JPH0926010A - プーリ式変速機 - Google Patents

プーリ式変速機

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Publication number
JPH0926010A
JPH0926010A JP17714495A JP17714495A JPH0926010A JP H0926010 A JPH0926010 A JP H0926010A JP 17714495 A JP17714495 A JP 17714495A JP 17714495 A JP17714495 A JP 17714495A JP H0926010 A JPH0926010 A JP H0926010A
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JP
Japan
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cam
pulley
sheave
fixed
shaft
Prior art date
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Pending
Application number
JP17714495A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichiro Ikeda
英一郎 池田
Kazuya Sandou
和也 三堂
Toshio Nakao
敏夫 中尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Yanmar Co Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Yanmar Agricultural Equipment Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
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Priority to JP17714495A priority Critical patent/JPH0926010A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速プーリの可動シーブを移動させてプーリ
径を変化させるためのカム機構において、回動カムの傾
斜カム面に転動可能にカム接触する固定カムのカム受け
ベアリングに対する支持剛性を高めることができるよう
にし、さらには、ケースにおけるカム受けベアリングの
支持部の成形性を容易化できるようにする。 【解決手段】 ケース1内面に回転軸9の半径方向に並
ぶようにかつ回転軸9の軸方向に延びるように1対の軸
受部61,63を配置して設け、これら軸受部61,6
3にカム受けベアリング59の支持軸60を両端部にお
いて固定する。さらには、支持軸60の一端部に固定ボ
ルト65用のボルト挿通孔60aを軸方向に延びるよう
に設け、一方の軸受部61には固定ボルト65用のボル
ト取付穴62を軸方向に延びるように設ける一方、他方
の軸受部63の先端には支持軸60の他端部が嵌め込ま
れた状態で固定される凹部64を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プーリ式変速機の
改良技術に関し、特に変速プーリのプーリ径を変化させ
るために可動シーブを移動させるカム機構における固定
カムの剛性を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、農業機械等においては、エン
ジンの動力を変速して駆動車輪或いは各種の作業装置に
伝達するために、ベルト伝動を利用したプーリ式の変速
機が多用されている。このベルト伝動を利用したプーリ
式変速機の一例として、従来、例えば実開昭57―16
4352号公報に示されるように、互いに平行に配置さ
れた1対の回転軸の各々に、回転軸に対し回転一体にか
つ摺動不能に固定された固定シーブと、この固定シーブ
との間に断面略V字状のベルト溝を形成するように対向
配置されて回転軸に回転一体にかつ摺動可能に設けられ
た可動シーブとからなっていて、一方の可動シーブの固
定シーブへの向きと他方の可動シーブの固定シーブへの
向きとが互いに逆向きに設定された1対の可変プーリを
設け、これら両可変プーリのベルト溝間に伝動ベルトを
巻き掛ける一方、各可変プーリの可動シーブ背面側に、
各々、回転軸回りに回動可能な回動カムと、該変速機の
ケース内面に連結されて回動不能な固定カムとからなっ
ていて、回動カムの固定カムに対する回動により可動シ
ーブを固定シーブに接離するように移動させるカム機構
をそれぞれ配設し、これら両カム機構の回動カムをロッ
ド及び変速軸で互いに連結することにより、一方の可変
プーリにおいて可動シーブが固定シーブに接近すると、
他方の可変プーリにおいて可動シーブが固定シーブから
離れるように上記両カム機構の回動カムを互いに連係し
て回動させ、各可変プーリの伝動ベルトに対する有効半
径(プーリ径)を変化させて両回転軸間の変速比を変化
させるようにした可変プーリ式のものが知られている。
【0003】上記カム機構について具体的に説明する
と、一般に、回動カムは、可動シーブのボス部上にベア
リングを介して外嵌支持された円筒状のカム本体と、こ
のカム本体の固定シーブと反対側の端面に設けられた傾
斜カム面とを有する。一方、上記固定カムは、ケース内
面に突設された軸受部と、この軸受部に固定された支持
軸と、この支持軸に支持されたローリングベアリング等
の転動体とを有する。そして、上記回動カムが回動操作
される際に、その傾斜カム面上を上記固定カムの転動体
が転動しつつカム接触するようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そして、上記固定カム
における転動体の支持構造としては、軸受部を回転軸の
軸方向に延びるように突設して、その先端に回転軸の半
径方向に貫通する孔を設け、この貫通孔に支持軸を挿通
保持させるようにすることが考えられる。
【0005】しかしながら、上記の場合では、支持軸が
軸受部に片持ち状態で支持されることになるため、転動
体に対する十分な支持剛性が得られ難いという問題があ
る。つまり、上記変速機が無負荷状態にあるときには、
さほど問題は生じないが、負荷状態では、ベルトからの
押圧力により可動シーブが大きな面圧を受ける。そし
て、この負荷状態で可動シーブを固定シーブに近接する
方向に摺動させて変速しようとすると、カム機構に大き
な反力が加わる。従って、転動体に対する支持剛性が不
十分である場合には、可動シーブの移動量が不正確にな
って適正な変速が行われない虞れがある。
【0006】また、製造の面から考えると、上記ケース
が、回転軸の軸方向において分割された例えば2つの分
割ケースを開口端にて密閉状に組み付けてなるものであ
り、かつ各分割ケースが金型により成形される場合に
は、金型は回転軸の軸方向に割るようになされるのが一
般である。そして、上記軸受部には貫通孔用の下孔を形
成しておく必要があるが、その場合には、上記下孔の貫
通方向が割り型の方向と異なるために種々の加工が必要
となり、ケースの成形に手間が掛かるという問題もあ
る。
【0007】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、変速プーリのプーリ径を変化
させるために可動シーブを移動させるカム機構の固定カ
ムにおいて、転動体の支持構造に改良を加えることで、
転動体に対する支持剛性を高めることができるように
し、さらには、ケースにおける転動体の支持部の成形性
を容易化できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1及び2の発明では、回転軸の半径方向に
並んだ1対の軸受部を設け、これら軸受部に支持軸を両
端部において2点支持させるようにした。
【0009】具体的には、請求項1の発明では、回転軸
に回転一体にかつ軸方向に移動不能に支持された固定シ
ーブ、及びこの固定シーブとの間にベルトが巻き掛けら
れる断面略V字状のベルト溝を形成するように固定シー
ブに対向して配置され、かつ背面側に軸方向に延びるボ
ス部を有し、該ボス部にて上記回転軸に回転一体にかつ
軸方向に移動可能に外嵌支持された可動シーブからなる
変速プーリと、この変速プーリの可動シーブ背面側に配
置され、可動シーブのボス部に軸方向に可動シーブと共
に移動一体にかつ相対回転可能に設けられた回動カム、
及び回転軸の軸方向に移動不能に設けられて上記回動カ
ムにカム接触する固定カムからなっていて、上記回動カ
ムの固定カムに対する回転軸回りの回動により可動シー
ブを固定シーブに対して接離させるように軸方向に移動
させて上記変速プーリの有効半径を変化させるカム機構
とをケース内に備えたプーリ式変速機が前提である。
【0010】そして、上記回動カムは、上記可動シーブ
のボス部上にベアリングを介して外嵌支持された円筒状
のカム本体と、このカム本体の固定シーブと反対側の端
面に設けられた傾斜カム面とを有してなるものとする。
一方、上記固定カムは、上記ケースの内面に回転軸の半
径方向に並ぶように配置されかつ回転軸の軸方向に延び
るように設けられた1対の軸受部と、両端部がそれぞれ
上記軸受部に固定された支持軸と、この支持軸に回転可
能に支持され、上記傾斜カム面に転動可能にカム接触す
る転動体とを有してなるものとする。
【0011】上記構成において、固定カムにおける支持
軸は、その両端部において1対の軸受部により支持され
る。従って、支持軸を1つの軸受部で片持ち状に支持さ
せる場合に比べると、転動体に対する支持剛性は高くな
る。
【0012】請求項2の発明では、互いに平行に配置さ
れた1対の回転軸上にそれぞれ設けられ、各々、回転軸
に回転一体にかつ軸方向に移動不能に固定支持された固
定シーブ、及びこの固定シーブとの間に断面略V字状の
ベルト溝を形成するように固定シーブに対向して配置さ
れ、かつ背面側に軸方向に延びるボス部を有し、該ボス
部にて上記回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動可能に
外嵌支持された可動シーブからなっていて、一方の可動
シーブの固定シーブへの向きと他方の可動シーブの固定
シーブへの向きとが互いに逆向きに設定された駆動及び
従動プーリと、これら駆動及び従動プーリのベルト溝間
に巻き掛けられたベルトと、上記駆動及び従動プーリの
各可動シーブ背面側にそれぞれ配置され、各々、可動シ
ーブのボス部に軸方向に可動シーブと共に移動一体にか
つ相対回転可能に設けられた回動カム、及び回転軸の軸
方向に移動不能に設けられて上記回動カムにカム接触す
る固定カムからなっていて、上記回動カムの固定カムに
対する回転軸回りの回動により可動シーブを固定シーブ
に対して接離させるように軸方向に移動させて上記各プ
ーリの有効半径をそれぞれ変化させる駆動プーリ側及び
従動プーリ側カム機構と、上記駆動及び従動プーリの一
方において可動シーブが固定シーブに近付くと他方にお
いて可動シーブが固定シーブから離れるように上記両カ
ム機構の回動カムを互いに連動連結して回動させること
で上記両回転軸間の変速比を変化させる変速切換機構
と、上記駆動及び従動プーリ間において、両プーリ間に
巻き掛けられたベルトの緩み側スパンを該ベルトが各プ
ーリのベルト溝に食い込むように押圧してベルトへの推
力を発生させるテンション機構とをケース内に備えたプ
ーリ式変速機が前提である。
【0013】そして、上記請求項1の発明の場合と同じ
く、上記回動カムは、上記可動シーブのボス部上にベア
リングを介して外嵌支持された円筒状のカム本体と、こ
のカム本体の固定シーブと反対側の端面に設けられた傾
斜カム面とを有してなるものとする。一方、上記固定カ
ムは、上記ケースの内面に回転軸の半径方向に並ぶよう
に配置されかつ回転軸の軸方向に延びるように設けられ
た1対の軸受部と、両端部がそれぞれ上記軸受部に固定
された支持軸と、この支持軸に回転可能に支持され、上
記傾斜カム面に転動可能にカム接触する転動体とを有し
てなるものとする。
【0014】従って、この発明においても、上記請求項
1の発明の場合と同様に、固定カムにおける支持軸が、
その両端部において1対の軸受部により支持されるの
で、支持軸を1つの軸受部で片持ち状に支持させる場合
に比べると、転動体に対する支持剛性は高くなる。
【0015】請求項3の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、転動体を、支持軸に外嵌合状態で固定
された内輪と、傾斜カム面にカム接触する外輪とを有し
てなるローリングベアリングにより構成する。
【0016】上記構成において、内輪及び外輪間では、
転がり摩擦のみが発生して滑り摩擦は発生しないので、
転動時の摩擦損失が少なくなり、その分だけ回動カムの
傾斜カム面に対し転動体は良好にカム接触する。
【0017】請求項4の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、支持軸の一端部に、該支持軸を固定す
る固定ボルトが挿通されるためのボルト挿通孔を回転軸
の軸方向に延びるように設ける。その上で、一方の軸受
部には、上記固定ボルトが取り付けられるためのボルト
取付穴を回転軸の軸方向に延びるように設ける。一方、
他方の軸受部には、上記支持軸の他端部が嵌め込まれた
状態で固定される凹部を設ける。
【0018】上記構成において、固定カムの支持軸は、
その一端部にて固定ボルトにより一方の軸受部先端に固
定される。一方、他端部は他方の軸受部の凹部内に嵌め
込まれているので、上記固定ボルトを中心とする移動が
規制される。従って、軸受部が2つであるにも拘らず、
1本の固定ボルトにより支持軸が固定されるので、軸受
部を2つ設けることに伴う部品点数やボルト締結作業の
増加が抑えられる。
【0019】請求項5の発明では、上記請求項4の発明
において、ケースが、回転軸の軸方向において分割され
た2つの分割ケースを開口端にて密閉状に組み付けてな
るものである場合に、ボルト取付穴を、上記分割ケース
の開口方向に延びるように配置することとする。
【0020】上記構成において、ボルト取付穴は、ケー
スを金型成形する際の割り型の方向に延びるように配置
されているので、軸受部に固定ボルトの取付部を設ける
ようにすることに伴う分割ケースの成形性の悪化は回避
される。
【0021】請求項6の発明では、傾斜カム面を、ベア
リングの半径方向外側に配置するようにする。
【0022】上記構成において、傾斜カム面がベアリン
グの半径方向外側に位置しているのに応じて、固定カム
の転動体は回転軸の半径方向外側に配置されるようにな
る。よって、半径方向内側に位置している軸受部に邪魔
されることなく、転動体は傾斜カム面にカム接触するこ
とができる。また、上記傾斜カム面をベアリングに邪魔
されることなく固定シーブ側に寄せて配置できるので、
その分だけ回転軸の軸方向における可動シーブ及びカム
機構の寸法を短くでき、プーリ式変速機の軸方向でのコ
ンパクト化に寄与することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図2及び図3は、本発明に係るプー
リ式無段変速機Tの全体構成を示し、この変速機Tは、
図示しないが走行型の農業機械においてエンジンと駆動
車輪との間の動力伝達経路に配設されている。
【0024】図2及び図3において、1は変速機Tのケ
ースで、この変速機ケース1は図2の左側にある前ケー
ス2と、右側の後ケース3とに2分割されている。前ケ
ース2は、図2で右側に開放された皿状のもので、同図
上部には無底円筒状の入力軸受孔2aが貫通形成され、
また下部には有底円筒状の出力軸受穴2bが凹陥形成さ
れている。また、後ケース3は、図2で左側に開放され
た皿状のもので、同図上部にはボス状の入力軸受孔3a
が上記前ケース2の入力軸受孔2aに対応して、また下
部には同様の出力軸受孔3bが前ケース2の出力軸受穴
2bに対応してそれぞれ貫通形成されている。そして、
前ケース2の開口縁部にはフランジ2cが形成され、こ
のフランジ2cには複数のねじ孔4,4,…が開口され
ている。一方、後ケース3の開口縁部には上記前ケース
2のフランジ2cと接合されるフランジ3cが形成さ
れ、このフランジ3cには前ケース2のねじ孔4,4,
…に対応して複数のボルト挿通孔5,5,…が設けられ
ており、前後ケース2,3の組付時に両フランジ2c,
3cを当接させて後ケース3の各ボルト挿通孔5にそれ
ぞれ組付ボルト6を挿通し、この各組付ボルト6の先端
部を前ケース2の対応するねじ孔4に螺合締結すること
で、両ケース2,3を一体に組み付けるようにしてい
る。
【0025】上記前ケース2における複数のねじ孔4,
4,…のうち、後述するテンションプーリ41の近傍に
位置するねじ孔4(図3上端左側のもの)と、該ねじ孔
4に対してテンションプーリ41と略反対側にあるねじ
孔4(同図下端右側のもの)との1対にはそれぞれカラ
ー7,7がノックピンとして嵌挿されており、このカラ
ー7,7によって前後ケース2,3の組付時の芯出しを
行うようになっている。
【0026】尚、図3に示す如く、変速機ケース1下部
の左右中間部は、変速機Tの下側を農業機械の前後方向
に延びるプロペラシャフト113と干渉しないように部
分的に凹陥されている。
【0027】変速機ケース1には、互いに平行に配置し
た入力軸9(回転軸)及び出力軸13が前後ケース2,
3に亘って回転可能に支承されている。尚、入力軸9及
び出力軸13は図3で反時計回り方向に回転する。入力
軸9の前端部(図2の左端部)は前ケース2の入力軸受
孔2aにベアリング10を介して、また後端部は後ケー
ス3の入力軸受孔3aにベアリング11を介してそれぞ
れ回転可能に支持されている。入力軸9の前端(図2の
左端)はケース1から外部に突出し、この端部に図外の
エンジンの出力軸が駆動連結される。尚、入力軸9の入
力軸受孔2aはダストシール107で密閉されている。
【0028】一方、出力軸13の前端部(図2の左端
部)には小径部13aが形成され、この小径部13aに
て出力軸13が前ケース2の出力軸受穴2bにベアリン
グ14を介して回転可能に支持されている。一方、出力
軸13の後端部は後ケース3の出力軸受孔3bにベアリ
ング15を介して回転可能に支持され、この出力軸13
の後端はケース1外に突出していて、図外の駆動車輪に
駆動連結されている。そして、出力軸13の中間部には
スリーブ16(この実施形態ではスリーブ16と出力軸
13とで本発明でいう回転軸が構成される)が相対回転
可能に外嵌合されている。このスリーブ16の前端部内
径は他の部分よりも大径とされて大径部16aが形成さ
れ、この大径部16aと、出力軸13前端の小径部13
aで上記ベアリング14の位置よりも後側部分との間に
はベアリング17がその内輪17aを出力軸13の小径
部13aに、また外輪17bをスリーブ16にそれぞれ
係合せしめて介設されている。
【0029】変速機ケース1内には、上記入力軸9及び
出力軸13をVベルト30によって変速可能に駆動連結
する変速プーリ機構20が収容されている。この変速プ
ーリ機構20は、入力軸9上に配置された変速プーリか
らなる駆動プーリ21を有する。この駆動プーリ21
は、入力軸9上に回転一体にかつ摺動不能にキー結合さ
れたフランジ状の固定シーブ22と、入力軸9上に固定
シーブ22に対向するようにボス部23aにて摺動可能
にかつ相対回転可能に支持されたフランジ状の可動シー
ブ23とからなり、これら両シーブ22,23間に断面
略V字状のベルト溝24が形成されている。上記固定シ
ーブ22の背面には、円周方向に等間隔をあけて放射状
に配置された送風冷却用の複数のフィン22a,22
a,…が一体に形成されている。また、上記入力軸9
は、駆動プーリ21の内径が外径の約1/3である程度
に該駆動プーリ21の外径に対し比較的大径になされて
いる。
【0030】一方、出力軸13に外嵌合されているスリ
ーブ16上には駆動プーリ21と同径の変速プーリから
なる従動プーリ26が設けられている。この従動プーリ
26は、上記駆動プーリ21と同様の構成であり、出力
軸13のスリーブ16上に回転一体にかつ摺動不能にキ
ー結合されたフランジ状の固定シーブ27と、スリーブ
16(出力軸13)に、固定シーブ27に対し上記駆動
プーリ21における固定シーブ22に対する可動シーブ
23の対向方向と逆方向でもって対向するようにボス部
28aにて摺動可能にかつ相対回転可能に結合されたフ
ランジ状の可動シーブ28とからなり、これら両シーブ
27,28間には断面略V字状のベルト溝29が形成さ
れている。この従動プーリ26における固定シーブ27
の背面にも、円周方向に等間隔をあけて放射状に配置さ
れた送風冷却用の複数のフィン27a,27a,…が一
体に形成されており、この各固定シーブ22,27のフ
ィン22a,27aによってケース1内に空気流を生成
して発熱部分を冷却するようにしている。また、上記出
力軸13についても、従動プーリ26の内径が外径の約
1/3である程度に該従動プーリ26の外径に対し比較
的大径になされている。
【0031】上記駆動プーリ21の可動シーブ23の入
力軸9に対する摺動構造、及び従動プーリ26の可動シ
ーブ28のスリーブ16(出力軸13)に対する摺動構
造はいずれも同じであり、ここでは、従動プーリ26に
ついて説明することとし、駆動プーリ21側については
同じ符号を付して詳細な説明は省略する。すなわち、図
4にも示すように、従動プーリ26における可動シーブ
28のボス部28a内周面には、その直径方向に対向す
る位置に、ボス部28aの固定シーブ27側端から固定
シーブ27と反対側端に至る全体に亘って軸方向に延び
る断面略矩形状の1対の係合溝31,31がブローチ加
工によって形成されている。
【0032】一方、スリーブ16(駆動プーリ21側で
は入力軸9)の外周面には直径方向に対向する位置に、
スリーブ16外周面の軸方向の一部を部分的に接線方向
と平行に所定深さだけ切り欠いてなる切欠き32,32
が形成されている。また、スリーブ16及び出力軸13
(回転軸)には両者を直径方向に貫通するピン33がス
リーブ16に対し圧入により固定支持され(駆動プーリ
21側では入力軸9に対し圧入固定)、このピン33の
両端部は上記各切欠き32から所定寸法だけ突出してい
る。図4に示すように、このピン33は出力軸13にお
いてピン33の外径よりも大きい長径を有する長孔36
に挿通されていて、出力軸13と所定角度だけ相対回転
可能とされている。そして、ピン33両端の突出部にそ
れぞれベアリング34,34が1対となって各々の内輪
34bにて支持されており、この各ベアリング34はそ
れぞれ上記可動シーブ28のボス部28a内周における
係合溝31に係合されて、外輪34aが係合溝31の側
面に当接して転動するようになっている。また、各ベア
リング34の外径(外輪34aの外径)はスリーブ16
(入力軸9)の外径の1/2.5以上とされている。
【0033】そして、上記駆動プーリ21のベルト溝2
4と従動プーリ26のベルト溝29との間には例えばブ
ロックベルト等からなる上記Vベルト30が巻き掛けら
れており、両プーリ21,26の各可動シーブ23,2
8をそれぞれ固定シーブ22,27に対して接離させて
各プーリ21,26のベルト巻付け径を変更する。例え
ば駆動プーリ21の可動シーブ23を固定シーブ22に
接近させ、かつ従動プーリ26の可動シーブ28を固定
シーブ27から離隔させたときには、駆動プーリ21の
ベルト巻付け径が従動プーリ26よりも大きくなること
により、入力軸9の回転を出力軸13に増速して伝達す
る高速状態となる。一方、逆に、駆動プーリ21の可動
シーブ23を固定シーブ22から離隔させ、かつ従動プ
ーリ26の可動シーブ28を固定シーブ27に接近させ
たときには、駆動プーリ21のベルト巻付け径が小にな
り、従動プーリ26のベルト巻付け径が大きくなること
により、入力軸9の回転を減速して出力軸13に伝える
低速状態となるようになされている。
【0034】また、変速機ケース1内には、駆動及び従
動プーリ21,26間に張られたVベルト30の1対の
スパンのうちの緩み側スパン30aをその内面から外方
に押圧してベルト30に張力を与えることでベルト推力
を発生するテンション機構38が設けられている。この
テンション機構38は、図5にも示すように、前ケース
2における出力軸受穴2b周囲のボス状部分に基端側の
ボス部39aにて回動可能に外嵌合支持されたテンショ
ンアーム39を有し、このテンションアーム39のボス
部39aは、テンションアーム39の本体に一体的に溶
接されている。テンションアーム39の先端部には出力
軸13(入力軸9)と平行に後方に延びるテンション軸
40が一体に溶接され、このテンション軸40の先端部
は各プーリ21,26におけるベルト溝24,29部分
に位置し、この先端部には、Vベルト30の緩み側スパ
ン30aを内面から押圧可能なテンションプーリ41が
ベアリング42を介して回転可能に支持されている。こ
のテンションプーリ41の位置は、変速に伴うVベルト
30の軸方向の移動に拘らず、常にテンションプーリ4
1がベルト30内面の一部に接触してそれを押圧可能な
位置に設定されている。尚、テンションプーリ41の断
面形状の両側面は各プーリ21,26のベルト溝24,
29側面に平行な角度とされ、このことでテンションプ
ーリ41側面の傾斜角度はベルト溝24,29の断面角
度に一致し、テンションプーリ41外周面の軸方向長さ
はベルト30外面側の幅よりも小さくされている。
【0035】そして、上記テンションアーム39にはそ
の先端から基端側に向かう方向(テンション軸40と略
反対側)に延長されてなるばね取付アーム部43が一体
形成され、このばね取付アーム部43の先端部は前側に
折り曲げられていて、その折曲げ部には凹部からなるば
ね係止部44が形成されている。一方、図6に示す如
く、前ケース2の一方の内側面には、リング状のテンシ
ョン用カラー46が出力軸13(入力軸9)と平行に延
びる取付ボルト47により取付固定され、このテンショ
ン用カラー46には引張ばねからなるテンションスプリ
ング48の一端部が外嵌合状態で係止され、このスプリ
ング48の他端部は上記テンションアーム39のばね取
付アーム部43のばね係止部44に係止されており、こ
のテンションスプリング48のばね力によりテンション
アーム39を図3で反時計回り方向に回動付勢して、テ
ンションプーリ41にVベルト30の緩み側スパン30
aの内面を押圧させる。そして、テンションスプリング
48のテンションアーム39に対する回動付勢力は、テ
ンションプーリ41がベルト30の緩み側スパン30a
を該緩み側スパン30aに発生する最大張力よりも大き
い張力で押圧するように設定されており、この張力によ
りベルト推力を発生させるようにしている。
【0036】上記入力軸9上には駆動プーリ21におけ
る可動シーブ23背面側に、該可動シーブ23を固定シ
ーブ22に対して接離させるための駆動機構としての駆
動プーリ側カム機構50が設けられている。このカム機
構50は例えばアルミニウム合金製の円筒状のカム本体
52を有する回動カム51を備え、該回動カム51は、
可動シーブ23のボス部23a上にベアリング57を介
して入力軸9回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一
体に外嵌合支持されている。カム本体52の固定シーブ
22と反対側の端面(前側端面)には、図7〜図9に示
すように、円周方向に等角度間隔(180°間隔)をあ
けた上下位置に、1対の焼結金属からなる円弧板状のカ
ムチップ53,53が、タッピングねじ54を各カムチ
ップ53に形成したボルト挿通孔53aに挿通してカム
本体52に螺合締結することで取付固定され、この各カ
ムチップ53の表面にはそれぞれ所定角度に傾斜した傾
斜カム面55が形成されている。また、カム本体52の
外周には上記両カムチップ53,53を通る線に沿って
下方に延びる回動レバー56(図3参照。図2では説明
のために出力軸13と反対側に延びるように記載してい
る)が回動一体に突設されている。そして、上記回動カ
ム51の背面側では、図3に示すように、前ケース2内
面の上下2箇所に、各々、該回動カム51にカム接触す
る1対の固定カム58,58が配置されている。
【0037】一方、出力軸13上には、従動プーリ26
における可動シーブ28の背面側に、該可動シーブ28
を固定シーブ27に対して接離させるための従動プーリ
側カム機構67が設けられている。この従動プーリ側カ
ム機構67は、上記駆動プーリ側カム機構50と同様の
構成で、可動シーブ28のボス部28aに外嵌合したベ
アリング用カラー68上にベアリング74を介して出力
軸13回りに相対回転可能にかつ軸方向に移動一体に外
嵌合支持された回動カム69を有する。この回動カム6
9はカム本体70と、その固定シーブ28と反対側の端
面(後側端面)で円周方向に等角度間隔をあけた上下位
置に取付固定され、各々傾斜カム面72を有する1対の
焼結金属からなるカムチップ71,71とからなり、こ
の各カムチップ71は、上記駆動プーリ側カム機構50
の回動カム51と同様に(尚、この回動カム51と同じ
図7〜図9に基づいて説明する)、タッピングねじ54
をカムチップ71のボルト挿通孔71aに挿通してカム
本体70に螺合締結することで固定されている。また、
このカム本体70の外周には、上記両カムチップ71,
71を通る線に沿って下方、つまり上記駆動プーリ側カ
ム機構50の回動レバー56と同じ方向に延びる回動レ
バー73(図2では説明のために入力軸9と反対側に延
びるように記載している)が回動一体に突設されてい
る。そして、この回動カム69の背面側では、後ケース
3内面の上下2箇所に、各々、該回動カム69とカム接
触する1対の固定カム75,75が図3に仮想線で示す
ように配置されている。
【0038】そして、図10及び図11にも示す如く、
上記駆動プーリ側カム機構50におけるカム51外周の
回動レバー56先端部と、従動プーリ側カム機構67の
カム69外周の回動レバー73先端部とは互いに連係し
て回動するようにリンクバー79により連結されてい
る。このリンクバー79は細長い略三角形の板材からな
り、その中間部は上記変速機ケース1下部の凹部(図3
参照)と干渉しないように上側に折り曲げられ、その前
縁にはリブ状のフランジ79aが一体形成されている。
リンクバー79の一端部(三角形の3頂点の1つをなす
部分)にはピン孔80が、また駆動プーリ側カム機構5
0の回動レバー56先端部には上記ピン孔80よりも小
径のピン孔81がそれぞれ入力軸9と平行に貫通形成さ
れ、両ピン孔80,81を合致させかつリンクバー79
のピン孔80に焼結金属からなるブッシュ82を嵌挿し
た状態でリンクピン83を両ピン孔80,81に挿通し
て抜止めすることで、リンクバー79と回動レバー56
先端部とがリンクピン83により揺動可能に連結されて
いる。
【0039】一方、リンクバー79の他端部における後
端部(三角形の残りの2頂点の1つをなす部分)にもピ
ン孔85が、また従動プーリ側カム機構67の回動レバ
ー73先端部にも上記ピン孔85よりも小径のピン孔8
6がそれぞれ出力軸13と平行に貫通形成され、両ピン
孔85,86を合致させかつリンクバー79のピン孔8
5に焼結金属製ブッシュ87を嵌挿した状態でリンクピ
ン88を両ピン孔85,86に挿通して抜止めすること
で、リンクバー79と回動レバー73の先端部とがリン
クピン88により揺動可能に連結されている。そして、
上記回動レバー56,73、リンクピン83,88及び
リンクバー79により変速切換機構89が構成されてお
り、この変速切換機構89により、各カム機構50,6
7における回動カム51,69を互いに連係して可動シ
ーブ23,28のボス部23a,28a回りに回動さ
せ、その各カムチップ53,71のカム面55,72上
でカム受けベアリング59,76を転動させることによ
り、各プーリ21,26の可動シーブ23,28を軸方
向に移動させて固定シーブ22,27に対し互いに相反
して接離させ、そのベルト溝24,29の有効半径つま
り各プーリ21,26でのベルト巻付け径を可変とし、
両プーリ21,26間のプーリ比つまり変速機Tの変速
比を変化させるようにしている。
【0040】上記従動プーリ26側には、伝動トルクが
作用して可動シーブ28と出力軸13とが相対回転した
ときにその可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト
推力を発生させるトルクカム機構91が設けられてい
る。このトルクカム機構91は、図4にも示すように、
可動シーブ28のボス部28aにおける直径方向に対向
した位置(上記両係合溝31,31と90°ずれた位
置)に、出力軸13の軸線方向に向かって円周方向に向
かうように傾斜しかつボス部28aの内外面に亘り貫通
する1対のカム孔92,92を備えている。また、出力
軸13において上記スリーブ16により覆われていない
部位の外周面には直径方向に対向する位置に、出力軸1
3外周面の軸方向の一部を部分的に接線方向と平行に所
定深さだけ切り欠いてなる切欠き93,93が形成され
ている。そして、出力軸13には直径方向に貫通するピ
ン94が圧入により固定支持され、該ピン94の両端部
は上記切欠き93,93から所定寸法だけ突出し、この
ピン94両端の突出部にはそれぞれ、上記可動シーブ2
8のボス部28aにおけるカム孔92に係合して外輪9
5aをカム孔92側面に当接して転動させるベアリング
95が支持されており、従動プーリ26に伝動トルクが
作用したとき、カム孔92とベアリング95とのカム効
果により可動シーブ28を軸方向に移動させてベルト推
力を発生させるようにしている。
【0041】さらに、前ケース2の前壁部には、略入力
軸9及び出力軸13間でかつ両軸9,13の各軸心を通
る平面上の位置にボス状の軸挿通孔97が貫通形成さ
れ、この軸挿通孔97には入力軸9(出力軸13)と平
行方向に延びる操作軸98がベアリング99によって回
転可能に支持され、この操作軸98の一端は変速機ケー
ス1外に延びていて断面四角形状とされ、その端部に図
外の操作レバーが回動一体に取り付けられる。尚、操作
軸98の軸挿通孔97はダストシール107で密閉され
ている。
【0042】図3、図10及び図11に示すように、操
作軸98の他端は変速機ケース1内に位置し、その他端
部にはクランクアーム100の基端が回転一体に溶接固
定されている。このクランクアーム100は略く字形状
に彎曲した板材からなり、その先端部には連結ロッド1
02の一端部が連結されている。この連結ロッド102
は、各々先端部に直交方向の軸部101aが回動可能に
支持された1対のリンクボール101,101を軸部1
01a,101aが逆向きに配置されるよう結合してな
るもので、クランクアーム100の先端部に連結ロッド
102の一方のリンクボール101がその軸部101a
にて連結されている。この連結ロッド102の他端部つ
まり他方のリンクボール101の軸部101aは、上記
リンクバー79において駆動プーリ側カム機構50の回
動レバー56近傍に連結されている。そして、操作軸9
8を操作レバーによりLo位置及びHi位置の間で回動
切換操作することで、変速切換機構89を作動させて、
各回動カム51,69に突設されている各回動アーム5
6,73をLo及びHi位置間で回動させ、変速プーリ
機構20のプーリ比を変えることで、上記出力軸13を
入力軸9に対し減速状態又は増速状態に切り換えて変速
するようになされている。
【0043】次に、上記プーリ式無段変速機Tの作動に
ついて説明する。農業機械に搭載したエンジンが変速機
Tの入力軸9に駆動連結され、その出力軸13が駆動車
輪に駆動連結されているので、エンジンの回転動力は変
速機Tで変速された後、駆動車輪に伝達される。そし
て、駆動及び従動プーリ側カム機構50,67における
回動レバー56,73同士がリンクバー79により連係
されているため、操作軸98の切換操作により変速プー
リ機構20のプーリ比が変えられて変速機Tの変速比が
切り換えられる。
【0044】(低速状態)具体的には、変速機Tの変速
比を下げて低速状態(Lo状態)とするとき、操作軸9
8が操作レバーにより回動切換操作されてLo位置に位
置付けられる。すなわち、操作軸98の内端にはクラン
クアーム100の基端部が一体に固定され、このクラン
クアーム100の先端部は連結ロッド102を介してリ
ンクバー79に連結され、このリンクバー79は、駆動
プーリ側カム機構50における回動カム51外周の回動
レバー56と、従動プーリ側カム機構67における回動
カム69外周の回動レバー73とを連結しているので、
操作軸98の回動に伴ってクランクアーム100が回動
して両回動レバー56,73が回動する。そして、上記
操作軸98のLo位置への切換状態では、上記従動プー
リ側カム機構67の回動カム69がそのカムチップ7
1,71のカム面72,72上でそれぞれカム受けベア
リング76,76を転動させながら従動プーリ26にお
ける可動シーブ28のボス部28a回りに一方向に回動
する。この回動により、上記各カム面72がカム受けベ
アリング76に押されて回動カム69が出力軸13周囲
のスリーブ16上を移動し、該カム69にベアリング7
4を介して移動一体の可動シーブ28が同方向に移動し
て固定シーブ27に接近する。このことにより従動プー
リ26が閉じてそのベルト巻付け径が増大し、このベル
ト巻付け径の増大によりVベルト30が従動プーリ26
側に引き寄せられる。
【0045】また、これと同時に、上記操作軸98のL
o位置への切換えに伴い、上記従動プーリ26の可動シ
ーブ28の動きに同期して、駆動プーリ側カム機構50
の回動カム51が入力軸9上を上記従動プーリ側カム機
構67のカム69と同じ一方向に回動する。このカム5
1の回動によりその各カムチップ53のカム面55のカ
ム受けベアリング59に対する押圧がなくなる。このた
め、上記従動プーリ26側に移動するベルト30の張力
により、カム51及びそれにベアリング57を介して連
結されている可動シーブ23は固定シーブ22から離れ
る方向に入力軸9上を移動し、この両シーブ22,23
の離隔により駆動プーリ21が開いてベルト巻付け径が
減少する。これらの結果、従動プーリ26のベルト巻付
け径が駆動プーリ21よりも大きくなり、入力軸9の回
転が減速されて出力軸13に伝達される。このことで変
速機TはLo状態になり、エンジンの回転が減速されて
駆動車輪に伝達される。
【0046】尚、テンション機構38のテンションスプ
リング48の付勢力によりテンションアーム39が図3
で時計回り方向に回動付勢され、その先端のテンション
プーリ41がベルト30の緩み側スパン30a内面を押
圧し、この押圧によりベルト30に張力が付与される。
このとき、この張力は緩み側スパン30aに発生する最
大張力よりも大きいため、このベルト張力によりベルト
30のプーリ21,26に対するくさび効果が生じて推
力が発生し、この推力により両プーリ21,26間でベ
ルト30を介して動力が伝達される。
【0047】(高速状態)一方、上記操作軸98をHi
位置に位置付けると、このHi位置への切換状態では、
上記駆動プーリ側カム機構50のカム51がその各カム
チップ53のカム面55上でカム受けベアリング59を
転動させながら駆動プーリ21における可動シーブ23
のボス部23a回りに他方向に回動する。このことによ
り、上記カム面55がカム受けベアリング59に押され
てカム51が入力軸9上を移動し、該カム51に移動一
体の可動シーブ23が同方向に移動して固定シーブ22
に接近する。このことにより駆動プーリ21が閉じてそ
のベルト巻付け径が増大し、このベルト巻付け径の増大
によりVベルト30が駆動プーリ21側に引き寄せられ
る。
【0048】また、これと同時に、上記従動プーリ側カ
ム機構67のカム69がスリーブ16上で上記駆動プー
リ側カム機構50のカム51と同じ他方向に回動する。
このカム69の回動によりカム受けベアリング76に対
する押圧がなくなる。このため、上記駆動プーリ21側
に移動するベルト30の張力により、カム69及びそれ
にベアリング74を介して連結されている可動シーブ2
8は固定シーブ27から離れる方向にスリーブ16上を
移動し、この両シーブ27,28の離隔により従動プー
リ26が開いてベルト巻付け径が減少する。これらの結
果、駆動プーリ21のベルト巻付け径が従動プーリ26
よりも大きくなり、入力軸9の回転が増速されて出力軸
13に伝達される。この結果、変速機TはHi状態にな
り、エンジンの回転が増速されて駆動車輪に伝達され
る。
【0049】この実施形態の場合、変速プーリ機構20
の各プーリ21,26における可動シーブ23,28の
ボス部23a,28a上に各カム機構50,67の回動
カム51,69がベアリング57,74を介して支持さ
れ、これら両回動カム51,69外周の回動レバー5
6,73同士が1つのリンクバー79で連結されている
ので、上記変速プーリ機構20の変速切換時に、前ケー
ス2及び後ケース3にそれぞれ支持されたカム受けベア
リング59,76から回動カム51,69におけるカム
チップ53,71のカム面55,72に力が該カム面5
5,72と直角方向に作用し、この力の入力軸9及び出
力軸13に直交方向の直角分力が入力軸9及び出力軸1
3の軸心とリンクバー79への連結点とを結ぶ線と直角
に作用したとき、入力軸9及び出力軸13の軸心とリン
クバー79への連結点とを結ぶ線に対しプーリ比の変化
に拘らず直角でかつ上記直角分力と逆向きのカム回転反
力が生じ、このカム回転反力は、回動カムが支持されて
いる可動シーブ23,28のボス部23a,28aに対
し、プーリ21,26のベルト30が巻き掛けられてい
る範囲の中央位置においてボス部23a,28aを押圧
するように作用する。つまり、このボス部23a,28
aに対するカム回転反力は、ボス部23a,28aと入
力軸9及び出力軸13との摺動部分におけるクリアラン
スで、可動シーブ23,28がベルト30から推力を受
けたときに可動シーブ23,28を入力軸9及び出力軸
13に対し傾倒させる方向に働くモーメントとは逆方向
のモーメントが生じるように作用し、このモーメントに
より元のモーメントが相殺されて小さくなり、可動シー
ブ23,28のボス部23a,28a内周の入力軸9及
び出力軸13外周に対する面圧分布が軸方向に分散し、
ボス部23a,28aの摺動抵抗が小さくなる。この摺
動抵抗が小さくなった分だけ、ベルト発生推力の回動カ
ム51,69による固定点に与える荷重(つまり取出推
力)が大きくなり、換言すれば、ベルト発生推力が大き
な抵抗なく回動カム51,69に取出推力として伝達さ
れることとなる。そして、プーリ比を変化させるときに
は、ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に必要
な荷重(操作力)であるので、取出推力が大きい分だ
け、逆に操作力が小さくて済むこととになる。その結
果、上記変速プーリ機構20における両変速プーリ2
1,26間のベルト30の推力バランスにより変速操作
力を低減することができる。
【0050】また、この実施形態では、上記の如き変速
時、駆動プーリ21の可動シーブ23が入力軸9上を、
また従動プーリ26の可動シーブ28がスリーブ16上
をそれぞれ伝動負荷トルクを受けて軸方向に移動する
際、入力軸9又はスリーブ16の外周に突設されている
ピン33上の各ベアリング34が各可動シーブ23,2
8のボス部23a,28a内周面の係合溝31内を、ベ
アリング34の外輪34a外周面を係合溝31側面に当
接させた状態で転動する。このときの摺動抵抗は、ベア
リング34の外輪34a外周面と係合溝31側面との転
がり抵抗及びベアリング34の内外輪での転がり抵抗と
なり、滑り抵抗は生じない。従って、この転がり抵抗か
らなる摺動抵抗によって変速操作力をさらに低減するこ
とができる。
【0051】また、上記ベアリング34の外径が入力軸
9又はスリーブ16の外径の1/2.5以上で比較的大
径であるので、係合溝31及びベアリング34に発生す
るヘルツ応力は小さくなり、ベアリング34の外輪34
a外周面や係合溝31側面を焼入処理する必要はなく、
コストダウンを図ることができる。
【0052】さらに、1本のピン33を入力軸9又はス
リーブ16に直径方向に貫通させて両端部を入力軸9又
はスリーブ16表面に突出させ、その突出したピン33
の両端部にそれぞれ上記ベアリング34,34が支持さ
れているので、両ベアリング34,34を支持するピン
33を共用化して部品点数の低減及び組付性の容易化を
図ることができる。
【0053】また、上記各可動シーブ23,28のボス
部23a,28a内周における係合溝31はボス部23
a,28aの長さ方向にブローチ加工されるので、この
係合溝31をボス部23a,28a外周側から孔開け状
に加工する場合に比べ、可動シーブ23,28のシーブ
部に邪魔されることなく係合溝31をボス部23a,2
8aの長さ方向の全体に亘って加工でき、ベアリング3
4が有効に移動する長さを長くして、その分、ボス部2
3a,28aの全長を短くでき、可動シーブ23,28
ひいてはプーリ21,26のコンパクト化を図ることが
できる。
【0054】さらに、上記各カム機構50,67におけ
る回動カム51,69が、カム本体52,70と、該カ
ム本体52,70に取り付けられた焼結金属からなるカ
ムチップ53,71とで構成されている、つまり回動カ
ム51,69におけるカム受けベアリング59,76と
接する部分のみが他の部分とは分けられて、それとは異
なる硬質焼結金属製のカムチップ53,71とされてい
るので、回動カム51,69でのカム面55,72がカ
ム受けベアリング59,76の転動の繰返しによって摩
耗することは殆どなく、変速機Tの変速操作性を長期間
に亘り安定して保つことができる。
【0055】また、このように各カム51,69のカム
面55,72をカム本体52,70とは別体のカムチッ
プ53,71に形成したことで、カムチップ53,71
を他のものに容易に交換することができ、カム面55,
72の傾斜の仕様変更が容易となる。
【0056】また、従動プーリ26側にはトルクカム機
構91が設けられているので、従動プーリ26に伝動ト
ルクが作用して可動シーブ28と出力軸13とが相対回
転したとき、可動シーブ28のボス部28aの傾斜状の
各カム孔92の側面がスリーブ16外周のベアリング9
5から軸方向に移動するように押され、このカム効果に
より可動シーブ28が軸方向に移動してベルト推力が発
生する。
【0057】そのとき、上記トルクカム機構91の1対
のベアリング95,95は、スリーブ16により覆われ
ていない部位の出力軸13に圧入固定したピン94の両
端部に支持されている一方、可動シーブ28を摺動可能
にスリーブ16に係合するベアリング34支持用のピン
33は、出力軸13においてピン33の外径よりも大き
い長径を有する長孔36への挿通により出力軸13と所
定角度だけ相対回転可能とされているので、出力軸13
のトルクカム機構91による可動シーブ28への係合
と、スリーブ16の可動シーブ28への係合とが分離さ
れる。よって、トルクカム機構91を備えたプーリ26
であっても、その可動シーブ28の摺動構造をベアリン
グ34を利用したものとすることができる。
【0058】また、上記出力軸13前端の小径部13a
に配置したベアリング17の外輪17bにスリーブ16
が当接する一方、内輪17aに出力軸13の小径部13
aと他の部分との段部が係止されているので、ベアリン
グ17の内輪17aで上記トルクカム機構91によるス
ラスト荷重を、また外輪17bで固定シーブ27にベル
ト30から作用するスラスト荷重をそれぞれ分担して受
け持たせて、スリーブ16及び出力軸13の相対回転の
抵抗をベアリング17での内外輪17a,17b間の小
さな転がり抵抗とすることができる。尚、スリーブ16
内周面と出力軸13外周面との間にニードルベアリング
(図示せず)を介在させてもよく、また、このニードル
ベアリングと上記ベアリング17と組み合わせて設ける
こともできる。
【0059】また、上記テンション機構38において、
テンションアーム39、そのボス部39a、テンション
軸40及びばね取付アーム部43が全て溶接により結合
されて一体化されているので、テンション機構38の構
造が簡略化され、部品点数の低減や組付性の向上も図れ
る。
【0060】また、上記テンションスプリング48の固
定側端部が、変速機ケース1内に取付固定したテンショ
ン用カラー46に係止されているので、そのスプリング
48のケース1側への係止固定が容易となるとともに、
スプリング48が変速機ケース1外に出ないので、その
変速機ケース1の密閉度を高めることができる。
【0061】ここで、上記テンションスプリング48を
張り状態としながら変速機ケース1内に組み付ける作業
について、図12により説明すると、予め、前ケース2
に変速プーリ機構20、テンション機構38、各カム機
構50,67、変速切換機構89、操作軸98等を組み
付けて、後ケース3のみが組み付けられていない状態と
しておき、テンションスプリング48はテンションアー
ム39のばね取付アーム部43と前ケース2内面のテン
ション用カラー46との間に収縮状態で掛け渡す。この
とき、テンションスプリング48が収縮しているので、
テンションプーリ41によりベルト30の緩み側スパン
30aは大きく押圧されて変速機ケース1(前ケース
2)外に食み出した状態となる。
【0062】そして、先端部の一側に軸係合部111a
が、また中間部の所定位置の他側にカラー係合部111
bがそれぞれ切欠形成されている板状の組付治具111
を用意し、後ケース3を前ケース2に両フランジ2c,
3cが近接した状態として仮付けした後、上記組付治具
111の軸係合部111aをテンション軸40に係合さ
せ、その状態で組付治具111を押して上記テンション
スプリング48を伸長させながらテンションプーリ41
を変速機ケース1内側に押し込み、次いで、組付治具1
11をテンション軸40との係合位置を支点として図1
2で反時計回り方向に回してカラー係合部111bを、
テンションプーリ41近くにある前ケース2のフランジ
2cのねじ孔4に嵌挿されたカラー7に係合させて止め
る。この状態では、テンションスプリング48が伸長状
態となってテンションプーリ41が変速機ケース1内に
移動し、そのテンションプーリ41はベルト30内面を
押圧した状態である通常の変速状態の位置に位置付けら
れる。しかる後、上記仮付けした後ケース3を前ケース
2に組付ボルト6,6,…の挿通締結によって組み付
け、その組付けが完了する直前に上記組付治具111を
時計回り方向に回し操作して前後ケース2,3間の隙間
から抜き取った後、前後ケース2,3の組付けを完了さ
せればよい。
【0063】そのとき、予め、前ケース2の1対のねじ
孔4,4にノックピンとしてのカラー7,7が嵌挿され
ているので、後ケース3を前ケース2に位置決めして組
み付ける際、上記両カラー7,7をそれぞれ後ケース3
の対応するボルト挿通孔5,5に嵌挿するだけで正確に
位置決めすることができ、その位置決めを容易に行うこ
とができる。
【0064】しかも、上記カラー7,7の一方が、上記
組付治具111をテンションスプリング48を伸長状態
で固定するための係合部を兼用しているので、この係合
部と位置決め用カラーとの兼用により部品点数の低減や
ケース1の組付作業(変速機Tの組立作業)の容易化等
を図ることができる。
【0065】また、上記リンクバー79は略三角形状の
板材からなり、その3つの頂点の1つである一端部に駆
動プーリ側カム機構50の回動カム51の回動レバー5
6が連結され、残り2つの頂点のうち後側頂点である部
分に従動プーリ側カム機構67の回動カム69外周の回
動レバー73が連結され、操作軸98側の連結ロッド1
02の端部は上記駆動プーリ側カム機構50の回動レバ
ー56寄りに連結されているので、連結ロッド102の
端部を上記残り2つの頂点のうち前側頂点である部分に
連結する場合に比べ、リンクバー79への曲げ応力の集
中がなく、その折損等を確実に防止することができる。
【0066】また、上記リンクバー79の両端部のピン
孔80,85にそれぞれ焼結金属からなるブッシュ8
2,87が嵌挿され、このブッシュ82,87を嵌挿し
た状態でリンクピン83,88がピン孔80,85と回
動レバー56,73先端部のピン孔81,86とに挿通
されて、各回動レバー56,73とリンクバー79とが
揺動可能に連結されているので、これらの連結部の摩耗
をブッシュ82,87により低減して、長期間に亘って
安定した変速操作性を得ることができる。
【0067】そして、本発明の特徴として、駆動プーリ
側カム機構50の各固定カム58は、図1に拡大して示
すように、前ケース2の内面に入力軸9の半径方向(同
図の上下方向)に並ぶように配置されかつ入力軸9の軸
方向(同図の左右方向)に延びるように設けられた1対
の軸受部61,63と、両端部がそれぞれ上記軸受部6
1,63に固定された支持軸60と、この支持軸60に
回転可能に支持され、上記回動カム51の傾斜カム面5
5に転動可能にカム接触する転動体としてのカム受けベ
アリング59とを有してなっている。上記カム受けベア
リング59は、支持軸60に外嵌合状態で固定された内
輪59aと、傾斜カム面55にカム接触する外輪59b
とを有してなるローリングベアリングにより構成されて
いる。尚、同図において、入力軸9は模式的に示されて
いる。
【0068】また、上記支持軸60の一端部(図1の上
端部)は平板状とされていて、該支持軸60を固定する
固定ボルト65を挿通するためのボルト挿通孔としての
ボルト孔60aが入力軸9の軸方向つまり前ケース2の
内面から開口に向かう方向(同図の左から右に向かう方
向)に延びるように貫通状に設けられており、これに対
応させて、1対の軸受部61,63のうち、半径方向外
側(同図の上側)に位置する軸受部61には、上記固定
ボルト65を取り付けるためのボルト取付穴としてのね
じ穴62が入力軸9の軸方向に延びるように設けられて
いる。一方、半径方向内側(同図の下側)に位置する軸
受部63の先端には、支持軸60の断面円形状とされた
他端部を嵌め込まれた状態で固定する断面略半円形状の
凹部64が設けられている。そして、上記固定ボルト6
5を支持軸60のボルト孔60aを挿通して軸受部61
のねじ穴62に螺合締結することで、カム受けベアリン
グ59を前ケース2内面に固定支持するようになってい
る。
【0069】さらに、駆動プーリ側カム機構50におけ
る回動カム51の傾斜カム面55は、可動シーブ23の
ボス部23a上のベアリング57に対しその半径方向外
側に配置されている。その際に、カム本体52の固定シ
ーブ22と反対側の端面(前側端面)は、図2に示すよ
うに、上記ベアリング57の前側端面よりも少しだけ後
方に位置付けられている。
【0070】一方、従動プーリ側カム機構67の各固定
カム75では、後ケース3の内面に出力軸13の半径方
向に並ぶように配置されかつ出力軸13の軸方向に延び
るように1対の軸受部61,63が設けられており、転
動体としてのカム受けベアリング76は、上記軸受部6
1,63に固定した支持軸77に支持されている。ま
た、支持軸77の一端部には、固定ボルト65を挿通す
るためのボルト挿通孔としてのボルト孔77aが設けら
れている。上記カム受けベアリング76は、支持軸77
に外嵌合状態で固定された内輪76aと、回動カム69
の傾斜カム面72にカム接触する外輪76bとを有して
なるローリングベアリングにより構成されている。この
カム受けベアリング76の支持構造は上記駆動プーリ側
カム機構50の場合と同じであるので(図1参照)、図
1と同じ部分については同じ符号を付してその説明は省
略する。
【0071】また、従動プーリ側カム機構67における
回動カム69の傾斜カム面72も、可動シーブ28のボ
ス部28a上のベアリング74に対しその半径方向外側
に配置されている。そして、カム本体70の固定シーブ
27と反対側の端面(後側端面)は、上記ベアリング7
4の後側端面よりも少しだけ前方に位置付けられてい
る。
【0072】従って、駆動プーリ側及び従動プーリ側カ
ム機構50,67の固定カム58,75において、各カ
ム受けベアリング51,76の支持軸60,77を、そ
の両端部において1対の軸受部61,63により支持し
ているので、支持軸を1つの軸受部で片持ち状に支持さ
せる場合に比べ、カム受けベアリング51,76に対す
る支持剛性を高くすることができる。この結果、例え
ば、Vベルト30からの押圧力で可動シーブ23,28
に大きな面圧が加わっている状態において、上記可動シ
ーブ23,28を所定量だけ正確に移動せることがで
き、変速作動を適正に行わせることができるようにな
る。
【0073】その際に、カム受けベアリング59,76
にローリングベアリングを用いているので、転動時の摩
擦損失を少なくすることができ、よって、傾斜カム面5
5,72に対するカム接触を良好なものにすることがで
きる。
【0074】さらに、上記支持軸60,77を軸受部6
1に締結固定するためのねじ穴62が各ケース2,3の
開口に向かって軸方向に延びるように設けられているの
で、ケース2,3を金型により鋳造成形しかつその割り
型を軸方向に行う際に、上記ねじ穴62を設けることに
起因するケース2,3の成形性を容易化することができ
る。つまり、各ねじ穴62は、入出力軸9,13と平行
な方向に前ケース2ないし後ケース3の内面から開口に
向かう方向に延びているので、各ケース2,3を成形す
る際にねじ穴62用の下穴を成形しておけば、その後に
ねじ部を加工するだけで容易に形成することができ、例
えばねじ孔を入出力軸9,13と直交する方向に形成す
る場合の工具挿通用の孔やその加工後の蓋部が不要とな
る。
【0075】その上、各固定カム58,75では、2つ
の軸受部61,63を有するにも拘らず、1本の固定ボ
ルト65を用いて支持軸60,77を固定できるので、
軸受部を2つ設けることに伴う部品点数やボルト締結作
業の増加を抑えることができる。
【0076】また、上記各回動カム51,69の傾斜カ
ム面55,72がベアリング57,74の半径方向外側
に位置しているのに応じて、カム受けベアリング59,
76を入出力軸9,13の半径方向外側に配置できるの
で、カム受けベアリング59,76の半径方向内側に位
置している軸受部63に邪魔されることなく、上記カム
受けベアリング59,76を各々の傾斜カム面55,7
2にカム接触させることができる。
【0077】さらに、上記傾斜カム面55,72をベア
リング59,76に邪魔されることなく固定シーブ2
2,27側に寄せて配置できるので、その分だけ軸方向
における可動シーブ23,28及びカム機構50,67
の寸法を短くでき、変速機Tの軸方向でのコンパクト化
に寄与することができる。
【0078】尚、上記実施形態は、1対の変速プーリか
らなる変速プーリ機構20を有する無段変速機Tに適用
した場合であるが、本発明は、回転軸上に固定及び可動
シーブを対向配置した変速プーリを有する変速機であれ
ば適用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明で
は、回転軸上に配置された固定シーブ及び可動シーブか
らなる変速プーリと、上記可動シーブのボス部側に配置
された回動カム及びケース内面側に配置された固定カム
からなるカム機構とを備えたプーリ式変速機において、
また請求項2の発明では、各々、上記変速プーリからな
っていて、固定シーブに対する可動シーブの向きが互い
に逆向きに設定された駆動及び従動プーリと、これら両
プーリ間に巻き掛けられたベルトと、各可動シーブ背面
側において、該可動シーブのボス部側に配置された回動
カム及びケース内面側に配置された固定カムからなって
いて、回動カムの回動により可動シーブを軸方向に移動
して各プーリ径を変化させるカム機構と、上記駆動及び
従動プーリの両カム機構同士を連動連結して両回転軸間
の変速比を変化させる変速切換機構と、上記ベルトの緩
み側スパンを押圧してベルトへの推力を発生させるテン
ション機構とを備えたプーリ式変速機において、それぞ
れ、上記固定カムを、ケース内面に回転軸の半径方向に
並ぶように配置されかつ回転軸の軸方向に延びるように
設けた1対の軸受部に、両端部の2箇所で支持軸を支持
させ、この支持軸に、上記回動カムの傾斜カム面に転動
可能にカム接触する転動体を支持させるようにしたの
で、これら請求項1及び請求項2の何れの発明によって
も、支持軸を1つの軸受部で片持ち状に支持させる場合
に比べて、転動体に対する支持剛性を高くすることがで
きる。従って、例えば、ベルトからの押圧力により可動
シーブに大きな面圧が加わっている状態において、上記
可動シーブを所定量だけ正確に移動せることができ、変
速作動を適正に行わせることができる。
【0080】請求項3の発明によれば、上記固定カムの
転動体にローリングベアリングを用いるようにしたの
で、転動時の摩擦損失を少なくすることができ、その分
だけ回動カムの傾斜カム面に転動体を良好にカム接触さ
せることができる。
【0081】請求項4の発明によれば、上記固定カムの
支持軸の一端部に固定ボルト用のボルト挿通孔を軸方向
に延びるように設け、一方の軸受部には固定ボルト用の
ボルト取付穴を軸方向に延びるように設ける一方、他方
の軸受部には支持軸の他端部を嵌合状態で支承する凹部
を設けるようにしたので、軸受部が2つであるにも拘ら
ず1本の固定ボルトで支持軸を固定でき、軸受部を2つ
設けることに伴う部品点数やボルト締結作業の増加を抑
えることができる。
【0082】請求項5の発明によれば、上記ケースが、
回転軸の軸方向において分割された2つの分割ケースを
開口端にて密閉状に組み付けてなるものである場合に、
上記ボルト取付穴を分割ケースの開口方向に延びるよう
に配置することとしたので、上記ボルト取付穴を設ける
際に、ケースの成形性を容易化することができる。
【0083】請求項6の発明によれば、上記回動カムの
傾斜カム面を、ベアリングの半径方向外側に配置するよ
うにしたので、半径方向内側の軸受部に邪魔されること
なく固定カムを上記傾斜カム面にカム接触させることが
できる。また、上記傾斜カム面を、ベアリングに邪魔さ
れることなく可動シーブ側に寄せて配置できるので、そ
の分だけ可動シーブ及びカム機構の軸方向の寸法を短く
でき、プーリ式変速機の軸方向でのコンパクト化に寄与
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の要部としてのケースにおけ
る固定カムのカム受けベアリング取付部の構造を示す拡
大断面図である。
【図2】本発明に係るプーリ式無段変速機の水平断面図
である。
【図3】プーリ式変速機をケースを開けた状態で示す正
面図である。
【図4】図2のIV−IV線拡大断面図である。
【図5】テンションアームの拡大正面図である。
【図6】ケースにおけるスプリング取付部の構造を示す
拡大断面図である。
【図7】回動カムにおけるカム本体に対するカムチップ
の取付構造を示す拡大正面図である。
【図8】図7のVIII− VIII 線断面図である。
【図9】カム本体に対するカムチップの取付構造を示す
拡大展開図である。
【図10】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、ク
ランクアーム及び操作軸の連結構造を示す拡大正面図で
ある。
【図11】変速切換機構のリンクバー、連結ロッド、ク
ランクアーム及び操作軸の連結構造を一部を断面して示
す拡大平面図である。
【図12】治具によりテンションスプリングを張りなが
ら前後ケースを組み付ける状態を示す正面図である。
【符号の説明】
T プーリ式無段変速機(プーリ式変速機) 1 ケース 9 入力軸(回転軸) 13 出力軸(回転軸) 21 駆動プーリ(変速プーリ) 26 従動プーリ(変速プーリ) 22,27 固定シーブ 23,28 可動シーブ 23a,28a ボス部 24,29 ベルト溝 30 Vベルト(ベルト) 38 テンション機構 50 駆動プーリ側カム機構(カム機構) 67 従動プーリ側カム機構(カム機構) 51,69 回動カム 55,72 傾斜カム面 57,74 ベアリング 58,75 固定カム 59,76 カム受けベアリング(転動体) 59a,76a 内輪 59b,76b 外輪 60,77 支持軸 60a,77a ボルト孔(ボルト挿通孔) 61,63 軸受部 62 ねじ穴(ボルト取付穴) 64 凹部 65 固定ボルト 89 変速切換機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 敏夫 大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマ −農機株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に回転一体にかつ軸方向に移動不
    能に支持された固定シーブと、該固定シーブとの間にベ
    ルトが巻き掛けられる断面略V字状のベルト溝を形成す
    るように固定シーブに対向して配置され、かつ背面側に
    軸方向に延びるボス部を有し、該ボス部にて上記回転軸
    に回転一体にかつ軸方向に移動可能に外嵌支持された可
    動シーブとからなる変速プーリと、 上記変速プーリの可動シーブ背面側に配置され、可動シ
    ーブのボス部に軸方向に可動シーブと共に移動一体にか
    つ相対回転可能に設けられた回動カムと、回転軸の軸方
    向に移動不能に設けられて上記回動カムにカム接触する
    固定カムとからなっていて、上記回動カムの固定カムに
    対する回転軸回りの回動により可動シーブを固定シーブ
    に対して接離させるように軸方向に移動させて上記変速
    プーリの有効半径を変化させるカム機構とを、ケース内
    に備えたプーリ式変速機において、 上記回動カムは、上記可動シーブのボス部上にベアリン
    グを介して外嵌支持された円筒状のカム本体と、 上記カム本体の固定シーブと反対側の端面に設けられた
    傾斜カム面とを有してなり、 上記固定カムは、上記ケースの内面に回転軸の半径方向
    に並ぶように配置されかつ回転軸の軸方向に延びるよう
    に設けられた1対の軸受部と、 両端部がそれぞれ上記軸受部に固定された支持軸と、 上記支持軸に回転可能に支持され、上記傾斜カム面に転
    動可能にカム接触する転動体とを有してなることを特徴
    とするプーリ式変速機。
  2. 【請求項2】 互いに平行に配置された1対の回転軸上
    にそれぞれ設けられ、各々、回転軸に回転一体にかつ軸
    方向に移動不能に固定支持された固定シーブと、該固定
    シーブとの間に断面略V字状のベルト溝を形成するよう
    に固定シーブに対向して配置され、かつ背面側に軸方向
    に延びるボス部を有し、該ボス部にて上記回転軸に回転
    一体にかつ軸方向に移動可能に外嵌支持された可動シー
    ブとからなっていて、一方の可動シーブの固定シーブへ
    の向きと他方の可動シーブの固定シーブへの向きとが互
    いに逆向きに設定された駆動及び従動プーリと、 上記駆動及び従動プーリのベルト溝間に巻き掛けられた
    ベルトと、 上記駆動及び従動プーリの各可動シーブ背面側にそれぞ
    れ配置され、各々、可動シーブのボス部に軸方向に可動
    シーブと共に移動一体にかつ相対回転可能に設けられた
    回動カムと、回転軸の軸方向に移動不能に設けられて上
    記回動カムにカム接触する固定カムとからなっていて、
    上記回動カムの固定カムに対する回転軸回りの回動によ
    り可動シーブを固定シーブに対して接離させるように軸
    方向に移動させて上記各プーリの有効半径をそれぞれ変
    化させる駆動プーリ側及び従動プーリ側カム機構と、 上記駆動及び従動プーリの一方において可動シーブが固
    定シーブに近付くと他方において可動シーブが固定シー
    ブから離れるように上記両カム機構の回動カムを互いに
    連動連結して回動させることで上記両回転軸間の変速比
    を変化させる変速切換機構と、 上記駆動及び従動プーリ間において、両プーリ間に巻き
    掛けられたベルトの緩み側スパンを該ベルトが各プーリ
    のベルト溝に食い込むように押圧してベルトへの推力を
    発生させるテンション機構とを、ケース内に備えたプー
    リ式変速機において、 上記回動カムは、上記可動シーブのボス部上にベアリン
    グを介して外嵌支持された円筒状のカム本体と、 上記カム本体の固定シーブと反対側の端面に設けられた
    傾斜カム面とを有してなり、 上記固定カムは、上記ケースの内面に回転軸の半径方向
    に並ぶように配置されかつ回転軸の軸方向に延びるよう
    に設けられた1対の軸受部と、 両端部がそれぞれ上記軸受部に固定された支持軸と、 上記支持軸に回転可能に支持され、上記傾斜カム面に転
    動可能にカム接触する転動体とを有してなることを特徴
    とするプーリ式変速機。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のプーリ式変速機に
    おいて、 転動体は、支持軸に外嵌合状態で固定された内輪と、傾
    斜カム面にカム接触する外輪とを有してなるローリング
    ベアリングにより構成されていることを特徴とするプー
    リ式変速機。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のプーリ式変速機に
    おいて、 支持軸の一端部に、該支持軸を固定する固定ボルトを挿
    通するためのボルト挿通孔が回転軸の軸方向に延びるよ
    うに設けられ、 一方の軸受部には、上記固定ボルトを取り付けるための
    ボルト取付穴が回転軸の軸方向に延びるように設けられ
    ている一方、他方の軸受部には、上記支持軸の他端部を
    嵌め込まれた状態に固定する凹部が設けられていること
    を特徴とするプーリ式変速機。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のプーリ式変速機におい
    て、 ケースは、回転軸の軸方向において分割された2つの分
    割ケースを開口端にて密閉状に組み付けてなり、 ボルト取付穴は、上記分割ケースの開口方向に延びるよ
    うに配置されていることを特徴とするプーリ式変速機。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載のプーリ式変速機に
    おいて、 傾斜カム面は、ベアリングの半径方向外側に配置されて
    いることを特徴とするプーリ式変速機。
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