JP3485604B2 - 車両の動力システム - Google Patents

車両の動力システム

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JP3485604B2 JP25086793A JP25086793A JP3485604B2 JP 3485604 B2 JP3485604 B2 JP 3485604B2 JP 25086793 A JP25086793 A JP 25086793A JP 25086793 A JP25086793 A JP 25086793A JP 3485604 B2 JP3485604 B2 JP 3485604B2
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博文 宮田
吉浩 赤星
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変速プーリ機構と差動
ギヤ機構とを組合わせた無段変速装置を備えた車両の動
力システムに関し、特に、動力の断接機構に係るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ベルト式の無段変速装置の一例として、
互いに平行に配置された1対の回転軸の各々に、該各回
転軸に対して回転一体に且つ摺動不能に固定された固定
シーブと、回転軸に固定シーブとの間にV字状のベルト
溝を形成するように対向配置されて回転一体に且つ摺動
可能に支持された可動シーブとからなる変速プーリを有
すると共に、これら両変速プーリのベルト溝間に巻き掛
けられたVベルトを有する変速プーリ機構から構成され
ているものがある。そして、この無段変速装置は、可動
シーブの軸方向の移動によってVベルトに対する有効半
径を可変とすることにより、両回転軸間のプーリ比を変
えるようにしている。ところで、従来、特開昭62−1
18159号公報に開示されているように、上記変速プ
ーリ機構を備えると共に、一対の回転軸の間に変速用の
ギヤ機構としての遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)を設け
た無段変速装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した変速プーリ機
構及び差動ギヤ機構を備えた無段変速装置において、差
動ギヤ機構を利用して出力軸を停止状態から回転させよ
うとすると、動力伝達経路が駆動動力と循環動力との2
つに分かれることが生じる。すなわち、閉路式差動ギヤ
装置では、差動ギヤ機構の3つのギヤ要素の1つを出力
軸に連結し、プーリ機構の変速比調整により差動ギヤ機
構の残りの1つのギヤ要素の回転速度を変えることで、
そのギヤ要素と残りの他のギヤ要素との間の回転方向及
び回転速度を異ならせ、出力側ギヤ要素つまり出力軸の
回転方向及び回転速度を決定するようになっている。
尚、ここでいう上記ギヤ要素の回転速度とは、以下、ギ
ヤ要素のピッチ円上における周速度をいう。
【0004】ところが、そのとき、動力として駆動動力
及び循環動力が発生し、出力動力は駆動動力から循環動
力を減じたものとなる。そして、入力軸から出力軸に至
る2つの動力伝達経路のうち、どちらが駆動動力経路又
は循環動力経路になるかは、差動ギヤ機構におけるギヤ
要素の回転速度で分かれ、回転速度の大きい方が駆動動
力経路となる。そして、このような変速プーリ機構及び
差動ギヤ機構を組み合わせてなる無段変速装置では、出
力軸の回転速度を入力軸に対し正逆方向に切り換えて変
速することができ、正逆転切換機構が別途に不要となる
利点がある。
【0005】しかし、反面では、出力軸の回転が0とな
るニュートラル状態を安定維持することが難しいという
問題がある。すなわち、差動ギヤ機構を用いて出力軸の
回転を停止するには、出力軸に連結されるギヤ要素以外
の2つのギヤ要素、例えばピニオンキャリアを出力部と
した遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構)の場合、リングギヤ
及びサンギヤの角速度を互いに一致させることが必要で
あるが、その一致は点でしか行われず、これを変速プー
リ機構のようなベルトの摩擦伝動で達成することは極め
て困難であった。
【0006】本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもの
で、変速プーリ機構及び差動ギヤ機構を組み合わせてな
る無段変速装置に対し、ニュートラル状態を安定して維
持できるようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明が講じた手段は、無段変速装置とエンジン
との間の動力伝達を断接可能にしたものである。具体的
に、請求項1に係る発明が講じた手段は、先ず、互いに
平行に配置された第1回転軸及び第2回転軸が設けられ
ている。更に、該各回転軸に固定シーブ及び可動シーブ
が互いに逆向きになるようにそれぞれ配置支持された1
対の変速プーリと、該両変速プーリ間に巻き掛けられた
ベルトと、上記各変速プーリにおける可動シーブの背面
側に配設され、該可動シーブを相対向する固定シーブに
対し接離させて変速プーリのベルト巻付け径を変化させ
る1対の駆動機構と、上記両変速プーリのベルト巻付け
径が互いに逆方向に変化するように両駆動機構を連動さ
せて両変速プーリ間のプーリ比を変化させる連動機構
と、該連動機構を作動させる切換操作部と、上記両変速
プーリ間のベルトの緩み側スパンを、該緩み側スパンに
プーリ間のプーリ比に対応して発生する張力よりも大き
い張力となるように押圧してベルト推力を発生させるテ
ンション機構とを有し、上記両回転軸を変速可能に駆動
連結する変速プーリ機構が設けられている。その上、互
いに連結された第1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ要
素が上記第1回転軸に連結される一方、第2ギヤ要素が
上記第2回転軸に連結された差動ギヤ機構とを備え、上
記第1回転軸又は第3ギヤ要素の何れか一方が、エンジ
ンに動力伝達機構を介して接続されて該エンジンより動
力が入力される入力部に、他方が出力部に構成され、ま
た、上記切換操作部は、出力部を入力部に対して正転状
態とニュートラル状態と逆転状態とに切換え可能に構成
されている無段変速装置を備えた車両の動力システムを
対象としている。そして、上記切換操作部によりニュー
トラル状態に切換え操作されると、上記エンジンと無段
変速装置の入力部との接続を断つ一方、上記切換操作部
により正転状態又は逆転状態に切換え操作されると、上
記エンジンと無段変速装置の入力部とを接続するように
動力伝達機構を操作するクラッチ機構が設けられた構成
としている。また、上記請求項1の発明において、請求
項2に係る発明が講じた手段は、クラッチ機構は、テン
ションクラッチで構成され、また、請求項3に係る発明
が講じた手段は、クラッチ機構は、電磁クラッチで構成
され、また、請求項4に係る発明が講じた手段は、クラ
ッチ機構は、摩擦クラッチで構成されている。
【0008】
【作用】上記の構成により、請求項1の発明では、エン
ジンからの動力は、クラッチ機構を接続状態にすること
によって無段変速装置に入力される。具体的に、請求項
2ではテンションクラッチで、請求項2に係る発明では
電磁クラッチで、請求項4に係る発明では摩擦クラッチ
を介して動力伝達されている。一方、無段変速装置にお
いて、第1及び第2回転軸間には変速プーリ機構及び差
動ギヤ機構が並列に配置されているので、第1回転軸又
は差動ギヤ機構の第3ギヤ要素の一方を入力部として入
力される動力は、変速プーリ機構又は差動ギヤ機構の一
方を駆動動力経路とし、他方を循環動力経路として伝達
された後、第1回転軸又は第3ギヤ要素の他方を出力部
として出力される。そして、切換操作部を操作して上記
変速プーリ機構のプーリ比を変えることで、出力部が入
力部に対し、例えば、正転状態、ニュートラル状態又は
逆転状態に切換変速される。上記変速プーリ機構におい
ては、切換操作部の操作により駆動機構の一方を作動さ
せて一方の変速プーリの可動シーブを軸方向に移動させ
ると、それに伴って他方の駆動機構も作動して他方の変
速プーリの可動シーブが上記一方の変速プーリにおける
可動シーブの固定シーブに対する接離動作とは逆の動作
でもって移動し、この両可動シーブの逆方向の移動によ
って両プーリ間のプーリ比が変更される。このとき、上
記各駆動機構は、各変速プーリの固定及び可動シーブが
軸方向に対し互いに逆側に位置するように配置されて、
その各可動シーブを背面側からそれぞれ相対する固定シ
ーブに対し接離させるものであり、この両駆動機構が連
動機構により連係されているため、切換操作部によって
ニュートラル状態に切換えられると、変速プーリ機構に
おける両変速プーリはいずれも駆動側プーリ(又は従動
側プーリ)となり、該両プーリ間でのベルトの張力分布
がバランスしてベルト推力は互いに同じとなる。
【0009】更に、上記切換操作部によってニュートラ
ル状態に切換えられると、このニュートラル状態をクラ
ッチ機構が検知し、該クラッチ機構は、動力伝達機構に
おける動力伝達を遮断し、エンジンと無段変速装置との
間の動力伝達を遮断することになる。この結果、確実に
ニュートラル状態が維持されることになる。特に、無段
変速装置がニュートラル状態から正転側又は逆転側に変
化して、一方のプーリのベルト巻付け径が他方よりも増
大すると、両変速プーリでのベルトの張力分布がアンバ
ランスになって、上記ベルト巻付け径が増大した側のプ
ーリのベルト推力が、小さくなった側のプーリよりも大
きくなり、このベルト推力の差は負荷が増大するほど大
きくなる。すなわち、無段変速装置がニュートラル状態
から少しでも変わると、上記ベルト推力の差に起因し
て、ベルト巻付け径が増大した側のプーリの該巻付け径
が小さくするように変化し、自動的にニュートラル状態
に戻る復元力が作用する。このことで上記クラッチ機構
とによりニュートラル状態が安定して維持される。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1及び図2は、本発明の実施例に係る無段変速
装置Aの全体構成を示し、この変速装置Aは、図3及び
図4に示すように、芝刈機や農業機械等の車両におい
て、エンジンEと駆動車輪との間の動力伝達経路に配設
されされる。図1及び図2において、1は、無段変速装
置Aのケーシングであって、図1の左側から右側に向か
って第1〜第3分割ケーシング1a〜1cに3分割され
ている。上記ケーシング1の内部には、互いに略水平面
内で平行に配置した第1回転軸2及び第2回転軸12が
回転可能に支承されている。上記第1回転軸2は、入力
部(入力軸)を構成するもので、図5に示すように、ギ
ヤ軸部3及びプーリ軸部4に2分割されている。ギヤ軸
部3の一端(図1の左端)は、ケーシング1の外部に突
出されている一方、他端部は、第1及び第2分割ケーシ
ング1a,1b間に位置し、このギヤ軸部3の他端に
は、第2分割ケーシング1bを貫通するボス部5aを有
するギヤ5が同心に回転一体に溶接されている。そし
て、ギヤ軸部3は中間部が第1分割ケーシング1aに、
また、ギヤ5の中空状ボス部5aが第2分割ケーシング
1bに形成されて該第2分割ケーシング1bを左右に区
画する中央フランジ部1dにそれぞれベアリング6,7
を介して支持されている。一方、上記プーリ軸部4は、
第2及び第3の分割ケーシング1b,1c間に配置さ
れ、このプーリ軸部4の一端部(図1の左端部)は小径
とされていて、上記ギヤ軸部3と一体のギヤ5のボス部
5a内部に回転一体に且つ抜出し可能に嵌合されてい
る。プーリ軸部4の他端側半部は小径部とされていて、
この小径部にはギヤ軸部3側にスリーブ8が、またギヤ
軸部3と反対側にブッシュ9がそれぞれ外嵌合され、ス
リーブ8の端部はブッシュ9に形成した大径部9aに嵌
合されている。そして、プーリ軸部4はブッシュ9にて
第3分割ケーシング1cにベアリング10を介して支持
されている。
【0011】第2回転軸12は、図6及び図7に示すよ
うに、第1回転軸2と同様にギヤ軸部13及びプーリ軸
部14に2分割されている。ギヤ軸部13は、第2分割
ケーシング1bを貫通し、その一端(図1の左端)は第
1分割ケーシング1aに、また中間部は、第2の分割ケ
ーシング1bの中央フランジ部1dにそれぞれベアリン
グ15,16を介して支持されている。一方、プーリ軸
部14は第2及び第3分割ケーシング1b,1c間に配
置される筒状のもので、その一端部(図1の左端)には
上記ギヤ軸部13の他端部が回転一体に且つ抜出し可能
にスプライン結合され、他端は第3分割ケーシング1c
にベアリング17を介して支持されている。つまり、上
記第1分割ケーシング1aは、後述する遊星ギヤ機構1
9の配置側の側部を覆い且つ第1回転軸2及び第2回転
軸12における遊星ギヤ機構19の配置側の端部を回転
自在に支持している。上記第2分割ケーシング1bは、
両側面が開口して一方の開口側面が上記第1分割ケーシ
ング1aの開口面(図1において右端)に連続し且つ上
記遊星ギヤ機構19の外周を覆うと共に、第1回転軸2
及び第2回転軸12における中間部を中央フランジ部1
dにて回転自在に支持している。上記第3分割ケーシン
グ1cは、第2分割ケーシング1bにおける他方の開口
側面(図1において右端)に連続して後述する変速プー
リ機構27の配置側の側部を覆い且つ第1回転軸2及び
第2回転軸12における変速プーリ機構27の配置側の
端部を回転自在に支持している。この構造により、ケー
シング1を第1及び第2分割ケーシング1a,1bと第
3分割ケーシング1cとに2分割し、且つ各回転軸2,
12をそれぞれギヤ軸部3,13とプーリ軸部4,14
とに2分割することで、遊星ギヤ機構19と変速プーリ
機構27とにユニット化して2分割できるようにしてい
る。
【0012】図3及び図4に示す如く、上記第1回転軸
2においてケーシング1から突出した端部にはVプーリ
からなる従動プーリ91が回転一体に取り付けられ、こ
の従動プーリ91とエンジンEの出力軸E1に取り付け
たVプーリからなる駆動プーリ92との間にはVベルト
93が巻き掛けられており、上記従動プーリ91と駆動
プーリ92とVベルト93とにより動力伝達機構Bが構
成され、エンジンEの動力をVベルト93を介して変速
装置Aの第1回転軸2に伝達するようになっている。
【0013】また、上記両プーリ91,92間には、本
発明の特徴として、Vベルト93の緩み側スパンを背面
側から押すテンションプーリ94が配設され、このテン
ションプーリ94はテンションアーム95の先端軸部に
回転可能に支持され、テンションアーム95はテンショ
ンプーリ94がベルト93を押す方向に図外のばね等に
より回動付勢されている。また、上記テンションアーム
95をばね等の付勢力に抗してベルト押圧方向と反対側
に回動させるエアシリンダ等のアクチュエータ96が設
けられており、上記テンションプーリ94、テンション
アーム95、アクチュエータ96等によりVベルト93
に対する推力をなくして両プーリ91,92間、つま
り、エンジンEと変速装置Aとの間の動力伝達を遮断す
るクラッチ機構であるテンションクラッチ97が構成さ
れている。更に、上記テンションクラッチ97は、後述
する操作レバー66のニュートラル位置への切換えによ
り無段変速装置Aがニュートラル状態になったことを検
出するリミットスイッチ98が設けられ、このリミット
スイッチ98からのニュートラル検出信号を受けて上記
エアシリンダ等のアクチュエータ96が作動するように
構成されており、無段変速装置Aのニュートラル時、テ
ンションクラッチ97によりエンジンEと変速装置Aと
の間の動力伝達を遮断して、変速装置Aを車輪側のみに
駆動連結した状態とする一方、無段変速装置Aが前進状
態及び後進状態になると、エンジンEと変速装置Aとを
接続し、動力伝達するように構成されている。
【0014】ケーシング1内には、第2回転軸12の図
1における左端部上に配置された差動ギヤ機構としての
遊星ギヤ機構19と、上記両回転軸2,12をVベルト
38によって変速可能に駆動連結する変速プーリ機構2
7とが収容されている。上記遊星ギヤ機構19は、図1
及び図7に示すように、第2回転軸12において第1及
び第2分割ケーシング1a,1b間に位置するギヤ軸部
13に形成された第2ギヤ要素としてのサンギヤ20
と、該サンギヤ20に噛合する複数のピニオン21,2
1,…と、上記第2回転軸12のギヤ軸部13の第1分
割ケーシング1a寄りにベアリング24,24を介して
回転可能に支承され、上記ピニオン21,21,…を回
転可能に担持する第3ギヤ要素としての出力ギヤ22
(ピニオンキャリア)と、最も外周に配置され、且つギ
ヤ軸部13にベアリング25,25を介して回転可能に
支持され、上記ピニオン21,21,…に内周で噛合す
る第1ギヤ要素としてのリングギヤ23とを備えてい
る。リングギヤ23は外周にて上記第1回転軸2上のギ
ヤ5に噛合連結されている。また、上記出力ギヤ22は
変速装置Aの出力部を構成するもので、図外の駆動車輪
に駆動連結されている。
【0015】上記変速プーリ機構27は、第1回転軸2
において第2及び第3分割ケーシング1b,1c間のプ
ーリ軸部4上に配置された第1変速プーリ28を有す
る。この第1変速プーリ28は、図5に示すように、第
1回転軸2におけるプーリ軸部4上のスリーブ8にボス
部29aにて回転一体に且つ摺動不能にキー結合された
フランジ状の固定シーブ29と、上記スリーブ8(第1
回転軸2)上に固定シーブ29に対向するようにボス部
30aにて摺動可能に且つ相対回転可能に支持されたフ
ランジ状の可動シーブ30とからなり、これら両シーブ
29,30間にはプーリ溝31が形成されている。上記
可動シーブ30のボス部30aは鍛造によりシーブ本体
30bと一体に形成されている。一方、第2回転軸12
のプーリ軸部14上には第1変速プーリ28と同径の第
2変速プーリ33が設けられている。この第2変速プー
リ33は、、図6に示すように、上記第1変速プーリ2
8と同様の構成であり、第2回転軸12のプーリ軸部1
4にボス部34aにて回転一体に且つ摺動不能にキー結
合されたフランジ状の固定シーブ34と、プーリ軸部1
4に、固定シーブ34に対し上記第1変速プーリ28に
おける固定シーブ29に対する可動シーブ30の対向方
向と逆方向でもって対向するようにボス部35aにて摺
動可能に且つ相対回転可能に結合されたフランジ状の可
動シーブ35とからなり、これら両シーブ34,35間
にはプーリ溝36が形成されている。
【0016】そして、上記第1変速プーリ28のプーリ
溝31と第2変速プーリ33のプーリ溝36との間には
ブロックベルトからなるVベルト38が巻き掛けられて
おり、両変速プーリ28,33の各可動シーブ30,3
5をそれぞれ固定シーブ29,34に対して接離させて
各プーリ28,33のベルト巻付け径を変更する。例え
ば、第1変速プーリ28の可動シーブ30を固定シーブ
29に接近させ、且つ第2変速プーリ33の可動シーブ
35を固定シーブ34から離隔させたときには、第1変
速プーリ28のベルト巻付け径を第2変速プーリ33よ
りも大きくすることにより、第1回転軸2の回転を第2
回転軸12に増速して伝達する。一方、逆に、第1変速
プーリ28の可動シーブ30を固定シーブ29から離隔
させ、且つ第2変速プーリ33の可動シーブ35を固定
シーブ34に接近させたときには、第1変速プーリ28
のベルト巻付け径を小にし、第2変速プーリ33のベル
ト巻付け径を大きくすることにより、第1回転軸2の回
転を減速して第2回転軸12に伝えるようになされてい
る。
【0017】上記Vベルト38は、図5に示すように、
繊維強化ゴムや繊維強化プラスチック等からなる保形層
の上下中央部に複数の心線を埋設してなる1対のエンド
レスの張力帯39,39と、各々該張力帯を嵌合する嵌
合部40a,40aを有し、左右側面をプーリ28,3
3のプーリ溝31,36の側面に当接可能とされた多数
の略台形状ブロック40,40,…とで構成され、上記
各張力帯39の上下面及び各ブロック40の嵌合部40
a上下面にそれぞれ互いに対応するように形成した凹凸
部(図示せず)同士を互いに係合させて、ブロック4
0,40,…を張力帯39,39に対しベルト長手方向
に係止固定してなる高負荷伝動用のものであり、高い側
圧に耐えることができるものである。
【0018】上記第1変速プーリ28の可動シーブ30
のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4との間に
はトルクカム機構42が配設されている。このトルクカ
ム機構42は、図5に示すように、第1回転軸2に先端
部が外周面から突出するようにその直径方向を貫通して
固定された直線状ピンからなるトルクピン43と、この
トルクピン43の先端突出部に回転可能に嵌合されたト
ルクリング44と、可動シーブ30のボス部30aに貫
通形成され、上記トルクピン43先端のトルクリング4
4にそれぞれ係合するトルクカム孔45,45とからな
る。この各トルクカム孔45は、略三角形状のもので、
無段変速装置A(車両)の前進状態及び後進状態の各動
力伝達時にトルクカム機構42を作動させ、前進時と後
進時とでベルト38に対する推力を逆方向に作用させ、
前進時には後進時よりも大きなベルト推力を得るよう
に、各可動シーブ30,35を固定シーブ29,34側
に押圧させるようになっている。
【0019】上記第1回転軸2のプーリ軸部4上には第
1変速プーリ28における可動シーブ30背面側に、該
可動シーブ30を固定シーブ29に対して接離させるた
めの駆動機構としての第1カム機構47が設けられてい
る。このカム機構47は、図5に示すように、回動カム
48を有し、該回動カム48は、可動シーブ30のボス
部30a上に上記各トルクカム孔45を覆うように外嵌
合した円筒状カラー51上に、ベアリング49を介して
相対回転可能に且つ軸方向に移動一体に外嵌合支持され
ている。回動カム48の第1変速プーリ28と反対側端
面には1対の傾斜カム面48a,48aが円周方向に等
角度間隔(180°間隔)をあけて形成され、外周には
回動レバー50が回動一体に突設されている。また、上
記回動カム48の背面側には、第2分割ケーシング1b
に第1回転軸2と同心状に一体形成したカムフォロワと
しての円筒状の固定カム51が配置され、この固定カム
51には回動カム48の各カム面48aに当接して転動
するローラ52,52がそれぞれ回転可能に軸支されて
いる。
【0020】一方、第2回転軸12におけるプーリ軸部
14上には、第2変速プーリ33における可動シーブ3
5の背面側に、該可動シーブ35を固定シーブ34に対
して接離させるための駆動機構としての第2カム機構5
4が設けられている。この第2カム機構54は、図6に
示すように、上記第1カム機構47と同様の構成で、可
動シーブ35のボス部35a上にベアリング55を介し
て相対回転可能に且つ軸方向に移動一体に外嵌合支持さ
れた回動カム56を有する。このカム56の第2変速プ
ーリ33と反対側端面には1対の傾斜カム面56a,5
6aが円周方向に等角度間隔をあけて形成され、外周に
は回動レバー57が回動一体に突設されている。また、
回動カム56の背面側には、第3分割ケーシング1cを
外側に第2回転軸12と同心円筒状に膨出させてなるカ
ムフォロワとしての固定カム58が配置され、この固定
カム58には回動カム56の各カム面56aに当接して
転動するローラ59,59がそれぞれ回転可能に軸支さ
れている。
【0021】そして、図2及び図8に示す如く、上記第
1カム機構47の回動レバー50先端にはピン61を介
してリンク62の一端が連結され、このリンク62の他
端は上記第2カム機構54の回動レバー57先端にピン
63を介して連結されており、上記回動レバー50,5
7、リンク62及びピン61,63により連動機構64
が構成されている。この連動機構64により、各カム機
構47,54におけるカム48,56を互いに連係して
可動シーブ30,35のボス部30a,35a周りに回
動させ、その各カム面48a,56a上でローラ52,
59を転動させることにより、可動シーブ30,35を
軸方向に移動させて固定シーブ29,34に対し互いに
相反して接離させ、そのプーリ溝31,36の有効半径
つまりプーリ28,33でのベルト巻付け径を可変と
し、両変速プーリ28,33間のプーリ比を変化させる
ようにしている。
【0022】更に、図9に示すように、上記変速プーリ
機構27の連動機構64において第2カム機構54の回
動レバー57先端にはロッド65の一端部が連結され、
このロッド65の他端はロッド67を介して切換操作部
としての操作レバー66に接続されている。この操作レ
バー66は、例えば、揺動軸を中心として前進最高速位
置、ニュートラル位置及び後進最高速位置の間を前後に
揺動するもので、その変速パターンは、後進最高速位置
からニュートラル位置を経て前進最高速位置に移動させ
るとき、ニュートラル位置で一旦回動方向と直角方向に
移動させるようになっている。そして、操作レバー66
の端部に上記ロッド67が連結されており、この操作レ
バー66の切換操作により連動機構64を作動させて各
回動カム48,56に突設されている各回動アーム5
0,57を前進最高速位置、ニュートラル位置及び後進
最高速位置の間で回動させ(図2参照)、変速プーリ機
構27のプーリ比を変えることで、上記遊星ギヤ機構1
9のピニオンキャリアとしての出力ギヤ22(出力部)
を第1回転軸2(入力部)に対し正転状態、ニュートラ
ル状態又は逆転状態に切り換えて変速し、ニュートラル
状態では、第1変速プーリ28でのベルト巻付け径が例
えば108mmに、第2変速プーリ33でのベルト巻付け
径が例えば72mmにそれぞれなるように構成されてい
る。また、上記遊星ギヤ機構19及び該遊星ギヤ機構1
9に対するギヤ比の設定により出力ギヤ22を第1回転
軸2に対し逆転させる車両の前進状態では、第1回転軸
2に駆動連結されているリングギヤ23の回転速度が、
第2回転軸12に連結されているサンギヤ20の回転速
度よりも高くなるようになされている。
【0023】更に、上記操作レバー66の操作力を連動
機構64に伝達不能とする不感帯部68が設けられてい
る。この不感帯部68は、例えば、上記ロッド65の回
動レバー38と反対側に設けられるピン部材69と、ロ
ッド67の操作レバー66側に設けられ、且つ上記ピン
部材69にロッド67の長さ方向に係合する係合部70
が形成された係合部材71とを備え、上記係合部70は
ピン部材69を所定距離だけ摺動可能に係合する長溝
(又は長孔)からなっており、この係合部70でのピン
部材69の相対移動により、操作レバー66がニュート
ラル位置にあるとき、その操作レバー66の操作力を連
動機構64に伝達不能とするようになされている。
【0024】また、上記第1及び第2変速プーリ28,
33間に張られたVベルト38の1対のスパン38a,
38bのうちの緩み側となるスパンをその内面から外方
に押圧してベルト38に張力を与えることでベルト推力
を発生するテンション機構73が設けられている。この
テンション機構73は、図6に示すように、第2分割ケ
ーシング1bの中央フランジ部1dにおいて第2回転軸
12回りに同心状に突設した軸受部にカラー74を介し
てボス部75aが回動可能に支持された第1テンション
アーム75と、この第1テンションアーム75のボス部
75a上に相対回動可能に支持されたボス部76aを有
する第2テンションアーム76とを有し、第2テンショ
ンアーム76のボス部76aには第1テンションアーム
75を貫通させる切欠き76bが形成されている。図2
に示すように、上記第1テンションアーム75は第1回
転軸2側に延び、その先端部は上側に彎曲している。ま
た、図10に拡大詳示するように、第1テンションアー
ム75の中間部には両回転軸2,12と平行に延びるテ
ンション軸77の一端が取付固定され、このテンション
軸77の他端は各変速プーリ28,33におけるプーリ
溝31,36部分に位置し、この他端部には上記Vベル
ト38の一方(上側)のスパン38aを内面から押圧可
能な第1テンションプーリ78がベアリング79を介し
て回転自在に支持されている。一方、第2テンションア
ーム76の先端部には両回転軸2,12と平行に延びる
テンション軸80の一端が取付固定され、このテンショ
ン軸80の他端は各変速プーリ28,33におけるプー
リ溝31,36部分に位置し、この他端部には上記Vベ
ルト38の他方(下側)のスパン38bを内面から押圧
可能な第2テンションプーリ81がベアリング(図示せ
ず)を介して回転自在に支持されている。上記両テンシ
ョンプーリ78,81の位置は、変速に伴うベルト38
の軸方向の移動に拘らず、常にテンションプーリ78,
81外面がベルト38内面の一部に接触してそれを押圧
可能な位置に設定されている。
【0025】そして、第2テンションアーム76のボス
部76aには上側に延びるばね取付アーム82が一体に
取り付けられ、このばね取付アーム82の先端と上記第
1テンションアーム75の先端部との間には引張ばね8
3が掛けられており、この引張ばね83のばね力により
第1テンションアーム75を図2で時計回り方向に、ま
た第2テンションアーム76を同反時計回り方向にそれ
ぞれ回動付勢して、両テンションプーリ78,81によ
りそれぞれVベルト38のスパン38a,38bの内面
を押圧させる。そして、引張ばね83の各テンションア
ーム75,76に対する回動付勢力は、各テンションプ
ーリ78,81がベルト38の緩み側スパン38a,3
8bを該緩み側スパン38a,38bに発生する最大張
力よりも大きい張力で押圧するように設定されており、
この張力によりベルト推力を発生させるようにしてい
る。
【0026】更に、上記各テンションプーリ78,81
は、ベアリングのアウタレース外面に外嵌合固定されて
いる。各テンションプーリ78,81の断面形状の両側
面は各変速プーリ28,33のプーリ溝31,36側面
に平行な角度とされ、このことでテンションプーリ7
8,81側面の傾斜角度はプーリ溝31,36の断面角
度に一致し、各テンションプーリ78,81外周の軸方
向長さはベルト38内面側の幅よりも小さくされてい
る。また、この各テンションプーリ78,81はポリア
ミド繊維が混入された繊維強化樹脂からなり(具体的に
は、例えばガラス繊維を30%混入した66ナイロン樹
脂)、このことでブロックVベルト38のブロック4
0,40,…に対する接触音を低減するようにしてい
る。
【0027】次に、上記実施例の作用について説明す
る。先ず、無段変速装置Aの第1回転軸2に駆動及び従
動プーリ92,91並びにVベルト93を介して車載エ
ンジンEが駆動連結されており、この無段変速装置Aと
エンジンEとは、テンションクラッチ97によって断接
され、このテンションクラッチ97の接続状態におい
て、遊星ギヤ機構19のピニオン21,21,…を支持
するピニオンキャリアとしての出力ギヤ22が車両の駆
動車輪に駆動連結されているので、エンジンEの回転動
力は無段変速装置Aで変速された後、駆動車輪に伝達さ
れる。このとき、変速装置Aにおいては、上記入力部た
る第1回転軸2と出力部たる出力ギヤ22との間の動力
伝達経路に遊星ギヤ機構19及び変速プーリ機構27が
並列に配置されているので、この変速装置Aの作動時、
第1回転軸2から入力された動力は、変速プーリ機構2
7と第1回転軸2上のギヤ5及び遊星ギヤ機構19とに
伝達された後、該遊星ギヤ機構19におけるピニオンキ
ャリアとしての出力ギヤ22から出力動力として出力さ
れる。
【0028】(ニュートラル時)具体的には、操作レバ
ー66がニュートラル位置に位置付けられているとき、
遊星ギヤ機構19の出力ギヤ22は回転停止していて、
無段変速装置Aはニュートラル状態にあり、エンジンE
の回転動力は駆動車輪に伝達されず、車両が停止する。
このニュートラル状態では、変速プーリ機構27の第1
変速プーリ28でのベルト巻付け径は例えば108mm
で、第2変速プーリ33でのベルト巻付け径は例えば7
2mmであり、プーリ比は0.666の所定値にあって、
第1及び第2変速プーリ28,33の双方が駆動側(又
は従動側)となっている。また、テンション機構73の
引張ばね83のばね力により第1テンションアーム75
は図2で時計回り方向に、また第2テンションアーム7
6は反時計回り方向にそれぞれ回動付勢されているの
で、操作レバー66がニュートラル位置にある状態で
は、第1テンションプーリ78はVベルト38の図2で
上側のスパン38aの内面を、また第2テンションプー
リ81は同下側のスパン38bの内面をそれぞれ同じ押
圧力で押圧している。
【0029】また、本発明の特徴として、操作レバー6
6がニュートラル位置に位置付けられたときには、その
ことがリミットスイッチ98により検出され、このリミ
ットスイッチ98のニュートラル検出信号を受けてテン
ションクラッチ97におけるエアシリンダ等のアクチュ
エータ96が作動し、テンションアーム95がばね等の
付勢力に抗してテンションプーリ94のベルト93への
押圧方向と反対側に回動され、上記駆動及び従動プーリ
92,91間のVベルト93の緩み側スパンに対する押
圧が停止されて、エンジンEと変速装置Aとの間の動力
伝達が遮断され、変速装置Aは駆動車輪側のみに連結さ
れた状態となる。このとき、変速プーリ機構27では、
各変速プーリ28,33の固定シーブ29,34及び可
動シーブ30,35が軸方向に対し互いに逆側に位置す
るように配置されており、その各可動シーブ30,35
を背面側からそれぞれ相対する固定シーブ29,34に
対し接離させるカム機構47,54が連動機構64によ
り連係されているため、ニュートラル状態では、両変速
プーリ28,33がいずれも駆動側(又は従動側)とな
ることで、両プーリ28,33でのベルト38の張力分
布がバランスし、ベルト推力は互いに同じとなる。そし
て、このニュートラル状態において、駆動車輪からの外
部負荷により第1回転軸2に対する出力ギヤ22の回転
が正転側又は逆転側に少しでも変化し、第1又は第2変
速プーリ28,33の一方におけるベルト巻付け径が他
方よりも増大すると、両プーリ28,33でのベルト3
8の張力分布がアンバランスになり、上記ベルト巻付け
径が増大した側のプーリ28(又は33)のベルト推力
が、小さくなった側のプーリ33(又は28)よりも大
きくなり、このベルト推力の差は負荷が増大するほど大
きくなる。このことは、無段変速装置Aが真のニュート
ラル状態から少しでも変わると、上記ベルト推力の差に
起因して、ベルト巻付け径の増大した側のプーリ28
(又は33)の該巻付け径が小さくするように変化し、
自動的にニュートラル状態に戻る復元力が作用すること
を意味する。この実施例では、上記操作レバー66から
連動機構64に至る操作力伝達経路に、上記ニュートラ
ル状態で操作レバー66の操作力を連動機構64に伝達
不能とする不感帯部68が設けられているので、上記ニ
ュートラル状態へ戻ろうとする際に、この不感帯部68
でのピン部材69が係合部70で自在に移動して、ニュ
ートラル状態への復元が拘束されないこととなる。この
ように無段変速装置A自体にニュートラル状態へ復元し
ようとする言わばセルフロック機能があるので、上記テ
ンションクラッチ97により入力側(エンジンE側)の
動力を遮断しさえすれば、ニュートラル状態を安定して
維持することができ、車両が不用意に移動することは全
くなく、ニュートラル時の停止安定性を高めることがで
きる。上記各変速プーリ28,33側のカム機構47,
54における回動レバー50,57同士がリンク62に
より連係されているため、操作レバー66の切換操作に
より上記変速プーリ機構27のプーリ比を変えること
で、遊星ギヤ機構19の出力ギヤ22つまり無段変速装
置Aの出力正転又は逆転状態に変え且つその回転速度を
増大変化させることができる。
【0030】(前進時)すなわち、上記ニュートラル状
態から、操作レバー66を前進位置に位置付けると、テ
ンションクラッチ97によってエンジンEの動力が無段
変速装置Aに入力され、この操作レバー66は第2カム
機構54における回動カム56外周の回動レバー57に
連結されているので、上記前進位置への切換状態では、
上記カム56がそのカム面56a,56a上でそれぞれ
カム用ローラ59,59を転動させながら第2変速プー
リ33における可動シーブ35のボス部35a周りに一
方向に回動する。これにより、上記カム面56aがロー
ラ59に押されてカム56が第2回転軸12上を移動
し、該カム56にベアリング55を介して移動一体の可
動シーブ35が同方向に移動して固定シーブ34に接近
する。このことにより第2変速プーリ33が閉じてその
ベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の72mmから最
大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径の増大に
よりVベルト38が第2変速プーリ33側に引き寄せら
れる。また、これと同時に、上記操作レバー66の前進
位置への切換えに伴い、上記第2変速プーリ33の可動
シーブ35の動きに同期して、第1カム機構47の回動
カム48が第1回転軸2上を上記第2カム機構54のカ
ム56と同じ一方向に回動する。このカム48の回動に
よりカム用ローラ52に対する押圧がなくなる。このた
め、上記第2変速プーリ33側に移動するベルト38の
張力により、カム48及びそれにベアリング49を介し
て連結されている可動シーブ30は固定シーブ29から
離れる方向に第1回転軸2上を移動し、この両シーブ2
9,30の離隔により第1変速プーリ28が開いてベル
ト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mmから最小
で60mmまで減少する。これらの結果、第2変速プーリ
33のベルト巻付け径が第1変速プーリ28よりも大き
くなり、第2回転軸12の回転が増速されて第1回転軸
2に伝達される。このプーリ比で、上記ピニオンキャリ
アとしての出力ギヤ22が第1回転軸2に対し逆転状態
に回転して、エンジンEの出力動力により駆動車輪が車
両の前進方向に回転駆動され、プーリ比を前進最高速位
置まで変えることで、出力ギヤ22の正転方向の回転速
度つまり前進速度を増大させることができる。このと
き、入力動力は、ギヤ5及び遊星ギヤ機構19のリング
ギヤ23を経由して出力ギヤ22に至る経路を駆動動力
経路とし、遊星ギヤ機構19のサンギヤ20から第2回
転軸12ないし変速プーリ機構27に至る経路を循環動
力経路として伝達される。すなわち、一般に車両の前進
状態での使用頻度は後進時よりも高く、この前進時に変
速プーリ機構27が循環動力経路となることで、全体と
して長期間に亘り高い頻度で、そのベルト38に駆動動
力よりも小さい循環動力を伝達させることができ、使用
頻度の多い前進状態での高出力時であってもベルト38
の伝動負荷を小さくすることができる。また、この変速
プーリ機構27が循環動力経路となる状態では、第2変
速プーリ33が駆動側プーリになる一方、第1変速プー
リ28が従動側プーリとなり、ベルト38の図2で上側
のスパン38aが緩み側となるが、上記第1テンション
プーリ78がVベルト38の図2上側スパン38aを、
また第2テンションプーリ81が同下側スパン38bを
それぞれ押圧するように両テンションアーム75,76
が逆回り方向に引張ばね83で回動付勢されているの
で、張り側スパン38b内面を押圧している第2テンシ
ョンプーリ81は図2で上側に移動して、第2テンショ
ンアーム76が時計回り方向に回動し、このことで引張
ばね83が伸長されて、その分、第1テンションアーム
75も時計回り方向に回動し、第1テンションプーリ7
8が上記ベルト38の緩み側となった図2で上側のスパ
ン38aの内面を所定の押圧力で押圧し、ベルト張力が
得られる。
【0031】更に、上記第1変速プーリ28の可動シー
ブ30のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4と
の間にはトルクカム機構42が配設され、このトルクカ
ム機構42の各トルクカム孔45における両側壁に前進
側及び後進側カム面が形成されているので、前進状態で
変速プーリ機構27の伝動負荷により可動シーブ30と
第1回転軸2とが相対回転すると、上記各トルクカム孔
45の前進側カム面がトルクピン43先端のトルクリン
グ44に接触して可動シーブ30が軸方向に押圧されて
固定シーブ29から離れる方向に移動し、この可動シー
ブの移動により第1カム機構47の回動カム48、連動
機構64及び第2カム機構54の回動カム56を介して
第2変速プーリ33の可動シーブ35が固定シーブ34
側に押圧され、その変速プーリ33でのベルト38に対
する推力を増大させることができる。尚、上記テンショ
ン機構73の引張ばね83の付勢力により両テンション
アーム75,76が逆方向に回動付勢され、その先端の
テンションプーリ78,81がそれぞれベルト38の緩
み側スパン38a,38b内面を押圧し、この押圧によ
りベルト38に張力が付与されるが、この張力は緩み側
スパン38a,38bに発生する最大張力よりも大きい
ため、このベルト張力によりベルト38のプーリ28,
33に対するくさび効果が生じて推力が発生し、この推
力により両プーリ28,33間でベルト38を介して動
力が伝達される。
【0032】(後進時)一方、上記操作レバー66を後
進位置に位置付けると、テンションクラッチ97によっ
てエンジンEの動力が無段変速装置Aに入力され、この
後進位置への切換状態では、上記第1カム機構47のカ
ム48がその各カム面48a上でカム用ローラ52を転
動させながら第1変速プーリ28における可動シーブ3
0のボス部30a周りに他方向に回動する。これによ
り、上記カム面48aがローラ52に押されてカム48
が第1回転軸2上を移動し、該カム48に移動一体の可
動シーブ30が同方向に移動して固定シーブ29に接近
する。このことにより第1変速プーリ28が閉じてその
ベルト巻付け径が上記ニュートラル状態の108mmから
最大で120mmまで増大し、このベルト巻付け径の増大
によりVベルト38が第1変速プーリ28側に引き寄せ
られる。
【0033】また、上記操作レバー66の後進位置への
切換えに伴い、上記第2カム機構54のカム56が第2
回転軸12上を上記第1カム機構47のカム48と同じ
他方向に回動する。このカム56の回動によりカム用ロ
ーラ59に対する押圧がなくなる。このため、上記第1
変速プーリ28側に移動するベルト38の張力により、
カム56及びそれにベアリング55を介して連結されて
いる可動シーブ35は固定シーブ34から離れる方向に
第2回転軸12上を移動し、この両シーブ32,33の
離隔により第2変速プーリ33が開いてベルト巻付け径
が上記ニュートラル状態の72mmから最小で60mmまで
減少する。これらの結果、第1変速プーリ28のベルト
巻付け径が第2変速プーリ33よりも大きくなり、第1
回転軸2の回転が増速されて第2回転軸12に伝達され
る。このプーリ比で、上記出力ギヤ22の回転方向が第
1回転軸2に対し正転状態になり、エンジンEの出力動
力により駆動車輪が車両の後進方向に回転駆動され、プ
ーリ比を後進最高速位置まで変えると、出力ギヤ22の
逆転方向の回転速度つまり後進速度を増大させることが
できる。このとき、上記前進時とは逆に、入力動力は、
変速プーリ機構27ないし第2回転軸12から遊星ギヤ
機構19のサンギヤ20に至る経路を駆動動力経路と
し、遊星ギヤ機構19のピニオンキャリアとしての出力
ギヤ22からピニオン21,21,…、リングギヤ2
3、ギヤ5を経由して第1回転軸2に至る経路を循環動
力経路として伝達され、このように変速プーリ機構27
が駆動動力経路となることで、Vベルト38に大きな駆
動動力が作用してその耐久性の低下が懸念されるが、上
記の如く、この車両の後進状態での使用頻度は前進時よ
りも一般に低いので、そのVベルト38に高い伝動負荷
がかかる状態は僅かの時間であり、ベルト38の耐久性
が大きく低下することはない。そして、この後進状態で
は、第1変速プーリ28が駆動側プーリになる一方、第
2変速プーリ33が従動側プーリとなり、ベルト38の
図2で下側のスパン38bが緩み側となる。このときに
も、両テンションアーム75,76が逆回り方向に引張
ばね83で回動付勢されているので、上記と同様に、張
り側スパン38a内面を押圧している第1テンションプ
ーリ78は図2で下側に移動して、第1テンションアー
ム75が反時計回り方向に回動し、引張ばね83のばね
力により第2テンションアーム76も反時計回り方向に
回動して、第2テンションプーリ81が上記ベルト38
の緩み側となった図2下側のスパン38bの内面を所定
の押圧力で押圧し、ベルト張力が得られる。また、この
後進状態では、変速プーリ機構27の伝動負荷により第
1変速プーリ28の可動シーブ30と第1回転軸2とが
相対回転すると、上記各トルクカム孔45の後進側カム
面がトルクピン43先端のトルクリング44に接触して
可動シーブ30が固定シーブ29側へ向かう方向に軸方
向に移動し、この可動シーブ30の移動により第1変速
プーリ28でのベルト38に対する推力を増大させるこ
とができる。
【0034】従って、この実施例では、上記の如く、車
両の前進又は後進状態のうち使用頻度の高い前進側で、
リングギヤ23の回転速度がサンギヤ20の回転速度よ
りも常に高くなるように遊星ギヤ機構19及び該遊星ギ
ヤ機構19へのギヤ比が設定されているので、変速プー
リ機構27のベルト38に対して小さい循環動力が伝達
される頻度を高くし、且つ、ベルト38に大きい駆動動
力が伝達される状態の頻度は低くでき、よってベルト3
8の負担を軽減しながら、別途に正逆転機構を要さずに
無段変速装置Aの正逆転状態を容易に得ることができ
る。
【0035】また、変速プーリ機構27の各変速プーリ
28,33における可動シーブ30,35のボス部30
a,35a上に各カム機構47,54の回動カム48,
56がベアリング49,55を介して支持され、これら
両回動カム48,56外周の回動レバー50,57同士
が1つのリンク62で連結されているので、変速プーリ
機構27の変速切換時に、各固定カム51,58に支持
されたローラ52,59から回動カム48,56のカム
面48a,56aに力がカム面48a,56aと直角方
向に作用し、この力の回転軸2,12に直交方向の直角
分力が回転軸2,12の軸心とリンク62への連結点と
を結ぶ線と直角に作用したとき、回転軸2,12の軸心
とリンク62への連結点とを結ぶ線に対しプーリ比の変
化に拘らず直角で且つ上記直角分力と逆向きのカム回転
反力が生じ、このカム回転反力は、回動カム48,56
が支持されている可動シーブ30,35のボス部30
a,35aに対し、プーリ28,33のベルト38が巻
き掛けられている範囲の中央位置においてボス部30
a,35aを押圧するように作用する。つまり、このボ
ス部30a,35aに対するカム回転反力は、ボス部3
0a,35aと回転軸2,12との摺動部分におけるク
リアランスで、可動シーブ30,35がベルト38から
推力を受けたときに可動シーブ30,35を回転軸2,
12に対し傾倒させる方向に働くモーメントとは逆方向
のモーメントが生じるように作用し、このモーメントに
より元のモーメントが相殺されて小さくなり、可動シー
ブ30,35のボス部30a,35a内周の回転軸2,
12外周に対する面圧分布が軸心方向に分散し、ボス部
30a,35aの摺動抵抗が小さくなる。この摺動抵抗
が小さくなった分だけ、ベルト発生推力の回動カム4
8,56による固定点に与える荷重(つまり取出推力)
が大きくなり、換言すれば、ベルト発生推力が大きな抵
抗なく回動カム48,56に取出推力として伝達される
こととなる。そして、プーリ比を変化させるときには、
ベルト発生推力と取出推力との差が変速操作に必要な荷
重(操作力)であるので、取出推力が大きい分だけ、逆
に操作力が小さくて済むこととになる。その結果、上記
変速プーリ機構27における両変速プーリ28,33間
のベルト38の推力バランスによりニュートラル状態へ
移行する際の抵抗が小さくなって、スムーズにニュート
ラル状態に調整され、よってニュートラル状態をより一
層安定して保持することができる。特に、上記エンジン
Eと無段変速装置Aとの間には、テンションクラッチ9
7が設けられ、無段変速装置Aのニュートラル状態にお
いては、エンジンEと無段変速装置Aとの間の動力伝達
を遮断するので、該ニュートラル状態を確実に保持する
ことができる。尚、上記テンションクラッチ97に代え
て、電磁クラッチや摩擦クラッチなどのクラッチ機構を
用いるようにしてもよい。つまり、エンジンEの出力軸
E1や無段変速装置Aの第1回転軸2に電磁クラッチや
摩擦クラッチを設けるようにしてもよく、要するに、エ
ンジンEと無段変速装置Aとの動力伝達をニュートラル
状態で遮断するものであればよい。そして、本発明で
は、エンジンEと無段変速装置Aとの動力伝達機構B
は、ベルト伝動機構に限られるものではない。
【0036】また、第1テンションプーリ78がVベル
ト38の図2上側スパン38aを、また第2テンション
プーリ81がVベルト38の同下側スパン38bをそれ
ぞれ常時押圧するように両テンションアーム75,76
が逆回り方向に引張ばね83で回動付勢され、ベルト3
8の張り側スパン38a(又は38b)の戻りによって
緩み側スパン38b(又は38a)に対する押圧力を得
るようになっているので、前進及び後進の切換えに伴
い、上記のようにベルト38の張り側及び緩み側スパン
が切り換わったとしても、両テンションプーリ78,8
1間の距離を一定に保ちつつ、自動的に緩み側スパンを
押圧することができ、安定したベルト張力が得られる。
しかも、引張ばね83を用いて各テンションアーム7
5,76を回動付勢するので、圧縮ばねを用いるときの
ようなばねの挫屈が生じる虞れはなく、適正なばね定数
を得ることもでき、ベルト張力の安定化に有利である。
尚、このように、ベルト38の両スパン38a,38b
内面をそれぞれテンションプーリ78,81で押圧する
のに代え、1対のテンションプーリをそれぞれベルト3
8のスパン38a,38bの背面を押圧可能に配置し、
この各テンションプーリを支持するテンションアームに
対し引張ばねでベルト押圧方向の回動付勢力を付与する
ようにしてもよい。
【0037】更に、上記2つのテンションプーリ78,
81の各々の各周面の軸方向長さがベルト38内面側の
幅よりも小さく、また両テンションプーリ78,81が
ベルト38の両スパン38a,38b間に配置されてそ
れぞれ各スパン38a,38bを内面側から押圧してベ
ルト推力を付与するようになされているので、ベルト3
8の両スパン38a,38b間のデッドスペースを利用
してテンションプーリ78,81を配置でき、変速装置
Aをコンパクトにすることができる。しかも、上記各テ
ンションプーリ78,81側面の傾斜角度が変速プーリ
28,33のプーリ溝31,36の断面角度に一致して
いるので、テンションプーリ78,81が各変速プーリ
28,33のプーリ溝31,36内に移動しても、その
プーリ溝31,36の側面と干渉することがなく、大き
な外径のテンションプーリ78,81を使用してベルト
38のスパン38a,38bの屈曲率を小さくしなが
ら、両回転軸2,12の軸間距離を短くして、変速装置
Aにおける回転軸2,12の軸間方向のコンパクト化
を図ることができる。また、上記各テンションプーリ7
8,81の位置は、変速に伴うベルト38の軸方向の移
動に拘らず、常にテンションプーリ78,81外面がベ
ルト38内面の一部に接触してそれを押圧可能な位置で
あるので、上記のようにテンションプーリ78,81の
幅がベルト38内面の幅よりも小さく、しかも、ベルト
38が変速プーリ28,33の開閉により巻付け径が変
化しながらそのプーリ溝31,36の固定シーブ29,
34側の側面に沿って軸方向に移動しても、テンション
プーリ78,81がベルト38の位置から軸方向に外れ
て緩み側スパン38a,38bを押圧不能になることは
なく、ベルト38を安定して押圧することができる。ま
た、この各テンションプーリ78,81はポリアミド繊
維が混入された繊維強化樹脂からなるものであるので、
ブロックVベルト38のテンションプーリ78,81と
の接触による摩耗を低減できるとともに、ブロック4
0,40,…により内面が凹凸形状となっているブロッ
クベルト38であっても、各ブロック40が間欠的にテ
ンションプーリ78,81に接触するときの叩き音を小
さくでき、低騒音化を図ることができる。
【0038】変速プーリ機構27の第1変速プーリ28
における可動シーブ30のボス部30aはトルクカム機
構42により高い面圧を受けるので、鋳造ではなくて鍛
造されているが、このボス部30aとシーブ本体30b
とが一体に形成されているので、両者を別体に作製した
後に溶接して一体化する場合に比べ、溶接歪みをなくし
て可動シーブ30の真円度を高めることができ、高負荷
伝動が行われるVベルト38の振れを低減して、その摩
耗を抑制することができ、信頼性を向上させることがで
きる。
【0039】上記第1変速プーリ28の可動シーブ30
のボス部30aと第1回転軸2のプーリ軸部4との間に
はトルクカム機構42が配設され、このトルクカム機構
42の各トルクカム孔45には前進側及び後進側カム面
がそれぞれ形成されているので、車両の前進時のみなら
ず後進時にもトルクカム機構42により可動シーブ3
0,35をそれぞれ固定シーブ29,34側に軸方向に
移動させてベルト推力を増大させることができる。ま
た、その際、前進側では変速プーリ機構27のプーリ比
は、第1変速プーリ28のベルト巻付け径が第2変速プ
ーリ33よりも小さいLo状態となり、駆動側及び従動
側プーリでのベルト推力差が大きくなる一方、後進側で
は変速プーリ機構27のプーリ比がHi状態となり、駆
動側及び従動側プーリ28,33でのベルト推力差が小
さくなるが、上記各トルクカム孔45における前進側カ
ム面のリード角が後進側カム面のリード角θ2よりも大
に設定されているので、上記前後進時のベルト推力差の
特性に合わせて適切なベルト推力を得ることができるこ
とになる。加えて、上記トルクカム機構42におけるト
ルクピン43は第2回転軸12のプーリ軸部4に直径方
向に貫通支持され、その両側の先端突出部にトルクリン
グ44が支持されているので、トルクピン43自体の垂
直度を高めることができ、トルクカム孔45におけるカ
ム面へのトルクリング44の片当りを防止することがで
きる。
【0040】また、上記遊星ギヤ機構19におけるピニ
オン21,21,…が第2回転軸12上の出力ギヤ22
に担持され、この出力ギヤ22が駆動車輪に駆動連結さ
れているので、出力ギヤ22をピニオンキャリアとして
兼用して部品点数を低減できるとともに、出力部として
のピニオンキャリアを第2回転軸12上で駆動車輪側に
連結する場合に比べ、第2回転軸12の長さを短くする
ことができ、無段変速装置Aの軸方向のコンパクト化を
図ることができる。
【0041】更に、無段変速装置Aのケーシング1が第
1〜第3分割ケーシング1a,1b,1cに3分割さ
れ、しかも第1及び第2回転軸2,12がそれぞれ第1
及び第2分割ケーシング1a,1b間に位置するギヤ軸
部3,13と、第2及び第3分割ケーシング1b,1c
間に位置するプーリ軸部4,14とに軸方向に2分割さ
れ、上記ギヤ軸部3,13に遊星ギヤ機構19及びギヤ
5が、またプーリ軸部4,14に変速プーリ機構27が
それぞれ配置されているので、無段変速装置Aは変速プ
ーリ機構27及び遊星ギヤ機構19の各配置部分にユニ
ット化して2分割することができ。このため、変速プー
リ機構27の例えばベルト38の点検や補修、遊星ギヤ
機構19の部品交換等を行う際、両ユニットの残りの部
分はそのままとして必要な側のユニットのみを取り外し
て分解すればよく、部品の保守点検や鋼管等を容易に行
うことができる。
【0042】また、第1回転軸2のプーリ軸部4におけ
る変速プーリ機構27側半部の小径部にはギヤ軸部3側
にスリーブ8が、またギヤ軸部3と反対側にブッシュ9
がそれぞれ外嵌合され、スリーブ8上に第1変速プーリ
28の固定シーブ29が支持され、ブッシュ9はベアリ
ング10を介して第3分割ケーシング1cに支持されて
いるので、上記固定シーブ29の支持部分たるスリーブ
8はベアリング10支持用のブッシュ9に対し分離され
ている。このため、固定シーブ29にVベルト38から
軸荷重が掛かったとき、非分離構造の場合のように該固
定シーブ29がベアリング10の位置を支点として内向
きに、つまり、固定シーブ29の外周縁がプーリ溝31
側へ向かうように傾倒することを防止でき、ベルト38
や固定シーブ29の片摩耗を抑制することができる。
【0043】更にまた、上記第1回転軸2においてトル
クカム機構42のトルクピン43を取り付けているプー
リ軸部4上にスリーブ8が外嵌合され、このスリーブ8
上に第1変速プーリ28における固定及び可動シーブ2
9,30の双方が嵌合支持されているので、固定シーブ
29をプーリ軸部4に直接キー結合している場合のよう
にベルト38からの固定及び可動シーブ29,30への
力の作用により可動シーブ30と第1回転軸2のプーリ
軸部4との相対回転が損なわれることはなく、両シーブ
29,30でベルト推力を得ながら可動シーブ30と第
1回転軸2のプーリ軸部4との相対回転を可能にしてト
ルクカム機構42の作動を良好に確保することができ
る。しかも、上記トルクカム機構42は、無段変速装置
Aの前進状態で循環動力に対し従動側となる第1変速プ
ーリ28側に設けられているので、トルクカム孔45の
リード角が一定でも、プーリ比に応じた必要なベルト推
力を容易に取り出すことができる。また、第1変速プー
リ28の可動シーブ30のボス部30a上に各トルクカ
ム孔45を覆うように円筒状カラー51が嵌合され、そ
の上にベアリング49を介して第1カム機構47の回動
カム48が支持されているので、トルクカム機構42の
トルクカム孔45をカラー51で密封することができ、
トルクカム孔45内部に充満される潤滑油の外部への飛
散を有効に防止することができる。
【0044】尚、上記実施例では、遊星ギヤ機構19の
リングギヤ23を第1回転軸2に連結しているが、ピニ
オンキャリアとしてのギヤ22を第1回転軸2に連結し
て、リングギヤ23を出力ギヤとしてもよい。また、サ
ンギヤ20を出力部にしてもよく、要は、遊星ギヤ機構
19のサンギヤ20、ピニオンキャリア及びリングギヤ
23のうちの1つが第1回転軸2に、今1つが第2回転
軸12にそれぞれ連結され、残りを出力部とすればよ
い。更に、遊星ギヤ機構19のピニオンキャリアを動力
の入力部とし、第1回転軸2を出力部とすることも可能
である。また、上記実施例では、車両の前進時に変速プ
ーリ機構27に循環動力が伝達されるようにしている
が、車両の後進時の使用頻度が前進時に比べて高い場合
には、その後進状態でベルト38に循環動力が作用する
ようにしてもよい。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、1対の回転軸間に変速プーリ機構と、第1〜第3ギ
ヤ要素を有する差動ギヤ機構とを組み合わせて配置して
なる無段変速装置に対し、変速プーリ機構における各変
速プーリの可動シーブ背面側に、可動シーブを相対向す
る固定シーブに対し両変速プーリ間で互いに逆向きに接
離させる1対の駆動機構を配設し、両変速プーリのベル
ト巻付け径が互いに逆方向に変化するように切換操作部
の切換操作により両駆動機構を連動させてプーリ比を可
変とする連動機構を設ける一方、エンジンと無段変速装
置との間の動力伝達を断続するクラッチ機構を設けるよ
うにしたゝめに、ニュートラル状態を確実に維持するこ
とができるので、変速機能を確実に発揮させることがで
きる。特に、無段変速装置がニュートラル状態から正転
側又は逆転側に変化したとき、両変速プーリの間のベル
トの張力分布のアンバランスによるベルト推力の差によ
って自動的にニュートラル状態に戻る復元力が作用する
ことから、上記クラッチ機構とによりニュートラル状態
が安定して維持される。つまり、坂道等においても確実
に車両を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る無段変速装置の全体構成
を示す平面断面図である。
【図2】無段変速装置における変速プーリ機構の構造を
示す正面図である。
【図3】無段変速装置のエンジンに対する駆動連結状態
を示す正面図である。
【図4】無段変速装置のエンジンに対する駆動連結状態
を示す平面図である。
【図5】変速プーリ機構の第1プーリ周辺の構造を示す
拡大断面図である。
【図6】変速プーリ機構の第2プーリ周辺の構造を示す
拡大断面図である。
【図7】遊星ギヤ機構周辺の構造を示す拡大断面図であ
る。
【図8】連動機構のリンクを示す拡大平面図である。
【図9】連動機構と操作レバーとの連結構造を模式的に
示す図である。
【図10】第1テンションアームに対するばね取付状態
を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
A 無段変速装置 1 ケーシング 2 第1回転軸 8 スリーブ 9 ブッシュ 12 第2回転軸 19 遊星ギヤ機構(差動ギヤ機構) 20 サンギヤ(第2ギヤ要素) 22 出力ギヤ(第3ギヤ要素) 23 リングギヤ(第1ギヤ要素) 27 変速プーリ機構 28,33 変速プーリ 29,34 固定シーブ 30,35 可動シーブ 31,36 プーリ溝 38 ブロックVベルト 38a,38b スパン 42 トルクカム機構 47,52 カム機構(駆動機構) 48,56 回動カム 48a,56a カム面 52,59 ローラ 62 リンク 64 連動機構 66 操作レバー(切換操作部) 68 不感帯部 73 テンション機構 75,76 テンションアーム 78,81 テンションプーリ 83 引張ばね 97 テンションクラッチ 98 リミットスイッチ B 動力伝達機構 E エンジン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 豊 兵庫県神戸市兵庫区明和通3丁目2番15 号 バンドー化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−44805(JP,A) 特開 平5−44820(JP,A) 特開 昭62−118159(JP,A) 実開 昭58−88025(JP,U) 実開 平5−22916(JP,U) 実開 平1−174662(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 37/02 F16H 9/12 F16H 37/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行に配置された第1回転軸及び
    第2回転軸と、 該各回転軸に固定シーブ及び可動シーブが互いに逆向き
    になるようにそれぞれ配置支持された1対の変速プーリ
    と、該両変速プーリ間に巻き掛けられたベルトと、上記
    各変速プーリにおける可動シーブの背面側に配設され、
    該可動シーブを相対向する固定シーブに対し接離させて
    変速プーリのベルト巻付け径を変化させる1対の駆動機
    構と、上記両変速プーリのベルト巻付け径が互いに逆方
    向に変化するように両駆動機構を連動させて両変速プー
    リ間の変速比を変化させる連動機構と、該連動機構を作
    動させる切換操作部と、上記両変速プーリ間のベルトの
    緩み側スパンを、該緩み側スパンにプーリ間の変速比に
    対応して発生する張力よりも大きい張力となるように押
    圧してベルト推力を発生させるテンション機構とを有
    し、上記両回転軸を変速可能に駆動連結する変速プーリ
    機構と、 互いに連結された第1〜第3ギヤ要素を有し、第1ギヤ
    要素が上記第1回転軸に連結される一方、第2ギヤ要素
    が上記第2回転軸に連結された差動ギヤ機構とを備え、 上記第1回転軸又は第3ギヤ要素の何れか一方が、エン
    ジンに動力伝達機構を介して接続されて該エンジンより
    動力が入力される入力部に、他方が出力部に構成され、 上記切換操作部は、出力部を入力部に対して正転状態と
    ニュートラル状態と逆転状態とに切換え可能に構成され
    ている無段変速装置を備えた車両の動力システムであっ
    て、 上記切換操作部によりニュートラル状態に切換え操作さ
    れると、エンジンと無段変速装置の入力部との接続を断
    つ一方、切換操作部により正転状態又は逆転状態に切換
    え操作されると、エンジンと無段変速装置の入力部とを
    接続するように動力伝達機構を操作するクラッチ機構が
    設けられていることを特徴とする車両の動力システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両の動力システムにお
    いて、 クラッチ機構は、テンションクラッチで構成されている
    ことを特徴とする車両の動力システム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の車両の動力システムにお
    いて、 クラッチ機構は、電磁クラッチで構成されていることを
    特徴とする車両の動力システム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の車両の動力システムにお
    いて、 クラッチ機構は、摩擦クラッチで構成されていることを
    特徴とする車両の動力システム。
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