JPH09289339A - 熱電変換材料及びその製法 - Google Patents

熱電変換材料及びその製法

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JPH09289339A
JPH09289339A JP8100094A JP10009496A JPH09289339A JP H09289339 A JPH09289339 A JP H09289339A JP 8100094 A JP8100094 A JP 8100094A JP 10009496 A JP10009496 A JP 10009496A JP H09289339 A JPH09289339 A JP H09289339A
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JP8100094A
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Keiichi Yamazaki
圭一 山崎
Hiroyoshi Yoda
浩好 余田
Takusane Ueda
卓実 上田
Noboru Hashimoto
登 橋本
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主に常圧焼結法によって、高性能で機械的強
度の優れた熱電変換材料及びその製法を提供する。 【解決手段】 Bi、Te、Se及びSb元素からなる
群より選択される少なくとも2種類以上の元素を含有し
た合金の焼結体からなる熱電変換材料において、前記焼
結体中にGa又はGaを含む合金相を含有し、かつ、こ
のGa又はGaを含む合金相が前記焼結体の粒界に存在
する。前記少なくとも2種類以上の元素を含有する合金
と、含有量が熱電変換材料全量に対して、0.1〜20
容量%となるGa又はGaを含む合金との混合粉末を、
成形して得られる成形体を非酸化性雰囲気中で、前記G
a又はGaを含む合金の溶融開始温度以上で焼成して熱
電変換材料を製造する。前記成形体として、前記少なく
とも2種類以上の元素を含有する合金の粉末の表面に、
Ga又はGaを含む合金をコーティングした複合粉末を
成形して得られる成形体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はペルチェ効果を利用
した熱電変換材料及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換材料の性能は、下記に示すよう
に、ゼーベック係数α、熱伝導率κ及び比抵抗ρ(又は
電気伝導率σ)により導かれる性能指数Zを用いて評価
される。
【0003】Z=α2 /(ρ・κ)=α2 ・σ/κ すなわち、熱電変換材料の高性能化(性能指数を大きく
する)のためには、ゼーベック係数が高く、かつ、比抵
抗及び熱伝導率が共に小さいことが必要である。
【0004】従来、Bi、Te、Se及びSb元素から
なる群より選択された少なくとも2種類以上の元素を含
有する合金に適当なドーパントを添加したP型あるいは
N型熱電変換材料は、原料を溶融させた後、ゾーンメル
ト法等により一方向性凝固させることにより作製されて
いた。しかし、これらの材料は高い性能指数Zを示すも
のの、c面でへき開が生ずるため機械的強度が低く、加
工時の割れやチッピングによる材料ロスが多いという問
題点を有していた。また、溶融法によって作製されたP
型及びN型素子を交互に2枚の絶縁層間に並べて電気的
に直列に接続した熱電変換モジュールは、材料の機械的
強度の低さゆえに、長期使用における信頼性に乏しいと
いう欠点があった。
【0005】そこで、近年ではBi、Te、Se、ある
いはSb粉末を所定量秤量した混合粉末を溶解後急冷す
ることによって得られたインゴットを粉砕した後、焼結
させた焼結材料が用いられるようになりつつある。しか
し、焼結材料の性能指数Zは、溶製材料のそれよりも低
く、高い性能指数Zを有する焼結熱電変換材料の作製が
望まれている。さらに、これらの材料は難焼結性のた
め、常圧焼結では緻密な焼結体を得ることは困難であ
り、通常ホットプレス法や熱間静水圧プレス(HIP)
等の加圧焼結法が用いられている。このような加圧焼結
法では、複雑形状の焼結体を作製することは困難であ
り、また、コストパフォーマンスも低いという問題点が
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の事実に
鑑みてなされたもので、その目的とするところは、主に
常圧焼結法によって、高性能で機械的強度の優れた熱電
変換材料及びその製法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
熱電変換材料は、Bi、Te、Se及びSb元素からな
る群より選択される少なくとも2種類以上の元素を含有
した合金の焼結体からなる熱電変換材料において、前記
焼結体中にGa又はGaを含む合金相を含有し、かつ、
このGa又はGaを含む合金相が前記焼結体の粒界に存
在することを特徴とする。
【0008】本発明の請求項2に係る熱電変換材料は、
前記Gaを含む合金相の溶融開始温度が500℃以下で
あることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3に係る熱電変換材料は、
前記Ga又はGaを含む合金相を前記焼結体中に、熱電
変換材料全量に対して、0.1〜20容量%含有するこ
とを特徴とする。
【0010】本発明の請求項4に係る熱電変換材料の製
法は、請求項1乃至請求項3記載の熱電変換材料を製造
する熱電変換材料の製法において、Bi、Te、Se及
びSb元素からなる群より選択された少なくとも2種類
以上の元素を含有する合金と、含有量が熱電変換材料全
量に対して、0.1〜20容量%となるGa又はGaを
含む合金との混合粉末を、成形して得られる成形体を非
酸化性雰囲気中で、前記Ga又はGaを含む合金の溶融
開始温度以上で焼成して熱電変換材料を製造することを
特徴とする。
【0011】本発明の請求項5に係る熱電変換材料の製
法は、前記Ga又はGaを含む合金の平均粒径が50μ
m以下であることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項6に係る熱電変換材料の製
法は、前記成形体として、Bi、Te、Se及びSb元
素からなる群より選択された少なくとも2種類以上の元
素を含有する合金の粉末の表面に、Ga又はGaを含む
合金をコーティングした複合粉末を成形して得られる成
形体を用いることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。
【0014】本発明に係る熱電変換材料は、P型半導体
素子とN型半導体素子とを交互に2枚の絶縁層の間に並
べて銅電極等の電極により電気的に直列に接続したペル
チエ素子群に直流電圧を印加することによって、いわゆ
るペルチェ効果で一方の絶縁層が発熱されるとともに、
他方の絶縁層が吸熱される熱電変換モジュールに用いら
れるP型半導体素子又はN型半導体素子である熱電変換
素子が得られる材料である。
【0015】本発明に係る熱電変換材料の構成元素とし
ては、少なくとも、ビスマス(Bi)、テルル(T
e)、セレン(Se)又はアンチモン(Sb)元素のう
ち、2種類以上の元素が必要である。前記焼結体中にG
a又はGaを含む合金相を含有し、かつ、このGa又は
Gaを含む合金相が前記焼結体の粒界に存在することが
必須である。
【0016】熱電変換材料としては、例えば、Bi−T
e合金、Bi−Sb合金、Bi−Te−Sb合金、Bi
−Te−Se合金又はBi−Te−Sb−Se合金等を
用いることができるが、前記組み合わせに限定される物
ではない。前記合金相は、それを構成する元素の組成比
を変化させたり、あるいは臭素やヨウ素等の適切なドー
パントを固溶させることにより、N型熱電半導体又はP
型熱電半導体として扱うことができる。例えば、P型半
導体素子では (Bi2 Te3)0.25 (Sb2 Te 3)0.75
N型半導体素子では (Bi2 Te3)0.75 (Bi2 Se3)
0.25等が挙げられるが、この限りでないことは言うまで
もない。また、上記Bi、Te、Se及びSb元素から
なる群より選択された少なくとも2種類以上の元素を含
有する合金には、ヨウ化アンチモン、臭化水銀等のドー
パントを固溶していても構わない。一方、Ga又はGa
を含む合金は、前記Bi、Te、Se及びSb元素から
なる群より選択された少なくとも2種類以上の元素を含
有する合金(以下、Bi−Te−Se−Sb系合金と記
す)の結晶粒界に存在することが重要であり、更には、
Ga又はGaを含む合金相が前記Bi−Te−Se−S
b系合金の粒子表面を均一に被覆している構造が好まし
い。この様な微構造を有すれば、Ga又はGaを含む合
金相が電気良導体であるため、電気伝導度が向上するの
で高い性能指数Zが得られる。また、このような微構造
であれば、材料中にクラックが導入されても、粒界に存
在するGa又はGaを含む合金によりクラック先端の応
力集中が緩和され、クラックの進展を抑制することがで
きるので、材料としての寿命が伸びる。
【0017】また、前記Gaを含む合金相の溶融開始温
度が500℃以下であることが好ましい。一般に、Ga
の融点は約30℃と他の金属に比べるとかなり低く、G
aを含む合金も組成比によって変化するものの、比較的
低温で溶融する。一方、Bi−Te−Se−Sb系合金
の焼結温度は、350℃〜550℃である場合が多い。
従って、Ga又はGaを含む合金相の溶融開始温度が、
この温度よりも低い場合、Ga又はGaを含む合金相が
焼結過程で溶融し、液相が生成するので、焼結のメカニ
ズムは固相焼結よりも液相焼結が支配的となる。液相焼
結では、粒子の再配列、溶解析出、粒子の粗大化といっ
た過程を経るため、原子の拡散が早く、また固相粒子間
に進入した液相によって生ずる毛管引力は成形体を外部
から圧力を加えなくとも急速に収縮させるので、気孔の
少ない緻密な焼結体となる。したがって、機械的強度が
向上する。同時に、Bi−Te−Se−Sb系合金の粒
子表面に吸着している微量の酸素や不純物が液相に拡散
することにより、キャリア濃度の変動が抑制されるの
で、熱電性能が安定に発現する。ここで、Gaを含む合
金としては、Bi−Te−Se−Sb系合金と反応せ
ず、また大量に固溶しないような元素とから構成される
ような合金組成とし、かつ、溶融開始温度が500℃以
下となるような組成比であれば特に限定されるものでは
ない。
【0018】前記Ga又はGaを含む合金相を前記焼結
体中に、熱電変換材料全量に対して、0.1〜20容量
%含有することが好ましく、さらに好ましくは1〜10
容量%である。すなわち、Ga又はGaを含む合金相の
含有量が、熱電変換材料全量に対して、0.1容量%未
満の場合には、液相が固相粒子を十分濡らすことができ
ないので、液相焼結の効果が少なく、常圧焼結では緻密
な焼結体を得ることができず、20容量%を越える場合
には、焼結体中に占めるBi−Te系合金の割合が減少
し、性能指数Zが低下し始めるので好ましくない。
【0019】次に、本発明に係る熱電変換材料の製造方
法について説明する。本発明に係る熱電変換材料の製法
は、Bi、Te、Se及びSb元素からなる群より選択
された少なくとも2種類以上の元素を含有する合金と、
含有量が熱電変換材料全量に対して、0.1〜20容量
%となるGa又はGaを含む合金との混合粉末を用いる
ことが必要である。この、混合粉末を成形して得られる
成形体を非酸化性雰囲気中で、前記Ga又はGaを含む
合金の溶融開始温度以上で焼成して熱電変換材料を製造
する。上記製造方法では、前述したように、難焼結性の
Bi−Te−Se−Sb系合金中に液相源であるGa又
はGaを含む合金相を含有するので、液相焼結となり、
常圧焼結法によっても残留気孔の極めて少ない緻密な焼
結体が作製できる。したがって、本発明に係る熱電変換
材料の製法によって得られる熱電変換材料は、優れた電
気伝導度及び機械的強度を有し、またコストパフォーマ
ンスにも優れる。
【0020】前記Ga又はGaを含む合金の平均粒径が
50μm以下であることが好ましい。すなわち、混合粉
末中のGa又はGaを含む合金の平均粒子径が50μm
を越える場合には、このような粗大粒子が占有していた
場所に、溶融時に大きな気孔を生成し、焼結過程でこの
大きな気孔は、もはや消滅せずに残存するので好ましく
ない。
【0021】本発明に係る熱電変換材料の製法は、前記
成形体として、Bi、Te、Se及びSb元素からなる
群より選択された少なくとも2種類以上の元素を含有す
る合金の粉末の表面に、Ga又はGaを含む合金をコー
ティングした複合粉末を成形して得られる成形体を用い
ることが好ましい。すなわち、前記複合粉末を成形して
得られる成形体を用いることにより、より均一に液相が
固相粒子を濡らすことができるので、より緻密な焼結体
が得られる。
【0022】次に、混合粉末及び複合粉末を調整するた
めの具体例について説明する。混合粉末を得る方法とし
ては、特に限定されるものではないが、Bi、Te、S
e及びSb元素からなる群より選択された少なくとも2
種類以上の元素を含有する合金と、Ga又はGaを含む
合金とを所定量配合した原料粉末を、例えば、アルゴ
ン、窒素等のような不活性雰囲気中で混合機、分散機、
粉砕機等で、混合、粉砕、分散等を行うことにより混合
粉末が得られる。この混合粉末を焼結して熱電変換材料
を製造する。すなわち、前記原料粉末を、例えば、ボー
ルミルやアトライター(ユニオンプロセス社製商品
名)、遊星ボールミル等の高エネルギーボールミル、又
は振動ミル等に投入し、乾式で混合、粉砕、分散等を行
い、混合粉末を得る方法、又はエタノール、ヘキサン等
の溶媒中で、湿式で混合、粉砕、分散等を行い、混合粉
末を得る方法等が挙げられる。 複合粉末を得る方法と
しては、Bi、Te、Se及びSb元素からなる群より
選択された少なくとも2種類以上の元素を含有する合金
粉末の表面、あるいはこの粉末を造粒した顆粒表面に、
Ga又はGaを含む合金をPVD法等によりコーティン
グする方法等が挙げられる。ここで、Ga又はGaを含
む合金の含有量は、前述したように、熱電変換材料全量
に対して、0.1〜20容量%であることが好ましく、
Ga又はGaを含む合金の平均粒径が50μm以下であ
ることが好ましい。
【0023】このようにして得られた混合粉末や複合粉
末を、例えば、乾式プレス成形、鋳込み成形、あるいは
有機バインダーや溶剤を混練してペースト化し、このペ
ーストを印刷法、押し出し法、あるいはドクターブレー
ド法等により成形し、必要に応じて脱バインダー処理を
施した後、例えば、常圧焼結等により、緻密な焼結体を
得る。ここで、常圧焼結法は複雑形状の焼結体を作製し
やすいといった面やコスト面において、最も実用的であ
るため好ましいが、他の方法、例えば、真空焼結、ガス
圧焼結、ホットプレス焼結、プラズマ焼結、熱間静水圧
プレス(HIP)、又はあらかじめ常圧焼結等により開
気孔の少ない予備焼結体を作製し、これをHIP処理す
る方法等も適用できる。また、焼結の雰囲気は、酸化に
よる熱電特性の低下を防ぐために、例えば、アルゴンや
窒素のような、不活性ガス雰囲気又は水素のような還元
ガス雰囲気であることが重要である。さらに、焼結温度
は前記Ga又はGaを含む合金の溶融開始温度以上とす
ることが重要である。すなわち、前記Ga又はGa含む
合金の溶融開始温度よりも低い温度で焼成した場合に
は、液相が生成しないので緻密な焼結体が得られず、熱
電性能及び機械的強度が低下するので好ましくない。
【0024】以上のように、本発明に係る熱電変換材料
の製法によると、緻密で熱電性能及び機械的強度に優れ
た熱電変換材料が得られる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明する。
【0026】(実施例1〜実施例5並びに比較例1及び
比較例2)微量のヨウ化アンチモン(SbI3 )等をド
ープしたN型−Bi2 Te2.85Se0.15の組成を有する
合金のインゴットを100μm程度に粗粉砕した粉末
に、表1に示す量のGa(融点29.8℃)を添加した
混合物をジルコニアボールを用いて、遊星ボールミルに
より粒径が数μm程度になるまで混合、粉砕し、混合粉
末とした。この混合粉末をφ20mm×20mmの大き
さに仮成形し、147MPaの圧力でCIP成形を行っ
た。以上の作業はアルゴンガス雰囲気中にて行った。得
られた成形体を水素濃度20容量%のアルゴン混合ガス
雰囲気下、480℃で5時間焼成し、焼結体である熱電
変換材料を得た。得られた熱電変換材料のゼーベック係
数α、比抵抗ρ、熱伝導率κを測定し、これらの値から
性能指数Z=α2 /( ρ・ κ) を算出した。なお、ゼー
ベック係数αは室温20℃で試料の一端を20℃に、他
端を30℃にして両端温度差を10℃にしたときに両端
に発生した起電力を測定することにより求めた。比抵抗
ρは四端子法、熱伝導率κはレーザーフラッシュ法にて
測定した。また、アルキメデス法による相対密度測定、
JIS Z2111に準じた圧縮強度測定を行った。以
上の結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】(実施例6及び比較例3)実施例1におい
て、微量のSeをドープしたP型- Bi0.5 Sb1.5
3 の組成を有する合金のインゴットを100μm程度
に粗粉砕した粉末に、表2に示す組成のGa−Ni合金
を最終的に得られる熱電変換材料全量に対して10容量
%添加した混合物を用い、得られた成形体を410℃で
5時間焼成した以外は、実施例1と同様にして熱電変換
材料を得て、得られた熱電変換材料のゼーベック係数
α、比抵抗ρ、熱伝導率κを相対密度、圧縮強度を測定
し、性能指数Zを算出し、その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】(実施例7及び比較例4)実施例1におい
て、Gaに代えて、Ga−35%Te合金(溶融開始温
度:約470℃)を最終的に得られる熱電変換材料全量
に対して5容量%添加した混合物を用い、得られた成形
体を表3に示した焼成温度で、5時間焼成した以外は、
実施例1と同様にして熱電変換材料を得て、得られた熱
電変換材料のゼーベック係数α、比抵抗ρ、熱伝導率κ
を相対密度、圧縮強度を測定し、性能指数Zを算出し、
その結果を表3に示した。
【0031】
【表3】
【0032】(実施例8及び比較例5)実施例6におい
て、表4に示す組成のGa−Ni合金を最終的に得られ
る熱電変換材料全量に対して5容量%添加した混合物を
用いた以外は、実施例6と同様にして熱電変換材料を得
て、得られた熱電変換材料のゼーベック係数α、比抵抗
ρ、熱伝導率κを相対密度、圧縮強度を測定し、性能指
数Zを算出し、その結果を表4に示した。
【0033】
【表4】
【0034】(実施例9)実施例1において、混合粉末
に代えて、インゴットを数十μm程度にまで微粉砕した
粉末表面に、真空蒸着法により、Gaを最終的に得られ
る熱電変換材料全量に対して5容量%となるようにコー
ティングした複合粉末を用いた以外は、実施例1と同様
にして熱電変換材料を得て、得られた熱電変換材料のゼ
ーベック係数α、比抵抗ρ、熱伝導率κを相対密度、圧
縮強度を測定し、性能指数Zを算出し、その結果を表5
に示した。
【0035】
【表5】
【0036】表1乃至表5から、実施例は比較例に比べ
て大きな性能指数及び高い機械強度を有する熱電変換材
料であることが分かった。特に、実施例9については、
実施例1乃至実施例8に比べて、機械強度が、さらに優
れていることが分かった。
【0037】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る熱電変換材料
は、Bi、Te、Se及びSb元素からなる群より選択
される少なくとも2種類以上の元素を含有した合金の焼
結体からなる熱電変換材料において、前記焼結体中にG
a又はGaを含む合金相を含有し、かつ、このGa又は
Gaを含む合金相が前記焼結体の粒界に存在するので、
本発明の請求項1に係る熱電変換材料によると、Ga又
はGaを含む合金相が電気良導体であるため、電気伝導
度が向上するので、高い性能指数が得られる。また、こ
のような微構造であれば、材料中にクラックが導入され
ても、粒界に存在するGa又はGaを含む合金によりク
ラック先端の応力集中が緩和され、クラックの進展を抑
制することができるので、材料としての寿命が伸びる。
【0038】本発明の請求項2及び請求項3に係る熱電
変換材料は、前記Gaを含む合金相の溶融開始温度が5
00℃以下であるので、本発明の請求項2及び請求項3
に係る熱電変換材料によると、Ga又はGaを含む合金
相が焼結過程で溶融し、液相が生成するので、粒子の再
配列、溶解析出、粒子の粗大化といった過程を経るた
め、原子の拡散が早く、また固相粒子間に進入した液相
によって生ずる毛管引力は成形体を外部から圧力を加え
なくとも急速に収縮させるので、気孔の少ない緻密な焼
結体となり、機械的強度が向上するとともに、Bi−T
e−Se−Sb系合金の粒子表面に吸着している微量の
酸素や不純物が液相に拡散することにより、キャリア濃
度の低下が抑制されるので、熱電性能が安定に発現す
る。
【0039】本発明の請求項4及び請求項5に係る熱電
変換材料の製法は、Bi、Te、Se及びSb元素から
なる群より選択された少なくとも2種類以上の元素を含
有する合金と、含有量が熱電変換材料全量に対して、
0.1〜20容量%となるGa又はGaを含む合金との
混合粉末を、成形して得られる成形体を非酸化性雰囲気
中で、前記Ga又はGaを含む合金の溶融開始温度以上
で焼成して熱電変換材料を製造するので、本発明の請求
項4及び請求項5に係る熱電変換材料の製法によると、
難焼結性のBi−Te−Se−Sb系合金中に液相源で
あるGa又はGaを含む合金相を含有するので、液相焼
結となり、常圧焼結法によっても残留気孔の極めて少な
い緻密な焼結体となり、熱電性能及び機械的強度に優れ
た熱電変換材料が得られる。
【0040】本発明の請求項6に係る熱電変換材料の製
法は、前記成形体として、Bi、Te、Se及びSb元
素からなる群より選択された少なくとも2種類以上の元
素を含有する合金の粉末の表面に、Ga又はGaを含む
合金をコーティングした複合粉末を成形して得られる成
形体を用いるので、本発明の請求項6に係る熱電変換材
料の製法によると、前記複合粉末を成形して得られる成
形体を用いることにより、より均一に液相が固相粒子を
濡らすことができるので、より緻密な焼結体が得られる
ため、さらに、緻密で熱電性能及び機械的強度に優れた
熱電変換材料が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 登 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi、Te、Se及びSb元素からなる
    群より選択される少なくとも2種類以上の元素を含有し
    た合金の焼結体からなる熱電変換材料において、前記焼
    結体中にGa又はGaを含む合金相を含有し、かつ、こ
    のGa又はGaを含む合金相が前記焼結体の粒界に存在
    することを特徴とする熱電変換材料。
  2. 【請求項2】 前記Gaを含む合金相の溶融開始温度が
    500℃以下であることを特徴とする請求項1記載の熱
    電変換材料。
  3. 【請求項3】 前記Ga又はGaを含む合金相を前記焼
    結体中に、熱電変換材料全量に対して、0.1〜20容
    量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記
    載の熱電変換材料。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3記載の熱電変換材
    料を製造する熱電変換材料の製法において、Bi、T
    e、Se及びSb元素からなる群より選択された少なく
    とも2種類以上の元素を含有する合金と、含有量が熱電
    変換材料全量に対して、0.1〜20容量%となるGa
    又はGaを含む合金との混合粉末を、成形して得られる
    成形体を非酸化性雰囲気中で、前記Ga又はGaを含む
    合金の溶融開始温度以上で焼成して熱電変換材料を製造
    することを特徴とする熱電変換材料の製法。
  5. 【請求項5】 前記Ga又はGaを含む合金の平均粒径
    が50μm以下であることを特徴とする請求項4記載の
    熱電変換材料の製法。
  6. 【請求項6】 前記成形体として、Bi、Te、Se及
    びSb元素からなる群より選択された少なくとも2種類
    以上の元素を含有する合金の粉末の表面に、Ga又はG
    aを含む合金をコーティングした複合粉末を成形して得
    られる成形体を用いることを特徴とする請求項4又は請
    求項5記載の熱電変換材料の製法。
JP8100094A 1996-04-22 1996-04-22 熱電変換材料及びその製法 Pending JPH09289339A (ja)

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