JP3390994B2 - 電解コンデンサー用セパレーター - Google Patents

電解コンデンサー用セパレーター

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JP3390994B2 JP13102993A JP13102993A JP3390994B2 JP 3390994 B2 JP3390994 B2 JP 3390994B2 JP 13102993 A JP13102993 A JP 13102993A JP 13102993 A JP13102993 A JP 13102993A JP 3390994 B2 JP3390994 B2 JP 3390994B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサー用のセ
パレーターに関し、特に該セパレーターが低密度である
が故にコンデンサーのインピーダンス等の性質に優れ、
しかも高強度であるが故にコンデンサーの製造に際して
の作業性に優れ、シヨート不良率をも改善したセパレー
ターに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に電解コンデンサーは、正、負両極
を構成する金属箔、例えばアルミニウムやタンタルなど
からなる金属箔の間に、一般に紙あるいは不織布(以下
本明細書では両者を並記する代りに、単に紙と略記する
場合もある)からなるセパレーターを挟み、これを巻回
積層してコンデンサー素子を構成し、これに電解液を含
浸させ、ケースに封入して構成されている。
【0003】このような電解コンデンサーにおいて、該
セパレーターが該コンデンサーの諸特性の向上に大きく
影響することはよく知られ、またその電解コンデンサー
の性能向上のために低インピーダンス化、低tanδ化
を図ることもよく知られている。
【0004】この低インピーダンス化を図るために、セ
パレーターに要求される条件としては、両極を通ずる電
気の通路が真直ぐであつて最短の距離であること、セパ
レーターを構成する繊維が電流を妨害せずセパレーター
のほとんど全面積が電流の通路となるように構成される
ことが理想である。これは、より具体的には、(1)セ
パレーターの空隙断面積が大きいこと、(2)セパレー
ターが出来るかぎり薄いこと、(3)セパレーターを構
成する繊維断面の形状が出来るかぎり円形に近いこと、
(4)繊維断面の径が出来るかぎり小さいこと等であ
る。
【0005】しかし、セパレーターに要求される
(1)、(2)の条件と、それを構成する繊維に要求さ
れる(3)、(4)の条件とは、両者を同時に満足させ
ることは、現実的には難しい。合成繊維は(3)、
(4)を満足するものが得られるので、その点では原理
的には好ましいが、しかしそのような合成繊維を用い
て、低インピーダンス化のために(1)、(2)を満足
させるセパレーターを製造しようとしても、強力が極め
て弱いものとなり、コンデンサー製造工程での巻取作業
の困難性を生じさせるばかりか製造後でのコンデンサー
の取扱いにも支障をきたし、シヨート不良率が上がる結
果となるのである。
【0006】従つて、現在この種コンデンサー用セパレ
ーターに用いられている繊維素材は、天然植物繊維が主
体であり、マニラ麻とクラフトパルプで全体の90〜9
5%を占めているといわれている。
【0007】一部、該植物繊維にポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリエステルなどの合成繊維を混合してセパ
レーターとすることも試みられているが、その密度はせ
いぜい0.3g/cm3程度であり、しかもこの程度の密
度となると強力はせいぜい0.5kg/15mmでしか
なく、前記のように、巻取作業上並びにその後の取扱上
でも支障を来し、製品歩留まりを悪くしてしまう。しか
もインピーダンスもたいして低減されない。
【0008】また微細な合成繊維を用い、繊維同志で自
己結着させた不織布をセパレーターとする発明も公知で
あるが、合成繊維自体で強力のある低密度紙を作成する
ことが難しく、しかもそのセパレーターの構成素材が疎
水性合成繊維であるために電解液に対する親和性が乏し
く、目的とする低インピーダンス化が難しい。この非親
和性の欠点を解消するために、界面活性剤を付着させる
ことも考えられるが、これは実用上採用できる処理手段
とはなつていない。
【0009】さらにまた、合成繊維の内でもポリビニル
アルコール(以下PVAと略記する)系繊維は、基本的
には親水性のポリマーからなるものであり、前記合成繊
維の如き電解液に対する非親和性の問題は解消され、抄
紙性が良好であることと相俟って、高強力で低密度の紙
を得やすい。しかしこの場合でも、通常のPVA繊維を
用いたのでは、紙力を維持した状態での紙密度の低減に
は限度があり、せいぜい0.28g/cm3程度であり、
したがつてそのインピーダンスは、従来の麻紙の場合に
比べればはるかに向上するが、一定限度(インピーダン
ス比で80%程度)であるのである。
【0010】
【発明の目的】以上で理解されるように本発明は、電解
コンデンサー用のセパレーターにおいて、該コンデンサ
ー製造上並びに製造後での取扱に困難性を伴なわず、製
品歩留まりを良好に維持することができるような紙力を
保持しつつ、これまでにない低密度紙とし、したがつて
極めて低減されたインピーダンスとし、よつてインピー
ダンスが極めて低減されたコンデンサーとなしうる優れ
たセパレーターを提供せんとするものである。
【0011】
【本発明の詳細】上記課題は、難溶解性のPVA系繊維
を主体繊維とし、易溶解性のPVA系繊維をバインダー
として結着させた紙からなる電解コンデンサー用セパレ
ーターであつて、該主体繊維はその単繊維繊度が1デニ
ール(dr)以下であつて、該主体繊維の少なくとも1
0重量%が、繊維横断面での形状が3〜6個の凸部を有
する断面異形の難溶解性PVA系繊維であり、該セパレ
ーターの密度を0.25g/cm3以下とすることにより
後述定義するマニラ麻単独使用セパレーターを基準とし
たインピーダンス比約60〜約50%と極めて低インピ
ーダンスの電解コンデンサー用セパレーターを容易に得
るもとができる。
【0012】前述のように、コンデンサーの正・負両極
を通ずる電気の通路を最短距離とするためには、その通
路が真直ぐであるように、セパレーターを構成する繊維
の断面が出来るかぎり円形に近く、かつまたその径が小
さいことが理想である。
【0013】その点からは、本発明においてセパレータ
ーを構成する主体PVA繊維の断面を異形断面のものを
用いることは、上記考え方とは矛盾する方向である。し
かし本発明者は、セパレーターとしての紙が、強力を維
持した上で、出来るかぎり低密度のものが作成できるの
であれば、その低密度の点によるインピーダンス低減化
効果が、構成繊維の断面形状、繊維径によるインピーダ
ンス低減化効果よりも、はるかに大きく支配的ではない
か、との考えのもとに検討を進め、本発明に至つたもの
である。
【0014】すなわち、本発明のポイントは、セパレー
ターを構成する主体繊維として、代表的には横断面形状
がY形形状といつた、断面異形のPVA系繊維を用い、
かつバインダーもPVA系繊維を用いたことであり、こ
れによつて、その目付量を大幅に減らしていつても、異
形断面繊維による繊維同志のからみ効果と、同質バイン
ダーによる接着効果とが両者相増つて効いているのか、
詳細は不明であるが、実用紙力を維持した上で、極めて
低密度のセパレーターを得たこと、すなわち、これまで
にないインピーダンス低減化効果の優れた電解コンデン
サー用セパレーターを実現させたものである。
【0015】本発明の好適態様においては、主体繊維の
繊維横断面の形状は、繊維のほぼ中心の軸から周辺に向
つて放射状に伸びる3〜6個、好ましくは3〜5個、殊
に好ましくは3個、の凸部を有する異形である。
【0016】添付した図1はY型異形断面、図2は円型
断面、図3はX字形異形断面、図4は星形異形断面、図
5は一字形異形断面の例を示す。
【0017】本発明で用いるPVA系繊維の製造法につ
いては、特に限定されるものではないが、一般的には、
これまでによく知られている湿式紡糸法によつて製造す
ればよい。即ち、PVA水溶液を紡糸原液とし、これを
例えば、カセイソーダと芒硝を含むアルカリ凝固浴中へ
ノズルから吐出させ、常法にしたがつて、乾燥、延伸、
熱処理並びに必要に応じてアセタール化を行うことによ
つて得られる。
【0018】PVAは、元来水に対する親和性が大きい
ポリマーであり、これを原料として、コンデンサーのセ
パレーターとして形状を維持するための、難溶解性の繊
維とするためには、上記延伸、熱処理工程で結晶化度、
結晶配向度を高めればよく、したがつて必ずしもアセタ
ール化処理は必要ではないが、一般的には、アセタール
化までを行い、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類で非
晶領域に存在する水酸基をアセタール化して製造する。
このアセタール化度はほぼ10モル%以上とすればよ
い。
【0019】本明細書において難溶解性とは、該紙の製
造工程中並びにコンデンサー中で電解液を含浸した状態
で溶解せず、紙としての形態を維持できればよい、とい
つた意味での難溶度を意味する。
【0020】また易溶解性のバインダー繊維は、上記製
造工程でアセタール化処理を行なわずに得られるもの
で、要は、紙の製造工程中適度の昇温状態で水に溶解状
態となり、主体繊維を接着できるものであればよく、こ
の様な物性は前記延伸、熱処理工程での処理条件を調整
することによつて得られる。具体的には、水中溶解温度
が50〜90℃の繊維とすればよい。
【0021】本発明においては、セパレーターを構成す
る難溶解性の主体繊維は、繊度1dr以下、好ましくは
0.8dr以下の、横断面形状が異形である難溶解性ポ
リビニルアルコール系繊維を、主体繊維中10重量%以
上、好ましくは30重量%以上、配合使用することが重
要である。
【0022】この主体繊維の断面異形とは、繊維の横断
面で見て繊維のほぼ中心の軸から周辺に向かつて放射状
に伸びる凸部(腕部)が3ケ以上6ケ以下出ている形状
をいう。その内、より具体的な好ましい異形繊維として
は、横断面がT型、Y型、X型、星型等の形状を有する
繊維である。
【0023】上記の如き異形断面繊維を用いるのは、そ
の繊維断面の形状そのものによつて紙の密度を低くする
ことができ、しかも、詳細な理由は不明であるが、から
み合つた繊維と繊維とのほぐれが少なく出来るためか、
PVA系のバインダーとの併用によつて、結果的に、強
度を実用的に維持しつつその密度の大幅に低下させるこ
とが可能となるからである。
【0024】従来のこの種PVA繊維の、湿式紡糸法で
得られる所謂断面まゆ形繊維では、本発明のこの目的は
達成されない。繊維横断面で見て繊維のほぼ中心の軸か
ら凸部(腕部)が2ケ伸びた形の、いわゆる偏平型、ま
ゆ型、U型、L型等の繊維は、例えば抄紙時には、最大
開口部を下に繊維が並んだ状態となり、その並んだ繊維
の高さは、凸部(腕部)が3ケ以上ある繊維に比し、低
くなり、その結果紙が高密度のものとなつてしまう。も
つとも、該凸部(腕部)が7ケ以上も出ている形の繊維
となると、(外接円を描いたとき、該外接円の中での繊
維分の占める面積が広くなり、)円形と同等になり、効
果を失う。
【0025】またセパレーターは、当然その容積が小さ
いことが要求され、したがつて出来るだけ薄いことが必
要である。しかしその薄さを減らしていけば、内部短絡
によるシヨート不良が多くなり、セパレーターとしての
セパレート機能の低下がおこることと、さらにその製造
工程での取扱上の支障も発生している。したがつてこの
セパレーターの薄さとセパレート機能とを両立させるこ
とは難しい問題である。セパレーターを構成する繊維繊
度が大きい場合、その繊維で構成されるセパレーターの
細孔は、繊度の小さい繊維使用の場合に比べて大きくな
らざるを得ず、したがつてその大きな細孔により内部短
絡を抑止し難くなる。この不都合を補うためには、セパ
レーターとしての厚みを厚くすればよいが、それはセパ
レーターに要求される基本的な要求に矛盾する方向であ
る。さらにまた、セパレーターを構成する繊維繊度を細
くするほど、当然セパレーターの細孔は小さくなり、セ
パレート機能を向上させることが出来るが、細孔を小さ
くすることは、すなわち、紙の密度を上昇させることと
なり、これも前述の如く、繊維が正・負両極を通ずる電
流を妨害せず、セパレーターとしてその全面積が電流の
通路となるように構成する、という基本的な要求に合わ
ない不都合を生ずる。
【0026】結局、本発明においては、セパレーターを
構成する主体繊維としては、断面異形で、その単糸繊度
が1dr以下、より好ましくは0.8dr以下、さらに
好ましくは0.4〜0.6drの異形断面PVA繊維を用
いることが有効であることがわかつた。
【0027】この繊維は、同一単糸繊維の円形断面繊維
に比べて、その直径は該円形断面繊維の直径に比し大き
く、電流通路を短くするという観点からすれば、逆方向
であるが、その形状により紙密度を低くし、かつ紙力は
高め得るのであり、しかも上記の如き単糸繊度とすれ
ば、セパレーターとしての厚みの増大も防ぐことが出来
るのである。
【0028】この異形断面繊維使用の効果は、主体繊維
中に数パーセントを配合しただけでも既に認められるも
のであるが、より十分な効果発現のために主体繊維中1
0重量%以上配合する。30重量%以上であればより好
ましく、100重量%迄であつてもよい。
【0029】この異形断面繊維以外の主体繊維は、紙密
度は低くて紙力は高いものとする本発明の目的のため
に、異形断面繊維並びにバインダーと同質のPVA系繊
維であることが必要で、しかも単繊維繊度1dr以下、
より好ましくは0.8dr以下、さらに好ましくは0.4
〜06drのものであることが肝要であるが、この繊維
は上記異形断面繊維の如き異形であることは要せず、円
形等の通常の断面形状の難溶解性PVA系繊維であれば
よい。
【0030】易溶解性のバインダーPVA繊維は、主体
繊維の難溶解性PVA繊維を出来るだけ少ない量で結合
出来ることが望ましい。すなわち、結合して得られる紙
の細孔がバインダーで漬され、フイルム状とならない様
に、いわば点接触状態で結合させることが望ましい。結
合して得られる紙としては、そのバインダー繊維が繊維
としての形態を残してもよいが、残していることは必ず
しも必要ではなく、要は上記目的のために、出来るだけ
細い繊度であることが望ましく、1.0dr以下、より
好ましくは0.8dr以下、さらに好ましくは0.6dr
以下のものを用いることが推奨される。
【0031】主体PVA繊維とバインダーPVA繊維と
の重量比は、97:3ないし50:50、好ましくは9
7:3ないし60:40、特に好ましくは97:3ない
し70:30である。主体繊維に対してバインダー繊維
の重量比が3%未満となるとセパレーターとしての強度
が不足してくることとなり、また50%を越える量とな
ると、紙中で融着状態のバインダー成分が多くなり、こ
れは紙密度の低減化を阻害することとなるのでいずれも
好ましくない。
【0032】これら繊維を用いて紙あるいは不織布とす
る方法は、湿式抄造法と乾式抄造法とがある。前者の方
法においては、主体繊維とバインダー繊維とを水中によ
く分散せしめ、これを短網抄紙機あるいは円網抄紙機な
どで抄紙し、この湿紙を加熱ドラムに導き乾燥すること
によつてバインダー繊維の溶解を起こさせ、主体繊維間
を結着させ紙を得るものである。この場合、前記主体繊
維並びにバインダー繊維は1〜10mmに切断されてい
るのが好ましく、特に良好な抄紙性を得る点では2〜5
mmがより好ましい。また後者の乾式法とは、主体繊維
とバインダー繊維とを、例えばホツパーミキサーで混合
し、梳綿機を通して一様の厚さのウエブをつくり、この
ウエブに加熱された水蒸気を吹き付け、加熱ドラムを通
して乾燥することによつて主体繊維をバインダー繊維で
結着させ不織布を得るものである。この場合の繊維長と
して10〜100mmのものが用いられ、30〜70m
mのものが好ましい。
【0033】以上の如き原料並びに製造法によつて紙あ
るいは不織布の密度を0.25g/cm3以下、紙あるい
は不織布の引張強度を1.0kg/15mm以上、好ま
しくは1.5kg/15mm以上とすることにより、コ
ンデンサー用セパレーターとして容易に使用でき、かつ
インピーダンスが極めて低い紙が得られる。
【0034】なお、本明細書において、インピーダンス
比とは、マニラ麻100%からなる厚さ40μm、密度
0.50g/cm3のセパレーターを用いた場合の抵抗値
を基準とし、これを100とした場合に対するセパレー
ターのインピーダンスの比率を求めたものである。
【0035】そのインピーダンス比は、具体的に次の測
定によつた。
【0036】インピーダンス比測定方法 セパレーターに、エチレングリコールにアジピン酸アン
モニウムを溶解させた電解液(比抵抗100オーム・セ
ンチメーター)を含浸させ、白金電極(5cm 2)では
さみ、上に200gの荷重をのせ、この電極間の抵抗
を、20±0.5℃、A.C.10V、100KHzに
おいてコーラツシユブリツジを用いて測定した。
【0037】
【実施例】以下実施例によつて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0038】難溶解性PVA繊維の製造法 完全ケン化PVAを15%の濃度で水に溶解し、硼酸を
PVAに対し1.5重量%添加して紡糸原液とした。こ
れを開孔形状がY字形のノズル孔を穿つた紡糸口金から
水酸化ナトリウム30g/l、芒硝300g/lからな
る凝固浴に湿式紡糸し、常法によりローラー延伸、中
和、湿熱延伸、水洗を行つた後乾燥し、その後230℃
で全延伸倍率が10倍となるように乾熱延伸し、続いて
ホルムアルデヒド、硫酸、芒硝がそれぞれ30g/l、
200g/l、150g/lの濃度の70℃の水溶液で
ホルマール化処理し、単繊維繊度0.5dr、水中溶解
温度103℃以上の難溶解性PVA繊維を製造した。な
おこの繊維は、ノズル孔形状に極めてよく相似する図1
の断面Y形の繊維であつた。・・・この繊維を主体繊維
Aとする。
【0039】またこの断面Y形繊維の製造条件とはノズ
ル孔の形状を円形にかえた点のみを異にする製造条件
で、単繊維繊度0.5dr、水中溶解温度103℃以上
の図2の断面円形の難溶解性PVA繊維を製造した。・
・・この繊維を主体繊維Bとする。
【0040】主体繊維Aの製造条件において、ノズル孔
をX字形のものに置き換えて紡糸する以外は同一の方法
により、単繊維繊度0.6dr、水中溶解温度103℃
以上の難溶解性PVA繊維を製造した。断面形状は図3
の通りである。この繊維を主体繊維Dとする。
【0041】主体繊維Aの製造条件において、ノズル孔
を星形のものに置き換えて紡糸する以外は同一の方法に
より、単繊維繊度0.5dr、水中溶解温度103℃以
上の難溶解性PVA繊維を製造した。断面形状は図4の
通りである。この繊維を主体繊維Eとする。
【0042】主体繊維Aの製造方法において、ノズル孔
を一字形のものに置き換えて紡糸する以外は同一の方法
により、単繊維繊度0.6dr、水中溶解温度103℃
以上の難溶解性PVA繊維を製造した。断面形状は図5
の通りである。この繊維を主体繊維Fとする。
【0043】易溶解性PVA繊維の製造法 完全ケン化PVAを15%の濃度で水に溶解して紡糸原
液とした。これを開孔形状が円形のノズル孔を穿つた紡
糸口金から飽和芒硝浴からなる凝固浴に湿式紡糸し、常
法によりローラー延伸、湿熱延伸、を行つた後乾燥し、
単繊維繊度0.6dr、水中溶解温度70℃の溶解性
PVA繊維を製造した。・・・この繊維をバインダー繊
維Cとする。
【0044】実施例1 あらかじめ繊維長3mmに切断した主体繊維A80重量
部と、同じくあらかじめ繊維長3mmに切断したバイン
ダー繊維C20重量部とを、水中によく分散せしめ、円
網式抄紙機で湿式抄紙した。この湿紙を次に加熱ドラム
に導き、バインダー繊維Cを溶解して主体繊維A間を接
着し、本発明のセパレーターを構成させた。このセパレ
ーターは、厚み40μmで、その密度は0.16g/c
3、紙力は2.1kg/15mmであり、マニラ麻から
なるセパレーターでの20℃、100KHzでのインピ
ーダンスにたいして、インピーダンス比は49%であつ
た。
【0045】比較例1 あらかじめ繊維長3mmに切断した主体繊維B80重量
部と、同じく、あらかじめ繊維長3mmに切断したバイ
ンダー繊維C20重量部とを、水中によく分散せしめ、
円網式抄紙機で湿式抄紙し、この湿紙を次に加熱ドラム
に導いて加熱乾燥し、主体繊維B間を接着してなるセパ
レーターを構成させた。この例は、セパレーターとし
て、その密度が低密度となるように製造したものである
が、厚み40μmで、密度は0.29g/cm3、紙力は
0.9kg/15mmと高く出来るものの密度の低減は
頭打ちとなり、不十分となる。この比較例でのマニラ麻
からなるセパレーターに対するインピーダンス比は80
%であつた。
【0046】実施例2 あらかじめ繊維長40mmに切断した主体繊維A95重
量部と、同じく、あらかじめ繊維長40mmに切断した
バインダー繊維C5重量部とをミキサー中で混合し、梳
綿機を通してウエブをつくつた。次にこのウエブに10
0℃の水蒸気を吹き付け、その湿潤ウエブを加熱ドラム
上に導き、バインダー繊維Cを溶解させて不織布を得
た。
【0047】この不織布は、厚み40μmで、その密度
は0.18g/cm3、紙力は1.6kg/15mmであ
り、麻からなるセパレーターのインピーダンスに対し
て、インピーダンス比は55%と、優れたものであつ
た。
【0048】以下の表1は、上記実施例並びに比較例の
結果と、麻使用セパレーターの性能を対照表示したもの
である。表1で示されるように、本発明セパレーターの
特性は、このマニラ麻からなるセパレーター使用の場合
の電解コンデンサーに比しそのインピーダンスの低下は
顕著である。また通常のPVA系繊維からなるセパレー
ターに比しても強力を同程度あるいはそれ以上に高めた
上で密度をこの場合もさらに一段と低下させ、したがつ
てそのコンデンサーのインピーダンスも大きく低減化さ
せ得るものである。
【0049】実施例3 それぞれ共に繊維長4mmに切断した主体繊維A30重
量部、主体繊維B50重量部と、同じくあらかじめ繊維
長3mmに切断したバインダー繊維C20重量部とを、
水中によく分散せしめ、実施例1と同様に円網式抄紙機
で湿式抄紙し、この湿紙を次に加熱ドラムに導き、主体
繊維AおよびBからなる本発明のセパレーターを構成さ
せた。このセパレーターは、厚み40μmで、その密度
は0.22g/cm3、紙力は2.6kg/15mmであ
り、麻からなるセパレーターでの20℃、100kHz
でのインピーダンスにたいして、インピーダンス比は5
8%であつた。
【0050】実施例4 それぞれ共に3mmに切断した主体繊維Aを12重量
部、主体繊維Bを68重量部と、同じく予め繊維長3m
mに切断したバインダー繊維C20重量部とを、水中に
よく分散せしめ、円網式抄紙機で湿式抄紙した。この湿
紙を次に加熱ドラムに導き、バインダー繊維Cを溶解し
て主体繊維間を接着し、本発明のセパレーターを構成さ
せた。このセパレーターは、厚み40μmで、その密度
は0.24g/cm3、紙力は1.1kg/15mmであ
り、マニラ麻からなるセパレーターでの20℃、100
kHzでのインピーダンスに対して、インピーダンス比
は59%であつた。
【0051】実施例5 予め繊維長3mmに切断した主体繊維Dを80重量部
と、同じく予め繊維長3mmに切断したバインダー繊維
C20重量部とを、水中によく分散せしめ、円網式抄紙
機で湿式抄紙した。この湿紙を次に加熱ドラムに導き、
バインダー繊維Cを溶解して主体繊維間を接着し、本発
明のセパレーターを構成させた。このセパレーターは、
厚み40μmで、その密度は0.17g/cm3、紙力は
2.4kg/15mmであり、マニラ麻からなるセパレ
ーターでの20℃、100kHzでのインピーダンスに
対して、インピーダンス比は53%であつた。
【0052】実施例6 それぞれ共に4mmに切断した主体繊維Dを30重量
部、主体繊維Bを50重量部と、同じく予め繊維長3m
mに切断したバインダー繊維C20重量部とを、水中に
よく分散せしめ、円網式抄紙機で湿式抄紙した。この湿
紙を次に加熱ドラムに導き、バインダー繊維Cを溶解し
て主体繊維間を接着し、本発明のセパレーターを構成さ
せた。このセパレーターは、厚み40μmで、その密度
は0.23g/cm3、紙力は3.1kg/15mmであ
り、マニラ麻からなるセパレーターでの20℃、100
kHzでのインピーダンスに対して、インピーダンス比
は59%であつた。
【0053】実施例7 予め繊維長3mmに切断した主体繊維Eを80重量部
と、同じく、予め繊維長3mmに切断したバインダー繊
維C20重量部とを、水中によく分散せしめ、実施例1
と同様に円網式抄紙機で湿式抄紙し、この湿紙を次に加
熱ドラムに導き、バインダー繊維Cを溶解して主体繊維
間を接着し、セパレーターを構成した。このセパレータ
ーは、厚み40μmで、その密度は0.23g/cm3
紙力は2.8kg/15mmであり、マニラ麻からなる
セパレーターでの20℃、100kHzでのインピーダ
ンスにたいして、インピーダンス比は60%であつた。
【0054】比較例2 予め繊維長4mmに切断した主体繊維Fを80重量部
と、同じく予め繊維長3mmに切断したバインダー繊維
C20重量部とを、水中によく分散せしめ、実施例1と
同様に円網式抄紙機で湿式抄紙し、この湿紙を次に加熱
ドラムに導き、バインダー繊維Cを溶解して主体繊維間
を接着し、セパレーターを構成させた。このセパレータ
ーは、厚み40μmで、その密度は0.30g/cm3
紙力は3.6kg/15mmであり、マニラ麻からなる
セパレーターでの20℃、100kHzでのインピーダ
ンスに対して、インピーダンス比は86%であつた。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の構成においては、電解コンデン
サー用セパレーターとして、異形断面のPVA系繊維を
主体繊維とし、それにPVA系繊維をバインダーとして
用いて、全体としてPVA系繊維で構成するので、高強
度を維持しつつ極めて低密度のセパレーターとすること
が出来、これにより、極めて優れた低インピーダンス比
を実現出来、高性能で、かつ工業的生産に関しても作業
性がよく、シヨート発生率が少ないコンデンサーを容易
に製造出来るという大きな効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる繊維の断面の形状を示す。
【図2】本発明で用いる繊維の断面の形状を示す。
【図3】本発明で用いる繊維の断面の形状を示す。
【図4】本発明で用いる繊維の断面の形状を示す。
【図5】本発明で用いる繊維の断面の形状を示す。
フロントページの続き (72)発明者 川井 弘之 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 曽根高 友康 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 溝辺 昭雄 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 下野 直彦 茨城県猿島郡総和町北利根7番地 日本 バイリーン株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−84917(JP,A) 特開 平1−113437(JP,A) 特開 昭52−125727(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難溶解性のポリビニルアルコール系繊維
    を主体繊維とし、易溶解性のポリビニルアルコール系繊
    維をバインダーとして結着させた紙あるいは不織布から
    なる電解コンデンサー用セパレーターであつて、該主体
    繊維はその単繊維繊度が1デニール以下であつて、該主
    体繊維の少なくとも10重量%が、繊維横断面での形状
    が3〜6個の凸部を有する断面異形の難溶解性ポリビニ
    ルアルコール系繊維であり、該セパレーターの密度が
    0.25g/cm3以下であることを特徴とする電解コン
    デンサー用セパレーター。
  2. 【請求項2】 主体繊維の単繊維繊度が0.8デニール
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解コン
    デンサー用セパレーター。
  3. 【請求項3】 断面異形の難溶解性ポリビニルアルコー
    ル系繊維の横断面形状がT型、Y型、X型、星型のいず
    れかの形状であることを特徴とする請求項1あるいは2
    に記載の電解コンデンサー用セパレーター。
  4. 【請求項4】 主体繊維中での断面異形の難溶解性ポリ
    ビニルアルコール系繊維の割合が30重量%以上である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解
    コンデンサー用セパレーター。
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