JPH09293357A - インデックスラベル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明カートリッジに用いて好適な、透明で印
刷性、耐水性、保存安定性、耐ブロッキング性、耐傷つ
き性に優れたインデックスラベルを提供する。 【解決手段】 透明樹脂からなる基体の裏面に粘着剤を
設け、表面にインク受容層を設けた透明インデックスラ
ベル。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体や光磁
気記録媒体等の記録媒体を収容するケース（カートリッ
ジと云う）に貼付けるインデックスラベルに関する。特
に、透明性、印字特性、耐水性、保存安定性、耐ブロッ
キング性及び耐傷つき性に優れたインデックスラベルに
関する。

【０００２】

【従来の技術】記録媒体に情報収録した内容はインデッ
クスラベルにボールペン、水性インキペン、油性インキ
ペン、鉛筆等の筆記用具により記載し、媒体を収容した
ケース（カートリッジ）に貼り明示することが行われて
いる。従来のインデックスラベルの基体は、紙質をベー
スに使用され例えば、上質紙、合成紙が一般的に用いら
れ基体の裏面に粘着剤と剥離膜（紙）を具備し、抜き型
により所定のサイズに打ち抜きしたものを記録媒体を収
容したケースに添付し、売られている。

【０００３】これらの基体は上質紙の場合、印字特性で
はにじみが発生すること、耐水性、保存安定性に劣り、
場合により基体の収縮により、貼り合せたラベルの一部
が剥離する問題がある。又、合成紙はインク成分を吸収
しないため筆記面に流れや、にじみが起き印字特性が劣
る。

【０００４】一方近年、磁気記録媒体や光磁気記録媒体
等を収容するケースは透明樹脂ならびに着色透明樹脂で
成形し、内部に収納されている記録媒体（ディスクやテ
ープ等）が外部から容易に視認できるようにして、記
録、再生状態を容易に把握することができる形態になっ
ているものがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のインデックスラ
ベルは前述のように不透明なものであったので透明なケ
ースに使用した場合内部の視認が不能となった。インデ
ックスラベルを透明なものとできれば、この問題が解消
される。このため、基体として透明な合成樹脂フィルム
をインデックスラベルに用いることが考えられるが、合
成樹脂は印字特性が十分でなく、透明性と印字特性の両
者を満足するインデックスラベルの出現が望まれる。本
発明は上記実情に鑑みてなされたものであり透明性、印
字特性、筆記特性、耐水性、保存安定性、耐ブロッキン
グ性及び耐傷つき性に優れたインデックスラベルを提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のインデックスラ
ベルは裏面に粘着剤を有する光透過性基体上にポリビニ
ルアセタール樹脂にモース硬度１〜４の有機高分子微粒
子を含有させたインク受容層を設けたことを特徴とする
ものである。ポリビニルアセタール樹脂としては芳香族
ポリビニルアセタール樹脂を用いるのが望ましい。

【０００７】ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール
化度が２〜４０モル％のものであることが望ましい。ま
た、インク受容層に含有させる有機高分子微粒子はアク
リル樹脂微粒子であることが望ましい。更に、光透過性
基体は、合成樹脂フィルムであって、フィルムの厚みが
１０μ〜２００μのものであることが望ましい。

【０００８】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
インデックスラベルは光透過性の基体すなわち透明材料
からなる基体上に設けられた受容層（インク、鉛筆等を
受容し、固定する層）としてポリビニルアセタール樹脂
にモース硬度１〜４の有機高分子微粒子を含有させた層
を用いることを特徴とする。

【０００９】ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニル
アルコールにアルデヒドを反応させてアセタール化する
ことにより合成される。またポリ酢酸ビニルを用いて鹸
化とアセタール化を並行して行って合成することもでき
る。アセタール化の方法としては、溶解法、沈殿法、均
一系法等、従来公知の方法を採用することができる。

【００１０】ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポ
リビニルアルコールとしては一般的に重合度が３００〜
４５００、好ましくは５００〜４５００のものが用いら
れる。ポリビニルアルコールの鹸化度は高い方が、得ら
れるインデックスラベルのインク定着性及び耐水性が良
好になる。また、ポリビニルアルコールの鹸化度は、通
常、８０〜９９．５％程度である。

【００１１】一方、ポリビニルアセタールの合成に用い
るアルデヒドとしては、脂肪族アルデヒド、芳香族アル
デヒド等が挙げられる。このうち脂肪族アルデヒドとし
てはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアル
デヒド、ヘキシルアルデヒド、等が挙げられる。また、
芳香族アルデヒドとしてはベンズアルデヒド、２−メチ
ルベンズアルデヒド、３−メチルベンズアルデヒド、４
−メチルアルデヒド、クロルベンズアルデヒド等の置換
基を有するベンズアルデヒド類、フェニルアセトアルデ
ヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、等のフェニ
ル置換基を有するものや、芳香族環にヒドロキシル基、
アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、等の置換基を有す
るもの等が挙げられる。

【００１２】これらのうち得られるインデックスラベル
のインクの定着性、耐水性及び透明性がいずれも良好と
なる点で芳香族アルデヒドが好ましく用いられる。本発
明で使用されるポリビニルアセタール樹脂のアセタール
化度は、好ましくは２〜４０モル％の範囲であり、より
好ましくは３〜３０モル％、特に好ましくは５〜２０モ
ル％の範囲である。

【００１３】このアセタール化度が低すぎる場合は、得
られるインデックスラベルのインク定着性は良いが耐水
性が不良であり、逆にアセタール化度が高すぎると、耐
水性は良好であるがインクの定着性が悪くなる。なお、
ここでアセタール化度とは、ポリビニルアセタール樹脂
中に含まれるアセタール基のモル数をＡ、アセチル基の
モル数をＢ、水酸基のモル数をＣとした場合、下記式で
表される値である。

【００１４】

【数１】 ｛Ａ／（Ａ＋Ｂ＋Ｃ）｝×１００ 〔モル％〕

【００１５】本発明のインデックスラベルは、受容層に
上記ポリビニルアセタール樹脂と共に、有機高分子微粒
子を含有する。本発明においては有機高分子微粒子とし
て、モース硬度１〜４、好ましくは１〜３のものを用い
る。具体的には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素ホ
ルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリコー
ン樹脂、フッ素樹脂等の有機高分子物質の微粒子が挙げ
られる。

【００１６】これらのうち、得られるインデックスラベ
ルの透明性、ブロッキングの抑制及び耐傷つき性が良好
となることから、アクリル樹脂微粒子が好ましい。な
お、シリカや酸化チタンからなる微粒子では硬すぎて傷
つきが生じ、またタルクではモース硬度は低いが、イン
デックスラベルの透明性が低下してしまう。このような
有機高分子微粒子の粒径は０．１〜３０μの範囲が好ま
しく、特に３〜３０μの範囲であることが好ましい。こ
の粒径が大き過ぎると、印字ドットの真円性が低下し、
逆に小さ過ぎるとインデックスラベルのブロッキングが
起り易くなる。

【００１７】有機高分子微粒子の粒子形状は真球状に近
いほど良い。即ち粒子形状が真球状に近いほど受容層の
透明度が高く、傷も発生し難くなる。本発明のインデッ
クスラベルの受容層に含まれる有機高分子微粒子の量が
多過ぎるとブロッキングは起こりにくくなるが、反面イ
ンデックスラベルの透明性が低下し逆に、少なすぎると
透明性は良好であるものの、ブロッキングが起こり易く
なる。

【００１８】このため有機高分子微粒子は、受容層を形
成するポリビニルアセタール樹脂１００重量部に対して
１〜２０重量部、特に１〜１０重量部とするのが好まし
い。なお、本発明のインデックスラベルを構成する光透
過性基体としては、光透過性の良好なものであれば良
く、任意のものを使用できる。例えば、ポリエステル、
セルロイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の
樹脂フィルム等を用いることが出来る。

【００１９】本発明のインデックスラベルの粘着剤は、
一般的に使用されている粘着剤で、再剥離の機能を満足
するものであれば特に制限されない。たとえばアクリル
系、ゴム系、シリコン系の粘着剤が一般的に使用され
る。又、本発明のインデックスラベルのセパレーター
（剥離膜）は、通常、クラフト紙にポリエチレンフィル
ムをラミネートし、シリコーン処理したもの等を用いる
が、粘着剤との離型があれば上記構成に制限されない。

【００２０】本発明のインデックスラベルは、このよう
に光透過性基体表面に、ポリビニルアセタール樹脂及び
有機高分子微粒子を含む塗液をバーコーター法、ロール
コーター法、ブレードコーター法等の方法により塗布し
た後、乾燥させて受容層を形成し、次いで光透過性基体
裏面に粘着剤をインク受容層と同じ方法等により塗布
し、セパレーターを貼り、容易に製造できる。

【００２１】なお本発明においては、本発明の効果を妨
げない範囲内で受容層に各種添加剤を併用しても良い。
例えば、水性インクの吸着能改善剤として、グリセリ
ン、ポリエチレングリコール、界面活性剤等を、また、
インクの耐候性向上剤として紫外線吸収剤、ｐＨ調整剤
等を添加しても良い。

【００２２】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。

【００２３】実施例１ 重合度１６００、鹸化度９０モル％のポリビニルアルコ
ール２４０ｇに水２ｋｇを加えて加熱し、ポリビニルア
ルコールが溶解したら、液を冷却して３５重量％、塩酸
１２０ｇ及びフェニルアセトアルデヒド５０ｇを加え、
１０℃で５時間反応させた。こうして合成されたポリビ
ニルフェニルアセトアセタール樹脂のアセタール化度は
１５モル％であった。

【００２４】この樹脂を水：イソプロピルアルコール＝
１：１の混合溶媒に溶解した液９６重量部（ポリビニル
フェニルアセトアセタール樹脂の固形分換算値）に、ア
クリル樹脂微粒子｛「ＢＲ８９」（商品名）、三菱レイ
ヨン（株）社製、中心粒径２０μｍ、モース硬度２．
５｝を４重量部加えて溶解操作を行い、次いでバルブホ
モジナイザー（ＡＰＶ Ｇａｕｌｉｎ ＩＮＣ．製）で
圧力２００ｋｇ／ｃｍ²にて分散操作を行って塗料を調
製した。この塗料を厚み５０μのポリエチレンテレフタ
レートフィルム（「Ｔ６００」ダイヤホイル（株）製を
コロナ処理したもの）上にバーコーターにより塗布し、
１２０℃で１０分間乾燥することにより、乾燥膜厚７μ
ｍのインク受容層を形成した。次いで、透明粘着剤
｛「ＰＬシン」（商品名）リンテック（株）｝を３０μ
ｍバーコーターにより塗布した後、セパレーター（剥離
膜）｛「８ＬＫＹ」（商品名）、リンテック（株）｝を
粘着剤層に貼り合せた。作成したインデックスラベルは
以下の方法に従って評価し、結果を表１に示した。なお
印刷特性は、市販のインクジェットプリンター（Ｈｅｗ
ｌｅｔ Ｐａｃｋａｒｄ製「５６０Ｃ」）を用いた。

【００２５】（１）透明性 粘着剤の塗布前の受容層を塗布したポリエチレンテレフ
タレートフィルムの透明度を「マクベスＴＲ９２７」
（商品名）を用いて測定した。 （２）印字特性 インデックスラベルにインクジェットプリンターにて印
刷を行い、印字ドットを実態顕微鏡で観察した。印字ド
ットが円形で、４色のインクを重ねて記録した場合でも
インクの流れ出しがなく、画像が鮮明なものを○、それ
以外を×と判定した。

【００２６】（３）耐水性 インデックスラベルにインクジェットプリンターにて印
刷を行い、印刷後１時間経過したシートを水道水に１分
間浸した後、引き上げた直後のインク画像の状態を観察
し、水を乾燥させると元の状態に戻るものを○、インク
が一部溶出し、インク受容層が膨潤するものを△、イン
ク受容層が流れ去るものを×と判定した。

【００２７】（４）耐ブロッキング性 インデックスラベル２枚をインク受容層を対向して重
ね、その上に１００ｇの分銅（インデックスラベルへの
接地面積に５ｃｍ² ）を乗せて、６０℃、９０％ＲＨの
温湿度条件下で２０日間静置した。その後、シート同士
の貼り付きを観察した。シート面が貼り付いたものを
×、わずかに貼り付いたものを△、貼り付きが確認出来
ないものを○と判定した。

【００２８】（５）耐傷つき性 インデックスラベルを受容層を上にしてガラス上に１枚
貼り合せ、その上にインク受容層を下向きにしてインデ
ックスラベルを重ね、その上に１００ｇの分銅（インデ
ックスラベルへの接地面積は５ｃｍ² ）を乗せて１６０
ｍｍ／分の速さでラベルの長手方向と平行にガラスを１
回移動させて擦過し、インク受容層の傷の度合いを観察
した。肉眼で傷の見られるものを×、傷の確認出来ない
ものを○と判定した。

【００２９】（６）保存安定性 インデックスラベルにインクジェットプリンターにて４
色印刷を行い、印刷後のドット濃度を「マクベスＴＲ９
２７測定器」（商品名）を用いて、印刷直後と３０日経
過後のドット濃度の経時変化を測定した。３０日経過後
のドット濃度の低下率が４色の中で一番大きかった色に
ついて、印刷直後の４色各々のドット濃度を１００と
し、これに対する変化量を％で表示した。

【００３０】実施例２ ボリビニルアセタール樹脂の合成において、アルデヒド
としてブチルアルデヒドを用いたこと以外は実施例１と
同様にインデックスラベルを作成し、同様に評価を行っ
て結果を表１に示した。

【００３１】実施例３ 有機高分子微粒子としてポリスチレン樹脂微粒子｛「Ｇ
ＳＰ−７０Ｃ」（商品名）、綜研化学（株）製、平均粒
径２０μｍ、モース硬度２．５｝を用いたこと以外は、
実施例１と同様にラベルを作成し、同様に評価を行って
結果を表１に示した。

【００３２】実施例４ ポリビニルアセタール樹脂の合成において、アルデヒド
としてブチルアルデヒドを用いたこと以外は実施例３と
同様にしてシートを作成し、同様に評価を行って結果を
表１に示した。

【００３３】実施例５ アクリル樹脂微粒子の添加量を０．５重量部としたこと
以外は実施例１と同様にシートを作成し、同様に評価を
行って結果を表１に示した。

【００３４】比較例１ ポリビニルフェニルアセトアセタール樹脂の代りに、ポ
リビニルアルコール｛「ゴーセノールＧＨ１７」（商品
名）、日本合成化学工業（株）社製｝を用いたこと以外
は実施例１と同様にラベルを作成し、同様に評価を行っ
て結果を表１に示した。

【００３５】比較例２ ポリビニルフェニルアセトアセタール樹脂の代りにポリ
エチレンオキサイド｛「ＰＥ０３」（商品名）、住友精
化（株）社製｝を用いたこと以外は、実施例１と同様に
シートを作成し、同様に評価を行って結果を表１に示し
た。

【００３６】比較例３ アクリル樹脂微粒子の代りにタルク微粒子｛「タルクＬ
ＭＳ」（商品名）、富士タルク工業（株）社製、平均粒
径２．０μｍ、モース硬度１｝を用いたこと以外は実施
例１と同様にシートを作成し、同様に評価を行って結果
を表１に示した。

【００３７】比較例４ アクリル樹脂微粒子の代りにシリカ微粒子｛「シリカマ
イクロビードＰ１５０５」（商品名）、触媒化成工業
（株）社製、平均粒径１０．０μｍ、モース硬度７｝を
用いたこと以外は実施例１と同様にシートを作成し、同
様に評価を行って結果を表１に示した。表１より、イン
ク受容層にポリビニルアセタール樹脂とモース硬度１〜
４の有機高分子微粒子とを用いた本発明のインデックス
ラベルであれば、透明性、印字特性、耐水性、耐ブロッ
キング性、耐傷つき性、保存安定性のすべての特性に優
れることが明らかである。

【００３８】

【表１】

【００３９】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のインデック
スラベルは、にじみの無い鮮明な画像が得られ、透明
性、耐水性及び保存安定性に優れしかもラベル同士のブ
ロッキングの抑制や耐傷つき性にも優れた実用的価値の
高いものである。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録媒体を収納したケースに貼り付けて
   使用するインデックスラベルであって、基体を透明材料
   とし、基体の裏面に透明な粘着剤を設け、基体の表面に
   はポリビニルアセタール樹脂にモース硬度１〜４の有機
   高分子微粒子を含有させた受容層を設けたことを特徴と
   するインデックスラベル。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のインデックスラベルに
   おいて、ポリビニルアセタール樹脂が芳香族ポリビニル
   アセタール樹脂であることを特徴とするインデックスラ
   ベル。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載のインデックスラ
   ベルにおいて、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール
   化度が２〜４０モル％であることを特徴とするインデッ
   クスラベル。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のいずれか１項に記載
   のインデックスラベルにおいて、有機高分子微粒子がア
   クリル樹脂微粒子であることを特徴とするインデックス
   ラベル。
5. 【請求項５】 請求項１に記載のインデックスラベルに
   おいて、基体が厚さ１０μ〜２００μの合成樹脂フィル
   ムであることを特徴とするインデックスラベル。