾向にある。固化
段階でのゲル化挙動と相分離挙動を決める因子として
は、固化浴の組成、温度と滞留時間、紡糸ノズル吐出直
前の原液温度、剪断速度などがある。従って、紡糸原液
及び固化段階での島成分の径を決定する因子を総合的に
制御することによって、上記(3)で得られる海島型構
造繊維(I)における島成分の平均径を上記した平均
0.03〜10μmの好ましい範囲にすることができ
る。
【0027】また、上記(3)で得られた海島型構造繊
維(I)は、化学処理を行って性能の改質を行うことが
できる。例えば、PVA系ポリマー(A)からなる海成
分中に酢酸セルロースからなる島成分が分散している海
島型構造繊維(I)では、それを0.1〜5規定苛性ソ
ーダ中に15〜90℃で30秒〜60分間浸漬すること
により、島成分を形成している酢酸セルロースをケン化
して、PVA系ポリマー(A)からなる海成分中に、高
アルカリ吸液性で且つ耐熱難融性のセルロースが島成分
として分散している海島型構造繊維(I)を得ることが
できる。また、上記(3)で得られた海島型構造繊維
(I)をホルムアルデヒドで代表されるアルデヒド類と
硫酸などの酸の混合水溶液に浸漬することにより、PV
A系ポリマー(A)の非晶部を分子内及び/または分子
間でアセタール化して、耐熱水性を改善することができ
る。
【0028】フィブリル化する前の海島型構造繊維
(I)は、PVA系ポリマー(A)および水不溶性セル
ロース系ポリマー(B)以外にも、本発明の目的を逸脱
しない範囲において、無機顔料、有機顔料、染料、耐熱
劣化防止剤、pH調整剤、架橋剤、油剤などを含有して
いてもよい。前記成分は、海島型構造繊維(I)を製造
する際の原液段階、固化段階、抽出段階、乾燥直前、延
伸直前、熱延伸後、熱処理後、後反応後などの各製造プ
ロセス段階で添加または付与することができる。
【0029】そして、本発明の電池用セパレーターは、
繊維横断面においてPVA系ポリマー(A)からなる海
成分中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)からなる
島成分が分散している上記した海島型構造繊維(I)を
フィブリル化処理して得られたフィブリル化物を構造繊
維の少なくとも一部として用いて形成されていることが
必要である。本発明の電池用セパレーターに用いる上記
したフィブリル化物は、一般に、海成分を形成していた
PVA系ポリマー(A)からなる微細なフィブリルおよ
び島成分を形成していた水不溶性セルロース系ポリマー
(B)からなる微細なフィブリルから主としてなってい
る。PVA系ポリマー(A)からなる微細なフィブリル
は、電池用セパレーターに良好なセパレート性、耐アル
カリ性、低膨潤性、耐熱性などの特性を付与し、また水
不溶性セルロース系ポリマー(B)からなる微細なフィ
ブリルは電池用セパレーターに、良好なセパレート性、
高い電解液保持性などの特性を付与する。
【0030】本発明の電池用セパレーターでは、海島型
構造繊維(I)をフィブリル化処理して得られるフィブ
リル化物として、その平均直径が0.05〜8μmで、
アスペクト比(フィブリルの平均長さ/平均直径)が5
0以上であるものが好ましく用いられる。前記サイズの
フィブリル化物を用いて電池用セパレーターを形成する
ことによって、セパレーターの骨格や孔を非常に微細な
ものにすることが可能になり、それによってセパレータ
ーのセパレート性が一層良好になって、放電で生じた微
細な酸化亜鉛針状結晶をセパレーター層内で捕獲して内
部短絡を円滑に防止できるようになる。
【0031】フィブリル化物の平均直径が小さ過ぎる
と、フィブリルが細くなり過ぎてフィブリル同士が絡み
合ってフィブリル凝集体となり、電池用セパレーター内
で均一に分散しにくくなり、フィブリルとしての機能を
果たしにくくなり、一方フィブリル化物の平均直径が大
き過ぎると、フィブリルが太くなり過ぎて、電池用セパ
レーターの比表面積が小さくなり、電池内での無機微粒
子の捕捉機能が低下してセパレート性が低下し易くな
る。強度、吸液性、微粒子捕捉性、分散性などの点よ
り、フィブリル化物の平均直径が0.2〜5μmである
ことがより好ましい。なお、本明細書でいうフィブリル
化物の平均直径は、走査型あるいは透過型電子顕微鏡で
フィブリルの断面を拡大し、その断面積を実測し、その
断面積と同じ面積の円の直径に換算した値を求め、前記
の操作を20本以上のフィブリルについて行って、その
相加平均を採ることによって求めたときの値を言う。
【0032】なお、海島型構造繊維(I)をフィブリル
化処理して得られるフィブリル化物においては、そのフ
ィブリルの大きさ(平均直径)は、フィブリル化する前
の海島型構造繊維(I)における島成分の平均直径と必
ずしも同じである必要はなく、海島型構造繊維(I)に
おける海島構造の内容やフィブリル化条件などに応じて
異なり得る。例えば、フィブリル化する前の海島型構造
繊維(I)が、海成分中に島成分が分散し、その島成分
中にさらに海成分が微細に分散する構造を有して三相構
造繊維である場合は、フィブリル化によって島成分がさ
らに分割される可能性も大きいので、フィブリル化物の
平均直径とフィブリル化前の海島型構造繊維(I)にお
ける島成分の平均直径とは必ずしも一致しないものとな
る。
【0033】また、本発明の電池用セパレーターで用い
るフィブリル化物において、アスペクト比が50未満で
あって小さいと、電池用セパレーターの強度、セパレー
ト性(微粒子捕捉性)が不十分になり易く、一方アスペ
クト比が2000を超えるとフィブリル同士の絡み合い
が大きくなり、電池用セパレーターの製造に用いる抄造
原液中などでのフィブリルの分散性が低下したものとな
り易い。電池用セパレーターを製造する際の取り扱い
性、得られる電池用セパレーターのセパレート性、均一
性などの点から、フィブリル化物のアスペクト比が10
0〜2000の範囲であることがより好ましい。なお、
本明細書でいうフィブリル化物のアスペクト比は、20
本以上のフィブリルについてその長さを測定するととも
にその直径を上記した方法で測定して、フィブリルの平
均長さと平均直径を求め、そこで得られた平均長さを平
均直径で除した値をいう。
【0034】また、本発明の電池用セパレーターに用い
る上記海島型構造繊維(I)のフィブリル化により得ら
れるフィブリル化物は、そのCSF値(カナディアン濾
水度)が500ml以下であることが好ましく、400
ml以下であることがより好ましい。前記のCSF値を
有するフィブリルを用いることによって、電池用セパレ
ーター製造用の原液中でのフィブリルの分散性が一層良
好になり、しかも得られる電池用セパレーターの強度、
電解液の保有性などが一層向上する。
【0035】本発明の電池用セパレーターで用いる海島
型構造繊維(I)から得られるフィブリル化物では、海
成分を形成していたPVA系ポリマー(A)によって、
フィブリルの全表面または一部が覆われていても、また
は全く覆われていなくてもよい。そのうちでも、電池用
セパレーターがアルカリ電池に用いられるものである場
合は、フィブリルの表面の少なくとも一部、好ましくは
フィブリルの表面の10%以上、より好ましくは20%
以上、さらに好ましくは30%以上で、水不溶性セルロ
ース系ポリマー(B)が露出していることが好ましい。
その場合には、フィブリルのアルカリ吸液性が高くな
り、アルカリ電池に適する電池用セパレーターが得られ
る。なお、ここで言うフィブリルの表面に水不溶性セル
ロース系ポリマー(B)が露出している割合は、フィブ
リル化を行う前の海島型構造繊維(I)のアルカリ吸液
量に対するフィブリル化して得られるフィブリル化物の
アルカリ吸液量の増加量の%として求められる。
【0036】その際に、海島型構造繊維(I)からフィ
ブリル化物を得るためのフィブリル化方法やフィブリル
化装置は特に制限されず、PVA系ポリマー(A)から
なる海成分中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)か
らなる島成分が分散している海島型構造繊維(I)から
上記した物性を有するフィブリルを得ることのできるフ
ィブリル化方法およびフィブリル化装置であればいずれ
も採用可能である。そのうちでも、本発明の電池用セパ
レーターで用いるフィブリル化物は、PVA系ポリマー
(A)からなる海成分中に水不溶性セルロース系ポリマ
ー(B)からなる島成分が分散した海島相分離構造繊維
に対して、化学的膨潤力を作用させるか、機械的応力を
作用させるか、または化学的膨潤力と機械的応力の両方
を作用させることによって円滑に得ることができる。
【0037】上記でいう「化学的膨潤力を作用させてフ
ィブリル化する」とは、海成分を形成しているPVA系
ポリマー(A)および島成分を形成している水不溶性セ
ルロース系ポリマー(B)のうちの一方を選択的に化学
物質によって膨潤させて、海成分と島成分との間に歪
み、分離・割裂を生じさせ得る能力をいう。PVA系ポ
リマー(A)を膨潤させるには代表的には水と接触させ
ればよく、その場合には島成分を形成している水不溶性
セルロース系ポリマー(B)は水に対する膨潤性が小さ
いことにより、PVA系ポリマー(A)からなる海成分
と水不溶性セルロース系ポリマー(B)からなる島成分
との間に膨潤力差による応力歪みが発生し、この歪みが
大きいと膨潤力のみで分割(相間剥離)が生ずる。
【0038】また、上記で言う「機械的応力を作用させ
てフィブリル化する」とは、PVA系ポリマー(A)か
らなる海成分中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)
からなる島成分が分散している海島型構造繊維(I)に
対して、叩解、高圧均質化装置により高速で器壁に衝突
させ急速に減速させることにより生ずる剪断力、破砕な
どの機械的な応力を作用させて、PVA系ポリマー
(A)からなる海成分と水不溶性セルロース系ポリマー
(B)からなる島成分とを機械的に分割(相間剥離)さ
せることを言う。
【0039】海島型構造繊維(I)におけるPVA系ポ
リマー(A)からなる海成分と水不溶性セルロース系ポ
リマー(B)からなる島成分との間の接着力(相間接着
力)は必ずしも強固ではないので、強力な機械的応力
(叩解による剪断力など)を加えることによってフィブ
リル化することも可能であるが、海成分および島成分の
一方のみを主として膨潤させ得る化学物質で処理して膨
潤歪みのある状態にしておき、それに機械的応力を加え
てフィブリル化を行うことが好ましく、その場合には、
海成分と島成分との間の分割(相分離)が極めて円滑に
行われて、より完全にフィブリル化されたフィブリル化
物を得ることができる。化学的膨潤力のフィブリル化性
に与える影響は大きいが、PVA系ポリマー(A)から
なる島成分中に水不溶性セルロース系ポリマー(B)か
らなる海成分が分散している海島型構造繊維(I)で
は、水という、極めて安価で且つ公害問題や回収処理の
不要な物質によって化学的膨潤を実施できる点で大きな
長所がある。
【0040】海島型構造繊維(I)のフィブリル化に当
たっては、繊維の状態でフィブリル化する方法と、海島
型構造繊維(I)を用いてセパレーター用のシートなど
を製造した後にフィブリル化する方法があり、そのいず
れを採用して行ってもよい。 前者の方法によりフィブリル化する場合には、代表的に
は、海島型構造繊維(I)を1〜30mmに切断し、水
中に浸漬、分散して化学的膨張力を作用させる[海島型
構造繊維(I)における海成分を形成しているPVA系
ポリマー(A)を膨張させる]と共に、パルパー、ビー
ター、リファイナー、ファイバライザー、ラインミキサ
ー、高圧均質化装置などにより機械的応力(機械的剪断
力)を加える方法が採用される。また、後者の方法によ
りフィブリル化する場合には、代表的には、海島型構造
繊維(I)を捲縮・切断してステープルとした後にカー
ド機を通してウェッブにするか、または海島型構造繊維
(I)を1〜30mmに切断したものを紙料として水中
に分散させてそれを湿式抄造してシート状物(原紙)を
つくり、前記のウェッブまたはシート状物に30kg/
cm2以上、好ましくは60kg/cm2以上の高圧水流
をあて、高圧水流による化学的膨潤作用と衝撃あるいは
剪断によって、フィブリル化する方法が好ましく採用さ
れる。本発明の電池用セパレーターにおいては、一般に
は、海島型構造繊維(I)を繊維の状態でフィブリル化
する前者の方法が、後者の方法に比較して薄くて均質な
シートが得られ易いという長所があることから、好まし
く採用される。
【0041】本発明の電池用セパレーターは、セパレー
ターを構成する構造繊維として、海島型構造繊維(I)
から得られたフィブリル化物を単独で用いて形成して
も、或いは海島型構造繊維(I)から得られたフィブリ
ル化物と、他の繊維および/またはその叩解物を併用し
て形成してもよい。そのうちでも、本発明の電池用セパ
レーターは、セパレート性、電解液吸液性、電解液保持
性、強度の向上、低膨潤性、電池における内部抵抗の抑
制、セパレーターの地合い向上などの点から、[海島型
構造繊維(I)から得られたフィブリル化物]:[他の
繊維および/またはその叩解物(但しバインダーとして
用いる繊維や叩解物などは含まない)]を、85:15
〜15:85の重量比で用いて形成してあることが好ま
しく、80:20〜20:80の重量比で用いて形成し
てあることがより好ましく、60:40〜40:60の
重量比で用いて形成してあることがさらに好ましい。
【0042】上記した他の繊維としては、合成繊維およ
びセルロース系繊維のいずれもが使用可能である。合成
繊維の具体例としては、ポリビニルアルコール系繊維、
ポリアミド系繊維、エチレン−ビニルアルコール共重合
体繊維、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体繊維、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、
ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊
維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、プロ
ピレン−エチレン共重合体繊維、ポリクラール繊維、ポ
リアルキレンパラオキシベンゾエート繊維、ポリフェノ
ール系繊維、ポリフロロエチレン系繊維、ポリパラフェ
ニレンベンゾビスオキサゾール繊維などの耐アルカリ性
の繊維を挙げることができる。また前記した合成繊維の
叩解物も使用できる。本発明の電池用セパレーターで
は、構造繊維の一部として、前記した合成繊維および叩
解物の1種のみを用いてもまたは2種以上を用いてもよ
い。そのうちでも、ポリビニルアルコール系繊維が好ま
しく用いられる。
【0043】海島型構造繊維(I)から得られたフィブ
リルと併用する他の合成繊維の単繊維繊度は3デニール
以下であることが、セパレーターの空隙サイズを適当な
ものに調節して、電池用セパレーターのセパレート性、
電解液吸液性を良好にし、かつ電池における内部抵抗の
上昇を抑制できる点から好ましい。特に、従来の電池用
セパレーターでは、セパレート性、電池の内部抵抗の上
昇抑制などの点から、セパレーターに用いるポリビニル
アルコール系繊維などの合成繊維の単繊維繊度が1デニ
ール以下であることが必要とされていたが、本発明の電
池用セパレーターでは、海島型構造繊維(I)から得ら
れたフィブリル化物の平均直径(繊度)が極めて小さい
ので、他の合成繊維の繊度が多少大きくても、該フィブ
リル化物の繊度と他の合成繊維の繊度とが相俟って電池
用セパレーターに微細の空隙を形成させることが可能で
あり、かかる点から、海島型構造繊維(I)から得られ
たフィブリル化物と併用する他の合成繊維の単繊維繊度
は必ずしも1デニール以下でなくてもよく、3デニール
程度以下であれば、セパレート性に優れ、しかも内部短
絡を起こさない電池用セパレーターを得ることができ
る。
【0044】また、セルロース系繊維の具体例として
は、セルロースを溶剤に直接溶解して紡糸して得られる
溶剤紡糸セルロース繊維、再生セルロース繊維、各種の
木材パルプやコットンリンターなどの天然セルロース繊
維、それらのマーセル化物、叩解物などを挙げることが
できる。本発明の電池用セパレーターでは、構造繊維の
一部として、前記したセルロース系繊維(それらのマー
セル化物、叩解物を含む)の1種のみを使用しても又は
2種以上を使用してもよい。そのうちでも、溶剤紡糸セ
ルロース繊維、再生セルロース繊維のうちでもセルロー
ス重合度が高くセルロース分子の配向・結晶化度の高い
ポリノジックレーヨン繊維、またはそれらのマーセル化
物を叩解したものが好ましく用いられる。セルロース系
繊維としてはCFS値(カナディアン濾水度)が700
ml以下のものが好ましく用いられ、600ml以下の
ものがより好ましく用いられ、500ml以下のものが
更に好ましく用いられる。
【0045】本発明の電池用セパレーターでは、海島型
構造繊維(I)から得られたフィブリル化物と共に、上
記した合成繊維のみを使用しても、セルロース系繊維の
みを使用しても、または合成繊維とセルロース系繊維を
併用してもよい。
【0046】さらに、本発明の電池用セパレーターは、
上記した構造繊維と共に、バインダーを用いて形成され
ていることが好ましく、その場合のバインダーは、繊維
状、粉末状、液状のいずれの形態であってもよい。ま
た、バインダーの素材としてはポリビニルアルコール系
ポリマーが好ましく用いられる。特に、本発明の電池用
セパレーターを抄造によって製造する場合は、ポリビニ
ルアルコール系繊維バインダーを用いることが好まし
い。構造繊維と共にポリビニルアルコール系繊維バイン
ダーを用いて抄造によって電池用セパレーターを製造す
る場合は、構造繊維およびポリビニルアルコール系繊維
バインダーを分散含有する原料を用いて抄造を行った後
に、その水分含量や乾燥温度を調節しながら該繊維バイ
ンダーの一部のみを溶かして構造繊維間の交点または構
造繊維とバインダー繊維との交点を点接着させることが
でき、それによって、バインダーによる繊維間の空隙の
閉塞などが生じず、電解液吸液性が高く、しかも膨潤度
が小さくて電池の内部抵抗の上昇を招かない電池用セパ
レーターを得ることができる。 その際のポリビニルアルコール系繊維バインダーとして
は、水中溶解温度が60〜98℃のものが好ましく用い
られ、70〜90℃のものがより好ましく用いられる。
また、バインダーの使用量は、構造繊維とバインダーと
の合計重量に基づいて、3〜30重量%であることが好
ましく、それによって電池用セパレーターの強度、セパ
レート性、電解液吸液性、低膨潤性などを良好なものに
することができる。
【0047】上記の説明から明らかなように、したがっ
て本発明の電池用セパレーターは、海島型構造繊維
(I)から得られたフィブリル化物と共に、ポリビニル
アルコール系繊維、叩解処理した溶剤紡糸セルロース系
繊維およびポリノジックレーヨン繊維の少なくとも1種
を構造繊維として用い、それにポリビニルアルコール系
バインダー、特にポリビニルアルコール系繊維バインダ
ーを用いて形成されていることが好ましい。
【0048】海島型構造繊維(I)から得られたフィブ
リル化物と共にポリビニルアルコール系繊維が構造繊維
として好ましく用いられる理由としては、ポリビニルア
ルコール系繊維が各種繊維のうちでも耐アルカリ性(耐
電解液性)に優れること、電解液吸液性が大きいこと、
セパレーターの膨潤度を低下させる効果を有することな
どを挙げることができる。特に、バインダーとしてポリ
ビニルアルコール系バインダーを用いる場合は、ポリビ
ニルアルコール系繊維とポリビニルアルコール系バイン
ダーとの親和性が高いことによって、ポリビニルアルコ
ール系バインダーによってポリビニルアルコール系繊維
の交点が強固に接着されて、セパレーターに強い基本骨
格が形成され、それが支持体として働いて、セパレータ
ーの膨潤を低く抑えることができる。
【0049】また、構造繊維の一部として、溶剤紡糸セ
ルロース系繊維およびポリノジックレーヨン繊維の叩解
物のうちの少なくとも1種が好ましく用いられる理由
は、これらのセルロース系繊維を叩解すると繊維主骨格
を残したままの状態で該繊維主骨格表面からフィブリル
が生成し、該繊維主骨格がセパレーターの高密度化を抑
制して内部抵抗の上昇を防ぎ、それと共に電池反応に有
用な電解液の保持量を高めることができ、その一方で該
繊維主骨格によって形成される粗な空隙部分は海島型構
造繊維(I)から得られた微細なフィブリル化物によっ
て微細化されて極めて小さな空隙になり、セパレーター
に良好なセパレート性が付与されることによる。そし
て、この場合にも、バインダーとしてポリビニルアルコ
ール系バインダーを使用すると、海島型構造繊維(I)
の海成分を形成していたPVA系ポリマー(A)に由来
するフィブリルとポリビニルアルコール系バインダーと
の間の親和性が高く、セパレーター全体での接着が強固
に行われることによって、電解液中での膨潤度の小さい
電池用セパレーターを得ることができる。
【0050】本発明の電池用セパレーターの製造方法、
製造装置、製造条件などは特に制限されず、既知技術に
したがって製造することができる。そのうちでも、本発
明の電池用セパレーターは湿式抄造法によって好ましく
製造することができ、その場合は、海島型構造繊維
(I)から得られたフィブリル化物、および他の合成繊
維および/またはセルロース系繊維、バインダーなどを
併用する場合は、それらも用いて水性スラリーを調製
し、その水性スラリーを網抄紙機、通液性金型などを使
用して抄造し、脱液、乾燥することによって所望の電池
用セパレーターまたは電池用セパレーター用の用紙を得
ることができる。抄造後の乾燥温度は、海島型構造繊維
(I)から得られたフィブリル化物と共に用いる他の繊
維の種類、バインダーの種類などに応じて設定でき、一
般には、60〜170℃の温度が採用される。特に、バ
インダーとして水中溶解温度が60〜98℃である上記
したポリビニルアルコール系繊維バインダーを用いた場
合には、乾燥温度を70〜150℃にすることが好まし
く、80〜120℃の温度が好ましく用いられる。
【0051】本発明の電池用セパレーターでは、その坪
量、形状、寸法、厚さなどは特に制限されず、セパレー
ターが使用される電池の種類や用となどに応じて適宜設
定すればよい。セパレーターの形状としては、例えば、
平坦な紙状、筒状、有底筒状などの形状であっても、ま
たはその他の形状であってもよい。したがって、本発明
の電池用セパレーターには、筒状やその他の所定の形状
に成形された電池用セパレーター、および所定の形状に
形成する前の電池用セパレーター用の用紙の両方が包含
される。本発明の電池用セパレーターは、アルカリマン
ガン乾電池、酸化銀電池、亜鉛−空気電池、ニッケル−
カドミウム電池などの電池におけるセパレーターとして
使用でき、特にアルカリ電池用のセパレーターとして有
効であり、アルカリ電池のうちでも、アルカリマンガン
電池、酸化銀電池のような負極活物質として亜鉛を用い
るアルカリ電池のセパレーター、特に水銀含量が低いか
又は水銀無添加のアルカリ電池のセパレーターとして極
めて有効である。
【0052】
【発明の効果】本発明の電池用セパレーターは、セパレ
ート性が良好で電池における内部短絡の発生を良好に防
止できる。さらに、本発明の電池用セパレーターは、電
解液吸液性および電解液保持性に優れ、しかもアルカリ
性電解液に対して低膨潤性であるので、電池容量および
電池寿命の向上が可能であり、且つ電池の内部抵抗を小
さくして、大電流を安定して長期にわたって取り出すこ
とができる。特に、本発明の電池用セパレーターは、負
極亜鉛に対する水銀添加率が0重量%である水銀無添加
アルカリ電池に用いた場合にも、前記したような特性を
十分に発揮することができる。そして、上記した本発明
の電池用セパレーターの特長および効果をより具体的に
示すと、以下のとおりである。
【0053】(1) 本発明の電池用セパレーターは、
セパレート性が極めて良好である。すなわち、本発明の
電池用セパレーターでは、構造繊維の一部として再生セ
ルロース系繊維や溶剤紡糸セルロース系繊維の叩解物や
上記したような他の合成繊維を使用した場合にも、海島
型構造繊維(I)から得られた微細なフィブリル化物
が、該太い繊維(繊維主骨格)から形成される基本構造
中の大きな空隙に多数からまったり延びたりしてその空
隙を微細化するので、水銀無添加で且つ高容量化のため
に負極亜鉛が増量された現在の電池に使用した場合に
も、多量に発生する微細な酸化亜鉛針状結晶の通過を十
分に阻止できる良好なセパレート性を有し、電池用セパ
レーターとしての機能を十分に発揮する。
【0054】(2) 本発明の電池用セパレーターを電
池に用いた場合は、電池の内部抵抗の上昇を抑制するこ
とができる。すなわち、本発明の電池用セパレーターで
は、海島型構造繊維(I)から得られたフィブリル化物
が、細繊度化されているにも拘わらず、短くなり過ぎて
おらず、所定の長さの繊維形状を保っており、しかも海
島型構造繊維(I)の海成分を形成していたPVA系ポ
リマー(A)に由来するフィブリルは高配向高結晶化し
ていることから適度な湿潤ヤング率を有している。その
ため、海島型構造繊維(I)から得られたフィブリル化
物を用いて形成された本発明のセパレーターでは、それ
らの特性が相俟ってセパレーターの高密度化が生じない
ために、内部抵抗の上昇が抑制される。しかも、セパレ
ーターを構成する該フィブリル化物が細繊度であること
によりセパレーターにおける孔が小さくなり、良好なセ
パレート性がセパレーターに付与される。その結果、本
発明による場合は、海島型構造繊維(I)から得られた
フィブリル化物と共に木材パルプ、非木材パルプ、再生
セルロース系繊維、溶剤紡糸セルロース系繊維の叩解物
などの電解液吸液性の高い繊維成分を併用して、セパレ
ート性、電解液吸液性、低膨潤性、低内部抵抗性などの
特性を兼ね備える電池用セパレーターを得ることができ
る。
【0055】(3) 本発明の電池用セパレーターは、
電池反応に有効な電解液が、終止電圧に至るまでセパレ
ーターに十分に保持される。すなわち、従来の電池用セ
パレーターの場合には、電解液の大部分をセパレーター
の繊維間の空隙に保持しているために、使用中に電解液
が負極側に移動し易い傾向にあり、反応に必要な電解液
が枯渇し、大電流放電が阻害され易いという弊害があっ
た。それに対して、本発明の電池用セパレーターでは、
海島型構造繊維(I)から得られたフィブリル化物によ
り形成された微細なセパレーターの空隙に、電解液の表
面張力および/または毛細管現象などにより、電解液が
強固に保持される。さらに、海島型構造繊維(I)の島
成分に由来するフィブリルが水不溶性セルロース系ポリ
マー(B)からなっていてフィブリル自身の内部に電解
液を保持する能力が大きい。そのために、それらの電解
液保持能が相俟って、電解液の負極側への移動が起こり
にくくなり、終止電圧に至るまで両極とセパレーターの
界面に十分な量の電解液が存在し、電池反応が円滑に進
行する。
【0056】(4) 本発明の電池用セパレーターは、
セパレーター自体の膨潤度が小さく、そのため電池内
(正極缶)内に負極活物質を多く充填できるので、電池
容量を向上させることができる。すなわち、本発明の電
池用セパレーターでは、海島型構造繊維(I)から得ら
れたフィブリル化物の全体がセパレーターの構造形成に
寄与し、膨潤度の小さいセパレーターとなるために、電
池内に配置しても体積の増加が少なく、電池内(正極
缶)内に負極活物質を多く充填できるため、電池容量を
向上させることができる。
【0057】
【実施例】以下に実施例などにより本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定さ
れるものではない。以下の例において、セパレーターの
電解液吸液量、電解液保持量、膨潤度および電池の放電
時間の測定、並びにセパレーターの膨潤性、電池のセパ
レート性および大電流放電性の評価は次のようにして行
った。
【0058】[セパレーターの電解液吸液量]セパレー
ター試験片(寸法5cm×5cm)の重量(W0
(g)を測定する。それを35%水酸化カリウム水溶液
に20℃で30分間浸漬した後に取り出して、網の上で
15秒間水切りし、そのときの重量(W1)(g)を測
定し、下記の数式1によって、セパレーター1g当たり
の電解液吸液量(g)を求める。
【0059】
【数1】セパレーターの電解液吸液量(g/g)=(W
1−W0)/W0
【0060】[セパレーターの電解液保持量]セパレー
ター試験片(寸法5cm×5cm)の重量(W2
(g)を測定する。それを35%水酸化カリウム水溶液
に20℃で30分間浸漬した後に取り出して、3000
rpm×10分の条件下に遠心脱水し、そのときの重量
(W3)(g)を測定し、下記の数式2によって、セパ
レーター1g当たりの電解液保持量(g)を求める。
【0061】
【数2】セパレーターの電解液保持量(g/g)=(W
3−W2)/W3
【0062】[セパレーターの膨潤度]セパレーター試
験片(寸法5cm×5cm)の全面に1cm当たり18
0gの荷重をかけて、その時の厚さ(D0)を測定す
る。ついで、そのセパレーター試験片を35%水酸化カ
リウム水溶液に20℃で30分間浸漬した後に取り出し
て、網の上で15秒間水切りした後、その全面に1cm
当たり180gの荷重をかけてその時の厚さ(mm)を
測定する。3000rpm×10分の条件下に遠心脱水
し、そのときの厚さ(D1)を測定して、下記の数式3
によって、セパレーターの膨潤度(%)を求める。
【0063】
【数3】セパレーターの膨潤度(%)={(D1−D0
/D0}×100
【0064】[電池の放電時間] (1)3.9Ωでの連続放電時間:3.9Ωで連続放電
させて電圧が0.9Vの終止電圧に至るまでの時間を測
定する。 (2)3.9Ωで5分/1日放電のときの累積放電時
間:3.9Ωで1日当たり5分間の割合で放電させ、電
圧が0.9Vの終止電圧に至るまでの累積時間を測定す
る。
【0065】[セパレーターの膨潤性の評価]上記で求
めたセパレーターの膨潤度の値に基づいて、膨潤度が2
4(%)以下の場合を良好(◎)、24%を超え35%
以下の場合を良好(○)、35%を超える場合を不良
(×)として評価した。
【0066】[電池のセパレート性の評価]上記で測定
した電池の累積放電時間の測定値に基づいて、3.9Ω
で5分/1日放電させたときに、電圧が0.9Vの終止
電圧に至るまでの累積放電時間が330分を超える場合
を極めて良好(◎)、300分以上330分未満の場合
を良好(○)、300分未満の場合を不良(×)として
評価した。
【0067】[電池の大電流放電性の評価]上記で測定
した電池の連続放電時間の測定値に基づいて、3.9Ω
での連続放電時間が330分を超える場合を極めて良好
(◎)、315分以上330分未満の場合を良好
(○)、315分未満の場合を不良(×)として評価し
た。
【0068】《実施例1》 (1) 重合度1750、ケン化度99.9モル%のポ
リビニルアルコールと重合度180、アセチル化度55
%の酢酸セルロースをジメチルスルホキシド(DMSO
と略す)に添加し、80℃で10時間窒素気流下撹拌溶
解して、ポリビニルアルコール/酢酸セルロースの重量
比が70/30でポリマーの総濃度が18重量%である
少し褐色に着色した混合溶液を得た。この溶液は完全透
明ではなく、少し濁っており、ポリビニルアルコールが
海成分、酢酸セルロースが島成分をなす海島相分離溶液
であった。 (2) 上記(1)で得られた溶液を紡糸原液として用
いて、孔数1000ホール、孔径0.06mmφの紡糸
口金を通し、温度10℃のDMSO/メタノール(25
/75重量比)固化浴中に湿式紡糸し、3.5倍の湿延
伸を施した後、糸中のDMSOをメタノールで抽出し、
80℃で熱風乾燥し、220℃で、全延伸倍率13倍の
乾熱延伸を行い、ポリビニルアルコールからなる海成分
中に酢酸セルロースからなる島成分が分散した海島型構
造繊維を得た。
【0069】(3) 次いで、1規定苛性ソーダ中50
℃で30分処理して、前記海島型構造繊維中の酢酸セル
ロースをケン化してセルロースとし、さらに1リットル
当たりホルムアルデヒドを30g、硫酸を200gおよ
び芒硝を150gの割合で含有する浴中に70℃で30
分浸漬してアセタール化を行って、ポリビニルアルコー
ルからなる海成分中にセルロースからなる島成分の分散
した、単繊維繊度2デニールの海島型構造繊維を製造し
た。 (4) 上記(3)で得られた海島型構造繊維の横断面
を透過型電子顕微鏡で拡大して上記した方法で島成分の
平均直径を求めたところ1.2μmであった。また、海
島型構造繊維における島成分の形状は、円型のものは殆
どなく、4角以上の角型、星型、アメーバ形状など不定
型をなしていた。さらに、2000デニール/1000
フィラメントからなる前記海島型構造繊維(マルチフィ
ラメントヤーン)の強度は10.2g/d、繊維強度は
11.2g/dであり、島成分としてセルロースが30
重量%の高い割合で含有されているわりには高強度であ
った。また該海島型構造繊維の熱水溶断温度は120℃
と高く、海成分のポリビニルアルコールが十分に配向結
晶化していると推定される。
【0070】(5) 上記(3)で得られた海島型構造
繊維を2mmに切断し、それを水中に分散して1%の分
散液とし、パルパーおよびファイバライザーを用いてフ
ィブリル化して、CSF値が300mlのフィブリル化
物を調製した。このフィブリル化物の平均直径およびア
スペクト比は下記の表1に示すとおりであった。 (6) 上記(5)で調製した海島型構造繊維から得ら
れたフィブリル化物60重量部、ポリビニルアルコール
繊維(単繊維繊度0.3デニール、繊維長2mm)40
重量部およびポリビニルアルコール繊維バインダー(単
繊維繊度1.0デニール、繊維長3mm、水中溶解温度
70℃)17.4重量部(構造繊維とバインダー繊維の
合計重量に対するバインダー繊維の割合=約15重量
%)を水に加えて、濃度1重量%のスラリーを調製し
た。 (7) 上記(6)で調製したスラリーを用いて丸網抄
紙機にて抄造し、ドライヤー温度110℃で乾燥を行っ
て、坪量30.2g/m2、厚さ0.099mmの電池
用セパレーターを製造した。 (8) 上記(7)で製造した電池用セパレーターにお
いては、ポリビニルアルコール繊維バインダーは半溶融
状態で繊維の形態が残留しており、また該セパレーター
の電解液吸液量、電解液保持量および膨潤度を上記した
方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。
【0071】(9) 上記(7)で得られたセパレータ
ーを用いて、常法によって、水銀無添加の単3形アルカ
リ乾電池(LR6)を製造した。すなわち、正極端子を
兼ねる正極缶内に、上記(7)で得られたセパレーター
を用いて形成した有底円筒形のセパレーターを挿入し、
その正極側には二酸化マンガンと黒鉛からなる円筒状の
正極合剤を圧入する。そして有底円筒形セパレーター内
の中央部分には負極集電子を配置し、該負極集電子と円
筒形セパレーターとの間の空間部分には水銀無添加の亜
鉛合金粉末をゲル状電解液(水酸化カリウム水溶液)に
分散混合した負極亜鉛を充填する。次いで、正極缶の開
口部を、前記の負極集電子の頭部と接する負極端子(底
板)を溶接した樹脂封口体および金属製ワッシャーで封
止して前記の単3形アルカリ乾電池を製造する。 (10) 上記(9)で得られた単3形アルカリ乾電池
を用いて、その放電時間を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。 (11) また、上記(8)および(10)の結果に基
づいて、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性お
よび大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行
った。その結果を下記の表1に示す。
【0072】《実施例2》 (1) 海島型構造繊維から得られたフィブリル化物と
併用する繊維として、ポリビニルアルコール繊維の代わ
りに、ナイロン繊維(単繊維繊度0.5デニール、繊維
長2mm)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、
坪量31.6g/m2、厚さ0.109mmの電池用セ
パレーターを製造した。それにより得られた電池用セパ
レーターにおいては、ポリビニルアルコール繊維バイン
ダーは半溶融状態で繊維の形態が残留しており、また該
セパレーターの電解液吸液量、電解液保持量および膨潤
度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0073】《実施例3》 (1) 海島型構造繊維から得られたフィブリル化物と
併用する繊維として、ポリビニルアルコール繊維の代わ
りに、叩解処理したポリノジックレーヨン繊維(単繊維
繊度0.5デニール、繊維長2mm、CSF値500m
l)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、坪量3
2.3g/m2、厚さ0.110mmの電池用セパレー
ターを製造した。それにより得られた電池用セパレータ
ーにおいては、ポリビニルアルコール繊維バインダーは
半溶融状態で繊維の形態が残留しており、また該セパレ
ーターの電解液吸液量、電解液保持量および膨潤度を上
記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおり
であった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0074】《実施例4》 (1) 海島型構造繊維から得られたフィブリル化物と
併用する繊維として、ポリビニルアルコール繊維の代わ
りに、叩解処理した溶剤紡糸セルロース繊維(単繊維繊
度1.5デニール、繊維長2mm、CSF値300m
l)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、坪量3
0.5g/m2、厚さ0.108mmの電池用セパレー
ターを製造した。それにより得られた電池用セパレータ
ーにおいては、ポリビニルアルコール繊維バインダーは
半溶融状態で繊維の形態が残留しており、また該セパレ
ーターの電解液吸液量、電解液保持量および膨潤度を上
記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおり
であった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0075】《実施例5》 (1) 実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、海
成分をなすポリビニルアルコール:島成分をなすセルロ
ースの割合が97:3(重量比)である、ポリビニルア
ルコールからなる海成分中にセルロースからなる島成分
が分散している海島型構造繊維を製造した。 (2) 上記(1)で得られた海島型構造繊維を実施例
1の(5)と同様にしてフィブリル化を行ってフィブリ
ル化物を調製した。 (3) 上記(2)で得られた海島型構造繊維からなる
フィブリル化物と共に、実施例1の(6)で用いたのと
同じポリビニルアルコール繊維およびポリビニルアルコ
ール繊維バインダーを用いて、実施例1の(6)〜
(7)と同様の操作を行って、坪量31.4g/m2
厚さ0.100mmの電池用セパレーターを製造した。
それにより得られた電池用セパレーターにおいては、ポ
リビニルアルコール繊維バインダーは半溶融状態で繊維
の形態が残留しており、また該セパレーターの電解液吸
液量、電解液保持量および膨潤度を上記した方法で測定
したところ、下記の表2に示すとおりであった。 (4) 上記(3)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。 (5) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表2に示す。
【0076】《実施例6》 (1) 実施例1の(1)〜(3)と同様に行って、海
成分をなすポリビニルアルコール:島成分をなすセルロ
ースの割合が40:60(重量比)である、ポリビニル
アルコールからなる海成分中にセルロースからなる島成
分が分散している海島型構造繊維を製造した。 (2) 上記(1)で得られた海島型構造繊維を実施例
1の(5)と同様にしてフィブリル化を行ってフィブリ
ル化物を調製した。 (3) 上記(2)で調製した海島型構造繊維から得ら
れたフィブリル化物と共に、実施例1の(6)で用いた
のと同じポリビニルアルコール繊維およびポリビニルア
ルコール繊維バインダーを用いて、実施例1の(6)〜
(7)と同様の操作を行って、坪量30.6g/m2
厚さ0.100mmの電池用セパレーターを製造した。
それにより得られた電池用セパレーターにおいては、ポ
リビニルアルコール繊維バインダーは半溶融状態で繊維
の形態が残留しており、また該セパレーターの電解液吸
液量、電解液保持量および膨潤度を上記した方法で測定
したところ、下記の表2に示すとおりであった。 (4) 上記(3)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。 (5) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表2に示す。
【0077】《実施例7》 (1) 実施例1の(6)において、海島型構造繊維か
ら得られたフィブリル化物:ポリビニルアルコール繊維
の使用割合を12重量部:88重量部に変更した以外は
実施例1と全く同様にして、坪量32.0g/m2、厚
さ0.110mmの電池用セパレーターを製造した。そ
れにより得られた電池用セパレーターにおいては、ポリ
ビニルアルコール繊維バインダーは半溶融状態で繊維の
形態が残留しており、また該セパレーターの電解液吸液
量、電解液保持量および膨潤度を上記した方法で測定し
たところ、下記の表2に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表2に示す。
【0078】《実施例8》 (1) 実施例1の(6)において、海島型構造繊維か
ら得られたフィブリル化物:ポリビニルアルコール繊維
の使用割合を88重量部:12重量部に変更した以外は
実施例1と全く同様にして、坪量30.1g/m2、厚
さ0.098mmの電池用セパレーターを製造した。そ
れにより得られた電池用セパレーターにおいては、ポリ
ビニルアルコール繊維バインダーは半溶融状態で繊維の
形態が残留しており、また該セパレーターの電解液吸液
量、電解液保持量および膨潤度を上記した方法で測定し
たところ、下記の表2に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表2に示す。
【0079】《実施例9》 (1) 実施例1において、海島型構造繊維から得られ
たフィブリル化物と併用するポリビニルアルコール繊維
の単繊維繊度を2デニールに変えた以外は実施例1と全
く同様にして、坪量30.5g/m2、厚さ0.112
mmの電池用セパレーターを製造した。それにより得ら
れた電池用セパレーターにおいては、ポリビニルアルコ
ール繊維バインダーは半溶融状態で繊維の形態が残留し
ており、また該セパレーターの電解液吸液量、電解液保
持量および膨潤度を上記した方法で測定したところ、下
記の表3に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表3に示す。
【0080】《実施例10および11》 (1) 実施例1において、海島型構造繊維から得られ
たフィブリル化物のCSF値をそれぞれ600ml(実
施例10)および100ml(実施例11)に変えた以
外は実施例1と全く同様にして、坪量30.3g/
2、厚さ0.106mmの電池用セパレーター(実施
例10)および坪量29.8g/m2、厚さ0.097
mmの電池用セパレーター(実施例11)をそれぞれ製
造した。それにより得られた電池用セパレーターにおい
ては、ポリビニルアルコール繊維バインダーは半溶融状
態で繊維の形態が残留しており、また該セパレーターの
電解液吸液量、電解液保持量および膨潤度を上記した方
法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表3に示す。
【0081】《比較例1》 (1) 実施例1において、海島型構造繊維をフィブリ
ル化せずにそのまま構造繊維の一部としてポリビニルア
ルコール繊維と共に用いた以外は実施例1と全く同様に
して、坪量32.2g/m2、厚さ0.117mmの電
池用セパレーターを製造した。それにより得られた電池
用セパレーターにおいては、ポリビニルアルコール繊維
バインダーは半溶融状態で繊維の形態が残留しており、
また該セパレーターの電解液吸液量、電解液保持量およ
び膨潤度を上記した方法で測定したところ、下記の表3
に示すとおりであった。 (2) 上記(1)で得られた電池用セパレーターを用
いて実施例1の(9)と全く同様にして水銀無添加の単
3形アルカリ乾電池を製造し、その放電時間を上記した
方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであっ
た。 (3) また、上記(1)および(2)の結果に基づい
て、セパレーターの膨潤性、電池のセパレート性および
大電流放電性の評価を上記した方法にしたがって行っ
た。その結果を下記の表3に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】上記の表1〜表3の結果から、ビニルアル
コール系ポリマー(A)からなる海成分中に水不溶性セ
ルロース系ポリマー(B)からなる島成分が分散した相
構造を有する海島型構造繊維(I)をフィブリル化処理
して得られたフィブリル化物を構造繊維の少なくとも一
部として用いて形成した実施例1〜11の電池用セパレ
ーターは、高電解液吸液性、高電解液保持性、低膨潤
性、高セパレート性などの特性をバランス良く兼ね備え
ているために、セパレート性が良好で電池における内部
短絡の発生を良好に防止できて、ショートなどを発生す
ることなく、大電流を長時間に亙って放電できることが
でき、しかもそのような優れた特性は、負極亜鉛に対す
る水銀添加率が0重量%である水銀無添加アルカリ電池
においても十分に良好に発揮されることがわかる。それ
に対して、フィブリル化しない海島型構造繊維(I)を
用いている比較例1の電池用セパレーターは、電解液保
持量が低く、しかも膨潤度が著しく高く、セパレート性
に劣っていることにより、内部短絡が生じたショートを
発生すること、大電流を長時間に亙って放電できないこ
とがわかる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 15/10 D21H 5/20 Z (72)発明者 吉持 駛視 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 佐野 友之 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 小林 悟 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 楢村 俊平 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 川井 弘之 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維横断面において、ビニルアルコール
    系ポリマー(A)からなる海成分中に水不溶性セルロー
    ス系ポリマー(B)からなる島成分が分散した相構造を
    有する海島型構造繊維(I)をフィブリル化処理して得
    られたフィブリル化物を、構造繊維の少なくとも一部と
    して用いて形成したことを特徴とする電池用セパレータ
    ー。
  2. 【請求項2】 海島型構造繊維(I)における海成分:
    島成分の重量比が95:5〜50:50である請求項1
    の電池用セパレーター。
  3. 【請求項3】 海島型構造繊維(I)から得られたフィ
    ブリル化物が、海島型構造繊維(I)を化学的膨潤力お
    よび/または機械的剪断力を該海島型構造繊維(I)に
    作用させて得られたフィブリル化物である請求項1また
    は2の電池用セパレーター。
  4. 【請求項4】 海島型構造繊維(I)から得られたフィ
    ブリル化物の平均直径が0.05〜8μm、およびアス
    ペクト比が50以上である請求項1〜3のいずれか1項
    の電池用セパレーター。
  5. 【請求項5】 海島型構造繊維(I)から得られたフィ
    ブリル化物と共に、更に他の合成繊維、セルロース系繊
    維およびそれらの叩解物から選ばれる少なくとも1種を
    構造繊維として用いて形成してなる請求項1〜4のいず
    れか1項の電池用セパレーター。
  6. 【請求項6】 他の合成繊維がポリビニルアルコール系
    繊維であり、セルロース系繊維が溶剤紡糸セルロース系
    繊維、ポリノジックレーヨン繊維および/またはそれら
    の叩解物である請求項5の電池用セパレーター。
  7. 【請求項7】 [海島型構造繊維(I)から得られたフ
    ィブリル化物]:[他の合成繊維、セルロース系繊維お
    よびそれらの叩解物から選ばれる少なくとも1種の繊
    維]の重量比が85:15〜15:85である請求項5
    または6の電池用セパレーター。
  8. 【請求項8】 ポリビニルアルコール系バインダーを更
    に用いてなる請求項1〜8のいずれか1項の電池用セパ
    レーター。
  9. 【請求項9】 電池用セパレーターを構成する上記構造
    繊維とポリビニルアルコール系バインダーの合計重量に
    基づいて、ポリビニルアルコール系バインダーの使用量
    が、3〜30重量%である請求項8の電池用セパレータ
    ー。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項の電池用
    セパレーターを備えていることを特徴とする電池。
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