JPH09297394A - 湿し水不要平版印刷原版 - Google Patents

湿し水不要平版印刷原版

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JPH09297394A
JPH09297394A JP8110696A JP11069696A JPH09297394A JP H09297394 A JPH09297394 A JP H09297394A JP 8110696 A JP8110696 A JP 8110696A JP 11069696 A JP11069696 A JP 11069696A JP H09297394 A JPH09297394 A JP H09297394A
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JP
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metal
layer
heat mode
recording layer
silicone rubber
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JP8110696A
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English (en)
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Noribumi Inno
紀文 因埜
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ光によるヒートモード記録を可能と
し、感度及び画像再現性を上げる。 【解決手段】 支持体、該支持体上にヒートモード記録
層、及び該ヒートモード記録層上にインキ反撥性のシリ
コーンゴム層を有する湿し水不要平版印刷原版であっ
て、該ヒートモード記録層は、金属ホウ化物、金属ケイ
化物、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物及び金属ハ
ロゲン化物からなる群より選ばれる金属化合物の一種以
上、金属、並びに金属硫化物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザー光によるヒ
ートモード記録によって、湿し水を必要としない印刷が
できる湿し水不要平版印刷版(以下、水なし平版と称
す)に関し、特に、感度及び画像再現性が良好な水なし
平版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の湿し水を必要とする印刷方式は湿
し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難し
く、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざ
ったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の
原因となる等、大きな問題点を有していた。それに対し
て、水なし平版は湿し水を必要としないために数多くの
利点を有する。
【0003】一方、近年プリプレスシステムやイメージ
セッター、レーザープリンター等の出力システムの急激
な進歩によって、印刷画像をデジタルデーター化し、コ
ンピューター・トウ ー・プレート、コンピューター・ト
ウ ー・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を
得る方法が提案されるようになり、これらの印刷システ
ムのための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進
められている。
【0004】レーザー書き込みにより水なし平版を形成
する例としては、特公昭42−21879号公報、特開
昭50−158405号公報、特開平6−55723号
公報、同6−186750号公報、US5,353,7
05号公報及びWO−9401280号公報、特開平7
−314934号公報、同5−94008号公報等が挙
げられる。これらにはカーボンブラック等のレーザー光
吸収剤及びニトロセルロース等の自己酸化性のバインダ
ーを含有した記録層、あるいは、ある種の金属薄膜より
なる記録層上にインキ反撥性のシリコーンゴム層を設
け、レーザー照射によりシリコーンゴム層の一部を除去
してインク付着性とし、水なし印刷することが記載され
ている。しかし、これらはシリコーンゴム層の除去がレ
ーザー照射による記録層のアブレーションによるもので
あるために、細線の直線性及び網点の真円性に乏しく、
印刷画像としては不満足であり、その改良が強く望まれ
ていた。さらに、金属薄膜よりなる記録層は、一般的に
レーザー光に対する反射率が高いため、レーザー光のエ
ネルギーを有効に利用することができず、記録層のアブ
レーションに大きな光エネルギーが必要となる。従っ
て、高速走査で画像書き込みするには、大出力のレーザ
ー光源が必要となり、画像記録装置が大型で、且つ、高
価なものとなるという欠点を有しており、その改善が強
く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、レーザー光によるヒートモード記録が可能であり、
感度及び画像再現性に優れた、湿し水不要平版印刷原版
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意検討の
結果、支持体、該支持体上にヒートモード記録層、及び
該ヒートモード記録層上にインキ反撥性のシリコーンゴ
ム層を有する湿し水不要平版印刷原版であって、該ヒー
トモード記録層が、金属ホウ化物、金属ケイ化物、金属
炭化物、金属窒化物、金属酸化物及び金属ハロゲン化物
からなる群より選ばれる金属化合物の一種以上、金属、
並びに金属硫化物を含有することによって前記の目的を
達成するに至った。
【0007】本発明において、ヒートモード記録層と
は、露光された光を熱に変換しその熱によってこの層の
上にある層(本発明では、シリコーンゴム層)における
保持力を低下させる機能を有する層をいう。この機能と
して、好ましいのは、例えば、熱によりアブレーション
(溶融・凝集)し、その結果として、上層が水なし平版
から剥がれ易くなる機能である。
【0008】本発明において、ヒートモード記録層は、
金属ホウ化物、金属ケイ化物、金属炭化物、金属窒化物
及び金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる金属化合
物の一種以上、金属、並びに金属硫化物を含有し、金属
化合物及び金属のみを含有するヒートモード記録層に比
べ、レーザー光に対する反射率が低下し、且つ、熱伝導
性が低下するため、レーザー光のエネルギーを有効に利
用できる。その結果、レーザー書き込みによる感度及び
画像再現性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。
【0010】本発明の水なし平版に用いられるヒートモ
ード記録層に用いられる金属化合物は、TiB2 、Zr
2 、CaB6 、SrB6 、NbB2 、MoB2 、Ta
2等の金属ホウ化物、V3 Si、FeSi2 、B6
i等の金属ケイ化物、SiC、VC、ZrC、B4 C、
HfC、TiC等の金属炭化物、TiN、TaN、Si
3 4 等の金属窒化物、PbO、WO2 、WO3 、Ti
O、Ti2 3 、SiO、SiO2 、In2 O、In
O、In2 3 、Al2 3 、MoO、MoO2、Mo
3 、GeO、GeO2 、CdO、Ga2 O、Ga2
3 、Na2 O、ReO2 、ReO3 、Re2 7 、Zn
O、SnO、Sm2 3 、Eu2 3 、Y 2 3 、V2
3 、VO2 、Nb2 5 、HfO2 、La2 3 、Y
2 3 、ZrO2 、Nd2 3 、CeO2 、MnO、
NiO等の金属酸化物、MgF2 、CaF2 、Rh
3 、PbF3 、AgCl、PbCl2 、SnCl2
KCl、AgBr、PbBr2 、CuBr、AgI、P
bI2 、SnI2 、CuI、KI等の金属ハロゲン化物
から選ばれ、これらの化合物を単一あるいは二つ以上組
み合わせて用いてもよい。これらのうち、効果の観点か
ら、金属ホウ化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物等が
好ましく、具体的には、TiB2 、ZrB2 、In 2
3 、Al2 3 、TiO、WO3 、GeO2 、Mo
2 、ZrO2 、MgF 2 、CaF2 等が好ましい。
【0011】また、該ヒートモード記録層に用いられる
金属としては、Mg、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、
Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、A
g、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、G
e、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te等が挙
げられ、これらは単独で用いてもよく、2つ以上の組み
合わせ又は合金として用いても良い。これら金属のなか
でも、低融点あるいは低反射率のものとしてMg、M
n、Zn、Al、In、Sn、Bi、Te等が好まし
く、さらに、無公害性の点からはMg、Mn、Zn、A
l、In、Snが好ましい。
【0012】本発明のヒートモード記録層に用いられる
金属硫化物としては、CrS、Cr 2 S、Cr2 3
MoS2 、MnS、FeS、FeS2 、CoS、Co2
3、NiS、Ni2 S、PdS、Cu2 S、Ag
2 S、ZnS、In2 3 、In 2 S2、GeSx(x
は、0<x≦2の範囲の数)、SnS、SnS2 、Pd
S、As2 3 、Sb2 3 、Bi2 3 、Ga2 3
等が挙げられ、これらの硫化物を単一あるいは二つ以上
組み合わせて用いてもよい。効果の観点から、特に好ま
しい金属硫化物は、NiS、GeSx(xは、0<x≦
2の範囲の数)、SnS、In2 3 である。
【0013】本発明のヒートモード記録層を支持体上に
設ける方法としては、前記の金属化合物及び金属並びに
金属硫化物を蒸着(抵抗加熱、電子ビーム加熱)する方
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の種
々の方法を用いることができる。
【0014】本発明のヒートモード記録層は、金属化合
物、金属及び金属硫化物を含有する単一層で構成されて
もよいし、金属化合物を含有する層、金属を含有する層
及び金属硫化物を含有する層を含む多層構成としたり、
金属化合物、金属及び金属硫化物の2種以上を含有する
層と金属化合物、金属又は金属硫化物を含有する層とを
含む多層構成、金属化合物、金属及び金属硫化物の2種
以上を含有する層の組み合わせからなる多層構成(さら
に、これらの層の交互多層構成でもよい。)等の種々の
構成とすることができる。
【0015】熱の反射を低下させる観点から、ヒートモ
ード記録層のレーザー光入射側はレーザー光入射側と反
対側より単位体積当たり金属硫化物を多く含んでいるこ
とが好ましい。
【0016】本発明の好ましい態様として、例えば、金
属化合物及び金属を含有する層並びに少なくとも金属硫
化物を含有する層を含むヒートモード記録層を挙げるこ
とができる。
【0017】上記の好ましい態様の金属化合物及び金属
を含有する層を設ける一つの好適な方法としては、真空
槽内で蒸着法を用いる際に、金属化合物と金属とを別の
蒸着源を用い、金属は抵抗加熱により、金属化合物は電
子ビームにより同時に蒸着を行う方法がある。両者の混
合率の制限は、各々の蒸発源に対して水晶振動型の膜厚
モニターを配置し、それにより蒸発速度を制御すること
により行うことができる。
【0018】この時、上記金属化合物及び金属を含有す
る層における金属化合物の好ましい配合比は、1〜80
体積%であり、より好ましくは5〜60体積%であり、
さらに好ましくは10〜40体積%である。金属化合物
の配合比が1体積%未満では、感度及び画像再現性の改
良が不十分であり、80体積%を超えると、感度及び画
像再現性が低下するため、いずれも好ましくない。
【0019】上記金属化合物及び金属を含有する層の厚
さは、50オングストローム未満では光吸収率が小さく
感度が低下し、1000オングストロームを超えると感
度及び画像再現性の低下が起きるため、50〜1000
オングストロームが好ましく、より好ましくは100〜
800オングストロームである。
【0020】一方、好ましい態様における少なくとも金
属硫化物を含有する層は、上記金属化合物及び/又は金
属を含有しても良く、該層における金属硫化物の配合比
は、100〜50体積%であり、好ましくは100〜6
0体積%である。金属硫化物の配合比が50体積%未満
では、十分な反射率低下効果が得られないため好ましく
ない。また、少なくとも金属硫化物を含有する層の厚さ
は、10オングストローム未満では感度及び画像再現性
の改良が不十分であり、500オングストロームを超え
ると感度及び画像再現性が低下するため、10〜500
オングストロームが好ましく、より好ましくは、50〜
300オングストロームである。
【0021】上記構成のヒートモード記録層の光学濃度
は、レーザー光のエネルギーを有効に利用する観点から
0.25以上であることが好ましく、0.5以上である
ことがより好ましく、1.0〜2.0であることがさら
に好ましい。
【0022】本発明の水なし平版は、支持体上に、少な
くとも、ヒートモード記録層及びシリコーンゴム層を順
次積層してなるものであるが、この水なし平版は通常の
印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印
刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従
って、水なし平版に用いられる代表的な支持体として
は、コート紙、アルミニウムのような金属板、ポリエチ
レンテレフタレートのようなプラスチックフィルム、ゴ
ムあるいはそれらを複合させたものを挙げることがで
き、より好ましくはアルミニウム、アルミニウム含有合
金(例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル等の金属と、アルミ
ニウムとの合金)及びプラスチックフィルムである。
【0023】支持体の膜厚は25μmから3mm、好ま
しくは75μmから500μmが適当であるが、用いる
支持体の種類と印刷条件により最適な厚さは変動する。
一般には100μmから300μmが最も好ましい。
【0024】本発明においては、支持体とヒートモード
記録層間の接着性向上、印刷特性向上又は高感度化のた
めに、支持体にコロナ処理等の表面処理を施したり、プ
ライマー層を設けることができる。本発明に用いられる
プライマー層としては、例えば、特開昭60−2290
3号公報に開示されているような種々の感光性ポリマー
を感光性樹脂層を積層する前に露光して硬化せしめたも
の、特開昭62−50760号公報に開示されているエ
ポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開昭63−133
151号公報に開示されているゼラチンを硬膜せしめた
もの、さらに特開平3−200965号公報に開示され
ているウレタン樹脂とシランカップリング剤を用いたも
のや特開平3−273248号公報に開示されているウ
レタン樹脂を用いたもの等を挙げることができる。この
他、ゼラチン又はカゼインを硬膜させたものも有効であ
る。さらに、前記のプライマー層中に、ポリウレタン、
ポリアミド、スチレン/ブタジエンゴム、カルボキシ変
性スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタ
ジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル/ブタジ
エンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエ
チレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、ハロゲン
化ポリヒドロキシスチレン、ニトロセルロース等のポリ
マーを添加しても良い。その添加割合は任意であり、フ
ィルム層を形成できる範囲内であれば、添加剤だけでプ
ライマー層を形成しても良い。また、これらのプライマ
ー層には前記の目的に沿って、染料、光重合開始剤、接
着助剤(例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、シラン
カップリング剤、チタネートカップリング剤やアルミニ
ウムカップリング剤)、顔料、シリカ粉末や酸化チタン
粉末等の添加物を含有させることもできる。また、塗布
後、露光によって硬化させることもできる。一般に、プ
ライマー層の塗布量は乾燥重量で0.05〜10g/m
2 の範囲が適当であり、好ましくは0.1〜8g/m2
であり、さらに好ましくは0.2〜5g/m2 である。
【0025】本発明において用いられるインキ反撥性の
シリコーンゴム層は、縮合型シリコーンを架橋剤を用い
て硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により付加重
合させて形成することが好ましい。即ち、前記のヒート
モード記録層上に、シリコーンゴムの皮膜を反応形成さ
せるものである。縮合型シリコーンを用いる場合には、
(a)ジオルガノポリシロキサン100重量部に対し
て、(b)縮合型架橋剤を3〜70重量部、(c)触媒
0.01〜40重量部を加えた組成物を用いるのが好適
である。
【0026】前記成分(a)のジオルガノポリシロキサ
ンは、下記一般式で示されるような繰り返し単位を有す
るポリマーである。R1 及びR2 は炭素数1〜10のア
ルキル基、ビニル基、アリール基であり、またその他の
適当な置換基を有していても良い。一般的にはR1 及び
2 の60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニ
ル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】このようなジオルガノポリシロキサンは両
末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。
【0029】また、前記成分(a)は、数平均分子量が
3,000〜100,000であり、より好ましくは、
10,000〜70,000である。
【0030】成分(b)の架橋剤は縮合型のものであれ
ばいずれであってもよいが、次の一般式で示されるよう
なものが好ましい。
【0031】
【化2】
【0032】ここでR1 は先に説明したR1 と同じ意味
であり、Xは、Cl、Br,I等のハロゲン原子、水素
原子、水酸基、或いは、以下に示す如き有機置換基を表
す。
【0033】
【化3】
【0034】式中、R3 は炭素数1〜10のアルキル基
及び炭素数6〜20のアリール基を、R4 、R5 は炭素
数1〜10のアルキル基を示す。
【0035】成分(c)としては、錫、亜鉛、鉛、カル
シウム、マンガン等の金属カルボン酸塩、例えば、ラウ
リン酸ジブチル、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等、ある
いは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙げられる。
【0036】付加型シリコーンを用いる場合には、
(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキ
サン100重量部に対して、(e)オルガノハイドロジ
ェンポリシロキサン0.1〜25重量部及び(f)付加
触媒0.00001〜1重量部を添加した組成物を用い
ることが好ましい。
【0037】上記成分(d)の付加反応性官能基を有す
るジオルガノポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原
子に直接結合したアルケニル基(より好ましくはビニル
基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン
で、アルケニル基は分子の末端、中間いずれにあっても
よく、アルケニル基以外の有機基として、置換若しくは
非置換の炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を有
していてもよい。また、成分(d)には水酸基を微量有
することも任意である。成分(d)は、数平均分子量が
3,000〜100,000であり、より好ましくは、
10,000〜70,000である。
【0038】成分(e)としては、両末端に水素基を有
するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシ
ロキサン、両末端にメチル基を有するメチルシロキサン
−ジメチルシロキサン共重合体、環状ポリメチルシロキ
サン、両末端にトリメチルシリル基を有するポリメチル
シロキサン、両末端にトリメチルシリル基を有するジメ
チルシロキサン−メチルシロキサン共重合体等が例示さ
れる。
【0039】成分(f)としては、公知の重合触媒の中
から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望まし
く、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位
白金等が例示される。
【0040】これらの組成物においてシリコーンゴム層
の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビ
ニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロ
キサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル等の架橋抑制剤
を添加することも可能である。
【0041】なお、シリコーンゴム層には必要に応じ
て、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の
微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤やアルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や
光重合開始剤を添加しても良い。
【0042】本発明に係るインキ反撥性のシリコーンゴ
ム層は、厚さが小さいとインキ反撥性が低下し、傷が入
りやすい等の問題点があり、厚さが大きい場合、現像性
が悪くなるという点から、厚みとしては乾燥膜厚として
0.5〜5g/m2 が好ましく、より好ましくは1〜3
g/m2 である。
【0043】この水なし平版において、シリコーンゴム
層の上に、耐刷性、耐傷性、画像再現性及び汚れ性等の
向上の目的で、さらに種々のシリコーンゴム層を塗工し
ても良い。
【0044】さらに、シリコーンゴム層は柔軟で傷がつ
きやすいため、表面保護の目的で、シリコーンゴム層上
に透明なフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、ポリビニル
アルコール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン
等をラミネートしたり、ポリマーのコーティングを施し
ても良い。これらのフィルムは延伸して用いても良い。
また、表面にマット加工を施しても良いが、画像再現性
の観点から、マット加工の無いものの方が本発明では好
ましい。
【0045】本発明においては、製版即ち記録に用いら
れるレーザー光エネルギーが、本発明の水なし平版のヒ
ートモード記録層に吸収されてヒートモード記録層のア
ブレーションが起き、結果としてレーザー露光部のヒー
トモード記録層とシリコーンゴム層の間の密着力が低下
し、露光部におけるシリコーンゴム層を容易に除去する
ことができる。
【0046】本発明において、水なし平版を露光するの
に使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が剥離除去
されるのに十分な密着力の低下が起きるのに必要な露光
量を与えるものであれば特に制限はなく、Arレーザ
ー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレ
ーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等
が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザ
ーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、
半導体レーザー及び半導体励起の固体レーザー(YAG
レーザー等)が好適に使用される。
【0047】これらのレーザーの記録波長は赤外線の波
長領域であり、800nmから1100nmの発振波長
を利用することが多い。
【0048】また、特開平6−186750号公報に記
載されているイメージング装置を用いて露光することも
可能である。
【0049】前記の如くシリコーンゴム層の表面保護の
ためのフィルムを設ける場合には、レーザー露光する際
には光透過性のフィルムであればそのまま露光しても良
いし、剥がした後に露光しても良い。
【0050】本発明の水なし平版を製版する際に用いら
れる現像液としては、水なし平版の現像液として公知の
もの、例えば、炭化水素類、極性溶媒、水及びこれらの
組み合わせ等、が使用できるが、安全性の観点から、水
又は水を主成分とする有機溶剤の水溶液を用いることが
好ましく、安全性及び引火性等を考慮すると有機溶剤の
濃度は40重量%未満が望ましい。
【0051】用い得る炭化水素類としては、脂肪族炭化
水素類〔具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ガ
ソリン、灯油、市販の溶剤である”アイソパーE、H、
G”(エッソ化学社製)等〕、芳香族炭化水素類(例え
ば、トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化
水素(トリクレン等)等が挙げられる。また、極性溶媒
としては、アルコール類(具体的には、例えば、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキ
シルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレン
グリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコ
ール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類
(例えば、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエ
チレングリコールアセテート、ジエチルフタレート
等)、その他、トリエチルフォスフェート、トリクレジ
ルフォスフェート等が挙げられる。また、単に水道水、
純水、蒸留水等の水そのものを用いることもできる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上、例えば、炭化水
素類に水を添加したり、極性溶媒に水を添加したり、炭
化水素類と極性溶媒を組み合わせて、用いることもでき
る。
【0052】さらに、上記炭化水素類や極性溶媒のうち
水に対する親和性の低いものについては界面活性剤等を
添加して水に対する溶解性を向上させてもよい。また、
界面活性剤とともにアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウ
ム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加
することもできる。
【0053】現像は、例えば、上記のような現像液を含
む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版面に注
いだ後に水中にて現像ブラシでこする等、公知の方法で
行うことができる。現像液温は任意の温度とすることが
できるが、好ましくは10℃〜50℃である。これによ
り画像部のインキ反撥層が除かれ、その部分がインキ受
容部となる。
【0054】また、このように処理された刷版を積み重
ねて保管する場合には、刷版を保護するために合紙を挿
入し挟んでおくことが好ましい。
【0055】以上のような現像処理、又はそれに続く水
洗、乾燥処理は、自動処理機で行うこともできる。この
ような自動処理機の好ましいものは、特開平2−220
061号公報に記載されている。
【0056】また、本発明の水なし平版は接着層をシリ
コーンゴム層表面に張り合わせた後に、接着層を剥離す
ることにより現像することも可能である。接着層は、シ
リコーンゴム層の表面に密着できる公知のものがいずれ
も使用できる。これらの接着層を可撓性支持体に設けた
ものは、例えば、住友スリーエム社の「スコッチテープ
#851A」の商品名で市販されている。
【0057】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。
【0058】(実施例1〜13、比較例1〜9)厚さ1
88μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に、蒸
着真空度5×10-5Torrの条件下に、表1に示した
金属と金属化合物とを別の蒸発源を用い、金属は抵抗加
熱により、金属化合物は電子ビームにより同時に蒸着を
行い、金属化合物及び金属を含有する第1の層を形成し
た。両者の混合率の制限は、各々の蒸発源に対して水晶
振動型の膜厚モニターを配置し、それにより蒸発速度を
制御することにより行った。この時の第1の層の厚み
は、300オングストロームであり、金属化合物の配合
比は、体積パーセントで10%に調製した。次に、表1
に示した金属硫化物を、蒸着真空度5×10-5Torr
の条件下に、100オングストロームの厚みになるよう
に、電子ビーム蒸着を行い、金属硫化物を含有する第2
の層を形成した。次いで、下記の塗布液を前記第1の層
及び第2の層で構成されたヒートモード記録層上に塗布
し、加熱(110℃、1分)、乾燥することにより、乾
燥膜厚2μmの付加型シリコーンゴム層を形成し、水な
し平版印刷版を得た。
【0059】 〔シリコーンゴム層塗布液組成〕 α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合度:約700)9.00g (CH3)3 -Si-O-(SiH(CH3)-O)8-Si(CH3)3 0.60g ポリジメチルシロキサン(重合度:約8000) 0.50g オレフィン−塩化白金酸 0.08g 重合抑制剤[HC≡C-C(CH3)2-O-Si(CH3)3] 0.07g アイソパーG(エッソ化学(株))製 55g 得られた本発明の水なし平版に、シリコーン層側から、
波長1064nm、ビーム径40μm(1/e2 )の半
導体励起YAGレーザーを用いて連続線の書き込みを走
査速度を変えて行い、その後、イソプロパノールを含ま
せた現像用パッドで版面拭き、レーザー照射部のシリコ
ーンゴム層を除去した。この時、レーザー未照射部のシ
リコーン層は除去されずに水なし平版表面に保持され、
シャープなエッジのシリコーン画像が形成できた走査速
度を書き込みしきい値として、感度及び線画像再現性の
比較を行った。その結果を表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】以上より、金属ホウ化物、金属ケイ化物、
金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物及び金属ハロゲン
化物からなる群より選ばれる金属化合物並びに金属を含
有する第1の層と金属硫化物を含有する第2の層とで構
成されるヒートモード記録層によれば、金属ホウ化物、
金属ケイ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物及
び金属ハロゲン化物からなる群より選ばれる金属化合物
及び金属を含有する層のみからなるヒートモード記録層
に比べ、低エネルギーのレーザー照射で良好な画像が得
られることが明らかとなった。
【0062】(実施例14)厚さ100μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に、下記組成の塗布液を塗
布し、加熱(100℃、1分)、乾燥することにより、
乾燥膜厚0.2μmのプライマー層を設ける以外は、実
施例5と同様の方法で水なし平版を得た。この水なし平
版に、出力110mW、波長830nm、ビーム径10
μm(1/e 2 ) の半導体レーザーを用いて、主走査速
度6m/秒にてシリコーン層側から書き込みを行い、そ
の後、スコッチテープ#851A(住友スリーエム社
製)をシリコーンゴム層表面に張り合わせた後、剥離し
て、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した。
【0063】 〔プライマー層塗布液組成〕 塩素化ポリエチレン 1重量部
【0064】
【化4】
【0065】 メチルエチルケトン 10重量部 シクロヘキサン 100重量部 かくして得られた印刷版の解像力は7μmであり、シャ
ープなエッジの水なし平版印刷版が形成された。この記
録条件にて、200線の網点形成を行ったところ網点面
積率2%から98%までが版上に形成でき、感度、画像
再現性ともに優れていることが確認された。
【0066】(実施例15)厚さ188μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に、金属硫化物としてSn
Sを、蒸着真空度5×10-5Torrの条件下に、10
0オングストロームの厚みになるように、電子ビーム蒸
着を行い、金属硫化物を含有する第1の層を形成した。
次に、蒸着真空度5×10-5Torrの条件下に、金属
としてのSnと金属化合物としてのIn2 3 を別の蒸
発源を用い、金属は抵抗加熱により、金属化合物は電子
ビームにより同時に蒸着を行い、金属化合物及び金属を
含有する第2の層を形成した。両者の混合率の制限は、
各々の蒸発源に対して水晶振動型の膜厚モニターを配置
し、それにより蒸発速度を制御することにより行った。
この時の第1の層の厚みは、300オングストロームで
あり、金属化合物の配合比は、体積パーセントで10%
に調製した。次いで、実施例1〜実施例14と同様のシ
リコーンゴム層塗布液を前記第1の層及び第2の層で構
成されたヒートモード記録層上に塗布し、加熱(110
℃、1分)、乾燥することにより、乾燥膜厚2μmの付
加型シリコーンゴム層を形成し、水なし平版印刷版を得
た。
【0067】得られた本発明の水なし平版に、支持体側
から、波長1064nm、ビーム径40μm(1/
2 )の半導体励起YAGレーザーを用いて連続線の書
き込みを走査速度を変えて行い、その後、イソプロパノ
ールを含ませた現像用パッドで版面拭き、レーザー照射
部のシリコーンゴム層を除去した。この時、レーザー未
照射部のシリコーン層は除去されずに水なし平版表面に
保持され、シャープなエッジのシリコーン画像が形成で
きた走査速度を書き込みしきい値として、感度及び線画
像再現性の比較を行い、書き込みしきい値8を得た。
【0068】
【発明の効果】本発明の湿し水不要平版印刷原版によれ
ば、レーザー光によるヒートモード記録が可能であり、
感度及び画像再現性に優れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、該支持体上にヒートモード記録
    層、及び該ヒートモード記録層上にインキ反撥性のシリ
    コーンゴム層を有する湿し水不要平版印刷原版であっ
    て、 該ヒートモード記録層は、金属ホウ化物、金属ケイ化
    物、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物及び金属ハロ
    ゲン化物からなる群より選ばれる金属化合物の一種以
    上、金属、並びに金属硫化物を含有することを特徴とす
    る湿し水不要平版印刷原版。
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