JP2675517B2 - 変速プーリ - Google Patents

変速プーリ

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JP2675517B2
JP2675517B2 JP5250861A JP25086193A JP2675517B2 JP 2675517 B2 JP2675517 B2 JP 2675517B2 JP 5250861 A JP5250861 A JP 5250861A JP 25086193 A JP25086193 A JP 25086193A JP 2675517 B2 JP2675517 B2 JP 2675517B2
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博文 宮田
吉浩 赤星
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転軸上で固定シー
ブに対し可動シーブが軸方向に移動してプーリ溝のベル
ト巻付け径を変化させる変速プーリに関し、特に、固定
シーブを回転軸に支持させる構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の変速プーリは、軸心回りに回転
可能に支持された回転軸に対し、ボス部において回動不
能に支持された固定シーブと、ボス部において軸方向に
移動可能に支持された可動シーブとを備え、上記両シー
ブ間に形成されるプーリ溝にベルトを巻き掛けるように
なされている。また、上記回転軸の可動シーブ背面側に
配設された係合部と、可動シーブのボス部に設けられ、
上記係合部に係合するカム部とからなるトルクカム機構
を備え、このトルクカム機構により、可動シーブと回転
軸との間の回動力を利用して可動シーブを軸方向に移動
させるようにし、このことで、上記プーリ溝のベルト巻
付け径を変化させるようになされたものが一般に知られ
ている。
【0003】上記変速プーリは、例えば、同じものを2
つ各々の回転軸が互いに平行となるように配置して両変
速プーリ間にVベルトを巻き掛け、両プーリ間のプーリ
比を変化させることで、回転速度を無段階に変化させる
変速プーリ装置等としても用いられる。また、近年で
は、特開昭62−118159号公報に示されているよ
うに、上記変速プーリ装置に遊星ギヤ機構等の差動ギヤ
機構を組み込んで、出力軸を無段階に正逆回転させるこ
とのできるコンパクトな無段変速装置も提案されてい
る。このような無段変速装置は、例えば、芝刈機や農業
機械等の小型車両において使用されるが、そのような場
合に、コンパクトでありながらも一層の高出力化が求め
られている。したがって、上記変速プーリにおいても、
より大きな駆動力の伝達を可能とすることが求められて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記変速プ
ーリの伝動能力を増大させるには、ベルトの張力を高め
るとともに、このベルト張力に負けないだけのベルト推
力が変速プーリに要求されることとなり、そのために
は、上記可動シーブの回転軸に対する回動幅を大きくと
って可変プーリを軸方向に移動させる力を大きくする必
要があるが、上記公報の場合では、可動シーブが回転軸
に対して回動する際に、上記可動シーブは固定シーブに
対しても回動するために、上記両シーブ間のプーリ溝に
介在しているベルトが、両プーリ間の相対回動を規制す
る方向に働き、このことで、可動シーブの回転軸に対す
る回動幅を十分に大きくすることが困難であるという欠
点がある。
【0005】そこで、従来では、実開平2−14626
3号公報に記載されているように、回転軸に、スリーブ
を回動可能に外嵌合し、このスリーブに固定シーブを軸
方向に相対移動不能でかつ相対回動不能に、また可動シ
ーブを軸方向に相対移動可能でかつ相対回動不能にそれ
ぞれ外嵌合させることにより、可動シーブが回転軸に対
して回動する際に、固定シーブも上記可動シーブと共に
回転軸に対し同体回動できるようになされている。
【0006】また、上記従来例では、スリーブのスラス
ト荷重をその固定シーブ側端部において支持するため
に、回転軸上にスラストベアリングを配置している。
【0007】しかしながら、上記従来の場合には、回転
軸上において、回転軸の固定シーブ側端部を回転可能に
支持するラジアルベアリングと、上記スラストベアリン
グとが軸方向に並ぶことになるために、そのことが、変
速プーリ機構の軸長を短くする上で障害になるという問
題がある。
【0008】上記の問題に対しては、上記スラストベア
リングを省略し、その役目を上記ラジアルベアリングに
兼任させるようにすることが考えられる。その場合、ラ
ジアルベアリングの配置としては、スリーブの固定シー
ブ側端部上に配置するか、又はスリーブの固定シーブ側
端部に軸方向に当接させるように配置することが考えら
れる。
【0009】このとき、スリーブ上に配置したとする
と、スリーブの固定シーブ側端部のラジアル方向の移動
を拘束することになるために、次のような不具合が生じ
る。すなわち、ベルトの巻き掛けられている側におい
て、スリーブ及び回転軸間のクリアランスがスリーブの
全長に亘って小さくなろうとするときに、スリーブの固
定シーブ側端部のラジアル方向の移動が拘束されている
と、その部分における上記クリアランスが他の部分ほど
に小さくならず、このことで、固定シーブが可動シーブ
側に傾倒することになり、その結果、ベルトや固定シー
ブが片摩耗し易くなる。
【0010】また、スリーブの固定シーブ側端部にラジ
アルベアリングを当接させるようにすると、スリーブ
は、例えばラジアルベアリングがころがり軸受である場
合に、そのインナレースの端面のみならず、アウタレー
スの端面にも摺接し易くになり、このことで、ラジアル
ベアリングの機能を阻害したり、スリーブの円滑な回動
を損なう虞れがある。
【0011】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、可動シーブと回転軸との間の回動
力を利用して可動シーブを軸方向に移動させ、このこと
で、プーリ溝のベルト巻付け径を変化させるようになさ
れた変速プーリにおいて、回転軸にスリーブを回動可能
に外嵌合し、このスリーブに固定及び可動シーブを外嵌
合して両シーブを回動一体に連結させるようにする際
に、上記回転軸の固定シーブ側端部を回転可能に支持す
るラジアルベアリングに、上記スリーブのスラスト荷重
をその固定シーブ側端部において不具合を生じることな
く支持させられるようにすることで、スリーブのスラス
トベアリングを省略し、その分だけ軸長を短くして変速
プーリ機構のコンパクト化が図れるようにするととも
に、スリーブへ供給される潤滑油の飛散を防止すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、回転軸の固定シーブ側端部
上に、スリーブの固定シーブ側端部に連続させるように
してかつ該固定シーブ側端部を被覆するブッシュを配置
し、このブッシュ上に回転軸のラジアルベアリングを配
置することで、スリーブの固定シーブ側端部のラジアル
方向の移動を許容するとともに、その端部をラジアルベ
アリングに直接に接触させることなく、該スリーブのス
ラスト荷重をその固定シーブ側端部において支持させる
ようにした。
【0013】具体的には、請求項1の発明の解決手段
は、軸心回りに回転可能に支持された回転軸と、この回
転軸にボス部において支持された固定シーブと、上記回
転軸にボス部において支持されかつ上記固定シーブとの
間でベルトが巻き掛けられるプーリ溝を形成する可動シ
ーブと、上記回転軸の可動シーブ背面側部位と可動シー
ブのボス部との間に設けられ、回転軸と可動シーブとの
間の相対回動により可動シーブを軸方向に移動させて上
記プーリ溝のベルト巻付け径を変化させるトルクカム機
構と、上記回転軸に回動可能に外嵌合され、上記固定シ
ーブのボス部が軸方向に相対移動不能でかつ相対回動不
能に外嵌合されているとともに上記可動シーブのボス部
が軸方向に相対移動可能でかつ相対回動不能に外嵌合さ
れたスリーブと、上記回転軸の固定シーブ側端部を回転
可能に支持するラジアルベアリングとを備えた変速プー
リが前提である。
【0014】そして、上記回転軸の固定シーブ側端部上
に、上記スリーブの固定シーブ側端部に連続して配置さ
れ、かつ上記スリーブの固定シーブ側端部を被覆する大
径部を有するブッシュが設けられ、該ブッシュ上に上記
ラジアルベアリングが配置されているものとする。
【0015】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、変速
プーリの固定シーブ及び可動シーブは、回転軸に回動可
能に外嵌合されたスリーブを介して該回転軸に支持され
ている。その際に、上記固定シーブは軸方向に相対移動
不能でかつ相対回動不能に、また可動シーブは軸方向に
相対移動可能でかつ相対回動不能にそれぞれスリーブに
外嵌合されている。そして、上記回転軸の固定シーブ側
端部上に配置されたブッシュの上に、該回転軸の固定シ
ーブ側端部を回転可能に支持するラジアルベアリングが
配置されている。また、上記ブッシュが、スリーブの固
定シーブ側端部に連なるように配置されていることで、
該スリーブのスラスト荷重はその固定シーブ側端部にお
いて支持される。このとき、上記スリーブの固定シーブ
側端部とラジアルベアリングとの間には上記ブッシュが
介在しているので、該スリーブの固定シーブ側端部のラ
ジアル方向の移動がラジアルベアリングの制約を受ける
という事態は回避されるとともに、スリーブの固定シー
ブ側端部がラジアルベアリングに直接に接触することに
起因する不具合も生じない。
【0016】さらに、変速プーリの回転軸とブッシュと
の間に介在する潤滑油は、回転軸の回転運動に伴って、
スリーブの固定シーブ側端部とブッシュとの隙間から外
部に漏れ出して半径方向外方に飛散しようとする。この
とき、上記スリーブの固定シーブ側端部が、ブッシュの
大径部により被覆されているので、上記潤滑油の漏出及
びその飛散は抑えられる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0018】図2及び図3は、本発明の実施例に係る無
段変速装置Aの全体構成を示し、この変速装置Aは芝刈
機や農業機械等の車両において、エンジンEと駆動車輪
との間の動力伝達経路に配設されている。
【0019】図2及び図3において、1は、無段変速装
置Aのケーシングであって、このケーシング1は、図2
の左側から右側に向かって第1ケーシング部〜第3ケー
シング部である第1〜第3分割ケーシング1a〜1cに
3分割されている。そして、上記ケーシング1の内部に
は、互いに略水平面内で平行に配置した第1回転軸2及
び第2回転軸12が回転可能に支承されている。
【0020】第1回転軸2は、入力部(入力軸)を構成
するもので、ギヤ軸部3及びプーリ軸部4に2分割され
ている。ギヤ軸部3の一端(図2の左端)は、ケーシン
グ1の外部に突出されている一方、他端部は、第1及び
第2分割ケーシング1a,1b間に位置し、このギヤ軸
部3の他端には、第2分割ケーシング1bを貫通するボ
ス部5aを有するギヤ5が同心に回転一体に溶接されて
いる。そして、ギヤ軸部3は中間部が第1分割ケーシン
グ1aに、また、ギヤ5の中空状ボス部5aが第2分割
ケーシング1bにそれぞれベアリング6,7を介して支
持されている。一方、プーリ軸部4は、第2及び第3の
分割ケーシング1b,1c間に配置され、このプーリ軸
部4の一端部(図2の左端部)は小径とされていて、上
記ギヤ軸部3と一体のギヤ5のボス部5a内部に回転一
体にかつ抜出し可能に嵌合されている。プーリ軸部4の
他端側半部は小径部とされていて、第3分割ケーシング
1cにベアリング10を介して支持されている。
【0021】第2回転軸12も同様にギヤ軸部13及び
プーリ軸部14に2分割されている。図1及び図4にも
示すように、ギヤ軸部13は第2分割ケーシング1bを
貫通し、その一端(図2の左端)は第1分割ケーシング
1aに、また中間部は第2の分割ケーシング1bにそれ
ぞれベアリング15,16を介して支持されている。一
方、プーリ軸部14は第2及び第3分割ケーシング1
b,1c間に配置される筒状のもので、その一端部(図
2の左端)には上記ギヤ軸部13の他端部が回転一体に
かつ抜出し可能にスプライン結合され、他端は第3分割
ケーシング1cにベアリング17を介して支持されてい
る。この構造により、ケーシング1を第1及び第2分割
ケーシング1a,1bと第3分割ケーシング1cとに2
分割し、かつ各回転軸2,12をそれぞれギヤ軸部3,
13とプーリ軸部4,14とに2分割することで、無段
変速装置Aを後述の遊星ギヤ機構19と変速プーリ機構
27とにユニット化して2分割できるようにしている。
【0022】図13及び図14に示す如く、上記第1回
転軸2においてケーシング1から突出した端部にはVプ
ーリからなる従動プーリ91が回転一体に取り付けら
れ、この従動プーリ91とエンジンEの出力軸E1に取
り付けたVプーリからなる駆動プーリ92との間にはV
ベルト93が巻き掛けられており、エンジンEの動力を
Vベルト93を介して変速装置Aの第1回転軸2に伝達
するようになっている。
【0023】また、上記両プーリ91,92間にはVベ
ルト93の緩み側スパンを背面側から押すテンションプ
ーリ94が配設され、このテンションプーリ94はテン
ションアーム95の先端軸部に回転可能に支持され、テ
ンションアーム95はテンションプーリ94がベルト9
3を押す方向に図外のばね等により回動付勢されてい
る。また、テンションアーム95をばね等の付勢力に抗
してベルト押圧方向と反対側に回動させるエアシリンダ
等のアクチュエータ96が設けられており、上記テンシ
ョンプーリ94、テンションアーム95、アクチュエー
タ96等によりVベルト93に対する推力をなくして両
プーリ91,92間つまりエンジンEと変速装置Aとの
間の動力伝達を遮断するテンションクラッチ97が構成
されている。
【0024】さらに、後述する操作レバー66のニュー
トラル位置への切換えにより無段変速装置Aがニュート
ラル状態になったことを検出するリミットスイッチ98
が設けられ、このリミットスイッチ98からのニュート
ラル検出信号を受けて上記エアシリンダ等のアクチュエ
ータ96が作動するように構成されており、無段変速装
置Aのニュートラル時、テンションクラッチ97により
エンジンEと変速装置Aとの間の動力伝達を遮断して、
変速装置Aを車輪側のみに駆動連結した状態とするよう
にしている。
【0025】ケーシング1内には、第2回転軸12の左
端部上に配置された差動ギヤ機構としての遊星ギヤ機構
19と、上記両回転軸2,12をVベルト38によって
変速可能に駆動連結する変速プーリ機構27とが収容さ
れている。
【0026】上記遊星ギヤ機構19は、図5に拡大詳示
するように、第2回転軸12において第1及び第2分割
ケーシング1a,1b間に位置するギヤ軸部13に形成
された第2ギヤ要素としてのサンギヤ20と、該サンギ
ヤ20に噛合する複数のピニオン21,21,…と、上
記第2回転軸12のギヤ軸部13の第1分割ケーシング
1a寄りにベアリング24,24を介して回転可能に支
承され、上記ピニオン21,21,…を回転可能に担持
する第3ギヤ要素としての出力ギヤ22(ピニオンキャ
リア)と、最も外周に配置され、かつギヤ軸部13にベ
アリング25,25を介して回転可能に支持され、上記
ピニオン21,21,…に内周で噛合する第1ギヤ要素
としてのリングギヤ23とを備えている。リングギヤ2
3は外周にて上記第1回転軸2上のギヤ5に噛合連結さ
れている。また、上記出力ギヤ22は変速装置Aの出力
部を構成するもので、図外の駆動車輪に駆動連結されて
いる。
【0027】上記変速プーリ機構27は、第1回転軸2
において第2及び第3分割ケーシング1b,1c間のプ
ーリ軸部4上に配置された第1変速プーリ28を有す
る。この第1変速プーリ28は、図1に拡大詳示するよ
うに、第1回転軸2におけるプーリ軸部4にボス部29
aにて回転一体にかつ摺動不能に設けられたフランジ状
の固定シーブ29と、上記プーリ軸部4に固定シーブ2
9に対向するようにボス部30aにて摺動可能にかつ相
対回転可能に設けられたフランジ状の可動シーブ30と
からなり、これら両シーブ29,30間にはプーリ溝3
1が形成されている。上記可動シーブ30のボス部30
aは鍛造によりシーブ本体30bと一体に形成されてい
る。
【0028】一方、第2回転軸12のプーリ軸部14上
には第1変速プーリ28と同径の第2変速プーリ33が
設けられている。この第2変速プーリ33は、図4に拡
大詳示するように、上記第1変速プーリ28と同様の構
成であり、第2回転軸12のプーリ軸部14にボス部3
4aにて回転一体にかつ摺動不能にキー結合されたフラ
ンジ状の固定シーブ34と、プーリ軸部14に、固定シ
ーブ34に対し上記第1変速プーリ28における固定シ
ーブ29に対する可動シーブ30の対向方向と逆方向で
もって対向するようにボス部35aにて摺動可能にかつ
相対回転可能に結合されたフランジ状の可動シーブ35
とからなり、これら両シーブ34,35間にはプーリ溝
36が形成されている。
【0029】そして、上記第1変速プーリ28のプーリ
溝31と第2変速プーリ33のプーリ溝36との間には
ブロックベルトからなるVベルト38が巻き掛けられて
おり、両変速プーリ28,33の各可動シーブ30,3
5をそれぞれ固定シーブ29,34に対して接離させて
各プーリ28,33のベルト巻付け径を変更する。例え
ば、第1変速プーリ28の可動シーブ30を固定シーブ
29に接近させ、かつ第2変速プーリ33の可動シーブ
35を固定シーブ34から離隔させたときには、第1変
速プーリ28のベルト巻付け径を第2変速プーリ33よ
りも大きくすることにより、第1回転軸2の回転を第2
回転軸12に増速して伝達する。一方、逆に、第1変速
プーリ28の可動シーブ30を固定シーブ29から離隔
させ、かつ第2変速プーリ33の可動シーブ35を固定
シーブ34に接近させたときには、第1変速プーリ28
のベルト巻付け径を小にし、第2変速プーリ33のベル
ト巻付け径を大きくすることにより、第1回転軸2の回
転を減速して第2回転軸12に伝えるようになされてい
る。
【0030】上記Vベルト38は、図1に例示するよう
に、繊維強化ゴムや繊維強化プラスチック等からなる保
形層の上下中央部に複数の心線を埋設してなる1対のエ
ンドレスの張力帯39,39と、各々該張力帯を嵌合す
る嵌合部40a,40aを有し、左右側面をプーリ2
8,33のプーリ溝31,36の側面に当接可能とされ
た多数の略台形状ブロック40,40,…とで構成さ
れ、上記各張力帯39の上下面及び各ブロック40の嵌
合部40a上下面にそれぞれ互いに対応するように形成
した凹凸部(図示せず)同士を互いに係合させて、ブロ
ック40,40,…を張力帯39,39に対しベルト長
手方向に係止固定してなる高負荷伝動用のものであり、
高い側圧に耐えることができるものである。
【0031】上記第1変速プーリ28の可動シーブ30
のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4との間に
はトルクカム機構42が配設されている。このトルクカ
ム機構42は、図6〜図8にも示すように、第1回転軸
2に先端部が外周面から突出するようにその直径方向を
貫通して固定された直線状ピンからなるトルクピン43
と、このトルクピン43の先端突出部に回転可能に嵌合
されたトルクリング44と、可動シーブ30のボス部3
0aに貫通形成され、上記トルクピン43先端のトルク
リング44にそれぞれ係合するトルクカム孔45,45
とからなる。この各トルクカム孔45は、図6及び図8
に示す如く略三角形状のもので、その一方の側壁には回
転軸2の軸心と平行な方向に対して所定のリード角θ1
(例えばθ1=26゜)だけ傾斜した前進側カム面45
aが、他方の側壁には同様に上記前進側カム面45aよ
りも小さいリード各θ2(例えばθ2=8゜<θ1)だ
け傾斜した後進側カム面45bがそれぞれ形成されてお
り、無段変速装置A(車両)の前進状態及び後進状態の
各動力伝達時にトルクカム機構42を作動させ、前進時
と後進時とでベルト38に対する推力を逆方向に作用さ
せ、前進時には後進時よりも大きなベルト推力を得るよ
うに、各可動シーブ30,35を固定シーブ29,34
側に押圧させるようになっている。
【0032】上記第1回転軸2のプーリ軸部4上には第
1変速プーリ28における可動シーブ30背面側に、該
可動シーブ30を固定シーブ29に対して接離させるた
めの第1カム機構47が設けられている。このカム機構
47は、図1に示すように、回動カム48を有し、該回
動カム48は、可動シーブ30のボス部30a上に上記
各トルクカム孔45を覆うように外嵌合した円筒状カラ
ー51上に、ベアリング49を介して相対回転可能にか
つ軸方向に移動一体に外嵌合支持されている。回動カム
48の第1変速プーリ28と反対側端面には1対の傾斜
カム面48a,48aが円周方向に等角度間隔(180
゜間隔)をあけて形成され、外周には回動レバー50が
回動一体に突設されている。
【0033】また、上記回動カム48の背面側には、第
2分割ケーシング1bに第1回転軸2と同心状に一体形
成したカムフオロワとしての円筒状の固定カム51が配
置され、この固定カム51には回動カム48の各カム面
48aに当接して転動するローラ52,52がそれぞれ
回転可能に軸支されている。
【0034】一方、第2回転軸12におけるプーリ軸部
14上には、第2変速プーリ33における可動シーブ3
5の背面側に、該可動シーブ35を固定シーブ34に対
して接離させるための第2カム機構54が設けられてい
る。この第2カム機構54は、図6に示すように、上記
第1カム機構47と同様の構成で、可動シーブ35のボ
ス部35a上にベアリング55を介して相対回転可能に
かつ軸方向に移動一体に外嵌合支持された回動カム56
を有する。このカム56の第2変速プーリ33と反対側
端面には1対の傾斜カム面56a,56aが円周方向に
等角度間隔をあけて形成され、外周には回動レバー57
が回動一体に突設されている。
【0035】また、回動カム56の背面側には、第3分
割ケーシング1cを外側に第2回転軸12と同心円筒状
に膨出させてなるカムフオロワとしての固定カム58が
配置され、この固定カム58には回動カム56の各カム
面56aに当接して転動するローラ59,59がそれぞ
れ回転可能に軸支されている。
【0036】そして、図3及び図9に示す如く、上記第
1カム機構47の回動レバー50先端にはピン61を介
してリンク62の一端が連結され、このリンク62の他
端は上記第2カム機構54の回動レバー57先端にピン
63を介して連結されており、上記回動レバー50,5
7、リンク62及びピン61,63により連動機構64
が構成されている。この連動機構64により、各カム機
構47,54におけるカム48,56を互いに連係して
可動シーブ30,35のボス部30a,35a周りに回
動させ、その各カム面48a,56a上でローラ52,
59を転動させることにより、可動シーブ30,35を
軸方向に移動させて固定シーブ29,34に対し互いに
相反して接離させ、そのプーリ溝31,36の有効半径
つまりプーリ28,33でのベルト巻付け径を可変と
し、両変速プーリ28,33間のプーリ比を変化させる
ようにしている。
【0037】さらに、図15に示すように、上記変速プ
ーリ機構27の連動機構64において第2カム機構54
の回動レバー57先端にはロッド65の一端部が連結さ
れ、このロッド65の他端はロッド67を介して切換操
作部としての操作レバー66に接続されている。この操
作レバー66は、例えば、揺動軸を中心として前進最高
速位置、ニュートラル位置及び後進最高速位置の間を前
後に揺動するもので、その変速パターンは、後進最高速
位置からニュートラル位置を経て前進最高速位置に移動
させるとき、ニュートラル位置で一旦回動方向と直角方
向に移動させるようになっている。そして、操作レバー
66の端部に上記ロッド67が連結されており、この操
作レバー66の切換操作により連動機構64を作動させ
て各回動カム48,56に突設されている各回動アーム
50,57を前進最高速位置、ニュートラル位置及び後
進最高速位置の間で回動させ(図3参照)、変速プーリ
機構27の変速比を変えることで、上記遊星ギヤ機構1
9のピニオンキャリアとしての出力ギヤ22(出力部)
を第1回転軸2(入力部)に対し正転状態、ニュートラ
ル状態又は逆転状態に切り換えて変速し、ニュートラル
状態では、第1変速プーリ28でのベルト巻付け径が例
えば108mmに、第2変速プーリ33でのベルト巻付
け径が例えば72mmにそれぞれなるように構成されて
いる。また、上記遊星ギヤ機構19に対するギヤ比の設
定により、出力ギヤ22を第1回転軸2に対し逆転させ
る車両の前進状態では、第1回転軸2に駆動連結されて
いるリングギヤ20の回転速度が、第2回転軸12に連
結されているサンギヤ20の回転速度よりも高くなるよ
うになされている。
【0038】さらに、上記操作レバー66の操作力を連
動機構64に伝達不能とする不感帯部68が設けられて
いる。この不感帯部68は、例えば、上記ロッド65の
回動レバー38と反対側に設けられるピン部材69と、
ロッド67の操作レバー66側に設けられ、かつ上記ピ
ン部材69にロッド67の長さ方向に係合する係合部7
0が形成された係合部材71とを備え、上記係合部70
はピン部材69を所定距離だけ摺動可能に係合する長溝
(又は長孔)からなっており、この係合部70でのピン
部材69の相対移動により、操作レバー66がニュート
ラル位置にあるとき、その操作レバー66の操作力を連
動機構64に伝達不能とするようになされている。
【0039】また、上記第1及び第2変速プーリ28,
33間に張られたVベルト38の1対のスパン38a,
38bのうちの緩み側となるスパンを自動的にその内面
から外方に押圧してベルト38に張力を与えることでベ
ルト推力を発生するテンション機構73が設けられてい
る。このテンション機構73は、図4に拡大詳示するよ
うに、第2分割ケーシング1bにおいて第2回転軸12
回りに同心状に突設した軸受部にカラー74を介してボ
ス部75aが回動可能に支持された第1テンションアー
ム75と、この第1テンションアーム75のボス部75
a上に相対回動可能に支持されたボス部76aを有する
第2テンションアーム76とを有し、第2テンションア
ーム76のボス部76aには第1テンションアーム75
を貫通させる切欠き76bが形成されている。図3に示
すように、上記第1テンションアーム75は第1回転軸
2側に延び、その先端部は上側に彎曲している。また、
図10に拡大詳示するように、第1テンションアーム7
5の中間部には両回転軸2,12と平行に延びるテンシ
ョン軸77の一端が取付固定され、このテンション軸7
7の他端は各変速プーリ28,33におけるプーリ溝3
1,36部分に位置し、この他端部には上記Vベルト3
8の一方(図3上側)のスパン38aを内面から押圧可
能な第1テンションプーリ78がベアリング79を介し
て回転自在に支持されている。一方、第2テンションア
ーム76の先端部には両回転軸2,12と平行に延びる
テンション軸80の一端が取付固定され、このテンショ
ン軸80の他端は各変速プーリ28,33におけるプー
リ溝31,36部分に位置し、この他端部には上記Vベ
ルト38の他方(同図下側)のスパン38bを内面から
押圧可能な第2テンションプーリ81がベアリング(図
示せず)を介して回転自在に支持されている。上記両テ
ンションプーリ78,81の位置は、変速に伴うベルト
38の軸方向の移動に拘らず、常にテンションプーリ7
8,81外面がベルト38内面の一部に接触してそれを
押圧可能な位置に設定されている。
【0040】そして、第2テンションアーム76のボス
部76aには上側に延びるばね取付アーム82が一体に
取り付けられ、このばね取付アーム82の先端と上記第
1テンションアーム75の先端部との間には引張ばね8
3が掛けられており、この引張ばね83のばね力により
第1テンションアーム75を図3で時計回り方向に、ま
た第2テンションアーム76を同反時計回り方向にそれ
ぞれ回動付勢して、両テンションプーリ78,81によ
りそれぞれVベルト38のスパン38a,38bの内面
を押圧させる。そして、引張ばね83の各テンションア
ーム75,76に対する回動付勢力は、各テンションプ
ーリ78,81がベルト38の緩み側スパン38a,3
8bを該緩み側スパン38a,38bに発生する最大張
力よりも大きい張力で押圧するように設定されており、
この張力によりベルト推力を発生させるようにしてい
る。
【0041】さらに、上記各テンションプーリ78,8
1は、図11及び図12に拡大詳示するように、ベアリ
ングのアウタレース外面に外嵌合固定されている。各テ
ンションプーリ78,81の断面形状の両側面は各変速
プーリ28,33のプーリ溝31,36側面に平行な角
度とされ、このことでテンションプーリ78,81側面
の傾斜角度θ3はプーリ溝31,36の断面角度に一致
し、各テンションプーリ78,81外周の軸方向長さは
ベルト38内面側の幅よりも小さくされている。また、
この各テンションプーリ78,81はポリアミド繊維が
混入された繊維強化樹脂からなり(具体的には、例えば
ガラス繊維を30%混入した66ナイロン樹脂)、この
ことでブロックVベルト38のブロック40,40,…
に対する接触音を低減するようにしている。
【0042】そして、上記回転軸に回動可能に外嵌合さ
れたスリーブを備えるようにする。このスリーブには、
上記固定シーブのボス部が軸方向に相対移動不能でかつ
相対回動不能に外嵌合されているとともに、上記可動シ
ーブのボス部が軸方向に相対移動可能でかつ相対回動不
能に外嵌合されている。
【0043】図1に示すように、上記第1回転軸のプー
リ軸部4には、スリーブ8が回動可能に外嵌合されてい
る。このスリーブ8には、第1変速プーリ28における
固定シーブ29のボス部29aがキー結合により軸方向
に相対移動不能でかつ相対回動不能になされた状態で外
嵌合されているとともに、可動シーブ30のボス部30
aが軸方向に相対移動可能でかつ相対回動不能に外嵌合
されている。
【0044】そして、この発明の特徴として、上記プー
リ軸4の固定シーブ側端部上には、上記スリーブ8の固
定シーブ側端部に連続してブッシュ9が配置されてお
り、このブッシュ9上に、上記プーリ軸部4の固定シー
ブ側端部を回転可能に支持するラジアルベアリング10
が配置されている。すなわち、上記ラジアルベアリング
10は、スリーブ8のスラスト荷重をその固定シーブ側
端部でブッシュ9を介して支持するようになされてい
る。一方、上記スリーブ8の固定シーブ側端部は、ラジ
アルベアリング10によるラジアル方向の直接の支持は
受けておらず、このことで、スリーブ8の固定シーブ側
端部のラジアル方向の移動が許容されるようになってい
る。また、上記ブッシュ9は、スリーブ8の固定シーブ
側端部を被覆する大径部9aを有し、この大径部9aに
より、ブッシュ9とプーリ軸部4との間に介在する潤滑
油の飛散を防止するようになされている。
【0045】次に、上記実施例の作用について説明す
る。
【0046】無段変速装置Aの第1回転軸2に駆動及び
従動プーリ92,91並びにVベルト93を介して車載
エンジンEが駆動連結され、遊星ギヤ機構19のピニオ
ン21,21,…を支持するピニオンキャリアとしての
出力ギヤ22が車両の駆動車輪に駆動連結されているの
で、エンジンEの回転動力は無段変速装置Aで変速され
た後、駆動車輪に伝達される。このとき、変速装置Aに
おいては、上記入力部たる第1回転軸2と出力部たる出
力ギヤ22との間の動力伝達経路に遊星ギヤ機構19及
び変速プーリ機構27が並列に配置されているので、こ
の変速装置Aの作動時、第1回転軸2から入力された動
力は、変速プーリ機構27と第1回転軸2上のギヤ5及
び遊星ギヤ機構19とに伝達された後、該遊星ギヤ機構
19におけるピニオンキャリアとしての出力ギヤ22か
ら出力動力として出力される。
【0047】(ニュートラル時) 具体的には、操作レバー66がニュートラル位置に位置
付けられているとき、遊星ギヤ機構19の出力ギヤ22
は回転停止していて、無段変速装置Aはニュートラル状
態にあり、エンジンEの回転動力は駆動車輪に伝達され
ず、車両が停止する。
【0048】このニュートラル状態では、変速プーリ機
構27の第1変速プーリ28でのベルト巻付け径は例え
ば108mmで、第2変速プーリ33でのベルト巻付け
径は例えば72mmであり、変速比は0.666の所定
値にあって、第1及び第2変速プーリ28,33の双方
が駆動側(又は従動側)となっている。
【0049】そして、このとき、テンション機構73の
引張ばね83のばね力により第1テンションアーム75
は図3で時計回り方向に、また第2テンションアーム7
6は反時計回り方向にそれぞれ回動付勢されているの
で、操作レバー66がニュートラル位置にある状態で
は、第1テンションプーリ78はVベルト38の図3で
上側のスパン38aの内面を、また第2テンションプー
リ81は同下側のスパン38bの内面をそれぞれ同じ押
圧力で押圧している。
【0050】また、操作レバー66がニュートラル位置
に位置付けられたときには、そのことがリミットスイッ
チ98により検出され、このリミットスイッチ98のニ
ュートラル検出信号を受けてテンションクラッチ97に
おけるエアシリンダ等のアクチュエータ96が作動し、
テンションアーム95がばね等の付勢力に抗してテンシ
ョンプーリ94のベルト93への押圧方向と反対側に回
動され、上記駆動及び従動プーり92,91間のVベル
ト93の緩み側スパンに対する押圧が停止されて、エン
ジンEと変速装置Aとの間の動力伝達が遮断遮断され、
変速装置Aは駆動車輪側のみに連結された状態となる。
【0051】このとき、変速プーリ機構27では、各変
速プーリ28,33の固定シーブ29,34及び可動シ
ーブ30,35が軸方向に対し互いに逆側に位置するよ
うに配置されており、その各可動シーブ30,35を背
面側からそれぞれ相対する固定シーブ29,34に対し
接離させるカム機構47,54が連動機構64により連
係されているため、ニュートラル状態では、両変速プー
リ28,33がいずれも駆動側(又は従動側)となるこ
とで、両プーリ28,33でのベルト38の張力分布が
バランスし、ベルト推力は互いに同じとなる。
【0052】そして、このニュートラル状態において、
駆動車輪からの外部負荷により第1回転軸2に対する出
力ギヤ22の回転が正転側又は逆転側に少しでも変化
し、第1又は第2変速プーリ28,33の一方における
ベルト巻付け径が他方よりも増大すると、両プーリ2
8,33でのベルト38の張力分布がアンバランスにな
り、上記ベルト巻付け径が増大した側のプーリ28(又
は33)のベルト推力が、小さくなった側のプーリ33
(又は28)よりも大きくなり、このベルト推力の差は
負荷が増大するほど大きくなる。このことは、無段変速
装置Aが真のニュートラル状態から少しでも変わると、
上記ベルト推力の差に起因して、ベルト巻付け径の増大
した側のプーリ28(又は33)の該巻付け径が小さく
するように変化し、自動的にニュートラル状態に戻る復
元力が作用することを意味する。この実施例では、上記
操作レバー66から連動機構64に至る操作力伝達経路
に、上記ニュートラル状態で操作レバー66の操作力を
連動機構64に伝達不能とする不感帯部68が設けられ
ているので、上記ニュートラル状態へ戻ろうとする際
に、この不感帯部68でのピン部材69が係合部70で
自在に移動して、ニュートラル状態への復元が拘束され
ないこととなる。このように無段変速装置A自体にニュ
ートラル状態へ復元しようとする言わばセルフロック機
能があるので、上記テンションクラッチ97により入力
側(エンジンE側)の動力を遮断しさえすれば、ニュー
トラル状態を安定して維持することができ、車両が不用
意に移動することは全くなく、ニュートラル時の停止安
定性を高めることができる。
【0053】上記各変速プーリ28,33側のカム機構
47,54における回動レバー50,57同士がリンク
62により連係されているため、操作レバー66の切換
操作により上記変速プーリ機構27の変速比を変えるこ
とで、遊星ギヤ機構19の出力ギヤ22つまり無段変速
装置Aの出力正転又は逆転状態に変えかつその回転速度
を増大変化させることができる。
【0054】(前進時) すなわち、上記ニュートラル状態から、操作レバー66
を前進位置に位置付けると、この操作レバー66は第2
カム機構54における回動カム56外周の回動レバー5
7に連結されているので、上記前進位置への切換状態で
は、上記カム56がそのカム面56a,56a上でそれ
ぞれカム用ローラ59,59を転動させながら第2変速
プーリ33における可動シーブ35のボス部35a周り
に一方向に回動する。これにより、上記カム面56aが
ローラ59に押されてカム56が第2回転軸12上を移
動し、該カム56にベアリング55を介して移動一体の
可動シーブ35が同方向に移動して固定シーブ34に接
近する。このことにより第2変速プーリ33が閉じてそ
のベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の72mmか
ら最大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径の
増大によりVベルト38が第2変速プーリ33側に引き
寄せられる。
【0055】また、これと同時に、上記操作レバー66
の前進位置への切換えに伴い、上記第2変速プーリ33
の可動シーブ35の動きに同期して、第1カム機構47
の回動カム48が第1回転軸2上を上記第2カム機構5
4のカム56と同じ一方向に回動する。このカム48の
回動によりカム用ローラ52に対する押圧がなくなる。
このため、上記第2変速プーリ33側に移動するベルト
38の張力により、カム48及びそれにベアリング49
を介して連結されている可動シーブ30は固定シーブ2
9から離れる方向に第1回転軸2上を移動し、この両シ
ーブ29,30の離隔により第1変速プーリ28が開い
てベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mm
から最小で60mmまで減少する。これらの結果、第2
変速プーリ33のベルト巻付け径が第1変速プーリ28
よりも大きくなり、第2回転軸12の回転が増速されて
第1回転軸2に伝達される。この変速比で、上記ピニオ
ンキャリアとしての出力ギヤ22が第1回転軸2に対し
逆転状態に回転して、エンジンEの出力動力により駆動
車輪が車両の前進方向に回転駆動され、変速比を前進最
高速位置まで変えることで、出力ギヤ22の正転方向の
回転速度つまり前進速度を増大させることができる。
【0056】このとき、入力動力は、ギヤ5及び遊星ギ
ヤ機構19のリングギヤ23を経由して出力ギヤ22に
至る経路を駆動動力経路とし、遊星ギヤ機構19のサン
ギヤ20から第2回転軸12ないし変速プーリ機構27
に至る経路を循環動力経路として伝達される。すなわ
ち、一般に車両の前進状態での使用頻度は後進時よりも
高く、この前進時に変速プーリ機構27が循環動力経路
となることで、全体として長期間に亘り高い頻度で、そ
のベルト38に駆動動力よりも小さい循環動力を伝達さ
せることができ、使用頻度の多い前進状態での高出力時
であってもベルト38の伝動負荷を小さくすることがで
きる。
【0057】そして、上記変速プーリ機構27が循環動
力経路となる状態では、第2変速プーリ33が駆動側プ
ーリになる一方、第1変速プーリ28が従動側プーリと
なり、ベルト38の図3で上側のスパン38aが緩み側
となるが、上記第1テンションプーリ78がVベルト3
8の図3上側スパン38aを、また第2テンションプー
リ81が同下側スパン38bをそれぞれ押圧するように
両テンションアーム75,76が逆回り方向に引張ばね
83で回動付勢されているので、張り側スパン38b内
面を押圧している第2テンションプーリ81は図3で上
側に移動して、第2テンションアーム76が時計回り方
向に回動し、このことで引張ばね83が伸長されて、そ
の分、第1テンションアーム75も時計回り方向に回動
し、第1テンションプーリ78が上記ベルト38の緩み
側となった図3で上側のスパン38aの内面を所定の押
圧力で押圧し、ベルト張力が得られる。尚、上記テンシ
ョン機構73の引張ばね83の付勢力により両テンショ
ンアーム75,76が逆方向に回動付勢され、その先端
のテンションプーリ78,81がそれぞれベルト38の
緩み側スパン38a,38b内面を押圧し、この押圧に
よりベルト38に張力が付与されるが、この張力は緩み
側スパン38a,38bに発生する最大張力よりも大き
いため、このベルト張力によりベルト38のプーリ2
8,33に対するくさび効果が生じて推力が発生し、こ
の推力により両プーリ28,33間でベルト38を介し
て動力が伝達される。
【0058】さらに、上記第1変速プーリ28の可動シ
ーブ30のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4
との間にはトルクカム機構42が配設され、このトルク
カム機構42の各トルクカム孔45における両側壁に前
進側及び後進側カム面45a,45bが形成されている
ので、前進状態で変速プーリ機構27の伝動負荷により
可動シーブ30と第1回転軸2とが相対回転すると、上
記各トルクカム孔45の前進側カム面45aがトルクピ
ン43先端のトルクリング44に接触して可動シーブ3
0が軸方向に押圧されて固定シーブ29から離れる方向
に移動し、この可動シーブの移動により第1カム機構4
7の回動カム48、連動機構64及び第2カム機構54
の回動カム56を介して第2変速プーリ33の可動シー
ブ35が固定シーブ34側に押圧され、その変速プーリ
33でのベルト38に対する推力を増大させることがで
きる。
【0059】(後進時) 一方、上記操作レバー66を後進位置に位置付けると、
この後進位置への切換状態では、上記第1カム機構47
のカム48がその各カム面48a上でカム用ローラ52
を転動させながら第1変速プーリ28における可動シー
ブ30のボス部30a周りに他方向に回動する。これに
より、上記カム面48aがローラ52に押されてカム4
8が第1回転軸2上を移動し、該カム48に移動一体の
可動シーブ30が同方向に移動して固定シーブ29に接
近する。このことにより第1変速プーリ28が閉じてそ
のベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mm
から最大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径
の増大によりVベルト38が第1変速プーリ28側に引
き寄せられる。
【0060】また、上記操作レバー66の後進位置への
切換えに伴い、上記第2カム機構54のカム56が第2
回転軸12上を上記第1カム機構47のカム48と同じ
他方向に回動する。このカム56の回動によりカム用ロ
ーラ59に対する押圧がなくなる。このため、上記第1
変速プーリ28側に移動するベルト38の張力により、
カム56及びそれにベアリング55を介して連結されて
いる可動シーブ35は固定シーブ34から離れる方向に
第2回転軸12上を移動し、この両シーブ32,33の
離隔により第2変速プーリ33が開いてベルト巻付け径
が上記ニュートラル状態の72mmから最小で60mm
まで減少する。これらの結果、第1変速プーリ28のベ
ルト巻付け径が第2変速プーリ33よりも大きくなり、
第1回転軸2の回転が増速されて第2回転軸12に伝達
される。この変速比で、上記出力ギヤ22の回転方向が
第1回転軸2に対し正転状態になり、エンジンEの出力
動力により駆動車輪が車両の後進方向に回転駆動され、
変速比を後進最高速位置まで変えると、出力ギヤ22の
逆転方向の回転速度つまり後進速度を増大させることが
できる。
【0061】このとき、上記前進時とは逆に、入力動力
は、変速プーリ機構27ないし第2回転軸12から遊星
ギヤ機構19のサンギヤ20に至る経路を駆動動力経路
とし、遊星ギヤ機構19のピニオンキャリアとしての出
力ギヤ22からピニオン21,21,…、リングギヤ2
3、ギヤ5を経由して第1回転軸2に至る経路を循環動
力経路として伝達され、このように変速プーリ機構27
が駆動動力経路となることで、Vベルト38に大きな駆
動動力が作用してその耐久性の低下が懸念されるが、上
記の如く、この車両の後進状態での使用頻度は前進時よ
りも一般に低いので、そのVベルト38に高い伝動負荷
がかかる状態は僅かの時間であり、ベルト38の耐久性
が大きく低下することはない。
【0062】そして、この後進状態においては、第1変
速プーリ28が駆動側プーリになる一方、第2変速プー
リ33が従動側プーリとなり、ベルト38の図3で下側
のスパン38bが緩み側となる。このときにも、両テン
ションアーム75,76が逆回り方向に引張ばね83で
回動付勢されているので、上記と同様に、張り側スパン
38a内面を押圧している第1テンションプーリ78は
図3で下側に移動して、第1テンションアーム75が反
時計回り方向に回動し、引張ばね83のばね力により第
2テンションアーム76も反時計回り方向に回動して、
第2テンションプーリ81が上記ベルト38の緩み側と
なった図3下側のスパン38bの内面を所定の押圧力で
押圧し、このことで、ベルト張力を得ることができる。
【0063】また、この後進状態では、変速プーリ機構
27の伝動負荷により第1変速プーリ28の可動シーブ
30と第1回転軸2とが相対回転すると、上記各トルク
カム孔45の後進側カム面45bがトルクピン43先端
のトルクリング44に接触して可動シーブ30が固定シ
ーブ29側へ向かう方向に軸方向に移動し、この可動シ
ーブ30の移動により第1変速プーリ28でのベルト3
8に対する推力を増大させることができる。
【0064】したがって、この実施例では、上記の如
く、車両の前進又は後進状態のうち使用頻度の高い前進
側で、リングギヤ23の回転速度がサンギヤ20の回転
速度よりも常に高くなるように遊星ギヤ機構19へのギ
ヤ比が設定されているので、変速プーリ機構27のベル
ト38に対して小さい循環動力が伝達される頻度を高く
し、かつ、ベルト38に大きい駆動動力が伝達される状
態の頻度は低くでき、よってベルト38の負担を軽減し
ながら、別途に正逆転機構を要さずに無段変速装置Aの
正逆転状態を容易に得ることができる。
【0065】また、変速プーリ機構27の各変速プーリ
28,33における可動シーブ30,35のボス部30
a,35a上に各カム機構47,54の回動カム48,
56がベアリング49,55を介して支持され、これら
両回動カム48,56外周の回動レバー50,57同士
が1つのリンク62で連結されているので、変速プーリ
機構27の変速切換時に、各固定カム51,58に支持
されたローラ52,59から回動カム48,56のカム
面48a,56aに力がカム面48a,56aと直角方
向に作用し、この力の回転軸2,12に直交方向の直角
分力が回転軸2,12の軸心とリンク62への連結点と
を結ぶ線と直角に作用したとき、回転軸2,12の軸心
とリンク62への連結点とを結ぶ線に対しプーリ比の変
化に拘らず直角でかつ上記直角分力と逆向きのカム回転
反力が生じ、このカム回転反力は、回動カム48,56
が支持されている可動シーブ30,35のボス部30
a,35aに対し、プーリ28,33のベルト38が巻
き掛けられている範囲の中央位置においてボス部30
a,35aを押圧するように作用する。つまり、このボ
ス部30a,35aに対するカム回転反力は、ボス部3
0a,35aと回転軸2,12との摺動部分におけるク
リアランスで、可動シーブ30,35がベルト38から
推力を受けたときに可動シーブ30,35を回転軸2,
12に対し傾倒させる方向に働くモーメントとは逆方向
のモーメントが生じるように作用し、このモーメントに
より元のモーメントが相殺されて小さくなり、可動シー
ブ30,35のボス部30a,35a内周の回転軸2,
12外周に対する面圧分布が軸心方向に分散し、ボス部
30a,35aの摺動抵抗が小さくなる。この摺動抵抗
が小さくなった分だけ、ベルト発生推力の回動カム4
8,56による固定点に与える荷重(つまり取出推力)
が大きくなり、換言すれば、ベルト発生推力が大きな抵
抗なく回動カム48,56に取出推力として伝達される
こととなる。そして、プーリ比を変化させるときには、
ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に必要な荷
重(操作力)であるので、取出推力が大きい分だけ、逆
に操作力が小さくて済むこととになる。その結果、上記
変速プーリ機構27における両変速プーリ28,33間
のベルト38の推力バランスによりニュートラル状態へ
移行する際の抵抗が小さくなって、スムーズにニュート
ラル状態に調整され、よってニュートラル状態をより一
層安定して保持することができる。
【0066】そして、上記第1テンションプーリ78が
Vベルト38の図3上側スパン38aを、また第2テン
ションプーリ81がVベルト38の同下側スパン38b
をそれぞれ常時押圧するように両テンションアーム7
5,76が逆回り方向に引張ばね83で回動付勢され、
ベルト38の張り側スパン38a(又は38b)の戻り
によって緩み側スパン38b(又は38a)に対する押
圧力を得るようになっているので、前進及び後進の切換
えに伴い、上記のようにベルト38の張り側及び緩み側
スパンが切り換わったとしても、両テンションプーリ7
8,81間の距離を一定に保ちつつ、自動的に緩み側ス
パンを押圧することができ、安定したベルト張力を得る
ことができる。
【0067】しかも、引張ばね83を用いて各テンショ
ンアーム75,76を回動付勢するので、圧縮ばねを用
いるときのようなばねの挫屈が生じる虞れはなく、適正
なばね定数を得ることもでき、ベルト張力の安定化に有
利である。尚、このように、ベルト38の両スパン38
a,38b内面をそれぞれテンションプーリ78,81
で押圧するのに代え、1対のテンションプーリをそれぞ
れベルト38のスパン38a,38bの背面を押圧可能
に配置し、この各テンションプーリを支持するテンショ
ンアームに対し引張ばねでベルト押圧方向の回動付勢力
を付与するようにしてもよい。
【0068】さらに、上記2つのテンションプーリ7
8,81の各々の各周面の軸方向長さがベルト38内面
側の幅よりも小さく、また両テンションプーリ78,8
1がベルト38の両スパン38a,38b間に配置され
てそれぞれ各スパン38a,38bを内面側から押圧し
てベルト推力を付与するようになされているので、ベル
ト38の両スパン38a,38b間のデッドスペースを
利用してテンションプーリ78,81を配置でき、変速
装置Aをコンパクトにすることができる。
【0069】しかも、上記各テンションプーリ78,8
1側面の傾斜角度が変速プーリ28,33のプーリ溝3
1,36の断面角度に一致しているので、テンションプ
ーリ78,81が各変速プーリ28,33のプーリ溝3
1,36内に移動しても、そのプーリ溝31,36の側
面と干渉することがなく、大きな外径のテンションプー
リ78,81を使用してベルト38のスパン38a,3
8bの屈曲率を小さくしながら、両回転軸2,12の軸
間距離を短くして、変速装置Aにおける両回転軸2,1
2の軸間方向のコンパクト化を図ることができる。
【0070】また、各テンションプーリ78,81の位
置は、変速に伴うベルト38の軸方向の移動に拘らず、
常にテンションプーリ78,81外面がベルト38内面
の一部に接触してそれを押圧可能な位置であるので、上
記のようにテンションプーリ78,81の幅がベルト3
8内面の幅よりも小さく、しかもベルト38が変速プー
リ28,33の開閉により巻付け径が変化しながらその
プーリ溝31,36の固定シーブ29,34側の側面に
沿って軸方向に移動しても、テンションプーリ78,8
1がベルト38の位置から軸方向に外れて緩み側スパン
38a,38bを押圧不能になることはなく、ベルト3
8を安定して押圧することができる。
【0071】また、この各テンションプーリ78,81
はポリアミド繊維が混入された繊維強化樹脂からなるも
のであるので、ブロックVベルト38のテンションプー
リ78,81との接触による摩耗を低減できるととも
に、ブロック40,40,…により内面が凹凸形状とな
っているブロックベルト38であっても、各ブロック4
0が間欠的にテンションプーリ78,81に接触すると
きの叩き音を小さくでき、低騒音化を図ることができ
る。
【0072】変速プーリ機構27の第1変速プーリ28
における可動シーブ30のボス部30aはトルクカム機
構42により高い面圧を受けるので、鋳造ではなくて鍛
造されているが、このボス部30aとシーブ本体30b
とが一体に形成されているので、両者を別体に作製した
後に溶接して一体化する場合に比べ、溶接歪みをなくし
て可動シーブ30の真円度を高めることができ、高負荷
伝動が行われるVベルト38の振れを低減して、その摩
耗を抑制することができ、信頼性を向上させることがで
きる。
【0073】上記第1変速プーリ28の可動シーブ30
のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4との間に
はトルクカム機構42が配設され、このトルクカム機構
42の各トルクカム孔45には前進側及び後進側カム面
45a,45bがそれぞれ形成されているので、車両の
前進時のみならず後進時にもトルクカム機構42により
可動シーブ30,35をそれぞれ固定シーブ29,34
側に軸方向に移動させてベルト推力を増大させることが
できる。
【0074】また、その際、前進側では変速プーリ機構
27のプーリ比は、第1変速プーリ28のベルト巻付け
径が第2変速プーリ33よりも小さいLo状態となり、
駆動側及び従動側プーリでのベルト推力差が大きくなる
一方、後進側では変速プーリ機構27のプーリ比がHi
状態となり、駆動側及び従動側プーリ28,33でのベ
ルト推力差が小さくなるが、上記各トルクカム孔45に
おける前進側カム面45aのリード角が後進側カム面4
5bのリード角θ2よりも大に設定されているので、上
記前後進時のベルト推力差の特性に合わせて適切なベル
ト推力を得ることができる。
【0075】加えて、上記トルクカム機構42における
トルクピン43は第2回転軸12のプーリ軸部4に直径
方向に貫通支持され、その両側の先端突出部にトルクリ
ング44が支持されているので、トルクピン43自体の
垂直度を高めることができ、トルクカム孔45における
カム面45a,45bへのトルクリング44の片当りを
防止することができる。
【0076】また、上記遊星ギヤ機構19におけるピニ
オン21,21,…が第2回転軸12上の出力ギヤ22
に担持され、この出力ギヤ22が駆動車輪に駆動連結さ
れているので、出力ギヤ22をピニオンキャリアとして
兼用して部品点数を低減できるとともに、出力部として
のピニオンキャリアを第2回転軸12上で駆動車輪側に
連結する場合に比べ、第2回転軸12の長さを短くする
ことができ、無段変速装置Aの軸方向のコンパクト化を
図ることができる。
【0077】さらに、無段変速装置Aのケーシング1が
第1〜第3分割ケーシング1a,1b,1cに3分割さ
れ、しかも第1及び第2回転軸2,12がそれぞれ第1
及び第2分割ケーシング1a,1b間に位置するギヤ軸
部3,13と、第2及び第3分割ケーシング1b,1c
間に位置するプーリ軸部4,14とに軸方向に2分割さ
れ、上記ギヤ軸部3,13に遊星ギヤ機構19及びギヤ
5が、またプーリ軸部4,14に変速プーリ機構27が
それぞれ配置されているので、無段変速装置Aは変速プ
ーリ機構27及び遊星ギヤ機構19の各配置部分にユニ
ット化して2分割することができ。このため、変速プー
リ機構27の例えばベルト38の点検や補修、遊星ギヤ
機構19の部品交換等を行う際、両ユニットの残りの部
分はそのままとして必要な側のユニットのみを取り外し
て分解すればよく、部品の保守点検や鋼管等を容易に行
うことができる。
【0078】また、第1回転軸2のプーリ軸部4におけ
る変速プーリ機構27側半部の小径部にはギヤ軸部3側
にスリーブ8が、またギヤ軸部3と反対側にブッシュ9
がそれぞれ外嵌合され、スリーブ8上に第1変速プーリ
28の固定シーブ29が支持され、ブッシュ9はベアリ
ング10を介して第3分割ケーシング1cに支持されて
いるので、上記固定シーブ29の支持部分たるスリーブ
8はベアリング10に対し分離されている。このため、
固定シーブ29にVベルト38から軸荷重が掛かったと
き、非分離構造の場合のように該固定シーブ29がベア
リング10の位置を支点として内向きに、つまり、固定
シーブ29の外周縁がプーリ溝31側へ向かうように傾
倒することを防止でき、ベルト38や固定シーブ29の
片摩耗を抑制することができるとともに、上記スリーブ
8の固定シーブ側端部がベアリング10に直接に接触す
るのを防止することができ、そのような接触に起因する
不具合の発生を未然に防止することができる。
【0079】その上、上記ブッシュ9の大径部9aがス
リーブ8の固定シーブ側端部を被覆しているので、プー
リ軸部4とブッシュ9との間に介在する潤滑油が該プー
リ軸部4の回転に伴ってスリーブ8とブッシュ9との間
から飛散するのを抑えることができる。
【0080】さらにまた、上記第1回転軸2においてト
ルクカム機構42のトルクピン43を取り付けているプ
ーリ軸部4上にスリーブ8が外嵌合され、このスリーブ
8上に第1変速プーリ28における固定及び可動シーブ
29,30の双方が嵌合支持されているので、固定シー
ブ29をプーリ軸部4に直接キー結合している場合のよ
うにベルト38からの固定及び可動シーブ29,30へ
の力の作用により可動シーブ30と第1回転軸2のプー
リ軸部4との相対回転が損なわれることはなく、両シー
ブ29,30でベルト推力を得ながら可動シーブ30と
第1回転軸2のプーリ軸部4との相対回転を可能にして
トルクカム機構42の作動を良好に確保することができ
る。
【0081】しかも、上記トルクカム機構42は、無段
変速装置Aの前進状態で循環動力に対し従動側となる第
1変速プーリ28側に設けられているので、トルクカム
孔45のリード角が一定でも、変速比に応じた必要なベ
ルト推力を容易に取り出すことができる。
【0082】また、第1変速プーリ28の可動シーブ3
0のボス部30a上に各トルクカム孔45を覆うように
円筒状カラー51が嵌合され、その上にベアリング49
を介して第1カム機構47の回動カム48が支持されて
いるので、トルクカム機構42のトルクカム孔45をカ
ラー51で密封することができ、トルクカム孔45内部
に充満される潤滑油の外部への飛散を有効に防止するこ
とができる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よると、ラジアルベアリングにより回転可能に支持され
た回転軸との間の回動力を利用して可動シーブを軸方向
に移動させることでプーリ溝のベルト巻付け径を変化さ
せる一方、上記回転軸に回動可能に外嵌合されたスリー
ブ上に固定及び可動シーブをそれぞれ外嵌合して両シー
ブを同体回動させるようにした変速プーリにおいて、上
記回転軸の固定シーブ側端部上に、上記スリーブの固定
シーブ側端部に連続してブッシュを配置し、該ブッシュ
上に上記ラジアルベアリングを配置するようにしたの
で、スリーブに直接に接触する状態でラジアルベアリン
グを配置する場合に生じる不具合を回避しつつ、スリー
ブのスラスト荷重を支持するための専用のベアリングを
省略することができ、その分だけ軸長を短くして変速プ
ーリ機構のコンパクト化を図ることができる。
【0084】さらに、上記ブッシュが、スリーブの固定
シーブ側端部を被覆する大径部を有するようにしたの
で、回転軸とスリーブ及びブッシュとの間に介在する潤
滑油が該回転軸の回転に伴って飛散するのを抑えること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る無段変速装置における変
速プーリ機構の第1変速プーリ周辺の構造を示す拡大断
面図である。
【図2】変速プーリ機構の構造を示す正面図である。
【図3】無段変速装置の全体構成を示す平面断面図であ
る。
【図4】変速プーリ機構の第2変速プーリ周辺の構造を
示す拡大断面図である。
【図5】差動ギヤ機構周辺の構造を示す拡大断面図であ
る。
【図6】第1変速プーリの可動シーブの拡大断面図であ
る。
【図7】可動シーブの拡大正面図である。
【図8】トルクカム機構の可動シーブにおけるトルクカ
ム溝の拡大正面図である。
【図9】連動機構のリンクを示す拡大平面図である。
【図10】第1テンションアームに対するばね取付状態
を示す拡大断面図である。
【図11】テンション機構のテンションプーリの断面図
である。
【図12】テンション機構のテンションプーリの正面図
である。
【図13】無段変速装置のエンジンに対する駆動連結状
態を示す平面図である。
【図14】無段変速装置のエンジンに対する駆動連結状
態を示す正面図である。
【図15】連動機構と操作レバーとの連結構造を模式的
に示す図である。
【符号の説明】
2 第1回転軸(回転軸) 8 スリーブ 9 ブッシュ 9a 大径部 10 ラジアルベアリング 28 第1変速プーリ(変速プーリ) 29 固定シーブ 29a ボス部 30 可動シーブ 30a ボス部 31 プーリ溝 38 ブロックVベルト(ベルト) 42 トルクカム機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 豊 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15 号 バンドー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−269753(JP,A) 実開 平2−146263(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸心回りに回転可能に支持された回転軸
    と、 上記回転軸にボス部において支持された固定シーブと、 上記回転軸にボス部において支持されかつ上記固定シー
    ブとの間でベルトが巻き掛けられるプーリ溝を形成する
    可動シーブと、 上記回転軸の可動シーブ背面側部位と可動シーブのボス
    部との間に設けられ、回転軸と可動シーブとの間の相対
    回動により可動シーブを軸方向に移動させて上記プーリ
    溝のベルト巻付け径を変化させるトルクカム機構と、 上記回転軸に回動可能に外嵌合され、上記固定シーブの
    ボス部が軸方向に相対移動不能でかつ相対回動不能に外
    嵌合されているとともに上記可動シーブのボス部が軸方
    向に相対移動可能でかつ相対回動不能に外嵌合されたス
    リーブと、 上記回転軸の固定シーブ側端部を回転可能に支持するラ
    ジアルベアリングとを備えた変速プーリにおいて、 上記回転軸の固定シープ側端部上に、上記スリーブの固
    定シーブ側端部に連続して配置され、かつ該スリーブの
    固定シーブ側端部を被覆する大径部を有するブッシュが
    設けられ、該ブッシュ上に上記ラジアルベアリングが配
    置されていることを特徴とする変速プーリ。
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