JP2000328351A - ポリビニルアルコール系繊維及びポリビニルアルコール系繊維の水分散性改良方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維及びポリビニルアルコール系繊維の水分散性改良方法

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JP2000328351A
JP2000328351A JP11129840A JP12984099A JP2000328351A JP 2000328351 A JP2000328351 A JP 2000328351A JP 11129840 A JP11129840 A JP 11129840A JP 12984099 A JP12984099 A JP 12984099A JP 2000328351 A JP2000328351 A JP 2000328351A
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fiber
fibers
polyvinyl alcohol
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pva
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Akira Yamamoto
亮 山本
Yoichi Yamamoto
洋一 山本
Junichi Hikasa
純一 日笠
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膠着が生じにくく、しかも水分散性に優れた
PVA系繊維及びPVA系繊維の効率的な水分散性改良
方法、さらに該繊維を用いて得られる紙を提供する。 【解決手段】 ビニルアルコール系ポリマーを含み、表
面に多数の突出部が形成された繊維であって、該突出部
の平均高さが繊維直径の0.1〜10%であり、かつ繊
維中に存在する微粒子の1〜30%に相当する部分が繊
維表面に露出することにより該突出部が形成されている
ことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に紙料として好適な
ポリビニルアルコール(PVA)系繊維及び該繊維の水
分散性改良方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PVA系繊維は化学構造上高い親
水性を有していることから、バインダー繊維等の紙料
(紙構成材料)などに広く使用されている。しかしなが
ら、該繊維は親水性が高いため、水が存在すると繊維表
面が軟化溶解して膠着が生じやすく、よって繊維の品位
が損われるのみでなく水分散性が不十分になりやすい問
題があった。特に固化工程で十分に固化がなされていな
い繊維は膠着が一層生じやすい傾向があり、かりに固化
工程で膠着が生じていなくても後の乾燥工程、保管・輸
送工程等で膠着が生じるとともに水分散性が損われるこ
ととなり、なかでも水中溶解温度の低いバインダー繊維
や、1.5d以下(特に0.8d以下)の極細繊維では
その傾向は顕著になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題を解決する
ためには糸篠の乾燥温度を低くすればよいが、乾燥温度
を低下すると製造効率が低下してコスト高となり、しか
も水中溶解温度が極めて低い糸篠には適用することがで
きず、また長期保存や輸送中等の温度上昇における膠着
の発生は抑制できない。また膠着抑制剤を付与すること
も検討されているが、従来の技術では十分に膠着防止が
なされていないのが現状である。本発明の目的は、膠着
が生じにくく、しかも水分散性に優れたPVA系繊維及
びPVA系繊維の効率的な水分散性改良方法、さらに該
繊維を用いてなる紙を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) ビニ
ルアルコール系ポリマーを含み、表面に多数の突出部が
形成された繊維であって、該突出部の平均高さが繊維直
径の0.1〜10%であり、かつ繊維中に存在する微粒
子の1〜30%に相当する部分が繊維表面に露出するこ
とにより該突出部が形成されていることを特徴とするポ
リビニルアルコール系繊維、(2) ビニルアルコール
系ポリマーを含み、表面に多数の突出部が形成された繊
維であって、該突出部の平均高さが繊維直径の0.1〜
10%であり、かつ繊維中に存在する微粒子の1〜30
%に相当する部分が繊維表面に露出することにより該突
出部が形成されていることを特徴とする紙料用ポリビニ
ルアルコール系繊維、(3) ポリビニルアルコール系
繊維がバインダー繊維である(1)に記載のポリビニル
アルコール系繊維、(4) ビニルアルコール系繊維が
1.5d以下の極細繊維である(1)に記載のポリビニ
ルアルコール系繊維、(5) ビニルアルコール系ポリ
マーを含み、表面に多数の突出部が形成された繊維であ
って、該突出部の平均高さが繊維直径の0.1〜10%
であり、かつ繊維中に存在する微粒子の1〜30%に相
当する部分が繊維表面に露出することにより該突出部が
形成されていることを特徴とするポリビニルアルコール
系繊維を用いてなる紙、(6) ビニルアルコール系ポ
リマーを含む紡糸原液に微粒子を配合して紡糸し、繊維
表面に微粒子直径の1〜30%に相当する部分を露出さ
せることにより、平均高さが繊維直径の0.1〜10%
である突出部を形成させるポリビニルアルコール系繊維
の水分散性改良方法、に関する。
【0005】
【発明の具体的な形態】本発明は、繊維表面に特定の突
出部を形成させることにより、繊維間の膠着を効果的に
抑制するとともに繊維の水分散性を顕著に高めるもので
ある。すなわち繊維表面に特定の突出部が存在すると繊
維同志の接触面積が小さくなり、そのため水分が存在す
る場合であっても膠着が生じにくくなって、繊維の品位
が高まるとともに水分散性が損われにくくなる。しかも
該突出部により繊維間に空隙が形成されて水等が容易に
繊維間に入りこめることから、単繊維への離解が容易に
なり、膠着防止効果とあいまって水分散性が顕著に高ま
るのである。
【0006】かかる突出部は、紡糸原液を紡糸ノズルか
ら吐出させる際に形成させるのが好ましい。特に湿式紡
糸又は乾湿式紡糸により繊維を製造する場合には、より
顕著な効果が得られる。すなわち、紡糸ノズルから固化
浴に吐出すると紡糸原液が固化して糸篠が形成される
が、ノズル孔から吐出された複数の糸篠が一体化してい
ると十分に固化反応が進行せず、固化工程又はその後の
工程で膠着が生じる原因となる。しかしながら、糸篠表
面に突出部を設けることによって各糸篠間の接触を抑制
し、かつ固化浴の糸篠間への侵入を容易にすることによ
って、固化反応が十分に進行しかつ膠着発生を効果的に
抑制できる。
【0007】本発明に使用されるPVA系繊維とは、ビ
ニルアルコール系ポリマーを含む繊維であり、他のポリ
マー等が含まれていても構わない。たとえばPVAと他
のポリマーをブレンドして得られる繊維(海島構造繊維
等)やPVAと他のポリマーから構成された複合紡糸繊
維(芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維等)
などが挙げられる。本発明の効果をより顕著に得る点か
らは、繊維表面が少なくともビニルアルコール系ポリマ
ーにより構成されているのが好ましく、ビニルアルコー
ル系ポリマーを30重量%以上/繊維、さらに50重量
%以上/繊維、またさらに80重量%以上/繊維含んで
いるものが好ましい。また微粒子を含有しないPVA系
繊維を芯成分、微粒子を含有するPVA系繊維を鞘成分
とする芯鞘型複合繊維等とすることもできる。単繊維繊
度は目的、用途に応じて設定すればよいが、0.05〜
15d(繊維径約2〜40μm)、特に単繊維デニール
0.1〜2デニール(繊維径約3〜14μm)のものが
広く使用できる。
【0008】繊維を構成するビニルアルコール系ポリマ
ーは特に限定されず、主鎖または側鎖を他のモノマ−か
らなる重合体やモノマ−で変性された変性PVAや、シ
ンジオタクト部位が同じ主鎖に含まれるようなビニルア
ルコ−ル系ポリマ−等を用いてもかまわない。PVAの
平均重合度は、湿式又は乾湿式紡糸するための紡糸原液
の取扱性及び繊維物性の点から300以上5000以下
とするのが好ましく、特に500以上3000以下とす
るのが好ましい。PVAのケン化度は目的に応じて適宜
設定すれば良いが、紡糸性等の点からは80%以上、特
に90%以上とするのが好ましい。
【0009】本発明はあらゆるPVA系繊維に適用可能
であるが、バインダー繊維や1.5d以下(特に0.1
〜0.8d)の繊維のように膠着の生じやすいPVA系
繊維に適用することにより、一層顕著な効果が得られ
る。
【0010】好適なバインダー繊維としては、水中溶解
温度80℃以下、さらに70℃以下の繊維が挙げられ
る。一般に水中溶解温度の低い繊維はバインダー能に優
れる反面、膠着、毛羽等が生じやすく水分散性等が低下
する問題があるが、本発明によれば膠着等の発生が効果
的に抑制され、繊維の品位及び水分散性を高めることが
できる。バインダー繊維を構成するPVAとしては、バ
インダー能の点から低けん化度PVA(特にけん化度9
7モル%以下)やイタコン酸等により変性された変性P
VA(好ましくは変性率0.1〜6%程度)を用いるの
が好ましく、具体的には、PVAを構成する水酸基を他
の官能基により置換したものが好適に挙げられる。
【0011】また本発明は、1.5d以下,特に0.8
d以下の極細繊維に適用することにより一層顕著な効果
が得られる。一般に繊維を湿式紡糸又は乾湿式紡糸する
場合、ノズルと紡糸原液間で適度な摩擦が生じることか
ら、ノズル面上で適度なバルーニングが形成されて良好
に紡糸できる。しかしながら極細繊維を製造する場合、
工業上製造できるノズルの径には限界があることから所
望繊維径に比して比較的大きいノズルが採用されてい
る。そのためノズルと原液との摩擦バランスが崩れて固
化浴中で各糸篠間が十分にバラけず、さらに極細繊維は
糸篠表面積が大きいことから糸篠表面が溶解して膠着が
生じやすくなる。また固化時には膠着が発生していなく
ても、乾燥時や保管・輸送時等に繊維表面が溶解して膠
着が生じる問題も生じていた。従来は紡糸調子をみなが
ら固化温度、紡糸原液などを調整するなどの熟練した技
術がなければ膠着を防止できず、しかも該技術を用いて
も十分に膠着が防止できない問題があったが、本発明に
よれば簡便な方法で繊維間膠着を効率的に抑制できる。
【0012】膠着防止効果、水分散性等の点からは、突
出部の平均高さを繊維直径の0.1〜10%、好ましく
は0.8〜3%とする必要がある。突出部が小さすぎる
と本発明の効果が得られず、逆に突出部が大きすぎると
単繊維間の接触面積及び摩擦係数が逆に大きくなって膠
着防止効果が得られにくくなり、また水中等における均
一分散性も損われやすくなる。なおPVA系繊維は繭
型、楕円型等の異形断面を有している場合があるが、本
発明にいう繊維直径とは、同一繊維横断面における最大
径と最小径の相加平均であり、突出部の平均高さとは実
施例に記載の方法により求められる値である。
【0013】繊維表面に突出部を形成させる方法として
は、突出部の形成が容易であり、また膠着防止効果に優
れていることから微粒子を繊維表面に露出させることに
より突出部を形成させるのが効果的である。もちろん、
本発明の効果を損わない範囲であれば微粒子の一部又は
全部が他の物質(ビニルアルコール系ポリマー)等によ
り被覆されていてもかまわない。しかしながら、繊維性
能を損うことなく効率的に膠着防止・水分散性改良効果
を得る点からは、実質的に繊維表面に微粒子を露出させ
ることにより突出部を形成させるのが好ましい。
【0014】使用する微粒子は特定されないが、隣接す
る繊維に損傷を与えにくく、かつ紡糸性及び繊維の機械
的性能が損われにくい点から、重合体からなる微粒子を
用いるのが好ましい。具体的には、ポリアミド系樹脂
(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル系樹脂
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレ
ート、メチルメタアクリレート・メタクリル酸共重合
体、メチルメタアクリレート・メタクリル酸・スチレン
共重合体、アクリル酸・スチレン共重合体等)、シリコ
ーン系樹脂(アルコーンゴム等)、ウレタン系樹脂等が
挙げられる。なかでもポリエステル系樹脂及び/又はア
クリル系樹脂が特に好ましい。勿論、複数種の樹脂を併
用してもかまわない。
【0015】微粒子の平均粒径は、紡糸性及び突出部サ
イズ等の点から、0.05〜50μm、特に0.06〜
4μm、さらに0.07〜2μmとするのが好ましい。
微粒子の2次凝集を抑制する点からは平均粒径は0.1
μm以上、さらに0.2μm以上であるのが好ましい。
勿論、異なる粒子径を有する微粒子を併用しても構わな
い。また紡糸性及び突出部のサイズ・形状の点からは、
微粒子直径を繊維直径の1〜30%、特に2〜25%と
するのが好ましい。またさらに微粒子が繊維から脱落す
るのを効率的に防止する点、さらに繊維表面に膠着防止
等に好適な突出部を形成させる点からは、微粒子直径の
1〜30%、特に1〜20%を繊維表面から露出させて
突出部を形成させるのが好ましい。微粒子の露出部分が
多くなると脱落が生じやすくなるのみでなく、隣接する
他の繊維との接触面積が逆に大きくなりやすく、また摩
擦係数が大きくなりやすくなる。微粒子の形状は特に限
定されないが、繊維中の均一分散性が高く繊維を損傷さ
せにくい点、さらに膠着防止等の効果に優れた突出部が
形成されやすい点から、球状であるのが好ましい。さら
に微粒子は中実微粒子であっても中空微粒子であっても
よく、中空微粒子を使用すると高い隠蔽性や、繊維の軽
量化を同時に実現することが可能である。
【0016】微粒子の製造方法は特に限定されず、例え
ば、公知の粉砕機を用いて重合体チップや粉末を凍結粉
砕して微細粉末にする物理的細粒化方法や、重合性モノ
マーから、その重合過程で粒子形成を行う方法及び微小
液滴化した重合体溶液から、粒子形成を行う方法など重
合技術によって微粒子を製造できる。重合手法による場
合の例を挙げると、0.05〜1μm程度の粒径の微粒
子を得るためには乳化重合法やソープフリー乳化重合
法、シード乳化重合法が好ましく採用され、1〜5μm
では、シード乳化重合法、二段階膨潤法、分散重合法な
どが好適である。
【0017】かかる微粒子を紡糸原液に添加して突出部
を形成させる方法(練り込み方法)を採用することによ
り、紡糸工程時の固化が促進され、繊維間膠着を効果的
に抑制するとともに繊維の均一分散性を顕著に高めるこ
とができる。微粒子の配合量は、微粒子直径、繊維直径
等に応じて適宜変更すれば良いが、配合量が多くなりす
ぎると紡糸性・繊維の機械的性能等が損われ、また配合
量が少なすぎると本発明の効果が十分に得られないこと
から、0.6〜45重量%/繊維、特に0.7〜30重
量%/繊維配合するのが好ましい。
【0018】紡糸原液を調整する方法は特に限定されな
いが、微粒子の均一分散性の点からは、PVA水溶液を
攪拌しながら微粒子を徐々に添加する方法が好適に採用
される。具体的には約400RPM以上の高速で撹拌し
て微粒子が凝集しない条件下で混合するのが好ましく、
泡立ちが生じると紡糸性が低下して断糸等が発生すると
ともに糸の品位が低下するため、エア−を入り込まない
最大の回転数で撹拌するのが好ましい。
【0019】紡糸原液の溶媒としては工程性等の点から
水を用いるのが好ましいが、場合によってはジメチルス
ルホキシド、アルコ−ル等の水以外の溶媒を用いてもか
まわない。紡糸原液中のPVA系ポリマ−の濃度は、紡
糸性、繊維性能等の点から10〜30重量%程度とする
のが好ましく、また紡糸にあたっては原液の脱泡が非常
に重要であり、脱泡が十分に行われていないと安定した
紡糸ができないので、16〜30時間程度静置脱泡又は
1〜24時間程度真空脱泡された紡糸原液を使用するこ
とが好ましい。
【0020】かかる紡糸原液を紡糸することによって所
望の繊維が得られるが、その紡糸方法は特に限定され
ず、湿式方法、乾湿式方法、乾式方法を採用できる。な
かでも単繊維間膠着が生じやすい湿式紡糸または乾湿式
紡糸に適用することにより、本発明の効果がより効果的
に得られる。具体的には紡糸原液を凝固浴中に吐出して
脱水凝固を行い、2〜3倍のロ−ラ−延伸後、芒硝温浴
中で1.5倍程度の湿熱延伸後、乾燥する方法が挙げら
れる。凝固能を有する物質としては硫酸ナトリウム(芒
硝)、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等の塩類が好
適に使用できる。塩類濃度は100g/リットル以上か
ら飽和濃度までとするのが好ましく、特に飽和濃度とす
るのが好ましい。また凝固浴離浴時のバスドラフトは+
100%〜0%程度とするのが好ましい。
【0021】次いでたとえば得られた繊維を220〜2
40℃程度の温度で熱延伸を行うことにより所望の繊維
が得られる。ロ−ラ−延伸工程での延伸倍率は2〜8倍
程度、全延伸倍率を6〜16倍程度とするのが繊維性能
等の点で好ましい。所望によりさらに220〜240℃
程度の温度条件下で0〜15%の熱収縮処理を施しても
よく、耐水性の点からは0〜15%の熱収縮処理を施す
のが好ましい。また耐熱水性を高めるためにさらにホル
ムアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキザ−ルなど
のアルデヒド類によるアセタ−ル化処理を行っても良
い。PVAの水酸基と反応するホルムアルデヒド等の有
機還元剤を含む水溶液中で繊維を処理して水酸基を封鎖
することにより糸篠を疎水化できる。
【0022】本発明の繊維はあらゆる形態で使用するこ
とができ、たとえばカットファイバ−、糸(紡績糸、フ
ィラメントヤ−ン)、紐状物、布帛(織編物、不織布
等)のあらゆる繊維構造物に加工することができる。こ
のとき本発明のPVA系繊維以外の繊維(表面に突出部
が形成されていないPVA系繊維を含む)と併用してい
てもよく、また繊維構造物に加工した後に染色等を行っ
てもかまわない。また本発明の繊維は、産資用、衣料
用、医療用等のあらゆる布帛に使用でき、具体的にはス
テンシルペーパー、化粧紙、包装紙、装飾紙、カーテ
ン、シーツ、カバー類、粘着テープ、断熱材等に好適に
使用できる。
【0023】特に本発明の繊維は水分散性に優れている
ことから紙料(紙構成材料)として好適である。該繊維
を紙料(主体繊維及び/又はバインダー繊維)として周
知の方法により抄紙して所望の紙とすればよい。主体繊
維としては水中溶解温度95℃以上のPVA系繊維、バ
インダー繊維としては水中溶解温度80℃以下、さらに
70℃以下のPVA系繊維が好適に使用され、両者を併
用することも可能である。勿論、このときパルプなどの
一般的な紙材料や他のバインダー繊維、主体繊維等と併
用してもかまわない。本発明の効果を十分に得る点から
は、本発明のPVA系繊維を5重量%以上、さらに30
重量%以上、特に50重量%以上配合してなる紙とする
のが好ましい。かかる方法により得られた紙は、繊維の
均一分散性に優れ、かつ地合・品位の高いものであり、
ステンシルペーパー、化粧紙、包装紙、装飾用カーテ
ン、ラッピングペーパー、ウエットテイッシュ、ワイピ
ングクロスなどに好適に使用できる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いてより具体的に
説明するが、本発明はそれにより限定されない。
【0025】[微粒子の平均粒径 μm]電子顕微鏡で
5,000〜20,000倍に拡大した繊維断面におい
て観察される微粒子について、微粒子形状が真円又は略
円の場合は直径を、非円形の場合はその長径を計り、一
断面内に存在する微粒子径の平均値を取り、これを5か
所以上の断面において行ないその平均値をとる。また、
微粒子分散液の状態のものは、マイクロトラック粒度分
布測定装置を用い、粒度分布を測定し、その最高ピーク
点粒度(MV値)を平均粒径とする。 [微粒子含有量(対PVA添加率) 重量%]あらかじ
め秤量されたPVA系繊維を熱水で溶解し、溶解液をテ
フロン製メンブランフィルタ−又は限外濾過膜で濾過
し、可染性微粒子を分離・乾燥して重量を求め、繊維1
gあたりの含有量(mg)を求めた。
【0026】[突出部の平均高さ比(繊維直径に対する
突出部高さの比) %]電子顕微鏡で1,000〜2
0,000倍に拡大した繊維側面を観察し、微粒子によ
り形成されている突出部の高さを測定した。これを5ヶ
所以上の側面において実施し、その平均値を繊維直径で
除することによって算出した。 [水中溶解温度 ℃]繊維サンプルに500mg/dr
の重りをつるした状態で水中に浸漬し、1℃/分の昇温
速度で昇温した際に繊維サンプルが破断した温度を観測
し、該温度を水中溶解温度として求めた。
【0027】[ノズル調子]断糸等が実質的に生じるこ
となく効率的に紡糸できるものを良好、断糸等が多発す
る場合を不調として評価した。 [毛羽]得られた繊維の表面に形成された毛羽の有無を
評価した。 [分散性]繊維を所定長さにカット後、繊維/水混合比
を6g/1.1リットルとし、タッピ離解機で500カ
ウント処理を行い、次いで100ccの繊維分散水を採
取し、これに水を900cc加え攪拌した。またさらに
攪拌された分散水のなかから100ccを採取後、さら
に900ccの水を加えて軽く攪拌し、得られた分散水
中での繊維の分散状態を目視で評価した。次いで最終的
に得られた該分散水100ccを採取し、これに400
cccの水を加えて軽く攪拌した後、ろ紙をおいたヌッ
チェ上に流しこんで約30秒間放置し、ある程度繊維を
沈殿させた後にアスピレータなどにより吸引濾過した。
得られたサンプルを顕微鏡にて観察し、単繊維同志が接
着(膠着)しているものがあるかどうかにより分散性を
評価した。視野内に見える接着した繊維数が全体の50
%以上である場合を分散性不良、25%以上50%未満
の場合をやや不良、25%未満の場合を良好とする。
【0028】[実施例1〜4、比較例1、2]重合度1
750、けん化度99.9モル%のPVAを用いてなる
PVA水溶液にアクリル系重合体微粒子(ロームアンド
ハウス社製「HP91」 平均粒径1μm)を表1に記
載の配合率となるように徐々に添加し、毎分980回転
の高速攪拌機を用いて攪拌混合し、30分間静置脱泡し
紡糸原液(PVA濃度16重量%)を得た。得られた紡
糸原液をホ−ル数2000、孔径0.08mm(実施例
3、4、比較例1、2では直径0.04mm)のノズル
から常温の飽和芒硝水溶液からなる凝固浴に吐出して糸
篠を形成し、次いで6m/分のロ−ラ−速度で離浴後、
得られた糸篠をロ−ラ−延伸(延伸倍率2.5倍)し
た。その後芒硝350g/リットル(90℃)中で1.
5倍の湿熱延伸を行い、乾燥後、全延伸倍率が10倍と
なるように乾熱延伸し、5%の収縮処理を行った後に巻
き取った。得られた繊維の水中溶解温度はいずれも96
℃であった。結果を表1に示す。
【0029】[実施例5]実施例4で得られた繊維をホ
ルムアルデヒド30g/リットル、硫酸270g/リッ
トル、芒硝150g/リットルからなる70℃水溶液に
20分間浸漬後、水洗・乾燥してアセタール化処理を行
って繊維(水中溶解温度120℃)を得た。結果を表1
に示す。 [実施例6]孔径0.03mmのノズルを用い、かつ重
合体微粒子として平均粒径約0.1μmのアクリル/ス
チレン共重合体(日本ペイント製「N−134」)を用
いた以外は実施例1と同様に行って繊維(水中溶解温度
96℃)を製造した。結果を表1に示す。
【0030】[比較例3]孔径0.03mmのノズルを
用い、かつ重合体微粒子として平均粒径約0.1μmの
アクリル/スチレン共重合体(日本ペイント製「N−1
34」)を用いた以外は実施例1と同様に行って繊維
(水中溶解温度96℃)を製造した。結果を表1に示
す。 [比較例4]重合体微粒子として平均粒径5μmのメタ
クリル酸メチル(東セロ製「PM―6K」)を用いた以
外は実施例1と同様に繊維(水中溶解温度96℃)を製
造した。結果を表1に示す。
【0031】[実施例7、8]PVAとして重合度17
50、けん化度94モル%のPVAを用い、かつ重合体
微粒子として平均粒径3μmのメタクリル酸メチル(東
セロ製「PM―5K」)を用いた以外は実施例1と同様
に行って繊維(水中溶解温度60℃)を製造した。結果
を表1に示す。 [実施例9]PVAとして重合度1750、ケン化度9
4モル%、イタコン酸変性率7モル%の変性PVAを用
い、かつ重合体微粒子として平均粒径3μmのメタクリ
ル酸メチル(東セロ製「PM―5K」)を用いた以外は
実施例1と同様に繊維(水中溶解温度50℃)を製造し
た。結果を表1に示す。
【0032】[実施例10]PVAとして重合度175
0、ケン化度99.6モル%、エチレン変性率5モル%
の変性PVA(株式会社クラレ製「117H」)を用
い、かつ重合体微粒子として平均粒径3μmの東セロ製
「PM―5K」を用いた以外は実施例1と同様に繊維
(水中溶解温度98℃)を製造した。結果を表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】[実施例11〜17]実施例1〜6及び実
施例10で得られたPVA系繊維をそれぞれ主体繊維と
して90重量部、PVA系バインダー繊維(株式会社ク
ラレ製「VPB105―2」)を10重量部を添加して
それぞれスラリーを製造し、これをタッピ抄紙機にて目
付10g/mの紙を抄紙した。該紙料の水分散性は良
好であり、得られた紙はいずれも通常の離解(200〜
250カウント)に比して穏和な離解条件を採用したに
も係らず、短冊状物等が形成されていない地合の良好な
紙であった。
【0035】[実施例18〜19]実施例7〜9により
得られたPVA系繊維を各バインダー繊維として10重
量部、ポリビニルアルコール系主体繊維(株式会社クラ
レ製「VPB103」)を添加してそれぞれスラリーを
製造し、これをタッピ抄紙機にて目付10g/mの紙
を抄紙した。該紙料の水分散性は良好であり、得られた
紙はいずれも通常の離解(200〜250カウント)に
比して穏和な離解条件を採用したにも係らず、短冊状物
等が形成されておらず、風合、地合が良好で嵩高な紙で
あった。
【0036】本発明の実施例においては、微粒子の脱落
が実質的に生じにくくしかも紡糸性に優れていることか
ら効率的に所望の繊維を製造することができた。しかも
得られた繊維の表面には膠着防止等に好適な突出部が形
成されていることから、いずれも実質的に膠着が生じて
おらず品位の高いものであり、しかも水分散性に優れて
いるものであることからかかる繊維を用いることにより
高品位の紙が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 15/02 D21H 15/02 //(C08L 29/04 101:00) Fターム(参考) 4J002 BE021 BG042 BG062 CF042 CK022 CL002 CP032 FD012 GK00 4L035 BB03 BB80 BB85 BB91 CC07 DD08 DD13 EE20 FF05 KK01 4L055 AF21 AF43 AF46 EA15 EA16 EA25 FA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系ポリマーを含み、表
    面に多数の突出部が形成された繊維であって、該突出部
    の平均高さが繊維直径の0.1〜10%であり、かつ繊
    維中に存在する微粒子の1〜30%に相当する部分が繊
    維表面に露出することにより該突出部が形成されている
    ことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 ビニルアルコール系ポリマーを含み、表
    面に多数の突出部が形成された繊維であって、該突出部
    の平均高さが繊維直径の0.1〜10%であり、かつ繊
    維中に存在する微粒子の1〜30%に相当する部分が繊
    維表面に露出することにより該突出部が形成されている
    ことを特徴とする紙料用ポリビニルアルコール系繊維。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系繊維がバインダ
    ー繊維である請求項1に記載のポリビニルアルコール系
    繊維。
  4. 【請求項4】 ビニルアルコール系繊維が1.5d以下
    の極細繊維である請求項1に記載のポリビニルアルコー
    ル系繊維。
  5. 【請求項5】 ビニルアルコール系ポリマーを含み、表
    面に多数の突出部が形成された繊維であって、該突出部
    の平均高さが繊維直径の0.1〜10%であり、かつ繊
    維中に存在する微粒子の1〜30%に相当する部分が繊
    維表面に露出することにより該突出部が形成されている
    ことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維を用いて
    なる紙。
  6. 【請求項6】 ビニルアルコール系ポリマーを含む紡糸
    原液に微粒子を配合して紡糸し、繊維表面に微粒子直径
    の1〜30%に相当する部分を露出させることにより、
    平均高さが繊維直径の0.1〜10%である突出部を形
    成させるポリビニルアルコール系繊維の水分散性改良方
    法。
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