JPH09320564A - 電池用セパレーター - Google Patents
電池用セパレーターInfo
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- JPH09320564A JPH09320564A JP9087456A JP8745697A JPH09320564A JP H09320564 A JPH09320564 A JP H09320564A JP 9087456 A JP9087456 A JP 9087456A JP 8745697 A JP8745697 A JP 8745697A JP H09320564 A JPH09320564 A JP H09320564A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyvinyl alcohol
- fiber
- clay mineral
- battery separator
- alcohol fiber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
- Cell Separators (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルカリ吸液能が高くて電池に長い放電時間
などを与えることができ、セパレート性能に優れていて
活物質や導電性物質の通過を円滑に阻止して良好な特性
を電池に付与することができ、しかも耐アルカリ性、耐
熱性、耐水性、耐熱水性、強度などの力学的特性などに
も優れる電池用セパレーター、およびそれを備える電池
を提供すること。 【解決手段】 層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割
合で含有するポリビニルアルコール系繊維を少なくとも
用いて形成した本発明の電池用セパレーター、およびそ
のセパレーターを備える本発明の電池により上記の課題
が解決される。
などを与えることができ、セパレート性能に優れていて
活物質や導電性物質の通過を円滑に阻止して良好な特性
を電池に付与することができ、しかも耐アルカリ性、耐
熱性、耐水性、耐熱水性、強度などの力学的特性などに
も優れる電池用セパレーター、およびそれを備える電池
を提供すること。 【解決手段】 層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割
合で含有するポリビニルアルコール系繊維を少なくとも
用いて形成した本発明の電池用セパレーター、およびそ
のセパレーターを備える本発明の電池により上記の課題
が解決される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池用セパレーター
およびそれを備える電池に関する。より詳細には、本発
明は、アルカリ電池などで用いられている水酸化カリウ
ム水溶液等のアルカリ電解液の吸液能(保持能)が高
く、しかも耐アルカリ性、セパレート性、強度などの力
学的特性に優れる電池用セパレーターおよびそれを備え
る電池に関する。
およびそれを備える電池に関する。より詳細には、本発
明は、アルカリ電池などで用いられている水酸化カリウ
ム水溶液等のアルカリ電解液の吸液能(保持能)が高
く、しかも耐アルカリ性、セパレート性、強度などの力
学的特性に優れる電池用セパレーターおよびそれを備え
る電池に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ電池などで用いられる電池用セ
パレーターに要求される性能としては、耐アルカリ性に
優れていて水酸化カリウムなどのアルカリ性電解液に侵
されないこと、電解液保持能(電解液の吸液量)が高く
て電池反応が持続すること、セパレーター中に存在する
孔が微細であり活物質や導電性物質の通過を阻止し得る
こと(セパレート性が高いこと)などが挙げられる。
パレーターに要求される性能としては、耐アルカリ性に
優れていて水酸化カリウムなどのアルカリ性電解液に侵
されないこと、電解液保持能(電解液の吸液量)が高く
て電池反応が持続すること、セパレーター中に存在する
孔が微細であり活物質や導電性物質の通過を阻止し得る
こと(セパレート性が高いこと)などが挙げられる。
【0003】電池用セパレーターの素材としては、従来
から、各種の合成繊維、天然繊維、合成樹脂パルプ、天
然パルプなどが用いられており、そのうちでもポリビニ
ルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れ、水に対す
る親和性が高く、力学的特性や耐水性などにも優れてい
ることから、電池用セパレーター、特にアルカリ電池用
のセパレーターにおける構成素材として広く使用されて
いる。
から、各種の合成繊維、天然繊維、合成樹脂パルプ、天
然パルプなどが用いられており、そのうちでもポリビニ
ルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れ、水に対す
る親和性が高く、力学的特性や耐水性などにも優れてい
ることから、電池用セパレーター、特にアルカリ電池用
のセパレーターにおける構成素材として広く使用されて
いる。
【0004】しかしながら、ポリビニルアルコール系繊
維は、オレフィン系重合体繊維などの合成繊維と同様
に、繊維自身のアルカリ吸液能(アルカリ液保持能)が
充分ではない。その理由の一つとしては、ポリビニルア
ルコール系繊維の代表的な製法である湿式凝固法でポリ
ビニルアルコール系繊維を製造した場合に、脱水能を有
する無機塩類を含む凝固浴中にポリビニルアルコールの
紡糸原液を紡出させると、凝固浴中で急激な脱水がなさ
れることによって、繊維構造が緻密な表面スキン層と比
較的粗なコア層とからなる2層構造となり、緻密な表面
スキン層が繊維中へのアルカリ液の浸透を阻止する働き
をなす点が挙げられる。
維は、オレフィン系重合体繊維などの合成繊維と同様
に、繊維自身のアルカリ吸液能(アルカリ液保持能)が
充分ではない。その理由の一つとしては、ポリビニルア
ルコール系繊維の代表的な製法である湿式凝固法でポリ
ビニルアルコール系繊維を製造した場合に、脱水能を有
する無機塩類を含む凝固浴中にポリビニルアルコールの
紡糸原液を紡出させると、凝固浴中で急激な脱水がなさ
れることによって、繊維構造が緻密な表面スキン層と比
較的粗なコア層とからなる2層構造となり、緻密な表面
スキン層が繊維中へのアルカリ液の浸透を阻止する働き
をなす点が挙げられる。
【0005】そこで、ポリビニルアルコール系繊維を用
いて電池用セパレーターを製造するに当たっては、ポリ
ビニルアルコール系繊維と共に、アルカリ吸液能の高
い、パルプ、セルロース繊維、ビスコースレイヨン繊維
などの天然セルロース由来のパルプや繊維を併用するこ
とが広く行われている。しかしながら、電池用セパレー
ターではアルカリ吸液性が高いだけではなく、セパレー
ト性に優れることが要求され、セパレート性を高くする
には、電池用セパレーターの繊維間に形成される孔が小
さくなるように繊維径の小さい繊維やパルプを使用する
必要がある。ポリビニルアルコール系繊維の場合は、紡
糸方法や紡糸条件などを選択することによって繊維径の
小さな繊維を比較的簡単に得ることができるが、天然セ
ルロース由来のパルプや繊維では、叩解処理を行って繊
維径を小さくしたり、微細化する必要がある。そのた
め、ポリビニルアルコール系繊維と共に天然セルロース
由来のパルプや繊維を併用する場合は、叩解装置や叩解
処理工程が一般に採用されており、電池用セパレーター
の生産ラインの複雑化やコストの上昇などを招いてい
る。しかも、叩解処理を行った場合には、叩解不良部分
の混入、除去不可能な異物の混入などの問題が発生し易
く、叩解を完全に行うための高叩解度パルプ抄紙技術、
高精度クリーナーの設置などが必要であり、かかる点か
らも電池用セパレーターの製造設備や製造工程を複雑化
や高コストを招いている。
いて電池用セパレーターを製造するに当たっては、ポリ
ビニルアルコール系繊維と共に、アルカリ吸液能の高
い、パルプ、セルロース繊維、ビスコースレイヨン繊維
などの天然セルロース由来のパルプや繊維を併用するこ
とが広く行われている。しかしながら、電池用セパレー
ターではアルカリ吸液性が高いだけではなく、セパレー
ト性に優れることが要求され、セパレート性を高くする
には、電池用セパレーターの繊維間に形成される孔が小
さくなるように繊維径の小さい繊維やパルプを使用する
必要がある。ポリビニルアルコール系繊維の場合は、紡
糸方法や紡糸条件などを選択することによって繊維径の
小さな繊維を比較的簡単に得ることができるが、天然セ
ルロース由来のパルプや繊維では、叩解処理を行って繊
維径を小さくしたり、微細化する必要がある。そのた
め、ポリビニルアルコール系繊維と共に天然セルロース
由来のパルプや繊維を併用する場合は、叩解装置や叩解
処理工程が一般に採用されており、電池用セパレーター
の生産ラインの複雑化やコストの上昇などを招いてい
る。しかも、叩解処理を行った場合には、叩解不良部分
の混入、除去不可能な異物の混入などの問題が発生し易
く、叩解を完全に行うための高叩解度パルプ抄紙技術、
高精度クリーナーの設置などが必要であり、かかる点か
らも電池用セパレーターの製造設備や製造工程を複雑化
や高コストを招いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、良好な耐アルカリ性、力学的特性、耐水性など
のような、ポリビニルアルコール系繊維が本来的に有す
る特性を備えると共に、高いアルカリ吸液能を有するポ
リビニルアルコール系繊維を開発し、そのようなポリビ
ニルアルコール系繊維を用いて形成されたアルカリ吸液
性、セパレート性、耐アルカリ性、力学的特性、耐水性
などの諸特性に優れる電池用セパレーターを提供するこ
とである。そして、本発明の目的は、上記した諸特性に
優れる電池用セパレーターを備える電池を提供すること
である。
目的は、良好な耐アルカリ性、力学的特性、耐水性など
のような、ポリビニルアルコール系繊維が本来的に有す
る特性を備えると共に、高いアルカリ吸液能を有するポ
リビニルアルコール系繊維を開発し、そのようなポリビ
ニルアルコール系繊維を用いて形成されたアルカリ吸液
性、セパレート性、耐アルカリ性、力学的特性、耐水性
などの諸特性に優れる電池用セパレーターを提供するこ
とである。そして、本発明の目的は、上記した諸特性に
優れる電池用セパレーターを備える電池を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、ポリビ
ニルアルコール系繊維中に層状粘土鉱物を特定の量以上
で含有させると、高いアルカリ吸液能を有するポリビニ
ルアルコール系繊維が得られること、そしてアルカリ吸
液能の高いそのポリビニルアルコール系繊維を少なくと
も用いて電池用セパレーターを形成すると、アルカリ吸
液性、セパレート性、耐アルカリ性、力学的特性、耐水
性などの諸特性に優れる電池用セパレーターが得られる
ことを見出して本発明を完成した。
本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、ポリビ
ニルアルコール系繊維中に層状粘土鉱物を特定の量以上
で含有させると、高いアルカリ吸液能を有するポリビニ
ルアルコール系繊維が得られること、そしてアルカリ吸
液能の高いそのポリビニルアルコール系繊維を少なくと
も用いて電池用セパレーターを形成すると、アルカリ吸
液性、セパレート性、耐アルカリ性、力学的特性、耐水
性などの諸特性に優れる電池用セパレーターが得られる
ことを見出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、層状粘土鉱物を0.
01重量%以上の割合で含有するポリビニルアルコール
系繊維を少なくとも用いて形成したことを特徴とする電
池用セパレーターである。そして、本発明は、上記の電
池用セパレーターを備えていることを特徴とする電池で
ある。
01重量%以上の割合で含有するポリビニルアルコール
系繊維を少なくとも用いて形成したことを特徴とする電
池用セパレーターである。そして、本発明は、上記の電
池用セパレーターを備えていることを特徴とする電池で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の電池用セパレーターで用いるポリビニル
アルコール系繊維では、繊維を構成するポリビニルアル
コール系重合体の種類は特に制限されず、ビニルアルコ
ール単位から主としてなる繊維形成性のポリビニルアル
コール系重合体であればいずれも使用可能である。何ら
限定されるものではないが、ポリビニルアルコール系繊
維を構成するポリビニルアルコール系重合体は、例え
ば、ビニルアルコール単位のみからなる重合体であって
も、ビニルアルコール単位と共に他の構造単位を0.5
〜20モル%程度の割合でポリマーの主鎖および/また
は側鎖に有するビニルアルコール系重合体であっても、
ビニルアルコール単位の一部が変性されている変性ビニ
ルアルコール系重合体であっても、またはシンジオタク
チック構造を主鎖に有するビニルアルコール系重合体で
あってもよい。
する。本発明の電池用セパレーターで用いるポリビニル
アルコール系繊維では、繊維を構成するポリビニルアル
コール系重合体の種類は特に制限されず、ビニルアルコ
ール単位から主としてなる繊維形成性のポリビニルアル
コール系重合体であればいずれも使用可能である。何ら
限定されるものではないが、ポリビニルアルコール系繊
維を構成するポリビニルアルコール系重合体は、例え
ば、ビニルアルコール単位のみからなる重合体であって
も、ビニルアルコール単位と共に他の構造単位を0.5
〜20モル%程度の割合でポリマーの主鎖および/また
は側鎖に有するビニルアルコール系重合体であっても、
ビニルアルコール単位の一部が変性されている変性ビニ
ルアルコール系重合体であっても、またはシンジオタク
チック構造を主鎖に有するビニルアルコール系重合体で
あってもよい。
【0010】また、ポリビニルアルコール系繊維を構成
するポリビニルアルコール系重合体は、ポリビニルアル
コール系繊維を湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法
などで製造する際の紡糸原液の取り扱い性、得られるポ
リビニルアルコール系繊維の繊維物性などの点から、そ
の粘度平均重合度が300〜4000程度であることが
好ましく、300〜3000であることがより好まし
い。そして、ポリビニルアルコール系繊維を構成するポ
リビニルアルコール系重合体は、繊維製造時の延伸工程
における配向結晶化の向上、及び繊維の耐水性の向上の
点から、そのケン化度が96%以上であることが好まし
く、99%以上であることがより好ましい。
するポリビニルアルコール系重合体は、ポリビニルアル
コール系繊維を湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法
などで製造する際の紡糸原液の取り扱い性、得られるポ
リビニルアルコール系繊維の繊維物性などの点から、そ
の粘度平均重合度が300〜4000程度であることが
好ましく、300〜3000であることがより好まし
い。そして、ポリビニルアルコール系繊維を構成するポ
リビニルアルコール系重合体は、繊維製造時の延伸工程
における配向結晶化の向上、及び繊維の耐水性の向上の
点から、そのケン化度が96%以上であることが好まし
く、99%以上であることがより好ましい。
【0011】本発明の電池用セパレーターに用いるポリ
ビニルアルコール系繊維は、上記したように層状粘土鉱
物を含有していることが必要である。ポリビニルアルコ
ール系繊維が層状粘土鉱物を含有していることによっ
て、ポリビニルアルコール系繊維のアルカリ吸液能が向
上し、ひいてはそれから得られる電池用セパレーターの
アルカリ吸液能、放電性能などの電池特性が優れたもの
となる。
ビニルアルコール系繊維は、上記したように層状粘土鉱
物を含有していることが必要である。ポリビニルアルコ
ール系繊維が層状粘土鉱物を含有していることによっ
て、ポリビニルアルコール系繊維のアルカリ吸液能が向
上し、ひいてはそれから得られる電池用セパレーターの
アルカリ吸液能、放電性能などの電池特性が優れたもの
となる。
【0012】本発明で用いる層状粘土鉱物は、結晶構造
間に2層または3層の層構造を有し、この層が幾層にも
積層したものであり、主にケイ酸塩からなる。本発明の
電池用セパレーターで用いるポリビニルアルコール系繊
維中に含有させる層状粘土鉱物は、天然に存在するも
の、合成されたもの、または両者の併用のいずれであっ
てもよい。本発明で用い得る層状粘土鉱物の具体例とし
ては、膨潤性雲母(マイカ)、スメクタイト鉱物(モン
モリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイ
ト、スチブンサイト等)、バーミキュライト、カオリナ
イト、ハロイサイト、マーガライト、イモゴライト、ク
リントナイト等を挙げられことができ、それらは単独で
用いても、または2種以上を併用してもよい。
間に2層または3層の層構造を有し、この層が幾層にも
積層したものであり、主にケイ酸塩からなる。本発明の
電池用セパレーターで用いるポリビニルアルコール系繊
維中に含有させる層状粘土鉱物は、天然に存在するも
の、合成されたもの、または両者の併用のいずれであっ
てもよい。本発明で用い得る層状粘土鉱物の具体例とし
ては、膨潤性雲母(マイカ)、スメクタイト鉱物(モン
モリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイ
ト、スチブンサイト等)、バーミキュライト、カオリナ
イト、ハロイサイト、マーガライト、イモゴライト、ク
リントナイト等を挙げられことができ、それらは単独で
用いても、または2種以上を併用してもよい。
【0013】ポリビニルアルコール系繊維中に層状粘土
鉱物を含有させると、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が向上する理由は明確ではないが、層状粘
土鉱物がその層間に分子やイオンなどを取り込む(イン
ターカレートする)能力を有していることによって、そ
の層間にアルカリ水溶液中の陽イオンが多く取り込まれ
ることによるものと推定される。
鉱物を含有させると、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が向上する理由は明確ではないが、層状粘
土鉱物がその層間に分子やイオンなどを取り込む(イン
ターカレートする)能力を有していることによって、そ
の層間にアルカリ水溶液中の陽イオンが多く取り込まれ
ることによるものと推定される。
【0014】本発明では、ポリビニルアルコール系繊維
中に含有させる層状粘土鉱物として、膨潤性の層状粘土
鉱物、すなわちポリビニルアルコール系重合体の紡糸原
液などに一般に用いられる水、グリセリン、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ールなどの多価アルコール類、ジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチ
レントリアミン、ロダン塩、およびそれらの2種以上の
混合物などからなる溶媒に対して膨潤性を示す層状粘土
鉱物が好ましく用いられる。膨潤性の層状粘土鉱物を用
いると、紡糸原液中において、層状粘土鉱物がその層間
に溶媒を吸収することで、層状粘土鉱物における層間が
拡がったり、さらなる溶媒の吸収により層状粘土鉱物が
膨潤して劈開が生じて超微粒子になったりして、繊維中
に一層均一に分散し、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が一層向上する。
中に含有させる層状粘土鉱物として、膨潤性の層状粘土
鉱物、すなわちポリビニルアルコール系重合体の紡糸原
液などに一般に用いられる水、グリセリン、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ールなどの多価アルコール類、ジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチ
レントリアミン、ロダン塩、およびそれらの2種以上の
混合物などからなる溶媒に対して膨潤性を示す層状粘土
鉱物が好ましく用いられる。膨潤性の層状粘土鉱物を用
いると、紡糸原液中において、層状粘土鉱物がその層間
に溶媒を吸収することで、層状粘土鉱物における層間が
拡がったり、さらなる溶媒の吸収により層状粘土鉱物が
膨潤して劈開が生じて超微粒子になったりして、繊維中
に一層均一に分散し、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が一層向上する。
【0015】膨潤性の層状粘土鉱物の代表例としては、
膨潤性フッ素雲母を挙げることができ、そのうちでも、
特開平2−149415号公報などに記載されている、
タルクとナトリウムおよび/または珪フッ化リチウムの
混合物を加熱処理して得られる合成膨潤性フッ素雲母が
好ましく用いられる。合成膨潤性フッ素雲母は実質的に
カルシウム等を含まないことにより、合成膨潤性フッ素
雲母を含有するポリビニルアルコール系繊維を用いて形
成される電池用セパレーターは、アルカリ吸液性能の点
からも一層優れた特性を有する。そして、本発明で好ま
しく用いられる膨潤性のフッ素雲母の組成式は以下の通
りである。
膨潤性フッ素雲母を挙げることができ、そのうちでも、
特開平2−149415号公報などに記載されている、
タルクとナトリウムおよび/または珪フッ化リチウムの
混合物を加熱処理して得られる合成膨潤性フッ素雲母が
好ましく用いられる。合成膨潤性フッ素雲母は実質的に
カルシウム等を含まないことにより、合成膨潤性フッ素
雲母を含有するポリビニルアルコール系繊維を用いて形
成される電池用セパレーターは、アルカリ吸液性能の点
からも一層優れた特性を有する。そして、本発明で好ま
しく用いられる膨潤性のフッ素雲母の組成式は以下の通
りである。
【0016】
【化1】 αXF・β(aMgF2・bMgO)・γSiO2 (式中、Xはナトリウムまたはリチウム、α、β、γ、
aおよびbは各々係数を示し、0.1≦α≦2、2≦β
≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+
B=1である。)
aおよびbは各々係数を示し、0.1≦α≦2、2≦β
≦3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+
B=1である。)
【0017】本発明では、ポリビニルアルコール系繊維
中に含有させる層状粘土鉱物として、その層間電荷密度
が0.25以上であるものが好ましく用いられ、0.6
以上であるものがより好ましく用いられ、0.9以上で
あるものが更に好ましく用いられる。さらに、本発明で
は、層状粘土鉱物として、その層間陽イオン交換容量が
20meq/100g以上である高い陽イオン交換能力
を有するものが好ましく用いられ、50meq/100
g以上であるものがより好ましく用いられ、100me
q/100g以上であるものが更に好ましく用いられ
る。また、本発明では、ポリビニルアルコール系繊維を
製造する際の紡糸性、延伸性、得られるポリビニルアル
コール系繊維の機械的強度などの点から、層状粘土鉱物
として、一辺の長さが10μm以下で且つ厚みが0.5
μm以下のものが好ましく用いられ、1辺の長さが3μ
m以下で且つ厚さが0.1μm以下の微粉状のものがよ
り好ましく用いられる。
中に含有させる層状粘土鉱物として、その層間電荷密度
が0.25以上であるものが好ましく用いられ、0.6
以上であるものがより好ましく用いられ、0.9以上で
あるものが更に好ましく用いられる。さらに、本発明で
は、層状粘土鉱物として、その層間陽イオン交換容量が
20meq/100g以上である高い陽イオン交換能力
を有するものが好ましく用いられ、50meq/100
g以上であるものがより好ましく用いられ、100me
q/100g以上であるものが更に好ましく用いられ
る。また、本発明では、ポリビニルアルコール系繊維を
製造する際の紡糸性、延伸性、得られるポリビニルアル
コール系繊維の機械的強度などの点から、層状粘土鉱物
として、一辺の長さが10μm以下で且つ厚みが0.5
μm以下のものが好ましく用いられ、1辺の長さが3μ
m以下で且つ厚さが0.1μm以下の微粉状のものがよ
り好ましく用いられる。
【0018】そして、層状粘土鉱物を含有するポリビニ
ルアルコール系繊維では、層状粘土鉱物自体の高いアル
カリ吸液能によって繊維に高いアルカリ吸液能が付与さ
れる。それと共に、層状粘土鉱物の存在によって、丸形
のノズルから紡糸原液を紡出させた場合であっても、高
度に異形化された断面構造を有する嵩高いポリビニルア
ルコール系繊維が得られるという特徴があり、そのよう
な異形化によって繊維の表面積の増加、およびそれを用
いて形成される電池用セパレーターの嵩高化による空隙
率の増大が達成されて、アルカリ吸液能(アルカリ溶液
の保持能)の一層高い電池用セパレーターが得られる。
ルアルコール系繊維では、層状粘土鉱物自体の高いアル
カリ吸液能によって繊維に高いアルカリ吸液能が付与さ
れる。それと共に、層状粘土鉱物の存在によって、丸形
のノズルから紡糸原液を紡出させた場合であっても、高
度に異形化された断面構造を有する嵩高いポリビニルア
ルコール系繊維が得られるという特徴があり、そのよう
な異形化によって繊維の表面積の増加、およびそれを用
いて形成される電池用セパレーターの嵩高化による空隙
率の増大が達成されて、アルカリ吸液能(アルカリ溶液
の保持能)の一層高い電池用セパレーターが得られる。
【0019】層状粘土鉱物を含有させてポリビニルアル
コール系繊維を製造すると高度に異形化された繊維が得
られる理由は明確ではないが、次のように推測される。
すなわち、ポリビニルアルコール系重合体と層状粘土鉱
物の親和力は、層状粘土鉱物の陽イオン交換能力が高い
程強いと考えられるため、マトリックスであるポリビニ
ルアルコール系重合体の体積収縮が起こると、それに伴
ってポリビニルアルコール系重合体中に分散している層
状粘土鉱物も凝集する。しかしながら、ある体積以下に
なると層状粘土鉱物の形態からくる嵩高性が影響してポ
リビニルアルコール系重合体の凝集が阻害されるため、
凝固浴中で脱水された糸篠は、糸篠の横断面方向に起こ
る凝固挙動が不均一になって、繊維横断面の異形化が生
ずるものと推測される。
コール系繊維を製造すると高度に異形化された繊維が得
られる理由は明確ではないが、次のように推測される。
すなわち、ポリビニルアルコール系重合体と層状粘土鉱
物の親和力は、層状粘土鉱物の陽イオン交換能力が高い
程強いと考えられるため、マトリックスであるポリビニ
ルアルコール系重合体の体積収縮が起こると、それに伴
ってポリビニルアルコール系重合体中に分散している層
状粘土鉱物も凝集する。しかしながら、ある体積以下に
なると層状粘土鉱物の形態からくる嵩高性が影響してポ
リビニルアルコール系重合体の凝集が阻害されるため、
凝固浴中で脱水された糸篠は、糸篠の横断面方向に起こ
る凝固挙動が不均一になって、繊維横断面の異形化が生
ずるものと推測される。
【0020】ポリビニルアルコール系繊維における層状
粘土化合物の含有量は、ポリビニルアルコール系繊維を
構成するポリビニルアルコール系重合体の重量に基づい
て、0.01重量%以上であることが必要であり、0.
1〜100重量%であることが好ましく、0.5〜20
重量%であることがより好ましい。ポリビニルアルコー
ル系繊維における層状粘土鉱物の含有量が上記した0.
01重量%よりも少ないと、ポリビニルアルコール系繊
維のアルカリ吸液能の向上効果がなく、またポリビニル
アルコール系繊維断面の異形化が達成されなくなって、
アルカリ吸液能の高い電池用セパレーターが得られな
い。ポリビニルアルコール系繊維中に適量の層状粘土鉱
物が存在すると、繊維の紡糸、延伸時に繊維内部で配向
して繊維の補強もなされる。
粘土化合物の含有量は、ポリビニルアルコール系繊維を
構成するポリビニルアルコール系重合体の重量に基づい
て、0.01重量%以上であることが必要であり、0.
1〜100重量%であることが好ましく、0.5〜20
重量%であることがより好ましい。ポリビニルアルコー
ル系繊維における層状粘土鉱物の含有量が上記した0.
01重量%よりも少ないと、ポリビニルアルコール系繊
維のアルカリ吸液能の向上効果がなく、またポリビニル
アルコール系繊維断面の異形化が達成されなくなって、
アルカリ吸液能の高い電池用セパレーターが得られな
い。ポリビニルアルコール系繊維中に適量の層状粘土鉱
物が存在すると、繊維の紡糸、延伸時に繊維内部で配向
して繊維の補強もなされる。
【0021】層状粘土鉱物として、特に上記した合成膨
潤性層状フッ素雲母を用いた場合には、少量、特に0.
5〜20重量%程度の含有量で、繊維の顕著な異形化が
達成されるので、繊維の機械的強度を損なうことなく、
アルカリ吸液能の高い電池用セパレーターを与えるポリ
ビニルアルコール系繊維が得られる。
潤性層状フッ素雲母を用いた場合には、少量、特に0.
5〜20重量%程度の含有量で、繊維の顕著な異形化が
達成されるので、繊維の機械的強度を損なうことなく、
アルカリ吸液能の高い電池用セパレーターを与えるポリ
ビニルアルコール系繊維が得られる。
【0022】本発明の電池用セパレーターで用いるポリ
ビニルアルコール系繊維は、下記の数式(i)により求
めれるアルカリ吸液量(Aab)が1.5倍以上であるこ
とが好ましく、1.6倍以上であることがより好まし
く、2〜3.5倍であることが更に好ましい。
ビニルアルコール系繊維は、下記の数式(i)により求
めれるアルカリ吸液量(Aab)が1.5倍以上であるこ
とが好ましく、1.6倍以上であることがより好まし
く、2〜3.5倍であることが更に好ましい。
【0023】
【数2】 Aab=(Wb−Wa)/Wa (i) [式中、Wa=ポリビニルアルコール系繊維を採取して
温度20℃、湿度60%の雰囲気中で2日間放置して調
湿した後の重量(g)、Wb=前記のWa(g)の試料を
濃度35重量%の水酸化カリウム水溶液中に浴比1:1
00(試料の重量:水酸化カリウム水溶液の重量)で、
温度30℃で15分間浸漬した後、1Gの条件下で10
分間遠心脱水したときの重量(g)を示す。]
温度20℃、湿度60%の雰囲気中で2日間放置して調
湿した後の重量(g)、Wb=前記のWa(g)の試料を
濃度35重量%の水酸化カリウム水溶液中に浴比1:1
00(試料の重量:水酸化カリウム水溶液の重量)で、
温度30℃で15分間浸漬した後、1Gの条件下で10
分間遠心脱水したときの重量(g)を示す。]
【0024】ポリビニルアルコール系繊維のアルカリ吸
液能を上記した1.5倍以上の値にするには、ポリビニ
ルアルコール系繊維中における層状粘土鉱物の含有量を
調整すればよく、層状粘土鉱物の含有量が多いほどポリ
ビニルアルコール系繊維のアルカリ吸液量も大きくなる
傾向がある。しかし、層状粘土鉱物の含有量があまり多
過ぎると、ポリビニルアルコール系繊維を製造する際の
紡糸性や延伸性、得られるポリビニルアルコール系繊維
の機械的性質などが低下する傾向があるので、その点を
考慮して決めるとよい。
液能を上記した1.5倍以上の値にするには、ポリビニ
ルアルコール系繊維中における層状粘土鉱物の含有量を
調整すればよく、層状粘土鉱物の含有量が多いほどポリ
ビニルアルコール系繊維のアルカリ吸液量も大きくなる
傾向がある。しかし、層状粘土鉱物の含有量があまり多
過ぎると、ポリビニルアルコール系繊維を製造する際の
紡糸性や延伸性、得られるポリビニルアルコール系繊維
の機械的性質などが低下する傾向があるので、その点を
考慮して決めるとよい。
【0025】また、本発明の電池用セパレーターに用い
るポリビニルアルコール系繊維は、電池用セパレーター
を製造する際の操作性や工程性、電池用セパレーターの
力学的特性などの点から、その繊維強度が4g/d以上
であることが好ましく、5g/d以上であることがより
好ましく、6g/d以上であることがさらに好ましい。
るポリビニルアルコール系繊維は、電池用セパレーター
を製造する際の操作性や工程性、電池用セパレーターの
力学的特性などの点から、その繊維強度が4g/d以上
であることが好ましく、5g/d以上であることがより
好ましく、6g/d以上であることがさらに好ましい。
【0026】さらに、本発明の電池用セパレーターに用
いるポリビニルアルコール系繊維は、下記の実施例の項
でその測定法について詳述するところの断面充実度が7
0%以下であることが好ましく、60%以下であること
がより好ましく、50%以下であることが更に好まし
い。 また、本発明の電池用セパレーターに用いるポリビニル
アルコール系繊維は、下記の実施例の項でその測定法に
ついて詳述するところの断面周長比が0.85以上であ
ることが好ましく、0.9以上であることがより好まし
く、1.0以上であることがさらに好ましい。
いるポリビニルアルコール系繊維は、下記の実施例の項
でその測定法について詳述するところの断面充実度が7
0%以下であることが好ましく、60%以下であること
がより好ましく、50%以下であることが更に好まし
い。 また、本発明の電池用セパレーターに用いるポリビニル
アルコール系繊維は、下記の実施例の項でその測定法に
ついて詳述するところの断面周長比が0.85以上であ
ることが好ましく、0.9以上であることがより好まし
く、1.0以上であることがさらに好ましい。
【0027】断面充実度が60%であり、そして断面周
長比が0.85以上であるポリビニルアルコール系繊維
は、高い異形度を有しており、そのような高い異形度を
有するポリビニルアルコール系繊維を用いて形成される
電池用セパレーターは、嵩高になって繊維間の空隙率が
高くなるため、アルカリ溶液の保持能が増大して、結果
としてアルカリ吸液能の高い電池用セパレーターが得ら
れる。
長比が0.85以上であるポリビニルアルコール系繊維
は、高い異形度を有しており、そのような高い異形度を
有するポリビニルアルコール系繊維を用いて形成される
電池用セパレーターは、嵩高になって繊維間の空隙率が
高くなるため、アルカリ溶液の保持能が増大して、結果
としてアルカリ吸液能の高い電池用セパレーターが得ら
れる。
【0028】また、本発明の電池用セパレーターで用い
るポリビニルアルコール系繊維は、下記の実施例の項に
記載する方法で測定したときの熱水収縮率が5%以下で
あり、そして水中軟化点が105℃以上であることが、
電池用セパレーターの寸法安定性、耐熱水性などの点か
ら好ましい。
るポリビニルアルコール系繊維は、下記の実施例の項に
記載する方法で測定したときの熱水収縮率が5%以下で
あり、そして水中軟化点が105℃以上であることが、
電池用セパレーターの寸法安定性、耐熱水性などの点か
ら好ましい。
【0029】本発明の電池用セパレーターに用いるポリ
ビニルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物以外に、必要
に応じて他の添加剤、例えば、紡糸原液のpH調整用の
酸やアルカリなどを含有していてもよい。
ビニルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物以外に、必要
に応じて他の添加剤、例えば、紡糸原液のpH調整用の
酸やアルカリなどを含有していてもよい。
【0030】本発明の電池用セパレーターで用いるポリ
ビニルアルコール系繊維の製造方法は特に制限されず、
層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポ
リビニルアルコール系繊維を製造し得る方法であればい
ずれも採用可能であり、何ら限定されるものではない
が、例えば以下の方法により好ましく製造することがで
きる。
ビニルアルコール系繊維の製造方法は特に制限されず、
層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポ
リビニルアルコール系繊維を製造し得る方法であればい
ずれも採用可能であり、何ら限定されるものではない
が、例えば以下の方法により好ましく製造することがで
きる。
【0031】本発明の電池用セパレーターに用いるポリ
ビニルアルコール系繊維の好ましい製法例: (1) まず、ポリビニルアルコール系重合体および層
状粘土鉱物を含む紡糸原液を調製する。紡糸原液調製時
の各成分の添加方法や添加順序などは特に限定されず、
例えば、ポリビニルアルコール系重合体を溶解してある
紡糸原液中に層状粘土鉱物の分散液を添加する方法、ポ
リビニルアルコール系重合体を溶解して紡糸原液中に層
状粘土鉱物をそのまま直接添加する方法、層状粘土鉱物
の分散液にポリビニルアルコール系重合体を添加して紡
糸原液を調製する方法などを挙げることができる。その
うちでも、層状粘土鉱物の濃度5〜150重量%の分散
液を調製しておいて、それをポリビニルアルコール系重
合体を溶解してある紡糸原液にその必要量だけ添加する
方法が、紡糸原液中に層状粘土鉱物を均一に分散させる
ことができる点から好ましく採用される。また、紡糸原
液の調製装置に撹拌装置を設けておくと、層状粘土鉱物
の均一分散を一層促進することができる。紡糸原液にお
けるポリビニルアルコール系重合体の濃度は特に制限さ
れないが、層状粘土鉱物をポリビニルアルコール系重合
体の水溶液中に均一に分散させるため、また紡糸性、得
られるポリビニルアルコール系繊維の繊維物性などの点
から、一般に、5〜25重量%であることが好ましく、
10〜20重量%であることがより好ましい。紡糸原液
の調製に当たっては、ポリビニルアルコール系繊維の製
造に際して従来から用いられている各種の溶媒、例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、水、グリセリン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
などの多価アルコール類、ジエチレントリアミン、ロダ
ン塩などの1種または2種以上を用いることができる。
また、紡糸原液は、層状粘土鉱物と共に、必要に応じて
層状粘土鉱物以外の他の添加剤を含有していてもよい。
ビニルアルコール系繊維の好ましい製法例: (1) まず、ポリビニルアルコール系重合体および層
状粘土鉱物を含む紡糸原液を調製する。紡糸原液調製時
の各成分の添加方法や添加順序などは特に限定されず、
例えば、ポリビニルアルコール系重合体を溶解してある
紡糸原液中に層状粘土鉱物の分散液を添加する方法、ポ
リビニルアルコール系重合体を溶解して紡糸原液中に層
状粘土鉱物をそのまま直接添加する方法、層状粘土鉱物
の分散液にポリビニルアルコール系重合体を添加して紡
糸原液を調製する方法などを挙げることができる。その
うちでも、層状粘土鉱物の濃度5〜150重量%の分散
液を調製しておいて、それをポリビニルアルコール系重
合体を溶解してある紡糸原液にその必要量だけ添加する
方法が、紡糸原液中に層状粘土鉱物を均一に分散させる
ことができる点から好ましく採用される。また、紡糸原
液の調製装置に撹拌装置を設けておくと、層状粘土鉱物
の均一分散を一層促進することができる。紡糸原液にお
けるポリビニルアルコール系重合体の濃度は特に制限さ
れないが、層状粘土鉱物をポリビニルアルコール系重合
体の水溶液中に均一に分散させるため、また紡糸性、得
られるポリビニルアルコール系繊維の繊維物性などの点
から、一般に、5〜25重量%であることが好ましく、
10〜20重量%であることがより好ましい。紡糸原液
の調製に当たっては、ポリビニルアルコール系繊維の製
造に際して従来から用いられている各種の溶媒、例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、水、グリセリン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール
などの多価アルコール類、ジエチレントリアミン、ロダ
ン塩などの1種または2種以上を用いることができる。
また、紡糸原液は、層状粘土鉱物と共に、必要に応じて
層状粘土鉱物以外の他の添加剤を含有していてもよい。
【0032】(2) 次に、上記で得られた紡糸原液
を、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などによっ
て凝固浴中に紡出して繊維状に凝固させる。限定される
ものではないが、例えば、湿式紡糸法による場合は、脱
水能を有する無機塩類を含む凝固浴中に上記した紡糸原
液を吐き出することによって繊維状に凝固させる。その
場合に、紡糸口金に設けるノズル(穴;キャピラリー)
は、丸型であっても、または異形であってもいずれでも
よい。異形型である場合は、例えば、一文字型(スリッ
ト型)、Y型、V字型、T字型、十字型、多葉型などを
挙げることができる。そのうちでも、丸型の穴(キャピ
ラリー)が好ましく用いられる。そして、丸型の穴から
紡出した場合にも、紡糸原液中に含まれる層状粘土鉱物
の作用によって、高度に異形化した断面を有するポリビ
ニルアルコール系繊維が得られ、例えば、偏平型、Y字
型、十字型、その他の形状などが混在した異形繊維が得
られる。そして、紡糸原液を紡出させる穴(キャピラリ
ー)を異形状にした場合には、異形度の一層高いポリビ
ニルアルコール系繊維が得られる。一般的には、紡糸原
液中の層状粘土鉱物の含有量が増加するにつれて、ポリ
ビニルアルコール系繊維の異形度が大きくなる傾向があ
る。
を、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法などによっ
て凝固浴中に紡出して繊維状に凝固させる。限定される
ものではないが、例えば、湿式紡糸法による場合は、脱
水能を有する無機塩類を含む凝固浴中に上記した紡糸原
液を吐き出することによって繊維状に凝固させる。その
場合に、紡糸口金に設けるノズル(穴;キャピラリー)
は、丸型であっても、または異形であってもいずれでも
よい。異形型である場合は、例えば、一文字型(スリッ
ト型)、Y型、V字型、T字型、十字型、多葉型などを
挙げることができる。そのうちでも、丸型の穴(キャピ
ラリー)が好ましく用いられる。そして、丸型の穴から
紡出した場合にも、紡糸原液中に含まれる層状粘土鉱物
の作用によって、高度に異形化した断面を有するポリビ
ニルアルコール系繊維が得られ、例えば、偏平型、Y字
型、十字型、その他の形状などが混在した異形繊維が得
られる。そして、紡糸原液を紡出させる穴(キャピラリ
ー)を異形状にした場合には、異形度の一層高いポリビ
ニルアルコール系繊維が得られる。一般的には、紡糸原
液中の層状粘土鉱物の含有量が増加するにつれて、ポリ
ビニルアルコール系繊維の異形度が大きくなる傾向があ
る。
【0033】すなわち、紡糸原液をノズルより吐出する
と、凝固浴中で脱水されることで体積収縮を生ずるが、
一方紡糸原液に添加された層状粘土鉱物そのものは、凝
固浴で溶解したり大きく膨潤しないため、凝固浴中でも
実質的に体積変化は起こらない。従って、ポリビニルア
ルコール系重合体の体積収縮が起こればそれに伴って分
散している層状粘土鉱物も凝集するが、ある体積以下に
なると層状粘土鉱物の存在によりポリビニルアルコール
系重合体の凝集が阻害されると考えられる。このため、
凝固浴中で脱水された糸篠は、糸篠の横断面方向に起こ
る凝固挙動がポリビニルアルコール系重合体のみの場合
に比べて不均一となり、異形度の大きい繊維が得られる
と思われる。このためポリビニルアルコール系重合体に
対する層状物質の含有割合が高くなるほど、糸篠の断面
方向の凝固挙動が不均一になり、異形度の高いポリビニ
ルアルコール系繊維、すなわち断面充実度が低く且つ断
面周長比の小さい特異な断面形状を有するポリビニルア
ルコール系繊維が得られるものとになるとものと考えら
れる。
と、凝固浴中で脱水されることで体積収縮を生ずるが、
一方紡糸原液に添加された層状粘土鉱物そのものは、凝
固浴で溶解したり大きく膨潤しないため、凝固浴中でも
実質的に体積変化は起こらない。従って、ポリビニルア
ルコール系重合体の体積収縮が起こればそれに伴って分
散している層状粘土鉱物も凝集するが、ある体積以下に
なると層状粘土鉱物の存在によりポリビニルアルコール
系重合体の凝集が阻害されると考えられる。このため、
凝固浴中で脱水された糸篠は、糸篠の横断面方向に起こ
る凝固挙動がポリビニルアルコール系重合体のみの場合
に比べて不均一となり、異形度の大きい繊維が得られる
と思われる。このためポリビニルアルコール系重合体に
対する層状物質の含有割合が高くなるほど、糸篠の断面
方向の凝固挙動が不均一になり、異形度の高いポリビニ
ルアルコール系繊維、すなわち断面充実度が低く且つ断
面周長比の小さい特異な断面形状を有するポリビニルア
ルコール系繊維が得られるものとになるとものと考えら
れる。
【0034】また、層状粘土鉱物を含有しないポリビニ
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いて丸型のキャピ
ラリーを有するノズルから吐出して湿式紡糸を行った場
合には、上記したように、繊維表面に緻密なスキン層を
有し且つ内部に比較的粗なコア部を有する繭型の断面形
状を有するポリビニルアルコール系繊維が得られ、表面
のスキン層によって繊維のアルカリ吸液能が低いものと
なる。それに対して、層状粘土鉱物を含有するポリビニ
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いて湿式紡糸を行
うと、最初にスキン層が繊維表面に円形に形成されるも
のの、その後にコア部が不均一な凝固挙動を示すことに
よって繊維の断面形状が著しく異形化され、それによっ
て表面のスキン層が次第に破壊されて明確なスキン層を
示さなくなる。そしてそれに伴って、表面にスキン層の
殆どない、アルカリ吸液能の高いポリビニルアルコール
系繊維が形成され、そのようなスキン層の破壊挙動は層
状粘土鉱物の含有量が増大する大きくなる。そして、前
記した凝固時の挙動は、光学顕微鏡によって観察でき
る。すなわち、光学顕微鏡で子細に観察したところ、層
状粘土鉱物の含有量が少ない場合には、波型や偏平状の
ポリビニルアルコール系繊維が多く得られるが、層状粘
土鉱物の含有量を増加させると、偏平状の両端が接着し
たような中空状や、3本の支部を有するY型状やT型状
のものが増え、さらに層状粘土鉱物の含有量を更に増加
させると、4本の支部を有するH型状や5本以上の支部
を有する多支形断面が形成され、低濃度でみられた偏平
状のものは減少する傾向がみられる。従って、紡糸原液
における層状粘土鉱物の含有量を調整することにより、
凝固の挙動及び異形度を制御することができる。以上の
ように、かかる方法によれば丸型キャピラリーを用いた
ノズルを使用した場合においても、異形度の高いポリビ
ニルアルコール系繊維を得ることができる。
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いて丸型のキャピ
ラリーを有するノズルから吐出して湿式紡糸を行った場
合には、上記したように、繊維表面に緻密なスキン層を
有し且つ内部に比較的粗なコア部を有する繭型の断面形
状を有するポリビニルアルコール系繊維が得られ、表面
のスキン層によって繊維のアルカリ吸液能が低いものと
なる。それに対して、層状粘土鉱物を含有するポリビニ
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いて湿式紡糸を行
うと、最初にスキン層が繊維表面に円形に形成されるも
のの、その後にコア部が不均一な凝固挙動を示すことに
よって繊維の断面形状が著しく異形化され、それによっ
て表面のスキン層が次第に破壊されて明確なスキン層を
示さなくなる。そしてそれに伴って、表面にスキン層の
殆どない、アルカリ吸液能の高いポリビニルアルコール
系繊維が形成され、そのようなスキン層の破壊挙動は層
状粘土鉱物の含有量が増大する大きくなる。そして、前
記した凝固時の挙動は、光学顕微鏡によって観察でき
る。すなわち、光学顕微鏡で子細に観察したところ、層
状粘土鉱物の含有量が少ない場合には、波型や偏平状の
ポリビニルアルコール系繊維が多く得られるが、層状粘
土鉱物の含有量を増加させると、偏平状の両端が接着し
たような中空状や、3本の支部を有するY型状やT型状
のものが増え、さらに層状粘土鉱物の含有量を更に増加
させると、4本の支部を有するH型状や5本以上の支部
を有する多支形断面が形成され、低濃度でみられた偏平
状のものは減少する傾向がみられる。従って、紡糸原液
における層状粘土鉱物の含有量を調整することにより、
凝固の挙動及び異形度を制御することができる。以上の
ように、かかる方法によれば丸型キャピラリーを用いた
ノズルを使用した場合においても、異形度の高いポリビ
ニルアルコール系繊維を得ることができる。
【0035】また、凝固浴に凝固能をもたせる物質とし
ては、ポリビニルアルコール系繊維の製造に従来から用
いられている物質のいずれもが使用でき、例えば、硫酸
ナトリウム(芒硝)、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウ
ムなどの脱水能を有する塩類を挙げることができる。凝
固浴における前記した塩類の濃度は、一般に100g/
リットル〜飽和濃度とすることが好ましく、飽和濃度に
近い方がより好ましい。
ては、ポリビニルアルコール系繊維の製造に従来から用
いられている物質のいずれもが使用でき、例えば、硫酸
ナトリウム(芒硝)、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウ
ムなどの脱水能を有する塩類を挙げることができる。凝
固浴における前記した塩類の濃度は、一般に100g/
リットル〜飽和濃度とすることが好ましく、飽和濃度に
近い方がより好ましい。
【0036】(3) そして、凝固浴で形成された糸篠
をローラーなどを用いて凝固浴外に引き上げる。この際
の伸長率(バスドラフト)としては、一般に+200%
〜−120%の範囲が好ましく採用され、+100%〜
−100%の範囲がより好ましく採用され、+50%〜
−80%の範囲が更に好ましく採用される。ポリビニル
アルコール系重合体の紡糸原液が層状粘土鉱物を含有す
ることによって、前述のように、凝固時の繊維の体積収
縮が抑制され、層状粘土鉱物の含有量が多くなるほど体
積収縮の低減度合が一層大きくなるので、同じ離浴張力
下では、その伸長率(バスドラフト)を層状粘土鉱物を
含有しないポリビニルアルコール系重合体の紡糸原液を
用いる従来法よりも大きくすることができる。その結
果、従来は離浴張力により離浴後の単繊維の太さに制限
があったが、層状粘土鉱物を用いる場合はその制限が少
なくなり、単繊維繊度のより小さいポリビニルアルコー
ル系繊維の製造が可能である。
をローラーなどを用いて凝固浴外に引き上げる。この際
の伸長率(バスドラフト)としては、一般に+200%
〜−120%の範囲が好ましく採用され、+100%〜
−100%の範囲がより好ましく採用され、+50%〜
−80%の範囲が更に好ましく採用される。ポリビニル
アルコール系重合体の紡糸原液が層状粘土鉱物を含有す
ることによって、前述のように、凝固時の繊維の体積収
縮が抑制され、層状粘土鉱物の含有量が多くなるほど体
積収縮の低減度合が一層大きくなるので、同じ離浴張力
下では、その伸長率(バスドラフト)を層状粘土鉱物を
含有しないポリビニルアルコール系重合体の紡糸原液を
用いる従来法よりも大きくすることができる。その結
果、従来は離浴張力により離浴後の単繊維の太さに制限
があったが、層状粘土鉱物を用いる場合はその制限が少
なくなり、単繊維繊度のより小さいポリビニルアルコー
ル系繊維の製造が可能である。
【0037】例えば、本発明においては、径が0.06
〜0.02mmのキャピラリーを有する紡糸口金を採用
することができ、このときのバスドラフトを−40%〜
+200%の範囲とすると、単繊維繊度が0.5〜0.
01デニール程度の極細繊維を安定して製造することが
できる。より細いデニールの繊維を得ようとする場合
は、紡糸原液に添加する層状粘土鉱物の量を、吐出され
たポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して
1〜20重量部とすることが好ましく、3〜10重量部
とすることがより好ましい。
〜0.02mmのキャピラリーを有する紡糸口金を採用
することができ、このときのバスドラフトを−40%〜
+200%の範囲とすると、単繊維繊度が0.5〜0.
01デニール程度の極細繊維を安定して製造することが
できる。より細いデニールの繊維を得ようとする場合
は、紡糸原液に添加する層状粘土鉱物の量を、吐出され
たポリビニルアルコール系重合体100重量部に対して
1〜20重量部とすることが好ましく、3〜10重量部
とすることがより好ましい。
【0038】電池用セパレーターにおいては、上記した
ように、電極活物質や電池反応で発生する導電物質の透
過を阻止する高いセパレート性能が要求され、そのため
電池用セパレーターにおける開孔を微細にする必要があ
るが、単繊維繊度の小さい繊維を用いるとそれだけ開孔
部が微細となり、セパレート性能の高い電池用セパレー
ターを得ることができる。そのため、ポリビニルアルコ
ール系繊維中に層状粘土鉱物を含有させることによっ
て、ポリビニルアルコール系繊維の単繊維繊度を上記し
たように微細なものとすることができ、そのようなポリ
ビニルアルコール系繊維を用いて形成される本発明の電
池用セパレーターは、セパレート性の点においても優れ
ている。
ように、電極活物質や電池反応で発生する導電物質の透
過を阻止する高いセパレート性能が要求され、そのため
電池用セパレーターにおける開孔を微細にする必要があ
るが、単繊維繊度の小さい繊維を用いるとそれだけ開孔
部が微細となり、セパレート性能の高い電池用セパレー
ターを得ることができる。そのため、ポリビニルアルコ
ール系繊維中に層状粘土鉱物を含有させることによっ
て、ポリビニルアルコール系繊維の単繊維繊度を上記し
たように微細なものとすることができ、そのようなポリ
ビニルアルコール系繊維を用いて形成される本発明の電
池用セパレーターは、セパレート性の点においても優れ
ている。
【0039】(4) 次いで、定法に従って、ローラー
延伸、湿熱延伸、乾燥、延伸、収縮などの各工程を経て
層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール系繊維を
製造する。その場合に、凝固浴から取り出された糸篠
は、乾燥されるまでは未だ多くの水分を含んでいて膨潤
状態にあるので、離浴後のローラー延伸やその後の湿熱
延伸で高度に引き伸ばされると、その断面異形形状が各
ローラー上で張力によって押し潰され、横断面全体が偏
平化する場合がある。また、延伸処理によって配向結晶
化が進行し過ぎると、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が低下する。そのため、乾燥に至るまでの
湿潤状態での延伸倍率は2〜8倍程度とすることが好ま
しく、また全延伸倍率を6〜16倍程度になるようにす
ることが好ましい。
延伸、湿熱延伸、乾燥、延伸、収縮などの各工程を経て
層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール系繊維を
製造する。その場合に、凝固浴から取り出された糸篠
は、乾燥されるまでは未だ多くの水分を含んでいて膨潤
状態にあるので、離浴後のローラー延伸やその後の湿熱
延伸で高度に引き伸ばされると、その断面異形形状が各
ローラー上で張力によって押し潰され、横断面全体が偏
平化する場合がある。また、延伸処理によって配向結晶
化が進行し過ぎると、ポリビニルアルコール系繊維のア
ルカリ吸液能が低下する。そのため、乾燥に至るまでの
湿潤状態での延伸倍率は2〜8倍程度とすることが好ま
しく、また全延伸倍率を6〜16倍程度になるようにす
ることが好ましい。
【0040】特に、ポリビニルアルコール系重合体10
0重量部に対して、膨潤性フッ素雲母を0.1〜10重
量部の割合で添加して調製した紡糸原液を用いて紡糸を
行う場合には、膨潤性フッ素雲母を含有しないポリビニ
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いる場合に比べ
て、繊維の延伸性が向上する傾向がある。膨潤性フッ素
雲母層状物質の添加量によっても異なるが、ポリビニル
アルコール系重合体100重量部に対して例えば層状粘
土鉱物を3〜7重量部含有する場合には、湿式紡糸され
た糸篠を乾燥させてから、断糸するまで糸篠を延伸した
ところ、層状粘土鉱物を含有しない場合に比べて、その
断糸延伸倍率が約1.5倍に向上していることが測定さ
れた。
0重量部に対して、膨潤性フッ素雲母を0.1〜10重
量部の割合で添加して調製した紡糸原液を用いて紡糸を
行う場合には、膨潤性フッ素雲母を含有しないポリビニ
ルアルコール系重合体の紡糸原液を用いる場合に比べ
て、繊維の延伸性が向上する傾向がある。膨潤性フッ素
雲母層状物質の添加量によっても異なるが、ポリビニル
アルコール系重合体100重量部に対して例えば層状粘
土鉱物を3〜7重量部含有する場合には、湿式紡糸され
た糸篠を乾燥させてから、断糸するまで糸篠を延伸した
ところ、層状粘土鉱物を含有しない場合に比べて、その
断糸延伸倍率が約1.5倍に向上していることが測定さ
れた。
【0041】破断延伸倍率の向上は、糸篠を構成するポ
リビニルアルコール系重合体の配向度の増加、繊維の強
度や弾性率などの繊維物性の向上、延伸中の工程安定性
などに繋がることから、層状粘土鉱物を含有するポリビ
ニルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物を含有しないポ
リビニルアルコール系繊維に比べて繊維の強度や弾性率
などの繊維物性が向上しており、ポリビニルアルコール
系繊維100重量部に対して層状粘土鉱物を3〜7重量
部の割合で含有する上記したポリビニルアルコール系繊
維は、実際にその繊維の強度や弾性率が10〜30%高
くなっている。そのため、本発明の電池用セパレーター
に用いる層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール
系繊維は、電池用セパレーターに必要な良好な強度や弾
性率などの力学的特性を確保しながら細繊度化すること
が可能である。そして、細繊度化され且つ強度などの物
性に優れる、層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコ
ール系繊維を用い形成した本発明の電池用セパレーター
では、セパレーターにおける孔径を小さくしてセパレー
ト性能の向上させることができ、しかもセパレーターの
力学的特性をも良好なものとすることができる。
リビニルアルコール系重合体の配向度の増加、繊維の強
度や弾性率などの繊維物性の向上、延伸中の工程安定性
などに繋がることから、層状粘土鉱物を含有するポリビ
ニルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物を含有しないポ
リビニルアルコール系繊維に比べて繊維の強度や弾性率
などの繊維物性が向上しており、ポリビニルアルコール
系繊維100重量部に対して層状粘土鉱物を3〜7重量
部の割合で含有する上記したポリビニルアルコール系繊
維は、実際にその繊維の強度や弾性率が10〜30%高
くなっている。そのため、本発明の電池用セパレーター
に用いる層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール
系繊維は、電池用セパレーターに必要な良好な強度や弾
性率などの力学的特性を確保しながら細繊度化すること
が可能である。そして、細繊度化され且つ強度などの物
性に優れる、層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコ
ール系繊維を用い形成した本発明の電池用セパレーター
では、セパレーターにおける孔径を小さくしてセパレー
ト性能の向上させることができ、しかもセパレーターの
力学的特性をも良好なものとすることができる。
【0042】(5) 上記により得られるポリビニルア
ルコール系繊維は、糸篠中に凝固浴の無機塩類を含んで
いるので、熱水中で洗浄除去するのが望ましい。また糸
篠の耐水性を向上させるために、ホルムアルデヒド等の
有機の還元剤を含む水溶液中でポリビニルアルコール系
繊維を処理してアセタール化して、ポリビニルアルコー
ル系繊維中の水酸基を封鎖して疎水化することも可能で
ある。しかしながら、アルカリ吸液能を高く保つために
は、アセタール化処理を施さないで電池用セパレーター
に用いることが好ましい。
ルコール系繊維は、糸篠中に凝固浴の無機塩類を含んで
いるので、熱水中で洗浄除去するのが望ましい。また糸
篠の耐水性を向上させるために、ホルムアルデヒド等の
有機の還元剤を含む水溶液中でポリビニルアルコール系
繊維を処理してアセタール化して、ポリビニルアルコー
ル系繊維中の水酸基を封鎖して疎水化することも可能で
ある。しかしながら、アルカリ吸液能を高く保つために
は、アセタール化処理を施さないで電池用セパレーター
に用いることが好ましい。
【0043】上記した(1)〜(5)の一連の工程によ
って、本発明の電池用セパレーターで好ましく用いられ
る、高い断面異形度を有する、層状粘土鉱物を含有する
ポリビニルアルコール系繊維が得られる。そして、上記
により得られる層状粘土鉱物を含有するポリビニルアル
コール系繊維は、層状粘土鉱物を含有しないポリビニル
アルコール系繊維に比べて、耐熱水性の点でも向上して
おり、しかも高い軟化点を有し耐熱性の点でも優れてい
る。例えば、ポリビニルアルコール系繊維における膨潤
性フッ素雲母の含有量を、0重量%、5重量%および1
0重量%である場合に、未アセタール化状態のポリビニ
ルアルコール系繊維では、その熱水収縮率がそれぞれ8
%、4.7%および4%であって層状粘土鉱物の含有量
が多くなるにしたがって熱水収縮率が小さくなり、また
水中軟化点はそれぞれ102℃、107℃および110
℃であって層状粘土鉱物の含有量が多くなるにしたがっ
てその水中軟化点が上昇する。前記した効果は、層状粘
土鉱物がポリビニルアルコール系繊維中で補強剤として
機能していることによるものと考えられる。ちなみに層
状粘土鉱物を10重量%の割合で含有するポリビニルア
ルコール系繊維の縦断面を表薄切片処理して透過型電子
顕微鏡で観察すると、層状物質が繊維の長さ方向に配向
している様子が確認された。
って、本発明の電池用セパレーターで好ましく用いられ
る、高い断面異形度を有する、層状粘土鉱物を含有する
ポリビニルアルコール系繊維が得られる。そして、上記
により得られる層状粘土鉱物を含有するポリビニルアル
コール系繊維は、層状粘土鉱物を含有しないポリビニル
アルコール系繊維に比べて、耐熱水性の点でも向上して
おり、しかも高い軟化点を有し耐熱性の点でも優れてい
る。例えば、ポリビニルアルコール系繊維における膨潤
性フッ素雲母の含有量を、0重量%、5重量%および1
0重量%である場合に、未アセタール化状態のポリビニ
ルアルコール系繊維では、その熱水収縮率がそれぞれ8
%、4.7%および4%であって層状粘土鉱物の含有量
が多くなるにしたがって熱水収縮率が小さくなり、また
水中軟化点はそれぞれ102℃、107℃および110
℃であって層状粘土鉱物の含有量が多くなるにしたがっ
てその水中軟化点が上昇する。前記した効果は、層状粘
土鉱物がポリビニルアルコール系繊維中で補強剤として
機能していることによるものと考えられる。ちなみに層
状粘土鉱物を10重量%の割合で含有するポリビニルア
ルコール系繊維の縦断面を表薄切片処理して透過型電子
顕微鏡で観察すると、層状物質が繊維の長さ方向に配向
している様子が確認された。
【0044】本発明の電池用セパレーターは、層状粘土
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を用いて製造される。電池用セパレー
ターの製造に用いるポリビニルアルコール系繊維の太さ
や長さは特に限定されないが、セパレート性能等の点か
らは、ポリビニルアルコール系繊維の単繊維繊度が5デ
ニール以下であることが好ましく、0.01〜3である
ことがより好ましい。また、ポリビニルアルコール系繊
維の繊維長は、電池用セパレーターを製造する際の抄造
性、得られる電池用セパレーターの強度などの力学的特
性から、0.5〜20mmであることが好ましく、1〜
10mmであることがより好ましい。
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を用いて製造される。電池用セパレー
ターの製造に用いるポリビニルアルコール系繊維の太さ
や長さは特に限定されないが、セパレート性能等の点か
らは、ポリビニルアルコール系繊維の単繊維繊度が5デ
ニール以下であることが好ましく、0.01〜3である
ことがより好ましい。また、ポリビニルアルコール系繊
維の繊維長は、電池用セパレーターを製造する際の抄造
性、得られる電池用セパレーターの強度などの力学的特
性から、0.5〜20mmであることが好ましく、1〜
10mmであることがより好ましい。
【0045】本発明の電池用セパレーターは、層状粘土
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を少なくとも用いて得られたセパレー
ターであればいずれでもよく、その坪量、形状、寸法、
厚さなどは特に制限されず、電池の種類や用途などに応
じて適宜設定すればよい。セパレーターの形状として
は、例えば、平坦な紙状、筒状、有底筒状等であって
も、またはその他の形状であってもよい。したがって、
本発明でいう「電池用セパレーター」とは、筒状やその
他の所定の形状に成形された電池用セパレーターおよび
所定の形状に形成する前の電池用セパレーター用の用紙
の両方を包含する。
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を少なくとも用いて得られたセパレー
ターであればいずれでもよく、その坪量、形状、寸法、
厚さなどは特に制限されず、電池の種類や用途などに応
じて適宜設定すればよい。セパレーターの形状として
は、例えば、平坦な紙状、筒状、有底筒状等であって
も、またはその他の形状であってもよい。したがって、
本発明でいう「電池用セパレーター」とは、筒状やその
他の所定の形状に成形された電池用セパレーターおよび
所定の形状に形成する前の電池用セパレーター用の用紙
の両方を包含する。
【0046】本発明の電池用セパレーターは、層状粘土
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を単独で用いて形成したものであって
も、または前記したポリビニルアルコール系繊維と共に
他の繊維、パルプ、バインダー(熱融着性繊維状バイン
ダー、粉末状バインダー、易溶解性繊維状バインダー、
易溶解性粉末状バインダー等)、紙力増強剤等を併用し
て形成したものであってもよい。
鉱物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニル
アルコール系繊維を単独で用いて形成したものであって
も、または前記したポリビニルアルコール系繊維と共に
他の繊維、パルプ、バインダー(熱融着性繊維状バイン
ダー、粉末状バインダー、易溶解性繊維状バインダー、
易溶解性粉末状バインダー等)、紙力増強剤等を併用し
て形成したものであってもよい。
【0047】層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコ
ール系繊維はそれ自体で高いアルカリ吸液能を有し、し
かも耐アルカリ性、セパレート性能、耐水性、力学的特
性などの点で優れているので、それを単独で用いて電池
用セパレーターを形成した場合にも、アルカリ吸液能、
耐アルカリ性、セパレート性能、耐水性、力学的特性な
どに優れる電池用セパレーターを得ることができる。そ
して、パルプやセルロース繊維などを用いずに層状粘土
鉱物を含有するポリビニルアルコール系繊維を用いて電
池用セパレーターを製造する場合は、パルプやセルロー
ス繊維をフィブリル化したり微細化するための叩解処理
が不要となり、電池用セパレーターを簡単な工程で、生
産性よく製造することができる。
ール系繊維はそれ自体で高いアルカリ吸液能を有し、し
かも耐アルカリ性、セパレート性能、耐水性、力学的特
性などの点で優れているので、それを単独で用いて電池
用セパレーターを形成した場合にも、アルカリ吸液能、
耐アルカリ性、セパレート性能、耐水性、力学的特性な
どに優れる電池用セパレーターを得ることができる。そ
して、パルプやセルロース繊維などを用いずに層状粘土
鉱物を含有するポリビニルアルコール系繊維を用いて電
池用セパレーターを製造する場合は、パルプやセルロー
ス繊維をフィブリル化したり微細化するための叩解処理
が不要となり、電池用セパレーターを簡単な工程で、生
産性よく製造することができる。
【0048】また、層状粘土鉱物を含有するポリビニル
アルコール系繊維と共に他の繊維やパルプを併用して電
池用セパレーターを形成する場合は、併用可能な繊維や
パルプの例として、層状粘土鉱物を含有するポリビニル
アルコール系繊維以外のポリビニルアルコール系繊維、
ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維
(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、
エチレン−酢酸共重合体繊維、ポリアミド系繊維、ポリ
塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリクラ
ール系繊維などの合成繊維や、レーヨン、キュプラ、ア
セテートなどの化学繊維、各種の木材パルプ、コットン
リンターなどのセルロース系パルプ等を挙げることがで
き、それらの1種または2種以上を用いることができ
る。セルロース系パルプやセルロース系繊維等を使用す
る場合は、叩解してフィブリル化、微細化したものが好
適に使用される。セルロース系パルプおよび/またはセ
ルロース系繊維を用いる場合には、セパレーターを製造
する際の抄造性およびセパレート性の点からカナダ標準
濾水度(CSF)が300〜500mlのものを用いる
ことが好ましい。層状粘土鉱物を含有するポリビニルア
ルコール系繊維と共に、他の繊維および/またはパルプ
を併用する場合は、層状粘土鉱物を含有するポリビニル
アルコール系繊維100重量部に対して他の繊維および
/またはパルプを約20〜100重量部の割合で使用す
ることが好ましい。
アルコール系繊維と共に他の繊維やパルプを併用して電
池用セパレーターを形成する場合は、併用可能な繊維や
パルプの例として、層状粘土鉱物を含有するポリビニル
アルコール系繊維以外のポリビニルアルコール系繊維、
ポリアクリロニトリル系繊維、ポリオレフィン系繊維
(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、
エチレン−酢酸共重合体繊維、ポリアミド系繊維、ポリ
塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリクラ
ール系繊維などの合成繊維や、レーヨン、キュプラ、ア
セテートなどの化学繊維、各種の木材パルプ、コットン
リンターなどのセルロース系パルプ等を挙げることがで
き、それらの1種または2種以上を用いることができ
る。セルロース系パルプやセルロース系繊維等を使用す
る場合は、叩解してフィブリル化、微細化したものが好
適に使用される。セルロース系パルプおよび/またはセ
ルロース系繊維を用いる場合には、セパレーターを製造
する際の抄造性およびセパレート性の点からカナダ標準
濾水度(CSF)が300〜500mlのものを用いる
ことが好ましい。層状粘土鉱物を含有するポリビニルア
ルコール系繊維と共に、他の繊維および/またはパルプ
を併用する場合は、層状粘土鉱物を含有するポリビニル
アルコール系繊維100重量部に対して他の繊維および
/またはパルプを約20〜100重量部の割合で使用す
ることが好ましい。
【0049】本発明の電池用セパレーターの製造方法、
製造装置、製造条件等は特に限定されず、既知技術のい
ずれもが採用でき、そのうちでもセパレート性等の点か
らは湿式抄造方法により製造することが好ましい。湿式
抄造法によって電池用セパレーターを製造する場合は、
例えば、層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール
系繊維、および場合により他の繊維、バインダー、パル
プ等を用いて水性スラリーを調製し、その水性スラリー
を用いて円網抄紙機、通液性金型などを使用して抄造を
行った後、脱液、乾燥することによって、所望の電池用
セパレーターまたは電池用セパレーター用の用紙が得ら
れる。抄造後の乾燥温度は用いる繊維の耐熱温度等を考
慮して適宜設定することができ、一般に100〜130
℃程度の温度が採用される。
製造装置、製造条件等は特に限定されず、既知技術のい
ずれもが採用でき、そのうちでもセパレート性等の点か
らは湿式抄造方法により製造することが好ましい。湿式
抄造法によって電池用セパレーターを製造する場合は、
例えば、層状粘土鉱物を含有するポリビニルアルコール
系繊維、および場合により他の繊維、バインダー、パル
プ等を用いて水性スラリーを調製し、その水性スラリー
を用いて円網抄紙機、通液性金型などを使用して抄造を
行った後、脱液、乾燥することによって、所望の電池用
セパレーターまたは電池用セパレーター用の用紙が得ら
れる。抄造後の乾燥温度は用いる繊維の耐熱温度等を考
慮して適宜設定することができ、一般に100〜130
℃程度の温度が採用される。
【0050】本発明の電池用セパレーターは、アルカリ
吸液能、セパレート性能、耐熱水性、耐アルカリ性、低
収縮性等の諸性能に優れており、アルカリマンガン電
池、亜鉛−空気電池、ニッケル−カドミウム電池、銀電
池などの電池用セパレーター、特にアルカリ電池用セパ
レーターとして有効に利用できる。
吸液能、セパレート性能、耐熱水性、耐アルカリ性、低
収縮性等の諸性能に優れており、アルカリマンガン電
池、亜鉛−空気電池、ニッケル−カドミウム電池、銀電
池などの電池用セパレーター、特にアルカリ電池用セパ
レーターとして有効に利用できる。
【0051】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されるも
のではない。以下の例において、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール繊維、電池用セパレーターお
よび該電池用セパレーターを備える電池の各種物性は次
のようにして測定または評価した。
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されるも
のではない。以下の例において、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール繊維、電池用セパレーターお
よび該電池用セパレーターを備える電池の各種物性は次
のようにして測定または評価した。
【0052】[ポリビニルアルコールの粘度平均重合
度]JIS K−6726に準じ、30℃におけるポリ
ビニルアルコールの希釈水溶液の特定濃度cにおける比
粘度(ηsp)を濃度を変えて5点測定してグラフを作
成し、そのグラフにおける濃度c=0%の値を読み取っ
て極限粘度[η]を求め{すなわち[η]=lim(c
→0)ηsp/c}、前記で求めた極限粘度[η]の値
から、下記の数式によってポリビニルアルコールの粘度
平均重合度(P)を算出した。なお、上記のポリビニル
アルコールの希釈水溶液の調製に際しては、試料である
未架橋延伸繊維を1〜10g/リットルの濃度になるよ
うに140℃以上の水に加圧溶解させる方法を採用する
が、試料が水に完全に溶解せずゲル状物が少量発生した
場合は、そのゲル状物を5μmのガラスフィルターで濾
過した後の濾過水溶液の粘度を測定した。また、前記の
濾過水溶液におけるポリビニルアルコール濃度は、ゲル
状物の重量を最初に用いた試料の重量から差し引いて補
正を行って算出した。
度]JIS K−6726に準じ、30℃におけるポリ
ビニルアルコールの希釈水溶液の特定濃度cにおける比
粘度(ηsp)を濃度を変えて5点測定してグラフを作
成し、そのグラフにおける濃度c=0%の値を読み取っ
て極限粘度[η]を求め{すなわち[η]=lim(c
→0)ηsp/c}、前記で求めた極限粘度[η]の値
から、下記の数式によってポリビニルアルコールの粘度
平均重合度(P)を算出した。なお、上記のポリビニル
アルコールの希釈水溶液の調製に際しては、試料である
未架橋延伸繊維を1〜10g/リットルの濃度になるよ
うに140℃以上の水に加圧溶解させる方法を採用する
が、試料が水に完全に溶解せずゲル状物が少量発生した
場合は、そのゲル状物を5μmのガラスフィルターで濾
過した後の濾過水溶液の粘度を測定した。また、前記の
濾過水溶液におけるポリビニルアルコール濃度は、ゲル
状物の重量を最初に用いた試料の重量から差し引いて補
正を行って算出した。
【0053】
【数3】 P=([η]×104 /8.29)×1.613
【0054】[ポリビニルアルコール繊維のアルカリ吸
液量]上記した数式(i)に従って求めた。
液量]上記した数式(i)に従って求めた。
【0055】[ポリビニルアルコール繊維の断面充実度
(%)]ポリビニルアルコール繊維の繊維束をその長さ
方向に直角の方向で切断して、光学顕微鏡でその横断面
を拡大して写真撮影する。その後、単繊維の断面積が約
4〜9cm2になるように拡大描写してその断面積Fを
求める。次に、前記の拡大描写した断面の外周に対する
最小外接円(直径B)を描いて、その円の断面積を求
め、次の式によりポリビニルアルコール繊維の横断面の
断面充実度を算出する。前記の断面充実度の算出を、同
一繊維束の異なる単繊維について20回行い、その平均
値を採ってポリビニルアルコール繊維の断面充実度とす
る。
(%)]ポリビニルアルコール繊維の繊維束をその長さ
方向に直角の方向で切断して、光学顕微鏡でその横断面
を拡大して写真撮影する。その後、単繊維の断面積が約
4〜9cm2になるように拡大描写してその断面積Fを
求める。次に、前記の拡大描写した断面の外周に対する
最小外接円(直径B)を描いて、その円の断面積を求
め、次の式によりポリビニルアルコール繊維の横断面の
断面充実度を算出する。前記の断面充実度の算出を、同
一繊維束の異なる単繊維について20回行い、その平均
値を採ってポリビニルアルコール繊維の断面充実度とす
る。
【0056】
【数4】ポリビニルアルコール繊維の断面充実度(%)=
4F/(π×B2)×100
4F/(π×B2)×100
【0057】[ポリビニルアルコール繊維の断面周長
比]上記において断面充実度を測定した同一の単繊維に
対して、上記において拡大描写した断面の周囲の長さ
(周長)Lをキルビメーター等を用いて測定する。次
に、該拡大描写した断面における最小の外接円を直径と
する円(直径B)を描き、この円周長を求め、次の式に
より断面周長比を算出する。前記の断面周長比の算出
を、同一繊維束の異なる単繊維について20回行い、そ
の平均値を採ってポリビニルアルコール繊維の断面周長
比とする。
比]上記において断面充実度を測定した同一の単繊維に
対して、上記において拡大描写した断面の周囲の長さ
(周長)Lをキルビメーター等を用いて測定する。次
に、該拡大描写した断面における最小の外接円を直径と
する円(直径B)を描き、この円周長を求め、次の式に
より断面周長比を算出する。前記の断面周長比の算出
を、同一繊維束の異なる単繊維について20回行い、そ
の平均値を採ってポリビニルアルコール繊維の断面周長
比とする。
【0058】
【数5】ポリビニルアルコール繊維の断面周長比=L/
(π×B)
(π×B)
【0059】[ポリビニルアルコール繊維の製造時のバ
スドラフト(%)]紡糸原液がノズルのキャピラリー部
より凝固浴へ吐き出す吐出速度と、凝固後に糸篠が離浴
した糸篠を引き取る第1ロ−ラ速度から、次の数式によ
り算出する。
スドラフト(%)]紡糸原液がノズルのキャピラリー部
より凝固浴へ吐き出す吐出速度と、凝固後に糸篠が離浴
した糸篠を引き取る第1ロ−ラ速度から、次の数式によ
り算出する。
【0060】
【数6】バスドラフト(%)={(第1ロ−ラ速度−吐
出速度)/吐出速度}×100
出速度)/吐出速度}×100
【0061】[ポリビニルアルコール繊維の熱水収縮率
(%)]繊維束デニールが約1000デニールになるよ
うにポリビニルアルコール繊維を任意に取り出し、引き
揃えた上で繊維束デニールの1/500gの重りを一端
に取り付け、目盛板上に他端を固定して繊維束の長さA
0を測定する。これを100℃の熱水中に垂直になるよ
うに入れて浸漬させ、30分間放置し、その後熱水中で
の繊維束の長さ(A1)を目盛りから読み、下記の数式
からポリビニルアルコール繊維の熱水収縮率を求める。
(%)]繊維束デニールが約1000デニールになるよ
うにポリビニルアルコール繊維を任意に取り出し、引き
揃えた上で繊維束デニールの1/500gの重りを一端
に取り付け、目盛板上に他端を固定して繊維束の長さA
0を測定する。これを100℃の熱水中に垂直になるよ
うに入れて浸漬させ、30分間放置し、その後熱水中で
の繊維束の長さ(A1)を目盛りから読み、下記の数式
からポリビニルアルコール繊維の熱水収縮率を求める。
【0062】
【数7】ポリビニルアルコール繊維の熱水収縮率(%)=
{(A0−A1)/A0}×100
{(A0−A1)/A0}×100
【0063】[ポリビニルアルコール繊維の水中軟化点
(℃)]熱水収縮率の測定の場合と同じように、繊維束
デニールが約1000デニールになるようにポリビニル
アルコール繊維を任意に取り出し、引き揃えた上で繊維
束デニールの1/500gの重りを一端に取り付け、目
盛板上に他端を固定する。これを常温の水の入った加圧
可能なガラス管に垂直になるように入れて浸漬させる。
その後水温を常温から約1℃/分の昇温速度で上昇さ
せ、繊維束が10%収縮するかまたは溶断するときの温
度を測定し、その温度をポリビニルアルコール繊維の水
中軟化点とする。
(℃)]熱水収縮率の測定の場合と同じように、繊維束
デニールが約1000デニールになるようにポリビニル
アルコール繊維を任意に取り出し、引き揃えた上で繊維
束デニールの1/500gの重りを一端に取り付け、目
盛板上に他端を固定する。これを常温の水の入った加圧
可能なガラス管に垂直になるように入れて浸漬させる。
その後水温を常温から約1℃/分の昇温速度で上昇さ
せ、繊維束が10%収縮するかまたは溶断するときの温
度を測定し、その温度をポリビニルアルコール繊維の水
中軟化点とする。
【0064】[ポリビニルアルコール繊維の単繊維強度
(g/d)]予め単繊維繊度の測定を行っておいたポリ
ビニルアルコール繊維の温度を調整しておき、そのポリ
ビニルアルコール繊維の単繊維を試料長が10cmにな
るように台紙に貼り、25℃×60%RHで12時間以
上放置し、次いで引張試験機「インストロン1122」
を用い、JIS L−1015に準じて単繊維ごとの強
度を測定し、同じ測定を10回以上行って、その平均値
を採って単繊維強度とする。なお、上記の測定に際し
て、単繊維のデニール数(dr)は、1/20g/drの
荷重下で90cm長にカットし、それを重量法によって
10回以上測定し、その平均値を採ったものである。ま
た、繊維長が短くて試料長10cmを取ることができな
い場合には、最大長を試料長として上記測定条件に従っ
て測定することとする。
(g/d)]予め単繊維繊度の測定を行っておいたポリ
ビニルアルコール繊維の温度を調整しておき、そのポリ
ビニルアルコール繊維の単繊維を試料長が10cmにな
るように台紙に貼り、25℃×60%RHで12時間以
上放置し、次いで引張試験機「インストロン1122」
を用い、JIS L−1015に準じて単繊維ごとの強
度を測定し、同じ測定を10回以上行って、その平均値
を採って単繊維強度とする。なお、上記の測定に際し
て、単繊維のデニール数(dr)は、1/20g/drの
荷重下で90cm長にカットし、それを重量法によって
10回以上測定し、その平均値を採ったものである。ま
た、繊維長が短くて試料長10cmを取ることができな
い場合には、最大長を試料長として上記測定条件に従っ
て測定することとする。
【0065】[電池用セパレーターのアルカリ吸液量]
電池用セパレーターを30%水酸化カリウム水溶液(3
0℃)中に30分間浸漬し、浸漬する前の電池用セパレ
ーターの重量Wc(g)、30分間浸漬後の電池用セパ
レーターの重量Wd(g)をそれぞれ測定し、下記の数
式による電池用セパレーターのアルカリ吸液量を算出す
る。
電池用セパレーターを30%水酸化カリウム水溶液(3
0℃)中に30分間浸漬し、浸漬する前の電池用セパレ
ーターの重量Wc(g)、30分間浸漬後の電池用セパ
レーターの重量Wd(g)をそれぞれ測定し、下記の数
式による電池用セパレーターのアルカリ吸液量を算出す
る。
【0066】
【数8】 アルカリ電池のアルカリ吸液量=(Wd−Wc)/Wc
【0067】[電池用セパレーターの裂断長(km)]
乾燥状態の電池用セパレーターについてはその引張強度
をJIS P 8113に準じて測定し、また湿潤状態
の電池用セパレーターについてはその引張強度をJIS
P 8135に準じて測定し、前記で得られた引張強
度に基づいて、電池用セパレーターの乾燥時および湿潤
時の裂断長を下記の数式により求める。
乾燥状態の電池用セパレーターについてはその引張強度
をJIS P 8113に準じて測定し、また湿潤状態
の電池用セパレーターについてはその引張強度をJIS
P 8135に準じて測定し、前記で得られた引張強
度に基づいて、電池用セパレーターの乾燥時および湿潤
時の裂断長を下記の数式により求める。
【0068】
【数9】裂断長(km)={引張強度(kgf)×1000}/{試験片
の幅(mm)×試験片の坪量(g/m2)}
の幅(mm)×試験片の坪量(g/m2)}
【0069】[電池用セパレーターの放電性能]単I型
乾電池のサイズに合わせてコップ型セパレーターを作製
し、鉄にニッケルメッキした正極ケース、二酸化マンガ
ンと黒鉛からなる正極合剤、アルカリ電解液(30%水
酸化カリウム水溶液)およびゲル化剤からなるゲル状電
解液と亜鉛粉末との混合物からなるゲル状負極を用い、
30%水酸化カリウム水溶液を飽和状態まで吸水させた
セパレーター紙を介在させて公称電力1.5Vのアルカ
リ乾電池を作製した。該アルカリ乾電池の陽極と陰極の
間に2Ωの抵抗体と電圧計を接続し、電圧が0.9Vに
低下するまでの時間を計測した。かかる時間が15時間
以上のものを放電性能が極めて良好(◎)、14時間以
上15時間未満の場合を放電性能が良好(○)、13時
間以上14時間未満のものを放電性能がやや不良
(△)、13時間未満のものを放電性能が不良(×)と
して評価した。
乾電池のサイズに合わせてコップ型セパレーターを作製
し、鉄にニッケルメッキした正極ケース、二酸化マンガ
ンと黒鉛からなる正極合剤、アルカリ電解液(30%水
酸化カリウム水溶液)およびゲル化剤からなるゲル状電
解液と亜鉛粉末との混合物からなるゲル状負極を用い、
30%水酸化カリウム水溶液を飽和状態まで吸水させた
セパレーター紙を介在させて公称電力1.5Vのアルカ
リ乾電池を作製した。該アルカリ乾電池の陽極と陰極の
間に2Ωの抵抗体と電圧計を接続し、電圧が0.9Vに
低下するまでの時間を計測した。かかる時間が15時間
以上のものを放電性能が極めて良好(◎)、14時間以
上15時間未満の場合を放電性能が良好(○)、13時
間以上14時間未満のものを放電性能がやや不良
(△)、13時間未満のものを放電性能が不良(×)と
して評価した。
【0070】また、以下の例において、合成膨潤性雲母
(層状粘土鉱物)の内容は次のとおりである。 [合成膨潤性雲母の内容]タルク[組成式;Mg3Si4
O10(OH)2]と、珪フッ化ナトリウム(組成式;Na2
SiF6)を加熱処理して得られた合成膨潤性フッ素雲母
(コープケミカル株式会社製「ソフシマME−10
0」)(組成式;NaMg2.5Si4O10F2、層電荷密度
=1、陽イオン交換容量=0.08当量/100g、平
均粒径=6μm)
(層状粘土鉱物)の内容は次のとおりである。 [合成膨潤性雲母の内容]タルク[組成式;Mg3Si4
O10(OH)2]と、珪フッ化ナトリウム(組成式;Na2
SiF6)を加熱処理して得られた合成膨潤性フッ素雲母
(コープケミカル株式会社製「ソフシマME−10
0」)(組成式;NaMg2.5Si4O10F2、層電荷密度
=1、陽イオン交換容量=0.08当量/100g、平
均粒径=6μm)
【0071】《参考例1〜4》[ポリビニルアルコール
繊維の製造] (1) 合成膨潤性フッ素雲母を約1μmの粒径になる
まで湿式粉砕して、合成膨潤性フッ素雲母の濃度が7重
量%である水性分散液を調製した。 (2) ポリビニルアルコール(粘度平均重合度175
0、ケン化度99.9モル%)の16重量%水溶液に、
上記(1)で調製した合成膨潤性フッ素雲母の水性分散
液を、最終的に得られるポリビニルアルコール繊維にお
ける合成膨潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコ
ール100重量部に対して0重量部(参考例1)、1重
量部(参考例2)、5重量部(参考例3)および10重
量部(参考例4)となるようにして加えて、紡糸原液を
調製した。 (3) 上記(2)で得られた紡糸原液を、直径0.0
8mmの丸型キャピラリーを穴数2000で有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に−60%のバス
ドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。その後6m
/分のローラー速度で離浴させ、2.5倍のローラー延
伸を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)
の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾
燥した後、全延伸倍率が10倍になるように延伸し、5
%の収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルア
ルコール繊維を捲き取った。 (4) 上記(3)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。
繊維の製造] (1) 合成膨潤性フッ素雲母を約1μmの粒径になる
まで湿式粉砕して、合成膨潤性フッ素雲母の濃度が7重
量%である水性分散液を調製した。 (2) ポリビニルアルコール(粘度平均重合度175
0、ケン化度99.9モル%)の16重量%水溶液に、
上記(1)で調製した合成膨潤性フッ素雲母の水性分散
液を、最終的に得られるポリビニルアルコール繊維にお
ける合成膨潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコ
ール100重量部に対して0重量部(参考例1)、1重
量部(参考例2)、5重量部(参考例3)および10重
量部(参考例4)となるようにして加えて、紡糸原液を
調製した。 (3) 上記(2)で得られた紡糸原液を、直径0.0
8mmの丸型キャピラリーを穴数2000で有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に−60%のバス
ドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。その後6m
/分のローラー速度で離浴させ、2.5倍のローラー延
伸を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)
の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾
燥した後、全延伸倍率が10倍になるように延伸し、5
%の収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルア
ルコール繊維を捲き取った。 (4) 上記(3)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0072】(5) また、上記(3)で得られたポリ
ビニルアルコール繊維について、その横断面構造を光学
顕微鏡を用いて調べたところ、 ○ 参考例1で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)では、繭型断面
を有する繊維の割合が100%であり; ○ 参考例2で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量1重量%)では、偏平充実
型断面を有する繊維の割合=28%、偏平中空型断面を
有する繊維の割合=49%、Y型断面を有する繊維の割
合=23%であり; ○ 参考例3で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%)では、偏平充実
型断面を有する繊維の割合=19%、偏平中空型断面を
有する繊維の割合=3%、Y型断面を有する繊維の割合
=43%、十字型断面を有する繊維の割合=31%、そ
の他の繊維=4%であり;そして、 ○ 参考例4で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量10重量%)では、偏平充
実型断面を有する繊維の割合=14%、偏平中空型断面
を有する繊維の割合=1%、Y型断面を有する繊維の割
合=32%、十字型断面を有する繊維の割合=43%、
その他の繊維=10%であった。
ビニルアルコール繊維について、その横断面構造を光学
顕微鏡を用いて調べたところ、 ○ 参考例1で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)では、繭型断面
を有する繊維の割合が100%であり; ○ 参考例2で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量1重量%)では、偏平充実
型断面を有する繊維の割合=28%、偏平中空型断面を
有する繊維の割合=49%、Y型断面を有する繊維の割
合=23%であり; ○ 参考例3で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%)では、偏平充実
型断面を有する繊維の割合=19%、偏平中空型断面を
有する繊維の割合=3%、Y型断面を有する繊維の割合
=43%、十字型断面を有する繊維の割合=31%、そ
の他の繊維=4%であり;そして、 ○ 参考例4で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量10重量%)では、偏平充
実型断面を有する繊維の割合=14%、偏平中空型断面
を有する繊維の割合=1%、Y型断面を有する繊維の割
合=32%、十字型断面を有する繊維の割合=43%、
その他の繊維=10%であった。
【0073】《参考例5》[ポリビニルアルコール繊維
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度12重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して30重量部となるようにして加えて、紡
糸原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を用いて、参考
例1〜4の(3)と同様にしてポリビニルアルコール繊
維を製造した。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、偏平充実型断面を有する繊維の割合=
2%、Y型断面を有する繊維の割合=21%、十字型断
面を有する繊維の割合=62%、その他の繊維=15%
であった。
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度12重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して30重量部となるようにして加えて、紡
糸原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を用いて、参考
例1〜4の(3)と同様にしてポリビニルアルコール繊
維を製造した。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、偏平充実型断面を有する繊維の割合=
2%、Y型断面を有する繊維の割合=21%、十字型断
面を有する繊維の割合=62%、その他の繊維=15%
であった。
【0074】《参考例6および7》[ポリビニルアルコ
ール繊維の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度16重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して5重量部となるようにして加えて、紡糸
原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を、直径0.0
7mmの丸型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、−30%のバ
スドラフト(参考例6)、または+40%のバスドラフ
ト(参考例7)にて吐出させて糸篠を形成させた。その
後糸篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延伸
を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)の
浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾燥
した後、全延伸倍率が9倍になるように延伸し、5%の
収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコ
ール繊維を捲き取った。
ール繊維の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度16重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して5重量部となるようにして加えて、紡糸
原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を、直径0.0
7mmの丸型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、−30%のバ
スドラフト(参考例6)、または+40%のバスドラフ
ト(参考例7)にて吐出させて糸篠を形成させた。その
後糸篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延伸
を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)の
浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾燥
した後、全延伸倍率が9倍になるように延伸し、5%の
収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコ
ール繊維を捲き取った。
【0075】(3) 上記(2)で得られたポリビニル
アルコール繊維の各種物性を上記した方法で測定したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、 ○ 参考例6で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%、バスドラフト−
30%)では、偏平充実型断面を有する繊維の割合=3
3%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=5%、Y型
断面を有する繊維の割合=37%、十字型断面を有する
繊維の割合=25%であり; ○ 参考例7で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%、バスドラフト+
40%)では、偏平充実型断面を有する繊維の割合=4
3%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=7%、Y型
断面を有する繊維の割合=34%、十字型断面を有する
繊維の割合=16%であった。
アルコール繊維の各種物性を上記した方法で測定したと
ころ、下記の表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、 ○ 参考例6で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%、バスドラフト−
30%)では、偏平充実型断面を有する繊維の割合=3
3%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=5%、Y型
断面を有する繊維の割合=37%、十字型断面を有する
繊維の割合=25%であり; ○ 参考例7で得られたポリビニルアルコール繊維(合
成膨潤性フッ素雲母の含有量5重量%、バスドラフト+
40%)では、偏平充実型断面を有する繊維の割合=4
3%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=7%、Y型
断面を有する繊維の割合=34%、十字型断面を有する
繊維の割合=16%であった。
【0076】《参考例8》[ポリビニルアルコール繊維
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度14重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して5重量部となるようにして加えて、紡糸
原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を、直径0.0
6mmの丸型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、+50%のバ
スドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。その後糸
篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延伸を行
った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)の浴中
で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾燥した
後、全延伸倍率が7倍になるように延伸し、5%の収縮
処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコール
繊維を捲き取った。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、偏平充実型断面を有する繊維の割合=
44%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=5%、Y
型断面を有する繊維の割合=37%、十字型断面を有す
る繊維の割合=14%であった。
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度14重量%の
水溶液を調製し、これに参考例1〜4の(1)で調製し
たのと同じ合成膨潤性フッ素雲母の水性分散液を、最終
的に得られるポリビニルアルコール繊維における合成膨
潤性フッ素雲母の含有量がポリビニルアルコール100
重量部に対して5重量部となるようにして加えて、紡糸
原液を調製した。 (2) 上記(1)で得られた紡糸原液を、直径0.0
6mmの丸型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸
口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、+50%のバ
スドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。その後糸
篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延伸を行
った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)の浴中
で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾燥した
後、全延伸倍率が7倍になるように延伸し、5%の収縮
処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコール
繊維を捲き取った。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維の各種物性を上記した方法で測定したところ、下記の
表1に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、偏平充実型断面を有する繊維の割合=
44%、偏平中空型断面を有する繊維の割合=5%、Y
型断面を有する繊維の割合=37%、十字型断面を有す
る繊維の割合=14%であった。
【0077】《参考例9》[ポリビニルアルコール繊維
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度16重量%の
水溶液を調製し、この水溶液をそのまま紡糸原液として
用いて、直径0.08mmの丸型キャピラリーと同じ横
断面積を有するY型キャピラリー、穴数4000を有す
る紡糸口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、−60
%のバスドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。そ
の後糸篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延
伸を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)
の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾
燥した後、全延伸倍率が7倍になるように延伸し、5%
の収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアル
コール繊維を捲き取った。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維(合成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)の各種物
性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、繭型断面を有する繊維、偏平充実型断
面を有する繊維、偏平中空型断面を有する繊維、Y型断
面を有する繊維および十字型断面を有する繊維が含まれ
ておらず、三角型断面(おにぎり型断面)を有する繊維
のみからなっており、異形度の低いものであった。
の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールを用いてポリビニルアルコール濃度16重量%の
水溶液を調製し、この水溶液をそのまま紡糸原液として
用いて、直径0.08mmの丸型キャピラリーと同じ横
断面積を有するY型キャピラリー、穴数4000を有す
る紡糸口金のノズルより常温の飽和芒硝浴中に、−60
%のバスドラフトにて吐出させて糸篠を形成させた。そ
の後糸篠を凝固浴から離浴させ、2.5倍のローラー延
伸を行った後、芒硝濃度350g/リットル(90℃)
の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行った。次に、それを乾
燥した後、全延伸倍率が7倍になるように延伸し、5%
の収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアル
コール繊維を捲き取った。 (3) 上記(2)で得られたポリビニルアルコール繊
維(合成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)の各種物
性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。 (4) また、上記(2)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、繭型断面を有する繊維、偏平充実型断
面を有する繊維、偏平中空型断面を有する繊維、Y型断
面を有する繊維および十字型断面を有する繊維が含まれ
ておらず、三角型断面(おにぎり型断面)を有する繊維
のみからなっており、異形度の低いものであった。
【0078】《参考例10》[ポリビニルアルコール繊
維の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールおよび硼酸を用いてポリビニルアルコール濃度1
6重量%、および硼酸濃度0.29重量%の水溶液を調
製し、この水溶液をそのまま紡糸原液として用いて、直
径0.08mmの丸型キャピラリーと同じ横断面積を有
するY型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸口金
のノズルより、水酸化ナトリウムを0.05モル/リッ
トルおよび芒硝を350g/リットルの割合で含有する
温度40℃の凝固浴中に、+35%のバスドラフトにて
吐出させて糸篠を形成させた。その後糸篠を凝固浴から
離浴させ、2.5倍のローラー延伸を行った後、硫酸濃
度0.1モル/リットル、浴温度40℃の置換浴中で付
着した水酸化ナトリウムを落とし、芒硝380g/リッ
トル、浴温度90℃の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行っ
た。次に、それを135℃で乾燥した後、温度235℃
で全延伸倍率が11倍になるように乾熱延伸し、5%の
収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコ
ール繊維を捲き取った。 (2) 上記(1)で得られたポリビニルアルコール繊
維(合成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)の各種物
性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。 (3) また、上記(1)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、Y型断面を有する繊維の割合が100
%であった。
維の製造] (1) 参考例1〜4におけるのと同じポリビニルアル
コールおよび硼酸を用いてポリビニルアルコール濃度1
6重量%、および硼酸濃度0.29重量%の水溶液を調
製し、この水溶液をそのまま紡糸原液として用いて、直
径0.08mmの丸型キャピラリーと同じ横断面積を有
するY型キャピラリー、穴数6000を有する紡糸口金
のノズルより、水酸化ナトリウムを0.05モル/リッ
トルおよび芒硝を350g/リットルの割合で含有する
温度40℃の凝固浴中に、+35%のバスドラフトにて
吐出させて糸篠を形成させた。その後糸篠を凝固浴から
離浴させ、2.5倍のローラー延伸を行った後、硫酸濃
度0.1モル/リットル、浴温度40℃の置換浴中で付
着した水酸化ナトリウムを落とし、芒硝380g/リッ
トル、浴温度90℃の浴中で1.5倍の湿熱延伸を行っ
た。次に、それを135℃で乾燥した後、温度235℃
で全延伸倍率が11倍になるように乾熱延伸し、5%の
収縮処理を行い、それにより得られたポリビニルアルコ
ール繊維を捲き取った。 (2) 上記(1)で得られたポリビニルアルコール繊
維(合成膨潤性フッ素雲母の含有量0重量%)の各種物
性を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示す
とおりであった。 (3) また、上記(1)で得られたポリビニルアルコ
ール繊維について、その横断面構造を光学顕微鏡を用い
て調べたところ、Y型断面を有する繊維の割合が100
%であった。
【0079】《実施例1〜7および比較例1〜5》[電
池用セパレーターの製造および該電池用セパレーターを
備える電池の作製] (1) 参考例1〜10のいずれかで得られたポリビニ
ルアルコール繊維を繊維長約5mmに切断して温度18
℃の水に分散させ、更にポリビニルアルコールバインダ
ー繊維(単繊維繊度1d、繊維長3mm:株式会社クラ
レ製「VPB105−1×3」)を、前記で切断した参
考例1〜10のいずれかで得られたポリビニルアルコー
ル繊維の重量に基づいて15重量%の割合で添加し、均
一に撹拌混合して、固形分濃度が0.4重量%のスラリ
ー状の抄造用原料を調製した。 (2) 上記(1)で得られた抄造用原料をタッピ式抄
紙機に供給して抄造した後、120℃のシリンダードラ
イヤーを用いて乾燥し、坪量30g/m2の電池用セパ
レーターを製造した。その結果得られた電池用セパレー
ターの各種物性を上記した方法で測定したところ、下記
の表2に示すとおりであった。 (3) また、上記(2)で得られた電池用セパレータ
ーを用いて、上記の[電池用セパレーターの放電性能]
の項に記載したようにしてアルカリマンガン乾電池を作
製して、上述のようにしてその放電性能を調べて評価を
行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
池用セパレーターの製造および該電池用セパレーターを
備える電池の作製] (1) 参考例1〜10のいずれかで得られたポリビニ
ルアルコール繊維を繊維長約5mmに切断して温度18
℃の水に分散させ、更にポリビニルアルコールバインダ
ー繊維(単繊維繊度1d、繊維長3mm:株式会社クラ
レ製「VPB105−1×3」)を、前記で切断した参
考例1〜10のいずれかで得られたポリビニルアルコー
ル繊維の重量に基づいて15重量%の割合で添加し、均
一に撹拌混合して、固形分濃度が0.4重量%のスラリ
ー状の抄造用原料を調製した。 (2) 上記(1)で得られた抄造用原料をタッピ式抄
紙機に供給して抄造した後、120℃のシリンダードラ
イヤーを用いて乾燥し、坪量30g/m2の電池用セパ
レーターを製造した。その結果得られた電池用セパレー
ターの各種物性を上記した方法で測定したところ、下記
の表2に示すとおりであった。 (3) また、上記(2)で得られた電池用セパレータ
ーを用いて、上記の[電池用セパレーターの放電性能]
の項に記載したようにしてアルカリマンガン乾電池を作
製して、上述のようにしてその放電性能を調べて評価を
行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】上記の表1および表2の結果から、層状粘
土鉱物を0.01重量%以上の割合で含有する参考例2
〜8のポリビニルアルコール繊維を用いて得られた実施
例1〜7の電池用セパレーターは、層状粘土鉱物を含有
しない参考例1および参考例9〜10のポリビニルアル
コール繊維を用いて得られた比較例1〜3の電池用セパ
レーターに比べて、アルカリ吸液量が高くてアルカリ吸
液性に優れていること、しかも裂断長が大きくて強度な
どの力学的特性にも優れていることがわかる。 さらに、上記の表1および表2の結果から、層状粘土鉱
物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニルア
ルコール繊維を用いてなる電池用セパレーターを備える
実施例1〜7の電池は、層状粘土鉱物を含有しないポリ
ビニルアルコール繊維を用いてなる電池用セパレーター
を備える比較例1〜3の電池に比べて、放電性能に優れ
ていて、電池寿命が長いことがわかる。
土鉱物を0.01重量%以上の割合で含有する参考例2
〜8のポリビニルアルコール繊維を用いて得られた実施
例1〜7の電池用セパレーターは、層状粘土鉱物を含有
しない参考例1および参考例9〜10のポリビニルアル
コール繊維を用いて得られた比較例1〜3の電池用セパ
レーターに比べて、アルカリ吸液量が高くてアルカリ吸
液性に優れていること、しかも裂断長が大きくて強度な
どの力学的特性にも優れていることがわかる。 さらに、上記の表1および表2の結果から、層状粘土鉱
物を0.01重量%以上の割合で含有するポリビニルア
ルコール繊維を用いてなる電池用セパレーターを備える
実施例1〜7の電池は、層状粘土鉱物を含有しないポリ
ビニルアルコール繊維を用いてなる電池用セパレーター
を備える比較例1〜3の電池に比べて、放電性能に優れ
ていて、電池寿命が長いことがわかる。
【0083】
【発明の効果】層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割
合で含有するポリビニルアルコール系繊維を少なくとも
用いて形成した本発明の電池用セパレーターは、アルカ
リ吸液能が高く、セパレート性能に優れていて活物質や
導電性物質の通過を円滑に阻止することができ、しかも
耐アルカリ性、耐熱性、耐水性、強度などの力学的特性
などの諸特性に優れ、さらに熱水収縮率が小さく、寸法
安定性などにも優れている。そして、上記した優れた特
性を有する本発明の電池用セパレーターを備える本発明
の電池は、長い放電時間を有し、電池寿命が長い。特
に、本発明の電池用セパレーターに用いているポリビニ
ルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物を前記した量で含
有していることによって、ポリビニルアルコール系繊維
が、それ自体で高いアルカリ吸液性を有し、高い断面異
形度を有し、強度などの力学的特性、耐アルカリ性、耐
水性、耐熱水性などにおいて優れているのことにより、
そのようなポリビニルアルコール系繊維を用いてなる本
発明の電池用セパレーターに上記した優れた諸特性が付
与される。
合で含有するポリビニルアルコール系繊維を少なくとも
用いて形成した本発明の電池用セパレーターは、アルカ
リ吸液能が高く、セパレート性能に優れていて活物質や
導電性物質の通過を円滑に阻止することができ、しかも
耐アルカリ性、耐熱性、耐水性、強度などの力学的特性
などの諸特性に優れ、さらに熱水収縮率が小さく、寸法
安定性などにも優れている。そして、上記した優れた特
性を有する本発明の電池用セパレーターを備える本発明
の電池は、長い放電時間を有し、電池寿命が長い。特
に、本発明の電池用セパレーターに用いているポリビニ
ルアルコール系繊維は、層状粘土鉱物を前記した量で含
有していることによって、ポリビニルアルコール系繊維
が、それ自体で高いアルカリ吸液性を有し、高い断面異
形度を有し、強度などの力学的特性、耐アルカリ性、耐
水性、耐熱水性などにおいて優れているのことにより、
そのようなポリビニルアルコール系繊維を用いてなる本
発明の電池用セパレーターに上記した優れた諸特性が付
与される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荻野 祐二 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 日笠 純一 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内 (72)発明者 曽根高 友康 岡山県岡山市海岸通1丁目2番1号 株式 会社クラレ内
Claims (7)
- 【請求項1】 層状粘土鉱物を0.01重量%以上の割
合で含有するポリビニルアルコール系繊維を少なくとも
用いて形成したことを特徴とする電池用セパレーター。 - 【請求項2】 層状粘土鉱物が膨潤性フッ素雲母である
請求項1の電池用セパレーター。 - 【請求項3】 ポリビニルアルコール系繊維における下
記の数式(i)により求めれるアルカリ吸液量(Aab)
が1.5倍以上である請求項1または2の電池用セパレ
ーター。 【数1】 Aab=(Wb−Wa)/Wa (i) [式中、Wa=ポリビニルアルコール系繊維を採取して
温度20℃、湿度60%の雰囲気中で2日間放置して調
湿した後の重量(g)、Wb=前記のWa(g)の試料を
濃度35重量%の水酸化カリウム水溶液中に浴比1:1
00(試料の重量:水酸化カリウム水溶液の重量)で、
温度30℃で15分間浸漬した後、1Gの条件下で10
分間遠心脱水したときの重量(g)を示す。] - 【請求項4】 ポリビニルアルコール系繊維の引張強度
が4g/d以上である請求項1〜3のいずれか1項の電
池用セパレーター。 - 【請求項5】 ポリビニルアルコール系繊維の断面充実
度が70%以下である請求項1〜4のいずれか1項の電
池用セパレーター。 - 【請求項6】 ポリビニルアルコール系繊維の断面周長
比が0.85以上である請求項1〜5のいずれか1項の
電池用セパレーター。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項の電池用セ
パレーターを備えていることを特徴とする電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9087456A JPH09320564A (ja) | 1996-03-29 | 1997-03-21 | 電池用セパレーター |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10418296 | 1996-03-29 | ||
JP8-104182 | 1996-03-29 | ||
JP9087456A JPH09320564A (ja) | 1996-03-29 | 1997-03-21 | 電池用セパレーター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09320564A true JPH09320564A (ja) | 1997-12-12 |
Family
ID=26428727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9087456A Pending JPH09320564A (ja) | 1996-03-29 | 1997-03-21 | 電池用セパレーター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09320564A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101067628B1 (ko) * | 2006-08-21 | 2011-09-26 | 주식회사 엘지화학 | 점토 광물이 코팅되어 있는 시트형 분리막 및 이를 사용한전기화학 셀 |
JP2013105673A (ja) * | 2011-11-15 | 2013-05-30 | Hitachi Chemical Co Ltd | リチウムイオン二次電池 |
KR101360366B1 (ko) * | 2007-12-14 | 2014-02-11 | 삼성에스디아이 주식회사 | 전극조립체 및 이를 구비하는 이차 전지 |
JP2014506723A (ja) * | 2011-02-25 | 2014-03-17 | アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド | リチウムイオンセル設計装置および方法 |
WO2020090649A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコール系繊維 |
-
1997
- 1997-03-21 JP JP9087456A patent/JPH09320564A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101067628B1 (ko) * | 2006-08-21 | 2011-09-26 | 주식회사 엘지화학 | 점토 광물이 코팅되어 있는 시트형 분리막 및 이를 사용한전기화학 셀 |
KR101360366B1 (ko) * | 2007-12-14 | 2014-02-11 | 삼성에스디아이 주식회사 | 전극조립체 및 이를 구비하는 이차 전지 |
JP2014506723A (ja) * | 2011-02-25 | 2014-03-17 | アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド | リチウムイオンセル設計装置および方法 |
JP2013105673A (ja) * | 2011-11-15 | 2013-05-30 | Hitachi Chemical Co Ltd | リチウムイオン二次電池 |
WO2020090649A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2020-05-07 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコール系繊維 |
CN112805420A (zh) * | 2018-11-01 | 2021-05-14 | 株式会社可乐丽 | 聚乙烯醇类纤维 |
JPWO2020090649A1 (ja) * | 2018-11-01 | 2021-09-09 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコール系繊維 |
EP3862470B1 (en) * | 2018-11-01 | 2023-12-27 | Kuraray Co., Ltd. | Polyvinyl alcohol fiber |
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